JP4664490B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクロール圧縮機に関し、特に二酸化炭素(CO2)等の超臨界域で冷媒を使用する蒸気圧縮冷凍サイクルに適したスクロール圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保護の観点から、蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいて、冷媒の脱フロン対策の1つとして、作動ガス(冷媒ガス)として二酸化炭素(CO2)を使用した冷凍サイクル(以下、CO2サイクル)が提案されている(例えば、特公平7−18602号公報)。このCO2サイクルの作動は、フロンを使用した従来の蒸気圧縮式冷凍サイクルと同様である。すなわち、図12(CO2モリエル線図)のA−B−C−D−Aで示されるように、圧縮機で気相状態のCO2を圧縮し(A−B)、この高温圧縮の気相状態のCO2を放熱器(ガスクーラ)にて冷却する(B−C)。そして、減圧器により減圧して(C−D)、気液相状態となったCO2を蒸発させて(D−A)、蒸発潜熱を空気等の外部流体から奪って外部流体を冷却する。
【0003】
ところで、CO2の臨界温度は約31℃と従来の冷媒であるフロンの臨界点温度と比べて低いので、夏場等外気温の高いときには、放熱器側でのCO2の温度がCO2の臨界点温度よりも高くなってしまう。つまり、放熱器出口側においてCO2は凝縮しない(線分BCが飽和液線SLと交差しない)。また、放熱器出口側(C点)の状態は、圧縮機の吐出圧力と放熱器出口側でのCO2温度によって決定され、放熱器出口側でのCO2温度は放熱器の放熱能力と外気温度(制御不可)とによって決定するので、放熱器出口での温度は、実質的には制御することができない。したがって、放熱器出口側(C点)の状態は、圧縮機の吐出圧力(放熱器出口側圧力)を制御することによって制御可能となる。つまり、夏場等外気温の高いときには、十分な冷却能力(エンタルピ差)を確保するためには、E−F−G−H−Eで示されるように、放熱器出口側圧力を高くする必要がある。そのために、圧縮機の運転圧力を従来のフロンを用いた冷凍サイクルに比べて高くする必要がある。車両用空調装置を例にすると、前記圧縮機の運転圧力は従来のR134(フロン)では3kg/cm2程度であるのに対してCO2では40kg/cm2程度と高く、また運転停止圧力はR134(フロン)では15kg/cm2程度であるのに対してCO2では100kg/cm2程度と高くなる。
【0004】
ここで、一般的なスクロール圧縮機は、ケーシング内に、端板の一面側に渦巻状突起が形成された固定スクロールと、端板の一面側に渦巻状突起が設けられかつこの渦巻状突起が前記固定スクロールの前記渦巻状突起と組み合わされて渦巻状の圧縮室を形成する旋回スクロールとを備え、前記旋回スクロールの旋回に伴い、導入した作動ガスを前記圧縮室内で圧縮した後に吐出するものである。そして、上述のように、CO2を作動ガスとした運転圧力の高いスクロール圧縮機では、旋回スクロールにかかる大きなスラストに対抗するために、旋回スクロールの背面をスラスト玉軸受により支持することにより、前記圧縮室からの作動ガスの漏れを極力阻止している。また、例えば特開平3−54387号公報には、旋回スクロールの背面をスラスト板により支持するとともに、このスラスト板の旋回スクロールとの接触面に油または水をシールするための凹部を形成したり、さらに、特公平1−44911号公報には、旋回スクロールの背面に背圧室を設けるとともに、旋回スクロールの背面をばねによって付勢されるピストンにより支持する技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、旋回スクロールをスラスト玉軸受で支持するものは、特に長期間の使用に伴って、玉軸受けの特性上騒音が大きくなる上にスラスト荷重の低減効果が低下して、機械損失が大きくなり、さらに、玉軸受け交換のためのメンテナンスに手間がかかるという問題点、及び、スクロール圧縮機の小径化が難しいという問題点がある。旋回スクロールを単にスラスト板で支持するものも、スラスト荷重の低減効果は低い。
【0006】
そこで、本発明者らは、日々鋭意研究した結果、スラスト板の旋回スクロールとの対向面に外部より高圧油或いは作動ガスを導く簡単な構成に基づいて、圧縮効率が低下せず、スラスト荷重(スラスト負荷)を効果的に低減できる上に、潤滑作用をも確保でき、かつスクロール圧縮機の小径化が可能であることを見出した。
