JP2002255826A - 角膜組織再生促進剤 - Google Patents

角膜組織再生促進剤

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JP2002255826A
JP2002255826A JP2001052925A JP2001052925A JP2002255826A JP 2002255826 A JP2002255826 A JP 2002255826A JP 2001052925 A JP2001052925 A JP 2001052925A JP 2001052925 A JP2001052925 A JP 2001052925A JP 2002255826 A JP2002255826 A JP 2002255826A
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ginsenosides
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JP2001052925A
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Masahiro Sakanaka
雅広 阪中
Junya Tanaka
潤也 田中
Yuichi Ohashi
裕一 大橋
Masahiko Yamaguchi
昌彦 山口
Toshihiko Uno
敏彦 宇野
Yoshiyuki Tatematsu
良之 立松
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Japan Science and Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、眼球組織特には角結膜の再生・再
構築促進剤もしくは創傷治癒促進剤として有用なジンセ
ノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRb
からなる、有効な点眼用製剤、角結膜外用組成物、点眼
用組成物もしくは医薬組成物を提供する。 【解決手段】 本発明は、ジンセノサイド類誘導体、特
にジヒドロジンセノサイドRbからなる点眼用製剤、
角結膜外用組成物、点眼用組成物もしくは医薬組成物に
関し、特に眼球組織の角膜もしくは結膜の老化症状の改
善、角結膜の創傷又は欠損後の組織再生・再構築の促
進、角結膜の創傷治癒促進、もしくは細胞死をきたす疾
患の予防、処置又は治療のために有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジヒドロジンセノ
サイドRbなどのジンセノサイド類誘導体もしくはそ
の代謝産物又はそれらの塩を含有してなる角膜又は結膜
などの眼球組織の病理組織学的変化をきたす器質的疾
患、より詳細には角膜又は結膜の損傷、創傷、外傷、老
化もしくは欠損による疾患、さらに詳細には角結膜の再
生又は再構築の促進、又は創傷治癒の促進のための医薬
組成物に関する。本発明は、角結膜などの眼球組織の再
生・再構築促進剤、創傷治癒促進剤として有用なジンセ
ノサイド類誘導体もしくはその代謝産物又はそれらの塩
にも関する。また、本発明は、前記疾患の予防・処置又
は治療用組成物からなる点眼剤もしくは点眼薬に関す
る。本発明は角結膜の老化症状を予防、改善又は処置す
るためのジンセノサイド類誘導体からなる角結膜外用組
成物にも関する。さらに本発明は角膜又は結膜の疾患に
対する予防・処置もしくは治療のための有効成分、又は
角膜又は結膜の再生促進剤もしくは創傷治癒促進剤を探
索するためのリード化合物としてのジンセノサイドRb
などのジンセノサイド類又はその代謝産物の使用に関
する。
【0002】
【従来の技術】粘膜の損傷や欠損、すなわち創傷、咬
傷、熱傷、凍傷、レーザー傷害、放射線障害、紫外線照
射、電撃傷、外傷、潰瘍等は、すべて粘膜組織構成細胞
の変性脱落、壊死、アポトーシスもしくはアポトーシス
様細胞死をもたらすことが知られているが、これら粘膜
組織の機械的・物理的損傷や欠損による疾患を予防もし
くは治療するための有効な方法として、変性脱落した粘
膜組織及びそれらの構成細胞を速やかに再生・再構築せ
しめ、創傷治癒を促進する薬剤の投与が考えられる。粘
膜の中でも眼球の角膜を例にとって組織の再生・再構築
について以下に説明する。一般に疾病や外傷などによっ
て角膜組織の一部が脱落もしくは欠損すると、脱落組織
周辺に生存している上皮細胞(すなわち角膜上皮の重層
扁平上皮)が分裂・増殖して欠損部に移動してくるが、
本明細書ではこの現象を狭義に上皮細胞もしくは上皮組
織の再生と定義する。その後、欠損部に移動するか移動
中の再生上皮細胞は互いに接着し始めて分裂・増殖を中
止し、上皮組織を再び形成するようになる。この現象を
本明細書では上皮細胞もしくは上皮組織(表皮)の再構
築と定義することとする。このようにして上皮細胞もし
くは上皮組織の再生・再構築が起きる生命現象を一般に
上皮化という。ちなみに、上皮組織に含まれる上皮細胞
の多くは非角化重層扁平上皮細胞であるが、上皮化に伴
いこれらの非角化重層扁平上皮は、ボウマン膜という基
底膜の再生・再構築もつかさどることになる。
【0003】一方、角膜の再生・再構築現象において上
皮細胞のほかに中心的な役割を果たすのが、角膜固有質
(lamina propria又はstroma)の線芽細胞である。線芽
細胞も上皮細胞と同様に分裂・増殖・移動・分化という
過程を経て、膠原線(コラーゲン線維)、弾性線維、細
網線維、各種細胞外基質成分を産生分泌(再生)せし
め、しかもこれらの分泌成分が角膜固有質(lamina pro
pria又はstroma)において健常組織に近い状態にまで規
則正しく整然と再構築されなければ、すなわち線維芽細
胞、膠原線維(コラーゲン線維)、弾性線維、細網線
維、各種細胞外基質成分のすべてが確実に速やかに再生
・再構築しなければ角膜組織の再生・再構築はうまくゆ
かないのである。言い換えれば角膜の上皮や角膜固有質
の再生・再構築現象において、線維芽細胞が果たす役割
は極めて重要であり、繊維芽細胞の分裂・増殖・移動・
分化を抑制するかもしくは線維芽細胞におけるコラーゲ
ン線維・弾性線維・細網線維・各種細胞外基質の産生を
抑制することは、角膜組織の再生・再構築を円滑に進め
るために避けなければならない。また、角膜の内皮及び
その基底膜(すなわちデスメ膜)は、ひとたび傷害され
ると極めてその再生が困難であると言われるが、やはり
角膜組織が再生・再構築するためには角膜内皮やデスメ
膜の再生・再構築をも促進せしめるために何らかの対策
を講じることが重要である。その他、角膜の損傷や疾病
の際には、損傷や病変を有する角膜に分布していた末梢
神経なども切断もしくは破壊されるが、これらの神経組
織も同時に再生・再構築することが再生角膜組織の機能
維持という観点から重要である。
【0004】このように角膜組織の再生・再構築という
生命現象は、前述のごとく極めて複雑な生命現象が順を
追って規律正しく進行しなければうまく行かない。この
生命現象に関わる分子群として、サイトカイン類、増殖
因子類、成長因子類たとえばEGF、TGF−β、T
GF−α、FGF、VEGF、PDGF−BB、TGF
−β、PDGF−AB、IGF、HGF、KGF、P
DGF、TGF−β、TGF−β、SCF、FGF
−2もしくはU−PA、t−PA、インテグリン、接着
因子等があげられる(Singer,A.J.and Clark,R.A.F. Ne
w Engl.J.Med.,341,738-746,1996)。もちろん、これら
の因子の受容体や転写因子も角膜組織の再生・再構築に
関わる。従って、前述したごとく角膜組織の再生・再構
築という生命現象は、極めて複雑なものでありそれに関
わる細胞種、神経、分子群は計り知れない。このように
複雑な生命現象を1つの化合物がすべて制御・調節し、
角膜組織の再生・再構築を速やかにかつ確実に促進せし
めるなどということは、これまでほぼ不可能と考えられ
てきた。これまで塩基性線維芽細胞成長因子(basic fi
broblast growthfactor, bFGF)、血小板由来増殖
因子(platelet derived growth factor,PDGF)又
は表皮増殖因子(epidermal growth factor, EGF)
などの局所塗布や局所噴霧が部分的に角膜組織の再生・
再構築を促進することが知られているが、必ずしもその
効果は臨床的見地からも満足すべきものであるとは言え
ない。また前述のペプチド性因子(bFGF、PDG
F、EGF)はペプチド性の医薬組成物であり、アレル
ギー性の副作用を生じる可能性も充分ある。従って、今
後安全かつ優れた角膜組織再生促進剤を発明する必要が
あると思われる。一方、ジンセノサイド類誘導体の1つ
であるジヒドロジンセノサイドRbは、下記構造式、
【0005】
【化1】
【0006】で示される化合物であり、本化合物はPC
T/JP00/04102号及びPCT/JP00/0
5554号に記載されたごとく、ジンセノサイドRb
を原材料として利用することにより作成することができ
る。PCT/JP00/04102号又はPCT/JP
00/05554号の実験例において、ジヒドロジンセ
ノサイドRbなどのジンセノサイド類誘導体が、優れ
た脳卒中治療効果、皮膚組織再生・再構築促進作用、皮
膚の開放創治療効果等を示すことが明らかにされている
が、血管をまったく欠落した角膜組織の再生・再構築を
ジヒドロジンセノサイドRbなどのジンセノサイド類
誘導体が促進することについては、具体的な試験例は開
示されていない。
【0007】本発明者らは、ジヒドロジンセノサイドR
などのジンセノサイド類誘導体を含有してなる点眼
剤又は点眼薬が、角膜又は結膜の再生・再構築促進作用
を介して、優れた角膜・結膜疾患治療効果とりわけ角膜
創傷治癒促進効果を示すことを見出し、本発明を完成し
た。なお、ジンセノサイド類ならびにジンセノサイド類
誘導体の詳細については後述する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、角膜
又は結膜などの眼球組織の病理組織学的変化をきたす失
態や病態たとえば創傷、熱傷、凍傷、放射線障害、レー
ザー傷害、紫外線照射、電撃傷、外傷、潰瘍、びらん、
老化等に対して外用投与でき、かつ優れた角結膜組織再
生・再構築促進作用、創傷治癒促進作用を示す医薬組成
物又は点眼剤(点眼薬)を提供することである。より詳
細には、本発明は、低用量・低濃度のジンセノサイド類
誘導体もしくはその代謝産物又はそれらの塩を含有して
なる、角結膜などの眼球組織の病理組織学的変化をきた
す器質的疾患の予防・処置又は治療用の医薬組成物又は
点眼用組成物を提供するものである。本発明は角結膜組
織の老化症状を予防、改善又は処置するためのジンセノ
サイド類誘導体からなる角結膜外用組成物をも提供す
る。また、本発明は、ジンセノサイド類もしくはその代
謝産物をリード化合物として、角結膜などの粘膜組織の
疾患に対する予防・処置又は治療のための有効成分を探
索する方法、及びそのためのジンセノサイド類もしくは
その代謝産物の使用を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、ジヒドロジン
セノサイドRbなどのジンセノサイド類誘導体もしく
はその代謝産物又はそれらの塩を含有してなる角結膜な
どの眼球組織の病理組織学的変化をきたす器質的疾患の
予防・処置又は治療用の医薬組成物に関する。また、本
発明は角結膜組織の老化症状(萎縮、剥離、上皮剥離、
再生不良、乾燥、かゆみ、ひびわれ)を予防、改善又は
処置するための、ジンセノサイド類誘導体からなる角結
膜外用組成物もしくは健康薬組成物に関する。より詳細
には、本発明は、ジヒドロジンセノサイドRbなどの
ジンセノサイド類誘導体もしくはその代謝産物又はそれ
らの塩の含有量が0.1重量%以下、好ましくは0.0
01重量%以下である低用量・低濃度での前記の医薬組
成物又は角結膜外用組成物に関する。即ち、本発明は、
ジンセノサイド類誘導体もしくはその代謝産物又はそれ
らの塩の含有量が、組成物全体の0.1重量%以下、好
ましくは0.001重量%以下である角結膜などの眼球
組織の病理組織学的変化をきたす器質的疾患の予防・処
置又は治療用の医薬組成物、もしくは角結膜の老化症状
の予防、改善、処置のための角結膜外用組成物における
細胞外液濃度が、100μg/ml以下、好ましくは1
00ng/ml以下、より好ましくは1ng/ml以下
となるように、さらに好ましくは患部組織における細胞
外液濃度が、0.00001〜10000fg/mlで
ある前記医薬組成物又は角結膜外用組成物に関する。
