JP2002242858A - スクロール圧縮機 - Google Patents

スクロール圧縮機

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JP2002242858A
JP2002242858A JP2001037185A JP2001037185A JP2002242858A JP 2002242858 A JP2002242858 A JP 2002242858A JP 2001037185 A JP2001037185 A JP 2001037185A JP 2001037185 A JP2001037185 A JP 2001037185A JP 2002242858 A JP2002242858 A JP 2002242858A
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orbiting scroll
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Application number
JP2001037185A
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English (en)
Inventor
Takayuki Hagita
貴幸 萩田
Masamitsu Takeuchi
真実 竹内
Tetsuzo Ukai
徹三 鵜飼
Chikahiro Mishima
慎太 三島
Takahiro Ichiyanagi
貴弘 一柳
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧縮効率の向上を実現するスクロール圧縮機
を提供すること。 【解決手段】 スラスト板19に複数の圧力ポケット4
1を形成し、圧力ポケット41へ導入される高圧油(高
圧流体)の流動経路に、前記高圧油を絞る絞り手段45
を設ける。そして、圧力ポケット41内の高圧油が旋回
スクロール9に作用する押圧力を、旋回スクロール9が
スラスト板19に作用する押圧力よりも小さくなるよう
に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スクロール圧縮機
に関し、特に二酸化炭素(CO2)等の超臨界域で冷媒
を使用する蒸気圧縮冷凍サイクルに適したスクロール圧
縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境保護の観点から、蒸気圧縮式
冷凍サイクルにおいて、冷媒の脱フロン対策の1つとし
て、作動ガス(冷媒ガス)として二酸化炭素(CO2
を使用した冷凍サイクル(以下、CO2サイクル)が提
案されている(例えば、特公平7−18602号公
報)。このCO2サイクルの作動は、フロンを使用した
従来の蒸気圧縮式冷凍サイクルと同様である。すなわ
ち、図6(CO2モリエル線図)のA−B−C−D−A
で示されるように、圧縮機で気相状態のCO2を圧縮し
(A−B)、この高温圧縮の気相状態のCO2を放熱器
(ガスクーラ)にて冷却する(B−C)。そして、減圧
器により減圧して(C−D)、気液相状態となったCO
2を蒸発させて(D−A)、蒸発潜熱を空気等の外部流
体から奪って外部流体を冷却する。
【0003】ところで、CO2の臨界温度は約31℃と
従来の冷媒であるフロンの臨界点温度と比べて低いの
で、夏場等外気温の高いときには、放熱器側でのCO2
の温度がCO2の臨界点温度よりも高くなってしまう。
つまり、放熱器出口側においてCO2は凝縮しない(線
分BCが飽和液線SLと交差しない)。また、放熱器出
口側(C点)の状態は、圧縮機の吐出圧力と放熱器出口
側でのCO2温度によって決定され、放熱器出口側での
CO2温度は放熱器の放熱能力と外気温度(制御不可)
とによって決定するので、放熱器出口での温度は、実質
的には制御することができない。したがって、放熱器出
口側(C点)の状態は、圧縮機の吐出圧力(放熱器出口
