JP5582697B2 - 印刷装置及び印刷方法 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷装置及び印刷方法に関し、特に、版が設けられた版胴を回転させ、走行する材料に対して製品毎に印刷を順次行う印刷技術に関する。
従来、連続して走行するシート状の材料に対し、製品毎に一定間隔で印刷を連続して行うフレキソ印刷機が知られている。フレキソ印刷機は、印刷面となる版が設けられた版胴を回転させ、その版にインクを供給することにより材料に対して印刷を行う輪転式の印刷機である。フレキソ印刷機には、センタードラム方式、スタック方式及びインライン方式がある。特に、インライン方式のフレキソ印刷機は、版胴と圧胴とが1ユニットになっており、ユニットを追加すれば印刷色を増やすことができるから、比較的簡単に印刷色を増やすことができる点で他の方式よりも有用である。
このようなインライン方式のフレキソ印刷機において、その制御方式には、完全同期式とロータリー式がある。完全同期式は、版胴の周長(以下、版胴周長という。)と印刷物である材料の製品長とを同一に設定し、版胴と材料とを同期させ、すなわち、版胴の回転速度と材料の走行速度とを同一にして印刷を行う方式である(特許文献1〜3を参照)。
一方、ロータリー式は、版胴周長と製品長とを同一に設定する必要がなく、版胴周長を固定にし、製品長に応じて版胴自体を加減速制御することにより印刷を行う方式である(特許文献4を参照)。具体的には、ロータリー式のフレキソ印刷機は、材料を一定の速度で走行させ、印刷が終了してから次の製品の印刷が開始するまでの間に、版胴を加減速制御することにより、版胴周長と製品長との間の差を吸収する。これにより、回転する版胴に設けられた版を、走行する材料における製品毎の印刷位置に合わせることができる。例えば、版胴周長が製品長よりも長い場合、印刷が完了した後、版を次の製品の印刷開始位置にすばやく合わせるため、版胴を加速して減速するか、または、加速して一定速度にした後に減速する(特許文献4の図2a及びbを参照)。一方、版胴周長が製品長よりも短い場合、印刷が完了した後、次の製品の印刷開始位置が来るまで版胴を待たせる必要があるため、版胴を減速して加速するか、または、減速して停止させた後加速する(特許文献4の図3a及びbを参照)。このような完全同期式及びロータリー式のフレキソ印刷機はいずれも、一定速度で走行している材料に対して版胴を同期制御する。
特開2003−118082号公報 特開2002−301803号公報 特開2000−187222号公報 特開昭58−197084号公報
ところで、完全同期式のフレキソ印刷機において、版胴周長と製品長とが同一でない場合には、製品長と同一の周長を有する版胴に機械的に交換する必要がある。この場合、周長の異なる複数の版胴を予め用意しておく必要があり、または、製品長と同一の周長にするための取り外し可能なスリーブ式版胴を予め用意しておく必要がある。
一方、ロータリー式のフレキソ印刷機は、製品長に応じて版胴を加減速制御するから、版胴周長と製品長とが同一でない場合であっても、同じ版胴を使用することができ、異なる製品長毎に版胴を機械的に交換する必要がない。したがって、ロータリー式のフレキソ印刷機は、完全同期式に比べて取り扱いが容易であるといえる。
しかしながら、ロータリー式のフレキソ印刷機では、一般に版胴の慣性が大きいことから、俊敏な加減速制御を行うことができない。このため、版胴周長と製品長との差が大きい場合には、版胴の加減速サイクルを短くすることができず、一定速度で走行する材料の印刷速度を上げることができない。つまり、材料から得られる製品の生産速度を上げることができないという問題があった。
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、走行する材料に対し、回転する版胴により印刷を順次行う際に、材料の印刷速度を上げることが可能な印刷装置及び印刷方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明による印刷装置は、版が設けられた版胴を回転させ、走行している材料を構成する一定長の製品毎に前記版により印刷を順次行う印刷装置において、一定速度で前記版胴を回転させるための版胴速度指令を生成する版胴速度指令生成部と、前記製品に対する印刷の開始から終了までの期間について、当該製品における所定の印刷開始位置から所定の印刷終了位置までの間で印刷を行う際の、前記版胴速度指令で回転する版胴と同一の速度で走行させるための材料速度指令を生成し、当該製品に対する印刷の終了から次の製品に対する印刷の開始までの期間について、前記所定の印刷終了位置から当該製品の終端までの間及び前記終端から前記次の製品における所定の印刷開始位置までの間で、前記材料の走行を加減速させて、前記次の製品における印刷位置を前記版に合わせるための材料速度指令を生成する材料速度指令生成部とを備え、前記版胴を版胴速度指令により一定速度で回転させている状態で、前記材料速度指令により前記材料の走行が前記版胴の回転に追従するように、前記製品毎に印刷を行う場合に、前記製品毎に所定間隔で付されたマークを検出するためのマークセンサが設けられ、前記材料速度指令生成部が、前記マークセンサにより検出されたマーク検出信号の入力タイミング、及び前記版胴の回転位置に基づいて、前記製品の印刷終了時に、予め設定された製品長を補正して実製品長を算出する実製品長算出部と、前記版胴の周長と前記製品の印刷終了時に算出された実製品長との間の差に基づいて、前記版胴の回転及び前記材料の走行に伴った速度を求め、前記速度を、前記印刷終了した製品の次の製品についての同調速度として生成する同調速度生成部と、前記予め設定された製品長と前記製品の印刷終了時に算出された実製品長との間の差、及び前記印刷終了位置と前記製品の終端との間の予め設定された距離に基づいて、停止距離を求め、前記停止距離から前記材料の走行に伴った速度を求め、前記速度を、前記印刷終了した製品の次の製品についての停止速度として生成する停止速度生成部とを備え、前記材料が版胴に挟挿される位置に、前記製品の開始端から印刷開始位置を経て印刷終了位置までが存在する期間は、前記同調速度を材料速度指令として出力し前記挟挿位置に、前記印刷終了位置から製品の終端までが存在する期間は、前記停止速度を材料速度指令として出力することを特徴とする。
また、本発明による印刷装置は、前記材料速度指令生成部が、前記印刷の終了から次の製品に対する印刷の開始までの期間について、前記材料の走行を減速させて停止し、そして加速させ、または、前記材料の走行を加速させて一定速度の後減速させて次の製品における所定位置前記版合わせるための材料速度指令を生成することを特徴とする。
また、本発明による印刷装置は、前記版胴が複数設けられ、前記版胴速度指令生成部が、前記複数の版胴のうちの一つをマスター版胴とし、他をスレーブ版胴とした場合、前記マスター版胴の回転位置とスレーブ版胴の回転位置との間の位相差を算出し、前記位相差に伴う速度指令を生成し、前記一定速度でマスター版胴を回転させるためのマスター版胴用の版胴速度指令を生成すると共に、前記マスター版胴用の版胴速度指令及び前記位相差に伴う速度指令に基づいて、前記スレーブ版胴用の版胴速度指令を生成することを特徴とする。
また、本発明による印刷装置は、前記版胴速度指令生成部が、さらに、前記材料の伸縮に伴うズレ量を算出し、前記マスター版胴用の版胴速度指令、並びに、前記位相差及びズレ量に伴う速度指令に基づいて、前記スレーブ版胴用の版胴速度指令を生成することを特徴とする。
また、本発明による印刷装置は、前記同調速度生成部が、前記版胴の回転位置から速度を算出して基準速度を求めると共に、前記版胴の周長と前記製品の印刷終了時に算出された実製品長との間の差をプリセット値としたカウンターにより、前記版胴の回転及び前記材料の走行に伴ってプリセット値から減算した結果をカウント値として出力し、前記カウント値に応じた材料偏差速度を求め、前記基準速度から材料偏差速度を減算し、前記印刷終了した製品の次の製品についての同調速度を生成することを特徴とする。
また、本発明による印刷装置は、前記同調速度生成部が、前記製品の印刷終了時に算出された実製品長に基づいて、前記印刷終了した製品の次の製品についての同調速度における加速度を算出することを特徴とする。
また、本発明による印刷装置は、前記停止速度生成部が、前記予め設定された製品長と前記製品の印刷終了時に算出された実製品長との間の差、及び前記印刷終了位置と前記製品の終端との間の予め設定された距離に基づいて停止距離を求め、前記停止距離をプリセット値としたカウンターにより、前記材料の走行に伴ってプリセット値から減算した結果をカウント値として出力し、前記カウント値に応じて、前記印刷終了した製品の次の製品についての停止速度を生成することを特徴とする。
また、本発明による印刷装置は、前記停止速度生成部が、前記製品の印刷終了時に算出された実製品長に基づいて、前記印刷終了した製品の次の製品についての材料速度指令における減速度を算出することを特徴とする。
また、本発明による印刷装置は、前記停止速度生成部が、前記同調速度生成部により求めた基準速度に基づいて、前記停止速度に制限を施すことを特徴とする。
また、本発明による印刷装置は、前記材料速度指令生成部が、前記同調速度または停止速度を選択して出力するセレクタを備え、前記セレクタが、前記同調速度が正の値のときに、前記同調速度を材料速度指令として出力し、印刷が終了した後前記同調速度が正の値になるまでの間に、前記停止速度を材料速度指令として出力することを特徴とする。
