JP3724795B2 - 同期補償装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は回転する位相が高精度に同期した制御を必要とする輪転印刷機において、走行紙の位相ずれが発生した場合であってもこれを補正することにより高精度の印刷を実現する同期補償装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
種々の生産物や生活必需品の収納、運搬に広く使用されているダンボール箱の印刷を行う製函機およびその他の輪転印刷機は、従来メインシャフトと呼ばれる主軸を1台もしくは複数の電動機により駆動し、このメインシャフトはマゼンダ、シアン、イエロー、ブラックなど複数の版胴、インク胴、圧胴と機械的に連結することにより同期性を保持し多色の印刷をするものであった。
【0003】
かような輪転印刷機において、近年メインシャフトを取り去り、輪転印刷機の各部を個別に駆動する電動機を設け,この電動機を電子的に高精度に位相の同期制御を行うシャフトレス輪転印刷機が用いられるようになった。このシャフトレス輪転印刷機はメインシャフトが不要となることにより、印刷機の設置の自由度の増大、設置の容易性を実現し、各部の連結装置や減速装置が不要となり輪転印刷機の費用の削減や保守の容易性など多くの利点を備えるものである。
【0004】
この近年用いられるようになったシャフトレス輪転印刷機の従来の実施例を図14に示し、以下図14について説明を行う。
図14において1は中央制御装置、2は通信線路であり該中央制御装置1は該通信線路2を介して後述する同期駆動装置4に指令を送出するものである。3は開閉器、4は同期駆動装置、5は電動機、6はロータリーエンコーダである。前記開閉器3は電源を前記同期駆動装置4に供給し、前記電動機5は前記ロータリーエンコーダ6を付属するものである。そして、輪転印刷機において複数台設置された前記同期駆動装置4は、前記中央制御装置1からの指令と前記ロータリーエンコーダ6からのフィードバック信号を入力しマゼンダ、シアン、イエロー、ブラックなど複数台の前記電動機5の回転位相をそれぞれ精度良く同期させて駆動する。
【0005】
さらに図14において、10は印刷される走行紙のホルダー、11は走行紙の繰り出しロール、12は走行紙、13は送りロール、14はインク胴、15は版胴、16は圧胴である。前記ホルダー10にストックされてある走行紙12は前記繰り出しロール11により繰り出された後、送りロール13により搬送される。図示する4組の前記インク胴14、版胴15、圧胴16は、例えばマゼンダ、シアン、イエロー、ブラックの各色の印刷を行う例を示している。そして、前記インク胴14、版胴15、圧胴16は前記同期駆動装置4と電動機5により高精度な回転位相の同期制御を行い色ずれの無い多色の印刷を行うに至る。
【0006】
そして図14において、17は仕上げ工程、18はストッカーを示す。印刷された走行紙は乾燥やダイ加工を行う前記仕上げ工程17を経て前記ストッカー18に貯蔵される。
【0007】
つぎに、図14における前記同期駆動装置4について、従来の構成を説明する図を図15に示し以下に図15について説明する。なお、図15の中央制御装置1,通信線路2,開閉器3,電動機5,ロータリーエンコーダ6は図14に同じ記号を付すものと同一の機能を有し説明は割愛する。
図15の41は同期制御装置、42は駆動装置で図14の前記同期駆動装置4を構成するものである。さらに4aは速度設定検出器、4bは速度フィードバック検出器、4cは位相設定検出器、4dは位相フィードバック検出器、4eは位相増幅器、4fは演算増幅器である。
【0008】
前記中央制御装置1から送出された指令から、前記同期制御装置41は内蔵する前記速度設定検出器4aと前記位相設定検出器4cにより速度設定Vsと位相設定Psを検出し出力する。また、前記電動機5に付属するロータリーエンコーダ6から前記同期制御装置41は内蔵する前記速度フィードバック検出器4bと前記位相フィードバック検出器4dにより速度フィードバックと位相フィードバックPfを検出し出力する。そして、前記速度設定検出器4aの出力と前記速度フィードバック検出器4bの出力は演算され主制御ループを構成する。また、前記位相設定検出器4cの出力と前記位相フィードバック検出器4dの出力は演算され前記位相増幅器4eを経て前記主制御ループと演算された後、前記演算増幅器4fにより電動機のトルク指令が生成され前記駆動装置42に伝達され,該駆動装置42により前記電動機5は同期制御されるに至る。
【0009】
ここで、図15における従来の前記同期制御装置41の前記速度設定Vs、前記位相設定Ps、前記位相フィードバックPfの動作を図15を参照しつつ図16に示す。
図16(a)は前記速度設定検出器4aが出力する前記速度設定Vsを図示し、図16(b)は前記位相設定検出器4cが出力する前記位相設定Psの時間的推移を図示し、図16(c)は前記位相フィードバック検出器4dが出力する前記位相フィードバックPfの時間的推移を 図14に示す前記版胴15の回転する状態と共に図示するものである。
【0010】
前記速度設定Vsが図16(a)のとおり推移するとき、前記位相設定Psは図16(b)に示すとおり推移する。そして、前記版胴15が正しく同期して運転しているときは前記位相フィードバックPfは図16(c)に示すとおりとなり、前記図16(b)の位相設定Psと等しく推移するものである。
ここで、図16(c)で図示する版胴15は反時計方向に回転するものとし該版胴15上の点aは刷版の先端を点bは刷版の後端を示し、該点aが印刷位置のとき位相をゼロとしている。また、図16(b)と図16(c)では1回転の位相Pmaxを説明を容易とするため360°で表すものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の輪転印刷機において印刷される前記走行紙12は、前記ホルダー10から繰り出しロール11により送り出され前記送りロール13により個別に順次搬送され印刷されるものであり、該走行紙12は複数の前記版胴15の回転と正しく同期して搬送されなければなず、該走行紙12が搬送中において位相ずれを発生するとそのまま印刷ずれとなる。この走行紙の位相ずれのは前記走行紙12が前記ホルダー10に均等にストックされていないこと、前記繰り出しロールから送り出すときのすべりや前記送りロールの搬送中のすべりなどに起因するものである。
【0012】
本発明はかかる問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、ダンボール用製函機などの輪転印刷機において走行紙に位相ずれが発生した場合であってもこれを検出し、位相ずれの無い印刷を実現するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題をつぎのように解決する。