側圧力)を制御することによって制御可能となる。つま
り、夏場等外気温の高いときには、十分な冷却能力(エ
ンタルピ差)を確保するためには、E−F−G−H−E
で示されるように、放熱器出口側圧力を高くする必要が
ある。そのために、圧縮機の運転圧力を従来のフロンを
用いた冷凍サイクルに比べて高くする必要がある。車両
用空調装置を例にすると、前記圧縮機の運転圧力は従来
のR134(フロン)では3kg/cm2程度であるの
に対してCO2では40kg/cm2程度と高く、また運
転停止圧力はR134(フロン)では15kg/cm2
程度であるのに対してCO2では100kg/cm2程度
と高くなる。
【0004】ここで、一般的なスクロール圧縮機は、ケ
ーシング内に、端板の一面側に渦巻状突起が形成された
固定スクロールと、端板の一面側に渦巻状突起が設けら
れかつこの渦巻状突起が前記固定スクロールの前記渦巻
状突起と組み合わされて渦巻状の圧縮室を形成する旋回
スクロールとを備え、前記旋回スクロールの旋回に伴
い、導入した作動ガスを前記圧縮室内で圧縮した後に吐
出するものである。そして、上述のように、CO2を作
動ガスとした運転圧力の高いスクロール圧縮機では、旋
回スクロールにかかる大きなスラストに対抗するため
に、旋回スクロールの背面をスラスト玉軸受により支持
することにより、前記圧縮室からの作動ガスの漏れを極
力阻止している。また、例えば特開平3−54387号
公報には、旋回スクロールの背面をスラスト板により支
持するとともに、このスラスト板の旋回スクロールとの
接触面に油または水をシールするための凹部を形成した
り、さらに、特公平1−44911号公報には、旋回ス
クロールの背面に背圧室を設けるとともに、旋回スクロ
ールの背面をばねによって付勢されるピストンにより支
持する技術が開示されている。
【0005】ところで、旋回スクロールをスラスト玉軸
受で支持するものは、特に長期間の使用に伴って、玉軸
受の特性上騒音が大きくなる上にスラスト荷重の低減効
果が低下して、機械損失が大きくなり、さらに、玉軸受
交換のためのメンテナンスに手間がかかるという問題
点、及び、スクロール圧縮機の小型化が難しいという問
題点がある。旋回スクロールを単にスラスト板で支持す
るものも、スラスト荷重の低減効果は低い。
【0006】そこで、スラスト板の旋回スクロールとの
対向面に外部より高圧油或いは作動ガスを導くことによ
り、スラスト荷重(スラスト負荷)を低減するスクロー
ル圧縮機が提案されている。このスクロール圧縮機の部
分断面図を図7に示した。図において、100は旋回ス
クロールであり、101は旋回スクロールのスラスト荷
重を支持するスラスト板である。スラスト板101には
環状の圧力ポケット102が形成されており、この圧力
ポケット102とその周囲の旋回スクロール100とス
ラスト板101との接触面に高圧油が導入され、その押
圧力Foilにて旋回スクロール100のスラスト荷重を
低減するようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のスクロール圧縮機では、旋回スクロールとス
ラスト板の接触面全体でFoilが作用するため、圧力ポ
ケットが旋回スクロールに作用する押圧力が大きすぎて
しまい、旋回スクロールがスラスト板から浮き上がって
圧力ポケット内の高圧油が漏れ出てしまう場合があっ
た。この結果、旋回スクロールのスラスト荷重を安定的
に低減できなくなると共に、旋回スクロールが浮き上が
り状態で支持されることになり、傾きが発生して両スク
ロール間のシール性に悪影響を及ぼし圧縮効率を低下さ
せる等の問題があった。
【0008】上記事情に鑑み、本発明においては、旋回
スクロールのスラスト荷重を安定的に低減すると共に、
圧縮効率の向上を実現するスクロール圧縮機を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、ケーシング内に、端板の一面側に渦巻状突起が形成
