JP2004059482A - 組織再生促進剤 - Google Patents
組織再生促進剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004059482A JP2004059482A JP2002219171A JP2002219171A JP2004059482A JP 2004059482 A JP2004059482 A JP 2004059482A JP 2002219171 A JP2002219171 A JP 2002219171A JP 2002219171 A JP2002219171 A JP 2002219171A JP 2004059482 A JP2004059482 A JP 2004059482A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- skin
- cells
- external preparation
- tissue
- extract
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Cosmetics (AREA)
- Medicines Containing Plant Substances (AREA)
Abstract
【課題】皮膚又は粘膜の損傷や欠損即ち創傷、熱傷、凍傷、放射線障害、紫外線照射、電撃傷、外傷、潰瘍、褥創、ならびに皮膚又は粘膜の病理組織学的変化をきたす器質的疾患等により皮膚組織若しくは粘膜組織が変性脱落若しくは形態学的に変化した後に皮膚局所外用塗布でき、且つ優れた組織再生・再構築促進作用、創傷治癒促進作用を示す薬剤及び皮膚外用剤の提供。
【解決手段】ツボクサエキスを10−15重量%以上、0.001重量%未満含んで成ることを特徴とする、皮膚又は粘膜の病理組織学的変化をきたす器質的疾患の予防・処置又は治療用の薬剤、並びに、皮膚又は粘膜の疾患若しくは老化による症状を予防・処置又は改善するための皮膚外用剤又は粘膜外用剤。
【選択図】 なし
【解決手段】ツボクサエキスを10−15重量%以上、0.001重量%未満含んで成ることを特徴とする、皮膚又は粘膜の病理組織学的変化をきたす器質的疾患の予防・処置又は治療用の薬剤、並びに、皮膚又は粘膜の疾患若しくは老化による症状を予防・処置又は改善するための皮膚外用剤又は粘膜外用剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低濃度のツボクサ(Centella asiatica)のエキスを含有してなる皮膚又は粘膜の病理組織学的変化をきたす器質的疾患、より詳細には皮膚組織又は粘膜組織の創傷、特には熱傷による疾患、更に詳細には皮膚組織又は粘膜組織の再生又は再構築の促進、又は創傷治癒の促進のための薬剤に関する。また、本発明は、皮膚組織再生・再構築促進剤、創傷治癒促進剤として有用なツボクサエキスにも関する。なお、本発明に係るツボクサエキスには、ほぼ同種の連銭草エキス、積雪草エキス等も包含される。
更に、本発明は、低濃度のツボクサエキスを含有してなる、皮膚若しくは粘膜の疾患又は老化による症状の予防、処置、改善に有用な化粧品類、ケミカルピーリング剤、フィジカルピーリング剤、発毛・育毛剤などの皮膚外用剤にも関する。
【0002】
【従来の技術】
皮膚や粘膜の損傷や欠損、即ち創傷、咬傷、熱傷、凍傷、放射線障害、紫外線照射、電撃傷、外傷、皮膚潰瘍、褥創、ならびに水疱性皮膚疾患等は、すべて皮膚組織構成細胞や粘膜組織構成細胞の変性脱落、壊死、アポトーシス若しくはアポトーシス様細胞死をもたらすことが知られているが、これら皮膚組織や粘膜組織の機械的・物理的損傷や欠損による疾患を予防若しくは治療するための有効な方法として、変性脱落した皮膚組織ならびに粘膜組織及びそれらの構成細胞を速やかに再生及び/又は再構築せしめ、創傷治癒を促進する薬剤の投与が考えられる。
皮膚組織を例にとって組織の再生及び/又は再構築について以下に略記する。一般に熱傷や開放創などの創傷によって皮膚組織の一部が脱落若しくは欠損すると、脱落組織周辺に生存している表皮細胞が分裂・増殖して欠損部に移動してくるが、本明細書ではこの現象を狭義に表皮細胞若しくは表皮組織の再生と定義する。その後、欠損部に移動するか移動中の再生表皮細胞は互いに接着し始めて分裂・増殖を中止し、表皮組織を再び形成するようにる。この現象を本明細書では表皮細胞若しくは表皮組織(表皮)の再構築と定義することとする。このようにして表皮細胞若しくは表皮組織の再生及び/又は再構築が起きる生命現象を一般に上皮化又は表皮化という。ちなみに、表皮組織に含まれる表皮細胞の多くは表皮角化細胞(表皮ケラチノサイト)若しくは角質細胞であるが、その他数は少ないものの表皮角化細胞若しくは角質細胞にまじって、メラノサイト(メラニン色素を産生する細胞)、メルケル細胞(皮膚感覚に関わる細胞)、ランゲルハンス細胞(皮膚免疫とくにリンパ球への抗原提示に関わる細胞)、幹細胞(すべての細胞種に分化できる細胞)、表皮細胞から分化する汗腺の細胞、表皮細胞から分化する皮脂腺の細胞、表皮細胞から分化する毛包の細胞、等がありこれらの細胞種もやはり皮膚組織が損傷を受けたときや皮膚疾患の際に、上皮化又は表皮化と相呼応して分裂・増殖・接着・分化という複雑な過程を経て、表皮組織(若しくは表皮ともいう)の中に組みこまれるか、表皮組織と連絡を保ちながら皮膚の深部(真皮や皮下組織)へ移動したのちに皮膚附属器(汗腺、皮脂腺、毛包等)を形成するのである。即ち、皮膚組織が再生・再構築するためには、メラノサイト、メルケル細胞、ランゲルハンス細胞、幹細胞、汗腺若しくは汗腺の細胞、皮脂腺若しくは皮脂腺の細胞、毛包若しくは毛包の細胞等すべての表皮由来の細胞や皮膚付属器が再生及び/又は再構築しなければならないのである。一方、真皮や皮下組織の再生・再構築現象においてもっとも中心的な役割を果たすのが、線維芽細胞と血管である。線維芽細胞も表皮細胞と同様に分裂・増殖・移動・分化という過程を経て、膠原線維(コラーゲン線維)、弾性線維、細網線維、各種細胞外基質成分を産生分泌(再生)せしめ、しかもこれらの分泌成分が真皮や皮下組織において健常組織に近い状態にまで規則正しく整然と再構築されなければ、即ち線維芽細胞、膠原線維(コラーゲン線維)、弾性線維、細網線維、各種細胞外基質成分のすべてが確実に速やかに再生及び/又は再構築しなければ皮膚組織の再生・再構築はうまくゆかないのである。言い換えれば皮膚の真皮や皮下組織の再生及び/又は再構築現象において、線維芽細胞が果たす役割は極めて重要であり、線維芽細胞の分裂・増殖・移動・分化を抑制するか若しくは線維芽細胞におけるコラーゲン線維・弾性線維・細網線維・各種細胞外基質の産生を抑制することは、皮膚組織の再生・再構築を円滑に進めるために避けなければならない。
【0003】
さて、血管の重要性については言うまでもなく、皮膚組織の再生・再構築が活発に行われているときには、皮膚の創傷によって断裂・破綻した血管(血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、血管の中膜や外膜の線維芽細胞を含む)の再生・新生が活発に起きなければならないが、皮膚組織の再生及び/又は再構築が完了すると、余分な血管は退縮して、必要な血管だけが残るという調節機構が働き、血管の再構築がなされなければならない。その他、皮膚の創傷や疾病の際には、創傷や病変を有する皮膚に分布していた末梢神経や神経受容器(メルケル小体、パチニー小体等)なども切断若しくは破壊されるが、これらの神経組織も同時に再生及び/又は再構築することが再生皮膚組織の機能維持という観点から重要である。従って、創傷等の皮膚の病理組織学的変化をきたす器質的疾患を円滑に予防、処置又は治療するためには、上記の皮膚組織の再生及び又は再構築が速やかに且つ順序立てて進まなければならない。
なお、一般に創傷の中には切開創、開放創、褥創、皮膚潰瘍、熱傷などが含まれるが、厳密にはこれらの疾患はその原因や病態が異なると考えられる。従って、例えば軽症の褥創又は開放創に効果を示す薬剤(医薬製剤)が、必ずしも重傷の熱傷に効果を示すとは限らないと言える。
【0004】
このように皮膚組織の再生・再構築という生命現象は、極めて複雑な生命現象が順を追って規律正しく進行しなければうまく行かないのであるが、この生命現象に関わる分子群として、EGF、TGF−β1、TGF−α、FGF、VEGF、PDGF−BB、TGF−β1、PDGF−AB、IGF、KGF、PDGF、TGF−β2、TGF−β3、FGF−2、U−PA、t−PA、インテグリン、接着因子等が挙げられる(Singer, A.J. and Clark, R.A.F. New Engl. J. Med., 341, 738−746, 1999)。その他、皮膚組織損傷時に血管外へ漏れた、血球成分や血漿成分なども重要なはたらきをすると言われている。
従って、前述したごとく皮膚組織の再生・再構築という生命現象は、極めて複雑なものでありそれに関わる細胞種、血管、神経、分子群は計り知れない。このように複雑な生命現象をすべて制御・調節し、組織の再生・再構築を速やかに且つ確実に促進せしめる薬剤(医薬製剤)の開発が待ち望まれている。加えて、皮膚や粘膜の疾患や老化による症状(皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、ふけ、脱毛、白髪、かゆみ、かさつき、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、あかぎれ、しみ、しわ、そばかす、再生不良、色素沈着、乾燥等若しくは粘膜の萎縮、再生不良、剥離、上皮剥離、かゆみ、ひびわれ、乾燥等)を予防、改善、処置するための安全且つ優れた皮膚外用剤又は粘膜外用剤も必要である。
【0005】
一方、α−アミリン系トリテルペンを含むツボクサ(Centella asiatica)のエキスは、その含有量が組成物全体の0.001重量%〜10重量%好ましくは0.01重量%〜1重量%の濃度であるときに皮膚に外用投与すれば、皮膚に対して好ましい効果を発揮することが知られているが、その効果は他の天然物エキスの効果と比較しても決して優れたものであるとは言い難い。また、WO01/19365号公報に記載のごとく、0.5重量%〜1.5重量%の濃度の titrated extract of Centella asiatica を有効成分として単独で含有する薬剤(医薬製剤)はヒトの軽症の開放創に対しても、ほんのわずかの効果しか示さない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、皮膚又は粘膜の損傷や欠損即ち創傷、熱傷、凍傷、放射線障害、紫外線照射、電撃傷、外傷、潰瘍、褥創、ならびに皮膚又は粘膜の病理組織学的変化をきたす器質的疾患等により皮膚組織若しくは粘膜組織が変性脱落若しくは形態学的に変化した後に皮膚局所外用塗布でき、且つ優れた組織再生・再構築促進作用、創傷治癒促進作用を示す薬剤を提供することにある。より詳細には、本発明は、低用量・低濃度のツボクサエキスを含有してなる、皮膚又は粘膜の病理組織学的変化をきたす器質的疾患の予防・処置又は治療用の薬剤、皮膚若しくは粘膜の疾患又は老化による症状を予防、処置又は改善するための化粧品類、発毛・育毛剤、ケミカルピーリング剤又はフィジカルピーリング剤などの皮膚外用剤、若しくは粘膜外用剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ツボクサエキスを10−15重量%以上、0.001重量%未満含んで成ることを特徴とする、皮膚又は粘膜の病理組織学的変化をきたす器質的疾患の予防・処置又は治療用の薬剤に関する。なお、本発明の薬剤は、上記の如き低濃度のツボクサエキスと薬学上許容される基剤又は担体を含んで成る医薬組成物をも包含するものである。
【0008】
また、本発明は、ツボクサエキスを、10−15重量%以上、0.001重量%未満含んで成ることを特徴とする、皮膚又は粘膜の疾患若しくは老化による症状を予防・処置又は改善するための皮膚外用剤又は粘膜外用剤に関する。なお、本発明の皮膚外用剤または粘膜外用剤は、上記の如き低濃度のツボクサエキスと基剤(担体)を含んで成る皮膚外用組成物又は粘膜外用組成物をも包含するものである。
【0009】
更に、本発明は、ツボクサエキスを10−15重量%以上で、0.001重量%未満含有してなる皮膚組織再生・再構築促進剤に関する。
【0010】
更にまた、本発明は、ツボクサエキスを10−15重量%以上で、0.001重量%未満含有してなる創傷治癒促進剤に関する。
【0011】
即ち、本発明者らは、ツボクサエキスについて鋭意研究の途上、思いもかけず、ツボクサエキスが薬剤全量中における濃度が10−15重量%以上、0.001重量%未満の低濃度で極めて優れた熱傷治療効果を発揮することを見出し、本発明を完成した。
