JP2002195173A - スクロール圧縮機 - Google Patents
スクロール圧縮機Info
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Abstract
スラスト荷重を効果的に低減して機械効率の向上を図
り、構造が簡単でメンテナンスの容易、かつ小径化が可
能なスクロール圧縮機を提供すること。 【解決手段】 スラスト板19に圧力ポケット41を形
成する。そして、圧力ポケット41内の高圧油が旋回ス
クロール9に作用する押圧力を、旋回スクロール9がス
ラスト板19に作用する押圧力よりも小さくなるように
設定する。
Description
に関し、特に二酸化炭素(CO2)等の超臨界域で冷媒
を使用する蒸気圧縮冷凍サイクルに適したスクロール圧
縮機に関するものである。
冷凍サイクルにおいて、冷媒の脱フロン対策の1つとし
て、作動ガス(冷媒ガス)として二酸化炭素(CO2)
を使用した冷凍サイクル(以下、CO2サイクル)が提
案されている(例えば、特公平7−18602号公
報)。このCO2サイクルの作動は、フロンを使用した
従来の蒸気圧縮式冷凍サイクルと同様である。すなわ
ち、図12(CO2モリエル線図)のA−B−C−D−
Aで示されるように、圧縮機で気相状態のCO2を圧縮
し(A−B)、この高温圧縮の気相状態のCO2を放熱
器(ガスクーラ)にて冷却する(B−C)。そして、減
圧器により減圧して(C−D)、気液相状態となったC
O2を蒸発させて(D−A)、蒸発潜熱を空気等の外部
流体から奪って外部流体を冷却する。
従来の冷媒であるフロンの臨界点温度と比べて低いの
で、夏場等外気温の高いときには、放熱器側でのCO2
の温度がCO2の臨界点温度よりも高くなってしまう。
つまり、放熱器出口側においてCO2は凝縮しない(線
分BCが飽和液線SLと交差しない)。また、放熱器出
口側(C点)の状態は、圧縮機の吐出圧力と放熱器出口
側でのCO2温度によって決定され、放熱器出口側での
CO2温度は放熱器の放熱能力と外気温度(制御不可)
とによって決定するので、放熱器出口での温度は、実質
的には制御することができない。したがって、放熱器出
口側(C点)の状態は、圧縮機の吐出圧力(放熱器出口
側圧力)を制御することによって制御可能となる。つま
り、夏場等外気温の高いときには、十分な冷却能力(エ
ンタルピ差)を確保するためには、E−F−G−H−E
で示されるように、放熱器出口側圧力を高くする必要が
ある。そのために、圧縮機の運転圧力を従来のフロンを
用いた冷凍サイクルに比べて高くする必要がある。車両
用空調装置を例にすると、前記圧縮機の運転圧力は従来
のR134(フロン)では3kg/cm2程度であるの
に対してCO2では40kg/cm2程度と高く、また運
転停止圧力はR134(フロン)では15kg/cm2
程度であるのに対してCO2では100kg/cm2程度
と高くなる。
ーシング内に、端板の一面側に渦巻状突起が形成された
固定スクロールと、端板の一面側に渦巻状突起が設けら
れかつこの渦巻状突起が前記固定スクロールの前記渦巻
状突起と組み合わされて渦巻状の圧縮室を形成する旋回
スクロールとを備え、前記旋回スクロールの旋回に伴
い、導入した作動ガスを前記圧縮室内で圧縮した後に吐
出するものである。そして、上述のように、CO2を作
動ガスとした運転圧力の高いスクロール圧縮機では、旋
回スクロールにかかる大きなスラストに対抗するため
に、旋回スクロールの背面をスラスト玉軸受により支持
することにより、前記圧縮室からの作動ガスの漏れを極
力阻止している。また、例えば特開平3−54387号
公報には、旋回スクロールの背面をスラスト板により支
持するとともに、このスラスト板の旋回スクロールとの
接触面に油または水をシールするための凹部を形成した
り、さらに、特公平1−44911号公報には、旋回ス
クロールの背面に背圧室を設けるとともに、旋回スクロ
ールの背面をばねによって付勢されるピストンにより支
持する技術が開示されている。
ールをスラスト玉軸受で支持するものは、特に長期間の
使用に伴って、玉軸受けの特性上騒音が大きくなる上に
スラスト荷重の低減効果が低下して、機械損失が大きく
なり、さらに、玉軸受け交換のためのメンテナンスに手
