JP4235960B2 - 長尺印刷物用印刷装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも２つ以上の印刷ユニットを用いて、１つの印刷ユニットの版胴の周長より長い天地サイズの絵柄を印刷可能にした長尺印刷物用印刷装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
この種の長尺印刷の一例として７０インチ（１７７８ｍｍ）から９０インチ（２２８６ｍｍ）の任意の天地サイズで印刷を行う場合、従来は、直径が６００ｍｍ前後の大径の版胴及びブランケット胴を天地サイズ毎に揃えてこれを交換使用するか、特殊な方法であるが、エンドレスのベルトの表面に凸版を形成し、このベルト状凸版を版胴とガイドローラに巻き掛けて回転し、版胴に設けたトラックピンにより走行させ、版胴とこれに転接する圧胴との間を走行する用紙に上記凸版の絵柄を印刷する方法がある。
【０００３】
また、他の従来の技術として実開昭６３−１８９６３３号公報に示されたように、複数の小型の印刷ユニットを用い、これの各印刷ユニットの版胴にてタイミングを合わせてスキップ印刷して、それぞれの版胴の周長の合計長の範囲内で任意の天地サイズの絵柄を複合印刷するようにしたものがある。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記第１の従来の技術の大径版胴方式では、版胴はもちろん、印刷機自体が大型になってしまい、設備費が高価になってしまう。また、第２の従来の技術の技術のベルト方式では、ベルト面に設けた凸版による印刷であるため、印刷品質がオフセット並に良くすることができず、また版自体がベルトになっていて、かつトラックピンにて送りがかけられるため、位置精度や、トラックピンに係合するピン孔がベルトの側端部に設けられていて版寿命の点でも問題があった。
【０００５】
また第３の従来の技術では、上記第１・第２の問題点はなく、複数の版胴の周長の合計サイズ内において任意の天地サイズの絵柄を印刷することができるが、この従来の技術のものは、各印刷ユニットの版胴は用紙の走行速度と同速の周速で常時回転しているため、各版胴による印刷の間隔は版胴の周長の整数倍となり、複数の版胴により複合印刷される絵柄は必ず、各版胴の合計周長ごとに１ずつ印刷されることになる。このため、上記複合印刷による絵柄の天地サイズが上記合計周長より短い場合には、この各絵柄と絵柄の間に、合計周長と絵柄の天地サイズの差分だけ空白地が生じてしまい、この分だけ用紙がムダになると共に、印刷後のカット時にも、上記空白地を切り落とすためにカット数が多くなる等の後処理に問題があった。
【０００６】
本発明は上記のことにかんがみなされたもので、任意の天地サイズの絵柄を、各絵柄の相互間に空白地が生じることなく連続して印刷できるようにした長尺印刷物用印刷装置を提供することを目的とするものである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る長尺印刷物用印刷装置は、印刷胴に対して圧胴を接離可能に設けた印刷ユニットを用紙の走行方向に複数配列し、各印刷ユニットの圧胴をタイミングをとって選択的に接離することにより、順次天地方向に位置がずれていると共に、天地方向に連続した絵柄を印刷し、印刷胴の周長より長い天地サイズの印刷物を得るようにした長尺印刷物用印刷装置において、複数の印刷ユニット間を走行する用紙を、各印刷ユニットの印刷胴間にわたって直線状に紙通しして、印刷胴に対して接離動作する圧胴に用紙が巻き掛からないようにし、印刷胴の回転周速度を、圧胴の接離動作と連動して可変にした構成になっている。
【０００８】
そして上記構成の長尺印刷物用印刷装置において、各印刷ユニットの印刷胴に変速調整可能にした駆動モータを連結し、印刷胴と圧胴とを歯車にて連結した。
【０００９】
【作 用】
圧胴が印刷胴から離間している間、すなわち、用紙への印刷が行われていない間における印刷胴の回転周速を、圧胴が印刷物に転接している印刷時に周速より遅く、あるいは速くすることができる。
【００１０】