すなわち、本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、圧縮効率を低下させずに、旋回スクロールのスラスト荷重を効果的に低減して機械効率の向上を図り、構造が簡単でメンテナンスの容易、かつ小径化が可能なスクロール圧縮機を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、ケーシング内に、端板の一面側に渦巻状突起が形成された固定スクロールと、端板の一面側に渦巻状突起が設けられかつこの渦巻状突起が前記固定スクロールの前記渦巻状突起と組み合わされて渦巻状の圧縮室を形成する旋回スクロールとを備え、前記旋回スクロールの旋回に伴い、導入した作動ガスを前記圧縮室内で圧縮した後に吐出するスクロール圧縮機において、前記旋回スクロールの前記端板の背面側に、これをスラスト支持するためのスラスト部材を対向配置させ、このスラスト部材または前記旋回スクロール端板のいずれか一方には、前記スラスト部材または前記旋回スクロール端板のいずれか他方との対向面に高圧流体が導入される圧力ポケットが形成され、前記圧力ポケットは、前記旋回スクロールの旋回中心軸を取り囲んで設けられた環状溝であり、該圧力ポケット内の高圧流体が前記旋回スクロールに作用する押圧力は、前記旋回スクロールが前記スラスト部材に作用する押圧力よりもよりも小さくなるように設定されることにより、旋回スクロールがスラスト板から浮き上がることが抑制され、前記スラスト部材と前記旋回スクロール端板のいずれか一方には、前記圧力ポケットから所定距離を隔てて低圧溝が形成され、前記低圧溝は、前記圧力ポケットをさらに取り囲んで設けられた環状溝であるとともに、該低圧溝の外周側の部分にも、前記旋回スクロールと前記スラスト板とが摺動する面が形成されていて、前記旋回スクロールは、前記スラスト板と重なり合う面の全幅に亘って前記スラスト板に摺動可能に支持されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
【0008】
上記構成のスクロール圧縮機では、高圧流体を圧力ポケットに供給することにより、この高圧流体が旋回スクロールのスラスト荷重を低減する。旋回スクロールはスラスト部材から浮き上がらないため、圧力ポケット内の高圧流体の漏れは防止される。
【0010】
また、この発明においては、圧力ポケットに導入された高圧流体は、低圧溝を限界として圧力分布が制限される。圧力ポケットと低圧溝との距離は、圧力ポケットが旋回スクロールを押し戻す押圧力が適切となるように設定される。なお、低圧溝と圧力ポケットとの位置関係は特に限定されない。
【0012】
さらに、この発明においては、圧縮室内の高圧ガスによる面圧分布が高い旋回スクロール中心側に圧力ポケットが位置するため、面圧の高い中心部の荷重を効果的に低減する。また、低圧溝が圧力ポケットより内側にある場合、外周側には旋回スクロール端板とスラスト部材との間に隙間が発生する場合があり、圧力ポケット内の高圧流体が漏れるおそれがある。本発明では、圧力ポケットが内側に位置しているため、高圧流体の漏れが抑えられる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係わるスクロール圧縮機の実施形態について図面を参照して説明する。
先ず、本発明のスクロール圧縮機を備えたCO2サイクルについて、図11を参照して説明する。このCO2サイクルSは例えば車両用空調装置に適用したものであり、1は気相状態のCO2を圧縮するスクロール圧縮機である。スクロール圧縮機1は図示しない駆動源(例えばエンジン等)から駆動力を得て駆動する。1aは、スクロール圧縮機1で圧縮されたCO2を外気等との間で熱交換して冷却する放熱器(ガスクーラ)であり、1cは放熱器1a出口側でのCO2温度に応じて放熱器1a出口側圧力を制御する圧力制御弁である。CO2は、この圧力制御弁1bおよび絞り1cにより減圧されて低温低圧の気液2相状態のCO2となる。1dは、車室内の空気冷却手段をなす蒸発器(吸熱器)で、気液2相状態のCO2は蒸発器1d内で気化(蒸発)する際に、車室内空気から蒸発潜熱を奪って車室内空気を冷却する。1eは、気相状態のCO2を一時的に蓄えるアキュムレータである。そして、スクロール圧縮機1、放熱器1a、圧力制御弁1b、絞り1c、蒸発器1dおよびアキュムレータ1eは、それぞれ配管1fによって接続されて閉回路を形成している。