間がかかるという問題点、及び、スクロール圧縮機の小
径化が難しいという問題点がある。旋回スクロールを単
にスラスト板で支持するものも、スラスト荷重の低減効
果は低い。
結果、スラスト板の旋回スクロールとの対向面に外部よ
り高圧油或いは作動ガスを導く簡単な構成に基づいて、
圧縮効率が低下せず、スラスト荷重(スラスト負荷)を
効果的に低減できる上に、潤滑作用をも確保でき、かつ
スクロール圧縮機の小径化が可能であることを見出し
た。すなわち、本発明は、上記従来技術の有する問題点
に鑑みてなされたものであり、圧縮効率を低下させず
に、旋回スクロールのスラスト荷重を効果的に低減して
機械効率の向上を図り、構造が簡単でメンテナンスの容
易、かつ小径化が可能なスクロール圧縮機を提供するこ
とを目的としている。
の本発明は、ケーシング内に、端板の一面側に渦巻状突
起が形成された固定スクロールと、端板の一面側に渦巻
状突起が設けられかつこの渦巻状突起が前記固定スクロ
ールの前記渦巻状突起と組み合わされて渦巻状の圧縮室
を形成する旋回スクロールとを備え、前記旋回スクロー
ルの旋回に伴い、導入した作動ガスを前記圧縮室内で圧
縮した後に吐出するスクロール圧縮機において、前記旋
回スクロールの前記端板の背面側に、これをスラスト支
持するためのスラスト部材を対向配置させ、このスラス
ト部材または前記旋回スクロール端板のいずれか一方に
は、前記スラスト部材または前記旋回スクロール端板の
いずれか他方との対向面に高圧流体が導入される圧力ポ
ケットが形成され、該圧力ポケット内の高圧流体が前記
旋回スクロールに作用する押圧力は、前記旋回スクロー
ルが前記スラスト部材に作用する押圧力よりも小さくな
るように設定されていることを特徴とする。
体を圧力ポケットに供給することにより、この高圧流体
が旋回スクロールのスラスト荷重を低減する。旋回スク
ロールはスラスト部材から浮き上がらないため、圧力ポ
ケット内の高圧流体の漏れは防止される。
スクロール圧縮機において、前記スラスト部材と前記旋
回スクロール端板のいずれか一方には、前記圧力ポケッ
トから所定距離を隔てて、低圧溝が形成されていること
を特徴とする。
された高圧流体は、低圧溝を限界として圧力分布が制限
される。圧力ポケットと低圧溝との距離は、圧力ポケッ
トが旋回スクロールを押し戻す押圧力が適切となるよう
に設定される。なお、低圧溝と圧力ポケットとの位置関
係は特に限定されない。
スクロール圧縮機において、前記圧力ポケットは、前記
旋回スクロールの旋回中心軸を取り囲んで設けられた環
状溝であり、前記低圧溝は、前記圧力ポケットをさらに
取り囲んで設けられた環状溝であることを特徴とする。
による面圧分布が高い旋回スクロール中心側に圧力ポケ
ットが位置するため、面圧の高い中心部の荷重を効果的
に低減する。また、低圧溝が圧力ポケットより内側にあ
る場合、外周側には旋回スクロール端板とスラスト部材
との間に隙間が発生する場合があり、圧力ポケット内の
高圧流体が漏れるおそれがある。本発明では、圧力ポケ
ットが内側に位置しているため、高圧流体の漏れが抑え
られる。
圧縮機の実施形態について図面を参照して説明する。先
ず、本発明のスクロール圧縮機を備えたCO2サイクル
について、図11を参照して説明する。このCO2サイ
クルSは例えば車両用空調装置に適用したものであり、
1は気相状態のCO2を圧縮するスクロール圧縮機であ
る。スクロール圧縮機1は図示しない駆動源(例えばエ
ンジン等)から駆動力を得て駆動する。1aは、スクロ
ール圧縮機1で圧縮されたCO2を外気等との間で熱交
換して冷却する放熱器(ガスクーラ)であり、1cは放
熱器1a出口側でのCO2温度に応じて放熱器1a出口
側圧力を制御する圧力制御弁である。CO2は、この圧
力制御弁1bおよび絞り1cにより減圧されて低温低圧
の気液2相状態のCO2となる。1dは、車室内の空気
冷却手段をなす蒸発器(吸熱器)で、気液2相状態のC
O2は蒸発器1d内で気化(蒸発)する際に、車室内空
気から蒸発潜熱を奪って車室内空気を冷却する。1e
は、気相状態のCO2を一時的に蓄えるアキュムレータ
である。そして、スクロール圧縮機1、放熱器1a、圧
力制御弁1b、絞り1c、蒸発器1dおよびアキュムレ