また、本発明による印刷方法は、版が設けられた版胴を回転させ、走行している材料を構成する一定長の製品毎に前記版により印刷を順次行う印刷方法において、一定速度で前記版胴を回転させるための版胴速度指令を生成する第1のステップと、前記製品に対する印刷の開始から終了までの期間について、当該製品における所定の印刷開始位置から所定の印刷終了位置までの間で印刷を行う際の、前記版胴速度指令で回転する版胴と同一の速度で走行させるための材料速度指令を生成する第2のステップと、当該製品に対する印刷の終了から次の製品に対する印刷の開始までの期間について、前記所定の印刷終了位置から当該製品の終端までの間及び前記終端から前記次の製品における所定の印刷開始位置までの間で、前記材料の走行を加減速させて、前記次の製品における印刷位置を前記版に合わせるための材料速度指令を生成する第3のステップとを有し、前記版胴を版胴速度指令により一定速度で回転させている状態で、前記材料速度指令により前記材料の走行が前記版胴の回転に追従するように、前記製品毎に印刷を行う場合に、前記第2及び第3のステップが、前記製品毎に所定間隔で付されたマークを検出するためのマークセンサにより検出されたマーク検出信号の入力タイミング、及び前記版胴の回転位置に基づいて、前記製品の印刷終了時に、予め設定された製品長を補正して実製品長を算出し、前記版胴の周長と前記製品の印刷終了時に算出された実製品長との間の差に基づいて、前記版胴の回転及び前記材料の走行に伴った速度を求め、前記速度を、前記印刷終了した製品の次の製品についての同調速度として生成し、前記予め設定された製品長と前記製品の印刷終了時に算出された実製品長との間の差、及び前記印刷終了位置と前記製品の終端との間の予め設定された距離に基づいて、停止距離を求め、前記停止距離から前記材料の走行に伴った速度を求め、前記速度を、前記印刷終了した製品の次の製品についての停止速度として生成し、前記材料が版胴に挟挿される位置に、前記製品の開始端から印刷開始位置を経て印刷終了位置までが存在する期間は、前記同調速度を材料速度指令として出力し、前記挟挿位置に、前記印刷終了位置から製品の終端までが存在する期間は、前記停止速度を材料速度指令として出力することを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、材料の走行速度を版胴の回転速度に追従させ、材料の走行速度を制御することにより、製品毎に印刷を順次行うようにした。具体的には、版胴を一定速度で回転させ、材料に対する印刷の開始から終了までの期間は、材料を版胴と同一の速度で走行させ、印刷の終了から次の印刷の開始までの期間は、材料の走行を加減速させるようにした。これにより、慣性の大きい版胴は、一定速度で回転させればよく加減速制御する必要がないから、加減速サイクルを短くすることができる。したがって、材料の印刷速度を上げることが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
本発明の特徴は、材料を、一定速度で回転する版胴に追従させ、材料の走行を加減速制御することにより、製品毎に印刷を順次行うことにある。具体的には、印刷の開始から終了までの期間は、版胴の回転速度と同一の速度で材料を走行させる。また、印刷の終了から次の製品における印刷の開始までの期間は、次の製品における印刷開始位置から印刷できるように、材料の走行を加減速させる。これにより、慣性の大きい版胴に対しては、一定速度で回転させればよく加減速制御する必要がないから、版胴に設けられた版を次の製品の印刷開始位置に合わせるまでの時間を短くすることができ、加減速サイクルを短くすることができる。したがって、材料の印刷速度を上げることが可能となる。
〔フレキソ印刷機〕
まず、フレキソ印刷機について説明する。図1は、本発明の実施形態による印刷装置を含むフレキソ印刷機の全体構成の概略を説明する図である。このフレキソ印刷機10は、材料17の巻き出しを行う巻出機18と、材料17が挟挿されて版により印刷を行う版胴(1)11−1、版胴(2)11−2及び圧胴(1)12−1、圧胴(2)12−2と、一定量の材料17の溜め込みを行うダンサー20−1,20−2と、版胴11−1及び圧胴12−1による印刷の1色目と版胴11−2及び圧胴12−2による印刷の2色目との柄合わせを行うコンペンセータ21と、材料17を巻出機18から巻取機19まで走行させるアウトフィード14と、材料17の巻き取りを行う巻取機19と、版胴11−1,11−2及びアウトフィード14の速度制御等を行う印刷装置30とを備えて構成される。版胴11−1,11−2には、材料17に印刷を行うための版がそれぞれ設けられている。
フレキソ印刷機10は、さらに、版胴11−1を回転させる版胴(1)用モータ15−2(M2)と、版胴11−2を回転させる版胴(2)用モータ15−3(M3)と、アウトフィード14及び圧胴12−1,12−2を回転させるアウトフィード用モータ15−1(M1)と、これらのモータの回転位置及び速度等を検出する版胴(1)用エンコーダ16−2、版胴(2)用エンコーダ16−3及びアウトフィード用エンコーダ16−1と、材料17の製品毎に付されたマークを検出するマークセンサ13−1,13−2とを備えて構成される。
ダンサー20−1は、巻出機18の近傍に設けられ、アウトフィード14が材料17を走行させるときに、巻出機18がアウトフィード14に対して負荷にならないようにするため、一定量の材料17の溜め込みを行う。ダンサー20−1が設けられていない場合は、アウトフィード14と巻取機19との間で材料17が伸びてしまう。また、ダンサー20−2は、巻取機19の近傍に設けられ、アウトフィード14が材料17を走行させて巻取機19が材料17を巻き取るときに、巻取機19がアウトフィード14に対して負荷にならないようにするため、一定量の材料17の溜め込みを行う。ダンサー20−2が設けられていない場合は、アウトフィード14は、巻取機19による材料17への張力の影響を受けてしまい、アウトフィード用モータ15−1により材料17を適切な速度で走行させることができなくなる。
コンペンセータ21は、版胴11−1及び圧胴12−1による材料17に対する1色目の印刷と、版胴11−2及び圧胴12−2による材料17に対する2色目の印刷とを製品単位で同期させるための柄合わせを行う。具体的には、版胴11−1及び圧胴12−1と版胴11−2及び圧胴12−2との間に存在する材料17の長さが、材料17から得られる製品の長さ(製品長)の所定倍になるように、材料17の長さを調整する。尚、材料17の長さが製品長の所定倍でない場合は、1色目の印刷と2色目の印刷とが製品単位で同期しないから、印刷位置がずれてしまうことになる。
印刷装置30は、版胴速度指令生成部100及びアウトフィード速度指令生成部(材料速度指令生成部)200を備えている。印刷装置30は、版胴11−1及び圧胴12−1の後段に設けられたマークセンサ13−1により検出されたマークの位置を補正するM2マーク補正値、版胴11−1,11−2の回転速度を定めるための基準速度指示、版胴11−2及び圧胴12−2の後段に設けられたマークセンサ13−2により検出されたマークの位置を補正するM3マーク補正値、マスターとなる版胴の周長B0(本例の場合は版胴11−1の周長)、材料17の製品長L、版胴(1)原点信号、版胴(1)用エンコーダ16−2からの版胴(1)エンコーダ信号、版胴(2)原点信号、版胴(2)用エンコーダ16−3からの版胴(2)エンコーダ信号、アウトフィード用エンコーダ16−1からのアウトフィードエンコーダ信号、及び、マークセンサ13−1,13−2からのマーク検出信号をそれぞれ入力する。ここで、版胴(1)原点信号及び版胴(2)原点信号は、版胴11−1,11−2に設けられた版胴の原点(材料17における製品の開始端に対応する位置)を検出するための原点検出センサーによりそれぞれ出力される。
印刷装置30の版胴速度指令生成部100は、版胴11−1の速度指令であるM2速度指令を生成し、版胴(1)用モータ15−2へ出力すると共に、版胴11−2の速度指令であるM3速度指令を生成し、版胴(2)用モータ15−3へ出力する。また、アウトフィード速度指令生成部200は、アウトフィード14の速度指令であるM1速度指令を生成し、アウトフィード用モータ15−1へ出力する。
図2は、アウトフィード14の速度指令であるM1速度指令のパターン、材料17への印刷手順、及び材料17の動きを説明する図である。図2に示すように、M1速度指令は、加速(u〜v)及び一定速(v〜w)の速度遷移VA−VCと、減速(w〜x)及び停止(x〜y)の速度遷移VBとからなる速度パターンが繰り返された指令である。ここで、速度遷移VA−VCのうちの一定速(v〜w)は、版胴11−1と同一の速度である。図1に示した印刷装置30のアウトフィード速度指令生成部200は、このような速度パターンを生成し、M1速度指令としてアウトフィード用モータ15−1へ出力する。これにより、材料17は、この速度パターンで走行することになる。
また、図2に示すように、材料17には、製品長Lの製品毎に印刷(1)及び印刷(2)が形成され、製品長Lの製品毎にこのような印刷が行われることにより、複数の連続した製品が生産される。また、材料17には、製品毎に製品長L間隔のマークが予め付されている。
印刷(1)は、材料17がマスターの版胴11−1と同一の速度で走行しているときに(v〜w)、版胴11−1及び圧胴12−1により所定位置になされる。また、印刷(2)は、マスターの版胴11−1の速度を基準にして、所定の位相差及び材料17の伸縮が反映された速度で回転する版胴11−2及び圧胴12−2により所定位置に印刷される。