これにより、各印刷ユニットにおいての印刷が行われない部分の天地方向の長さを任意にとることができる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図中１は複数の印刷ユニット１ａ，１ｂ，１ｃを有するオフセット印刷機であり、各印刷ユニット１ａ，１ｂ，１ｃは版胴２、ブランケット胴３、圧胴４からなっており、ブランケット胴３と圧胴４の間で図１に示すように、各印刷ユニットの版胴間にわたって直線状に用紙５が走行し、用紙が圧胴に巻き掛からないようになっている。上記各胴２，３，４のそれぞれの軸２ａ，３ａ，４ａは前後のフレーム６ａ，６ｂに支承されている。版胴２の軸２ａとブランケット胴３の軸３には互いに噛合する同歯数の歯車７，８が固着されており、版胴２の歯車７に各印刷ユニット毎に設けた駆動モータ９の出力軸に固着した駆動歯車１０に噛合されていて、上記版胴２とブランケット胴３は駆動モータ９にて回転駆動されるようになっている。この駆動モータ９は任意な回転速度に調整可能になっている。
【００１２】
一方、圧胴４の軸４ａには歯車１１が固着されており、この歯車１１にオフセット印刷機全体を駆動する原動機に連結された駆動源１２に連結した中間歯車１３が噛合されていて、圧胴４は駆動源１２にて用紙５の走行速度と同速の周速にて回転駆動されるようになっている。
【００１３】
上記圧胴４の軸４ａをフレーム６ａ，６ｂに支承する軸受１４ａ，１４ｂはフレーム６ａ，６ｂに対して回転可能に支持されていると共に、このフレーム６ａ，６ｂに対する回転中心Ｏ_１に対して軸４ａの軸心Ｏ_２が偏心されている。そして軸受１４ａ，１４ｂにはレバー１５ａ，１５ｂが同一方向に突設してあり、それぞれにシリンダ装置１６ａ，１６ｂが連結されており、このシリンダ装置１６ａ，１６ｂを伸縮動作することにより軸受１４ａ，１４ｂがフレーム６ａ，６ｂに対して偏心回転されて軸４ａの軸心Ｏ_２が移動し、ブランケット胴３に対して圧胴４が接離するようになっている。
【００１４】
上記構成において、用紙５はオフセット印刷機１の原動機により駆動される用紙走行装置により一定の速度で走行されている。一方各印刷ユニット１ａ，１ｂ，１ｃの圧胴４は上記用紙５の走行速度と同一の周速で回転している。また版胴２とブランケット胴３の回転は各ユニット毎に駆動モータ９にて独立して、かつ任意の周速で回転される。そして駆動モータ９を変速することにより、ブランケット胴３の回転は、これに圧胴４が転接しているときには用紙５の走行速度と同速になるように回転し、圧胴４が離間しているときには、この用紙５の走行速度より速い、あるいは遅い回転速度で回転される。
【００１５】
次に上記構成によるオフセット印刷機１において、例えば版胴２及びブランケット胴３の周長を４５インチにした２つの印刷ユニット１ａ，１ｂを用いて天地サイズが７０インチの長尺の絵柄を印刷する場合の作用を図４を参照して説明する。なおこのとき、第１の印刷ユニット１ａのブランケット胴３−_１にて４０インチ、第２の印刷ユニット１ｂのブラケット３−_２にて３０インチの絵柄をそれぞれ印刷して天地サイズが合計７０インチの絵柄を印刷するようにする。また図４ではブランケット胴３−_１，３−_２のみを示し、各ブランケット胴３−_１，３−_２による印刷部分Ａ，Ｂはしま模様と散点模様で示した。そしてこの印刷部分は圧胴が各ブランケット胴３−_１，３−_２に転接したことを示す。
【００１６】
図４において、第１の印刷ユニット１ａのブランケット胴３−_１は４０インチ（ａ−ｂ）の絵柄Ａを印刷した状態である。この状態から用紙５が３０インチ（次の印刷ユニット１ｂにて印刷する分）だけブランケット胴３−_１から圧胴４を離間させる。そしてこの状態から用紙５が３０インチ走行する間にブランケット胴３−_１の絵柄の先頭ａが用紙５に接する位置にくる分だけブランケット胴３−_１を回転する。このとき、絵柄の先頭ａが用紙５に接する位置にくるにはｂ−ａだけ回転すればよいが、このａ−ｂの周長は５インチであるのに対して用紙５の走行距離は３０インチであるので、この間のブランケット胴３−_１の回転周速はその差分だけゆっくり回転させる。そして絵柄の先頭ａが用紙５に接する位置にきたとき圧胴４をブランケット胴３−_１に転接させると共に、ブランケット胴３−_１をこれの周速が用紙５の走行速度となるように回転させる。
【００１７】
これにより、用紙５には第１のブラケット胴３−_１にて３０インチ毎に４０インチの絵柄Ａが印刷される。
【００１８】
用紙５の走行下流側に位置する第２の印刷ユニット１ｂのブランケット胴３−_２は絵柄Ａの終端がブランケット胴３−_２に対向する位置にきたときにブランケット胴３−_２の絵柄の先頭ａ′が用紙５に接する位置にくるようにし、この状態で圧胴４を転接させると共に、ブランケット胴３−_２を用紙５の走行速度で回転させる。そしてブランケット胴３−_２が３０インチの周長分だけ回転したときに圧胴４をブランケット胴３−_２から離間させる。その後ブランケット胴３−_２の回転を遅くして、用紙５が４０インチ走行する間にブランケット胴３−_２を１５インチの周長分だけ回転させて再び上記作動を行う。