ータ1eは、それぞれ配管1fによって接続されて閉回
路を形成している。
について、図1を参照して説明する。スクロール圧縮機
1のハウジング1A(ケーシング)は、カップ状のケー
ス本体2と、これにボルト3により締結されたフロント
ケース4(クランクケース)とから構成されている。ク
ランクシャフト5はフロントケース4を貫通し、メイン
軸受6およびサブ軸受7を介してフロントケース4に回
転自在に支持されている。クランクシャフト5には、図
示しない車両エンジンの回転が公知の電磁クラッチ32
を介して伝動されるようになっている。なお、符号32
a,32bはそれぞれ電磁クラッチ32のコイルおよび
プーリを示している。
8および旋回スクロール9が配設されている。固定スク
ロール8は端板10とその内面に立設された渦巻状突起
(ラップ)11とを備え、この端板10の背面にはリン
グ状の背圧ブロック13が固定手段としての複数本のボ
ルト12により分解可能に固定されている。背圧ブロッ
ク13の内周面および外周面にはOリング14a,14
bがぞれぞれ埋設されており、これらOリング14a,
14bは、ケース本体2の内周面に密接し、ケース本体
2内の低圧室15(吸入室)より後述する高圧室(吐出
チャンバ)16が隔離されている。この高圧室16は、
背圧ブロック13の小径内空間13aと、小径内空間1
3aに連続して形成された大径内空間13bと、固定ス
クロール8の端板10の背面に大径内空間13bと連続
するように形成された凹部10aとから構成されてい
る。固定スクロール8の端板10には吐出ポート34
(トップクリアランス)が穿設されており、この吐出ポ
ート34を開閉するための吐出弁35が前記凹部10a
に位置している。
立設された渦巻状突起(ラップ)18とを備え、この渦
巻状突起18は前記固定スクロール8の渦巻状突起11
と実質的に同一の形状を有している。
はリング状の板ばね20aが配置されており、この板ば
ね20aは複数のボルト20bを介して、周方向に交互
に固定スクロール8およびケース本体2に締結されてい
る。これにより、固定スクロール8はその軸方向におい
てのみ板ばね20aの最大撓み量だけ、移動を許容され
ている(フロート構造)。なお、リング状の板ばね20
aおよびボルト20bにより固定スクロール支持装置2
0(軸方向コンプライアンス支持装置)が構成されてい
る。前記背圧ブロック13の背面突出部とハウジング1
Aとの間には隙間cが設けられていることにより、この
背圧ブロック13は前記軸方向に可動となっている。固
定スクロール8と旋回スクロール9とは、相互に公転旋
回半径だけ偏心し、かつ、180°だけ位相をずらせて
図示のように噛み合わされ、渦巻状突起11の先端に埋
設されたチップシール(不図示)は端板17の内面に密
接し、渦巻状突起18の先端に埋設されたチップシール
(不図示)は端板10の内面に密接し、また、渦巻状突
起11,18の側面に互いに複数箇所で密接する。これ
により、渦巻状の中心に対してほぼ点対称をなす複数の
密閉空間21a,21bが限界される。固定スクロール
8と旋回スクロール9との間には、旋回スクロール9の
自転を阻止して公転を許容する自動防止リング27(オ
ルダム接手)が設けられている。
リアランス)を固定スクロール8の端板10にのみに形
成し、かつこの吐出ポート34を開閉するための吐出弁
35を直接固定スクロール8の端板10に取付けたこと
により、吐出ポート34を背圧ブロック13に形成する
必要はなく、吐出ポート34の長さおよび容積を小さく
できる。したがって、圧縮機の再圧縮動力を低く抑え、
性能が向上する。また、背圧ブロック13および固定ス
クロール8は互いに別体のものであり、背圧ブロック1
3を固定スクロール8にボルト12(固定手段)により
着脱自在に固定することにより、背圧ブロック13を固
定スクロール8に固定する前に、固定スクロール8の端
板10に吐出弁35を容易に取付けることができ、しか
も取付け箇所の自由度が高まる。
のボス22の内部にはドライブブッシュ23が、ラジア
ル軸受を兼ねる旋回軸受24(ドライブ軸受)を介して
回動自在に収容され、このドライブブッシュ23に穿設
された貫通孔25内にはクランクシャフト5の内端に突
設された偏心軸26が回動自在に嵌合されている。ま