(1)速度設定と位相設定を指令として送出する中央制御装置と、該中央制御装置からの前記速度設定と前記位相設定を受信し電動機を中央制御装置の指令により駆動する同期駆動装置であって、前記電動機はロータリーエンコーダを付属し、前記同期駆動装置は該ロータリーエンコーダから出力する信号を入力し速度フィードバックと位相フィードバックを検出するものであって、前記同期駆動装置と前記電動機が駆動する輪転印刷機において、印刷される走行紙の先端を検出する先端検出器を備え、該先端検出器が出力する信号をフィードバックとして入力する輪転印刷機の前記同期駆動装置において、前記先端検出器により走行紙の位相ずれ量を検出、記憶する手段を有し、前記位相ずれ量に応じて、走行紙の先端検出時から印刷開始時までの前補償期間に一定量の前速度補償を前記速度設定に加え、印刷開始以降は前記前補償期間と同じ後補償期間、前記前速度補償の逆極性の後速度補正を前記速度設定に加えることを特徴とし、同時に前記位相ずれ量に応じて、走行紙の先端検出時から印刷開始時までの前記前補償期間に前記位相設定の変位に比例して増加または減少する前位相補償を前記位相設定に加え、印刷開始以降は前記前補償期間と同じ後補償期間、前記前位相補償を前記位相設定の変位に比例して減少または増加する後位相補償を前記位相設定に加え、該後位相補償は前記後補償期間の終了時にはゼロとなることを特徴とし、走行紙の位相ずれが発生したときであってもこれを検出し輪転印刷機を駆動する電動機に前記位相設定の変位に応じて前記前速度補償と前位相補償を同時に行い、印刷開始時点に走行紙と輪転印刷機が所定の同期した位相関係となるよう位相ずれを補正することを特徴とし、印刷開始以降は前記位相設定の変位に応じて前記前速度補償と前位相補償を解消することにより、中央制御装置からの前記速度設定と前記位相設定に復帰することを特徴とする同期補償装置である。
【0014】
速度設定と位相設定を指令として送出する中央制御装置と、該中央制御装置からの前記速度設定と前記位相設定を受信し電動機を中央制御装置の指令により駆動する同期駆動装置であって、前記電動機はロータリーエンコーダを付属し、前記同期駆動装置は該ロータリーエンコーダから出力する信号を入力し速度フィードバックと位相フィードバックを検出するものであって、前記同期駆動装置と前記電動機が駆動する輪転印刷機において、印刷される走行紙の先端を検出する先端検出器を備え、該先端検出器が出力する信号をフィードバックとして入力する輪転印刷機の前記同期駆動装置において、前記先端検出器により走行紙の位相ずれ量を検出、記憶する手段を有し、前記位相ずれ量に応じて、走行紙の先端検出時から印刷開始時までの前補償期間に位相設定の変位に比例して増加または減少する前速度補償を前記速度設定に加え、印刷開始以降は前記前補償期間と同じ後補償期間、前記前速度補償を前記位相設定の変位に比例して減少または増加する後速度補正を前記速度設定に加え、該後速度補償は前記後速度期間の終了時にはゼロとなることを特徴とし、同時に前記位相ずれ量に応じて、走行紙の先端検出時から印刷開始時までの前記前補償期間に前記位相設定の変位の2乗に比例して増加または減少する前位相補償を前記位相設定に加え、印刷開始以降は前記前補償期間と同じ後補償期間、前記前位相補償を前記位相設定の変位の2乗に比例して減少または増加する後位相補償を前記位相設定に加え、該後位相補償は前記後補償期間の終了時にはゼロとなることを特徴とし、走行紙の位相ずれが発生したときであってもこれを検出し輪転印刷機を駆動する電動機に前記位相設定の変位に応じて前記前速度補償と前位相補償を同時に行い、印刷開始時点に走行紙と輪転印刷機が所定の同期した位相関係となるよう位相ずれを補正することを特徴とし、印刷開始以降は前記位相設定の変位に応じて前記前速度補償と前位相補償を解消することにより、中央制御装置からの前記速度設定と前記位相設定に復帰することを特徴とし、前速度補償から後速度補償に遷移するとき、および前位相補償から後位相補償に遷移するときショックレスで移行することを特徴とする同期補償装置である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(1)実施例1
図1は本発明の構成を説明する図であり、図2は図1の構成の詳細を説明する図、図3は本発明の同期補償装置の実施例を説明する図である。そして、図4は本発明の第1の実施例の動作を説明する図、図5は本発明の第1の実施例の位相補償の構成を説明する図、図6は本発明の第1の実施例の位相補償のフローチャート、図7は本発明の第1の実施例の速度補償の構成を説明する図、図8は本発明の第1の実施例の速度補償のフローチャートである。
【0016】
図1において、7は先端検出器、4’は本発明による同期補償駆動装置でありその他の1から18まで図14と同じ記号を付すものは図14のそれと同じ機能を有しその説明は割愛する。
前記同期補償駆動装置4’は前記インク胴14、版胴15および圧胴16を駆動し、前記送りロール13は従来の例で示した前記同期駆動装置4で駆動するものである。そして、前記先端検出器7は複数の前記版胴15ごとに設置され前記送りロール13により搬送されてくる前記走行紙12の先端を検出し、前記同期補償駆動装置4’にこの信号を送るものである。すなわち、該同期補償駆動装置4’は前記先端検出器7により前記走行紙12が正しく搬送されているかあるいは位相ずれを生じているかを検知し、位相ずれを発生しているときは前記版胴の回転を補償し印刷ずれを解消するもので、つぎにこの詳細を図2、図3、図4、図5、図6、図7および図8により説明する。
【0017】
図2は図1の構成を説明する図からさらに本発明の構成の詳細を示すもので、図2の7,12、14、15および16は図1に同じ記号を付すものと同じでそれぞれ先端検出器、走行紙、インク胴、版胴および圧胴を示し説明は割愛する。そして図2において点aは前記先端検出器7の検出点、点bは印刷位置とし、点dは版胴の刷り版の先端、点cは前記印刷位置bと前記刷り版の先端dの中間にある版胴上の位置を示す。そして、前記走行紙12の搬送と前記版胴15の回転が正しく同期しているときは図2の前記検出点aから印刷位置bの長さと版胴上の円弧bcdの長さは等しく、また位相ずれを発生しているときは前記検出点aから印刷位置bの長さと版胴上の円弧bcdの長さは等しくない。したがって、前記先端検出器7が前記走行紙12の先端を検出した時に前記版胴15の回転位相をキャプチャーすることにより、同期の位相ずれを検出することが可能となる。
【0018】
図3は図1の前記同期補償駆動装置4’の実施例を説明する図である。図3の1、2、3、5、6および7は図1に同じ記号を付すものと同じでそれぞれ中央制御装置、通信線路、開閉器、電動機およびロータリーエンコーダを示しこれらの説明は割愛する。また、図3の41’、42は図1の前記同期補償駆動装置4’の詳細を示しそれぞれ同期補償制御装置、駆動装置を示し該駆動装置42は前記図15の42と同じ機能を有する。そして、図3の4a、4b、4c、4d、4e、4f、Pf、VsおよびPsは前記図15に同じ記号を付すものと同じ機能を有しこれらの説明は割愛する。
【0019】
さらに図3において、波線で示す4gは速度補償器、4hは位相補償器を示し本発明の特徴を成すものであり、前記先端検出器7は前記走行紙12の先端の検出信号を前記速度補償器4g、前記位相補償器4hに送る。該速度補償器4gは前記速度設定検出器4aの出力である前記速度設定Vs、前記位相設定検出器4cの出力である前記位相設定Psおよび前記先端検出器7の出力Sdを入力とし、前記走行紙12の搬送において位相ずれがあるときに速度補償ΔVを演算しこれを前記速度設定Vsに補正として加減算し補償後の速度設定Vs’を出力する。