【0014】
次に、スクロール圧縮機1の第1実施形態について、図1を参照して説明する。
スクロール圧縮機1のハウジング1A(ケーシング)は、カップ状のケース本体2と、これにボルト3により締結されたフロントケース4(クランクケース)とから構成されている。クランクシャフト5はフロントケース4を貫通し、メイン軸受6およびサブ軸受7を介してフロントケース4に回転自在に支持されている。クランクシャフト5には、図示しない車両エンジンの回転が公知の電磁クラッチ32を介して伝動されるようになっている。なお、符号32a,32bはそれぞれ電磁クラッチ32のコイルおよびプーリを示している。
【0015】
ハウジング1Aの内部には固定スクロール8および旋回スクロール9が配設されている。
固定スクロール8は端板10とその内面に立設された渦巻状突起(ラップ)11とを備え、この端板10の背面にはリング状の背圧ブロック13が固定手段としての複数本のボルト12により分解可能に固定されている。背圧ブロック13の内周面および外周面にはOリング14a,14bがぞれぞれ埋設されており、これらOリング14a,14bは、ケース本体2の内周面に密接し、ケース本体2内の低圧室15(吸入室)より後述する高圧室(吐出チャンバ)16が隔離されている。この高圧室16は、背圧ブロック13の小径内空間13aと、小径内空間13aに連続して形成された大径内空間13bと、固定スクロール8の端板10の背面に大径内空間13bと連続するように形成された凹部10aとから構成されている。固定スクロール8の端板10には吐出ポート34(トップクリアランス)が穿設されており、この吐出ポート34を開閉するための吐出弁35が前記凹部10aに位置している。
【0016】
旋回スクロール9は端板17とその内面に立設された渦巻状突起(ラップ)18とを備え、この渦巻状突起18は前記固定スクロール8の渦巻状突起11と実質的に同一の形状を有している。
【0017】
固定スクロール8とケース本体2との間にはリング状の板ばね20aが配置されており、この板ばね20aは複数のボルト20bを介して、周方向に交互に固定スクロール8およびケース本体2に締結されている。これにより、固定スクロール8はその軸方向においてのみ板ばね20aの最大撓み量だけ、移動を許容されている(フロート構造)。なお、リング状の板ばね20aおよびボルト20bにより固定スクロール支持装置20(軸方向コンプライアンス支持装置)が構成されている。前記背圧ブロック13の背面突出部とハウジング1Aとの間には隙間cが設けられていることにより、この背圧ブロック13は前記軸方向に可動となっている。固定スクロール8と旋回スクロール9とは、相互に公転旋回半径だけ偏心し、かつ、180°だけ位相をずらせて図示のように噛み合わされ、渦巻状突起11の先端に埋設されたチップシール(不図示)は端板17の内面に密接し、渦巻状突起18の先端に埋設されたチップシール(不図示)は端板10の内面に密接し、また、渦巻状突起11,18の側面に互いに複数箇所で密接する。これにより、渦巻状の中心に対してほぼ点対称をなす複数の密閉空間21a,21bが限界される。固定スクロール8と旋回スクロール9との間には、旋回スクロール9の自転を阻止して公転を許容する自動防止リング27(オルダム接手)が設けられている。
【0018】
上述のように、吐出ポート34(トップクリアランス)を固定スクロール8の端板10にのみに形成し、かつこの吐出ポート34を開閉するための吐出弁35を直接固定スクロール8の端板10に取付けたことにより、吐出ポート34を背圧ブロック13に形成する必要はなく、吐出ポート34の長さおよび容積を小さくできる。したがって、圧縮機の再圧縮動力を低く抑え、性能が向上する。
また、背圧ブロック13および固定スクロール8は互いに別体のものであり、背圧ブロック13を固定スクロール8にボルト12(固定手段)により着脱自在に固定することにより、背圧ブロック13を固定スクロール8に固定する前に、固定スクロール8の端板10に吐出弁35を容易に取付けることができ、しかも取付け箇所の自由度が高まる。
【0019】
端板17の外面中央部に形成された円筒状のボス22の内部にはドライブブッシュ23が、ラジアル軸受を兼ねる旋回軸受24(ドライブ軸受)を介して回動自在に収容され、このドライブブッシュ23に穿設された貫通孔25内にはクランクシャフト5の内端に突設された偏心軸26が回動自在に嵌合されている。また、端板17の外面の外周縁とフロントケース4との間には、旋回スクロール9をスラスト支持するための後述するスラスト板19(スラスト部材)が配置されている。