た、端板17の外面の外周縁とフロントケース4との間
には、旋回スクロール9をスラスト支持するための後述
するスラスト板19(スラスト部材)が配置されてい
る。
としての公知のメカニカルシール28(シャフトシー
ル)が配置されており、このメニカルシール28は、フ
ロントケース4に固定されたシートリング28aと、ク
ランクシャフト5とともに回転する従動リング28bと
を備え、この従動リング28bは、付勢部材28cによ
りシートリング28aに圧接されていることにより、ク
ランクシャフト5の回転に伴いシートリング28aに対
して摺動する。
る。図1および図2に示すように、旋回スクロール9の
背後には、その端板17に近接かつ対向する形態で、リ
ング状のスラスト板19が設けられており、このスラス
ト板19はフロントケーシング4の端面に固定されてい
る。スラスト板19の旋回スクロール9の端板17側の
スラスト面40には、圧力ポケット41が環状に形成さ
れており、この圧力ポケット41の奥面42の一部に
は、圧力ポケット41に高圧油を導入するための高圧導
入孔43が開口している。この高圧導入孔43はL字型
通路となっており、その他方の開口はスラスト板19に
形成されている。一方、ハウジング1A(ケーシング)
のケース本体2には前記高圧導入孔43に連通するよう
な給油通路(流体通路)44が形成されている。
吐出口38に接続された配管1fには油分離器50(オ
イルセパレータ)が設けられており、この油分離器50
によって吐出作動ガスより捕集した高圧流体としての潤
滑油(高圧油)は戻り配管51を通して、前記給油通路
44に供給されるようになっている。すなわち、スクロ
ール圧縮機1の作動に伴って、図示しない手段によりス
クロール圧縮機1内に潤滑油が供給されるとともに、吐
出口38から吐出された高圧作動ガスは、油分離器50
を通過する際に油分を除去される。そして、捕集した潤
滑油は高圧油として、戻り配管51、給油通路44およ
び高圧導入孔43を通って圧力ポケット41に導入さ
れ、充満する。
説明する。図3に示したものは圧力ポケット41の部分
拡大図である。図において、複数の矢印で示したものは
圧力ポケット41内の高圧油による圧力分布である。圧
力分布は、圧力ポケット41に接する部位では圧力Rが
作用し、圧力ポケット41から離れるに従い圧力が低下
する分布を示す。圧力ポケット41の面積をA、スラス
ト板19と旋回スクロール9との接触面積をB、圧力分
布をf(RP)とおくと、高圧油による旋回スクロール9
への押圧力Foil(図の圧力分布領域の積分)は、Foil
=A×R+B×f(RP)と表すことができる。ここで、
旋回スクロール9がスラスト板19に与える押圧力をF
aとおくと、Foil<Faとなるように設定されている。
すなわち、旋回スクロール9がスラスト板19から浮か
ないようになっている。より具体的には、図4に示すよ
うに、本例のような背圧ブロック13を有するスクロー
ル圧縮機は、固定スクロール8と旋回スクロール9とを
離間させようとする力をFTH、固定スクロール8に付与
される背圧をFZとおくと、Fa=FZ―FTH+FTH=FZ
である。すなわち、Fa=FZ<Foilとなるように設定
される。また、図5に示すように、旋回スクロール9’
の端板17’が分割され、内部に圧縮室内の高圧ガスが
導入されるタイプのスクロール圧縮機では、次のように
設定されている。すなわち、図5に示すように、端板1
7’内の高圧ガスによる押圧力をFZとおくと、Fa=F
Zである。すなわち、Fa=FZ<Foilとなるように設定
される。さらにまた、図6に示した背圧により押えない
一般的構造のスクロール圧縮機では、圧縮室内の高圧ガ
スによる押圧力がFaであるから、Fa<Foilとなるよ
うに設定される。
について説明する。電磁クラッチ32のコイル32aに
通電して、車両エンジンの回転をクランクシャフト5に
伝動させると、クランクシャフト5の回転は、偏心軸2
6、貫通孔25、ドライブブッシュ23、旋回軸受2
4、ボス22からなる旋回駆動機構を介して旋回スクロ
ール9が駆動され、旋回スクロール9は自転防止リング
27によってその自転を阻止されながら公転旋回半径を
半径とする円軌道上を公転旋回運動する。