一方、前記位相補償器4hは前記位相設定検出器4cの出力である前記位相設定Psと前記先端検出器7の出力を入力とし、前記走行紙12の搬送において位相ずれがあるときに位相補償ΔPを演算しこれを前記位相設定Psに補正として加減算し補償後の位相設定Ps’を出力する。
かように、本発明においては前記先端検出器7により前記走行紙12の位相ずれを検出することを特徴とし、位相ずれがあるときは位相ずれ量に応じて前記速度補償器4gにより速度設定を、前記位相補償器4hにより位相設定を同時に補正することを特徴とする。つぎに、図4により前記位相補償ΔPと前記速度補償ΔVの生成について、図5と図6により前記位相補償器4hの詳細について、図7と図8により前記速度補償器4gの詳細について説明する。
【0020】
図4は本発明の第1の実施例の動作を説明する図であり図3を参照しつつ説明する。
図4(a)のPsは図3で同じ記号を付す前記位相設定Psの時間的推移を示すもので位相の最大値Pmaxを説明を容易とするため360度とし、本発明では図1の前記版胴15は前記位相設定Psに追従しているものとしている。 そして、前記走行紙12に位相ずれが無いとき前記先端検出器7は例えば時刻T2におけるPst2で動作するとしており、該Pst2は図2の前記検出点aから印刷位置b間の長さにより定まる固定値である。ここで、前記走行紙12に位相ずれがあると前記先端検出器7は例えば図4の時刻T1で動作することとなり、この前記走行紙12の位相を図示すると図2の前記印刷位置bをゼロとすれば図4(a)のグラフPdの如くとなる。
ここで、時刻T1における前記走行紙の位相Pdの値をPdt1とすれば該Pdt1は前記Pst2に等しい。また、図4(a)では時刻T1における前記位相設定の値をPst1とし座標(T1、Pst1)の位置を点▲1▼としている。
【0021】
そして、時刻T1において前記走行紙12の位相ずれ量Q1は下記のとおりに求めることができる。
Q1=Pst2−Pst1---------------(1)
つぎに図4(a)において前記走行紙12は時刻T1よりグラフPd上を進み時刻T3にて前記図2の印刷位置bに到達し、図4(a)のグラフPd上の点▲3▼、点▲3▼’に至ることとなる。一方、前記版胴15は前記位相設定Psに追従し、図4(a)の時刻T4にて前記図2の印刷位置bに到達し、このままでは前記走行紙12の印刷において印刷ずれを生じることとなる。
【0022】
かような位相ずれが発生する状況において、本発明の第1の実施例では下記の補償を行う。
位相ずれが発生したときは、前記位相設定Psに図4(a)の点▲1▼から点▲3▼に波線で図示する軌跡で推移するよう補償を付加することにより前記版胴15の回転位相を前記走行紙12の位相に同期せしめ、前記図2の印刷位置bにおける印刷ずれを解消し、点▲3▼以降は点▲3▼から点▲5▼’(点▲3▼’から点▲5▼に等しい)に波線で推移するよう補償を付加することにより前記位相設定Psに復帰させるものである。
【0023】
つぎに、図4(b)では前記図4(a)の時刻T1から時刻T3において点▲1▼から点▲3▼に至る波線で示すグラフから前記位相設定Psを減じたものを前位相補償ΔPl1として表し、時刻T3からT5において点▲3▼から点▲5▼’に至る波線で示すグラフから前記位相設定Psを減じたものを後位相補償ΔPl2として表したものである。すなわち、図4(b)は図3における前記位相補償器4hにて演算される前記位相補償ΔPの時間的推移を図示するものであり、時刻T3における図4(b)の位相補償ΔPの値は(1)式示す位相ずれ量Q1と等しいものである。つぎに、図2における検出点aから印刷位置b間の長さを回転位相量で換算したものをQ2とすれば図4(a)を参照して、
Q2=Pmax−Pst2 ---------------(2)
となり、前記前位相補償ΔPl1と前記位相設定Psについてつぎの式が成り立つ。
Figure 0003724795
また、
Figure 0003724795
となり、該(4)式の(t−T1)により前記(3)式のΔPl1はつぎのとおり前記位相設定Psを変数として求めることができる。
Figure 0003724795
(Pst1≦Ps<Pst1+Q2において)
該(5)式と同様に図4(b)の前記後位相補償ΔPl2はつぎのとおり前記位相設定Psを変数として同様に求めることができる。
Figure 0003724795
(Pst1+Q2≦Ps<Pst1+2・Q2において)
【0024】
以上のとおり、図3における前記位相補償器4hにて演算する前記位相補償ΔPは図示すれば前記図4(b)のとおりであり、演算においては前記(5)式と(6)式により前位相補償と後位相補償を演算するものである。
ここで該(5)式と(6)式において、前記位相補償ΔPl1とΔPl2は前記位相設定Psを変数とし時間tへの換算を必要とせず演算が容易となり、きわめて実用性の高いものであり本発明の第1の実施例の特徴の1つである。
【0025】
つぎに、図3における前記速度補償器4gと該速度補償器4gにより演算する前記速度補償ΔVの詳細について図4(c)、図4(d)により説明する。
図4(c)は前記速度補償器4gが出力する補償後の速度設定Vs’の時間的推移を示すもので、時刻T1までは前記速度設定検出器4aの出力である前記速度設定Vsをそのまま出力とする。そして、時刻T1からT3までは前記補償後の位相設定Ps’が図4(a)の点▲1▼から点▲3▼に至る波線で推移するよう、前記補償後の速度設定Vs’は図4(c)のaに示すものとし、時刻T3からT5までは前記補償後の位相設定Ps’が図4(a)の点▲3▼’から点▲5▼に至る波線で推移するよう、前記補償後の速度設定Vs’は図4(c)のbに示すものとする。
【0026】
つぎに、図4(d)は前記図4(c)から前記速度設定Vsを減じたものである。すなわち、図4(d)は図3における前記速度補償器4gにて演算される前記速度補償ΔVの時間的推移を図示するものであり、時刻T1からT3までは前速度補償ΔVl1、時刻T3からT5までは後速度補償−ΔVl1としている。
【0027】
ここで、前記図4(b)の時刻T3において前記位相補償ΔPがQ1なので下記の式が成り立つ。
Figure 0003724795
Figure 0003724795
また、図4(a)の前記位相設定Psのグラフにおいて、時刻T1からT3までの時間で前記Psの増分はQ2であることより、
Figure 0003724795
となり、該(8)式の(T3−T1)より前記(7)式の前速度補償ΔVl1は下記のとおりとなる。
Figure 0003724795
つぎに、時刻T3からT5における後速度補償ΔVl2は、前記(9)式の極性を反転したものである。
以上のとおり、図3における前記速度補償器4gにて演算する前記速度補償ΔVは図示すれば前記図4(d)のとおりであり、演算においては前記(9)式により演算するものである。
【0028】