尚、図2に示したM1速度指令は、版胴周長B0が製品長Lよりも長い場合を示しており、材料17が加速、一定速(印刷時の速度)、減速及び停止のパターンで構成されている。これに対し、版胴周長B0が製品長Lよりも短い場合も、図1に示した印刷装置30により制御することができ、この場合のM1速度指令は、材料17が減速、一定速(印刷時の速度)、加速及び一定速(次の製品の印刷開始位置を版の位置に合わせるための、版胴の回転速度よりも高い速度)のパターンで構成される。また、M1速度指令は、材料17が加速、一定速(印刷時の速度)及び減速のみのパターンで構成される場合もあり、減速、一定速(印刷時の速度)及び加速のみのパターンで構成される場合もある。以下に示す実施形態は、版胴周長B0が製品長Lよりも長い場合について説明する。尚、版胴周長B0は、材料17に印刷される印刷長の最大値よりも長いものとする。
〔版胴速度指令生成部の構成〕
次に、図1に示した版胴速度指令生成部100について説明する。図3は、版胴速度指令生成部100の構成を示すブロック図である。また、図4は、版胴速度指令生成部100の詳細な構成を示すブロック図である。
図3において、版胴速度指令生成部100は、ランプ回路110、M2速度指令生成部120及びM3速度指令生成部130を備え、版胴11−1の速度指令であるM2速度指令を生成して版胴(1)用モータ15−2へ出力すると共に、版胴11−2の速度指令であるM3速度指令を生成して版胴(2)用モータ15−3へ出力する。版胴速度指令生成部100により、版胴(1)と版胴(2)との間で位相同期制御が行われる。
ランプ回路110は、予め設定された基準速度指示を入力し、基準速度指示に変化があった場合、急峻な変化を緩和してランプ状の変化になるように、入力した基準速度指示を演算し、M2速度指令生成部120及びM3速度指令生成部130に出力する。
M2速度指令生成部120は、ランプ回路110からの基準速度指示、予め設定されたM2マーク補正値、マークセンサ13−1からの版1マーク検出信号D1、版1位置P1及び版2位置P2を入力し、M2速度指令を生成して版胴(1)用モータ15−2へ出力する。ここで、版1位置P1は、図4に示すように、位置検出器121により版胴(1)原点信号、版胴(1)エンコーダ信号及び位置オフセットから算出された、版胴11−1の位置(角度)を示す信号である。
M3速度指令生成部130は、ランプ回路110からの基準速度指示、予め設定されたM3マーク補正値、マークセンサ13−2からの版2マーク検出信号D2、版1位置P1及び版2位置P2を入力し、M3速度指令を生成して版胴(2)用モータ15−3へ出力する。ここで、版2位置P2は、図4に示すように、位置検出器131により版胴(2)原点信号、版胴(2)エンコーダ信号及び位置オフセットから算出された、版胴11−2の位置(角度)を示す信号である。尚、図3において、位置検出器121,131は説明の便宜上省略してある。
図4において、M2速度指令生成部120は、位置検出器121、減算器122、角度検出器123、マーク補正計算器124、補正リミット器125、ランプ回路126、加算器127、乗算器128及びマスター選択器129を備えている。M3速度指令生成部130は、M2速度指令生成部120と同じ構成であり、位置検出器131、減算器132、角度検出器133、マーク補正計算器134、補正リミット器135、ランプ回路136、加算器137、乗算器138及びマスター選択器139を備えている。
M2速度指令生成部120の位置検出器121は、版胴(1)原点信号、版胴(1)エンコーダ信号及び予め設定された位置オフセット(版胴(2)がマスターのときの版胴(2)に対する版胴(1)の位相差)を入力し、版胴(1)の原点を基準にした回転位置(角度)を算出し、版1位置P1として出力する。この場合、位置検出器121により出力される版1位置P1は、印刷が開始するタイミングの回転位置(版の始点位置)及び印刷が終了するタイミングの回転位置(版の終点位置)が認識できるデータになっている。
角度検出器123は、位置検出器121から版1位置P1を入力し、版胴11−1において印刷が終了したタイミングで、印刷が終了したことを示す版1印刷完了E1をマーク補正計算器124及び後述するアウトフィード速度指令生成部200のマスター選択器240に出力すると共に、版胴11−1の位置を示す版1位置P1をマーク補正計算器124に出力する。
マーク補正計算器124は、角度検出器123からの版1印刷完了E1及び版1位置P1、予め設定されたM2マーク補正値、及び版胴(1)マーク検出信号D1を入力する。そして、マーク補正計算器124は、版胴(1)マーク検出信号D1を入力したときの版1位置P1の値と、版1印刷完了E1を入力したときの版1位置P1の値とから、マーク検出位置から印刷終了位置までの間の距離(角度)を計算する。そして、予め設定された、製品におけるマーク位置から印刷終了位置までの間の距離(角度)と実際に計算した距離(角度)から、ズレ量(材料17の伸縮量に相当する版胴の角度に換算した量)を計算し、補正リミット器125に出力する。この計算及び出力処理は、版1印刷完了E1を入力したタイミングで行う。
これにより、材料17の伸縮に伴う版胴速度の変更は、印刷完了後の印刷が行われていないときになされるから、印刷中に版胴速度が変わることがなく一定速度を維持することができ、材料17への印刷に悪影響を与えることがない。
補正リミット器125は、マーク補正計算器124から材料17の製品長Lに対するズレ量を入力し、予め設定された上限値と下限値との間の量になるように制限を施して出力する。ランプ回路126は、補正リミット器125により制限が施されたズレ量を入力し、ズレ量に変化があった場合、急峻な変化を緩和してランプ状の変化になるように、入力したズレ量を演算し、加算器127に出力する。
減算器122は、位置検出器131から版2位置P2を入力すると共に、位置検出器121から版1位置P1を入力し、版2位置P2から版1位置P1を減算し、版位置偏差を加算器127へ出力する。ここで、減算器122により出力される版位置偏差は、印刷装置30が安定して運転しているときには、ゼロになっている。
加算器127は、減算器122から版位置偏差を入力すると共に、ランプ回路126からズレ量を入力し、版位置偏差及びズレ量を加算し、加算結果を乗算器128に出力する。乗算器128は、加算器127から加算結果を入力し、ゲインKを乗算し版位置偏差及びズレ量に伴う速度指示としてマスター選択器129に出力する。
M3速度指令生成部130の位置検出器131は、位置検出器121と同様に、版胴(2)原点信号、版胴(2)エンコーダ信号及び予め設定された位置オフセット(版胴(1)がマスターのときの版胴(1)に対する版胴(2)の位相差)を入力し、版胴(2)の原点を基準にした回転位置(角度)を算出し、版2位置P2として出力する。この場合、位置検出器131により出力される版2位置P2は、印刷が開始するタイミングの回転位置(版の始点位置)及び印刷が終了するタイミングの回転位置(版の終点位置)が認識できるデータになっている。
減算器132、角度検出器133、マーク補正計算器134、補正リミット器135、補正リミット器135、ランプ回路136、加算器137及び乗算器138は、それぞれM2速度指令生成部120の減算器122、角度検出器123、マーク補正計算器124、補正リミット器125、ランプ回路126、加算器127及び乗算器128と同様であるので、説明を省略する。
図5は、図4に示したマスター選択器139の構成を示す図である。このマスター選択器139は、減算器140及び切替器141を備えている。減算器140は、ランプ回路110から基準速度指示を入力すると共に、乗算器138から版位置偏差及びズレ量に伴う速度指示を入力する。そして減算器140は、基準速度指示から版位置偏差及びズレ量に伴う速度指示を減算し、減算結果の速度指示を切替器141に出力する。この減算結果の速度指示は、基準速度指示に対して、版位置偏差及びズレ量を反映した指示(版位置偏差をゼロにして位相同期が実現されると共に、材料17の伸縮に伴ったズレが生じたとしても位相同期が実現されるようにするための指示)である。
切替器141は、ランプ回路110からの基準速度指示、及び減算器140からの減算結果の速度指示を入力すると共に、予め設定されたマスター選択を入力する。切替器141は、マスター選択により版胴(2)がマスターに設定されている場合、基準速度指示をM3速度指令として出力する。一方、版胴(2)がマスターに設定されていない場合、減算結果の速度指示をM3速度指令として出力する。尚、マスター選択器129も、マスター選択器139と同様の構成であり、マスター選択により版胴(1)がマスターに設定されている場合、基準速度指示をM2速度指令として出力し、版胴(1)がマスターに設定されていない場合、減算結果の速度指示をM2速度指令として出力する。
図6は、版胴(1)がマスターに設定された場合の版胴速度指令生成部100の構成を示すブロック図である。この版胴速度指令生成部100の構成は、図4及び図5に示したマスター選択器129,139において、版胴(1)がマスターに設定されている場合を示している。尚、図4では、版位置偏差とズレ量とが加算器137にて加算されているが、図6では、版胴速度指令生成についての説明の便宜上、版位置偏差に基づく速度指示とズレ量に基づく速度指示とが加算されるものとする。