より詳細には、薬剤全量中における濃度が10−15重量%以上、0.001重量%未満のツボクサエキスを含有してなる薬剤、例えば、皮膚外用製剤又は粘膜外用製剤の投与により、皮膚又は粘膜の表皮、上皮、真皮、真皮の乳頭、皮下組織、結合組織、粘膜固有層、汗腺、粘膜筋板、脂腺、唾液腺、漿液腺、粘液腺、混合腺、毛包、毛乳頭、筋組織、血管、末梢神経、表皮細胞、表皮角化細胞、角質細胞、メルケル細胞、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、幹細胞、腺細胞、筋上皮細胞、筋細胞、間葉系細胞、線維芽細胞、汗腺の細胞、毛包の細胞、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞等がすべて再生及び/又は再構築し、細胞外基質、コラーゲン線維、弾性線維、細網線維なども健常組織に近い状態まで再生及び/又は再構築することが判明した。即ち、皮膚又は粘膜組織の損傷や欠損による疾患若しくは皮膚又は粘膜の病理組織学的変化をきたす器質的疾患(創傷、熱傷、放射線障害、凍傷、紫外線障害、電撃症、外傷、皮膚潰瘍、褥創、接触性皮膚炎、水疱性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾皮症、糖尿病性皮膚潰瘍、自家感作性皮膚炎、紅皮症、剥脱性皮膚炎、表皮水疱症、光線過敏症、慢性色素性紫斑(シャンバーグ病)、ストロフルス、虫刺され、痒疹、多形滲出性紅斑、環状紅斑、結節性紅斑、天疱瘡、類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、掌蹠膿疱症、乾癬、扁平苔癬、魚鱗癬、毛孔性苔癬、黄色腫症、皮膚アミロイドーシス、単純疱疹、ウイルス性いぼ、伝染性軟属腫、膿皮症、皮膚結核、皮膚非定型抗酸菌症、白癬、皮膚・口腔カンジダ症、疥癬、毛虱症、梅毒、ケロイド、肥厚性瘢痕、血管腫、リンパ腫、母斑、尋常性白斑、雀卵斑、肝斑、黒皮症、汗疱、あせも、にきび、酒査皮(しゅさ)、酒査皮(しゅさ)様皮膚炎、口腔粘膜損傷、口内炎、口囲皮膚炎、皮膚の老化症状、脱毛症、爪囲炎、嵌入爪、消化管粘膜びらん、消化性潰瘍、角膜びらん、角膜潰瘍、う蝕、歯髄炎、辺縁性歯周組織炎、口内炎、アレルギー性鼻炎、花粉症、春季カタル、痔疾、消化管粘膜創傷、消化管粘膜熱傷、気管支喘息、舌炎、再発性アフタ、口腔内アフタ、口臭、口腔異常感症、歯性感染症、口腔粘膜咬傷、舌の咬傷、口腔粘膜熱傷、口腔粘膜損傷、口腔粘膜潰瘍等)の予防、処置又は治療に対して、低用量・低濃度のツボクサエキスを含んで成る薬剤は皮膚又は粘膜組織の再生及び/又は再構築促進作用を介して効果・効能を発揮することが見出された。
本発明の予防・処置又は治療用の薬剤の好ましい投与形態としては、粘膜外用製剤又は皮膚外用製剤が挙げられるが、吸入製剤、噴霧剤などの皮膚又は粘膜に外用投与できる剤形であれば特に制限はない。
【0012】
また、本発明者らは、前記した皮膚又は粘膜組織の再生及び/又は再構築促進作用を介して、少なくともツボクサエキスを外用剤全量中における濃度が10−15重量%以上、0.001重量%未満含有してなる皮膚外用剤又は粘膜外用剤が優れた効果を有することをも見出した。より詳細には、低用量・低濃度のツボクサエキスを含有してなる化粧品類、発毛・育毛剤又は粘膜外用剤は、皮膚若しくは粘膜の疾患又は老化による症状(皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、ふけ、脱毛、かゆみ、かさつき、白髪、亀裂、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、あかぎれ、しみ、しわ、そばかす、日焼け、色素沈着若しくは乾燥又は粘膜の萎縮、剥離、上皮剥離、再生不良、ひびわれ、かゆみ、若しくは乾燥)の予防、処置又は改善に有用であると考えられる。更に、低用量・低濃度のツボクサエキスと適当な基剤(担体)を含んで成る組成物はケミカルピーリング剤組成物又はフィジカルピーリング剤組成物として、ケミカルピーリング又はフィジカルピーリングの前、中又は後に、好ましくは皮膚のピーリング後に皮膚に外用投与することにより、優れた皮膚組織再生・再構築促進作用を示すものと考えられる。
本発明の皮膚外用剤又は粘膜外用剤は、化粧品類、ケミカルピーリング剤、フィジカルピーリング剤又は発毛・育毛剤等として皮膚組織又は粘膜組織に直接的又は間接的に適用される。
【0013】
本発明に係る皮膚又は粘膜組織としては、人、脊椎動物などの生体の外部の組織、眼球粘膜、鼻粘膜、口腔粘膜、気道粘膜、食道粘膜、消化管粘膜、直腸粘膜、尿道粘膜、膀胱粘膜、膣粘膜、子宮粘膜、肛門などが挙げられ、これらの組織は生体内に存在する状態が好ましいが、臓器移植用などのように生体外にある状態であってもよい。
また、本発明に係る皮膚又は粘膜組織の病理組織学的変化としては、前記した組織における正常な組織が病理組織学的に変化した状態であり、例えば、損傷、創傷、外傷、熱傷若しくは欠損などが挙げられ、これらの病理組織学的変化をきたす原因は特に制限されるものではなく、例えば、外部からの物理的な力によるもの、外科的処置及び手術における切断又は縫合、水疱性病変や消化性潰瘍病変などの病的なものなどの何れの原因による変化であってもよい。
【0014】
本発明に係る低濃度のツボクサエキスを含んでなる予防・処置又は治療用の薬剤は、皮膚又は粘膜の病理組織学的変化をきたす器質的疾患の予防・処置又は治療に使用され、病理組織学的変化をきたした皮膚又は粘膜の細胞又は組織の再生及び/又は再構築を促進させることを特徴とするものである。従って、本発明の予防・処置又は治療用の薬剤の特徴は、病理組織学的変化をきたした皮膚・粘膜組織又はその細胞の再生及び/又は再構築により、熱傷、創傷などの前記した器質的疾患の治癒を促進するものである。
また、本発明に係る低濃度・低用量のツボクサエキスを含んでなる化粧品類又は発毛・育毛剤などの皮膚外用剤は、皮膚若しくは粘膜の疾患又は老化による症状(皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、ふけ、脱毛、かゆみ、かさつき、白髪、亀裂、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、あかぎれ、しみ、しわ、そばかす、日焼け、色素沈着若しくは乾燥又は粘膜の萎縮、剥離、上皮剥離、再生不良、ひびわれ、かゆみ、若しくは乾燥)を予防、処置又は改善する。前述のごとく、本発明の皮膚外用剤は、ケミカルピーリング又はフィジカルピーリングのための薬剤として、好ましくは皮膚のピーリング後のスキンケアにも利用される。
【0015】
本発明の皮膚・粘膜疾患の予防・処置又は治療用の薬剤、皮膚外用剤又は粘膜外用剤は、ツボクサエキスの含有量が、薬剤全体又は外用剤全体の0.001重量%未満、より詳細には0.0001重量%以下又は未満、0.00001重量%以下又は未満、0.000001重量%以下又は未満、0.0000001重量%以下又は未満、又は0.00000001重量%以下又は未満という極めて低用量・低濃度での使用が好ましいことを特徴とするものである。本発明の予防・処置又は治療用の薬剤、皮膚外用剤又は粘膜外用剤の濃度の下限は組成物全体の10−15重量%程度と考えられる。なお、本発明において、ツボクサエキスを皮膚外用剤又は粘膜外用剤として使用するときの濃度は、副作用出現の可能性をできるかぎり低くするため、同エキスを予防・処置又は治療用の薬剤として利用するときの濃度の10分の1から100000分の1に設定することが好ましい。
なお、本発明に係るツボクサエキスには、ほぼ同種の連銭草エキス、積雪草エキス等も含まれる。。
【0016】
次に本発明の低用量・低濃度のツボクサエキスの創傷治癒促進作用又は皮膚又は粘膜組織の再生・再構築促進作用について具体例に基づいて詳細に説明する。このため、マウスの熱傷モデルに対するツボクサエキスの皮膚外用投与実験の結果に基づいて説明する。
まず、本発明者らはツボクサ、連銭草又は積雪草100gをエチルアルコールなどのアルコール類100mlに浸漬することによりツボクサエキス、連銭草エキス又は積雪草エキスを調製した。本発明ではこれらのエキスを総称して、ツボクサエキスと呼ぶこととする。その後、同エキスを眼科用白色ワセリン(プロペト)に添加することにより、0.0002重量%及び0.0005重量%のツボクサエキスを含有するプロペト(皮膚外用製剤)を作製した。
体重25g程度のBALB/cマウスの背部に麻酔下で一定サイズの熱傷病変を作ったのちに、同動物の熱傷部にプロペトのみ、0.0002重量%のツボクサエキスを含有するプロペト、又は0.0005重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを1日当たり0.1gの量で連続19日間外用投与した。なお、連日熱傷部の創傷面積を測定した。結果を図1に示す。図1は、熱傷面積の時間経過を示すグラフである。図1の白丸印は、プロペトのみを外用投与したコントロール例であり、黒四角印は0.0002重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを外用投与した例であり、白三角印は0.0005重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを外用投与した例である。
【0017】
図1に示すごとく、熱傷後プロペトのみを外用投与した例では、熱傷後8日目に至るまで創傷面積が著しく拡大し、その後少しずつ創傷面積が縮小し始めるものの、熱傷後、19日目においてもなお創傷面積は、熱傷直後の創傷面積と近似していた。通常の鋭利なメスによる切開創や開放創では、このように顕著な創傷面積の拡大は見られないので、本熱傷モデルは公知の鋭利なメスによる切開創や開放創モデルよりも重篤なものであると言える。一方、0.0002重量%又は0.0005重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを外用投与すると、明らかに熱傷による創傷面積の拡大が抑止され、熱傷の治癒及び/又は皮膚組織の再生・再構築が促進された。このことは、低濃度のツボクサエキスを含有する皮膚外用製剤が思いもかけず優れた熱傷治療薬となることを示している。
本発明者らの知る限り、このように低濃度・低用量のツボクサエキスを含有してなる薬剤の優れた熱傷治療効果は、これまでの高濃度・高用量のツボクサエキスを用いた研究では報告されていない。
【0018】
次に熱傷後19日目にマウスを麻酔により安楽死せしめ、熱傷部を写真撮影した。結果を図2に示す。図2の左側の写真が熱傷後プロペトのみを外用投与した例であり(0%と表示)、図2の真中の写真が0.0002重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを外用投与した例であり、図2の右側の写真が0.0005重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを外用投与した例である。図2に示すごとく、低濃度のツボクサエキスを含んでなる薬剤を皮膚の熱傷部に外用投与することにより、明らかに皮膚組織の再生及び/又は再構築が促進され、更に熱傷部の発毛、育毛、上皮化又は表皮化も促進された。その結果、低用量・低濃度のツボクサエキスを含有するプロペトの皮膚外用投与により熱傷部の創傷治癒も顕著に促進された。
【0019】
このように、熱傷によってひとたび欠損した皮膚組織が低用量・低濃度のツボクサエキスを含んでなる薬剤の皮膚外用投与により速やかに且つ正常に近い状態にまで再生及び/又は再構築し、熱傷が治癒するという本実験結果は、低用量・低濃度のツボクサエキスを含んでなる薬剤が皮膚欠損部周辺の表皮細胞、表皮角化細胞、上皮細胞、角質細胞、メルケル細胞、ランゲルハンス細胞、メラノサイト、幹細胞、皮脂腺の細胞、汗腺の細胞、平滑筋細胞、筋細胞、脂肪細胞、線維芽細胞、間葉系細胞、血管内皮細胞、立毛筋の細胞、又は血管平滑筋細胞の分裂、増殖、移動、分化、ならびに表皮細胞の毛包、汗腺、皮脂腺細胞への分化を促進することをも明らかにしている。しかも前述の各種細胞、末梢神経、血管が低用量・低濃度のツボクサエキスを含んでなる薬剤の外用投与により有機的に系統立てて再生及び/又は再構築した結果、正常皮膚組織に近い状態にまで皮膚の熱傷病変が速やかに回復するということが判明したことになる。即ち、低用量・低濃度のツボクサエキスを含有してなる薬剤の皮膚外用投与により、皮膚欠損部に新たに再生した表皮細胞、線維芽細胞、血管又は末梢神経が正常の皮膚組織に類似した態様で配列し、表皮、真皮、真皮の乳頭、皮下組織、結合組織、汗腺、脂腺、毛乳頭、毛包、立毛筋、血管、末梢神経、細胞外基質、膠原線維、弾性線維、又は細網線維なども正常皮膚組織に近い状態にまで再生・再構築されると言える。従って低用量・低濃度のツボクサエキスが単独で皮膚組織の再生・再構築若しくは熱傷治癒をかくもあざやかに成しとげるということは、皮膚組織の創傷治癒若しくは再生・再構築にかかわるサイトカイン類(EGF、TGF−β1、TGF−α、FGF、VEGF、PDGF−BB、TGF−β1、PDGF−AB、IGF、KGF、PDGF、TGF−β2、TGF−β3、FGF−2、U−PA、t−PA等)の産生や血球成分・血漿成分の機能なども低用量・低濃度のツボクサエキスにより調節されていることを物語っている。即ち、Singer,A.J.とClark,R.A.Fの総説(New Engl. J. Med., 341, 738−746, 1999)に記述されたごとく、創傷治癒若しくは組織再生・再構築にかかわる複雑な生命現象を、低用量・低濃度のツボクサエキスを含有してなる薬剤の皮膚外用投与が単独ですべて成しとげたといえる。
【0020】