された固定スクロールと、端板の一面側に渦巻状突起が
設けられかつこの渦巻状突起が前記固定スクロールの前
記渦巻状突起と組み合わされて渦巻状の圧縮室を形成す
る旋回スクロールとを備え、前記旋回スクロールの旋回
に伴い、導入した作動ガスを前記圧縮室内で圧縮した後
に吐出するスクロール圧縮機において、前記旋回スクロ
ールの前記端板の背面側に、これをスラスト支持するた
めのスラスト部材を対向配置させ、このスラスト部材ま
たは前記旋回スクロール端板のいずれか一方には、前記
スラスト部材または前記旋回スクロール端板のいずれか
他方との対向面に高圧流体が導入される圧力ポケットが
形成され、前記圧力ポケットへ導入される前記高圧流体
の流動経路に、前記高圧流体を絞る絞り手段が設けら
れ、前記圧力ポケット内の高圧流体が前記旋回スクロー
ルに作用する押圧力は、前記旋回スクロールが前記スラ
スト部材に作用する押圧力よりも小さくなるように設定
されていることを特徴とする。
【0010】この発明においては、高圧流体が絞り手段
により絞られることにより、圧力ポケットが旋回スクロ
ールに作用する押圧力を適切に低減することができ、油
の漏れ量を減少させることができる。絞り手段として
は、例えば流路自体の径を小さく構成したり、絞り弁を
介装することができる。
【0011】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のスクロール圧縮機において、前記圧力ポケットは、前
記旋回スクロールの旋回中心軸を取り囲んで複数設けら
れ、各圧力ポケットに対応してそれぞれ前記高圧流体の
流動経路が設けられていることを特徴とする。
【0012】この発明においては、各圧力ポケットが独
立して圧力調整される。このため、一つの圧力ポケット
から高圧流体が漏れ出ると、その圧力ポケットのみ圧力
が低くなり、他の圧力ポケットの圧力は変化しない。こ
れにより、旋回スクロールが圧力の低くなった圧力ポケ
ット側に傾倒し、その結果、当該圧力ポケットからの高
圧流体の漏れが阻止される。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係わるスクロール
圧縮機の実施形態について図面を参照して説明する。先
ず、本発明のスクロール圧縮機を備えたCO2サイクル
について、図5を参照して説明する。このCO2サイク
ルSは例えば車両用空調装置に適用したものであり、1
は気相状態のCO2を圧縮するスクロール圧縮機であ
る。スクロール圧縮機1は図示しない駆動源(例えばエ
ンジン等)から駆動力を得て駆動する。1aは、スクロ
ール圧縮機1で圧縮されたCO2を外気等との間で熱交
換して冷却する放熱器(ガスクーラ)であり、1cは放
熱器1a出口側でのCO2温度に応じて放熱器1a出口
側圧力を制御する圧力制御弁である。CO2は、この圧
力制御弁1bおよび絞り1cにより減圧されて低温低圧
の気液2相状態のCO2となる。1dは、車室内の空気
冷却手段をなす蒸発器(吸熱器)で、気液2相状態のC
2は蒸発器1d内で気化(蒸発)する際に、車室内空
気から蒸発潜熱を奪って車室内空気を冷却する。1e
は、気相状態のCO2を一時的に蓄えるアキュムレータ
である。そして、スクロール圧縮機1、放熱器1a、圧
力制御弁1b、絞り1c、蒸発器1dおよびアキュムレ
ータ1eは、それぞれ配管1fによって接続されて閉回
路を形成している。
【0014】次に、スクロール圧縮機1の第1実施形態
について、図1を参照して説明する。スクロール圧縮機
1のハウジング1A(ケーシング)は、カップ状のケー
ス本体2と、これにボルト3により締結されたフロント
ケース4(クランクケース)とから構成されている。ク
ランクシャフト5はフロントケース4を貫通し、メイン
軸受6およびサブ軸受7を介してフロントケース4に回
転自在に支持されている。クランクシャフト5には、図
示しない車両エンジンの回転が公知の電磁クラッチ32
を介して伝動されるようになっている。なお、符号32