【0010】本発明の医薬組成物は、角結膜などの眼球
組織の病理組織学的変化をきたす器質的疾患の予防・処
置又は治療用の組成物であり、点眼用組成物として外用
剤として使用することもできるが、これに限定されるも
のではなく、経口投与又は非経口投与される眼科用の組
成物も包含している。本発明の点眼用組成物の好ましい
投与製剤としては、点眼液、点眼薬、点眼剤、眼軟膏等
が挙げられる。
【0011】本発明の医薬組成物は、前述のごとく角結
膜組織又は水晶体の老化症状(萎縮、剥離、上皮剥離、
乾燥、混濁、再生不良等)の予防、改善、処置のための
角結膜外用組成物又は健康薬組成物としても利用可能で
ある。なお、PCT/JP00/04102号ならびに
PCT/JP00/05554号に記載されたごとく、
ジヒドロジンセノサイドRbなどのジンセノサイド類
誘導体は、ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
と酷似した効果・効能・薬理作用を示すので、当然の
ことながらジンセノサイドRbなどの天然のジンセノ
サイド類又はジンセノサイドRbを含有する天然物
を、本発明の医薬組成物(すなわちジヒドロジンセノサ
イドRbなどのジンセノサイド類誘導体)の代わりに
使用してもよい。ジンセノサイドRbなどの天然のジ
ンセノサイド類又はジンセノサイドRbを含有する天
然物もしくはそのエキスを、角結膜の病理組織学的変化
をきたす疾患や病態の予防、処置又は治療のための医薬
組成物もしくは点眼用組成物として使用するときは、そ
の濃度は0.001重量%未満に設立することが好まし
い。ただし、ジンセノサイドRbなどのジンセノサイ
ド類と他の医薬組成物、点眼用組成物又は角結膜外用組
成物とを併用(混合)するときは、ジンセノサイドRb
などのジンセノサイド類の濃度を0.00002重量
%未満に設定することが好ましい。ジンセノサイドRb
などの天然のジンセノサイド化合物又はジンセノサイ
ド類は、角結膜などの眼球組織の患部組織における細胞
外液濃度が10ng/ml以下、好ましくは1ng/m
l(約0.9nM)以下、より好ましくは0.01〜1
00fg/mlもしくは1〜10000fg/mlのと
きに角結膜組織の再生・再構築を促進する。
【0012】さらに、本発明は、ジンセノサイドRb
などのジンセノサイド類もしくはその代謝産物をリード
化合物として、角結膜組織の疾患に対する予防・処置又
は治療のための有効成分を探索する方法、及び角結膜の
疾患に対する予防・処置又は治療のための有効成分を探
索するためのリード化合物としてのジンセノサイド類又
はその代謝産物の使用に関する。また、本発明は、これ
らの方法により探索された物質を含有してなる角結膜の
疾患に対する予防・処置又は治療のための医薬組成物に
も関する。
【0013】なお、本発明の医薬組成物(天然のジンセ
ノサイド類を含む)の適応が期待される角結膜疾患とし
ては巨大角膜などの先天奇形、Meesmann角膜上
皮変性症などの角膜ジストロフィー、帯状角膜変性など
の角膜変性・沈着、円錐角膜などの角膜変形、シェーン
グレン症候群、春季カタル、アトピー性潰瘍などの周辺
部角膜潰瘍と周辺部角膜炎症疾患、翼状片などの異常増
殖又は腫瘍、レーザー手術後などの角膜内皮傷害、樹脂
状角膜炎などの角膜実質炎、角膜真菌症、アカントアメ
ーバ角膜炎、紫外線角膜炎、コンタクトレンズ傷害など
の外傷、アデノウイルス角結膜炎などの結膜炎、糖尿病
性角膜症などが挙げられる。より具体的には細菌性角膜
炎、真菌性角膜炎、樹枝状角膜炎、角膜ヘルペス、アカ
ントアメーバ角膜炎、角膜浸潤、周辺部角膜浸潤、角膜
フリクテン、蚕食性角膜潰瘍、円盤状角膜炎、壊死性角
膜炎、顆粒状角膜変性症、格子状角膜変性症、斑状角膜
変性症、膠様滴状角膜変性症、シュナイダー角膜変性
症、輪状角膜変性症、帯状角膜変性症、ペルーシド角膜
変性症、テリエン角膜変性症、滴状角膜、フックス角膜
内皮変性症、後部多形性角膜内皮変性症、虹彩角膜内皮
症候群、角膜内皮炎、円錐角膜、再発性角膜びらん、遷
延性角膜上皮欠損、ドライアイ、角膜浮腫、乾燥角結膜
炎、上輪部角結膜炎、水疱性角膜症、角膜創傷、角膜潰
瘍、角膜びらんなどが挙げられるが、これらに限定され
るわけではない。また、本発明の角結膜などの眼球組織
の病理組織学的変化としては、前記した角結膜組織にお
ける正常な組織が病理組織学的に変化した状態であり、
例えば、損傷、創傷、外傷、もしくは欠損などが挙げら
れ、これらの病理組織学的変化をきたす原因は特に制限
されるものではなく、例えば、外部からの物理的又は化
学的な力によるもの、外科的処置及び手術における切断
又は縫合、潰瘍病変などの病的なものなどのいずれの原
因による変化であってもよい。
【0014】本発明の医薬組成物は、角結膜などの眼球
組織の病理組織学的変化をきたす器質的疾患(病態を含
む)の予防・処置又は治療に使用され、病理組織学的変
化をきたした角結膜などの眼球組織の細胞又は組織の再
生及び/又は再構築を促進させることを特徴とするもの
である。したがって、本発明の医薬組成物の特徴は、病
理組織学的変化をきたした角結膜などの眼球組織又はそ
の細胞の再生及び/又は再構築により、器質的疾患の治
癒を促進するものである。また、本発明の医薬組成物
は、ジヒドロジンセノサイドRbなどのジンセノサイ
ド類誘導体もしくはその代謝産物又はそれらの塩の含有
量が、組成物全体の0.1重量%以下、好ましくは0.
001重量%以下、より詳細には0.0001重量%以
下、0.00001重量%以下、0.000001重量
%以下、0.0000001重量%以下、又は0.00
0000001重量%以下という極めて低用量・低濃度
での使用が好ましいことを特徴とするものである。この
ような低用量・低濃度での使用により、有効成分のジヒ
ドロジンセノサイドRbなどのジンセノサイド類誘導
体もしくはその代謝産物又はそれらの塩の患部組織にお
ける細胞外液濃度が、100μg/ml以下、好ましく
は100ng/ml以下、より好ましくは1ng/ml
以下、さらに好ましくは0.00001〜10000f
g/mlとなり、このような低濃度における有効成分の
新たな作用を見出したことを特徴とするものである。
【0015】本発明の医薬組成物の基剤としては、生理
食塩水、ブドウ糖、人工涙液、眼科用白色ワセリン、リ
ン酸緩衝液、phosphate buffered saline等、公知のも
のが使用できる。本発明の点眼薬、点眼液、点眼剤もし
くは眼軟膏は、前述のごとく患部組織におけるジンセノ
サイド類誘導体もしくは天然のジンセノサイド類の濃度
を低く維持できるのであれば、1日1〜20回程度病変
部に外用投与すればよい。
【0016】本発明の「ジンセノサイド類」としては、
薬用人蔘の成分であるジンセノサイドRbなどの天然
のジンセノサイドとよばれている化合物であり、これを
含有している薬用人蔘などの天然物又はその抽出物、エ
キス、分画成分、もしくは精製分画などであってもよ
い。本発明における「ジンセノサイド類」又は天然に存
在しているジンセノサイド化合物としては、例えば次の
ものが挙げられる。すなわち、ジンセノサイドRo(gi
nsenoside Ro;チクセツサポニンV;chikusetsusaponi
n V;サポニンA;saponin A)、ジンセノサイドRa
(ginsenoside Ra)、ジンセノサイドRa(ginsen
oside Ra)、ジンセノサイドRb (ginsenoside Rb
)、ジンセノサイドRb(ginsenoside Rb)、サ
ポニンD(saponin D)、ジンセノサイドRb(ginse
noside Rb)、ジンセノサイドRc(ginsenoside R
c)、ジンセノサイドRd(ginsenoside Rd)、ジンセ
ノサイドRe(ginsenoside Re)、ジンセノサイドRa
(ginsenoside Ra);ノトジンセノサイドR(no
toginsenoside R);キンケノサイドR(kinkenosi
de R);ジンセノサイドRs(ginsenoside R
s);ジンセノサイドRs(ginsenoside Rs);
(20s)−ジンセノサイドRg(20s-ginsenoside
Rg);20−グルコジンセノサイドRf(20-glucogi
nsenoside Rf);ノトジンセノサイドR(notoginsen
oside R);ジンセノサイドRf(ginsenoside R
f);(20−R)−ジンセノサイドRh(20R-ginse
noside Rh);ジンセノサイドRf(ginsenoside R
f);ジンセノサイドRg(ginsenoside Rg);ジ
ンセノサイドRg(ginsenoside Rg);ジンセノサ
イドRg(ginsenoside Rg);ジンセノサイドRh
(ginsenoside Rh);ジンセノサイドRh(gins
enoside Rh);マロニルジンセノサイドRb(maro
nylginsenoside Rb);マロニルジンセノサイドRb
(maronylginsenoside Rb);マロニルジンセノサ
イドRc(maronylginsenoside Rc);マロニルジンセ
ノサイドRd(maronylginsenoside Rc);チクセツサ
ポニンIa(chikusetsusaponin Ia);チクセツサポニ
ンIb(chikusetsusaponin Ib);チクセツサポニンII
I(chikusetsusaponin III);チクセツサポニンIV(ch
ikusetsusaponinIV);サポニンB(saponin B);チク
セツサポニンIVa(chikusetsusaponin IVa);サポニ
ンC(saponin C);プロトパナキサジオール(protopa
naxadiol);プロトパナキサトリオール(protopanaxat
riol);オレアノール酸(oleanolic acid)等、又はこ
れらの化合物の立体異性体である。本発明において、こ
れらのジンセノサイド類は、互いに化学構造が類似して
いるため共通の効果・効能・用途を有すると考えられる
ので、単独で用いることもできるし、あるいは、異なる
複数のジンセノサイド類を組み合わせて同時に用いるこ
ともできる。
【0017】また、本発明の「ジンセノサイド類」にお
けるジンセノサイド化合物を含有している薬用人蔘など
の天然物又はその抽出物、エキス、分画成分、もしくは
精製分画としては、前記したジンセノサイド化合物を比
較的多量に含有している天然物であればよく、当該天然
物そのままであっても、それからジンセノサイド化合物
を含有する成分を抽出して濃縮した抽出物であってもよ
く、当該抽出物を液状又は固体状に製剤化したエキス又
は錠剤であってもよく、さらに当該抽出物の精製分離し
たジンセノサイド化合物含有の分画、例えばサポニン分
画などであってもよく、さらに、ジンセノサイド化合物
含有分画を精製してジンセノサイド化合物が主成分の精
製物であってもよい。好ましい、ジンセノサイド化合物
を含有している薬用人蔘などの天然物又はその抽出物、
エキス、分画成分、もしくは精製分画としては、例え
ば、薬用人蔘、薬用人蔘エキス、又は薬用人蔘の粗サポ
ニン分画などが挙げられる。
【0018】また、天然に存在するジンセノサイドRb
などのジンセノサイド化合物を化学的な手段で化学修
飾して誘導された化合物としては、前記した天然のジン
セノサイド類の化学構造を以下の要領で修飾したものを
いう(以下、本明細書においてはこれらの化合物を「ジ
ンセノサイド類誘導体」という。)。すなわち、(1)
ジンセノサイド類のステロイド様骨格(ダマラン骨格)
に結合している側鎖(カーボンチェーン)の二重結合を
還元したもの(いわゆるジヒドロジンセノサイド類)、
(2)ジンセノサイド類の水酸基をアシル化又はアセチ
ル化したもの、(3)アシル化又はアセチル化に加えて
側鎖(カーボンチェーン)の二重結合を単結合にして、
同部に任意の官能基(たとえば水酸基)を結合させたも
の又は二分子の水酸基を脱水してエポキシ化したもの、
(4)アシル化又はアセチル化に加えて側鎖の二重結合
を切断して末端をアルデヒド基にしたもの、(5)アシ
ル化又はアセチル化に加えて側鎖の末端にアルキル基や
アリル基等任意の官能基を結合させたもの、(6)アシ
ル化又はアセチル化に加えて側鎖の二重結合を切断して
カルボキシル基を結合させたもの、(7)側鎖の二重結
合を切断してカルボキシル基を結合させたもの、(8)
側鎖末端にある一方のメチル基を水素原子に置換し、他
方のメチル基をアルキル基やアリル基等任意の官能基に
置換したもの、(9)側鎖の二重結合を単結合にして、
同部に任意の官能基たとえば水酸基を結合させたもの又
は二分子の水酸基を脱水してエポキシ化したもの、(1