つぎに、前記(5)式および(6)式による位相補償の詳細な構成について図5により説明する。図5において4h、Ps、ΔP、Ps’、Sdと前記図3と同じ記号を付すものは同様の機能を有しその説明は割愛する。
図5において、4h1はDフリップフロップ、4h3は位相補償演算部、4h2は該位相補償演算部4h3の起動入力、4h4はメモリ、4h5、4h6、4h7は係数器である。前記位相設定Psは常時前記Dフリップフロップ4h1に入力されており前記位相検出信号Sdによりラッチされる。該Dフリップフロップ4h1の出力は前記メモリ4h4に格納され、該メモリ4h4は前記図4(a)に示す前記位相設定の時刻T1におけるPst1を保持することとなる。
また、前記先端検出信号Sdは前記位相補償演算部4h3の前記起動入力4h2に入力され、前記図3の先端検出器7が走行紙を検出したとき該位相補償演算部4h3が動作し前記位相補償ΔPを演算出力するものである。
【0029】
該位相補償演算部4h3内において、前記係数器4h5と4h6はそれぞれ、前記図4(a)のPst2とPmaxを保持する。ここで、該Pst2は前記図2の検出点aから印刷位置bまでの長さで定まる固定値である。そして、前記4h4と4h5の出力は加減算され前記(1)式の位相ずれ量Q1を、前記4h5と4h6の出力も加減算され前記(2)式の検出点aから印刷位置b間の長さQ2を出力するものである。
【0030】
さらに図5において、4h7は係数器、4h8は比較器、4h9はスイッチ、4h10はΔP演算部である。該比較器4h8は前記係数器4h7と前記位相ずれ量Q1を入力とし、前記位相ずれ量Q1が前記係数器4h7の出力より大きいとき前記ΔP演算部4h10を起動するとともに前記スイッチ4h9を閉として位相補償ΔPを出力し、前記位相ずれ量Q1が前記係数器4h7の出力より小さいとき前記ΔP演算部4h10を起動せず前記スイッチ4h9を開とし位相補償ΔPをゼロとする。前記係数器4h7はかように最小の位相ずれ量を設定するもので、走行紙の位相ずれが発生した場合であっても位相ずれ量Q1が前記係数器4h7より大きいときにのみ前記位相補償ΔPを演算、出力させるものである。
【0031】
さらに図5において、4h11は前記(5)式の前位相補償ΔPl1を演算するΔPl1演算器、4h12は前記(6)式の後位相補償ΔPl2を演算するΔPl2演算器、4h15はエリア検出器、4h16は切り替えスイッチである。前記ΔPl1演算器4h11は前記Ps、Q1、Q2およびPst1を入力とし前記(5)式のΔPl1を演算し、前記ΔPl2演算器4h12も前記Ps、Q1、Q2およびPst1を入力し前記(6)式のΔPl2を演算するものである。
つぎに、図5の前記エリア検出器4h15は前記位相設定Psが下記のエリアのいずれにあるかを検出する。
Pst1≦Ps<Pst1+Q2-----------------(10)
Pst1+Q2≦Ps<Pst1+2・Q2--------(11)
そして、該エリア検出器4h15は前記(10)式のエリアを検出すると、前記切り替えスイッチ4h16のaとb間を閉とし前記ΔPl1演算器4h11を前記位相補償ΔPとして出力し、前記スイッチ4h9を介して前記位相設定Psと加減算することにより前記補償後の位相設定Ps’を生成する。また、前記エリア検出器4h15が前記(11)式のエリアを検出すると、前記切り替えスイッチ4h16のaとc間を閉とし前記ΔPl2演算器4h12を前記位相補償ΔPとして出力し、前記スイッチ4h9を介して前記位相設定Psと加減算することにより前記補償後の位相設定Ps’を生成する。
そして、前記エリア検出器4h15が前記(10)式、(11)式のどちらも検出しないときは、前記切り替えスイッチ4h16のaとd間を閉とすることにより前記位相補償ΔPをゼロとし、このときは前記補償後の位相設定Ps’を前記位相設定Psと等しくするものである。
【0032】
以上のとおり、本発明の第1の実施例の位相補償の構成を図5により説明したものである。ここで、図5の前記位相補償器4hは論理素子、演算素子を用うるかプログラマブルゲートロジックなどのハードウェアを用いて構成するものであるが、その他デジタルシグナルプロセッサを使用しソフトウェアで容易に実現できるものであり、図6よりデジタルシグナルプロセッサを使用するときのフローチャートを示し、つぎにこれについて説明する。
【0033】
前記図3、図4および図5を参照しつつ図6のフローチャートについて下記のとおり説明する。
f1:先端検出信号Sdにより走行紙の先端を新たに検出したかをチェックする。
検出していないときはf2へ進んだ後チェックを繰り返す。
走行紙の先端を新たに検出したときはf3へ進む。
f2:位相設定Psをそのまま補償後の位相設定Ps’としf1へ戻る。
f3:走行紙の先端を検出したときの走行紙の位相Pst1をメモリ4h4に格納する。
f4:位相ずれ量Q1を前記(1)式により、また、前記図2における走行紙の検出点aから印刷位置bまでの位相量Q2を前記(2)式により演算する。
f5:位相ずれ量Q1が係数器4h7による最小の位相ずれ量より小さいときはf2へ進む。
位相ずれ量Q1が係数器4h7による最小の位相ずれ量より大きいときはf6へ進み位相補償の演算を行う。
f6:位相設定Psが前記(10)式の範囲にあるときはf8へ進み、そうでないときはf7へ進む。
f7:位相設定Psが前記(11)式の範囲にあるときはf9へ進み、そうでないときは位相補償の期間が終了したのでf2へ進む。
f8:位相補償ΔPを前記(5)式により演算しf10へ進む。
f9:位相補償ΔPを前記(6)式により演算しf10へ進む。
f10:位相設定Psと位相補償ΔPを加減算したものを補償後の位相設定Ps’として出力した後f6へ戻り、位相補償ΔPの演算を繰り返す。
【0034】
つぎに、前記(9)式による速度補償の構成について図7により説明する。図7において、4g3は速度補償演算部、4g10はΔV演算部、4g11は前記(9)式の前速度補償ΔVl1を演算するΔVl1演算器、4g12は前記(9)式より後速度補償−ΔVl1を演算する−ΔVl1演算器である。
また、図7において4g、Vs、ΔV、Vs’、Ps、Sdと前記図3と同じ記号を付すものは同様の機能を有しその説明は割愛し、4h1,4h2、4h4から4h9,4h15、4h16と前記図5と同じ記号を付すものは同様の機能を有しその説明は割愛する。
【0035】
また、前記図5におては前記位相設定Psに対して、前記ΔPl1演算器4h11と前記ΔPl2演算器4h12による前記位相補償ΔPの補正を加え補償後の位相設定Ps’を出力するものであったが、図7においてはこれに替えて速度設定Vsに対して、ΔVl1演算器4g11と−ΔVl2演算器4g12による速度補償ΔVの補正を加え補償後の速度設定Vs’を出力するものである。そして、図7のその他の動作は図5と同様であり、図7の構成および動作の詳細については図5の説明を参照されたい。
【0036】
ここで、図7の前記速度補償器4gはハードウェアを用いて構成するものであるが、その他デジタルシグナルプロセッサを使用しソフトウェアで容易に実現できるものであり、図8にデジタルシグナルプロセッサを使用するときのフローチャートを示す。図8においても、図6におけるステップf8とf9のΔPを図8ではこれをΔVに置き換えるものである。そして、図8の動作は図6と同様であり、図8のフローチャートの詳細については図6の説明を参照されたい。