【0020】
クランクシャフト5の外周には、軸封装置としての公知のメカニカルシール28(シャフトシール)が配置されており、このメニカルシール28は、フロントケース4に固定されたシートリング28aと、クランクシャフト5とともに回転する従動リング28bとを備え、この従動リング28bは、付勢部材28cによりシートリング28aに圧接されていることにより、クランクシャフト5の回転に伴いシートリング28aに対して摺動する。
【0021】
次に、本実施形態の特徴部について説明する。
図1および図2に示すように、旋回スクロール9の背後には、その端板17に近接かつ対向する形態で、リング状のスラスト板19が設けられており、このスラスト板19はフロントケーシング4の端面に固定されている。スラスト板19の旋回スクロール9の端板17側のスラスト面40には、圧力ポケット41が環状に形成されており、この圧力ポケット41の奥面42の一部には、圧力ポケット41に高圧油を導入するための高圧導入孔43が開口している。この高圧導入孔43はL字型通路となっており、その他方の開口はスラスト板19に形成されている。一方、ハウジング1A(ケーシング)のケース本体2には前記高圧導入孔43に連通するような給油通路(流体通路)44が形成されている。
【0022】
図1に示すように、スクロール圧縮機1の吐出口38に接続された配管1fには油分離器50(オイルセパレータ)が設けられており、この油分離器50によって吐出作動ガスより捕集した高圧流体としての潤滑油(高圧油)は戻り配管51を通して、前記給油通路44に供給されるようになっている。すなわち、スクロール圧縮機1の作動に伴って、図示しない手段によりスクロール圧縮機1内に潤滑油が供給されるとともに、吐出口38から吐出された高圧作動ガスは、油分離器50を通過する際に油分を除去される。そして、捕集した潤滑油は高圧油として、戻り配管51、給油通路44および高圧導入孔43を通って圧力ポケット41に導入され、充満する。
【0023】
ここで、圧力ポケット41の原理について説明する。
図3に示したものは圧力ポケット41の部分拡大図である。図において、複数の矢印で示したものは圧力ポケット41内の高圧油による圧力分布である。圧力分布は、圧力ポケット41に接する部位では圧力Rが作用し、圧力ポケット41から離れるに従い圧力が低下する分布を示す。圧力ポケット41の面積をA、スラスト板19と旋回スクロール9との接触面積をB、圧力分布をf(RP)とおくと、高圧油による旋回スクロール9への押圧力Foil(図の圧力分布領域の積分)は、Foil=A×R+B×f(RP)と表すことができる。
ここで、旋回スクロール9がスラスト板19に与える押圧力をFaとおくと、Foil<Faとなるように設定されている。すなわち、旋回スクロール9がスラスト板19から浮かないようになっている。
より具体的には、図4に示すように、本例のような背圧ブロック13を有するスクロール圧縮機は、固定スクロール8と旋回スクロール9とを離間させようとする力をFTH、固定スクロール8に付与される背圧をFZとおくと、Fa=FZ―FTH+FTH=FZである。すなわち、Fa=FZ<Foilとなるように設定される。
また、図5に示すように、旋回スクロール9’の端板17’が分割され、内部に圧縮室内の高圧ガスが導入されるタイプのスクロール圧縮機では、次のように設定されている。すなわち、図5に示すように、端板17’内の高圧ガスによる押圧力をFZとおくと、Fa=FZである。すなわち、Fa=FZ<Foilとなるように設定される。
さらにまた、図6に示した背圧により押えない一般的構造のスクロール圧縮機では、圧縮室内の高圧ガスによる押圧力がFaであるから、Fa<Foilとなるように設定される。
【0024】
さて次に、上記スクロール圧縮機1の動作について説明する。
電磁クラッチ32のコイル32aに通電して、車両エンジンの回転をクランクシャフト5に伝動させると、クランクシャフト5の回転は、偏心軸26、貫通孔25、ドライブブッシュ23、旋回軸受24、ボス22からなる旋回駆動機構を介して旋回スクロール9が駆動され、旋回スクロール9は自転防止リング27によってその自転を阻止されながら公転旋回半径を半径とする円軌道上を公転旋回運動する。
【0025】