0)側鎖の二重結合部にシクロペンタジエン等のジエン
化合物を用いてDels-Alder反応を施したもの、(11)
プロトパナキサジオール、プロトパナキサトリオール、
ダマラン、オレアノール酸又はそれらの還元体を基本骨
格として有する任意の化合物、である。なお、前記した
ジンセノサイド類(特にプロトパナキサジオール系サポ
ニンとプロトパナキサトリオール系サポニン)の誘導体
については、PCT/JP00/04102号(薬用人
蔘からなる脳細胞または神経細胞保護剤)及びPCT/
JP00/05554号(ジンセノサイドRbからな
る皮膚組織再生促進剤)にも記載されている。さらに、
PCT/JP00/04102号においては、上記ジン
セノサイド類誘導体の1つであるジヒドロジンセノサイ
ドRbの神経細胞保護作用、作成法ならびにNMRチ
ャート等が記述されている。なお、前記したジンセノサ
イド類誘導体は、PCT/JP00/04102号、P
CT/JP00/05554号及び特願2000−40
3203号に記載されたジンセノサイドRb又はジヒ
ドロジンセノサイドRbの効果、効能、用途をすべて
兼ね備えていると考えられる。
【0019】また、ジンセノサイド類の中でもやや異な
る化学構造を有するオレアノール酸たとえばジンセノサ
イドR(チクセツサポニンV)については、以下の要
領で化学修飾したものが挙げられる。すなわち(1)ジ
ンセノサイド類(オレアノール酸)のステロイド様骨格
もしくはアグリコンの化学構造に1個所存在する二重結
合を還元したもの(いわゆるジヒドロジンセノサイド
類)、(2)(1)の還元部位の水素原子を任意の官能
基(たとえば水酸基、アルキル基、アリル基等)に置換
したもの、(3)カルボキシル基をエステル化したも
の、(4)水酸基をアシル化又はアセチル化したもの、
(5)ならびに(1)〜(4)の修飾法のいずれか2つ
以上を組み合わせたもの、である。以上記述したジンセ
ノサイド類誘導体又はそれらの立体異性体は、互いに化
学構造が類似しているため、共通の効果・効能・用途を
有すると考えられるので、本発明において単独で用いる
こともできるし、あるいは、異なる複数のジンセノサイ
ド類誘導体又はジンセノサイド類と組み合わせて同時に
用いることもできる。
【0020】本発明のジンセノサイド類誘導体の代謝産
物としては、本発明のジンセノサイド類誘導体が生体内
において代謝を受けた結果生産される化合物特には糖鎖
が切断されたものであり、本発明の有効成分は前記した
ジンセノサイド類誘導体に限定されるものではなく、こ
れらの生体内での代謝産物であって、本発明の目的を達
成することができる。
【0021】次に本発明の低用量・低濃度のジンセノサ
イド類誘導体の角結膜外用投与の創傷治癒促進作用又は
角結膜組織再生・再構築促進作用について具体例に基づ
いて詳細に説明する。このため、本発明のジンセノサイ
ド類誘導体として代表的なジヒドロジンセノサイドRb
を用いた実験結果に基づいて説明する。
【0022】本発明者らはまずジヒドロジンセノサイド
Rbを以下の方法で製造した。 (1)10%Pd/c(パラジウムチャーコール)1
0.2mgを秤量し、活セン付2口フラスコに入れる。 (2)メタノール(特級)を1ml加えて懸濁させる。 (3)水素風船(約1.1気圧)をとりつけ30分0℃
で触媒を活性化する。 (4)ジンセノサイドRb 19.9mgをメタノー
ル1mlで溶かし注射器で注入する。 (5)混合物を10時間半0℃で磁気スターラーにより
激しく撹拌する。 (6)反応混合物をろ紙及び0.45μmのメンブラン
フィルターでろ過する。 (7)メタノールを減圧除去する。 (8)純水10mlに溶解させたのち凍結乾燥すると1
9.1mg(収率97%)のジヒドロジンセノサイドR
を白色粉末として得た。 ジヒドロジンセノサイドRbの融点は193−195
℃である。ちなみに、ジンセノサイドRbの融点は1
97−198℃(文献値)である。図1にジヒドロジン
セノサイドRbのNMRチャート(400MHz,CDOD)
を示す。
【0023】次に本発明者らは、前記の方法により得ら
れたジヒドロジンセノサイドRbが、細胞に対して好
ましい効果を及ぼす濃度をまず通常の培養実験で調べ
た。このため、本発明者らは培養神経細胞のアポトーシ
スもしくはアポトーシス様神経細胞死が、ジヒドロジン
セノサイドRbにより抑止される濃度を調べた。本発
明者ら(阪中、田中)は、培養神経細胞を一酸化窒素供
与体であるニトロプルシッドナトリウム(SNP)に短
時間暴露すると神経細胞のアポトーシスもしくはアポト
ーシス様神経細胞死が誘導されることを報告している
(Toku K. etal., J.Neurosci.Res., 53, 415-425, 199
8)。この培養実験系を用いて、本発明者らはすでにジ
ンセノサイドRbが1〜100fg/mlの至適細胞
外液濃度域で神経細胞のアポトーシスもしくはアポトー
シス様神経細胞死を抑止することを見出している(WO
00/37481号)。そこで、同様の実験系を用いて
ジヒドロジンセノサイドRbの神経細胞保護作用を調
べた。
【0024】妊娠17日齢のラットの胎仔大脳皮質よ
り、トリプシンEDTAを用いて神経細胞を分離し、ポ
リエルリジンコートした24ウェルプレートに蒔いた。
10%牛胎仔血清を含むダルベコの修飾イーグル培地
(Dulbecco's modified Eagle'smedium(DMEM))
中で16時間培養後、培養液をインシュリン、トランス
フェリン等を含む神経細胞培養用無血清培地に置き換
え、3ないし4日間培養した。培養3又は4日目に、3
00μMの濃度でニトロプルシッドナトリウム(SN
P)を添加し、10分間インキュベートした。その後、
培養液をジヒドロジンセノサイドRb(0〜1ng/
ml)及び牛血清アルブミンを含むイーグルの最少必要
培地(Eagle's minimum essential medium(EME
M))に置き換えた。SNP負荷後16時間目にラエム
リ(Laemmli)の電気泳動用サンプル緩衝液を用いて神
経細胞を溶解し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行
い、泳動蛋白ニトロセルロース膜に転写後、神経細胞特
異蛋白質MAP2に対する抗体を用いてイムノブロッテ
ィングを行った。神経細胞の生存率及び/又は突起伸張
を定量するため、免疫染色されたMAP2のバンドをデ
ンシトメトリーにより解析した。結果を図2及び図3に
示す。なお、MAP2イムノブロットの実験手技の詳細
については、本発明者ら(阪中、田中)の既発表論文に
記述されている(Wen,T-C.et al., J.Exp.Med., 188, 6
35-649, 1998)。
【0025】図2は、マイクロチュブル関連蛋白2(mi
crotuble-associated protein 2(MAP2))のイム
ノブロットの結果を示す図面に代わる写真である。左か
ら1番目のレーンがコントロールの培養神経細胞であ
り、明らかなMAP2バンド(すなわち神経細胞のマー
カーのバンド)が認められた。SNP処理をすると、多
くの神経細胞がアポトーシスもしくはアポトーシス様神
経細胞死に陥るので、MAP2のバンドが左から2番目
のレーンのごとく明らかに弱くなった。ジヒドロジンセ
ノサイドRbを0.01fg/ml(レーン3)から
1ng/ml(レーン7)の濃度で培養メディウムに添
加しておくと、SNPによる神経細胞のアポトーシス又
はアポトーシス様神経細胞死が明らかに抑止され、その
結果神経細胞の生存及び/又は突起伸張の指標であるM
AP2の強いバンドが観察された。
【0026】前述のMAP2のイムノブロット実験を5
回くり返し、結果をデンシトメトリー解析したものが図
3である。図3に示すごとく、0.01fg/ml〜1
ng/mlの至適細胞外液濃度域のジヒドロジンセノサ
イドRbは有意に神経細胞のアポトーシスもしくはア
ポトーシス様神経細胞死を抑止することが判明した。す
なわち、ジヒドロジンセノサイドRbは、WO00/
37481号に記載のジンセノサイドRbよりもかな
り広い至適細胞外液濃度域で、細胞特には神経細胞に対
して好ましい抗アポトーシス作用を発揮すると考えられ
る。おそらく、ジヒドロジンセノサイドRbなどのジ
ンセノサイド類誘導体は神経突起を伸長せしめることに
より、神経組織の再生及び/又は再構築をも促進すると
考えられる。従って、ジヒドロジンセノサイドRb
どのジンセノサイド類誘導体は、患部組織における細胞
外液濃度が100μg/ml以下、好ましくは100n
g/ml以下、より好ましくは1ng/ml以下、さら
に好ましくは0.000001fg/ml〜10000
fg/mlのときに細胞のアポトーシスもしくはアポト
ーシス様細胞死を抑止することにより、優れた細胞保護
作用を発揮すると考えられる。従って、ジヒドロジンセ
ノサイドRbなどのジンセノサイド類誘導体は移植用
組織・臓器の細胞(幹細胞、皮膚ケラチノサイト等)、
あらゆる組織由来の細胞、移植用凍結細胞、移植用凍結
組織、移植用凍結臓器、輸血用血球成分・血小板、生殖
細胞(凍結卵子もしくは凍結精子)の保護又は保存にも
有用と考えられる。*はP<0.001を、**はP<
0.0001を示す。統計解析法はANOVA+Scheff
eのpost hocテストによる。
【0027】次に、本発明者らはジンセノサイド類誘導
体が、低濃度・低用量で組織再生・再構築を促進するか
どうかを調べた。このため、ジンセノサイド類誘導体の
1つとしてジヒドロジンセノサイドRbを選び、同化
合物の開放創治療効果を検討した。なお、ジヒドロジン
セノサイドRbの詳細についてはPCT/JP00/
04102号(薬用人蔘からなる脳細胞または神経細胞
保護剤)に記載されている。吸入麻酔下でラット(n=
4)の背部に直径6mmのパンチバイオプシーを5個所
に施し開放創を作成した。その後、各開放創に、ジヒド
ロジンセノサイドRb1をそれぞれ0.0001重量%
(10−4重量%)、0.00001重量%(10−5
重量%)、0.000001重量%(10−6重量
%)、0.0000001重量%(10−7重量%)の
濃度で含有するプロペト(眼科用白色ワセリン)を1日
単回0.1g9日間外用塗布した。コントロールには同
量のプロペトのみを外用塗布した。その後、麻酔により
動物を安楽死させた直後に創傷部皮膚を採取し写真撮影
を実施した。採取した皮膚組織は固定液中で保存した。
結果を図4に示す。図4は図面に代わる写真である。図
4は4例が示されており、上から第1列目、第2列目、
第3列目、及び第4列目が示されている。各々、左側に
2個、右側に3個ずつの合計5個所に開放創の跡があ
り、左側の上から10−4重量%の場合、10−5重量
%の場合、右側の上から10−6重量%の場合、10
−7重量%の場合、0重量%の場合(コントロール)を
示す。
【0028】図4に示すごとく0.00001重量%
(10−5重量%)から0.0000001重量%(1
−7重量%)のジヒドロジンセノサイドRbを含有
するプロペト(すなわち100ng/gから1ng/g
の濃度のジヒドロジンセノサイドRb)を開放創に外
用塗布すると明らかに、プロペトのみを外用塗布した開
放創に比べて、創傷治癒が促進された。また、低濃度の
ジヒドロジンセノサイドRbを外用投与した例では、
創傷治癒部に明らかな発毛が観察された。従って、ジヒ
ドロジンセノサイドRbなどのジンセノサイド類誘導
体を皮膚外用剤として使用するときは、外用剤における
当該組成物の濃度は0.001重量%以下又は未満、好
ましくは0.00001重量%以下、より好ましくは
0.0000001重量%(10−7重量%)前後もし
くはそれ以下に設定することが好ましいと考えられた。
従って、発毛育毛用組成物、ケミカルピーリング用組成
物、化粧品組成物として、ジヒドロジンセノサイドRb
などのジンセノサイド類誘導体を使用するときも、化
粧品又は健康薬におけるその濃度は0.001重量%以
下又は未満、好ましくは0.00001重量%(10
−5重量%)以下、より好ましくは0.0000001
重量%(10−7重量%)以下に設定することが好まし
い。発毛育毛剤、ケミカルピーリング剤、化粧品、皮膚
外用剤ならびに粘膜外用剤におけるジンセノサイド類誘
導体の濃度の上限は1%以下、好ましくは0.1%以下
である。
【0029】前述の実験例において、プロペトのみを外
用塗布した開放創の面積を分母にとり、0.0001重
量%(10−4重量%)から0.0000001重量%
(10−7重量%)のジヒドロジンセノサイドRb
外用塗布した開放創の面積を分子にとり、その比を算出
した。結果を図5に示す。図5では、n=4で*印はP
<0.05で有意差があることを示す。なお、検定はFi
sherのPLSDによっている。図5に示すごとく、0.