【0037】
また、前記図4においては説明を容易とするため走行紙12が位相進みを発生した場合を例に説明するものであるが、走行紙12が位相遅れを発生した場合も前述の手段により同様に補償を成し得るのは明らかである。また、本発明の第1の実施例では版胴15を駆動する同期補償駆動装置4’について説明したが、これに替えて該版胴15を図14に示す従来の同期駆動装置4で駆動し、送りロールを駆動する電動機5を本発明による同期補償駆動装置4で駆動してもよい。
【0038】
かように、本発明の第1の実施例では前記先端検出器7と前記位相補償器4hおよび前記速度補償器4gを設けることを特徴とする。そして、前記位相ずれ量Q1を検出し該位相ずれ量Q1に応じて前記(5)式による前記前位相補償ΔPl1による位相設定Psの補償と、前記(9)式による前記前速度補償ΔVl1による速度設定Vsの補償を時間によらず前記位相設定Psの変位に応じて演算するものである。これは、本発明の位相ずれの補正は短時間において正確になされるべきもので、位相設定Psの変位により短時間で確実に補償しするものであり本発明の特徴の1つである。
そして該前位相補償ΔPl1と該前速度補償ΔVl1の補償を同時に行うことを特徴とし、これにより前記走行紙12に位相ずれがある場合でも前記版胴15の回転位相の補正を行い、印刷開始時点に前記走行紙12と前記版胴15を所定の同期した位相関係とになるよう至らしめて印刷ずれを解消するものである。
さらに、印刷開始時点以降においては前記位相ずれ量Q1に応じて前記(6)式による前記後位相補償ΔPl2による位相設定Psの補償と、前記(9)式による前記後速度補償−ΔVl1による速度設定Vsの補償を時間によらず前記位相設定Psの変位に応じて同時に演算して補正を行い、前記中央制御装置1からの前記位相設定Psと前記速度設定Vsに復帰することを特徴とするもので、産業上実に有益なものである。
【0039】
(2)実施例2
つぎに、本発明の実施例2について図9、図10、図11、図12、図13により説明する。図9は本発明の第2の実施例の動作を説明する図、図10は本発明の第2の実施例の位相補償の構成を説明する図、図11は本発明の第2の実施例の位相補償のフローチャート、図12は本発明の第2の実施例の速度補償の構成を説明する図、図13は本発明の第2の実施例の速度補償のフローチャートである。
【0040】
図9は本発明の第2の実施例の動作を説明する図であり、前記第1の実施例と同様図3を参照しつつ説明する。
図9(a)は図3で同じ記号を付す前記位相設定Psの時間的推移を示すもので位相の最大値Pmaxを説明を容易とするため360度とし、本発明では図1の前記版胴15は前記位相設定Psに追従するものとしている。
そして、前記走行紙12に位相ずれが無いとき前記先端検出器7は例えば時刻T2におけるPst2で動作するとしており、該Pst2は図2の前記検出点aから印刷位置b間の長さにより定まる固定値である。ここで、前記走行紙12に位相ずれがあると前記先端検出器7は例えば図9の時刻T1で動作することとなり、この前記走行紙12の位相を図示すると図2の前記印刷位置bをゼロとすれば図9(a)のグラフPdの如くとなる。
ここで、時刻T1における前記走行紙の位相Pdの値をPdt1とすれば該Pdt1は前記Pst2に等しい。また、図9(a)では時刻T1における前記位相設定の値をPst1とし座標(T1、Pst1)の位置を点▲1▼としている。
【0041】
そして、時刻T1において前記走行紙12の位相ずれ量Q1は前記(1)式により同様に求めることができる。
つぎに図9(a)において前記走行紙12は時刻T1よりグラフPd上を進み時刻T3にて前記図2の印刷位置bに到達し、図9(a)のグラフPd上の点▲3▼、点▲3▼’に至ることとなる。一方、前記版胴15は前記位相設定Psに追従し、図9(a)の時刻T4にて前記図2の印刷位置bに到達し、このままでは前記走行紙12の印刷において印刷ずれを生じることとなる。
【0042】
かような位相ずれが発生する状況において、本発明の第2の実施例では下記の補償を行う。
位相ずれがあるときは、前記位相設定Psに図9(a)の点▲1▼から点▲2▼、点▲3▼に波線で図示する軌跡を推移するよう補償を付加することにより前記版胴15の回転位相を前記走行紙12の位相に同期せしめ、前記図2の印刷位置bにおける印刷ずれを解消し、点▲3▼以降は点▲3▼’から点▲4▼、点▲5▼(点▲3▼から点▲5▼’に等しい)に波線で図示する曲線で推移するよう補償を付加することにより前記位相設定Psに復帰させるものである。ここで、点▲2▼は時刻T1とT3の中間の時刻における前記波線で図示する曲線上の点であり、点▲4▼は時刻T3とT5の中間の時刻における前記波線で図示する曲線上の点である。
【0043】
つぎに、図9(b)では前記図9(a)の時刻T1から時刻T3において点▲1▼から点▲3▼に至る波線で示すグラフから前記位相設定Psを減じたものを前位相補償ΔPc1、ΔPc2として表し、時刻T3からT5において点▲3▼から点▲5▼’に至る波線で示すグラフから前記位相設定Psを減じたものを後位相補償ΔPc3、ΔPc4として表したものである。すなわち、図9(b)は図3における前記位相補償器4hにて演算される前記位相補償ΔPの時間的推移を図示するものであり、時刻T3における図9(b)の位相補償ΔPの値は前記(1)式示す位相ずれ量Q1と等しいものである。
【0044】
そして、図9(b)の点▲2▼は点▲1▼と点▲3▼の中点であり、前記前位相補償ΔPc1とΔPc2はそれぞれ該点▲1▼と点▲2▼の区間の補償と該点▲2▼と点▲3▼の区間の補償で時間tの2乗で推移するものである。同様に、図9(b)の点▲4▼は点▲3▼と点▲5▼の中点であり、前記後位相補償ΔPc3とΔPc4はそれぞれ該点▲3▼と点▲4▼の区間の補償と該点▲4▼と点▲5▼の区間の補償で時間tの2乗で推移するものである。そして、前記(1)式の位相ずれ量Q1を用いて、はじめに前記前位相補償ΔPc1とΔPc2をつぎのとおりとするものである。
ΔPc1=a(t−T1) ---------------(12)
ΔPc2=−a(t−T3)+Q1----------(13)
【0045】
また、点▲1▼と点▲3▼の中点である点▲2▼の時刻はつぎのとおりであるのは明らかで
Figure 0003724795
あり、該(14)式の時刻において前記(12)式のΔPc1と前記(13)式のΔPc2は等しいことより、前記(12)式のaはつぎの(15)式となる。
Figure 0003724795
また、本発明では前記図9(a)に示すとおり前記位相設定Psは時間tに比例するとしており、前記(2)式のQ2を用いて該位相設定Psはつぎのとおりとなる。
Figure 0003724795
該(15)式のaと(16)式のtにより前記(12)式のΔPc1はつぎのとおり前記位相設定Psを変数として求めることができる。
Figure 0003724795
ここで、前記(16)式と同様に前記(17)式のT1は前記Pst1に、(T3−T1)は前記Q2に比例するので前記(17)式はつぎの(18)式のとおりとなる。ここで、該(18)式のΔPc1は前記位相設定Psが(19)式