a,32bはそれぞれ電磁クラッチ32のコイルおよび
プーリを示している。
【0015】ハウジング1Aの内部には固定スクロール
8および旋回スクロール9が配設されている。固定スク
ロール8は端板10とその内面に立設された渦巻状突起
(ラップ)11とを備え、この端板10の背面にはリン
グ状の背圧ブロック13が固定手段としての複数本のボ
ルト12により分解可能に固定されている。背圧ブロッ
ク13の内周面および外周面にはOリング14a,14
bがそれぞれ埋設されており、これらOリング14a,
14bは、ケース本体2の内周面に密接し、ケース本体
2内の低圧室15(吸入室)より後述する高圧室(吐出
チャンバ)16が隔離されている。この高圧室16は、
背圧ブロック13の小径内空間13aと、小径内空間1
3aに連続して形成された大径内空間13bと、固定ス
クロール8の端板10の背面に大径内空間13bと連続
するように形成された凹部10aとから構成されてい
る。固定スクロール8の端板10には吐出ポート34
(トップクリアランス)が穿設されており、この吐出ポ
ート34を開閉するための吐出弁35が前記凹部10a
に位置している。
【0016】旋回スクロール9は端板17とその内面に
立設された渦巻状突起(ラップ)18とを備え、この渦
巻状突起18は前記固定スクロール8の渦巻状突起11
と実質的に同一の形状を有している。
【0017】固定スクロール8とケース本体2との間に
はリング状の板ばね20aが配置されており、この板ば
ね20aは複数のボルト21bを介して、周方向に交互
に固定スクロール8およびケース本体2に締結されてい
る。これにより、固定スクロール8はその軸方向におい
てのみ板ばね20aの最大撓み量だけ、移動を許容され
ている(フロート構造)。なお、リング状の板ばね20
aおよびボルト20bにより固定スクロール支持装置2
0(軸方向コンプライアンス支持装置)が構成されてい
る。前記背圧ブロック13の背面突出部とハウジング1
Aとの間には隙間cが設けられていることにより、この
背圧ブロック13は前記軸方向に可動となっている。固
定スクロール8と旋回スクロール9とは、相互に公転旋
回半径だけ偏心し、かつ、180°だけ位相をずらせて
図示のように噛み合わされ、渦巻状突起11の先端に埋
設されたチップシール(不図示)は端板17の内面に密
接し、渦巻状突起18の先端に埋設されたチップシール
(不図示)は端板10の内面に密接し、また、渦巻状突
起11,18の側面に互いに複数箇所で密接する。これ
により、渦巻状の中心に対してほぼ点対称をなす複数の
密閉空間21a,21bが限界される。固定スクロール
8と旋回スクロール9との間には、旋回スクロール9の
自転を阻止して公転を許容する自動防止リング27(オ
ルダム接手)が設けられている。
【0018】上述のように、吐出ポート34(トップク
リアランス)を固定スクロール8の端板10にのみに形
成し、かつこの吐出ポート34を開閉するための吐出弁
35を直接固定スクロール8の端板10に取付けたこと
により、吐出ポート34を背圧ブロック13に形成する
必要はなく、吐出ポート34の長さおよび容積を小さく
できる。したがって、圧縮機の再圧縮動力を低く抑え、
性能が向上する。また、背圧ブロック13および固定ス
クロール8は互いに別体のものであり、背圧ブロック1
3を固定スクロール8にボルト12(固定手段)により
着脱自在に固定することにより、背圧ブロック13を固
定スクロール8に固定する前に、固定スクロール8の端
板10に吐出弁35を容易に取付けることができ、しか
も取付け箇所の自由度が高まる。
【0019】端板17の外面中央部に形成された円筒状
のボス22の内部にはドライブブッシュ23が、ラジア
ル軸受を兼ねる旋回軸受24(ドライブ軸受)を介して
回動自在に収容され、このドライブブッシュ23に穿設
された貫通孔25内にはクランクシャフト5の内端に突
設された偏心軸26が回動自在に嵌合されている。ま
た、端板17の外面の外周縁とフロントケース4との間