双方の渦巻状突起11,18の線接触部が次第に渦巻の
中心方向に移動し、この結果、密閉空間21a,21b
(圧縮室)が容積を減少しながら、渦巻の中心方向へ移
動する。これに伴って吸入口(不図示)を通って吸入室
15へ流入した作動ガス(矢印A参照)が、双方の渦巻
状突起11,18との外終端開口部から密閉空間21a
内に取り込まれ、圧縮されながら圧縮室の中心部21c
に至り、ここから固定スクロール8の端板10に穿設さ
れた吐出ポート34を通り、吐出弁35を押開いて高圧
室16へ吐出され、さらに吐出口38から吐出される。
このように、旋回スクロール9の旋回により、吸入室1
5より導入した流体を前記密閉空間21a,21b内で
圧縮し、この圧縮ガスを吐出する。電磁クラッチ32の
コイル32aへの通電を解除して、クランクシャフト5
への回転力の伝動を絶つと、スクロール圧縮機1の運転
は停止される。そして、電磁クラッチ32のコイル32
aへ再び通電すると、スクロール圧縮機1は再起動され
る。
は、油分離器50を通過する際に油分を除去される。そ
して、捕集した潤滑油は高圧油として戻り配管51を通
過して給油通路44に供給される。給油通路44に供給
された高圧油は、高圧導入孔43を通って圧力ポケット
41に導入され充満される。この高圧油により旋回スク
ロール9を均等にスラスト支持し、旋回スクロール9の
スラスト荷重を低減する。ただし、旋回スクロール9は
スラスト板19から浮き上がることはない。圧力ポケッ
ト41内の高圧油の一部はスラスト板19と旋回スクロ
ール9の端板17との間を漏れ出て、潤滑油として利用
される。
油を、給油通路44および導入孔43を通して圧力ポケ
ット41に供給することにより、騒音が発生することな
く、圧縮効率を低下させることなく長期間に渡って高圧
油により旋回スクロール9のスラスト荷重を低減させ、
機械損失の向上を図れる。また、従来のスクロール圧縮
機と比較して構造が簡単であるため、メンテナンスが容
易、かつ小径化が可能である。さらにまた、圧力ポケッ
ト41より漏れ出た油は、スクロール圧縮機1内部の潤
滑作用を果たす。そして、高圧流体供給手段として、高
圧の吐出作動ガスより潤滑油を分離するための油分離器
50と、この油分離器50で分離された潤滑油を給油通
路44に戻すための潤滑油戻り配管51とを備えている
ものとすることにより、高圧油を再利用できる。
ルのいわゆる転倒を考慮することができる。すなわち、
図7に示したように、M1=Fr×L1、M2=Fa×L2と
すると、旋回スクロールの転倒を防止するためには、 Foil<Fa―Fr×L1/L2 を満たすように設定すればよい。
2実施形態について説明する。なお、上記第1実施形態
と同一の構成については同一の符号を用い、その説明を
省略する。図8は、本例にかかるスラスト板19’の上
面図である。図において、符号60は圧力ポケット41
の外側に位置して該圧力ポケット41を取り囲んで設け
られた低圧溝である。この低圧溝は、連通溝61により
低圧の冷媒ガスが導入されるようになっている。図9に
圧力ポケット41周辺の圧力分布を示した。図3と比較
するとわかるように、低圧溝60が圧力分布の限界とな
り、旋回スクロール9に圧力を作用する面積が減少す
る。圧力ポケット41と低圧溝60との距離は、圧力ポ
ケット41が旋回スクロール9を押し戻す押圧力が適切
となるように設定されている。
おいては、低圧溝60が設けられていることにより、高
圧油による旋回スクロール9への押圧力Foilを抑える
ことができる。これは、面圧を下げるために端板径を大
きくした場合でも、圧力ポケット41による押し戻しす
ぎを防止することができる為、特に有効である。また、
低圧溝60が圧力ポケット41よりも外側に設けられて
いることにより、以下の効果を得ることができる。旋回
スクロール9の端板17は、中心側ほど圧縮室内の高圧
ガスによる面圧分布が高い。このため、図10のように
内側ほど端板17に高い圧力が作用する。このため、圧
力ポケット41を中心に近い位置に設けることで、面圧
の高い旋回スクロール9中心部の荷重を効果的に軽減す
ることができる。また、仮に低圧溝60が圧力ポケット
41より内側にある場合、外周側には図10のように旋