M3速度指令生成部130は、位相差速度指示生成部150、伸縮速度指示生成部151及び合成部152を備えている。位相差速度指示生成部150は、図4に示した減算器132に相当し、版位相差である版位置偏差に基づく速度指示を生成する。伸縮速度指示生成部151は、角度検出器133、マーク補正計算器134、補正リミット器135、ランプ回路136及び乗算器138に相当し、材料17伸縮量のズレ量に基づく速度指示を生成する。合成部152は、加算器137及びマスター選択器139に相当し、ランプ回路110からの基準速度指示、位相差速度指示生成部150からの版位置偏差に基づく速度指示、及び伸縮速度指示生成部151からの材料17伸縮量のズレ量に基づく速度指示を入力する。そして、合成部152は、基準速度指示から、版位置偏差に基づく速度指示と材料17伸縮量のズレ量に基づく速度指示との加算結果を減算し、この減算結果をM3速度指令として出力する。
このように、版胴(1)がマスターに設定された場合、版胴速度指令生成部100は、基準速度指示をM2速度指令として出力し、マスターの版胴(1)を基準速度指示によって回転制御する。また、基準速度指示に対して版位置偏差及び材料17伸縮によるズレ量を考慮した速度指示をM3速度指令として出力し、スレーブの版胴(2)をその速度指示によって回転制御する。すなわち、版胴速度指令生成部100により、スレーブの版胴(2)を、マスターの版胴(1)の動作に追従させることができ、位置オフセットを含むマスターの版胴(1)との間の版位置偏差及び材料17伸縮によるズレ量を考慮した位相同期制御を実現することができる。
〔版胴速度指令生成部の処理〕
次に、図1に示した版胴速度指令生成部100の処理について説明する。図13は、版胴速度指令生成部100の処理を説明するフローチャートである。以下、版胴(1)がマスターに設定された場合について説明する。
版胴速度指令生成部100は、予め設定されたマスター選択により、マスターに設定されている版胴を特定する(ステップS1301)。版胴速度指令生成部100のM2速度指令生成部120は、版胴(1)がマスターに設定されていることを判定すると(ステップS1301:Y)、ランプ回路110により基準速度指示に対してランプ演算(ステップS1302)を施した指示を、マスター側のM2速度指令として出力する(ステップS1303)。
版胴速度指令生成部100のM3速度指令生成部130は、版胴(2)がマスターに設定されていないことを判定すると(ステップS1301:N)、減算器132により算出された版位置の位相差と(ステップS1304)、角度検出器133、マーク補正計算器134、補正リミット器135及びランプ回路136により、版2位置P2、版胴(2)マーク検出信号D2及びM3マーク補正値から算出されたズレ量とを(ステップS1305)、加算器137にて加算し乗算器138にてゲインを乗算し速度指示を得て、ステップS1302におけるランプ演算後の基準速度指示から前記速度指示を減算し(ステップS1306)、スレーブ側のM3速度指令を出力する(ステップS1307)。
以上のように、印刷装置30の版胴速度指令生成部100によれば、マスターに設定された版胴(1)を、予め設定された基準速度指示による一定速度で回転させることができる。また、マスター以外のスレーブの版胴(2)を、基準速度指示を基本として、マスターに設定された版胴(1)の回転位置との間の位相偏差及び材料17伸縮によるズレ量を考慮した速度で回転させるようにした。これにより、印刷装置30は、版胴(1)及び版胴(2)に対する位相同期制御を実現することができる。また、マスターに設定された版胴(1)を基準速度指令による一定速度で回転させながら、後述するアウトフィード速度指令生成部200による材料17の速度制御の下で、材料17上の製品の所定位置に印刷を行うことができる。また、マスター以外のスレーブの版胴(2)も同様に、基準速度指示を基本とした速度で回転させながら、材料17上の製品の所定位置に印刷を行うことができる。
〔アウトフィード速度指令生成部の構成〕
次に、図1に示したアウトフィード速度指令生成部200について説明する。図7は、アウトフィード速度指令生成部200の構成を示すブロック図である。このアウトフィード速度指令生成部200は、実製品長算出部210、VA−VC生成部(同調速度生成部)220、VB生成部(停止速度生成部)230、マスター選択器240及びセレクタ250を備え、アウトフィード14の速度指令であるM1速度指令を生成してアウトフィード用モータ15−1へ出力する。アウトフィード速度指令生成部200により、基準となるマスターの版胴(1)に対して位相同期送り制御が行われる。
実製品長算出部210は、予め設定された製品長L、版1マーク検出信号D1、版2マーク検出信号D2、及び、マスター選択により選択されたマスター側の版胴の位置(角度)を示す版位置Pを入力し、製品長Lとマスター選択により選択されたマスター側のマーク検出信号の入力タイミングとマスター側の版位置Pとに基づいて、実製品長RLを算出する。そして、実製品長算出部210は、算出した実製品長RLをVA−VC生成部220及びVB生成部230に出力する。
VA−VC生成部220は、予め設定された版胴周長B0(マスター側の版胴周長)、版1位置P1、版2位置P2、実製品長算出部210からの実製品長RL、アウトフィードエンコーダ信号OE、及びマスター選択器240からの印刷完了を入力する。そして、VA−VC生成部220は、マスター選択により選択されたマスター側の版位置Pである版1位置P1または版2位置P2を実製品長算出部210に出力する。また、VA−VC生成部220は、版位置Pに基づいて版胴の回転速度である基準速度指令VAを算出し、VB生成部230に出力する。また、VA−VC生成部220は、印刷完了のときの版胴周長B0−実製品長RLの値と、その後の版胴の回転による版位置Pと、材料17の走行位置(アウトフィードエンコーダ信号OE)とに基づいて材料偏差速度指令VCを算出する。そして、VA−VC生成部220は、基準速度指令VA−材料偏差速度指令VCをセレクタ250に出力すると共に、基準速度指令VAに基づいてレートRを算出し、VB生成部230に出力する。
VB生成部230は、実製品長算出部210からの実製品長RL、マスター選択器240からの印刷完了、VA−VC生成部220からのレートR及び基準速度指令VA、並びにアウトフィードエンコーダ信号OEを入力する。そして、VB生成部230は、印刷完了のときに実製品長RLから求めた材料17の停止距離と、材料17の走行による走行位置(アウトフィードエンコーダ信号OE)とに基づいて停止速度指令VBを算出する。また、VB生成部230は、レートRによる乗算処理及び基準速度指令VAによる速度制限処理を停止速度指令VBに施して、セレクタ250に出力する。
マスター選択器240は、M2速度指令生成部120の角度検出器123からの版1印刷完了E1、M3速度指令生成部130の角度検出器133からの版2印刷完了E2、及び予め設定されたマスター選択(図示せず)を入力する。そして、マスター選択器240は、マスター選択により版胴(1)がマスターに設定されている場合、版1印刷完了E1を印刷完了としてVA−VC生成部220、VB生成部230及びセレクタ250に出力する。一方、マスター選択により版胴(2)がマスターに設定されている場合、版2印刷完了E2を印刷完了として出力する。
セレクタ250は、VA−VC生成部220からのVA−VC、VB生成部230からのVB、及びマスター選択器240からの印刷完了を入力し、VA−VCまたはVBをM1速度指令として出力する。
図10は、M1速度指令のパターンと材料17及び版胴11−1のサイズとの関係を説明する図である。図10の上部に示すように、アウトフィード速度指令生成部200により生成されるM1速度指令のパターンは、VA−VC生成部220により生成される加速及び一定速の速度遷移VA−VCと、VB生成部230により生成される減速及び停止の速度遷移VBとからなる。
図10の中央部に示すように、材料17には、製品毎の所定箇所に、製品長Lの間隔で、製品の始端からmの距離にマークが付されている。製品の始端から版胴11−1である版胴(1)による印刷(1)の印刷開始位置までの間の距離をc、印刷長をa、印刷終了位置から製品の終端までの間の距離をbとすると、M1速度指令を構成するVA−VCの加速により走行する距離(M1速度指令のパターンにおける加速部分の面積)はcである。また、VA−VCの一定速により走行する距離(一定速度部分の面積)はaであり、VBの減速による走行する距離(減速部分の面積)、すなわち停止距離はbである。この場合、図10の上部に示すように、時刻t0から時刻t3までの加速、一定速及び減速による材料17の走行距離はc+a+bであり、この距離は製品長L=a+b+cである。
図10の下部には、版胴11−1を直線状に伸ばしたときの模式図が示されている。版胴周長をB0とすると、版胴周長と製品長との間の差はB0−Lであり、版胴周長B0は製品長LよりもB0−Lの長さだけ長い。
ここで、版胴周長B0=製品長Lの場合、アウトフィード速度指令生成部200は、常に一定速度で回転している版胴11−1,11−2と同じ一定速度のM1速度指令を生成すればよい。これにより、材料17は、加減速されることなく、常に版胴11−1,11−2と同じ一定速度(VA)で走行することになる。一方、版胴周長B0≠製品長Lの場合、アウトフィード速度指令生成部200は、これらの差分であるB0−Lに相当する時間において、次の製品の印刷(1)の印刷開始位置を一定速度で回転する版胴11−1の版の位置に合わせるため、停止期間を含むM1速度指令を生成する必要がある。この場合、図10の上部に示すように、時刻tから時刻tまでの間、版胴11−1,11−2はB0−Lの距離分回転するが、材料17は停止する