また、一般に口腔粘膜や鼻粘膜などの粘膜も皮膚組織と類似した組織又は細胞から構成されているので、低用量・低濃度のツボクサエキスの外用投与が皮膚組織の再生及び/又は再構築を促進せしめるという本実験結果は、低用量・低濃度のツボクサエキスを含有してなる薬剤の粘膜外用投与が粘膜の再生及び/又は再構築をも促進することを物語っている。より詳細には、粘膜の熱傷などの病理組織学的変化をきたす器質的疾患に対して、低用量・低濃度のツボクサエキスを含んで成る薬剤の外用投与は、粘膜の上皮細胞、幹細胞、間葉系細胞、線維芽細胞、唾液腺の細胞、筋上皮細胞、平滑筋細胞、粘液腺の細胞、漿液腺の細胞、混合腺の細胞、筋細胞、血管内皮細胞、脂肪細胞、膠原線維、弾性線維、細網線維又は細胞外基質の再生及び/又は再構築を促進すると考えられる。その結果、粘膜の上皮、粘膜固有層、筋組織、粘膜下層、粘膜筋板、唾液腺、混合腺、粘液腺、漿液腺、血管若しくは末梢神経が低用量・低濃度のツボクサエキスの外用投与により再生及び/又は再構築し、粘膜熱傷などの病理組織学的変化をきたす器質的疾患が治療される。
【0021】
低濃度・低用量のツボクサエキスを含有してなる薬剤の適応が期待される粘膜の病理組織学的変化をきたす疾患や病態としては、う蝕、歯髄炎、辺縁性歯周組織炎、口内炎、舌炎、再発性アフタ、口腔内アフタ、口臭、口腔異常感症、歯性感染症、口腔粘膜咬傷、舌の咬傷、口腔粘膜熱傷、舌の熱傷、口腔粘膜損傷、歯肉炎、歯槽膿漏、カタール性口内炎、壊疽性口内炎、ワンサン口内炎、アフタ性口内炎、急性疱疹性歯肉口内炎、ヘルパンギーナ、帯状疱疹、口腔粘膜びらん、口腔粘膜潰瘍、褥瘡性潰瘍、放射線性口内炎、天疱瘡、口腔カンジダ症、扁平苔癖、Riga−Fede癖、平滑舌、赤平舌、角膜びらん、角膜潰瘍、ドライアイ、シェーグレン症候群、消化管粘膜びらん、消化性潰瘍、角膜びらん、角膜潰瘍、アレルギー性鼻炎、花粉症、春季カタル、痔疾、気管支喘息、膣粘膜びらん、消化管粘膜熱傷、消化管粘膜創傷等が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
【0022】
なお、低用量・低濃度のツボクサエキスを含んでなる薬剤の適応が期待される皮膚の病理組織学的変化をきたす器質的疾患又は病態としては、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。即ち、創傷、熱傷、放射線障害、凍傷、紫外線障害、電撃症、外傷、皮膚潰瘍、褥創、接触性皮膚炎、水疱性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾皮症、糖尿病性皮膚潰瘍、自家感作性皮膚炎、紅皮症、剥脱性皮膚炎、表皮水疱症、光線過敏症、慢性色素性紫斑(シャンバーグ病)、ストロフルス、虫刺され、痒疹、多形滲出性紅斑、環状紅斑、結節性紅斑、天疱瘡、類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、掌蹠膿疱症、乾癬、扁平苔癬、魚鱗癬、毛孔性苔癬、黄色腫症、皮膚アミロイドーシス、単純疱疹、ウイルス性いぼ、伝染性軟属腫、膿皮症、皮膚結核、皮膚非定型抗酸菌症、白癬、皮膚・口腔カンジダ症、疥癬、毛虱症、梅毒、ケロイド、肥厚性瘢痕、血管腫、リンパ腫、母斑、尋常性白斑、雀卵斑、肝斑、黒皮症、汗疱、あせも、にきび、酒査皮(しゅさ)、酒査皮(しゅさ)様皮膚炎、口腔粘膜損傷、口内炎、口囲皮膚炎、皮膚の老化症状、脱毛症、爪囲炎、嵌入爪等である。
また、熱傷モデルマウスを用いた前記実験において、低用量・低濃度のツボクサエキスを含んでなる薬剤の外用投与により明らかな発毛が観察されたので、低用量・低濃度のツボクサエキスと適当なその基剤(担体)を含んで成る組成物は、発毛・育毛剤用組成物としても利用できると言える。従って、低用量・低濃度のツボクサエキスは発毛・育毛剤に添加することにより、円形脱毛症、男性型脱毛症、び慢性脱毛症の予防、処置又は治療にも有用とされる。なお、低用量・低濃度のツボクサエキスを含有してなる本発明の薬剤に他の任意の医薬組成物(たとえば、ブドウ糖、抗生物質、ビタミンE、ビタミンE誘導体、ビタミンD、ビタミンD誘導体、はちみつ、ビタミン類、抗ウイルス剤、免疫抑制用組成物、ステロイド、薬用人蔘成分、抗アレルギー剤、天然物成分等)を添加してもよい。低濃度のツボクサエキスを含有してなる本発明の薬剤の基剤又は薬学上許容される担体としては、軟こう基剤、配合剤、クリーム基剤、水溶性基剤、噴霧・吸入用基剤等公知のものが何れも挙げられる。
【0023】
前述のごとく、低濃度・低用量のツボクサエキスを含有してなる薬剤の皮膚外用塗布が、皮膚の表皮組織、真皮の結合組織、真皮の乳頭、皮下組織、血管、立毛筋、皮脂腺、汗腺、毛乳頭、毛包等の再生・再構築を促進するという事実は、当然のことながらツボクサエキスを含有してなる薬剤の皮膚外用塗布が、表皮細胞、表皮角化細胞、メルケル細胞、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、角質細胞、真皮ならびに皮下組織の線維芽細胞、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、皮脂腺の細胞、脂肪細胞、汗腺の細胞、毛包の細胞、立毛筋の細胞、間葉系細胞、皮膚の幹細胞等の再生及び/又は再構築をも促すことを明らかにしている。即ち、低用量・低濃度のツボクサエキスは皮膚組織を構成するあらゆる細胞やその分泌成分の再生及び/又は再構築を促進すると考えられる。一方、皮膚の疾患又は老化による症状(皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、ふけ、脱毛、かゆみ、かさつき、白髪、亀裂、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、あかぎれ、しみ、しわ、そばかす、色素沈着、日焼け、再生不良、乾燥等)は、皮膚組織を構成する前記細胞が、皮膚疾患、紫外線障害若しくは生体の老化に伴い徐々に死滅若しくは機能不全に陥り、もとの健常な状態に再生できなくなるために、生じるものと考えられる。例えば、皮膚疾患、加齢若しくは老化に伴う皮膚のかさつき、乾燥、脱毛、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、あかぎれ、皮脂欠乏、かゆみなどは皮膚の汗腺、毛包、ならびに脂腺の細胞が、機能障害に陥るか死滅したままで再生しないために、生じると考えられる。また、日焼け、色素沈着、しみ、そばかす等は、日光や紫外線に照射された皮膚の細胞が死に至っても、元通りに細胞が再生しなくなるために起こると考えられる。更に皮膚疾患若しくは老化に伴う、皮膚のしわ、たるみ、萎縮などは、真皮や皮下組織の線維芽細胞若しくは間葉系細胞が、疾患又は老化により機能不全に陥るか数が減少したために、真皮や皮下組織で充分な膠原線維、弾性線維、細網線維、細胞外基質を保持できなくなった結果、生じると言える。一方、メラノサイトやランゲルハンス細胞の機能障害により白髪や易感染性が生じると考えられる。
【0024】
本発明に係る低濃度・低用量のツボクサエキスは、皮膚組織を構成するすべての細胞やその再生・再構築を促進することができるので、これを化粧品類又は発毛・育毛剤などの皮膚外用剤として、或いはこれに適当な基剤(担体)等を組合わせて皮膚外用剤組成物として使用すれば、皮膚の疾患若しくは老化に伴う皮膚の構成細胞の減少(細胞死)、機能障害に帰因する諸症状(皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、ふけ、脱毛、かゆみ、かさつき、白髪、亀裂、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、あかぎれ、しみ、しわ、そばかす、色素沈着、日焼け、再生不良、乾燥等)を予防、処置、軽減若しくは改善することができる。
同様に、低濃度・低用量のツボクサエキスを含んでなる粘膜外用剤(或いは粘膜外用剤組成物)の粘膜外用投与は、粘膜組織の再生及び/又は再構築促進作用を介して、粘膜の疾患又は老化による症状(粘膜の萎縮、剥離、上皮剥離、再生不良、かゆみ、又はひびわれ等)を予防、処置又は改善すると考えられる。従って、0.001重量%未満のツボクサエキスをあらゆる化粧品、発毛・育毛剤や健康薬品、健康食品、化粧水(スキンローション)、乳液(ミルクローション)、美容液、マッサージ剤、パップ剤、パック剤、乳剤、ファンデーション、ハンドクリーム、ゲル、ローション、エマルジョン、パウダー、ヘアーダイ、ヘアーマニキュア、コールドクリーム、アイシャドウ、クレンジングクリーム、洗顔フォーム、ナイトクリーム、美白クリーム、トローチ、のどあめ、おしろい、口紅、入浴剤、化粧石けん、健康飲料水、アイソトニックウォーター、水割用氷、シャーベット、アイスクリーム、アルコール飲料、洗眼薬、洗眼液、洗顔液、うがい薬、シャンプー、リンス、歯みがき粉、リップクリーム、下地クリーム(メイクアップベース)、UVリキッドファンデーション、パウダーファンデーション等に、要すれば、公知の化粧品類や、発毛・育毛剤又は健康薬品、健康食品と共に添加すれば、皮膚や粘膜の疾患又は老化による症状(萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、かさつき、再生不良、上皮剥離、粘膜剥離、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、あかぎれ、しみ、しわ、そばかす、白髪、ふけ、脱毛、色素沈着、日焼け、乾燥等)に対して優れた効果を発揮する。例えば、皮膚の疾患又は老化により皮膚の脂(即ち皮脂)が欠乏するだけでも、皮膚のかさつき、ひびわれ、あかぎれ、乾燥、かゆみ、角質細胞剥離等が生じるが、低濃度のツボクサエキスをあらゆる化粧品に混入して使用することにより、皮脂腺の再生及び/又は再構築が促進され前記の皮膚疾患又は老化による症状を予防、処置、改善若しくは軽減すると考えられる。
【0025】
また、低濃度のツボクサエキスを含有してなる任意の化粧品類は、表皮細胞(角質細胞)若しくは表皮角化細胞の再生を促進するので、角質細胞間脂質や天然保湿因子の産生や分泌も促進することにより、皮膚の乾燥やかさつきを抑止し、皮膚に自然な潤いをもたらす。
更に、例えば、ミネラルウォーターなどにツボクサエキスを低濃度で添加することにより、アルコール飲料や高温刺激物による口腔粘膜や消化管粘膜(特に食道粘膜)の障害を改善、予防、処置することができる。低濃度のツボクサエキスと適当な担体(基剤)を含んで成る組成物はケミカルピーリング剤組成物又はフィジカルピーリング剤組成物として、ケミカルピーリングの全過程(前、中又は後)で使用される試薬類又は投与剤(即ちケミカルピーリング剤又はフィジカルピーリング剤)のうち1種類若しくは2種類以上に添加して使用することができる。特に皮膚のピーリング後のスキンケアのために、低濃度のツボクサエキスを含有してなるケミカルピーリング剤(組成物)又はフィジカルピーリング剤(組成物)が有用である。もちろん、原因若しくは疾患が特定できずに皮膚又は粘膜に上記症状が出現したときにも、当該症状の予防、処置、改善のために低濃度のツボクサエキスを含有してなる皮膚外用剤(組成物)を使用できる。
【0026】
なお、本発明に係る低濃度ツボクサエキスを含んで成る薬剤(医薬製剤)、皮膚外用剤(化粧品類、発毛・育毛剤、フィジカルピーリング剤、ケミカルピーリング剤等)又は粘膜外用剤の基剤又は担体としては、パップ剤、リニメント剤、軟こう基剤、配合剤、クリーム基剤、水溶性基剤、ローション剤、噴霧・吸入用基剤、油脂類、ロウ類、ゲル状基剤、炭化水素類、脂肪酸類、低級アルコール類、高級アルコール類、多価アルコール類、エステル類、界面活性剤、水溶性高分子化合物等公知のものが挙げられる。もちろん、低濃度のツボクサエキスを含有してなる上記の薬剤、皮膚外用剤等には、これらの基剤、担体等の他にその他の有効成分、例えば、血行促進用組成物、局所刺激用組成物、毛包賦活用組成物、抗男性ホルモン、抗脂漏用組成物、角質溶解用組成物、抗生物質、生薬エキス、ビタミン類、アミノ酸、薬用人蔘エキス、ヒアルロン酸、パントテン酸、セファランチン等が必要に応じて1乃至2以上含まれていても良い。
【0027】
また、本発明の前記皮膚外用剤には、その他の皮膚細胞賦活剤、抗炎症剤、活性酸素消去剤、美白剤、保湿剤、紫外線吸収剤、防腐防黴剤、エモリエント剤、天然物エキス、レチノン酸等が必要に応じて1乃至2以上含まれていても良い。
もちろん、本発明の低濃度のツボクサエキスの代わりに、10−15重量%以上、0.1重量%以下又は未満、好ましくは0.01重量%以下又は未満、更に好ましくは0.001重量%以下又は未満の濃度で、titrated extract of Centella asiatica、asiaticoside、asiatic acid、madecassic acidの何れか1つ又は2つ以上を用いてもよい。なお、ツボクサエキスと基剤(担体)から成る組成物を発毛・育毛用組成物として使用するときは、発毛・育毛剤におけるツボクサエキスの濃度の上限を0.1重量%以下又は未満に設定してもよい。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0029】
実施例1(低濃度ツボクサエキスの皮膚外用投与による熱傷病変の経時変化)
まず、本発明者らはツボクサ(連銭草又は積雪草でも良い)100gをエチルアルコール100mlに浸漬することによりツボクサエキスを調製した。その後、同エキスを基剤(担体)である眼科用白色ワセリン(プロペト)に添加することにより、0.0002重量%及び0.0005重量%のツボクサエキスを含有するプロペト(即ち皮膚外用製剤)を作製した。