00001重量%(10−5重量%)以下の濃度のジヒ
ドロジンセノサイドRbを開放創に外用投与すると皮
膚組織の再生・再構築が促進され、有意に創傷治癒をも
促進された。特に0.00001重量%(10 −5重量
%)以下のジヒドロジンセノサイドRbすなわち10
0ng/g以下もしくは100ng/ml以下のジヒド
ロジンセノサイドRbの外用投与が開放創を有意に縮
小せしめたという事実は、ジヒドロジンセノサイドRb
などのジンセノサイド類誘導体が患部組織の細胞外液
濃度が100μg/ml以下、好ましくは100ng/
ml以下、より好ましくは1ng/ml以下、さらに好
ましくは0.000001〜10000fg/mlのと
きに生体組織の新生・再生又は再構築を顕著に促進する
ということを強く支持している。
【0030】以上の実験結果より、低濃度のジンセノサ
イド類誘導体特にジヒドロジンセノサイドRbの皮膚
外用塗布が、皮膚の表皮組織、真皮の結合組織、真皮の
乳頭、血管、皮脂腺、神経、汗腺、毛乳頭、立毛筋、毛
包等の再生・再構築を促進し、創傷治療を早めると考え
られる。本発明者の知る限り、低濃度のジヒドロジンセ
ノサイドRbの皮膚外用投与の効果は、ペプチド性因
子(PDGF、EGF、bFGF)の効果よりはるかに
優れている。本実験で使用した低濃度のジヒドロジンセ
ノサイドRbを含有する軟膏もしくは外用剤は、皮膚
のみならず創傷、損傷もしくは、病理組織学的変化をき
たしたあらゆる臓器・組織(角膜、口腔粘膜、外耳、消
化管粘膜、鼻粘膜、鼓膜、膣、子宮、尿道、気道粘膜、
直腸、肛門等)に外用投与して、病変組織の再生・再構
築を促進せしめることができる。本実験結果より、プロ
ペト10gあたりのジンセノサイド類誘導体特にはジヒ
ドロジンセノサイドRbの混入量は0.1mg以下、
好ましくは0.0001mg以下ということが判明し
た。すなわち皮膚疾患を有するヒトもしくは脊椎動物へ
のジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイ
ドRbの至適皮膚外用投与量は、かなり少ないという
ことになる。プロペト10gあたりにジヒドロジンセノ
サイドRbなどのジンセノサイド類誘導体を混入する
ときは、その上限は0.1g以下、好ましくは0.00
1g以下である。
【0031】前述のごとく、ジヒドロジンセノサイドR
などのジンセノサイド類誘導体の皮膚外用塗布が、
皮膚の表皮組織、真皮の結合組織、真皮の乳頭、皮下組
織、血管、立毛筋、皮脂腺、汗腺、毛乳頭、毛包等の再
生・再構築を促進するという事実は、当然のことながら
ジヒドロジンセノサイドRbなどの皮膚外用塗布が、
表皮細胞、表皮角化細胞、メルケル細胞、メラノサイ
ト、ランゲルハンス細胞、角質細胞、真皮ならびに皮下
組織の線維芽細胞、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、皮
脂腺の細胞、脂肪細胞、汗腺の細胞、毛包の細胞、立毛
筋の細胞、間葉系細胞、皮膚の幹細胞等の再生・再構築
をも促すことを明らかにしている。このような低用量の
ジヒドロジンセノサイドRbなどのジンセノサイド類
誘導体が単独で皮膚組織の再生・再構築もしくは創傷治
癒をかくもあざやかに成し遂げるということは、皮膚組
織の創傷治療もしくは再生・再構築にかかわるサイトカ
イン類、成長因子類又は増殖因子類もしくはそれらの受
容体・転写因子(たとえば、EGF、TGF−β、S
CF、TGF−α、FGF、VEGF、PDGF−B
B、TGF−β、PDGF−AB、IGF、KGF、
HGF、EGFR、TGFR、SCFR、VEGFR、
PDGFR、FGFR、HIF、NFkB、エリスロポ
エチン、PDGF、TGF−β、TGF−β、FG
F−2、U−PA、t−PA等)の産生や血球成分・血
漿成分の機能なども低用量のジンセノサイド類誘導体特
にはジヒドロジンセノサイドRbにより調節されてい
ることを物語っている。すなわち、Singer,A.J.とClar
k,R.A.F.の総説(New Engl.J.Med.,341, 738-746, 199
9)に記述されたごとく、創傷治癒もしくは組織再生・
再構築にかかわる複雑な生命現象を、低用量・低濃度の
ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイド
Rbが単独ですべて成し遂げたといえる。おそらく、
後述の角結膜組織の再生・再構築実験においても、ジヒ
ドロジンセノサイドRb などのジンセノサイド類誘導
体が前記の分子群を増加、減少又は調節せしめることに
より効果・効能を発揮するものと考えられる。
【0032】従って、ジヒドロジンセノサイドRb
どのジンセノサイド類誘導体は皮膚などの生体組織の病
理組織学的変化をきたす器質的疾患に対して、生体組織
特には皮膚組織の再生・再構築促進作用を介して効果・
効能を発揮すると言える。このような皮膚の病理組織学
的変化をきたす疾患としては以下のものが挙げられる。
すなわち、皮膚組織の創傷、熱傷、放射線障害、凍傷、
紫外線傷害、電撃症、外傷、皮膚潰瘍、褥創、外科的手
術後の各種の創傷、レーザー傷害、接触性皮膚炎、水疱
性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、うつ帯性皮膚炎、乾皮
症、皮脂欠乏症、糖尿病性皮膚潰瘍、自家感作性皮膚
炎、紅皮症、剥奪性皮膚炎、表皮水疱症、光線過敏症、
慢性色素紫斑(シャンバーグ病)、ストロフルス、花粉
症、虫さされ、痒疹、多形滲出性紅斑、環状紅斑、結節
性紅斑、天疱瘡、類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、掌蹠膿疱
症、乾癬、扁平苔癬、魚鱗癬、毛孔性苔癬、黄色腫症、
皮膚アミロイドーシス、単純疱疹、ウイルス性いぼ、伝
染性軟属腫、膿皮症、皮膚結核、皮膚非定型抗酸菌症、
白癬、皮膚・口腔カンジダ症、疥癬、毛虱症、梅毒、ケ
ロイド、肥厚性瘢痕、血管腫、リンパ腫、母斑、尋常性
白斑、雀卵斑、肝斑、黒皮症、汗疱、あせも、にきび、
酒査皮(しゅさ)、酒査皮(しゅさ)様皮膚炎、口腔粘
膜損傷、口内炎、口囲皮膚炎、皮膚の老化症状(例え
ば、皮膚の萎縮、易感染症、たるみ、ふけ、脱毛、白
髪、かゆみ、かさつき、皮脂欠乏、角質細胞剥離、ひび
われ、あかぎれ、しみ、しわ、そばかす、再生不良、色
素沈着、乾燥等)、脱毛症、爪囲炎、嵌入爪等が挙げら
れる。
【0033】一方、加齢に伴う皮膚の老化症状(皮膚の
萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、かさつき、亀裂、皮
脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、あかぎ
れ、しみ、しわ、そばかす、脱毛、白髪、ふけ、色素沈
着、日焼け、乾燥等)は、皮膚組織を構成する前記細胞
が、紫外線障害や生体の老化に伴い徐々に死滅するかも
しくは機能不全に陥り、もとの健常な状態に再生できな
くなるために、生じるものと考えられる。たとえば、加
齢や老化に伴う皮膚のかさつき、乾燥、脱毛、亀裂、角
質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、あかぎれ、皮脂欠
乏、かゆみなどは皮膚の汗腺、毛包、ならびに脂腺の細
胞が、機能障害に陥るか死滅したままで再生しないため
に、生じると考えられる。また、日焼け、色素沈着、し
み、そばかす等は、日光や紫外線に照射された皮膚の細
胞が死に至っても、元通りに細胞が再生しなくなるため
に起こると考えられる。さらに加齢に伴う、皮膚のし
わ、たるみ、萎縮などは、真皮や皮下組織の線維芽細胞
もしくは間葉系細胞が、加齢とともに機能不全に陥るか
数が減少したために、真皮や皮下組織で充分な膠原繊
維、弾性線維、細網線維、細胞外基質を保持できなくな
った結果、生じると言える。一方、メラノサイトやラン
ゲルハンス細胞の機能障害により白髪や易感染性が生じ
ると考えられる。
【0034】本発明の低濃度のジンセノサイド類誘導体
特にはジヒドロジンセノサイドRb は、皮膚組織を構
成するすべての細胞の再生・再構築を促進することがで
きるので、化粧品の組成物として利用すれば、老化に伴
う皮膚の構成細胞の減少(細胞死)、機能障害に起因す
る諸症状(皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、か
さつき、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわ
れ、あかぎれ、しみ、しわ、そばかす、白髪、ふけ、脱
毛、色素沈着、日焼け、再生不良、乾燥等)を予防、軽
減もしくは改善することができる。さらに、ジヒドロジ
ンセノサイドRb は、本発明者ら(阪中、田中)の既
出願特許(PCT/JP00/04102、薬用人蔘か
らなる脳細胞または神経細胞保護剤)に既述のごとく、
抗アポトーシス作用を介して、表皮細胞、表皮角化細
胞、角質細胞、皮脂腺の細胞、毛包の細胞、立毛筋の細
胞、汗腺の細胞、線維芽細胞、幹細胞、間葉系細胞、血
管内皮細胞、血管平滑筋細胞、脂肪細胞等を含めたあら
ゆる皮膚の細胞を保護すると考えられるので、やはり加
齢や老化に伴う皮膚の構成細胞の死や機能障害を未然に
防ぐことができると考えられる。このように、ジヒドロ
ジンセノサイドRbなどのジンセノサイド類誘導体
は、皮膚を構成するあらゆる細胞を保護するのみなら
ず、ひとたび皮膚の細胞が死に至るか機能不全に陥って
も、それらの細胞を再生せしめることによって、加齢に
伴う皮膚の老化症状(皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、
かゆみ、亀裂、かさつき、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角
層剥離、ひびわれ、しみ、しわ、そばかす、白髪、ふ
け、あかぎれ、脱毛、色素沈着、日焼け、再生不良、乾
燥等)を予防、改善もしくは軽減すると考えられる。す
なわち、ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセ
ノサイドRbは細胞保護作用と組織・細胞再生促進作
用という2つの強力な作用を介して、加齢に伴う皮膚の
老化症状を改善、予防もしくは軽減すると言える。しか
も、本発明の実験結果や上記の既出願特許(PCT/J
P00/04102号)から明らかなように、ジヒドロ
ジンセノサイドRbなどのジンセノサイド類誘導体は
患部組織や皮膚組織における細胞外液濃度が、100μ
g/ml(約90μM)以下、好ましくは100ng/
ml(約90nM)以下、より好ましくは1ng/ml
(0.9nM)以下、さらに好ましくは100fg/m
l(約90fM)以下のときに、細胞保護作用ならびに
組織・細胞再生・再構築促進作用を発揮する。
【0035】また、後述の実施例で示すごとく、低濃度
・低用量のジンセノサイド類誘導体特にジヒドロジンセ
ノサイドRbは、角結膜などの粘膜組織の再生・再構
築をも促進し、角結膜の創傷又は損傷を治療することが
できる。従って、ジンセノサイド類誘導体特にジヒドロ
ジンセノサイドRbは、PCT/JP00/0555
4号に記載のジンセノサイドRbもしくはジンセノサ
イドRbを含有する天然物又はそのエキスと同様に、
あらゆる化粧品や健康薬(化粧水(スキンローショ
ン)、乳液(ミルクローション)、美容液、マッサージ
剤、パック剤、乳剤、ファンデーション、ハンドクリー
ム、ゲル、ジェル、ローション、エマルジョン、パウダ
ー、ヘアーダイ、ヘアーマニキュア、コールドクリー
ム、アイシャドウ、クレンジングクリーム、洗顔フォー
ム、ナイトクリーム、美白クリーム、トローチ、のどあ
め、おしろい、口紅、入浴剤、化粧石けん、健康飲料
水、アイソトニックウォーター、水割用氷、シャーベッ
ト、アイスクリーム、アルコール飲料、洗眼薬、洗眼
液、洗顔液、うがい薬、菓子類、デザート、シャンプ
ー、リンス、歯みがき粉、リップクリーム、下地クリー
ム(メイクアップベース)、UVリキッドファンデーシ
ョン、パウダーファンデーション等)に微量混入して使
用し、皮膚局所又は粘膜局所におけるジンセノサイド類
誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbの細胞外液
濃度を前記のごとく低濃度に維持すれば、皮膚や粘膜の
老化症状(萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、亀裂、か
さつき、再生不良、上皮剥離、粘膜剥離、皮脂欠乏、角
質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、しみ、あかぎれ、し
わ、そばかす、白髪、ふけ、脱毛、色素沈着、日焼け、
乾燥等)に対して優れた効果を発揮する。たとえば、加
齢や老化に伴い皮膚の脂(すなわち皮脂)が欠乏するだ