【００１９】
上記作動により第１の印刷ユニット１ａのブランケット胴３−_１による４０インチの絵柄Ａと、第２の印刷ユニット１ｂのブランケット胴３−_２による３０インチの絵柄Ｂが連続状に印刷されて７０インチのつなぎ合わせ絵柄が印刷される。そして各ブランケット胴３−_１，３−_２は上記したように、これの先頭ａ，ａ′を任意のタイミングで用紙５に接する位置に回転させることができるので、上記複合絵柄を相互間に空白部が生じることなく印刷される。
【００２０】
上記作動において、各ブランケット胴３−_１，３−_２の非印刷周長分の回転を用紙５の走行速度よりも遅くした場合を示したが、これは速くしてもよい。
【００２１】
すなわち、図４に示した第１のブランケット胴３−_１において、用紙５が３０インチ走行する間にブランケット胴３−_１を１回転とａ−ｂの周長分だけ回転する。また第２のブランケット胴３−_２において、用紙５が４０インチ走行する間にブランケット胴３−_２を１回転とａ′−ｂ′の周長分だけ回転する。
【００２２】
上記した実施の形態では版胴２とブランケット胴３（３−_１，３−_２）を駆動モータ９にて用紙５の走行速度から独立して単独に駆動するようにし、圧胴４は用紙５の走行速度と同期して駆動するようにした例を示したが、この圧胴４をブランケット胴３に連動させて、ブランケット胴３と同期回転させてもよい。なお、この実施の形態においてもブランケット胴３に対して圧胴４が接離動作するが、ブランケット胴３から圧胴４が離間したときにもこの両者の伝動連結（歯車結合）は切れないようにする。
【００２３】
また上記各実施の形態において、版胴２にインキを供給するインキ装置の各ローラも上記版胴２とブランケット胴３、あるいは版胴２とブランケット胴３に圧胴４を独立して駆動する駆動モータ９にて回転駆動するようにしてもよい。この場合インキ装置の各ローラの周速を版胴２の周速に同期することができる。
【００２４】
なお、上記実施の形態では、版胴２に転接するブランケット胴３に圧胴４を転接するようにしたオフセット印刷機での例で示したが、これは版胴に圧胴を直接転接するようにしたオフセット方式でない輪転印刷機においても適用されることはいうまでもない。このことからオフセット方式の版胴２に転接するブランケット胴３、あるいは非オフセット方式の版胴を印刷胴とし、この印刷胴に圧胴を接離可能に転接する。
【００２５】
【発明の効果】
本発明によれば、圧胴が印刷胴から離間している間、すなわち、用紙への印刷が行われていない間における印刷胴の回転周速を、圧胴が印刷物に転接している印刷時に周速より遅く、あるいは速くすることができ、これにより、各印刷ユニットにおいての印刷が行われない部分の天地方向の長さを任意にとることができる。
【００２６】
従って、各印刷ユニットの印刷胴の周長の合計長さより短い長さ内で任意の天地サイズで印刷するつなぎ合わせ絵柄を、これの相互間に空白地が生じることなく印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明を適用するオフセット印刷機を示す正面図である。
【図２】本発明の要部を示す一部破断側面図である。
【図３】本発明の要部を示す正面図である。
【図４】本発明の作用説明図である。
【符号の説明】
１…オフセット印刷機、１ａ，１ｂ，１ｃ…印刷ユニット、２…版胴、３，３−_１３−_２…ブランケット胴、４…圧胴、２ａ，３ａ，４ａ…軸、５…用紙、６ａ，６ｂ…フレーム、７，８，１０，１１，１３…歯車、９…駆動モータ、１２…駆動源、１４ａ，１４ｂ…軸受、１５ａ，１５ｂ…レバー、１６ａ，１６ｂ…シリンダ装置。

Claims (2)

1. 印刷胴に対して圧胴を接離可能に設けた印刷ユニットを用紙の走行方向に複数配列し、各印刷ユニットの圧胴をタイミングをとって選択的に接離することにより、順次天地方向に位置がずれていると共に、天地方向に連続した絵柄を印刷し、印刷胴の周長より長い天地サイズの印刷物を得るようにした長尺印刷物用印刷装置において、
   複数の印刷ユニット間を走行する用紙を、各印刷ユニットの印刷胴間にわたって直線状に紙通しして、印刷胴に対して接離動作する圧胴に用紙が巻き掛からないようにし、
   印刷胴の回転周速度を、圧胴の接離動作と連動して可変にしたことを特徴とする長尺印刷物用印刷装置。
2. 各印刷ユニットの印刷胴に変速調整可能にした駆動モータを連結し、印刷胴と圧胴とを歯車にて連結したことを特徴とする請求項１記載の長尺印刷物用印刷装置。

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