体重25g程度のBALB/cマウスの背部に麻酔下で一定サイズの熱傷病変を作ったのちに、同動物の熱傷部にプロペトのみ、0.0002重量%のツボクサエキスを含有するプロペト、又は0.0005重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを1日あたり0.1gの量で連続19日間外用投与した。なお、1日おきに熱傷部の創傷面積を測定した。結果を図1に示す。図1は、熱傷面積の時間経過を示すグラフである。図1の白丸印は、プロペトのみを外用投与したコントロール例であり、黒四角印は0.0002重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを外用投与した例であり、白三角印は0.0005重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを外用投与した例である。
【0030】
図1に示すごとく、熱傷後プロペトのみを外用投与した例では、熱傷後8日目に至るまで創傷面積が著しく拡大し、その後少しずつ創傷面積が縮小し始めるものの、熱傷後、19日目においてもなお創傷面積は、熱傷直後の創傷面積と近似していた。通常の鋭利なメスによる切開創や開放創では、このように顕著な創傷面積の拡大はみられないので、本熱傷モデルは公知の鋭利なメスによる切開創や開放創モデルよりも重篤なものであると言える。一方、0.0002重量%又は0.0005重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを外用投与すると、明らかに熱傷による創傷面積の拡大が抑止され、熱傷の治癒及び/又は皮膚組織の再生・再構築が促進された。即ち、低濃度のツボクサエキスを含有する皮膚外用製剤は、熱傷後19日目において熱傷面積を対照例の25%から5%程度にまで縮小せしめるという極めて優れた効果を示すことが確認された。
【0031】
実施例2(低濃度ツボクサエキスによる熱傷治療後の病変部外観像)
次に熱傷後19日目にマウスを麻酔により安楽死せしめ、熱傷部を写真撮影した。結果を図2に示す。図2の左側の写真が熱傷後プロペトのみを外用投与した例であり(0%と表示)、図2の真中の写真が0.0002重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを外用投与した例であり、図2の右側の写真が0.0005重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを外用投与した例である。図2に示すごとく、低濃度のツボクサエキスを含有してなる薬剤を皮膚の熱傷部に外用投与することにより、明らかに皮膚組織の再生及び/又は再構築が促進され、更に熱傷部の発毛、育毛、上皮化又は表皮化も促進された。その結果、低用量・低濃度のツボクサエキスを含有してなる薬剤の皮膚外用投与により熱傷部の創傷治癒も顕著に促進された。
【0032】
実施例3(低濃度ツボクサエキスを含有してなる化粧品類による紫外線障害又は
日焼けの予防、処置、改善)
0.001重量%未満の濃度でツボクサエキスを公知のゲル状基剤、液状基剤又は水溶性基剤に添加して、ゲル又はローションを調製した。
得られたゲル又はローションは、紫外線障害又は日焼けによる皮膚の炎症、かゆみ、発赤、水疱形成又は角層剥離の予防、処置又は改善に顕著な効果を示した。
なお、ゲル又はローションを作製する際に、ツボクサエキスのほかに、その他の公知の抗炎症剤、活性酸素消去剤、美白剤、保湿剤、紫外線吸収剤、エモリエント剤、薬用人蔘エキス、天然物エキス、ヒアルロン酸、セファランチン(cepharanthine )、オキシアカンチン(Oxyacanthine)、パントテン酸、ビタミンA、アスコルビン酸、レチノール酸、プロリン、グリシン、リジン、ビタミンAパルミテート、又はそれらの化学的誘導体のうち1つ以上を通常の濃度で低濃度のツボクサエキスとともに添加しても同様の効果が得られる。但し、ツボクサエキスと薬用人蔘エキスとを共に化粧品組成物などの皮膚外用組成物として使用するときは、皮膚外用剤(化粧品類、発毛育毛剤、ケミカルピーリング剤、フィジカルピーリング剤)における薬用人蔘エキスの濃度を10−20重量%以上、10−30重量%未満とすることが好ましい。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、低濃度ツボクサエキスを有効成分とする、極めて副作用の少ない薬剤(医薬製剤)、皮膚外用剤(化粧品類、発毛・育毛剤、ケミカルピーリング剤、フィジカルピーリング剤等)、粘膜外用剤等を提供するものであり、従来のものよりも低濃度のツボクサエキスを使用することにより、従来の高濃度のツボクサエキス若しくは高濃度のその成分(即ちtitrated extract of centella asiatica等)を用いた場合よりも優れた皮膚組織の再生及び/又は再構築促進作用が得られる。
即ち、低濃度・低用量のツボクサエキスを含有して成る前記薬剤、皮膚外用剤(化粧品類等)、粘膜外用剤等は、皮膚又は粘膜組織の再生・再構築促進作用を介して、皮膚又は粘膜の病理組織学的変化をきたす器質的疾患の予防、治療若しくは処置、並びに皮膚又は粘膜の疾患又は老化による症状の予防、処置又は改善に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、低濃度ツボクサエキスを含有してなる薬剤(医薬製剤)の皮膚外用投与による熱傷病変面積の経時変化を示すグラフである。
【図2】図2は、低濃度ツボクサエキスを含有してなる薬剤(医薬製剤)による熱傷治療後の病変部外観像を示す、図面に代わる写真である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、低濃度のツボクサ(Centella asiatica)のエキスを含有してなる皮膚又は粘膜の病理組織学的変化をきたす器質的疾患、より詳細には皮膚組織又は粘膜組織の創傷、特には熱傷による疾患、更に詳細には皮膚組織又は粘膜組織の再生又は再構築の促進、又は創傷治癒の促進のための薬剤に関する。また、本発明は、皮膚組織再生・再構築促進剤、創傷治癒促進剤として有用なツボクサエキスにも関する。なお、本発明に係るツボクサエキスには、ほぼ同種の連銭草エキス、積雪草エキス等も包含される。
更に、本発明は、低濃度のツボクサエキスを含有してなる、皮膚若しくは粘膜の疾患又は老化による症状の予防、処置、改善に有用な化粧品類、ケミカルピーリング剤、フィジカルピーリング剤、発毛・育毛剤などの皮膚外用剤にも関する。
【0002】
【従来の技術】
皮膚や粘膜の損傷や欠損、即ち創傷、咬傷、熱傷、凍傷、放射線障害、紫外線照射、電撃傷、外傷、皮膚潰瘍、褥創、ならびに水疱性皮膚疾患等は、すべて皮膚組織構成細胞や粘膜組織構成細胞の変性脱落、壊死、アポトーシス若しくはアポトーシス様細胞死をもたらすことが知られているが、これら皮膚組織や粘膜組織の機械的・物理的損傷や欠損による疾患を予防若しくは治療するための有効な方法として、変性脱落した皮膚組織ならびに粘膜組織及びそれらの構成細胞を速やかに再生及び/又は再構築せしめ、創傷治癒を促進する薬剤の投与が考えられる。
皮膚組織を例にとって組織の再生及び/又は再構築について以下に略記する。一般に熱傷や開放創などの創傷によって皮膚組織の一部が脱落若しくは欠損すると、脱落組織周辺に生存している表皮細胞が分裂・増殖して欠損部に移動してくるが、本明細書ではこの現象を狭義に表皮細胞若しくは表皮組織の再生と定義する。その後、欠損部に移動するか移動中の再生表皮細胞は互いに接着し始めて分裂・増殖を中止し、表皮組織を再び形成するようにる。この現象を本明細書では表皮細胞若しくは表皮組織(表皮)の再構築と定義することとする。このようにして表皮細胞若しくは表皮組織の再生及び/又は再構築が起きる生命現象を一般に上皮化又は表皮化という。ちなみに、表皮組織に含まれる表皮細胞の多くは表皮角化細胞(表皮ケラチノサイト)若しくは角質細胞であるが、その他数は少ないものの表皮角化細胞若しくは角質細胞にまじって、メラノサイト(メラニン色素を産生する細胞)、メルケル細胞(皮膚感覚に関わる細胞)、ランゲルハンス細胞(皮膚免疫とくにリンパ球への抗原提示に関わる細胞)、幹細胞(すべての細胞種に分化できる細胞)、表皮細胞から分化する汗腺の細胞、表皮細胞から分化する皮脂腺の細胞、表皮細胞から分化する毛包の細胞、等がありこれらの細胞種もやはり皮膚組織が損傷を受けたときや皮膚疾患の際に、上皮化又は表皮化と相呼応して分裂・増殖・接着・分化という複雑な過程を経て、表皮組織(若しくは表皮ともいう)の中に組みこまれるか、表皮組織と連絡を保ちながら皮膚の深部(真皮や皮下組織)へ移動したのちに皮膚附属器(汗腺、皮脂腺、毛包等)を形成するのである。即ち、皮膚組織が再生・再構築するためには、メラノサイト、メルケル細胞、ランゲルハンス細胞、幹細胞、汗腺若しくは汗腺の細胞、皮脂腺若しくは皮脂腺の細胞、毛包若しくは毛包の細胞等すべての表皮由来の細胞や皮膚付属器が再生及び/又は再構築しなければならないのである。一方、真皮や皮下組織の再生・再構築現象においてもっとも中心的な役割を果たすのが、線維芽細胞と血管である。線維芽細胞も表皮細胞と同様に分裂・増殖・移動・分化という過程を経て、膠原線維(コラーゲン線維)、弾性線維、細網線維、各種細胞外基質成分を産生分泌(再生)せしめ、しかもこれらの分泌成分が真皮や皮下組織において健常組織に近い状態にまで規則正しく整然と再構築されなければ、即ち線維芽細胞、膠原線維(コラーゲン線維)、弾性線維、細網線維、各種細胞外基質成分のすべてが確実に速やかに再生及び/又は再構築しなければ皮膚組織の再生・再構築はうまくゆかないのである。言い換えれば皮膚の真皮や皮下組織の再生及び/又は再構築現象において、線維芽細胞が果たす役割は極めて重要であり、線維芽細胞の分裂・増殖・移動・分化を抑制するか若しくは線維芽細胞におけるコラーゲン線維・弾性線維・細網線維・各種細胞外基質の産生を抑制することは、皮膚組織の再生・再構築を円滑に進めるために避けなければならない。
【0003】
さて、血管の重要性については言うまでもなく、皮膚組織の再生・再構築が活発に行われているときには、皮膚の創傷によって断裂・破綻した血管(血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、血管の中膜や外膜の線維芽細胞を含む)の再生・新生が活発に起きなければならないが、皮膚組織の再生及び/又は再構築が完了すると、余分な血管は退縮して、必要な血管だけが残るという調節機構が働き、血管の再構築がなされなければならない。その他、皮膚の創傷や疾病の際には、創傷や病変を有する皮膚に分布していた末梢神経や神経受容器(メルケル小体、パチニー小体等)なども切断若しくは破壊されるが、これらの神経組織も同時に再生及び/又は再構築することが再生皮膚組織の機能維持という観点から重要である。従って、創傷等の皮膚の病理組織学的変化をきたす器質的疾患を円滑に予防、処置又は治療するためには、上記の皮膚組織の再生及び又は再構築が速やかに且つ順序立てて進まなければならない。
なお、一般に創傷の中には切開創、開放創、褥創、皮膚潰瘍、熱傷などが含まれるが、厳密にはこれらの疾患はその原因や病態が異なると考えられる。従って、例えば軽症の褥創又は開放創に効果を示す薬剤(医薬製剤)が、必ずしも重傷の熱傷に効果を示すとは限らないと言える。
【0004】
このように皮膚組織の再生・再構築という生命現象は、極めて複雑な生命現象が順を追って規律正しく進行しなければうまく行かないのであるが、この生命現象に関わる分子群として、EGF、TGF−β1、TGF−α、FGF、VEGF、PDGF−BB、TGF−β1、PDGF−AB、IGF、KGF、PDGF、TGF−β2、TGF−β3、FGF−2、U−PA、t−PA、インテグリン、接着因子等が挙げられる(Singer, A.J. and Clark, R.A.F. New Engl. J. Med., 341, 738−746, 1999)。その他、皮膚組織損傷時に血管外へ漏れた、血球成分や血漿成分なども重要なはたらきをすると言われている。
従って、前述したごとく皮膚組織の再生・再構築という生命現象は、極めて複雑なものでありそれに関わる細胞種、血管、神経、分子群は計り知れない。このように複雑な生命現象をすべて制御・調節し、組織の再生・再構築を速やかに且つ確実に促進せしめる薬剤(医薬製剤)の開発が待ち望まれている。加えて、皮膚や粘膜の疾患や老化による症状(皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、ふけ、脱毛、白髪、かゆみ、かさつき、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、あかぎれ、しみ、しわ、そばかす、再生不良、色素沈着、乾燥等若しくは粘膜の萎縮、再生不良、剥離、上皮剥離、かゆみ、ひびわれ、乾燥等)を予防、改善、処置するための安全且つ優れた皮膚外用剤又は粘膜外用剤も必要である。
【0005】