には、旋回スクロール9をスラスト支持するための後述
するスラスト板19(スラスト部材)が配置されてい
る。
【0020】クランクシャフト5の外周には、軸封装置
としての公知のメカニカルシール28(シャフトシー
ル)が配置されており、このメニカルシール28は、フ
ロントケース4に固定されたシートリング28aと、ク
ランクシャフト5とともに回転する従動リング28bと
を備え、この従動リング28bは、付勢部材28cによ
りシートリング28aに圧接されていることにより、ク
ランクシャフト5の回転に伴いシートリング28aに対
して摺動する。
【0021】次に、本実施形態の特徴部について説明す
る。図1、図2、図3に示すように、旋回スクロール9
の背後には、その端板17に近接かつ対向する形態で、
リング状のスラスト板19が設けられており、このスラ
スト板19はフロントケース4の端面に固定されてい
る。スラスト板19の旋回スクロール9の端板17側の
スラスト面40には、四つの圧力ポケット41が環状に
配置されており、この圧力ポケット41の奥面42の一
部には、圧力ポケット41に高圧油を導入するための高
圧導入孔43が開口している。各高圧導入孔43には、
絞り手段45が介装されており、この絞り手段45によ
り絞られた高圧油が圧力ポケット41に導入されるよう
になっている。なお、絞り手段45は、各高圧導入孔4
3中に固定絞りを設けることにより構成してもよいが、
各高圧導入孔43の孔径を適宜の径に設定することによ
っても構成することができるし、更には各高圧導入孔4
3に至るまでの高圧油導入経路の途中に1つの絞り弁を
設けることによっても構成することができる。
【0022】図1に示すように、スクロール圧縮機1の
吐出口38に接続された配管1fには油分離器50(オ
イルセパレータ)が設けられており、この油分離器50
によって吐出作動ガスより捕集した高圧流体としての潤
滑油(高圧油)が、前記高圧導入孔43に供給されるよ
うになっている。すなわち、スクロール圧縮機1の作動
に伴って、図示しない手段によりスクロール圧縮機1内
に潤滑油が供給されるとともに、吐出口38から吐出さ
れた高圧作動ガスは、油分離器50を通過する際に油分
を除去される。そして、捕集した潤滑油は高圧油とし
て、高圧導入孔43および絞り手段45を通って圧力ポ
ケット41に導入され、充満する。
【0023】ここで、圧力ポケット41の原理について
説明する。図4に示したものは圧力ポケット41周囲の
部分拡大図である。図において、複数の矢印で示したも
のは圧力ポケット41内の高圧油による圧力分布であ
る。圧力分布は、圧力ポケット41に接する部位では圧
力Rが作用し、圧力ポケット41から離れるに従い圧力
が低下する分布を示す。圧力ポケット41の面積をA、
スラスト板19と旋回スクロール9との接触面積をB、
圧力分布をf(RP)とおくと、高圧油による旋回スクロ
ール9への押圧力Foil(図の圧力分布領域の積分)
は、Foil=A×R+B×f(RP)と表すことができる。
ここで、旋回スクロール9がスラスト板19に与える押
圧力をFaとおくと、Foil<Faとなるように設定され
ている。すなわち、旋回スクロール9がスラスト板19
から浮かないようになっている。
【0024】さて次に、上記スクロール圧縮機1の動作
について説明する。電磁クラッチ32のコイル32aに
通電して、車両エンジンの回転をクランクシャフト5に
伝動させると、クランクシャフト5の回転は、偏心軸2
6、貫通孔25、ドライブブッシュ23、旋回軸受2
4、ボス22からなる旋回駆動機構を介して旋回スクロ
ール9が駆動され、旋回スクロール9は自転防止リング
27によってその自転を阻止されながら公転旋回半径を
半径とする円軌道上を公転旋回運動する。
【0025】旋回スクロール9が公転旋回運動すると、
双方の渦巻状突起11,18の線接触部が次第に渦巻の
中心方向に移動し、この結果、密閉空間21a,21b
(圧縮室)が容積を減少しながら、渦巻の中心方向へ移
動する。これに伴って吸入口(不図示)を通って吸入室
