JP2002254595A - 輪転印刷機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノンストップで刷版を交換できる輪転印刷機
の構成を極めて簡単にできる。 【解決手段】 互いに対向する版胴４と圧胴６、または
版胴４とブランケット胴５と圧胴６とを、版胴から圧胴
へ動力が伝達されるようにして設けた２胴式または３胴
式の印刷ユニット１ａ〜１ｄを輪転紙２の走行方向に複
数配置し、各印刷ユニットの圧胴の入力部に、版胴から
あるいはブランケット胴からの動力の伝達を切離して圧
胴をフリー回転するようにしたクラッチ１４を設け、圧
胴に対向する版胴またはブランケット胴を圧胴に対して
接離可能に支持し、各印刷ユニットに回転速度を制御可
能にしたセクショナルモータ７ａ〜７ｄを版胴に連結し
て設けた構成になっている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、印刷中に印刷機を
停止させることなく刷版を取り替えることができるよう
にした輪転印刷機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種の輪転印刷機に関しては、実公平
３−４７８８６号公報及び特許第２５８９８６３号公報
に示されたものが公知である。そしてこの公知の輪転印
刷機では、いずれも、輪転紙が巻き付けられる圧胴の回
りに２個の版胴を、圧胴に対してあるいは圧胴に接触し
ているブランケット胴に対して接離可能に配置し、一方
の版胴を圧胴に、あるいはブランケット胴に接触してこ
の版胴による印刷中に、他方の版胴を圧胴から、あるい
はブランケット胴から離間すると共に、これの輪転印刷
機の動力系から切断し、この版胴の刷版を取り替えるよ
うになっている。そしてこの刷版を取り替えた版胴は、
これの周速を印刷速度と同期させて、他の版胴が離間し
た圧胴に、あるいはブランケット胴に接触させるように
なっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】これらの従来の技術の
輪転印刷機では、圧胴回転速度を基準にし、この圧胴の
回転速度に対して版胴やブランケット胴の回転を制御し
たり、版胴の駆動を切り離したり接触するようになって
いることにより、この版胴の駆動を切離するためのクラ
ッチや、変速・同期駆動のための装置に複雑な機構を必
要としていた。

【０００４】また、特に、特許第２５８９８６３号公報
のものでは、１つの圧胴（あるいはブランケット胴）の
周囲に複数の版胴をサテライト状に配置し、複数の印刷
を同時に行い、１ユニットで店名差し替えなどの処理を
行わせようとしているため、版胴、ブランケット胴のサ
イズ替えが構造的に難しい。

【０００５】また、圧胴が共通の原動軸にて同期駆動さ
れている構造の交換胴式の輪転印刷機では、圧胴と、版
胴、ブランケット胴とを別駆動することになり、構成が
複雑となる。

【０００６】本発明は上記のことにかんがみなされたも
ので、極めて簡単な構成でノンストップでの刷版の取り
替えを可能にした輪転印刷機を提供することを目的とす
るものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る輪転印刷機は、互いに対向する版胴と
圧胴、または版胴とブランケット胴と圧胴とを、版胴か
ら圧胴へ動力が伝達されるようにして設けた２胴式また
は３胴式の印刷ユニットを輪転紙の走行方向に複数配置
し、各印刷ユニットの圧胴の入力部に、版胴からあるい
はブランケット胴からの動力の伝達を切離して圧胴をフ
リー回転するようにしたクラッチを設け、圧胴に対向す
る版胴またはブランケット胴を圧胴に対して接離可能に
支持し、各印刷ユニットに回転速度を制御可能にしたセ
クショナルモータを版胴に連結して設けた構成になって
いる。

【０００８】そして上記輪転印刷機において、２胴式ま
たは３胴式の印刷胴部を、印刷ユニットに対して交換可
能にした。

【０００９】

【作 用】各印刷ユニットはセクショナルモータにて個
々に駆動される。印刷ユニットにて印刷している間に、
刷版を交換しようとする印刷ユニットの圧胴のクラッチ
をオフにすると共に、圧胴から版胴あるいはブランケッ
ト胴を離隔し、さらに、この印刷ユニットのセクショナ
ルモータを停止する。そしてこの状態で版胴の刷版を交
換する。刷版の交換後は、上記作用を逆に行い、セクシ
ョナルモータにて駆動される版胴あるいはブランケット
胴を圧胴に接触させる。版交換時の圧胴は輪転紙の走行
に従ってフリー回転される。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図１、図２
に基づいて説明する。図１において、１ａ，１ｂ，１
ｃ，１ｄはそれぞれ同一構成で、かつ輪転紙２の走行方
向に直列状に配置した印刷ユニットである。この各印刷
ユニット１ａ〜１ｄはオフセット印刷機で、かつ３胴式
の交換胴タイプとなっていて、これの交換胴フレーム３
に、版胴４、ブランケット胴５、圧胴６が支持されてい
る。そして版胴４が各印刷ユニット１ａ〜１ｄのフレー
ム８側に個々に設けたセクショナルモータ７ａ，７ｂ，
７ｃ，７ｄの駆動部に連結されるようになっている。