一方、α−アミリン系トリテルペンを含むツボクサ(Centella asiatica)のエキスは、その含有量が組成物全体の0.001重量%〜10重量%好ましくは0.01重量%〜1重量%の濃度であるときに皮膚に外用投与すれば、皮膚に対して好ましい効果を発揮することが知られているが、その効果は他の天然物エキスの効果と比較しても決して優れたものであるとは言い難い。また、WO01/19365号公報に記載のごとく、0.5重量%〜1.5重量%の濃度の titrated extract of Centella asiatica を有効成分として単独で含有する薬剤(医薬製剤)はヒトの軽症の開放創に対しても、ほんのわずかの効果しか示さない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、皮膚又は粘膜の損傷や欠損即ち創傷、熱傷、凍傷、放射線障害、紫外線照射、電撃傷、外傷、潰瘍、褥創、ならびに皮膚又は粘膜の病理組織学的変化をきたす器質的疾患等により皮膚組織若しくは粘膜組織が変性脱落若しくは形態学的に変化した後に皮膚局所外用塗布でき、且つ優れた組織再生・再構築促進作用、創傷治癒促進作用を示す薬剤を提供することにある。より詳細には、本発明は、低用量・低濃度のツボクサエキスを含有してなる、皮膚又は粘膜の病理組織学的変化をきたす器質的疾患の予防・処置又は治療用の薬剤、皮膚若しくは粘膜の疾患又は老化による症状を予防、処置又は改善するための化粧品類、発毛・育毛剤、ケミカルピーリング剤又はフィジカルピーリング剤などの皮膚外用剤、若しくは粘膜外用剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ツボクサエキスを10−15重量%以上、0.001重量%未満含んで成ることを特徴とする、皮膚又は粘膜の病理組織学的変化をきたす器質的疾患の予防・処置又は治療用の薬剤に関する。なお、本発明の薬剤は、上記の如き低濃度のツボクサエキスと薬学上許容される基剤又は担体を含んで成る医薬組成物をも包含するものである。
【0008】
また、本発明は、ツボクサエキスを、10−15重量%以上、0.001重量%未満含んで成ることを特徴とする、皮膚又は粘膜の疾患若しくは老化による症状を予防・処置又は改善するための皮膚外用剤又は粘膜外用剤に関する。なお、本発明の皮膚外用剤または粘膜外用剤は、上記の如き低濃度のツボクサエキスと基剤(担体)を含んで成る皮膚外用組成物又は粘膜外用組成物をも包含するものである。
【0009】
更に、本発明は、ツボクサエキスを10−15重量%以上で、0.001重量%未満含有してなる皮膚組織再生・再構築促進剤に関する。
【0010】
更にまた、本発明は、ツボクサエキスを10−15重量%以上で、0.001重量%未満含有してなる創傷治癒促進剤に関する。
【0011】
即ち、本発明者らは、ツボクサエキスについて鋭意研究の途上、思いもかけず、ツボクサエキスが薬剤全量中における濃度が10−15重量%以上、0.001重量%未満の低濃度で極めて優れた熱傷治療効果を発揮することを見出し、本発明を完成した。
より詳細には、薬剤全量中における濃度が10−15重量%以上、0.001重量%未満のツボクサエキスを含有してなる薬剤、例えば、皮膚外用製剤又は粘膜外用製剤の投与により、皮膚又は粘膜の表皮、上皮、真皮、真皮の乳頭、皮下組織、結合組織、粘膜固有層、汗腺、粘膜筋板、脂腺、唾液腺、漿液腺、粘液腺、混合腺、毛包、毛乳頭、筋組織、血管、末梢神経、表皮細胞、表皮角化細胞、角質細胞、メルケル細胞、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、幹細胞、腺細胞、筋上皮細胞、筋細胞、間葉系細胞、線維芽細胞、汗腺の細胞、毛包の細胞、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞等がすべて再生及び/又は再構築し、細胞外基質、コラーゲン線維、弾性線維、細網線維なども健常組織に近い状態まで再生及び/又は再構築することが判明した。即ち、皮膚又は粘膜組織の損傷や欠損による疾患若しくは皮膚又は粘膜の病理組織学的変化をきたす器質的疾患(創傷、熱傷、放射線障害、凍傷、紫外線障害、電撃症、外傷、皮膚潰瘍、褥創、接触性皮膚炎、水疱性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾皮症、糖尿病性皮膚潰瘍、自家感作性皮膚炎、紅皮症、剥脱性皮膚炎、表皮水疱症、光線過敏症、慢性色素性紫斑(シャンバーグ病)、ストロフルス、虫刺され、痒疹、多形滲出性紅斑、環状紅斑、結節性紅斑、天疱瘡、類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、掌蹠膿疱症、乾癬、扁平苔癬、魚鱗癬、毛孔性苔癬、黄色腫症、皮膚アミロイドーシス、単純疱疹、ウイルス性いぼ、伝染性軟属腫、膿皮症、皮膚結核、皮膚非定型抗酸菌症、白癬、皮膚・口腔カンジダ症、疥癬、毛虱症、梅毒、ケロイド、肥厚性瘢痕、血管腫、リンパ腫、母斑、尋常性白斑、雀卵斑、肝斑、黒皮症、汗疱、あせも、にきび、酒査皮(しゅさ)、酒査皮(しゅさ)様皮膚炎、口腔粘膜損傷、口内炎、口囲皮膚炎、皮膚の老化症状、脱毛症、爪囲炎、嵌入爪、消化管粘膜びらん、消化性潰瘍、角膜びらん、角膜潰瘍、う蝕、歯髄炎、辺縁性歯周組織炎、口内炎、アレルギー性鼻炎、花粉症、春季カタル、痔疾、消化管粘膜創傷、消化管粘膜熱傷、気管支喘息、舌炎、再発性アフタ、口腔内アフタ、口臭、口腔異常感症、歯性感染症、口腔粘膜咬傷、舌の咬傷、口腔粘膜熱傷、口腔粘膜損傷、口腔粘膜潰瘍等)の予防、処置又は治療に対して、低用量・低濃度のツボクサエキスを含んで成る薬剤は皮膚又は粘膜組織の再生及び/又は再構築促進作用を介して効果・効能を発揮することが見出された。
本発明の予防・処置又は治療用の薬剤の好ましい投与形態としては、粘膜外用製剤又は皮膚外用製剤が挙げられるが、吸入製剤、噴霧剤などの皮膚又は粘膜に外用投与できる剤形であれば特に制限はない。
【0012】
また、本発明者らは、前記した皮膚又は粘膜組織の再生及び/又は再構築促進作用を介して、少なくともツボクサエキスを外用剤全量中における濃度が10−15重量%以上、0.001重量%未満含有してなる皮膚外用剤又は粘膜外用剤が優れた効果を有することをも見出した。より詳細には、低用量・低濃度のツボクサエキスを含有してなる化粧品類、発毛・育毛剤又は粘膜外用剤は、皮膚若しくは粘膜の疾患又は老化による症状(皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、ふけ、脱毛、かゆみ、かさつき、白髪、亀裂、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、あかぎれ、しみ、しわ、そばかす、日焼け、色素沈着若しくは乾燥又は粘膜の萎縮、剥離、上皮剥離、再生不良、ひびわれ、かゆみ、若しくは乾燥)の予防、処置又は改善に有用であると考えられる。更に、低用量・低濃度のツボクサエキスと適当な基剤(担体)を含んで成る組成物はケミカルピーリング剤組成物又はフィジカルピーリング剤組成物として、ケミカルピーリング又はフィジカルピーリングの前、中又は後に、好ましくは皮膚のピーリング後に皮膚に外用投与することにより、優れた皮膚組織再生・再構築促進作用を示すものと考えられる。
本発明の皮膚外用剤又は粘膜外用剤は、化粧品類、ケミカルピーリング剤、フィジカルピーリング剤又は発毛・育毛剤等として皮膚組織又は粘膜組織に直接的又は間接的に適用される。
【0013】
本発明に係る皮膚又は粘膜組織としては、人、脊椎動物などの生体の外部の組織、眼球粘膜、鼻粘膜、口腔粘膜、気道粘膜、食道粘膜、消化管粘膜、直腸粘膜、尿道粘膜、膀胱粘膜、膣粘膜、子宮粘膜、肛門などが挙げられ、これらの組織は生体内に存在する状態が好ましいが、臓器移植用などのように生体外にある状態であってもよい。
また、本発明に係る皮膚又は粘膜組織の病理組織学的変化としては、前記した組織における正常な組織が病理組織学的に変化した状態であり、例えば、損傷、創傷、外傷、熱傷若しくは欠損などが挙げられ、これらの病理組織学的変化をきたす原因は特に制限されるものではなく、例えば、外部からの物理的な力によるもの、外科的処置及び手術における切断又は縫合、水疱性病変や消化性潰瘍病変などの病的なものなどの何れの原因による変化であってもよい。
【0014】
本発明に係る低濃度のツボクサエキスを含んでなる予防・処置又は治療用の薬剤は、皮膚又は粘膜の病理組織学的変化をきたす器質的疾患の予防・処置又は治療に使用され、病理組織学的変化をきたした皮膚又は粘膜の細胞又は組織の再生及び/又は再構築を促進させることを特徴とするものである。従って、本発明の予防・処置又は治療用の薬剤の特徴は、病理組織学的変化をきたした皮膚・粘膜組織又はその細胞の再生及び/又は再構築により、熱傷、創傷などの前記した器質的疾患の治癒を促進するものである。
また、本発明に係る低濃度・低用量のツボクサエキスを含んでなる化粧品類又は発毛・育毛剤などの皮膚外用剤は、皮膚若しくは粘膜の疾患又は老化による症状(皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、ふけ、脱毛、かゆみ、かさつき、白髪、亀裂、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、あかぎれ、しみ、しわ、そばかす、日焼け、色素沈着若しくは乾燥又は粘膜の萎縮、剥離、上皮剥離、再生不良、ひびわれ、かゆみ、若しくは乾燥)を予防、処置又は改善する。前述のごとく、本発明の皮膚外用剤は、ケミカルピーリング又はフィジカルピーリングのための薬剤として、好ましくは皮膚のピーリング後のスキンケアにも利用される。
【0015】
本発明の皮膚・粘膜疾患の予防・処置又は治療用の薬剤、皮膚外用剤又は粘膜外用剤は、ツボクサエキスの含有量が、薬剤全体又は外用剤全体の0.001重量%未満、より詳細には0.0001重量%以下又は未満、0.00001重量%以下又は未満、0.000001重量%以下又は未満、0.0000001重量%以下又は未満、又は0.00000001重量%以下又は未満という極めて低用量・低濃度での使用が好ましいことを特徴とするものである。本発明の予防・処置又は治療用の薬剤、皮膚外用剤又は粘膜外用剤の濃度の下限は組成物全体の10−15重量%程度と考えられる。なお、本発明において、ツボクサエキスを皮膚外用剤又は粘膜外用剤として使用するときの濃度は、副作用出現の可能性をできるかぎり低くするため、同エキスを予防・処置又は治療用の薬剤として利用するときの濃度の10分の1から100000分の1に設定することが好ましい。
なお、本発明に係るツボクサエキスには、ほぼ同種の連銭草エキス、積雪草エキス等も含まれる。。
【0016】
次に本発明の低用量・低濃度のツボクサエキスの創傷治癒促進作用又は皮膚又は粘膜組織の再生・再構築促進作用について具体例に基づいて詳細に説明する。このため、マウスの熱傷モデルに対するツボクサエキスの皮膚外用投与実験の結果に基づいて説明する。
まず、本発明者らはツボクサ、連銭草又は積雪草100gをエチルアルコールなどのアルコール類100mlに浸漬することによりツボクサエキス、連銭草エキス又は積雪草エキスを調製した。本発明ではこれらのエキスを総称して、ツボクサエキスと呼ぶこととする。その後、同エキスを眼科用白色ワセリン(プロペト)に添加することにより、0.0002重量%及び0.0005重量%のツボクサエキスを含有するプロペト(皮膚外用製剤)を作製した。
体重25g程度のBALB/cマウスの背部に麻酔下で一定サイズの熱傷病変を作ったのちに、同動物の熱傷部にプロペトのみ、0.0002重量%のツボクサエキスを含有するプロペト、又は0.0005重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを1日当たり0.1gの量で連続19日間外用投与した。なお、連日熱傷部の創傷面積を測定した。結果を図1に示す。図1は、熱傷面積の時間経過を示すグラフである。図1の白丸印は、プロペトのみを外用投与したコントロール例であり、黒四角印は0.0002重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを外用投与した例であり、白三角印は0.0005重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを外用投与した例である。
【0017】
図1に示すごとく、熱傷後プロペトのみを外用投与した例では、熱傷後8日目に至るまで創傷面積が著しく拡大し、その後少しずつ創傷面積が縮小し始めるものの、熱傷後、19日目においてもなお創傷面積は、熱傷直後の創傷面積と近似していた。通常の鋭利なメスによる切開創や開放創では、このように顕著な創傷面積の拡大は見られないので、本熱傷モデルは公知の鋭利なメスによる切開創や開放創モデルよりも重篤なものであると言える。一方、0.0002重量%又は0.0005重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを外用投与すると、明らかに熱傷による創傷面積の拡大が抑止され、熱傷の治癒及び/又は皮膚組織の再生・再構築が促進された。このことは、低濃度のツボクサエキスを含有する皮膚外用製剤が思いもかけず優れた熱傷治療薬となることを示している。
本発明者らの知る限り、このように低濃度・低用量のツボクサエキスを含有してなる薬剤の優れた熱傷治療効果は、これまでの高濃度・高用量のツボクサエキスを用いた研究では報告されていない。
【0018】
次に熱傷後19日目にマウスを麻酔により安楽死せしめ、熱傷部を写真撮影した。結果を図2に示す。図2の左側の写真が熱傷後プロペトのみを外用投与した例であり(0%と表示)、図2の真中の写真が0.0002重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを外用投与した例であり、図2の右側の写真が0.0005重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを外用投与した例である。図2に示すごとく、低濃度のツボクサエキスを含んでなる薬剤を皮膚の熱傷部に外用投与することにより、明らかに皮膚組織の再生及び/又は再構築が促進され、更に熱傷部の発毛、育毛、上皮化又は表皮化も促進された。その結果、低用量・低濃度のツボクサエキスを含有するプロペトの皮膚外用投与により熱傷部の創傷治癒も顕著に促進された。