けでも、皮膚のかさつき、ひびわれ、乾燥、かゆみ、角
質細胞剥離等が生じるが、低濃度のジンセノサイド類誘
導体特にジヒドロジンセノサイドRbをあらゆる化粧
品に混入して使用することにより、皮脂腺の保護もしく
は再生・再構築が促進され前記の加齢に伴う皮膚の老化
症状を予防、改善、もしくは軽減すると考えられる。ま
た、低濃度のジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジ
ンセノサイドRbを含有する任意の化粧品は、表皮細
胞(角質細胞)もしくは表皮角化細胞を保護するのみな
らず、その再生・再構築をも促進するので、角質細胞間
脂質や天然保湿因子の産生や分泌も促進することによ
り、皮膚の乾燥やかさつきを抑止し、皮膚に自然な潤い
をもたらす。また、たとえばミネラルウォーターなどに
ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイド
Rb、ジンセノサイドRb、ジンセノサイドRb
を含有する天然物エキス、薬用人蔘粗サポニン分画等を
低濃度で混入することにより、アルコール飲料や高温刺
激物による口腔粘膜や消化管粘膜(特に食道粘膜)の障
害を改善、予防、処置することができる。低濃度のジン
セノサイド類誘導体特にジヒドロジンセノサイドRb
は、PCT/JP00/05554号に記載のジンセノ
サイドRbもしくはジンセノサイドRbを含有する
天然物エキスと同様に、ケミカルピーリング(マイクロ
ピーリング、アブレージョン、物理的ピーリングを含
む)用の組成物として、ケミカルピーリングの全過程
(前、中、後)で使用される試薬類又は投与剤(すなわ
ちケミカルピーリング剤)のうち1種類もしくは2種類
以上に混入して使用することができる。
【0036】もちろん、前述のごとくジヒドロジンセノ
サイドRbの効果・効能・用途は、ジンセノサイドR
の効果・効能・用途と共通すると考えられるので、
ジヒドロジンセノサイドRbのかわりに、ジンセノサ
イドRbを含有する天然物、天然物エキス、薬用人
蔘、薬用人蔘エキス、薬用人蔘粗サポニン分画等を皮膚
外用組成物(化粧品組成物、発毛育毛用組成物、ケミカ
ルピーリング用組成物)として使用してもよい。なお、
本発明の化粧品組成物、発毛育毛用組成物、ケミカルピ
ーリング用組成物(ジヒドロジンセノサイドRbなど
のジンセノサイド類誘導体、ジンセノサイドRbを含
有する天然物又はそのエキス、薬用人蔘、薬用人蔘エキ
ス、薬用人蔘粗サポニン分画、ジンセノサイドRb
どのジンセノサイド類)の基剤としては、油脂類、ロウ
類、炭化水素類、脂肪酸類、低級アルコール類、高級ア
ルコール類、多価アルコール類、エステル類、界面活性
剤、水溶性高分子化合物等が挙げられる。本発明の前記
皮膚外用組成物(化粧品組成物、発毛育毛用組成物、ケ
ミカルピーリング用組成物)は、その他の皮膚細胞賦活
剤、発毛育毛用組成物、化粧品組成物、抗炎症剤、活性
酸素消去剤、美白剤、保湿剤、紫外線吸収剤、防腐防黴
剤、ミノキシジル、エモリエント剤、公知の天然物エキ
ス、公知の生薬エキス、公知の天然物成分、レチノイン
酸(retinoic acid)のいずれか1つあるいは2つ以上
と併用してもよい。前記した公知の天然物エキス又は天
然物成分には、漢方処方において使用される任意の生
薬、生薬エキス又は生薬成分等も含まれるが、これらに
限定されるものではない。なお、ジヒドロジンセノサイ
ドRbなどのジンセノサイド類誘導体の代わりに、ジ
ンセノサイドRbなどのジンセノサイド類をほぼ単独
で皮膚外用剤、粘膜外用剤、皮膚外用組成物として使用
するときはその濃度は0.001重量%未満とし、その
他の医薬組成物又は皮膚外用組成物と併用するときの濃
度は0.00002重量%未満とすることが好ましい。
皮膚外用剤、粘膜外用剤、化粧品、発毛育毛剤、ケミカ
ルピーリング剤におけるジンセノサイドRb含有天然
物又はそのエキスの濃度は、0.001重量%未満と考
えられる。ケミカルピーリング剤、粘膜外用剤における
ジンセノサイドRbもしくはジンセノサイドRb
含有する天然物又はそのエキスの濃度の上限は、1重量
%以下、好ましくは0.1重量%以下である。
【0037】次に本発明者らは、皮膚組織とは異なり、
血管がまったく欠落した角膜組織においても、ジヒドロ
ジンセノサイドRbなどのジンセノサイド類誘導体が
優れた組織再生・再構築促進作用及び/又は創傷治癒促
進作用を発揮するかどうか調べた。実験は雌性家兎(fe
male albino rabbit,体重2〜3kg)を用いて以下の
要領で実施した。 1)角膜組織欠損又は上皮欠損作成のため、n-heptanol
をしみこませた直径10mmのガーゼを家兎の両眼に3
0秒押しつけ、その後250mlの生理食塩水で眼表面
を十分に洗浄した。 2)6時間後に円形の角膜組織欠損又は角膜上皮欠損が
作成されていることを確認し、点眼実験を開始した。右
眼を対照眼として生理食塩水を、左眼を実験眼として1
−8mg/ml(0.000000001重量%)の
ジヒドロジンセノサイドRbを含有する同量の生理食
塩水(点眼液)を6時間毎に点眼し、12時間毎に角膜
組織又は角膜上皮の欠損の状態を観察した。 3)角膜組織欠損部又は角膜上皮欠損部をフルオレセイ
ン染色した後、前眼部撮影装置を用いて写真撮影を行っ
た。結果を図6に示す。図6は図面に代わる写真であ
る。
【0038】図6の左上ならびに右上写真に示すごと
く、両眼にn−ヘプタノール(n-heptanol)をしみこま
せると、6時間後にはフルオレセインで染色される角膜
組織又は角膜上皮の円形欠損が両眼において均等に観察
された。0.000000001重量%(10−9重量
%又は10−8mg/ml)のジヒドロジンセノサイド
Rbを含有する生理食塩水を、6時間ごとに左眼に点
眼しておくと、左下の写真に示すごとく60時間以内に
左眼の角膜組織又は角膜上皮の欠損が完治した。一方、
同量の生理食塩水(vehicle)のみを点眼した右眼(す
なわち対照眼)では、右下の写真に矢印で示すごとく、
角膜組織又は角膜上皮の欠損が明らかに残存していた。
【0039】以上の実験結果より、ジヒドロジンセノサ
イドRbなどのジンセノサイド類誘導体を角結膜など
の粘膜へ外用投与すれば、角結膜創傷が速やかに治癒す
ることが判明した。従ってジヒドロジンセノサイドRb
などのジンセノサイド類誘導体は、皮膚組織のみなら
ず角結膜を始めとする粘膜組織の再生・再構築をも促進
し、創傷治癒を速やかに進めるものと考えられる。この
ような事実にもとづけば、低濃度のジンセノサイド類誘
導体特にジヒドロジンセノサイドRbは角結膜を含む
粘膜の病理組織学的変化をきたすあらゆる疾患や病態に
対しても、組織再生・再構築促進作用を介して効果・効
能を発揮すると言える。このようなジンセノサイド類誘
導体の適応が期待される粘膜疾患として、う蝕、歯髄
炎、辺縁性歯周組織炎、口内炎、舌炎、再発性アフタ、
口腔内アフタ、口臭、口腔異常感症、歯性感染症、口腔
粘膜咬傷、舌の咬傷、口腔粘膜熱傷、舌の熱傷、口腔粘
膜損傷、歯肉炎、歯槽膿漏、カタール性口内炎、壊疽性
口内炎、ワンサン口内炎、アフタ性口内炎、急性疱疹生
歯肉口内炎、ヘルパンギーナ、帯状疱疹、口腔粘膜びら
ん、口腔粘膜潰瘍、アレルギー性鼻炎、花粉症、春季カ
タル、痔疾、クローン病、潰瘍性大腸炎、消化性潰瘍、
膣部びらん、子宮内膜症、ぶどう膜炎、褥創性潰瘍、放
射線性口内炎、天疱瘡、口腔カンジダ症、扁平苔癬、Ri
ga-Fede病、平滑舌、赤平舌、角膜びらん、角膜潰瘍、
ドライアイ、シェーングレン症候群、細菌性角膜炎、真
菌性角膜炎、樹枝状角膜炎、角膜ヘルペス、アカントア
メーバ角膜炎、角膜浸潤、周辺部角膜浸潤、角膜フリク
テン、蚕食性角膜潰瘍、円盤状角膜炎、壊死性角膜炎、
顆粒状角膜変性症、格子状角膜変性症、斑状角膜変性
症、膠様滴状角膜変性症、シュナイダー角膜変性症、輪
状角膜変性症、帯状角膜変性症、ペルーシド角膜変性
症、テリエン角膜変性症、滴状角膜、フックス角膜内皮
変性症、後部多形多膜内皮変性症、虹彩角膜内皮症候
群、角膜内皮炎、円錐角膜、再発性角膜びらん、遷延性
角膜上皮欠損、乾燥角結膜炎、白内障、緑内障、上輪部
角結膜炎、水疱性角膜症等が挙げられる。
【0040】また、角結膜の創傷に対してジヒドロジン
セノサイドRbの外用投与が有効であったという事実
は、ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサ
イドRbが、角結膜を始めとする粘膜の上皮、重層扁
平上皮、ボウマン膜、角膜固有質、デスメ膜、角膜内
皮、涙腺、マイボーム腺、モル腺、クラウゼ腺、ウォル
フリング腺、結膜支質、円柱上皮、粘膜固有層、唾液
腺、粘液腺、混合腺、結合組織、筋組織、血管、末梢神
経、上皮細胞、杯細胞、腺細胞、筋上皮細胞、円柱上皮
細胞、線維芽細胞、幹細胞、間葉系細胞、リンパ管、血
管内皮細胞、平滑筋細胞、筋細胞、基底膜、細胞外基
質、コラーゲン線維、弾性線維もしくは細網線維の再生
又は再構築を促進させることを支持している。
【0041】なお、低濃度のジンセノサイド類誘導体特
にはジヒドロジンセノサイドRbを含有する粘膜外用
剤は、口腔粘膜のみならず消化管粘膜、鼻粘膜、眼球粘
膜(結膜、角膜)、腟粘膜、子宮粘膜、尿道粘膜、膀胱
粘膜、気管・気管支粘膜等のあらゆる粘膜に外用塗布又
は外用投与することにより、これらの粘膜の病理組織学
的変化をきたす疾患や病態に著効を示す。特に粘膜の創
傷、熱傷、レーザー傷害、炎症、びらん、潰瘍、萎縮、
変性、欠損もしくは花粉症や春季カタル等にジンセノサ
イド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbの外
用投与が有効である。さらに、低濃度のジンセノサイド
類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbを含有す
る粘膜外用剤又は粘膜外用組成物は、角結膜などの粘膜
の老化症状(萎縮、上皮剥離、粘膜剥離、再生不良、ひ
びわれ、乾燥等)を予防、改善、処置するための健康薬
としても使用できる。すなわち、ジヒドロジンセノサイ
ドRbなどのジンセノサイド類誘導体は、角結膜の老
化症状を予防、処置又は改善するための角結膜外用組成
物として利用される。
【0042】これまでに記述されたジヒドロジンセノサ
イドRbの効果・効能・用途は、ジンセノサイドRb
などのジンセノサイド類もしくはジンセノサイドRb
を含有する天然物又はそのエキスの効果・効能・用途
とも共通すると考えられる。ただし、培養実験の結果か
ら判断すると、ジンセノサイド類誘導体は、PCT/J
P00/04102号又はPCT/JP00/0555
4号に記載のジンセノサイドRbよりも幅広い濃度域
で使用可能と考えられる。具体的には、PCT/JP0
0/04102号又はPCT/JP00/05554号
に記載のジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
の投与用量・濃度の1000分の1から1000倍程度
の範囲でジンセノサイド類誘導体の有効な投与用量・濃
度を設定できると考えられる。また、一般に点眼液、点
眼剤又は点眼薬は点眼後、角結膜のみならず、網膜、ブ
ドウ膜、水晶体、硝子体、シュレム管、毛様体、虹彩、
小柱網、鼻粘膜、血液中にも到達することが知られてい
るので、本発明の医薬組成物(ジヒドロジンセノサイド
Rbなどのジンセノサイド類誘導体、ジンセノサイド
類特にはジンセノサイドRb、ジンセノサイドRb
を含有する天然物又はそのエキス)はこれらの眼球組織
の病理組織学的変化をきたす器質的疾患や病態にも有効
と考えられる。このような疾患や病態については、成書
(今日の眼疾患治療指針:編集、田野保雄、樋田哲夫:
医学書院、2000;今日の治療指針:総編集、多賀須
幸男、尾形悦郎:医学書院、2000)に記載されてい
るが、たとえば緑内障、白内障、ぶどう膜炎、網膜剥
離、眼底出血、糖尿病性網膜症、加齢黄斑変性、硝子体
混濁、眼内腫瘍、眼窩疾患、眼外傷、視神経炎、虚血性
視神経症、網膜色素変性症等が挙げられる。もちろん、
糖尿病性網膜症の光凝固治療法の際に、前記医薬組成物
を全身投与してもよい。
【0043】以下に、ジヒドロジンセノサイドRb
外のジンセノサイド類誘導体について、図7のジンセノ
サイドRb誘導体を例にとって簡単に記述する。
【0044】図7左上の(1)は水酸基をアシル化又は
アセチル化した誘導体の例であり、(2)はアシル化又
はアセチル化に加えて側鎖の二重結合を単結合にして同
部に任意の官能基(たとえば水酸基)を結合させた例で
あり、2分子の水酸基を脱水してエポキシ化することも
可能である。図7の(3)はアシル化又はアセチル化に
加えて側鎖の二重結合を切断して末端をアルデヒド基に
した誘導体の例であり、(4)はアシル化又はアセチル
化に加えて側鎖の末端にアルキル基やアリル基等任意の
官能基を結合させた例であり、(5)はアシル化又はア