【００１１】上記各胴４，５，６の駆動部は図２に示す
ようになっていて、版胴４の軸４ａは軸受９ａにて交換
胴フレーム３に同心状に支持されている。また、ブラン
ケット胴５と圧胴６の各軸５ａ，６ａを支承する軸受９
ａ，９ｃのそれぞれは、交換胴フレーム３に偏心回転可
能に支持された偏心回動部材１０ａ，１０ｂに支持され
ている。各胴４〜６の交換胴フレーム３に対する軸受に
よる支持構造は軸方向両側で同一である。

【００１２】そして版胴４とブランケット胴５の各軸４
ａ，５ａに互いに噛み合う歯車１１，１２が固着されて
おり、また圧胴６の軸６ａにはブランケット胴５側の歯
車１２に噛み合う歯車１３が回転自在に支持されてい
る。この歯車１３は電磁クラッチ１４を介して圧胴６の
軸６ａに係脱可能に結合されるようになっている。上記
版胴４の歯車１１はセクショナルモータ７ａ〜７ｄの駆
動歯車１５に噛み合うようになっている。上記各歯車１
１〜１３のピッチ円は各胴の径と同一になっている。

【００１３】なお、版胴４の歯車１１とセクショナルモ
ータ７ａ〜７ｄの駆動歯車１５との噛み合いは、交換胴
フレーム３の交換に従って係脱できるようになってい
る。

【００１４】また、上記各偏心回動部材１０ａ，１０ｂ
は図示しないシリンダー装置等の駆動手段にて回動駆動
することによりブランケット胴５と圧胴６の軸心位置が
調整されるようになっている。そして圧胴６側の偏心回
動部材１０ｂを回動することにより、ブランケット胴５
と圧胴６間を通る輪転紙２に対する印圧の調整がなさ
れ、また、ブランケット胴５側の偏心回動部材１０ａを
大きく回動することにより、版胴４及び圧胴６からブラ
ンケット胴５が離間する位置まで移動するようになって
いる。このとき、各胴４，５，６は互いに離間するが、
各胴４，５，６の歯車１１，１２，１３相互の噛み合い
ははずれることなく、セクショナルモータ７ａ〜７ｄに
て駆動可能になっている。

【００１５】各印刷ユニット１ａ〜１ｄに設けられるセ
クショナルモータ７ａ〜７ｄは、この各モータを所定の
基準回転数で回転制御する主制御器１６と、この主制御
器１６による制御に対してモータを停止するクラッチ制
御部１７ａとモータが回転速度を微細に調整する差動制
御部１７ｂと、停止後のモータを再び上記制御器１６に
よる基準回転数まで加速する加速制御部１７ｃとを有す
る副制御器１７にて制御されるようになっている。そし
てこの副制御器１７の各部は手動操作部１８にて操作で
きるようになっている。

【００１６】上記構成において、図１は４台ある印刷ユ
ニット１ａ〜１ｄのうち、第２と第４の印刷ユニット１
ｂ，１ｄでノンストップで版替えしている状態を示す。
すなわち、第１・第３の印刷ユニット１ａ，１ｃにて印
刷している間に、第２、第４の印刷ユニット１ｂ，１ｄ
の電磁クラッチ１４をオフにしてそれぞれの圧胴６をフ
リー状態にし、これと同時にブランケット胴５側の偏心
回動部材１０ａを回動してブランケット胴５を版胴４と
圧胴６から離間する。この状態で圧胴６は空転し、輪転
紙２はこの圧胴６に案内されてテンションが変化するこ
となく走行される。

【００１７】ついでこの第２・第４の印刷ユニット１
ｂ，１ｄのセクショナルモータ７ｂ，７ｄを停止して各
版胴４，４を手動で回転し、あるいはセクショナルモー
タ７ｂ，７ｄにてゆっくり回転させ、この間に版胴４，
４の刷版を交換する。このとき、ブランケット胴５の移
動によって版胴４とブランケット胴５は離間しているの
で刷版の交換が容易である。