旋回スクロール9が公転旋回運動すると、双方の渦巻状突起11,18の線接触部が次第に渦巻の中心方向に移動し、この結果、密閉空間21a,21b(圧縮室)が容積を減少しながら、渦巻の中心方向へ移動する。これに伴って吸入口(不図示)を通って吸入室15へ流入した作動ガス(矢印A参照)が、双方の渦巻状突起11,18との外終端開口部から密閉空間21a内に取り込まれ、圧縮されながら圧縮室の中心部21cに至り、ここから固定スクロール8の端板10に穿設された吐出ポート34を通り、吐出弁35を押開いて高圧室16へ吐出され、さらに吐出口38から吐出される。このように、旋回スクロール9の旋回により、吸入室15より導入した流体を前記密閉空間21a,21b内で圧縮し、この圧縮ガスを吐出する。電磁クラッチ32のコイル32aへの通電を解除して、クランクシャフト5への回転力の伝動を絶つと、スクロール圧縮機1の運転は停止される。そして、電磁クラッチ32のコイル32aへ再び通電すると、スクロール圧縮機1は再起動される。
【0026】
吐出口38から吐出された高圧作動ガスは、油分離器50を通過する際に油分を除去される。そして、捕集した潤滑油は高圧油として戻り配管51を通過して給油通路44に供給される。給油通路44に供給された高圧油は、高圧導入孔43を通って圧力ポケット41に導入され充満される。この高圧油により旋回スクロール9を均等にスラスト支持し、旋回スクロール9のスラスト荷重を低減する。
ただし、旋回スクロール9はスラスト板19から浮き上がることはない。
圧力ポケット41内の高圧油の一部はスラスト板19と旋回スクロール9の端板17との間を漏れ出て、潤滑油として利用される。
【0027】
このように本実施形態では、外部より高圧油を、給油通路44および導入孔43を通して圧力ポケット41に供給することにより、騒音が発生することなく、圧縮効率を低下させることなく長期間に渡って高圧油により旋回スクロール9のスラスト荷重を低減させ、機械損失の向上を図れる。また、従来のスクロール圧縮機と比較して構造が簡単であるため、メンテナンスが容易、かつ小径化が可能である。
さらにまた、圧力ポケット41より漏れ出た油は、スクロール圧縮機1内部の潤滑作用を果たす。そして、高圧流体供給手段として、高圧の吐出作動ガスより潤滑油を分離するための油分離器50と、この油分離器50で分離された潤滑油を給油通路44に戻すための潤滑油戻り配管51とを備えているものとすることにより、高圧油を再利用できる。
【0028】
なお、Foilの条件として、旋回スクロールのいわゆる転倒を考慮することができる。すなわち、図7に示したように、M1=Fr×L1、M2=Fa×L2とすると、旋回スクロールの転倒を防止するためには、
oil<Fa―Fr×L1/L2
を満たすように設定すればよい。
【0029】
次に、本発明に係るスクロール圧縮機の第2実施形態について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、その説明を省略する。
図8は、本例にかかるスラスト板19’の上面図である。図において、符号60は圧力ポケット41の外側に位置して該圧力ポケット41を取り囲んで設けられた低圧溝である。この低圧溝は、連通溝61により低圧の冷媒ガスが導入されるようになっている。図9に圧力ポケット41周辺の圧力分布を示した。図3と比較するとわかるように、低圧溝60が圧力分布の限界となり、旋回スクロール9に圧力を作用する面積が減少する。圧力ポケット41と低圧溝60との距離は、圧力ポケット41が旋回スクロール9を押し戻す押圧力が適切となるように設定されている。
【0030】
このように構成されたスクロール圧縮機においては、低圧溝60が設けられていることにより、高圧油による旋回スクロール9への押圧力Foilを抑えることができる。これは、面圧を下げるために端板径を大きくした場合でも、圧力ポケット41による押し戻しすぎを防止することができる為、特に有効である。
また、低圧溝60が圧力ポケット41よりも外側に設けられていることにより、以下の効果を得ることができる。
旋回スクロール9の端板17は、中心側ほど圧縮室内の高圧ガスによる面圧分布が高い。このため、図10のように内側ほど端板17に高い圧力が作用する。このため、圧力ポケット41を中心に近い位置に設けることで、面圧の高い旋回スクロール9中心部の荷重を効果的に軽減することができる。
また、仮に低圧溝60が圧力ポケット41より内側にある場合、外周側には図10のように旋回スクロール端板17とスラスト板19との間に隙間が発生する場合があり、圧力ポケット41内の高圧油が漏れるおそれがある。本例では、圧力ポケット41が低圧溝60の内側に位置しているため、高圧油の漏れを抑えることができる。