セチル化に加えて側鎖の二重結合を切断してカルボキシ
ル基を結合した例であり、(6)はアシル化又はアセチ
ル化に加えて側鎖の二重結合部分をエポキシ化した例で
あり、(7)は側鎖の二重結合を切断してカルボキシル
基を結合した例であり、(8)は側鎖末端にある一方の
メチル基を水素原子に置換し、他方のメチル基をアルキ
ル基やアリル基等任意の官能基に置換したものであり、
(9)は側鎖の二重結合を単結合にして、同部に任意の
官能基たとえば水酸基を結合させた例であり、2分子の
水酸基を結合させたものが、ジヒドロキシジンセノサイ
ドRbである。図7の(10)は(9)に記載した2
分子の水酸基を脱水してエポキシ化した例すなわちエポ
キシジンセノサイドRbである。また、(11)プロ
トパナキサジオール、プロトパナキサトリオール、ダマ
ラン又はそれらの還元体を基本骨格として有する任意の
化合物がジンセノサイドRb誘導体の範疇の中に含ま
れる。この中には(12)ジンセノサイドRbの側鎖
の二重結合部にシクロペンタジエン等のジエン化合物を
用いてDiels-Alder反応を施したものなども含まれる。
なお、前記した誘導体については、本明細書において既
述して。
【0045】また、薬用人蔘にはジンセノサイドRb
以外に公知のものだけでも30種類前後の精製サポニン
類すなわち天然のジンセノサイド類又はジンセノサイド
化合物が含まれているが(庄司順三、薬用人蔘’95、
pp251-261、熊谷 朗編、共立出版株式会社)、これら
の精製サポニン類すなわちジンセノサイド類の化学構造
もジンセノサイドRbの化学構造と類似しているの
で、既述のごとく点眼用組成物、角結膜外用組成物、眼
球組織再生・再構築促進剤又は角結膜創傷治癒促進剤と
なり得る。もちろん、ジンセノサイドRbをリード化
合物として利用することにより作成できる新規化学的誘
導体は前述のものに限定されるわけではない。また、ジ
ンセノサイドRb以外の精製サポニン類すなわち天然
のジンセノサイド類(特にプロトパナキサジオール、プ
ロトパナキサトリオール)についてもダマラン骨格(ス
テロイド様骨格)側鎖を還元するかもしくは図7と同様
の方法で化学的誘導体を作成することができる。また、
ジンセノサイドRを始めとするオレアノール酸の化学
的誘導体については、既述している。当然のことなが
ら、前記のジンセノサイド類誘導体は、PCT/JP0
0/04102号、PCT/JP00/05554号及
び特願2000−403203号に記載されたジンセノ
サイドRb又はジヒドロジンセノサイドRbの効果
・効能・用途をすべて兼ね備えているとされる。
【0046】
【実施例】次に、具体的な試験例について本発明を詳細
に説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるも
のではない。
【0047】実施例1(ジヒドロジンセノサイドRb
作成実験) 本発明者らはまずジヒドロジンセノサイドRbを作成
した。以下にジヒドロジンセノサイドRbの製造例な
らびにNMRのデータを示す。 (1)10%Pd/c(パラジウムチャーコール)1
0.2mgを秤量し、活セン付2口フラスコに入れる。 (2)メタノール(特級)を1ml加えて懸濁させる。 (3)水素風船(約1.1気圧)をとりつけ30分0℃
で触媒を活性化する。 (4)ジンセノサイドRb 19.9mgをメタノー
ル1mlで溶かし注射器で注入する。 (5)混合物を10時間半0℃で磁気スターラーにより
激しく撹拌する。 (6)反応混合物をろ紙及び0.45μmのメンブラン
フィルターでろ過する。 (7)メタノールを減圧除去する。 (8)純水10mlに溶解させたのち凍結乾燥すると1
9.1mg(収率97%)のジヒドロジンセノサイドR
を白色粉末として得た。 ジヒドロジンセノサイドRb1の融点は193−195
℃である。ちなみに、ジンセノサイドRbの融点は1
97−198℃(文献値)である。図1にジヒドロジン
セノサイドRbのNMRチャート(400MHz,CDOD)
を示す。
【0048】実施例2(ジヒドロジンセノサイドRb1
の抗アポトーシス作用解析実験) 次に本発明者らは、前記の方法により得られたジヒドロ
ジンセノサイドRbが、細胞に対して好ましい効果を
及ぼす濃度をまず通常の培養実験で調べた。このため、
本発明者らは培養神経細胞のアポトーシスもしくはアポ
トーシス様神経細胞死が、ジヒドロジンセノサイドRb
により抑止される濃度を調べた。本発明者ら(阪中、
田中)は、培養神経細胞を一酸化窒素供与体であるニト
ロプルシッドナトリウム(SNP)に短時間暴露すると
神経細胞のアポトーシスもしくはアポトーシス様神経細
胞死が誘導されることを報告している(Toku K. etal.,
J.Neurosci.Res., 53, 415-425, 1998)。この培養実
験系を用いて、本発明者らはすでにジンセノサイドRb
が1〜100fg/mlの至適細胞外液濃度域で神経
細胞のアポトーシスもしくはアポトーシス様神経細胞死
を抑止することを見出している(WO00/3748
1)。そこで、同様の実験系を用いてジヒドロジンセノ
サイドRbの神経細胞保護作用を調べた。
【0049】妊娠17日齢のラットの胎仔大脳皮質よ
り、トリプシンEDTAを用いて神経細胞を分離し、ポ
リエルリジンコートした24ウェルプレートに蒔いた。
10%牛胎仔血清を含むダルベコの修飾イーグル培地
(Dulbecco's modified Eagle'smedium(DMEM))
中で16時間培養後、培養液をインシュリン、トランス
フェリン等を含む神経細胞培養用無血清培地に置き換
え、3ないし4日間培養した。培養3又は4日目に、3
00μMの濃度でニトロプルシッドナトリウム(SN
P)を添加し、10分間インキュベートした。その後、
培養液をジヒドロジンセノサイドRb(0〜1ng/
ml)及び牛血清アルブミンを含むイーグルの最少必要
培地(Eagle's minimum essential medium(EME
M))に置き換えた。SNP負荷後16時間目にラエム
リ(Laemmli)の電気泳動用サンプル緩衝液を用いて神
経細胞を溶解し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行
い、ニトロセルロース膜に転写後、神経細胞特異蛋白質
MAP2に対する抗体を用いてイムノブロッティングを
行った。神経細胞の生存率及び/又は突起伸張を定量す
るため、免疫染色されたMAP2のバンドをデンシトメ
トリーにより解析した。結果を図2及び図3に示す。な
お、MAP2イムノブロットの実験手技の詳細について
は、本発明者ら(阪中、田中)の既発表論文に記述され
ている(Wen,T-C. et al.,J.Exp.Med., 188, 635-649,
1998)。
【0050】図2はマイクロチュブル関連蛋白2(micr
otuble-associated protein 2(MAP2))のイムノ
ブロットの結果を示す図面に代わる写真である。左から
1番目のレーンがコントロールの培養神経細胞であり、
明らかなMAP2バンド(すなわち神経細胞のマーカー
のバンド)が認められた。SNP処理をすると、多くの
神経細胞がアポトーシスもしくはアポトーシス様神経細
胞死に陥るので、MAP2のバンドが左から2番目のレ
ーンのごとく明らかに弱くなった。ジヒドロジンセノサ
イドRbを0.01fg/ml(レーン3)から1n
g/ml(レーン7)の濃度で培養メディウムに添加し
ておくと、SNPによる神経細胞のアポトーシス又はア
ポトーシス様神経細胞死が明らかに抑止され、その結果
神経細胞の生存及び/又は突起伸張の指標であるMAP
2の強いバンドが観察された。
【0051】前述のMAP2のイムノブロット実験を5
回くり返し、結果をデンシトメトリー解析したものが図
3である。図3に示すごとく、0.01fg/ml〜1
ng/mlの至適細胞外液濃度域のジヒドロジンセノサ
イドRbは有意に神経細胞のアポトーシスもしくはア
ポトーシス様神経細胞死を抑止することが判明した。す
なわち、ジヒドロジンセノサイドRbは、WO00/
37481に記載のジンセノサイドRbよりもかなり
広い至適細胞外液濃度域で、細胞特には神経細胞に対し
て好ましい抗アポトーシス作用を発揮すると考えられ
る。おそらく、ジヒドロジンセノサイドRbなどのジ
ンセノサイド類誘導体は神経突起を伸長せしめることに
より、神経組織の再生及び/又は再構築をも促進すると
考えられる。従って、ジヒドロジンセノサイドRb
どのジンセノサイド類誘導体は、患部組織における細胞
外液濃度が100μg/ml以下、好ましくは100n
g/ml以下、より好ましくは1ng/ml以下、さら
に好ましくは0.000001fg/ml〜10000
fg/mlのときに細胞のアポトーシスもしくはアポト
ーシス様細胞死を抑止することにより、優れた細胞保護
作用を発揮すると考えられる。従って、ジヒドロジンセ
ノサイドRbなどのジンセノサイド類誘導体は移植用
組織・臓器の細胞(幹細胞、皮膚ケラチノサイト等)、
あらゆる組織由来の細胞、移植用凍結細胞、移植用凍結
組織、移植用凍結臓器(血管、角膜、複合培養皮膚、肝
臓、消化管等)輸血用血球成分・血小板、生殖細胞(凍
結卵子もしくは凍結精子)の保護又は保存にも有用と考
えられる。*はP<0.001を、**はP<0.00
01を示す。統計解析法はANOVA+Scheffeのpost
hocテストによる。
【0052】実施例3(ジヒドロジンセノサイドRb
の皮膚外用投与による開放創治療) 次に、本発明者らはジンセノサイド類誘導体が、低濃度
・低用量で組織再生・再構築を促進するかどうかを調べ
た。このため、ジンセノサイド類誘導体の1つとしてジ
ヒドロジンセノサイドRbを選び、同化合物の開放創
治療効果を検討した。なお、ジヒドロジンセノサイドR
の詳細についてはPCT/JP00.04102
(薬用人蔘からなる脳細胞または神経細胞保護剤)に記
載されている。吸入麻酔下でラット(n=4)の背部に
直径6mmのパンチバイオプシーを5個所に施し開放創
を作成した。その後、各開放創に、ジヒドロジンセノサ
イドRb1をそれぞれ0.0001重量%(10−4
量%)、0.00001重量%(10−5重量%)、
0.000001重量%(10−6重量%)、0.00
00001重量%(10−7重量%)の濃度で含有する
プロペト(眼科用白色ワセリン)を1日単回0.1g9
日間外用塗布した。コントロールには同量のプロペトの
みを外用塗布した。その後、麻酔により動物を安楽死さ
せた直後に創傷部皮膚を採取し写真撮影を実施した。採
取した皮膚組織は固定液中で保存した。結果を図4に示
す。図4は図面に代わる写真である。図4は4例が示さ
れており、上から第1列目、第2列目、第3列目、及び
第4列目が示されている。各々、左側に2個、右側に3
個ずつの合計5個所に開放創の跡があり、左側の上から
10 −4重量%の場合、10−5重量%の場合、右側の
上から10−6重量%の場合、10−7重量%の場合、
0重量%の場合(コントロール)を示す。
【0053】図4に示すごとく0.00001重量%
(10−5重量%)から0.0000001重量%(1
−7重量%)のジヒドロジンセノサイドRbを含有
するプロペト(すなわち100ng/gから1ng/g
の濃度のジヒドロジンセノサイドRb)を開放創に外
用塗布すると明らかに、プロペトのみを外用塗布した開
放創に比べて、創傷治癒が促進された。また、低濃度の
ジヒドロジンセノサイドRbを外用投与した例では、
創傷治癒部に明らかな発毛が観察された。従って、ジヒ
ドロジンセノサイドRbなどのジンセノサイド類誘導
体を皮膚外用剤として使用するときは、外用剤における
当該組成物の濃度は0.001重量%以下又は未満、好
ましくは0.00001重量%以下、より好ましくは
0.0000001重量%(10−7重量%)前後もし
くはそれ以下に設定することが好ましいと考えられた。
従って、発毛育毛用組成物、ケミカルピーリング用組成
物、化粧品組成物として、ジヒドロジンセノサイドRb
などのジンセノサイド類誘導体を使用するときも、化
粧品又は健康薬におけるその濃度は0.001重量%以
下又は未満、好ましくは0.00001重量%(10
−5重量%)以下、より好ましくは0.0000001
重量%(10−7重量%)以下に設定することが好まし
い。発毛育毛剤、ケミカルピーリング剤、化粧品、皮膚
外用剤ならびに粘膜外用剤におけるジンセノサイド類誘
導体の濃度の上限は1%以下、好ましくは0.1%以下
である。
【0054】前述の実験例において、プロペトのみを外
用塗布した開放創の面積を分母にとり、0.0001重
量%(10−4重量%)から0.0000001重量%
(10−7重量%)のジヒドロジンセノサイドRb
外用塗布した開放創の面積を分子にとり、その比を算出
した。結果を図5に示す。図5では、n=4で*印はP
<0.05で有意差があることを示す。なお、検定はFi
sherのPLSDによっている。図5に示すごとく、0.