15へ流入した作動ガス(図1の矢印A参照)が、双方
の渦巻状突起11,18との外終端開口部から密閉空間
21a,21b内に取り込まれ、圧縮されながら圧縮室
の中心部21cに至り、ここから固定スクロール8の端
板10に穿設された吐出ポート34を通り、吐出弁35
を押開いて高圧室16へ吐出され、さらに吐出口38か
ら吐出される。このように、旋回スクロール9の旋回に
より、吸入室15より導入した流体を前記密閉空間21
a,21b内で圧縮し、この圧縮ガスを吐出する。電磁
クラッチ32のコイル32aへの通電を解除して、クラ
ンクシャフト5への回転力の伝動を絶つと、スクロール
圧縮機1の運転は停止される。そして、電磁クラッチ3
2のコイル32aへ再び通電すると、スクロール圧縮機
1は再起動される。
【0026】吐出口38から吐出された高圧作動ガス
は、油分離器50を通過する際に油分を除去される。そ
して、捕集した潤滑油は各高圧導入孔43に導入され
る。そして、絞り手段45によって絞られた後、各圧力
ポケット41に導入され充満される。この高圧油により
旋回スクロール9を均等にスラスト支持し、旋回スクロ
ール9のスラスト荷重を低減する。ただし、旋回スクロ
ール9はスラスト板19から浮き上がることはない。圧
力ポケット41内の高圧油の一部はスラスト板19と旋
回スクロール9の端板17との間を漏れ出て、潤滑油と
して利用される。
【0027】各圧力ポケット41において、圧力アンバ
ランスが発生した場合、例えば、一つの圧力ポケット4
1から高圧油が漏れ出て圧力が低下した場合は、以下の
ように動作する。すなわち、各圧力ポケット41は独立
して圧力調整されているため、図3の右側の圧力ポケッ
ト41のように、高圧油が漏れ出た圧力ポケット41の
圧力は低下するが、他の圧力ポケット41は高圧に保た
れる。このため、旋回スクロール9は圧力が低くなった
圧力ポケット41側に傾倒する(図の矢印B参照)。こ
の結果、当該圧力ポケット41からの高圧流体の漏れが
阻止されるため、圧力は再び高圧に保たれる。このよう
に圧力ポケット41を複数設け、各圧力ポケット41の
圧力を独立して調整するようにしているため、高圧流体
の漏れを最小限に抑えることができる。
【0028】このように本実施形態では、外部より高圧
油を圧力ポケット41に供給することにより、騒音が発
生することなく、圧縮効率を低下させることなく長期間
に渡って高圧油により旋回スクロール9のスラスト荷重
を低減させ、機械損失を最小限に抑えることができる。
また、従来のスクロール圧縮機と比較して構造が簡単で
あるため、メンテナンスが容易、かつ小型化が可能であ
る。また、圧力ポケット41には絞り手段45を介して
高圧油が導入されるようになっているため、圧力ポケッ
ト41内の高圧流体が旋回スクロール9に作用する押圧
力Foilを旋回スクロールが浮き上がらない程度の適切
なレベルに抑え、スラスト荷重を低減しながら、旋回ス
クロールを安定的に支持し、両スクロール間のシール性
への悪影響を排除して圧縮効率が低下するのを防止する
ことができる。更に、各圧力ポケット41において、圧
力アンバランスが発生した場合は、上記のように旋回ス
クロール9が圧力の低くなった圧力ポケット41側に傾
倒するため、高圧流体の漏れを防止することができる。
【0029】なお、上記各実施形態において、圧力ポケ
ット41はスラスト板19、または、旋回スクロール9
の端板19側のどちら側に設けても良い。また、上記各
実施形態では、スクロール圧縮機を、CO2を作動ガス
とするCO2サイクルに適用したが、これに限らず、通
常のフロン等を作動ガスとする蒸気圧縮式冷凍サイクル
に適用してもよい。さらにまた、上記では固定スクロー
ルを背圧ブロックにより支持する構造のスクロール圧縮
機を例に示したが、本発明の適用範囲はこれに限定され
るものではない。
【0030】
【発明の効果】本発明は、以上説明したとおりに構成さ
れているので、以下に記載するような効果を奏する。請