に示す範囲のものである。
Figure 0003724795
同様にΔPc2はつぎの(20)式により求めることができ、前記位相設定Psは(21)式の範囲である。
Figure 0003724795
【0046】
そして、該(18)式から(21)式と同様に図9(b)の前記ΔPc3とΔPc4を前記位相設定Psを変数として、つぎの(22)式、(24)式により求めることができ、前記位相設定Psはそれぞれ(23)式、(25)式の範囲である。
Figure 0003724795
【0047】
以上のとおり、図3における前記位相補償器4hにて演算する前記位相補償ΔPは図示すれば前記図9(b)の如くであり、演算においては前記(18)式、(20)式、(22)式および(24)式により前記前位相補償ΔPc1、ΔPc2と後位相補償ΔPc3、ΔPc4を演算し、該位相補償は前記位相ずれ量Q1に比例して演算するものである。これにより、位相ずれが大きいときも小さいときもこれに応じて位相ずれの補償ができる特徴を有するものである。
また、前記(18)式、(20)式、(22)式および(24)式においては、前記位相補償ΔPc1、ΔPc2、ΔPc3およびΔPc4は前記位相設定Psを変数とし時間tへの換算を必要とせず、演算が容易となりきわめて実用性の高いものであり本発明の第2の実施例の特徴の1つである。
【0048】
つぎに、図3における前記速度補償器4gと該速度補償器4gにより演算する前記速度補償ΔVの詳細について図9(c)、図9(d)により説明する。
図9(c)は前記速度補償器4gが出力する補償後の速度設定Vs’の時間的推移を示すもので、時刻T1までは前記速度設定検出器4aの出力である前記速度設定Vsをそのまま出力とする。そして、時刻T1から(T1+T3)の中点までは前記補償後の位相設定Ps’が図9(a)の点▲1▼から点▲2▼に至る波線で推移するよう、前記補償後の速度設定Vs’は図9(c)のaに示すものとし、時刻(T1+T3)の中点からT3までは前記補償後の位相設定Ps’が図9(a)の点▲2▼から点▲3▼に至る波線で推移するよう、前記補償後の速度設定Vs’は図9(c)のbに示すものとする。
【0049】
同様に、時刻T3から(T3+T5)の中点までは前記補償後の位相設定Ps’が図9(a)の点▲3▼’から点▲4▼に至る波線で推移するよう、前記補償後の速度設定Vs’は図9(c)のcに示すものとし、時刻(T3+T5)の中点からT5までは前記補償後の位相設定Ps’が図9(a)の点▲4▼から点▲5▼に至る波線で推移するよう、前記補償後の速度設定Vs’は図9(c)のdに示すものとする。
【0050】
そして、図9(d)は前記図9(c)から前記速度設定Vsを減じたものである。すなわち、図9(d)は図3における前記速度補償器4gにて演算される前記速度補償ΔVの時間的推移を図示するものであり、時刻T1から(T1+T3)の中点までは前速度補償ΔVc1、時刻(T1+T3)の中点からT3までは前速度補償ΔVc2とし、時刻T3から(T3+T5)の中点までは後速度補償ΔVc3、時刻(T3+T5)の中点からT5までは後速度補償ΔVc4としている。
【0051】
つぎに、前記の前位相補償ΔPc1に対応する前速度補償ΔVc1は、前記(18)式を微分することにより求めつぎの(26)式のとおりとなる。
Figure 0003724795
ここで、dPs/dtは前記位相設定Vsに等しいものである。そして、該(26)式と同様に、前記位相補償ΔPc2、ΔPc3およびΔPc4に対応する速度補償ΔPc2、ΔPc3およびΔPc4は前記(20)式、(22)式、(24)式を微分し、それぞれつぎの(27)式、(28)式および(29)式のとおりとするものである。
Figure 0003724795
以上のとおり、図3における前記速度補償器4gにて演算する前記速度補償ΔVは図示すれば前記図9(d)のとおりであり、演算においては前記(26)式、(27)式、(28)式および(29)式により演算するものである。
【0052】
つぎに、前記(26)式から(29)式による位相補償の詳細な構成について図10により説明する。図10において4h、Ps、ΔP、Ps’、Sdと前記図3と同じ記号を付すものは同様の機能を有しその説明は割愛する。
図10において、4h1はDフリップフロップ、4h3は位相補償演算部、4h2は該位相補償演算部4h3の起動入力、4h4はメモリ、4h5、4h6、4h7は係数器である。前記位相設定Psは常時前記Dフリップフロップ4h1に入力されており前記位相検出信号Sdによりラッチされる。該Dフリップフロップ4h1の出力は前記メモリ4h4に格納され、該メモリ4h4は前記図9(a)に示す前記位相設定の時刻T1におけるPst1を保持することとなる。
また、前記先端検出信号Sdは前記位相補償演算部4h3の前記起動入力4h2に入力され、前記図3の先端検出器7が走行紙を検出したとき該位相補償演算部4h3が動作し前記位相補償ΔPを演算出力するものである。
【0053】
該位相補償演算部4h3内において、前記係数器4h5と4h6はそれぞれ、前記図9(a)のPst2とPmaxを保持する。ここで、該Pst2は前記図2の検出点aから印刷位置bまでの長さで定まる固定値である。そして、前記4h4と4h5の出力は加減算され前記(1)式の位相ずれ量Q1を、前記4h5と4h6の出力も加減算され前記(2)式の検出点aから印刷位置b間の長さQ2を出力するものである。
【0054】
さらに図10において、4h7は係数器、4h8は比較器、4h9はスイッチ、4h10はΔP演算部である。該比較器4h8は前記係数器4h7と前記位相ずれ量Q1を入力とし、前記位相ずれ量Q1が前記係数器4h7の出力より大きいとき前記ΔP演算部4h10を起動するとともに前記スイッチ4h9を閉として位相補償ΔPを出力し、前記位相ずれ量Q1が前記係数器4h7の出力より小さいとき前記ΔP演算部4h10を起動せず前記スイッチ4h9を開とし位相補償ΔPをゼロとする。前記係数器4h7はかように最小の位相ずれ量を設定するもので、走行紙の位相ずれが発生した場合であっても位相ずれ量Q1が前記係数器4h7より大きいときにのみ前記位相補償ΔPを演算、出力させるものである。
【0055】
さらに図10において、4h13a、4h13b、4h14aおよび4h14bはそれぞれ前記(26)式から(29)式の位相補償を演算するΔPc1演算器、ΔPc2演算器、ΔPc3演算器およびΔPc4演算器である。また、4h15はエリア検出器、4h16は切り替えスイッチである。
前記ΔPc1演算器4h13a、ΔPc2演算器4h13b、ΔPc3演算器4h14aおよびΔPc4演算器4h14bは前記Ps、Q1、Q2およびPst1を入力し、前記(26)式から(29)式の位相補償を演算する。
つぎに、図10の前記エリア検出器4h15は前記位相設定Psが前記(19)式、(21)式、(23)式および(25)式のエリアのいずれにあるかを検出し、該エリア検出器が前記(19)式のエリアを検出すると、前記切り替えスイッチ4h16のaとb間を閉とし前記ΔPc1演算器4h13aを前記位相補償ΔPとして出力し、前記スイッチ4h9を介して前記位相設定Psと加減算することにより前記補償後の位相設定Ps’を生成する。同様に、該エリア検出器が前記(21)式、(23)式または(25)式のエリアを検出すると、それぞれ前記切り替えスイッチ4h16のaとc間、aとd間またはaとe間を閉とし前記補償後の位相設定Ps’を生成する。