図11は、一定速度で回転する版胴11−1に対する材料17の動きを説明する図である。アウトフィード速度指令生成部200は、材料17が図11に示す(1)〜(4)の順序で動作するように、図10に示したM1速度指令を生成する。図11において、(1)は、材料17が加速の走行を終了して一定速の走行を開始する時刻t1(図10を参照)の状態を示している。製品の始端からcの距離にある印刷開始位置をa1とすると、この時刻t1では、一定速度で回転する版胴11−1に設けられた版の始点が印刷開始位置a1上にある。すなわち、材料17が挟挿される版胴11−1と圧胴12−1との間の挟挿位置には、材料17は印刷開始位置a1が存在し、版胴11−1は版の始点が存在している。ここから印刷が開始し、材料17の走行速度と版胴11−1の回転速度とが同一になる。
(2)は、材料17が一定速の走行を終了して減速の走行を開始する時刻t2の状態を示している。製品の印刷終了位置をa2とすると、この時刻t2では、一定速度で回転する版胴11−1に設けられた版の終点が印刷終了位置a2上にあり、ここで印刷が終了する。すなわち、版胴11−1の挟挿位置には、材料17は印刷終了位置a2が存在し、版胴11−1は版の終点が存在している。
(3)は、材料17が減速の走行を終了して停止する時刻t3の状態を示している。この時刻t3では、一定速度で回転する版胴11−1に設けられた版の終点から回転方向とは逆の周に沿って所定位置が製品の終端上にあり、ここで材料17が停止する。すなわち、版胴11−1の挟挿位置には、製品の終端(次の製品の始端)が存在し、版胴11−1は版の終点から所定分離れた位置が存在している。
(4)は、材料17が停止を終了して加速の走行を開始する時刻t4の状態を示している。この時刻t4では、一定速度で回転する版胴11−1に設けられた版の始点から回転方向の周に沿って所定位置が、(3)と同様に製品の終端上にあり、ここから材料17の加速が始まる。すなわち、版胴11−1の挟挿位置には、製品の終端(次の製品の始端)が存在し、版胴11−1は版の始点から所定分離れた位置が存在している。
〔実製品長算出部の構成〕
図8は、図7に示したアウトフィード速度指令生成部200の詳細な構成を示すブロック図である。まず、実製品長算出部210の構成について説明する。この実製品長算出部210は、マークディテクター211、マスク処理部212及び補正部213を備え、伸縮した材料17の実製品長RLを算出する。
マークディテクター211は、版1マーク検出信号D1、版2マーク検出信号D2、及びマスク処理部212からのマスク信号を入力し、予め設定されたしきい値と、図示しないマスター選択により選択された版1マーク検出信号D1または版2マーク検出信号D2の入力値とを比較し、この入力値がしきい値以上のときにマーク検出信号の入力を認識する。そして、マークディテクター211は、マスターの版1マーク検出信号D1または版2マーク検出信号D2をマーク検出信号としてマスク処理部212に出力する。また、マークディテクター211は、マスク処理部212から入力したマスク信号がONのときに、版1マーク検出信号D1及び版2マーク検出信号D2の入力処理を行わず、入力を無視する。一方、入力したマスク信号がOFFのときに入力処理を行い、マスターの版1マーク検出信号D1または版2マーク検出信号D2を真マーク検出信号として補正部213に出力する。
マスク処理部212は、予め設定された製品長L、及びマークディテクター211からのマーク検出信号を入力し、製品長Lに基づいてマスク時間を設定する。そして、マスク処理部212は、マーク検出信号を入力してからマスク時間が経過するまでの間、ONのマスク信号をマークディテクター211に出力し、それ以外のときは、OFFのマスク信号をマークディテクター211に出力する。
補正部213は、予め設定された製品長L、マークディテクター211からの真マーク検出信号、及び、後述するVA−VC生成部220のマスター選択器221により選択されたマスターの版位置P(マスターの版胴の回転位置(角度))を入力する。ここで、前述のとおり、版位置Pは、印刷が開始するタイミングの回転位置(版の始点位置)及び印刷が終了するタイミングの回転位置(版の終点位置)が認識できるデータになっている。
そして、補正部213は、入力した真マーク検出信号がONしたときの版位置Pの値及び印刷完了時の版位置P(版の終点位置)の値から、材料17における実際のマーク位置から印刷終了位置までの間の計測距離を算出する。また、補正部213は、予め設定されたマーク位置から印刷終了位置までの間の設定距離(図10において、設定距離はc+a−mである。)と、算出した計測距離との間の差を算出し、入力した製品長Lにその差を加算して実製品長RLを得る。そして、補正部213は、製品長Lを実製品長RLに補正し、実製品長RLをVA−VC生成部220及びVB生成部230に出力する。尚、補正部213は、印刷完了のタイミングで、前述した計測距離の算出処理、設定距離と計測距離との間の差の算出処理、及び実製品長RLの算出及び出力処理を行う。つまり、補正部213により出力される実製品長RLは、印刷完了のタイミングで更新される。
〔実製品算出部の処理〕
次に、実製品長算出部210の処理について説明する。図14は、実製品長算出部210の処理を説明するフローチャートである。
実製品長算出部210は、マスター選択により選択されたマーク検出信号を入力すると(ステップS1401)、製品長Lに基づいてマスク時間を設定し、そのマスク時間が経過するまでの間、マーク検出信号の入力を無視する(ステップS1402)。また、実製品長算出部210は、マーク検出信号がONしたときの版位置Pの値及び印刷完了時の版位置Pの値に基づいて、材料17における実際のマーク位置から印刷終了位置までの間の計測距離を算出する(ステップS1403)。そして、実製品長算出部210は、予め設定されたマーク位置から印刷終了位置までの間の設定距離とステップS1403にて算出した計測距離との間の差を算出し、製品長Lに反映して実製品長RLを算出し、VA−VC生成部220及びVB生成部230に出力する(ステップS1404)。
以上のように、実製品長算出部210によれば、マスターのマーク検出信号を入力してから印刷完了までの間の距離を算出し、設定距離との間の差を製品長Lに反映し、実製品長RLを算出するようにした、これにより、VA−VC生成部220及びVB生成部230は、材料17の伸縮に伴う実製品長RLを用いてM1速度指令を生成することができる。したがって、材料17の材質等による伸縮が生じたとしても、材料17の走行速度はそれに影響を受けることがないから、材料17上の印刷位置がずれることなく、所定箇所に正確に印刷を行うことができる。
また、実製品長算出部210によれば、印刷完了のタイミングで、実製品長RLを算出してVA−VC生成部220及びVB生成部230に出力するようにした。これにより、VA−VC生成部220及びVB生成部230は、印刷が行われていないときに、最新の実製品長RLに基づいたカウンターのプリセットを行い、次の製品の印刷に対するM1速度指令を生成することができる。したがって、材料17上の予め設定された印刷開始位置から精度高く印刷を行うことができる。
〔VA−VC生成部の構成〕
次に、VA−VC生成部220の構成について説明する。図8に戻って、VA−VC生成部220は、マスター選択器221、F/Vフィルター222、減算器223、加減算器224、同調側カウンター225、レート可変器226、加速度計算器227、乗算器228及び減算器229を備えている。
マスター選択器221は、位置検出器121からの版1位置P1、位置検出器131からの版2位置P2、及び予め設定されたマスター選択(図示せず)を入力する。そして、マスター選択器221は、マスター選択により版胴(1)がマスターに設定されている場合、版1位置P1を版位置PとしてF/Vフィルター222、加減算器224及び実製品長算出部210に出力する。また、マスター選択により版胴(2)がマスターに設定されている場合、版2位置P2を版位置Pとして出力する。
F/Vフィルター222は、マスター選択器221から版位置Pを入力し、周波数を電圧に変換するコンバータ及び所定の周波数の信号を除去するフィルターにより、版胴の回転速度である基準速度指令VAを生成して減算器229、レート可変器226及びVB生成部230に出力する。
減算器223は、予め設定されたマスターの版胴周長B0を入力すると共に、実製品長算出部210により算出された実製品長RLを入力し、版胴周長B0から実製品長RLを減算し、その減算結果を加減算器224に出力する。
加減算器224は、減算器223からの減算結果(B0−RL)、アウトフィード用エンコーダ16−1からの材料17の走行位置を示すアウトフィードエンコーダ信号OE、及び、マスター選択器221からのマスターの版胴の位置を示す版位置Pを入力し、減算結果(B0−RL)とアウトフィードエンコーダ信号OEとの加算値から版位置Pを減算し、その加減算結果を同調側カウンター225に出力する。
同調側カウンター225は、加減算器224から加減算結果を入力すると共に、マスター選択器240から印刷完了を入力する。同調側カウンター225は、印刷完了を入力したタイミングにおいて、入力した加減算結果をカウント値としてプリセットし、版胴の回転に伴う版位置Pの入力によりカウント値を減算し、材料17の走行に伴うアウトフィードエンコーダ信号OEの入力によりカウント値を加算し、加減算した結果のカウント値を材料偏差速度指令カウント値VC’として乗算器228に出力する。すなわち、同調側カウンター225は、印刷完了を入力したタイミングにおいてB0−RLをカウント値としてプリセットし、その後の版位置Pの入力に伴ってカウント値を減算し、アウトフィードエンコーダ信号OEの入力に伴ってカウント値を加算する。