00001重量%(10−5重量%)以下の濃度のジヒ
ドロジンセノサイドRbを開放創に外用投与すると皮
膚組織の再生・再構築が促進され、有意に創傷治癒をも
促進された。特に0.00001重量%(10 −5重量
%)以下のジヒドロジンセノサイドRbすなわち10
0ng/g以下もしくは100ng/ml以下のジヒド
ロジンセノサイドRbの外用投与が開放創を有意に縮
小せしめたという事実は、ジヒドロジンセノサイドRb
などのジンセノサイド類誘導体が患部組織の細胞外液
濃度が100μg/ml以下、好ましくは100ng/
ml以下、より好ましくは1ng/ml以下、さらに好
ましくは0.000001〜10000fg/mlのと
きに生体組織の新生・再生又は再構築を顕著に促進する
ということを強く支持している。
【0055】実施例4(ジヒドロジンセノサイドRb
からなる点眼液による角膜創傷又は角膜欠損治療) 次に本発明者らは、皮膚組織とは異なり、血管がまった
く欠落した角膜組織においても、ジヒドロジンセノサイ
ドRbなどのジンセノサイド類誘導体が優れた再生・
再構築促進作用及び/又は創傷治癒促進作用を発揮する
かどうか調べた。実験は雌性家兎(female albino rabi
t,体重2〜3kg)を用いて以下の要領で実施した。 1)角膜組織又は上皮欠損作成のため、n-heptanolをし
みこませた直径10mmのガーゼを家兎の両眼に30秒
押しつけ、その後250mlの生理食塩水で眼表面を十
分に洗浄した。 2)6時間後に円形の角膜組織欠損又は角膜上皮欠損が
作成されていることを確認し、点眼実験を開始した。右
眼を対照眼として生理食塩水を、左眼を実験眼として1
−8mg/ml(0.000000001重量%)の
ジヒドロジンセノサイドRbを含有する同量の生理食
塩水(点眼液)を6時間毎に点眼し、12時間毎に角膜
組織又は角膜上皮の欠損の状態を観察した。 3)角膜組織欠損部又は角膜上皮欠損部をフルオレセイ
ン染色した後、前眼部撮影装置を用いて写真撮影を行っ
た。結果を図6に示す。図6は図面に代わる写真であ
る。
【0056】図6の左上ならびに右上写真に示すごと
く、両眼にn−ヘプタノール(n-heptanol)をしみこま
せると、6時間後にはフルオレセインで染色される角膜
組織又は角膜上皮の円形欠損が両眼において均等に観察
された。0.000000001重量%(10−9重量
%又は10−8mg/ml)のジヒドロジンセノサイド
Rbを含有する生理食塩水を、6時間ごとに左眼に点
眼しておくと、左下の写真に示すごとく60時間以内に
左眼の角膜組織又は角膜上皮の欠損が完治した。一方、
同量の生理食塩水(vehicle)のみを点眼した右眼(す
なわち対照眼)では、右下の写真に矢印で示すごとく、
角膜組織又は角膜上皮の欠損が明らかに残存していた。
【0057】実施例5(ジンセノサイド類誘導体特には
ジヒドロキシジンセノサイドRb又はエポキシジンセ
ノサイドRbによる縫合不全発症の予防、治療、処
置) 糖尿病患者、高齢者、免疫不全病患者、低栄養患者、癌
患者などは外科的手術後に縫合不全を発症することが多
いので、これを未然に防ぐことが何よりも肝要であると
考えられている。従って、術前もしくは術後より通常の
治療にジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロキシジン
セノサイドRb又はエポキシジンセノサイドRb
を、通常1日当たり0.001mg以上、好ましくは
0.1mg以上、より好ましくは10mg以上の用量で
静脈内へ連日単回注入もしくは持続注入しておくと、術
後の縫合不全発生率が有意に低下し、術創の回復も早く
なる。また、ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロキ
シジンセノサイドRb又はエポキシジンセノサイドR
の静脈内注入を実施するとともに、水溶性基剤、軟
膏基剤、点眼用基剤、脂溶性基剤等の任意又は公知の基
剤に低濃度のジヒドロキシジンセノサイドRb又はエ
ポキシジンセノサイドRbを混入して皮膚外用剤(ク
リーム、ゲル、パップ剤、噴霧剤又は軟膏等)、点眼液
又は眼軟膏を作成し、術創部局所及びその周辺部に創傷
が治癒するまで、塗布又は点眼してもよい。また、術中
にジンセノサイド類特にはジヒドロキシジンセノサイド
Rb又はエポキシジンセノサイドRbを局所投与し
てもよい。その際に局部におけるジンセノサイド類誘導
体の細胞外液濃度が100μg/ml(約90μM)以
下、好ましくは100ng/ml(約90nM)以下、
より好ましくは1ng/ml(約0.9nM)以下、さ
らに好ましくは100fg/ml(約90fM)以下と
なるように基剤ならびに局所投与剤、点眼液又は眼軟膏
への混入量を調整する。すなわち、皮膚外用剤へのジン
セノサイド類誘導体混入量は0.1重量%以下、好まし
くは0.001重量%以下とすることが好ましい。な
お、本実施例においては、ジンセノサイド類誘導体の1
つとして、ジヒドロジンセノサイドRbを用いてもよ
い。
【0058】実施例6(ジンセノサイド類誘導体特には
ジヒドロキシジンセノサイドRb又はエポキシジンセ
ノサイドRbによる放射線障害もしくは熱傷の治療、
処置) 重傷の放射線障害患者や熱傷患者は、皮膚組織が広範に
変性脱落し、皮膚培養シート移植によっても満足すべき
効果が得られず、患者の生命予後が脅かされることがあ
る。このような患者に対して、移植培養皮膚シートから
の皮膚組織再生や健常皮膚組織構成細胞の分裂・増殖・
病巣部への移動・分化による病変組織の再生を促すため
に、ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロキシジンセ
ノサイドRb又はエポキシジンセノサイドRbを1
日当たり0.001mg以上、好ましくは0.1mg以
上、より好ましくは10mg以上の用量で静脈内へ症状
の改善がみられるまで連日単回注入もしくは持続注入す
る。もちろん、ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロ
キシジンセノサイドRb又はエポキシジンセノサイド
Rbの静脈内注入を実施するとともに、水溶性基剤あ
るいは脂溶性基剤にジンセノサイド類誘導体特にはジヒ
ドロキシジンセノサイドRb又はエポキシジンセノサ
イドRbを混入して皮膚外用剤(クリーム、ゲル、ロ
ーション、パップ剤、噴霧剤又は軟膏等)を作成し、皮
膚病変部及びその周辺の病巣が改善・治癒するまで塗布
してもよい。その際に病変部局所におけるジンセノサイ
ド類誘導体特にはジヒドロキシジンセノサイドRb
はエポキシジンセノサイドRb の細胞外液濃度が10
0μg/ml(約90μM)以下、好ましくは100n
g/ml(約90nM)以下、より好ましくは1ng/
ml(約0.9nM)以下、さらに好ましくは100f
g/ml(約90fM)以下となるように基剤へのジン
セノサイド類誘導体特にはジヒドロキシジンセノサイド
Rb又はエポキシジンセノサイドRb混入量を調整
する。皮膚外用剤におけるジンセノサイド類誘導体特に
はジヒドロキシジンセノサイドRb又はエポキシジン
セノサイドRbの濃度は0.1重量%以下、好ましく
は0.001重量%以下とすることが好ましい。また、
放射線障害や熱傷が比較的軽傷の場合は、前述の皮膚外
用剤のみを投与しても構わない。もちろん、本実施例に
おいては、ジンセノサイド類誘導体の1つとして、ジヒ
ドロジンセノサイドRbを用いてもよい。
【0059】実施例7(ジンセノサイド類誘導体、特に
はジヒドロキシジンセノサイドRb又はエポキシジン
セノサイドRbによる褥創の予防・治療・処置) 寝たきり患者ならびに高齢者の褥創は、全身状態を悪化
させるきっかけともなりQOL(生活の質、quality of
life)を著しく損なう皮膚疾患である。褥創の早期に
は病変部皮膚の発赤がみられるが、この時点で病変部局
所ならびにその周辺に塗布して効果・効能を示す外用剤
もしくは静脈内投与製剤がほとんどないことが、皮膚科
領域で大きな問題となっている。もちろん、皮膚組織が
欠損した褥創病変の治療も困難を極めることが多々あ
る。ブドウ糖を含有するか含有しない水溶性基剤あるい
は脂溶性基剤にジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロ
キシジンセノサイドRb又はエポキシジンセノサイド
Rbを混入して皮膚外用剤(クリーム、パップ剤また
は軟膏)を作成し、褥創部局所およびその周辺部に褥創
病変が治癒するか縮小するかあるいは悪化しなくなるま
で、常時塗布する。皮膚外用剤におけるジンセノサイド
類誘導体特にはジヒドロキシジンセノサイドRb又は
エポキシジンセノサイドRbの濃度は0.1重量%以
下、好ましくは0.001重量%以下とすることが好ま
しい。その際に局部におけるジンセノサイド類誘導体特
にはジヒドロキシジンセノサイドRb又はエポキシジ
ンセノサイドRbの細胞外液濃度が100μg/ml
(約90μM)以下、好ましくは100ng/ml(約
90nM)以下、より好ましくは1ng/ml(約0.