そして、前記エリア検出器4h15が前記(19)式、(21)式、(23)式、(25)式のどれをも検出しないときは、前記切り替えスイッチ4h16のaとf間を閉とすることにより前記位相補償ΔPをゼロとし、このときは前記補償後の位相設定Ps’を前記位相設定Psと等しくするものである。
【0056】
以上のとおり、本発明の第2の実施例の位相補償の構成を図10により説明したものである。ここで、図10の前記位相補償器4hは論理素子、演算素子を用うるかプログラマブルゲートロジックなどのハードウェアを用いて構成するものであるが、その他デジタルシグナルプロセッサを使用しソフトウェアで容易に実現できるものであり、図11にデジタルシグナルプロセッサを使用するときのフローチャートを示し、つぎにこれについて説明する。
【0057】
前記図3、図9および図10を参照しつつ図11のフローチャートについて下記のとおり説明する。
f1:先端検出信号Sdにより走行紙の先端を新たに検出したかをチェックする。
検出していないときはf2へ進んだ後チェックを繰り返す。
走行紙の先端を新たに検出したときはf3へ進む。
f2:位相設定Psをそのまま補償後の位相設定Ps’としf1へ戻る。
f3:走行紙の先端を検出したときの走行紙の位相Pst1をメモリ4h4に格納する。
f4:位相ずれ量Q1を前記(1)式により、また、前記図2における走行紙の検出点aから印刷位置bまでの位相量Q2を前記(2)式により演算する。
f5:位相ずれ量Q1が係数器4h7による最小の位相ずれ量より小さいときはf2へ進む。
位相ずれ量Q1が係数器4h7による最小の位相ずれ量より大きいときはf6へ進み位相補償の演算を行う。
f6:位相設定Psが前記(19)式の範囲にあるときはf10へ進み、そうでないときはf7へ進む。
f7:位相設定Psが前記(21)式の範囲にあるときはf11へ進み、そうでないときはf8へ進む。
f8:位相設定Psが前記(23)式の範囲にあるときはf12へ進み、そうでないときはf9へ進む。
f9:位相設定Psが前記(25)式の範囲にあるときはf13へ進み、そうでないときは位相補償の期間が終了したのでf2へ進む。
f10:位相補償ΔPを前記(18)式により演算しf14へ進む。
f11:位相補償ΔPを前記(20)式により演算しf14へ進む。
f12:位相補償ΔPを前記(22)式により演算しf14へ進む。
f13:位相補償ΔPを前記(24)式により演算しf14へ進む。
f14:位相設定Psと位相補償ΔPを加減算したものを補償後の位相設定Ps’として出力した後f6へ戻り、位相補償ΔPの演算を繰り返す。
【0058】
つぎに、前記(26)式から(29)式による速度補償の構成について図12により説明する。図12において、4g3は速度補償演算部、4g10はΔV演算部、4g13aは前記(26)式の前速度補償ΔVc1を演算するΔVc1演算器、4g13bは前記(27)式より前速度補償ΔVc2を演算するΔVc2演算器、4g14aは前記(28)式の後速度補償ΔVc3を演算するΔVc3演算器、4g14bは前記(29)式より後速度補償ΔVc4を演算するΔVc4演算器、である。
また、図12において4g、Vs、ΔV、Vs’、Ps、Sdと前記図3と同じ記号を付すものは同様の機能を有しその説明は割愛し、4h1,4h2、4h4から4h9,4h15、4h16と前記図10と同じ記号を付すものは同様の機能を有しその説明は割愛する。
【0059】
また、前記図10においては前記位相設定Psに対して、前記ΔPc1演算器4h13aから前記ΔPc4演算器4h14bによる前記位相補償ΔPの補正を加え補償後の位相設定Ps’を出力するものであったが、図12においてはこれに替えて速度設定Vsに対して、ΔVc1演算器4g13a、ΔVc2演算器4g13b、ΔVc3演算器4g14aおよびΔVc4演算器4g14bによる速度補償ΔVの補正を加え補償後の速度設定Vs’を出力するものである。そして、図12のその他の動作は図10と同様であり、図12の構成および動作の詳細については図10の説明を参照されたい。
【0060】
ここで、図12の前記速度補償器4gはハードウェアを用いて構成するものであるが、その他デジタルシグナルプロセッサを使用しソフトウェアで容易に実現できるものであり、図13によりデジタルシグナルプロセッサを使用するときのフローチャートを示す。図13においても、図11におけるステップf10からf13のΔPを図13ではこれをΔVに置き換え、それぞれ前記ΔVc1、ΔVc2、ΔVc3、またはΔVc4とするものである。そして、図13の動作は図11と同様であり、図13のフローチャートの詳細については図11の説明を参照されたい。
【0061】
また、前記図4においては説明を容易とするため走行紙12が位相進みを発生した場合を例に説明するものであるが、走行紙12が位相遅れを発生した場合も前述の手段により同様に補償を成し得るのは明らかである。また、本発明の第2の実施例では版胴15を駆動する同期補償駆動装置4’について説明したが、これに替えて該版胴15を図14に示す従来の同期駆動装置4で駆動し、送りロールを駆動する電動機5を本発明による同期補償駆動装置4で駆動してもよい。
【0062】
かように、本発明の第2の実施例では前記先端検出器7と前記位相補償器4hおよび前記速度補償器4gを設けることを特徴とする。そして、前記位相ずれ量Q1を検出し該位相ずれ量Q1に応じて前記(18)式、(20)式、(22)式および(24)式による前記前位相補償ΔPc1、ΔPc2および前記後位相補償ΔPc3、ΔPc4による位相設定Psの補償と、前記(26)式から(29)式による前記前速度補償ΔVc1、ΔVc2および前記後速度補償ΔVc3、ΔVc4による速度設定Vsの補償を時間によらず前記位相設定Psの変位に応じて演算するものである。これは、本発明の位相ずれの補正は短時間において正確になされるべきもので、位相設定Psの変位により短時間で確実に補償しするものであり本発明の特徴の1つである。
そして該前位相補償ΔPc1またはΔPc2と該前速度補償ΔVc1とΔVc2の補償をそれぞれ同時に行うことを特徴とし、これにより前記走行紙12に位相ずれがある場合でも前記版胴15の回転位相の補正を行い、印刷開始時点に前記走行紙12と前記版胴15を所定の同期した位相関係とになるよう至らしめて印刷ずれを解消するものである。
さらに、印刷開始時点以降においては前記位相ずれ量Q1に応じて前記(22)式と(24)式による前記後位相補償ΔPc3とΔPc4による位相設定Psの補償と、前記(28)式と(29)式による前記後速度補償ΔVc3とΔVc4による速度設定Vsの補償を時間によらず前記位相設定Psの変位に応じて同時に演算して補正を行い、前記中央制御装置1からの前記位相設定Psと前記速度設定Vsに復帰することを特徴とする。