図12は、基準速度指令VA、材料偏差速度指令VC、V−V、停止速度指令VB、M1速度指令及び印刷完了のタイムチャートである。(1)は基準速度指令VA、(2)は材料偏差速度指令VC、(3)はVA−VC、(4)は停止速度指令VB、(5)はM1速度指令、(6)は印刷完了、横軸は時間をそれぞれ示している。
(1)において、F/Vフィルター222により出力される基準速度指令VAは、マスターの版胴の回転速度であり、一定速度のVAを維持している。(2)において、材料偏差速度指令VCは、同調側カウンター225により出力される材料偏差速度指令カウント値VC’に対して乗算器228がゲインを乗算して得られる指令である。したがって、材料偏差速度指令カウント値VC’も、この材料偏差速度指令VCと同様のパターンとなる。材料偏差速度指令カウント値VC’は、印刷完了のタイミングでB0−RLであり、その後徐々に小さくなってゼロになる。材料偏差速度指令VCは、印刷完了のタイミングでB0−RLに相当する値(乗算器228においてゲインを乗算した値)であり、その後徐々に小さくなってゼロになる。
図8に戻って、版位置Pは、版胴が一定速度で常に回転していることから、時間の経過に伴って一定の割合で大きくなる。また、アウトフィードエンコーダ信号OEの位置データは、材料17が印刷完了後は減速して停止することから、印刷完了後時間の経過に伴って小さくなり、材料17が停止すると一定値を維持する。したがって、印刷完了後の材料偏差速度指令カウント値VC’は、徐々に小さくなり、次の印刷完了が入力されるまで、ゼロを維持する。同様に、材料偏差速度指令VCは、図12(2)に示したように、徐々に小さくなり、次の印刷完了が入力されるまでゼロを維持する。
加速度計算器227は、実製品長算出部210の補正部213から実製品長RLを入力し、予め設定された製品長L、製品の開始端から印刷開始位置までの間の予め設定された距離c、予め設定された印刷長a、及び実製品長RLにより加速度を算出し、乗算器228に出力する。例えば、製品長Lと実製品長RLとの関係から実印刷長を算出し、加速距離P0=(実製品長RL−実印刷長)/2を算出し、印刷時の一定速度の値を用いて加速度を算出する。ここで、距離c=bとする(尚、距離b=L−a−cである)。これにより、材料17が伸縮した場合であっても、その伸縮量に応じた加速度を算出することができる。
レート可変器226は、F/Vフィルター222から基準速度指令VAを入力し、加速度計算器227により計算された加速度を補正するためのレートRを、入力した基準速度指令VAの値に応じて設定し、乗算器228及びVB生成部230に出力する。具体的には、レート可変器226は、基準速度指令VAが版胴の回転速度として最高値のときにはレートRが1に設定し、基準速度指令VAが最高値以下のときには、基準速度指令VAの値に比例するように、0〜1のレートRを設定する。
乗算器228は、同調側カウンター225から材料偏差速度指令カウント値VC’を入力すると共に、加速度計算器227から加速度を、レート可変器226からレートRをそれぞれ入力する。そして、乗算器228は、入力した加速度に、予め計算された加速度にするためのゲインを乗算し、印刷速度に応じたレートRを乗算し、その結果を材料偏差速度指令カウント値VC’に乗算し、その結果である材料偏差速度指令VCを減算器229に出力する。例えば、版胴の印刷時の一定速度におけるアウトフィード用モータ15−1(M1)の最高周波数をF0とすると、ゲインは、加速距離P0−(P0−Z/2)に設定される。ここで、Z=√((P0−4−F0)/(4×π×応答周波数))である。
減算器229は、F/Vフィルター222から基準速度指令VAを入力すると共に、乗算器228から材料偏差速度指令VCを入力し、基準速度指令VAから材料偏差速度指令VCを減算し、減算結果VA−VCをセレクタ250に出力する。減算器229により出力される減算結果VA−VCは、図12(3)に示したようなパターンとなる。
〔VA−VC生成部の処理〕
次に、VA−VC生成部220の処理について説明する。図15は、VA−VC生成部220の処理を説明するフローチャートである。
VA−VC生成部220は、版位置Pの周波数を電圧に変換するコンバータ及び所定の周波数の信号を除去するフィルターによる処理を行い(ステップS1502)、基準速度指令VAを生成する(ステップS1503)。
また、VA−VC生成部220は、印刷完了を入力したか否かを判定し(ステップS1501)、印刷完了を入力したと判定すると(ステップS1501:Y)、B0−RLをカウント値にプリセットし(ステップS1504)、ステップS1505へ移行する。一方、VA−VC生成部220は、印刷完了を入力していないと判定すると(ステップS1501:N)、ステップS1505へ移行する。
VA−VC生成部220は、ステップS1505において、版位置Pの入力に伴いカウント値を減算し(ステップS1505)、アウトフィードエンコーダ信号OEの入力に伴いカウント値を加算する(ステップS1506)。そして、VA−VC生成部220は、ステップS1504〜ステップS1506の処理により得たカウント値にゲインを乗算して材料偏差速度指令VCを生成する(ステップS1507)。VA−VC生成部220は、ステップS1503にて生成した基準速度指令VAからステップS1507にて生成した材料偏差速度指令VCを減算しVA−VCを生成し、出力する(ステップS1508)。
このように、VA−VC生成部220は、印刷完了のタイミングでB0−RLをカウント値にプリセットし、版胴の回転及び材料17の走行に伴ってカウント値を減少させてゼロを維持させる同調側カウンター225、及び、カウント値にゲインを乗算する乗算器228を用いて、図12(3)に示したVA−VCを生成する。
〔VB生成部の構成〕
次に、VB生成部230の構成について説明する。図8に戻って、VB生成部230は、停止距離計算器231、停止側カウンター232、減速度計算器233、乗算器234及び速度リミット器235を備えている。停止距離計算器231は、実製品長算出部210の補正部213から実製品長RLを入力し、予め設定された製品長Lと実製品長RLとの差、及び、製品の印刷終了位置から製品の終了端までの間の予め設定された距離bから停止距離を算出し、停止側カウンター232に出力する。これにより、材料17が伸縮した場合であっても、その伸縮量に応じた停止距離を算出することができる。
停止側カウンター232は、停止距離計算器231から停止距離を、アウトフィード用エンコーダ16−1から材料17の走行位置を示すアウトフィードエンコーダ信号OEをそれぞれ入力すると共に、マスター選択器240から印刷完了を入力する。そして、停止側カウンター232は、印刷完了を入力したタイミングにおいて、停止距離をカウント値にプリセットし、材料17の走行に伴うアウトフィードエンコーダ信号OEの入力によりカウント値を減算し、減算結果のカウント値を停止速度指令カウント値VB’として乗算器234に出力する。
図12(4)において、停止速度指令VBは、停止側カウンター232により出力される停止速度指令カウント値VB’に対し、乗算器234がゲインを乗算し、速度リミット器235が速度制限を施すことにより得られる指令である。したがって、停止速度指令カウント値VB’も、この停止速度指令VBと同様なパターンになる。停止速度指令カウント値VB’は、印刷完了のタイミングにおいて停止距離の値であり、その後徐々に小さくなってゼロになる。同様に、停止速度指令VBは、印刷完了のタイミングで停止距離に相当する値(乗算器234及び速度リミット器235においてゲイン及び制限を施した値、結果としてVAになる。)であり、その後徐々に小さくなってゼロになる。
図8に戻って、減速度計算器233は、実製品長算出部210の補正部213から実製品長RLを入力し、予め設定された製品長L、製品の開始端から印刷開始位置までの間の予め設定された距離c、予め設定された印刷長a、製品の印刷終了位置から終了端までの間の予め設定された距離b、及び実製品長RLにより減速度を算出し、乗算器234に出力する。例えば、製品長Lと実製品長RLとの関係から実印刷長を算出し、減速距離=(実製品長RL−実印刷長)/2を算出し、印刷時の一定速度の値を用いて減速度を算出する。これにより、材料17が伸縮した場合であっても、その伸縮量に応じた減速度を算出することができる。
乗算器234は、停止側カウンター232から停止速度指令カウント値VB’を入力すると共に、減速度計算器233から減速度を、レート可変器226からレートRをそれぞれ入力する。そして、乗算器234は、入力した速度に、予め計算された減速度にするためのゲインを乗算し、印刷速度に応じたレートRを乗算し、その結果を停止速度指令カウント値VB’に乗算し、その結果である停止速度指令VBを速度リミット器235に出力する。
速度リミット器235は、乗算器234から乗算後の停止速度指令VBを入力すると共に、F/Vフィルター222から基準速度指令VAを入力し、停止速度指令VBが基準速度指令VAよりも大きくならないように、停止速度指令VBに速度制限を施し、速度制限処理後の停止速度指令VBをセレクタ250に出力する。これにより、停止速度指令VBを基準速度指令VA以下の指令に制限することができるから、印刷完了のタイミングにおいて、材料17の走行速度が急変することを防止できる。したがって、材料17が急に加速することがなく余分な負荷がかからないから、材料17を円滑に走行させることができる。
〔VB生成部の処理〕