【0019】
このように、熱傷によってひとたび欠損した皮膚組織が低用量・低濃度のツボクサエキスを含んでなる薬剤の皮膚外用投与により速やかに且つ正常に近い状態にまで再生及び/又は再構築し、熱傷が治癒するという本実験結果は、低用量・低濃度のツボクサエキスを含んでなる薬剤が皮膚欠損部周辺の表皮細胞、表皮角化細胞、上皮細胞、角質細胞、メルケル細胞、ランゲルハンス細胞、メラノサイト、幹細胞、皮脂腺の細胞、汗腺の細胞、平滑筋細胞、筋細胞、脂肪細胞、線維芽細胞、間葉系細胞、血管内皮細胞、立毛筋の細胞、又は血管平滑筋細胞の分裂、増殖、移動、分化、ならびに表皮細胞の毛包、汗腺、皮脂腺細胞への分化を促進することをも明らかにしている。しかも前述の各種細胞、末梢神経、血管が低用量・低濃度のツボクサエキスを含んでなる薬剤の外用投与により有機的に系統立てて再生及び/又は再構築した結果、正常皮膚組織に近い状態にまで皮膚の熱傷病変が速やかに回復するということが判明したことになる。即ち、低用量・低濃度のツボクサエキスを含有してなる薬剤の皮膚外用投与により、皮膚欠損部に新たに再生した表皮細胞、線維芽細胞、血管又は末梢神経が正常の皮膚組織に類似した態様で配列し、表皮、真皮、真皮の乳頭、皮下組織、結合組織、汗腺、脂腺、毛乳頭、毛包、立毛筋、血管、末梢神経、細胞外基質、膠原線維、弾性線維、又は細網線維なども正常皮膚組織に近い状態にまで再生・再構築されると言える。従って低用量・低濃度のツボクサエキスが単独で皮膚組織の再生・再構築若しくは熱傷治癒をかくもあざやかに成しとげるということは、皮膚組織の創傷治癒若しくは再生・再構築にかかわるサイトカイン類(EGF、TGF−β1、TGF−α、FGF、VEGF、PDGF−BB、TGF−β1、PDGF−AB、IGF、KGF、PDGF、TGF−β2、TGF−β3、FGF−2、U−PA、t−PA等)の産生や血球成分・血漿成分の機能なども低用量・低濃度のツボクサエキスにより調節されていることを物語っている。即ち、Singer,A.J.とClark,R.A.Fの総説(New Engl. J. Med., 341, 738−746, 1999)に記述されたごとく、創傷治癒若しくは組織再生・再構築にかかわる複雑な生命現象を、低用量・低濃度のツボクサエキスを含有してなる薬剤の皮膚外用投与が単独ですべて成しとげたといえる。
【0020】
また、一般に口腔粘膜や鼻粘膜などの粘膜も皮膚組織と類似した組織又は細胞から構成されているので、低用量・低濃度のツボクサエキスの外用投与が皮膚組織の再生及び/又は再構築を促進せしめるという本実験結果は、低用量・低濃度のツボクサエキスを含有してなる薬剤の粘膜外用投与が粘膜の再生及び/又は再構築をも促進することを物語っている。より詳細には、粘膜の熱傷などの病理組織学的変化をきたす器質的疾患に対して、低用量・低濃度のツボクサエキスを含んで成る薬剤の外用投与は、粘膜の上皮細胞、幹細胞、間葉系細胞、線維芽細胞、唾液腺の細胞、筋上皮細胞、平滑筋細胞、粘液腺の細胞、漿液腺の細胞、混合腺の細胞、筋細胞、血管内皮細胞、脂肪細胞、膠原線維、弾性線維、細網線維又は細胞外基質の再生及び/又は再構築を促進すると考えられる。その結果、粘膜の上皮、粘膜固有層、筋組織、粘膜下層、粘膜筋板、唾液腺、混合腺、粘液腺、漿液腺、血管若しくは末梢神経が低用量・低濃度のツボクサエキスの外用投与により再生及び/又は再構築し、粘膜熱傷などの病理組織学的変化をきたす器質的疾患が治療される。
【0021】
低濃度・低用量のツボクサエキスを含有してなる薬剤の適応が期待される粘膜の病理組織学的変化をきたす疾患や病態としては、う蝕、歯髄炎、辺縁性歯周組織炎、口内炎、舌炎、再発性アフタ、口腔内アフタ、口臭、口腔異常感症、歯性感染症、口腔粘膜咬傷、舌の咬傷、口腔粘膜熱傷、舌の熱傷、口腔粘膜損傷、歯肉炎、歯槽膿漏、カタール性口内炎、壊疽性口内炎、ワンサン口内炎、アフタ性口内炎、急性疱疹性歯肉口内炎、ヘルパンギーナ、帯状疱疹、口腔粘膜びらん、口腔粘膜潰瘍、褥瘡性潰瘍、放射線性口内炎、天疱瘡、口腔カンジダ症、扁平苔癖、Riga−Fede癖、平滑舌、赤平舌、角膜びらん、角膜潰瘍、ドライアイ、シェーグレン症候群、消化管粘膜びらん、消化性潰瘍、角膜びらん、角膜潰瘍、アレルギー性鼻炎、花粉症、春季カタル、痔疾、気管支喘息、膣粘膜びらん、消化管粘膜熱傷、消化管粘膜創傷等が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
【0022】
なお、低用量・低濃度のツボクサエキスを含んでなる薬剤の適応が期待される皮膚の病理組織学的変化をきたす器質的疾患又は病態としては、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。即ち、創傷、熱傷、放射線障害、凍傷、紫外線障害、電撃症、外傷、皮膚潰瘍、褥創、接触性皮膚炎、水疱性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾皮症、糖尿病性皮膚潰瘍、自家感作性皮膚炎、紅皮症、剥脱性皮膚炎、表皮水疱症、光線過敏症、慢性色素性紫斑(シャンバーグ病)、ストロフルス、虫刺され、痒疹、多形滲出性紅斑、環状紅斑、結節性紅斑、天疱瘡、類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、掌蹠膿疱症、乾癬、扁平苔癬、魚鱗癬、毛孔性苔癬、黄色腫症、皮膚アミロイドーシス、単純疱疹、ウイルス性いぼ、伝染性軟属腫、膿皮症、皮膚結核、皮膚非定型抗酸菌症、白癬、皮膚・口腔カンジダ症、疥癬、毛虱症、梅毒、ケロイド、肥厚性瘢痕、血管腫、リンパ腫、母斑、尋常性白斑、雀卵斑、肝斑、黒皮症、汗疱、あせも、にきび、酒査皮(しゅさ)、酒査皮(しゅさ)様皮膚炎、口腔粘膜損傷、口内炎、口囲皮膚炎、皮膚の老化症状、脱毛症、爪囲炎、嵌入爪等である。
また、熱傷モデルマウスを用いた前記実験において、低用量・低濃度のツボクサエキスを含んでなる薬剤の外用投与により明らかな発毛が観察されたので、低用量・低濃度のツボクサエキスと適当なその基剤(担体)を含んで成る組成物は、発毛・育毛剤用組成物としても利用できると言える。従って、低用量・低濃度のツボクサエキスは発毛・育毛剤に添加することにより、円形脱毛症、男性型脱毛症、び慢性脱毛症の予防、処置又は治療にも有用とされる。なお、低用量・低濃度のツボクサエキスを含有してなる本発明の薬剤に他の任意の医薬組成物(たとえば、ブドウ糖、抗生物質、ビタミンE、ビタミンE誘導体、ビタミンD、ビタミンD誘導体、はちみつ、ビタミン類、抗ウイルス剤、免疫抑制用組成物、ステロイド、薬用人蔘成分、抗アレルギー剤、天然物成分等)を添加してもよい。低濃度のツボクサエキスを含有してなる本発明の薬剤の基剤又は薬学上許容される担体としては、軟こう基剤、配合剤、クリーム基剤、水溶性基剤、噴霧・吸入用基剤等公知のものが何れも挙げられる。
【0023】
前述のごとく、低濃度・低用量のツボクサエキスを含有してなる薬剤の皮膚外用塗布が、皮膚の表皮組織、真皮の結合組織、真皮の乳頭、皮下組織、血管、立毛筋、皮脂腺、汗腺、毛乳頭、毛包等の再生・再構築を促進するという事実は、当然のことながらツボクサエキスを含有してなる薬剤の皮膚外用塗布が、表皮細胞、表皮角化細胞、メルケル細胞、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、角質細胞、真皮ならびに皮下組織の線維芽細胞、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、皮脂腺の細胞、脂肪細胞、汗腺の細胞、毛包の細胞、立毛筋の細胞、間葉系細胞、皮膚の幹細胞等の再生及び/又は再構築をも促すことを明らかにしている。即ち、低用量・低濃度のツボクサエキスは皮膚組織を構成するあらゆる細胞やその分泌成分の再生及び/又は再構築を促進すると考えられる。一方、皮膚の疾患又は老化による症状(皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、ふけ、脱毛、かゆみ、かさつき、白髪、亀裂、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、あかぎれ、しみ、しわ、そばかす、色素沈着、日焼け、再生不良、乾燥等)は、皮膚組織を構成する前記細胞が、皮膚疾患、紫外線障害若しくは生体の老化に伴い徐々に死滅若しくは機能不全に陥り、もとの健常な状態に再生できなくなるために、生じるものと考えられる。例えば、皮膚疾患、加齢若しくは老化に伴う皮膚のかさつき、乾燥、脱毛、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、あかぎれ、皮脂欠乏、かゆみなどは皮膚の汗腺、毛包、ならびに脂腺の細胞が、機能障害に陥るか死滅したままで再生しないために、生じると考えられる。また、日焼け、色素沈着、しみ、そばかす等は、日光や紫外線に照射された皮膚の細胞が死に至っても、元通りに細胞が再生しなくなるために起こると考えられる。更に皮膚疾患若しくは老化に伴う、皮膚のしわ、たるみ、萎縮などは、真皮や皮下組織の線維芽細胞若しくは間葉系細胞が、疾患又は老化により機能不全に陥るか数が減少したために、真皮や皮下組織で充分な膠原線維、弾性線維、細網線維、細胞外基質を保持できなくなった結果、生じると言える。一方、メラノサイトやランゲルハンス細胞の機能障害により白髪や易感染性が生じると考えられる。
【0024】
本発明に係る低濃度・低用量のツボクサエキスは、皮膚組織を構成するすべての細胞やその再生・再構築を促進することができるので、これを化粧品類又は発毛・育毛剤などの皮膚外用剤として、或いはこれに適当な基剤(担体)等を組合わせて皮膚外用剤組成物として使用すれば、皮膚の疾患若しくは老化に伴う皮膚の構成細胞の減少(細胞死)、機能障害に帰因する諸症状(皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、ふけ、脱毛、かゆみ、かさつき、白髪、亀裂、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、あかぎれ、しみ、しわ、そばかす、色素沈着、日焼け、再生不良、乾燥等)を予防、処置、軽減若しくは改善することができる。
同様に、低濃度・低用量のツボクサエキスを含んでなる粘膜外用剤(或いは粘膜外用剤組成物)の粘膜外用投与は、粘膜組織の再生及び/又は再構築促進作用を介して、粘膜の疾患又は老化による症状(粘膜の萎縮、剥離、上皮剥離、再生不良、かゆみ、又はひびわれ等)を予防、処置又は改善すると考えられる。従って、0.001重量%未満のツボクサエキスをあらゆる化粧品、発毛・育毛剤や健康薬品、健康食品、化粧水(スキンローション)、乳液(ミルクローション)、美容液、マッサージ剤、パップ剤、パック剤、乳剤、ファンデーション、ハンドクリーム、ゲル、ローション、エマルジョン、パウダー、ヘアーダイ、ヘアーマニキュア、コールドクリーム、アイシャドウ、クレンジングクリーム、洗顔フォーム、ナイトクリーム、美白クリーム、トローチ、のどあめ、おしろい、口紅、入浴剤、化粧石けん、健康飲料水、アイソトニックウォーター、水割用氷、シャーベット、アイスクリーム、アルコール飲料、洗眼薬、洗眼液、洗顔液、うがい薬、シャンプー、リンス、歯みがき粉、リップクリーム、下地クリーム(メイクアップベース)、UVリキッドファンデーション、パウダーファンデーション等に、要すれば、公知の化粧品類や、発毛・育毛剤又は健康薬品、健康食品と共に添加すれば、皮膚や粘膜の疾患又は老化による症状(萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、かさつき、再生不良、上皮剥離、粘膜剥離、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、あかぎれ、しみ、しわ、そばかす、白髪、ふけ、脱毛、色素沈着、日焼け、乾燥等)に対して優れた効果を発揮する。例えば、皮膚の疾患又は老化により皮膚の脂(即ち皮脂)が欠乏するだけでも、皮膚のかさつき、ひびわれ、あかぎれ、乾燥、かゆみ、角質細胞剥離等が生じるが、低濃度のツボクサエキスをあらゆる化粧品に混入して使用することにより、皮脂腺の再生及び/又は再構築が促進され前記の皮膚疾患又は老化による症状を予防、処置、改善若しくは軽減すると考えられる。
【0025】
また、低濃度のツボクサエキスを含有してなる任意の化粧品類は、表皮細胞(角質細胞)若しくは表皮角化細胞の再生を促進するので、角質細胞間脂質や天然保湿因子の産生や分泌も促進することにより、皮膚の乾燥やかさつきを抑止し、皮膚に自然な潤いをもたらす。
更に、例えば、ミネラルウォーターなどにツボクサエキスを低濃度で添加することにより、アルコール飲料や高温刺激物による口腔粘膜や消化管粘膜(特に食道粘膜)の障害を改善、予防、処置することができる。低濃度のツボクサエキスと適当な担体(基剤)を含んで成る組成物はケミカルピーリング剤組成物又はフィジカルピーリング剤組成物として、ケミカルピーリングの全過程(前、中又は後)で使用される試薬類又は投与剤(即ちケミカルピーリング剤又はフィジカルピーリング剤)のうち1種類若しくは2種類以上に添加して使用することができる。特に皮膚のピーリング後のスキンケアのために、低濃度のツボクサエキスを含有してなるケミカルピーリング剤(組成物)又はフィジカルピーリング剤(組成物)が有用である。もちろん、原因若しくは疾患が特定できずに皮膚又は粘膜に上記症状が出現したときにも、当該症状の予防、処置、改善のために低濃度のツボクサエキスを含有してなる皮膚外用剤(組成物)を使用できる。