【0031】
なお、上記各実施形態において、圧力ポケット41はスラスト板19、または、旋回スクロール9の端板19側のどちら側に設けても良い。
また、上記各実施形態では、スクロール圧縮機を、CO2を作動ガスとするCO2サイクルに適用したが、これに限らず、通常のフロン等を作動ガスとする蒸気圧縮式冷凍サイクルに適用してもよい。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したとおりに構成されているので、以下に記載するような効果を奏する。
まず、高圧流体を圧力ポケットに供給することにより、旋回スクロールのスラスト荷重を低減して機械効率の向上を図ることができる。また、旋回スクロールはスラスト部材から浮き上がらないため、圧力ポケット内の高圧流体の漏れを防止することができる。
【0033】
また、圧力ポケットに導入された高圧流体は、低圧溝を限界として圧力分布が制限されため、圧力ポケットによる旋回スクロールの押し戻しすぎを防止することができる。
【0034】
さらに、圧縮室内の高圧ガスによる面圧分布が高い旋回スクロール中心側に圧力ポケットが位置するため、面圧の高い中心部の荷重を効果的に低減することができる。また、圧力ポケットが内側に位置しているため、高圧流体の漏れを押えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るスクロール圧縮機の一実施形態の縦断面図である。
【図2】 図1に示したスラスト板およびその近傍の拡大図である。
【図3】 本発明に係るスクロール圧縮機の圧力ポケット部の圧力分布を示す部分拡大図である。
【図4】 旋回スクロールおよびスラスト板に作用する力を示す図である。
【図5】 旋回スクロールおよびスラスト板に作用する力を示す図である。
【図6】 旋回スクロールおよびスラスト板に作用する力を示す図である。
【図7】 旋回スクロールに作用するモーメントを示す図である。
【図8】 本発明の第2実施形態として示したスクロール圧縮機が備える旋回スクロールのスラスト板を示す平面図である。
【図9】 同スクロール圧縮機の圧力ポケット部の圧力分布を示す部分拡大図である。
【図10】 圧縮室内の高圧ガスによる押圧力を示した図である。
【図11】 蒸気圧縮式冷凍サイクルを示す模式図である。
【図12】 CO2のモエリエ線図である。
【符号の説明】
8 固定スクロール
9 旋回スクロール
17 旋回スクロール端板
19、19’ スラスト板(スラスト部材)
41 圧力ポケット
60 低圧溝

Claims (1)

  1. ケーシング内に、端板の一面側に渦巻状突起が形成された固定スクロールと、端板の一面側に渦巻状突起が設けられかつこの渦巻状突起が前記固定スクロールの前記渦巻状突起と組み合わされて渦巻状の圧縮室を形成する旋回スクロールとを備え、前記旋回スクロールの旋回に伴い、導入した作動ガスを前記圧縮室内で圧縮した後に吐出するスクロール圧縮機において、
    前記旋回スクロールの前記端板の背面側に、これをスラスト支持するためのスラスト部材を対向配置させ、このスラスト部材または前記旋回スクロール端板のいずれか一方には、前記スラスト部材または前記旋回スクロール端板のいずれか他方との対向面に高圧流体が導入される圧力ポケットが形成され、
    前記圧力ポケットは、前記旋回スクロールの旋回中心軸を取り囲んで設けられた環状溝であり、該圧力ポケット内の高圧流体が前記旋回スクロールに作用する押圧力は、前記旋回スクロールが前記スラスト部材に作用する押圧力よりもよりも小さくなるように設定されることにより、旋回スクロールがスラスト板から浮き上がることが抑制され
    前記スラスト部材と前記旋回スクロール端板のいずれか一方には、前記圧力ポケットから所定距離を隔てて低圧溝が形成され、前記低圧溝は、前記圧力ポケットをさらに取り囲んで設けられた環状溝であるとともに、
    該低圧溝の外周側の部分にも、前記旋回スクロールと前記スラスト板とが摺動する面が形成されていて、前記旋回スクロールは、前記スラスト板と重なり合う面の全幅に亘って前記スラスト板に摺動可能に支持されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
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