次に、VB生成部230の処理について説明する。図16は、VB生成部230の処理を説明するフローチャートである。
VB生成部230は、印刷完了を入力したか否かを判定し(ステップS1601)、印刷完了を入力したと判定すると(ステップS1601:Y)、製品の印刷終了位置から製品の終了端までの間の停止距離を算出し、その停止距離をカウント値にプリセットし(ステップS1602)、ステップS1603へ移行する。一方、VB生成部230は、印刷完了を入力していないと判定すると(ステップS1601:N)、ステップS1603へ移行する。
VB生成部230は、ステップS1603において、アウトフィードエンコーダ信号OEの入力に伴いカウント値を減算する(ステップS1603)。VB生成部230は、ステップS1602及びステップS1603の処理により得られたカウント値にゲインを乗算し速度制限を施して停止速度指令VBを生成し、出力する(ステップS1604)。
このように、VB生成部230は、印刷完了のタイミングで製品の印刷終了位置から製品の終了端までの間の停止距離をカウント値にプリセットし、材料17の走行に伴ってカウント値を減少させてゼロを維持させる停止側カウンター232、カウント値にゲインを乗算して速度制限を施す乗算器234及び速度リミット器235を用いて、図12(4)に示した停止速度指令VBを生成する。
〔セレクタの構成〕
次に、セレクタ250の構成について説明する。図8に戻って、セレクタ250は、マスター選択器240から印刷完了を、VA−VC生成部220の減算器229により演算された、基準速度指令VAから材料偏差速度指令VCを減算した結果であるVA-VCを、VB生成部230の速度リミット器235により制限が施された停止速度指令VBをそれぞれ入力する。そして、セレクタ250は、VA−ACが正の値のときにVA−VCをM1速度指令として出力し、印刷完了を入力してVA−VCが0または負の値のときにVBをM1速度指令として出力する。
図9は、図8に示したセレクタ250の構成を示すブロック図である。このセレクタ250は、比較器251、ラッチ回路252及び切替器253を備えている。比較器251は、減算器229からVA−VCを入力し、VA−VC>0のときにONの制御信号を出力し、VA−VC≦0のときにOFFの制御信号を出力する。
ラッチ回路252は、比較器251から制御信号を入力すると共に、マスター選択器240から印刷完了を入力し、切替制御信号を切替器253に出力する。具体的には、ラッチ回路252は、比較器251からONの制御信号を入力すると、出力をセットしてONの切替制御信号を出力する。また、ラッチ回路252は、ONの切替制御信号を出力しているときに印刷完了を入力すると、出力をリセットしてOFFの切替制御信号を出力する。
切替器253は、減算器229からVA−VCを、速度リミット器235からVBを入力すると共に、ラッチ回路252から切替制御信号を入力する。そして、切替器253は、切替制御信号がONのときにVA−VCをM1速度指令として出力し、切替制御信号がOFFのときにVBをM1速度指令として出力する。
図12(5)において、M1速度指令は、(3)のVA−VCと(4)VBとが合成された指令である。具体的には、M1速度指令は、図12(3)(4)(5)に示すように、VA−VC>0のときのVA−VCと、印刷完了のときにVA−VC≦0となってその後にVA−VC>0になるまでの間のVBとが合成された指令である。つまり、図9に示したセレクタ250は、図12(3)のVA−VC、(4)のVB及び(6)の印刷完了を入力し、前述した処理を行うことにより、(5)のM1速度指令を出力する。
〔セレクタの処理〕
次に、セレクタ250の処理について説明する。図17は、セレクタ250の処理、すなわちM1速度指令出力処理を説明するフローチャートである。
セレクタ250は、印刷完了を入力したか否かを判定し(ステップS1701)、印刷完了を入力していないと判定すると(ステップS1701:N)、VA−VCが0よりも大きいか否かを判定する(ステップS1703)。
セレクタ250は、印刷完了を入力したと判定するか(ステップS1701:Y)、または、印刷完了を入力していないと判定してVA−VCが0よりも大きくないと判定すると(ステップS1703:N)、VBをM1速度指令として出力する(ステップS1702)。また、セレクタ250は、印刷完了を入力していないと判定してVA−VCが0よりも大きいと判定すると(ステップS1703:Y)、VA−VCをM1速度指令として出力する(ステップS1704)。
このように、セレクタ250は、VA−VC>0のときにVA−VCをM1速度指令として出力する。この場合、材料17の走行は、停止状態から加速して版胴と同じ一定速度になり、製品の印刷開始位置から印刷が開始される。そして、セレクタ250は、印刷完了のときにVA−VC<0となるから、その後にVA−VC>0になるまでの間、VBをM1速度指令として出力する。この場合、材料17の走行は、製品の印刷が完了して版胴と同じ一定速度から減速して停止状態になる。そして、VA−VC>0になると停止状態から加速して一定速度になる。
以上のように、本発明の実施形態による印刷装置30によれば、版胴速度指令生成部100が、マスターに設定された版胴11−1を一定速度で回転させると共に、版胴11−1に対して所定のオフセットで追従するように、版胴11−2を同一の一定速度で回転させるようにした。また、アウトフィード速度指令生成部200が、版胴11−1の回転速度に追従するように材料17を走行制御し、製品毎に印刷を順次行うようにした。具体的には、アウトフィード速度指令生成部200は、版胴11−1による印刷の開始から終了までの期間は、材料17を版胴11−1と同一の速度で走行させ、印刷の終了から次に印刷の開始までの期間は、材料17の走行を加減速させるようにした。これにより、慣性の大きい版胴11−1,11−2に対しては、一定速度で回転させればよく加減速制御する必要がない。したがって、版胴11−1,11−2に設けられた版を次の製品の印刷開始位置に合わせるまでの時間を短くすることができ、加減速サイクルを短くすることができる。つまり、材料17の印刷速度を上げることが可能となる。また、版胴11−1,11−2を加減速制御する必要がないから、大容量の版胴(1)用モータ15−2及び版胴(2)用モータ15−3を用意しなくて済む。
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、前記実施形態では、図1に示したように2つの版胴11−1,11−2による2色刷りを行うフレキソ印刷機10の例を示したが、本発明は、版胴の数に限定されることはない。例えば、1色刷りの場合は1個の版胴があればよく、3色刷りの場合は3個の版胴があればよい。いずれにしても、フレキソ印刷機10を構成する版胴のうち1個の版胴がマスターに設定されればよい。
また、前記実施形態では、VA−VC生成部220及びVB生成部230は、実製品長算出部210により算出された実製品長RLを用いて、材料偏差速度指令VC及び停止速度指令VBを生成するようにしたが、材料17が伸縮し難い材質である場合、または材料17にマークが付されていない場合には、実製品長RLの代わりに製品長Lを用いるようにしてもよい。
本発明の実施形態による印刷装置を含むフレキソ印刷機の全体構成の概略を説明する図である。 M1速度指令のパターン、材料への印刷手順、及び材料の動きを説明する図である。 版胴速度指令生成部の構成を示すブロック図である。 版胴速度指令生成部の詳細な構成を示すブロック図である。 マスター選択器の構成を示すブロック図である。 版胴(1)がマスターに設定された場合の版胴速度指令生成部の構成を示すブロック図である。 アウトフィード速度指令生成部の構成を示すブロック図である。 アウトフィード速度指令生成部の詳細な構成を示すブロック図である。 セレクタの構成を示すブロック図である。 M1速度指令のパターンと材料及び版胴のサイズとの関係を説明する図である。 速度で回転する版胴に対する材料の動きを説明する図である。 基準速度指令VA、材料偏差速度指令VC、V−V、停止速度指令VB、M1速度指令及び印刷完了のタイムチャートである。 版胴速度指令生成処理を説明するフローチャートである。 実製品長算出処理を説明するフローチャートである。 VA−VC生成処理を説明するフローチャートである。 VB生成処理を説明するフローチャートである。 M1速度指令出力処理を説明するフローチャートである。
符号の説明
10 フレキソ印刷機
11−1,11−2 版胴
12−1,12−2 圧胴
13−1,13−2 マークセンサ
14 アウトフィード
15−1 アウトフィード用モータ(M1モータ)
15−2 版胴(1)用モータ(M2モータ)
15−3 版胴(2)用モータ(M3モータ)
16−1 アウトフィード用エンコーダ(M1エンコーダ)
16−2 版胴(1)用エンコーダ(M2エンコーダ)
16−3 版胴(2)用エンコーダ(M3エンコーダ)
17 材料
18 巻出機
19 巻取機
20−1,20−2 ダンサー
21 コンペンセータ
30 印刷装置
100 版胴速度指令生成部
110 ランプ回路
120 M2速度指令生成部
121,131 位置検出器
122,132 減算器
123,133 角度検出器
124,134 マーク補正計算器
125,135 補正リミット器
126,136 ランプ回路
127,137 加算器
128,138 乗算器
129,139 マスター選択器
130 M3速度指令生成部
140 減算器
141 切替器
150 位相差速度指示生成部
151 伸縮速度指示生成部