【0026】
なお、本発明に係る低濃度ツボクサエキスを含んで成る薬剤(医薬製剤)、皮膚外用剤(化粧品類、発毛・育毛剤、フィジカルピーリング剤、ケミカルピーリング剤等)又は粘膜外用剤の基剤又は担体としては、パップ剤、リニメント剤、軟こう基剤、配合剤、クリーム基剤、水溶性基剤、ローション剤、噴霧・吸入用基剤、油脂類、ロウ類、ゲル状基剤、炭化水素類、脂肪酸類、低級アルコール類、高級アルコール類、多価アルコール類、エステル類、界面活性剤、水溶性高分子化合物等公知のものが挙げられる。もちろん、低濃度のツボクサエキスを含有してなる上記の薬剤、皮膚外用剤等には、これらの基剤、担体等の他にその他の有効成分、例えば、血行促進用組成物、局所刺激用組成物、毛包賦活用組成物、抗男性ホルモン、抗脂漏用組成物、角質溶解用組成物、抗生物質、生薬エキス、ビタミン類、アミノ酸、薬用人蔘エキス、ヒアルロン酸、パントテン酸、セファランチン等が必要に応じて1乃至2以上含まれていても良い。
【0027】
また、本発明の前記皮膚外用剤には、その他の皮膚細胞賦活剤、抗炎症剤、活性酸素消去剤、美白剤、保湿剤、紫外線吸収剤、防腐防黴剤、エモリエント剤、天然物エキス、レチノン酸等が必要に応じて1乃至2以上含まれていても良い。
もちろん、本発明の低濃度のツボクサエキスの代わりに、10−15重量%以上、0.1重量%以下又は未満、好ましくは0.01重量%以下又は未満、更に好ましくは0.001重量%以下又は未満の濃度で、titrated extract of Centella asiatica、asiaticoside、asiatic acid、madecassic acidの何れか1つ又は2つ以上を用いてもよい。なお、ツボクサエキスと基剤(担体)から成る組成物を発毛・育毛用組成物として使用するときは、発毛・育毛剤におけるツボクサエキスの濃度の上限を0.1重量%以下又は未満に設定してもよい。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0029】
実施例1(低濃度ツボクサエキスの皮膚外用投与による熱傷病変の経時変化)
まず、本発明者らはツボクサ(連銭草又は積雪草でも良い)100gをエチルアルコール100mlに浸漬することによりツボクサエキスを調製した。その後、同エキスを基剤(担体)である眼科用白色ワセリン(プロペト)に添加することにより、0.0002重量%及び0.0005重量%のツボクサエキスを含有するプロペト(即ち皮膚外用製剤)を作製した。
体重25g程度のBALB/cマウスの背部に麻酔下で一定サイズの熱傷病変を作ったのちに、同動物の熱傷部にプロペトのみ、0.0002重量%のツボクサエキスを含有するプロペト、又は0.0005重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを1日あたり0.1gの量で連続19日間外用投与した。なお、1日おきに熱傷部の創傷面積を測定した。結果を図1に示す。図1は、熱傷面積の時間経過を示すグラフである。図1の白丸印は、プロペトのみを外用投与したコントロール例であり、黒四角印は0.0002重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを外用投与した例であり、白三角印は0.0005重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを外用投与した例である。
【0030】
図1に示すごとく、熱傷後プロペトのみを外用投与した例では、熱傷後8日目に至るまで創傷面積が著しく拡大し、その後少しずつ創傷面積が縮小し始めるものの、熱傷後、19日目においてもなお創傷面積は、熱傷直後の創傷面積と近似していた。通常の鋭利なメスによる切開創や開放創では、このように顕著な創傷面積の拡大はみられないので、本熱傷モデルは公知の鋭利なメスによる切開創や開放創モデルよりも重篤なものであると言える。一方、0.0002重量%又は0.0005重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを外用投与すると、明らかに熱傷による創傷面積の拡大が抑止され、熱傷の治癒及び/又は皮膚組織の再生・再構築が促進された。即ち、低濃度のツボクサエキスを含有する皮膚外用製剤は、熱傷後19日目において熱傷面積を対照例の25%から5%程度にまで縮小せしめるという極めて優れた効果を示すことが確認された。
【0031】
実施例2(低濃度ツボクサエキスによる熱傷治療後の病変部外観像)
次に熱傷後19日目にマウスを麻酔により安楽死せしめ、熱傷部を写真撮影した。結果を図2に示す。図2の左側の写真が熱傷後プロペトのみを外用投与した例であり(0%と表示)、図2の真中の写真が0.0002重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを外用投与した例であり、図2の右側の写真が0.0005重量%のツボクサエキスを含有するプロペトを外用投与した例である。図2に示すごとく、低濃度のツボクサエキスを含有してなる薬剤を皮膚の熱傷部に外用投与することにより、明らかに皮膚組織の再生及び/又は再構築が促進され、更に熱傷部の発毛、育毛、上皮化又は表皮化も促進された。その結果、低用量・低濃度のツボクサエキスを含有してなる薬剤の皮膚外用投与により熱傷部の創傷治癒も顕著に促進された。
【0032】
実施例3(低濃度ツボクサエキスを含有してなる化粧品類による紫外線障害又は
日焼けの予防、処置、改善)
0.001重量%未満の濃度でツボクサエキスを公知のゲル状基剤、液状基剤又は水溶性基剤に添加して、ゲル又はローションを調製した。
得られたゲル又はローションは、紫外線障害又は日焼けによる皮膚の炎症、かゆみ、発赤、水疱形成又は角層剥離の予防、処置又は改善に顕著な効果を示した。
なお、ゲル又はローションを作製する際に、ツボクサエキスのほかに、その他の公知の抗炎症剤、活性酸素消去剤、美白剤、保湿剤、紫外線吸収剤、エモリエント剤、薬用人蔘エキス、天然物エキス、ヒアルロン酸、セファランチン(cepharanthine )、オキシアカンチン(Oxyacanthine)、パントテン酸、ビタミンA、アスコルビン酸、レチノール酸、プロリン、グリシン、リジン、ビタミンAパルミテート、又はそれらの化学的誘導体のうち1つ以上を通常の濃度で低濃度のツボクサエキスとともに添加しても同様の効果が得られる。但し、ツボクサエキスと薬用人蔘エキスとを共に化粧品組成物などの皮膚外用組成物として使用するときは、皮膚外用剤(化粧品類、発毛育毛剤、ケミカルピーリング剤、フィジカルピーリング剤)における薬用人蔘エキスの濃度を10−20重量%以上、10−30重量%未満とすることが好ましい。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、低濃度ツボクサエキスを有効成分とする、極めて副作用の少ない薬剤(医薬製剤)、皮膚外用剤(化粧品類、発毛・育毛剤、ケミカルピーリング剤、フィジカルピーリング剤等)、粘膜外用剤等を提供するものであり、従来のものよりも低濃度のツボクサエキスを使用することにより、従来の高濃度のツボクサエキス若しくは高濃度のその成分(即ちtitrated extract of centella asiatica等)を用いた場合よりも優れた皮膚組織の再生及び/又は再構築促進作用が得られる。
即ち、低濃度・低用量のツボクサエキスを含有して成る前記薬剤、皮膚外用剤(化粧品類等)、粘膜外用剤等は、皮膚又は粘膜組織の再生・再構築促進作用を介して、皮膚又は粘膜の病理組織学的変化をきたす器質的疾患の予防、治療若しくは処置、並びに皮膚又は粘膜の疾患又は老化による症状の予防、処置又は改善に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、低濃度ツボクサエキスを含有してなる薬剤(医薬製剤)の皮膚外用投与による熱傷病変面積の経時変化を示すグラフである。
【図2】図2は、低濃度ツボクサエキスを含有してなる薬剤(医薬製剤)による熱傷治療後の病変部外観像を示す、図面に代わる写真である。
Claims (14)
- ツボクサエキスを、10−15重量%以上、0.001重量%未満含んで成ることを特徴とする、皮膚又は粘膜の病理組織学的変化をきたす器質的疾患の予防・処置又は治療用の薬剤。
- 病理組織学的変化をきたす器質的疾患が、創傷である請求項1に記載の薬剤。
- 創傷が、熱傷である請求項2に記載の薬剤。
- 皮膚又は粘膜の病理組織学的変化をきたす器質的疾患の予防・処置又は治療が、皮膚若しくは粘膜の表皮、上皮、真皮、真皮の乳頭、皮下組織、結合組織、粘膜固有層、粘膜筋板、粘膜下層、筋組織、唾液腺、混合腺、汗腺、脂腺、粘液腺、漿液腺、毛乳頭、毛包、立毛筋、血管若しくは末梢神経の再生及び/又は再構築、皮膚又は粘膜の上皮化、若しくは発毛又は育毛によるものである請求項1〜3の何れかに記載の薬剤。
- 皮膚又は粘膜の病理組織学的変化をきたす器質的疾患の予防・処置又は治療が、皮膚組織若しくは粘膜組織の表皮細胞、表皮角化細胞、上皮細胞、メルケル細胞、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、角質細胞、幹細胞、間葉系細胞、線維芽細胞、皮脂腺の細胞、唾液腺の細胞、筋上皮細胞、汗腺の細胞、平滑筋細胞、粘液腺の細胞、漿液腺の細胞、混合腺の細胞、筋細胞、血管内皮細胞、脂肪細胞若しくは毛包の細胞、又は膠原線維、弾性線維、細網線維若しくは細胞外基質の再生及び/又は再構築によるものである請求項1〜3の何れかに記載の薬剤。
- ツボクサエキスを、10−15重量%以上、0.001重量%未満含んで成ることを特徴とする、皮膚又は粘膜の疾患若しくは老化による症状を予防・処置又は改善するための皮膚外用剤又は粘膜外用剤。
- 皮膚又は粘膜の疾患若しくは老化による症状が、皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、ふけ、脱毛、かゆみ、かさつき、白髪、亀裂、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、あかぎれ、しみ、しわ、そばかす、日焼け、再生不良、色素沈着若しくは乾燥、又は粘膜の萎縮、剥離、上皮剥離、再生不良、かゆみ、ひびわれ、若しくは乾燥である請求項6に記載の外用剤。
- 皮膚外用剤が、化粧品類である請求項6又は7に記載の外用剤。
- 皮膚外用剤が、ケミカルピーリング剤又はフィジカルピーリング剤である請求項6又は7に記載の外用剤。
- 皮膚外用剤が、発毛・育毛剤である請求項6又は7に記載の外用剤。
- 皮膚又は粘膜の疾患若しくは老化による症状の予防・処置又は改善が、皮膚若しくは粘膜の表皮、上皮、真皮、真皮の乳頭、皮下組織、結合組織、粘膜固有層、粘膜筋板、粘膜下層、筋組織、唾液腺、混合腺、汗腺、脂腺、粘液腺、漿液腺、毛乳頭、毛包、立毛筋、血管若しくは末梢神経の再生及び/又は再構築、皮膚又は粘膜の上皮化、若しくは発毛又は育毛によるものである請求項6〜10の何れかに記載の外用剤。
- 皮膚又は粘膜の疾患若しくは老化による症状の予防・処置又は改善が、皮膚組織若しくは粘膜組織の表皮細胞、表皮角化細胞、上皮細胞、メルケル細胞、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、角質細胞、幹細胞、間葉系細胞、線維芽細胞、皮脂腺の細胞、唾液腺の細胞、筋上皮細胞、汗腺の細胞、平滑筋細胞、粘液腺の細胞、漿液腺の細胞、混合腺の細胞、筋細胞、血管内皮細胞、脂肪細胞若しくは毛包の細胞、又は膠原線維、弾性線維、細網線維若しくは細胞外基質の再生及び/又は再構築によるものである請求項6〜10の何れかに記載の外用剤。
- ツボクサエキスを10−15重量%以上で、0.001重量%未満含有してなる皮膚組織再生・再構築促進剤。
- ツボクサエキスを10−15重量%以上で、0.001重量%未満含有してなる創傷治癒促進剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002219171A JP2004059482A (ja) | 2002-07-29 | 2002-07-29 | 組織再生促進剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002219171A JP2004059482A (ja) | 2002-07-29 | 2002-07-29 | 組織再生促進剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004059482A true JP2004059482A (ja) | 2004-02-26 |
Family
ID=31940138
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002219171A Pending JP2004059482A (ja) | 2002-07-29 | 2002-07-29 | 組織再生促進剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004059482A (ja) |