【００１８】印刷中の第１・第３の印刷ユニット１ａ，
１ｃによる残り印刷枚数が所定の枚数になった時点で、
第２・第４のセクショナルモータ７ｂ，７ｄを徐々に加
速制御及び差動制御して版胴４とブランケット胴５の周
速を輪転紙２の走行速度と同速にすると共に、位相合せ
を行い、その後電磁クラッチ１４をオンにして圧胴６の
軸６ａと圧胴６の歯車１３とを連結しておく。

【００１９】第１・第３の印刷ユニット１ａ，１ｃによ
る印刷枚数が設定枚数に達したときに、第２・第４の印
刷ユニット１ｂ，１ｄのそれぞれのブランケット胴５側
の偏心回動部材１０ｂを回動してそれぞれのブランケッ
ト胴５を移動して版胴４及び圧胴６に接触させる。これ
により版胴４の刷版の絵柄が輪転紙２に印刷される。

【００２０】一方これと同時に第１・第３の印刷ユニッ
ト１ａ，１ｃのブランケット胴５を偏心回動部材１０ｂ
の回動により移動して圧胴６との連結を離間すると共に
圧胴６の電磁クラッチ１４をオフにし、さらに各印刷ユ
ニット１ａ，１ｃのセクショナルモータ７ａ，７ｃを停
止する。この状態で輪転紙２への印刷は第１・第３の印
刷ユニット１ａ，１ｃから第２・第４の印刷ユニット１
ｂ，１ｄへ移行し、第１・第３の印刷ユニット１ａ，１
ｃは待機状態となり、この間に第１・第３の印刷ユニッ
ト１ａ，１ｃの版胴４の刷版を交換する。

【００２１】上記した実施の形態では交換胴タイプの印
刷ユニット１ａ〜１ｄを用いた例を示したが、これは非
交換胴タイプのものでもよい。また、版胴とブランケッ
ト胴と圧胴の３胴を用いたオフセット印刷機以外に、版
胴に直接圧胴を接触させて印刷する２胴式の印刷機を用
いてもよい。この場合圧胴は版胴に対して接離可能にす
る。

【００２２】

【発明の効果】本発明によれば、同一構成の印刷ユニッ
トを複数用い、これの少なくとも１つの印刷ユニットの
版胴あるいはブランケット胴を圧胴から切離すことによ
り、この少なくとも１つの印刷ユニットの版胴の刷版の
交換を行うことができ、従来のサテライト構成の印刷ユ
ニットの場合に比べてノンストップで刷版を交換するよ
うにした輪転印刷機の構成を極めて簡単にすることがで
きる。

【００２３】各印刷ユニットは個々にセクショナルモー
タにて駆動されるので、共通の原動軸を用いて各印刷ユ
ニットを駆動する従来の輪転印刷機に比べて複雑な速度
位相追従機構が不要となって各印刷ユニットの構成を簡
単にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を概略的に示す構成説明図
である。

【図２】動力の伝達機構を示す一部破断説明図である。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ，１ｃ，１ｄ…印刷ユニット、２…輪転紙、
３…交換胴フレーム、４…版胴、５…ブランケット胴、
６…圧胴、４ａ，５ａ，６ａ…軸、７ａ，７ｂ，７ｃ，
７ｄ…セクショナルモータ、８…フレーム、９ａ，９
ｂ，９ｃ…軸受、１０ａ，１０ｂ…偏心回動部材、１
１，１２，１３…歯車、１４…電磁クラッチ、１５…駆
動歯車、１６…主制御器、１７…副制御器、１７ａ…ク
ラッチ制御部、１７ｂ…差動制御部、１７ｃ…加速制御
部、１８…手動操作部。

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｂ４１Ｆ 33/00 Ｂ４１Ｆ 13/10 Ａ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 互いに対向する版胴と圧胴、または版胴
   とブランケット胴と圧胴とを、版胴から圧胴へ動力が伝
   達されるようにして設けた２胴式または３胴式の印刷ユ
   ニットを輪転紙の走行方向に複数配置し、 各印刷ユニットの圧胴の入力部に、版胴からあるいはブ
   ランケット胴からの動力の伝達を切離して圧胴をフリー
   回転するようにしたクラッチを設け、 圧胴に対向する版胴またはブランケット胴を圧胴に対し
   て接離可能に支持し、 各印刷ユニットに回転速度を制御可能にしたセクショナ
   ルモータを版胴に連結して設けた、 ことを特徴とする輪転印刷機。
2. 【請求項２】 ２胴式または３胴式の印刷胴部を、印刷
   ユニットに対して交換可能にしたことを特徴とする請求
   項１記載の輪転印刷機。