そして、前記位相補償ΔPc1、ΔPc2、ΔPc3およびΔPc4は前記位相設定Psの2乗で変化し、前記速度補償ΔVc1、ΔVc2、ΔVc3およびΔVc4は前記位相設定Psに比例して変化するもので、これらの補償の開始時点、印刷開始時点および補償の終了時点においてショックレスとするもので、産業上実に有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の構成を説明する図である。
【図2】 本発明の構成の詳細を説明する図である。
【図3】 本発明の同期補償駆動装置の実施例を説明する図である。
【図4】 本発明の第1の実施例の動作を説明する図である。
【図5】 本発明の第1の実施例の位相補償器の構成を説明する図である
【図6】 本発明の第1の実施例の位相補償器のフローチャートである。
【図7】 本発明の第1の実施例の速度補償器の構成を説明する図である
【図8】 本発明の第1の実施例の速度補償器のフローチャートである。
【図9】 本発明の第2の実施例の動作を説明する図である。
【図10】 本発明の第2の実施例の位相補償器の構成を説明する図である
【図11】 本発明の第2の実施例の位相補償器のフローチャートである。
【図12】 本発明の第2の実施例の速度補償器の構成を説明する図である
【図13】 本発明の第2の実施例の速度補償器のフローチャートである。
【図14】 従来の実施例を説明する図である。
【図15】 従来の同期駆動装置の構成を説明する図である。
【図16】 従来の同期制御装置の動作を説明する図である。
【符号の説明】
1 中央制御装置
2 通信線路
3 開閉器
4 同期駆動装置
4’ 同期補償駆動装置
41 同期制御装置
41’ 同期補償制御装置
42 駆動装置
4a 速度設定検出器
4b 速度フィードバック検出器
4c 位相設定検出器
4d 位相フィードバック検出器
4e 位相増幅器
4f 演算増幅器
4g 速度補償器
4g3 速度補償演算部
4g10 ΔV演算部
4g11 ΔVl1演算器
4g12 −ΔVl1演算器
4g13a ΔVc1演算器
4g13b ΔVc2演算器
4g14a ΔVc3演算器
4g14b ΔVc4演算器
4h 位相補償器
4h1 Dフリップフロップ
4h2 起動入力
4h3 位相補償演算部
4h4 メモリ
4h5 係数器
4h6 係数器
4h7 係数器
4h8 比較器
4h9 スイッチ
4h10 ΔP演算部
4h11 ΔPl1演算器
4h12 ΔPl2演算器
4h13a ΔPc1演算器
4h13b ΔPc2演算器
4h14a ΔPc3演算器
4h14b ΔPc4演算器
4h15 エリア検出器
4h16 切り替えスイッチ
5 電動機
6 ロータリーエンコーダ
7 先端検出器
10 ホルダー
11 繰り出しロール
12 走行紙
13 送りロール
14 インク胴
15 版胴
16 圧胴
17 仕上げ工程
18 ストッカー
Ps 位相設定
ΔP 位相補償
Ps’ 補償後の位相設定
Vs 速度設定
ΔV 速度補償
Vs’ 補償後の速度設定
Pf 位相フィードバック
Sd 先端検出信号

Claims (2)

  1. 速度設定と位相設定を指令として送出する中央制御装置と、該中央制御装置からの前記速度設定と前記位相設定を受信し電動機を中央制御装置の指令により駆動する同期補償装置であって、前記電動機はロータリーエンコーダを付属し、前記同期補償装置は該ロータリーエンコーダから出力する信号を入力し速度フィードバックと位相フィードバックを検出するものであって、前記同期補償装置と前記電動機が駆動する輪転印刷機において、印刷される走行紙の先端を検出する先端検出器を備え、該先端検出器が出力する信号をフィードバックとして入力する輪転印刷機の前記同期補償装置において、前記先端検出器により走行紙の位相ずれ量を検出、記憶する手段を有し、前記位相ずれ量に応じて、走行紙の先端検出時から印刷開始時までの前補償期間に一定量の前速度補償を前記速度設定に加え、印刷開始以降は前記前補償期間と同じ後補償期間、前記前速度補償の逆極性の後速度補正を前記速度設定に加えることを特徴とし、同時に前記位相ずれ量に応じて、走行紙の先端検出時から印刷開始時までの前記前補償期間に前記位相設定の変位に比例して増加または減少する前位相補償を前記位相設定に加え、印刷開始以降は前記前補償期間と同じ後補償期間、前記前位相補償を前記位相設定の変位に比例して減少または増加する後位相補償を前記位相設定に加え、該後位相補償は前記後補償期間の終了時にはゼロとなることを特徴とし、走行紙の位相ずれが発生したときであってもこれを検出し輪転印刷機を駆動する電動機に前記位相設定の変位に応じて前記前速度補償と前位相補償を同時に行い、印刷開始時点に走行紙と輪転印刷機が所定の同期した位相関係となるよう位相ずれを補正することを特徴とし、印刷開始以降は前記位相設定の変位に応じて前記前速度補償と前位相補償を解消することにより、中央制御装置からの前記速度設定と前記位相設定に復帰することを特徴とする同期補償装置。
  2. 速度設定と位相設定を指令として送出する中央制御装置と、該中央制御装置からの前記速度設定と前記位相設定を受信し電動機を中央制御装置の指令により駆動する同期補償装置であって、前記電動機はロータリーエンコーダを付属し、前記同期補償装置は該ロータリーエンコーダから出力する信号を入力し速度フィードバックと位相フィードバックを検出するものであって、前記同期補償装置と前記電動機が駆動する輪転印刷機において、印刷される走行紙の先端を検出する先端検出器を備え、該先端検出器が出力する信号をフィードバックとして入力する輪転印刷機の前記同期補償装置において、前記先端検出器により走行紙の位相ずれ量を検出、記憶する手段を有し、前記位相ずれ量に応じて、走行紙の先端検出時から印刷開始時までの前補償期間に位相設定の変位に比例して増加または減少する前速度補償を前記速度設定に加え、印刷開始以降は前記前補償期間と同じ後補償期間、前記前速度補償を前記位相設定の変位に比例して減少または増加する後速度補正を前記速度設定に加え、該後速度補償は前記後速度期間の終了時にはゼロとなることを特徴とし、同時に前記位相ずれ量に応じて、走行紙の先端検出時から印刷開始時までの前記前補償期間に前記位相設定の変位の2乗に比例して増加または減少する前位相補償を前記位相設定に加え、印刷開始以降は前記前補償期間と同じ後補償期間、前記前位相補償を前記位相設定の変位の2乗に比例して減少または増加する後位相補償を前記位相設定に加え、該後位相補償は前記後補償期間の終了時にはゼロとなることを特徴とし、走行紙の位相ずれが発生したときであってもこれを検出し輪転印刷機を駆動する電動機に前記位相設定の変位に応じて前記前速度補償と前位相補償を同時に行い、印刷開始時点に走行紙と輪転印刷機が所定の同期した位相関係となるよう位相ずれを補正することを特徴とし、印刷開始以降は前記位相設定の変位に応じて前記前速度補償と前位相補償を解消することにより、中央制御装置からの前記速度設定と前記位相設定に復帰することを特徴とし、前速度補償から後速度補償に遷移するとき、および前位相補償から後位相補償に遷移するときショックレスで移行することを特徴とする同期補償装置。
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