152 合成部
200 アウトフィード速度指令生成部
210 実製品長算出部
211 マークディテクター
212 マスク処理部
213 補正部
220 VA−VC生成部
221 マスター選択器
222 F/Vフィルター
223 減算器
224 加減算器
225 同調側カウンター
226 レート可変器
227 加速度計算器
228 乗算器
229 減算器
230 VB生成部
231 停止距離計算器
232 停止側カウンター
233 減速度計算器
234 乗算器
235 速度リミット器
240 マスター選択器
250 セレクタ
251 比較器
252 ラッチ回路
253 切替器
VA 基準速度指令
VB 停止速度指令
VC 材料偏差速度指令
VB’ 停止速度指令カウント値
VC’ 材料偏差速度指令カウント値
B0 版胴周長
L 製品長
RL 実製品長

Claims (11)

  1. 版が設けられた版胴を回転させ、走行している材料を構成する一定長の製品毎に前記版により印刷を順次行う印刷装置において、
    一定速度で前記版胴を回転させるための版胴速度指令を生成する版胴速度指令生成部と、
    前記製品に対する印刷の開始から終了までの期間について、当該製品における所定の印刷開始位置から所定の印刷終了位置までの間で印刷を行う際の、前記版胴速度指令で回転する版胴と同一の速度で走行させるための材料速度指令を生成し、当該製品に対する印刷の終了から次の製品に対する印刷の開始までの期間について、前記所定の印刷終了位置から当該製品の終端までの間及び前記終端から前記次の製品における所定の印刷開始位置までの間で、前記材料の走行を加減速させて、前記次の製品における印刷位置を前記版に合わせるための材料速度指令を生成する材料速度指令生成部とを備え、
    前記版胴を版胴速度指令により一定速度で回転させている状態で、前記材料速度指令により前記材料の走行が前記版胴の回転に追従するように、前記製品毎に印刷を行う場合に、
    前記製品毎に所定間隔で付されたマークを検出するためのマークセンサが設けられ、
    前記材料速度指令生成部は、
    前記マークセンサにより検出されたマーク検出信号の入力タイミング、及び前記版胴の回転位置に基づいて、前記製品の印刷終了時に、予め設定された製品長を補正して実製品長を算出する実製品長算出部と、
    前記版胴の周長と前記製品の印刷終了時に算出された実製品長との間の差に基づいて、前記版胴の回転及び前記材料の走行に伴った速度を求め、前記速度を、前記印刷終了した製品の次の製品についての同調速度として生成する同調速度生成部と、
    前記予め設定された製品長と前記製品の印刷終了時に算出された実製品長との間の差、及び前記印刷終了位置と前記製品の終端との間の予め設定された距離に基づいて、停止距離を求め、前記停止距離から前記材料の走行に伴った速度を求め、前記速度を、前記印刷終了した製品の次の製品についての停止速度として生成する停止速度生成部とを備え、
    前記材料が版胴に挟挿される位置に、前記製品の開始端から印刷開始位置を経て印刷終了位置までが存在する期間は、前記同調速度を材料速度指令として出力し
    前記挟挿位置に、前記印刷終了位置から製品の終端までが存在する期間は、前記停止速度を材料速度指令として出力することを特徴とする印刷装置。
  2. 請求項1に記載の印刷装置において、
    前記材料速度指令生成部は、
    前記印刷の終了から次の製品に対する印刷の開始までの期間について、前記材料の走行を減速させて停止し、そして加速させ、または、前記材料の走行を加速させて一定速度の後減速させて次の製品における所定位置を前記版に合わせるための材料速度指令を生成することを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項1または2に記載の印刷装置において、
    前記版胴が複数設けられ
    記版胴速度指令生成部は、
    前記複数の版胴のうちの一つをマスター版胴とし、他をスレーブ版胴とした場合、
    前記マスター版胴の回転位置とスレーブ版胴の回転位置との間の位相差を算出し、前記位相差に伴う速度指令を生成し、
    前記一定速度でマスター版胴を回転させるためのマスター版胴用の版胴速度指令を生成すると共に、前記マスター版胴用の版胴速度指令及び前記位相差に伴う速度指令に基づいて、前記スレーブ版胴用の版胴速度指令を生成することを特徴とする印刷装置。
  4. 請求項3に記載の印刷装置において、
    前記版胴速度指令生成部は、
    さらに、前記材料の伸縮に伴うズレ量を算出し、前記マスター版胴用の版胴速度指令、並びに、前記位相差及びズレ量に伴う速度指令に基づいて、前記スレーブ版胴用の版胴速度指令を生成することを特徴とする印刷装置。
  5. 請求項1から4までのいずれか一項に記載の印刷装置において、
    前記同調速度生成部は、
    前記版胴の回転位置から速度を算出して基準速度を求めると共に、前記版胴の周長と前記製品の印刷終了時に算出された実製品長との間の差をプリセット値としたカウンターにより、前記版胴の回転及び前記材料の走行に伴ってプリセット値から減算した結果をカウント値として出力し、前記カウント値に応じた材料偏差速度を求め、前記基準速度から材料偏差速度を減算し、前記印刷終了した製品の次の製品についての同調速度を生成することを特徴とする印刷装置。
  6. 請求項に記載の印刷装置において、
    前記同調速度生成部は、
    前記製品の印刷終了時に算出された実製品長に基づいて、前記印刷終了した製品の次の製品についての同調速度における加速度を算出することを特徴とする印刷装置。
  7. 請求項5または6に記載の印刷装置において、
    前記停止速度生成部は、
    前記予め設定された製品長と前記製品の印刷終了時に算出された実製品長との間の差、及び前記印刷終了位置と前記製品の終端との間の予め設定された距離に基づいて停止距離を求め、前記停止距離をプリセット値としたカウンターにより、前記材料の走行に伴ってプリセット値から減算した結果をカウント値として出力し、前記カウント値に応じて、前記印刷終了した製品の次の製品についての停止速度を生成することを特徴とする印刷装置。
  8. 請求項に記載の印刷装置において、
    前記停止速度生成部は、
    前記製品の印刷終了時に算出された実製品長に基づいて、前記印刷終了した製品の次の製品についての材料速度指令における減速度を算出することを特徴とする印刷装置。
  9. 請求項7または8に記載の印刷装置において、
    前記停止速度生成部は、
    前記同調速度生成部により求めた基準速度に基づいて、前記停止速度に制限を施すことを特徴とする印刷装置。
  10. 請求項1から9までのいずれか一項に記載の印刷装置において、
    前記材料速度指令生成部は、前記同調速度または停止速度を選択して出力するセレクタを備え、
    前記セレクタは、前記同調速度が正の値のときに、前記同調速度を材料速度指令として出力し、印刷が終了した後前記同調速度が正の値になるまでの間に、前記停止速度を材料速度指令として出力することを特徴とする印刷装置。
  11. 版が設けられた版胴を回転させ、走行している材料を構成する一定長の製品毎に前記版により印刷を順次行う印刷方法において、
    一定速度で前記版胴を回転させるための版胴速度指令を生成する第1のステップと、
    前記製品に対する印刷の開始から終了までの期間について、当該製品における所定の印刷開始位置から所定の印刷終了位置までの間で印刷を行う際の、前記版胴速度指令で回転する版胴と同一の速度で走行させるための材料速度指令を生成する第2のステップと、
    当該製品に対する印刷の終了から次の製品に対する印刷の開始までの期間について、前記所定の印刷終了位置から当該製品の終端までの間及び前記終端から前記次の製品における所定の印刷開始位置までの間で、前記材料の走行を加減速させて、前記次の製品における印刷位置を前記版に合わせるための材料速度指令を生成する第3のステップとを有し、
    前記版胴を版胴速度指令により一定速度で回転させている状態で、前記材料速度指令により前記材料の走行が前記版胴の回転に追従するように、前記製品毎に印刷を行う場合に、
    前記第2及び第3のステップは、
    前記製品毎に所定間隔で付されたマークを検出するためのマークセンサにより検出されたマーク検出信号の入力タイミング、及び前記版胴の回転位置に基づいて、前記製品の印刷終了時に、予め設定された製品長を補正して実製品長を算出し、
    前記版胴の周長と前記製品の印刷終了時に算出された実製品長との間の差に基づいて、前記版胴の回転及び前記材料の走行に伴った速度を求め、前記速度を、前記印刷終了した製品の次の製品についての同調速度として生成し、
    前記予め設定された製品長と前記製品の印刷終了時に算出された実製品長との間の差、及び前記印刷終了位置と前記製品の終端との間の予め設定された距離に基づいて、停止距離を求め、前記停止距離から前記材料の走行に伴った速度を求め、前記速度を、前記印刷終了した製品の次の製品についての停止速度として生成し、
    前記材料が版胴に挟挿される位置に、前記製品の開始端から印刷開始位置を経て印刷終了位置までが存在する期間は、前記同調速度を材料速度指令として出力し、
    前記挟挿位置に、前記印刷終了位置から製品の終端までが存在する期間は、前記停止速度を材料速度指令として出力することを特徴とする印刷方法。
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