9nM)以下、さらに好ましくは100fg/ml(約
90fM)以下となるように基剤へのジンセノサイド類
誘導体特にはジヒドロキシジンセノサイドRb又はエ
ポキシジンセノサイドRb混入量を調整する。また、
必要に応じて、本実施例5ならびに本実施例6に記載さ
れた要領でジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロキシ
ジンセノサイドRb又はエポキシジンセノサイドRb
の静脈内投与を併用する。ジヒドロキシジンセノサイ
ドRb又はエポキシジンセノサイドRbなどのジン
セノサイド類誘導体は、本明細書で記述されたごとく、
強力な細胞保護作用を介して褥創病変の伸展を抑止し、
ひとたび皮膚組織が欠損した褥創病変に対しては、皮膚
組織の再生・再構築を促進することにより優れた治療効
果を発揮すると考えられる。もちろん、本実施例におい
ては、ジンセノサイド類誘導体の1つとして、ジヒドロ
ジンセノサイドRbを用いてもよい。
【0060】実施例8(ジンセノサイド類誘導体、特に
はジヒドロキシジンセノサイドRb又はエポキシジン
セノサイドRbによる消化性潰瘍の治療) 胃潰瘍や十二指腸潰瘍の薬物治療の手段として、H
容体阻害剤、プロトンポンプ阻害剤、消化管粘膜保護剤
等が主として用いられるが、薬剤によって一時的に潰瘍
病変が治癒しても、薬物投与を中止するとしばしば潰瘍
病変が再発する。また潰瘍病変は、消化管の難病に指定
されているクローン病や潰瘍性大腸炎においても頻繁に
みられ、患者の予後を悪化させる原因になっている。胃
潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病発症
後、通常の治療手段を施しながら、できるだけ早期にジ
ンセノサイド類誘導体特にはジヒドロキシジンセノサイ
ドRb又はエポキシジンセノサイドRbの静脈内注
入、挿肛投与、挿膣投与、点鼻投与もしくは内視鏡下で
の病変部粘膜外用投与を実施し、内視鏡にて病変の治癒
もしくは改善が確認されるまで治療を継続する。もちろ
ん、本実験例においては、ジンセノサイド類誘導体の1
つとして、ジヒドロジンセノサイドRbを用いてもよ
い。
【0061】実施例9(ジンセノサイド類誘導体、特に
はジヒドロキシジンセノサイドRb又はエポキシジン
セノサイドRbによる糖尿病性皮膚潰瘍の治療) 糖尿病性皮膚潰瘍は病変部の血流障害や皮膚組織の欠損
等を伴う難治性疾患であるが、血管や皮膚組織の再生・
再構築を促進せしめる作用を有するジンセノサイド類誘
導体特にはジヒドロキシジンセノサイドRb又はエポ
キシジンセノサイドRbを静脈内投与、局所注入もし
くは外用塗布すれば効果が得られる。すなわち、糖尿病
性皮膚潰瘍を有する患者に対して、通常の治療に加え
て、ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロキシジンセ
ノサイドRb又はエポキシジンセノサイドRbを1
日当たり通常0.001mg以上、好ましくは0.1m
g以上、より好ましくは10mg以上の用量で静脈内へ
連日単回注入もしくは持続注入する。また必要に応じ
て、本実施例8に記載したごとくジヒドロキシジンセノ
サイドRb又はエポキシジンセノサイドRbを含有
する皮膚外用剤を病変部及びその周辺部に塗布してもよ
いし、ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロキシジン
セノサイドRb又はエポキシジンセノサイドRb
生理食塩水溶解液又はブドウ糖溶解液を病変部局所に注
入してもよい。その際、病変部におけるジンセノサイド
類誘導体特にはジヒドロキシジンセノサイドRb又は
エポキシジンセノサイドRbの細胞外液濃度が100
μg/ml(約90μM)以下、好ましくは100ng
/ml(約90nM)以下、より好ましくは1ng/m
l(約0.9nM)以下、さらに好ましくは100fg
/ml(約90fM)以下となるように基剤へのジンセ
ノサイド類誘導体特にはジヒドロキシジンセノサイドR
又はエポキシジンセノサイドRb混入量もしくは
それらを含有する生理食塩水又はブドウ糖液(溶解剤)
の局所注入量を調整する。もちろん、本実施例において
は、ジンセノサイド類誘導体の1つとして、ジヒドロジ
ンセノサイドRbを用いてもよい。
【0062】
【発明の効果】本発明は、ジヒドロジンセノサイドRb
、ジヒドロキシジンセノサイドRb 又はエポキシジ
ンセノサイドRbなどのジンセノサイド類誘導体を有
効成分とする、眼球組織特には角結膜組織の再生・再構
築促進用医薬組成物、創傷治癒促進用医薬組成物、点眼
用組成物、角結膜外用組成物、健康薬組成物を提供する
ものである。本発明では、リード化合物としてのジンセ
ノサイド類特にはジンセノサイドRb、もしくはジン
セノサイドRbを含有する天然物又はそのエキスと同
様に、低い至適細胞外液濃度域で優れた眼球組織特には
角結膜組織の再生及び/又は再構築促進作用を示す医薬
組成物、点眼用組成物又は角結膜外用組成物が発明され
た。低濃度・低用量のジンセノサイド類誘導体特にジヒ
ドロジンセノサイドRbは、角結膜組織などの眼球組
織の再生・再構築促進作用又は抗アポトーシス作用を介
して、病理組織学的変化をきたすあらゆる眼球組織の器
質的疾患もしくは細胞死をきたすあらゆる眼球組織の疾
患や病態の予防、治療もしくは処置に有用とされる。本
発明のジヒドロジンセノサイドRbなどのジンセノサ
イド類誘導体からなる角結膜外用組成物は、角結膜の老
化症状(萎縮、剥離、上皮剥離、再生不良、かゆみ、ひ
びわれ、乾燥等)にも効果・効能を示す。またジンセノ
サイドRbなどのジンセノサイド類、ジンセノサイド
Rbを含有する天然物又はそのエキスも、本発明のジ
ンセノサイド類誘導体と同様の効果・効能・用途を有す
ると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ジヒドロジンセノサイドRbのNM
Rチャートを示す。
【図2】図2は、SNPによる培養神経細胞のアポトー
シスもしくはアポトーシス様神経細胞死に対するジヒド
ロジンセノサイドRbの保護効果を示す、図面に代わ
るMAP2イムノブロットの写真である。横方向の数字
はジヒドロジンセノサイドRb、の濃度(fg/m
l)を示す。(−)はSNP無しを、(+)はSNPが
ある場合を示す。
【図3】図3は、SNPによる培養神経細胞のアポトー
シスもしくはアポトーシス様神経細胞死に対するジヒド
ロジンセノサイドRbの保護効果を示すグラフであ
る。横軸は、ジヒドロジンセノサイドRb、の濃度
(fg/ml)を示し、縦軸は、神経細胞の生存率(M
AP2の残存率)を示す。100%の黒丸印は、SNP
負荷が無い場合を示す。
【図4】図4は、ラットの開放創に対する10−4〜1
−7重量%のジヒドロジンセノサイドRbの外用投
与の効果を示す図面に代わる写真である。
【図5】図5は、ラットの開放創に対する10−4〜1
−7重量%のジヒドロジンセノサイドRbの外用投
与の効果を示すグラフである。横軸は、ジヒドロジンセ
ノサイドRb、の濃度(%)を示し、縦軸は、皮膚創
傷部面積(%)を示す。
【図6】図6は、角膜創傷又は角膜欠損に対する生理食
塩水もしくはジヒドロジンセノサイドRb(10−8
mg/ml)含有生理食塩水の点眼投与の効果を示す、
図面に代わる写真である。左上写真及び右上写真が点眼
液投与前の角膜損傷(角膜欠損)部を示すものである。
左下写真がジヒドロジンセノサイドRb投与後60時
間を経過したものであり、右下写真が生理食塩水投与後
60時間を経過したものである。
【図7】図7は、ジンセノサイドRbをリード化合物
として利用することにより作成できる化学的誘導体の一
部を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 山口 昌彦 愛媛県松山市鷹子町65−1 ヴァンヴェー ル久米3−C (72)発明者 宇野 敏彦 愛媛県松山市南久米町314−1−1 (72)発明者 立松 良之 愛媛県松山市久米窪田町676−13 Fターム(参考) 4C057 BB03 CC01 DD01 JJ47 4C076 AA12 BB24 CC10 4C086 AA01 AA02 EA19 MA01 MA04 MA17 MA58 NA14 ZA33

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジンセノサイド類誘導体もしくはその代
    謝産物又はそれらの塩を含有してなる眼球組織の病理組
    織学的変化をきたす器質的疾患の予防・処置又は治療用
    の医薬組成物。
  2. 【請求項2】 ジンセノサイド類誘導体もしくはその代
    謝産物又はそれらの塩が、天然物から化学的な手段によ
    り化学修飾された誘導体である請求項1に記載の医薬組
    成物。
  3. 【請求項3】 化学的な手段が、還元である請求項2に
    記載の医薬組成物。
  4. 【請求項4】 化学修飾された誘導体が、ジヒドロジン
    セノサイドRbである請求項2又は3に記載の医薬組
    成物。
  5. 【請求項5】 医薬組成物が、点眼剤、点眼液又は点眼
    薬である請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組成物。
  6. 【請求項6】 病理組織学的変化をきたした眼球組織の
    予防・処置又は治療が、細胞及び/又は組織の再生及び
    /又は再構築を促進させるものである請求項1〜5のい
    ずれかに記載の医薬組成物。
  7. 【請求項7】 病理組織学的変化が、創傷又は損傷によ
    るものである請求項1〜6のいずれかに記載の医薬組成
    物。
  8. 【請求項8】 創傷又は損傷が、眼球組織の欠損である
    請求項7に記載の医薬組成物。
  9. 【請求項9】 眼球組織が、角膜もしくは結膜である請
    求項1〜8のいずれかに記載の医薬組成物。
  10. 【請求項10】 病理組織学的変化をきたした角膜組織
    もしくは結膜組織の予防・処置又は治療が、角膜もしく
    は結膜の上皮、ボウマン膜、角膜固有質、デスメ膜、角
    膜内皮、涙腺、マイボーム膜、モル腺、クラウゼ腺、結
    合組織、粘膜固有層、筋組織、ウォルフリング腺、結膜
    支質、血管もしくは末梢神経の再生及び/又は再構築に
    よるものである請求項1〜9のいずれかに記載の医薬組
    成物。
  11. 【請求項11】 病理組織学的変化をきたした角膜組織
    もしくは結膜組織の上皮化を促進することからなる請求
    項9又は10に記載の医薬組成物又は点眼用組成物。
  12. 【請求項12】 病理組織学的変化をきたした角膜組織
    もしくは結膜組織の予防・処置又は治療が、角膜組織も
    しくは結膜組織の上皮細胞、幹細胞、間葉系細胞、線維
    芽細胞、腺細胞、杯細胞、筋上皮細胞、筋細胞、血管内
    皮細胞もしくは脂肪細胞又は膠原線維、弾性線維、細網
    線維もしくは細胞外基質の再生及び/又は再構築による
    ものである請求項9〜11のいずれかに記載の予防・処
    置又は治療用の医薬組成物又は点眼用組成物。
  13. 【請求項13】 病理組織学的変化をきたした角膜組織
    もしくは結膜組織の予防・処置又は治療が、角膜もしく
    は結膜の老化症状の予防、処置もしくは改善のためのも
    のである請求項9〜12のいずれかに記載の医薬組成物
    又は点眼用組成物。
  14. 【請求項14】 ジンセノサイド類誘導体もしくはその
    代謝産物又はそれらの塩を含有してなる角結膜外用組成
    物。
  15. 【請求項15】 ジンセノサイド類誘導体もしくはその
    代謝産物又はそれらの塩が、天然物から化学的な手段に
    より化学修飾された誘導体である請求項14に記載の角
    結膜外用組成物。
  16. 【請求項16】 化学修飾された誘導体が、ジヒドロジ
    ンセノサイドRbである請求項15に記載の角結膜外
    用組成物。
  17. 【請求項17】 角結膜外用組成物が、角膜細胞もしく
    は結膜細胞の保護又は角膜もしくは結膜の老化症状の予
    防、処置又は改善のためのものである請求項14〜16
    のいずれかに記載の角結膜外用組成物。
  18. 【請求項18】 角膜もしくは結膜の老化症状が、角結
    膜の萎縮、剥離、上皮剥離、再生不良、かゆみ、ひびわ
    れもしくは乾燥である請求項17に記載の角結膜外用組
    成物。
  19. 【請求項19】 ジンセノサイド類もしくはその代謝産
    物をリード化合物として、角膜組織又は結膜組織の疾患
    に対する予防・処置又は治療のための有効成分を探索す
    る方法。
  20. 【請求項20】 角膜組織又は結膜組織の疾患が、角膜
    組織又は結膜組織の病理組織学的変化をきたすものであ
    る請求項19に記載の方法。
  21. 【請求項21】 角膜組織又は結膜組織の疾患が、角結
    膜の欠損によるものである請求項19又は20に記載の
    方法。
  22. 【請求項22】 ジンセノサイド類が、ジンセノサイド
    Rbである請求項19〜21のいずれかに記載の方
    法。
  23. 【請求項23】 請求項19〜22に記載の方法により
    探索された物質を含有してなる角膜組織又は結膜組織の
    疾患に対する予防・処置又は治療のための医薬組成物。
  24. 【請求項24】 角膜又は結膜の疾患に対する予防・処
    置又は治療のための有効成分を探索するためのリード化
    合物としてのジンセノサイド類又はその代謝産物の使
    用。
  25. 【請求項25】 病理組織学的変化をきたした眼球組織
    の再生促進剤又は再構築促進剤を探索するためのリード
    化合物としてのジンセノサイド類又はその代謝産物の使
    用。
  26. 【請求項26】 病理組織学的変化をきたした眼球組織
    が、角膜である請求項25に記載の使用。
  27. 【請求項27】 角膜組織又は結膜組織の病理組織学的
    変化をきたす器質的疾患の予防・処置又は治療用の医薬
    組成物又は角結膜外用組成物を製造するためのジンセノ
    サイド類又はジンセノサイド類誘導体もしくはそれらの
    代謝産物又はそれらの塩の使用。
  28. 【請求項28】 ジンセノサイド類又はジンセノサイド
    類誘導体が、ジンセノサイドRb1又はジヒドロジンセ
    ノサイドRb1である請求項24〜27のいずれかに記
    載の使用。
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