Cited By (16)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005247826A (ja) * | 2004-02-04 | 2005-09-15 | Kose Corp | デコリン産生促進剤及びそれを含有する皮膚外用剤 |
JP2005350435A (ja) * | 2004-06-14 | 2005-12-22 | Coletica | 弾性繊維の形成を刺激するための、loxl(リシルオキシダーゼ類似)アイソフォームの合成及び活性の刺激 |
JP2007144149A (ja) * | 2005-11-25 | 2007-06-14 | Feng Chia Univ | 抗微生物組成物および傷口被覆材 |
JP2008105983A (ja) * | 2006-10-25 | 2008-05-08 | Nicca Chemical Co Ltd | 線維芽細胞増殖促進剤、皮膚外用剤、浴用剤及び飲食物 |
JP2008184441A (ja) * | 2007-01-30 | 2008-08-14 | B & C Laboratories Inc | 細胞増殖促進用皮膚外用剤 |
WO2008142619A1 (en) * | 2007-05-17 | 2008-11-27 | Izun Pharmaceuticals Corporation | Use of herbal compositions in the protection and enhancement of extracellular matrix components |
JP2009132678A (ja) * | 2004-05-26 | 2009-06-18 | L'oreal Sa | 化粧品及び皮膚科学におけるlifの使用 |
JP2009256272A (ja) * | 2008-04-18 | 2009-11-05 | Maruzen Pharmaceut Co Ltd | Atp産生促進剤および表皮細胞賦活化剤 |
JP2010059196A (ja) * | 2009-11-16 | 2010-03-18 | Basf Beauty Care Solutions France Sas | 弾性繊維の形成を刺激するための、loxl(リシルオキシダーゼ類似)アイソフォームの合成及び活性の刺激 |
WO2011030859A1 (ja) * | 2009-09-11 | 2011-03-17 | ロート製薬株式会社 | 美白用組成物 |
US8247004B2 (en) * | 2005-12-22 | 2012-08-21 | Development Center For Biotechnology | Plant extracts for treating skin disorders and enhancing healing of wounds for diabetic patients |
US8449924B2 (en) * | 2007-08-29 | 2013-05-28 | Development Center For Biotechnology | Process for the preparation of plant extracts for treating skin disorders and enhancing healing of wounds |
US10758584B2 (en) | 2016-07-17 | 2020-09-01 | Oneness Biotech Co. LTD | Topical formulation for promoting wound healing |
KR102257524B1 (ko) * | 2020-08-18 | 2021-05-31 | 주식회사 바이오에프디엔씨 | 피부 진정 및 재생효과를 지니는 병풀 유래 엑소좀 함유 피부 개선용 화장료 조성물 |
KR102265811B1 (ko) * | 2021-04-09 | 2021-06-16 | 주식회사 에이바이오머티리얼즈 | 분산성 및 안정성이 우수한 병풀 유래 엑소좀의 정제방법 및 이를 함유하는 화장료 조성물 |
KR102316637B1 (ko) * | 2021-03-09 | 2021-10-25 | 코스맥스 주식회사 | 병풀 유래 바실러스 서브틸리스 균주 및 그의 피부 상태 개선 용도 |
-
2002
- 2002-07-29 JP JP2002219171A patent/JP2004059482A/ja active Pending
Cited By (18)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005247826A (ja) * | 2004-02-04 | 2005-09-15 | Kose Corp | デコリン産生促進剤及びそれを含有する皮膚外用剤 |
JP2009132678A (ja) * | 2004-05-26 | 2009-06-18 | L'oreal Sa | 化粧品及び皮膚科学におけるlifの使用 |
JP4527451B2 (ja) * | 2004-06-14 | 2010-08-18 | ビーエーエスエフ ビューティ ケア ソリューションズ フランス エスエーエス | 弾性繊維の形成を刺激するための、loxl(リシルオキシダーゼ類似)アイソフォームの合成及び活性の刺激 |
JP2005350435A (ja) * | 2004-06-14 | 2005-12-22 | Coletica | 弾性繊維の形成を刺激するための、loxl(リシルオキシダーゼ類似)アイソフォームの合成及び活性の刺激 |
JP2007144149A (ja) * | 2005-11-25 | 2007-06-14 | Feng Chia Univ | 抗微生物組成物および傷口被覆材 |
US8247004B2 (en) * | 2005-12-22 | 2012-08-21 | Development Center For Biotechnology | Plant extracts for treating skin disorders and enhancing healing of wounds for diabetic patients |
JP2008105983A (ja) * | 2006-10-25 | 2008-05-08 | Nicca Chemical Co Ltd | 線維芽細胞増殖促進剤、皮膚外用剤、浴用剤及び飲食物 |
JP2008184441A (ja) * | 2007-01-30 | 2008-08-14 | B & C Laboratories Inc | 細胞増殖促進用皮膚外用剤 |
WO2008142619A1 (en) * | 2007-05-17 | 2008-11-27 | Izun Pharmaceuticals Corporation | Use of herbal compositions in the protection and enhancement of extracellular matrix components |
US8449924B2 (en) * | 2007-08-29 | 2013-05-28 | Development Center For Biotechnology | Process for the preparation of plant extracts for treating skin disorders and enhancing healing of wounds |
JP2009256272A (ja) * | 2008-04-18 | 2009-11-05 | Maruzen Pharmaceut Co Ltd | Atp産生促進剤および表皮細胞賦活化剤 |
WO2011030859A1 (ja) * | 2009-09-11 | 2011-03-17 | ロート製薬株式会社 | 美白用組成物 |
JP2011057634A (ja) * | 2009-09-11 | 2011-03-24 | Rohto Pharmaceutical Co Ltd | 美白用組成物 |
JP2010059196A (ja) * | 2009-11-16 | 2010-03-18 | Basf Beauty Care Solutions France Sas | 弾性繊維の形成を刺激するための、loxl(リシルオキシダーゼ類似)アイソフォームの合成及び活性の刺激 |
US10758584B2 (en) | 2016-07-17 | 2020-09-01 | Oneness Biotech Co. LTD | Topical formulation for promoting wound healing |
KR102257524B1 (ko) * | 2020-08-18 | 2021-05-31 | 주식회사 바이오에프디엔씨 | 피부 진정 및 재생효과를 지니는 병풀 유래 엑소좀 함유 피부 개선용 화장료 조성물 |
KR102316637B1 (ko) * | 2021-03-09 | 2021-10-25 | 코스맥스 주식회사 | 병풀 유래 바실러스 서브틸리스 균주 및 그의 피부 상태 개선 용도 |
KR102265811B1 (ko) * | 2021-04-09 | 2021-06-16 | 주식회사 에이바이오머티리얼즈 | 분산성 및 안정성이 우수한 병풀 유래 엑소좀의 정제방법 및 이를 함유하는 화장료 조성물 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US11426443B2 (en) | Compositions and methods for invasive and non-invasive procedural skincare | |
KR100928211B1 (ko) | 태양광선에 의한 손상의 치료용 조성물 및 여드름 병변을 감소시키는 조성물 | |
AU2002317053B2 (en) | Dermal therapy using phosphate derivatives of electron transfer agents | |
KR20030009454A (ko) | 진세노사이드Rb1으로 된 피부조직 재생촉진제 | |
JP2004059482A (ja) | 組織再生促進剤 | |
AU2002317053A1 (en) | Dermal therapy using phosphate derivatives of electron transfer agents | |
US8283314B1 (en) | Skin care compositions | |
BR112012001491B1 (pt) | Preparação terapêutica para tratar dermatite e uso de uma preparação terapêutica | |
JP4008192B2 (ja) | ジンセノサイドRb1からなる皮膚組織再生促進剤 | |
KR101382112B1 (ko) | 편백다당체를 함유하는 피부 외용제 조성물 | |
KR100673044B1 (ko) | 경피 투여용 국소 조성물 | |
EP2763686A1 (en) | Composition for the treatment of skin lesions | |
US5520919A (en) | Vitamin A palmitate composition and methodology for repairing and rejuvenating human skin | |
RU2755201C1 (ru) | Тоник для ухода за кожей | |
WO2012140013A2 (en) | New use of compositions for the treatment of inflammatory skin conditions, scaly scalp conditions and collagen remodeling. | |
JP2019523300A (ja) | スキンケア製品およびその使用 | |
US20050276766A1 (en) | Methods and compositions for increasing skin remodeling | |
RU2325900C2 (ru) | Состав для кожи наружного применения | |
US20210030647A1 (en) | Regenerating composition with smoothing action for treating skin imperfections and process for preparation thereof | |
KR20010056177A (ko) | 피부보호 화장료 조성물 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050629 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090324 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090721 |