回スクロール端板17とスラスト板19との間に隙間が
発生する場合があり、圧力ポケット41内の高圧油が漏
れるおそれがある。本例では、圧力ポケット41が低圧
溝60の内側に位置しているため、高圧油の漏れを抑え
ることができる。
ット41はスラスト板19、または、旋回スクロール9
の端板19側のどちら側に設けても良い。また、上記各
実施形態では、スクロール圧縮機を、CO2を作動ガス
とするCO2サイクルに適用したが、これに限らず、通
常のフロン等を作動ガスとする蒸気圧縮式冷凍サイクル
に適用してもよい。
れているので、以下に記載するような効果を奏する。請
求項1に記載の発明によれば、高圧流体を圧力ポケット
に供給することにより、旋回スクロールのスラスト荷重
を低減して機械効率の向上を図ることができる。また、
旋回スクロールはスラスト部材から浮き上がらないた
め、圧力ポケット内の高圧流体の漏れを防止することが
できる。
ットに導入された高圧流体は、低圧溝を限界として圧力
分布が制限されため、圧力ポケットによる旋回スクロー
ルの押し戻しすぎを防止することができる。
の高圧ガスによる面圧分布が高い旋回スクロール中心側
に圧力ポケットが位置するため、面圧の高い中心部の荷
重を効果的に低減することができる。また、圧力ポケッ
トが内側に位置しているため、高圧流体の漏れを押える
ことができる。
の縦断面図である。
大図である。
ト部の圧力分布を示す部分拡大図である。
力を示す図である。
力を示す図である。
力を示す図である。
図である。
ル圧縮機が備える旋回スクロールのスラスト板を示す平
面図である。
分布を示す部分拡大図である。
図である。
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 ケーシング内に、端板の一面側に渦巻状
突起が形成された固定スクロールと、端板の一面側に渦
巻状突起が設けられかつこの渦巻状突起が前記固定スク
ロールの前記渦巻状突起と組み合わされて渦巻状の圧縮
室を形成する旋回スクロールとを備え、前記旋回スクロ
ールの旋回に伴い、導入した作動ガスを前記圧縮室内で
圧縮した後に吐出するスクロール圧縮機において、 前記旋回スクロールの前記端板の背面側に、これをスラ
スト支持するためのスラスト部材を対向配置させ、この
スラスト部材または前記旋回スクロール端板のいずれか
一方には、前記スラスト部材または前記旋回スクロール
端板のいずれか他方との対向面に高圧流体が導入される
圧力ポケットが形成され、該圧力ポケット内の高圧流体
が前記旋回スクロールに作用する押圧力は、前記旋回ス
クロールが前記スラスト部材に作用する押圧力よりも小
さくなるように設定されていることを特徴とするスクロ
ール圧縮機。 - 【請求項2】 請求項1に記載のスクロール圧縮機にお
いて、 前記スラスト部材と前記旋回スクロール端板のいずれか
一方には、前記圧力ポケットから所定距離を隔てて、低
圧溝が形成されていることを特徴とするスクロール圧縮
機。 - 【請求項3】 請求項2に記載のスクロール圧縮機にお
いて、 前記圧力ポケットは、前記旋回スクロールの旋回中心軸
を取り囲んで設けられた環状溝であり、前記低圧溝は、
前記圧力ポケットをさらに取り囲んで設けられた環状溝
であることを特徴とするスクロール圧縮機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000391576A JP4664490B2 (ja) | 2000-12-22 | 2000-12-22 | スクロール圧縮機 |
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JPH09158849A (ja) * | 1995-12-07 | 1997-06-17 | Toshiba Corp | スクロール式圧縮機 |
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WO2024079947A1 (ja) * | 2022-10-14 | 2024-04-18 | 株式会社豊田自動織機 | 両回転式スクロール型圧縮機 |
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