求項1に記載の発明によれば、圧力ポケットに導入され
る高圧流体が絞り手段により絞られるため、圧力ポケッ
トが旋回スクロールに作用する押圧力を適切に低減する
ことができ、油の漏れ量を減少させることができる。し
たがって、適切な押圧力で旋回スクロールを支持し、安
定的にスラスト荷重を低減することができ、しいては圧
縮効率を向上させることができる。請求項2に記載の発
明によれば、各圧力ポケットが独立に圧力調節されるた
め、一つの圧力ポケットから高圧流体が漏れ出ると、そ
の圧力ポケットのみ圧力が低くなり、他の圧力ポケット
の圧力は変化しない。これにより、旋回スクロールが圧
力の低くなった圧力ポケット側に傾倒し、その結果、当
該圧力ポケットからの高圧流体の漏れが阻止される。し
たがって、上記効果を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るスクロール圧縮機の一実施形態
の縦断面図である。
【図2】 スクロール圧縮機に用いられるスラスト板の
平面図である。
【図3】 スクロール圧縮機駆動状態における旋回スク
ロールおよびスラスト板の側断面図である。
【図4】 本発明に係るスクロール圧縮機の圧力ポケッ
ト部の圧力分布を示す部分拡大図である。
【図5】 蒸気圧縮式冷凍サイクルを示す模式図であ
る。
【図6】 CO2のモリエル線図である。
【図7】 従来のスクロール圧縮機の部分断面図であ
る。
【符号の説明】
8 固定スクロール 9 旋回スクロール 17 旋回スクロール端板 19 スラスト板(スラスト部材) 41 圧力ポケット 45 絞り手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鵜飼 徹三 愛知県西春日井郡西枇杷島町旭町3丁目1 番地 三菱重工業株式会社冷熱事業本部内 (72)発明者 三島 慎太 愛知県名古屋市中村区岩塚町字高道1番地 三菱重工業株式会社名古屋研究所内 (72)発明者 一柳 貴弘 愛知県名古屋市中村区岩塚町字高道1番地 三菱重工業株式会社名古屋研究所内 Fターム(参考) 3H039 AA02 BB15 BB28 CC02 CC24

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシング内に、端板の一面側に渦巻状
    突起が形成された固定スクロールと、端板の一面側に渦
    巻状突起が設けられかつこの渦巻状突起が前記固定スク
    ロールの前記渦巻状突起と組み合わされて渦巻状の圧縮
    室を形成する旋回スクロールとを備え、前記旋回スクロ
    ールの旋回に伴い、導入した作動ガスを前記圧縮室内で
    圧縮した後に吐出するスクロール圧縮機において、 前記旋回スクロールの前記端板の背面側に、これをスラ
    スト支持するためのスラスト部材を対向配置させ、この
    スラスト部材または前記旋回スクロール端板のいずれか
    一方には、前記スラスト部材または前記旋回スクロール
    端板のいずれか他方との対向面に高圧流体が導入される
    圧力ポケットが形成され、前記圧力ポケットへ導入され
    る前記高圧流体の流動経路に、前記高圧流体を絞る絞り
    手段が設けられ、前記圧力ポケット内の高圧流体が前記
    旋回スクロールに作用する押圧力は、前記旋回スクロー
    ルが前記スラスト部材に作用する押圧力よりも小さくな
    るように設定されていることを特徴とするスクロール圧
    縮機。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のスクロール圧縮機にお
    いて、 前記圧力ポケットは、前記旋回スクロールの旋回中心軸
    を取り囲んで複数設けられ、各圧力ポケットに対応して
    それぞれ前記高圧流体の流動経路が設けられていること
    を特徴とするスクロール圧縮機。
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