JP4859952B2 - 開放型圧縮機 - Google Patents
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Description
この発明では、圧縮機の運転時には、高圧の潤滑剤をシール室潤滑剤供給通路を通してシール室内に供給することにより、シール室に充満した潤滑剤の圧力がクランクケース内の低圧室(機械室)の圧力よりも十分に低くなるので、ラビリンスシールはシール室内に充満した潤滑剤の一部を低圧室に漏出させる作用を果たす。この漏出した潤滑剤により低圧室の潤滑が可能となる。一方、圧縮機の停止時には、シール室と低圧室との圧力がほぼ等しくなるため、シール室内に充満した潤滑剤はラビリンスシールで保持されて漏出しない。したがって、シール室に高圧の潤滑剤が充満するので、シャフトシールからの作動ガス漏れを確実に防止できる。
請求項1記載の発明は、開放型圧縮機では、その運転時には高圧の潤滑剤をシール室潤滑剤供給通路を通して、仕切り手段で仕切られたシール室内に供給して充満させることにより、この充満した高圧の潤滑剤によりシャフトシールからの作動ガス漏れを防止する。
この発明では、圧縮機の運転時には高圧の潤滑剤をシール室潤滑剤供給通路を通して、シール室内に供給することにより、シール室に充満した潤滑剤の圧力がクランクケース内の低圧室(機械室)の圧力よりも十分に低くなるので、ラビリンスシールはシール室内に充満した潤滑剤の一部を低圧室に漏出させる作用を果たす。この漏出した潤滑剤により低圧室の潤滑が可能となる。一方、圧縮機の停止時には、シール室と低圧室との圧力がほぼ等しくなるため、シール室内に充満した潤滑剤はラビリンスシールで保持され漏出しない。したがって、シール室に高圧の潤滑剤が充満するので、シャフトシールからの作動ガス漏れを確実に防止できる。しかも、圧縮機の再運転時に前記シャフトシールの損傷する恐れもない。以上のことから、冷凍サイクルの運転を効率的に行える。
先ず、本発明の開放型圧縮機を備えたCO2サイクルについて、図5を参照して説明する。このCO2サイクルSは例えば車両用空調装置に適用したものであり、1は気相状態のCO2を圧縮する開放型圧縮機である。開放型圧縮機1は図示しない駆動源(例えばエンジン等)から駆動力を得て駆動する。1aは、開放型圧縮機1で圧縮されたCO2を外気等との間で熱交換して冷却する放熱器(ガスクーラ)であり、1cは放熱器1a出口側でのCO2温度に応じて放熱器1a出口側圧力を制御する圧力制御弁である。CO2は、この圧力制御弁1bおよび絞り1cにより減圧されて低温低圧の気液2相状態のCO2となる。1dは、車室内の空気冷却手段をなす蒸発器(吸熱器)で、気液2相状態のCO2は蒸発器1d内で気化(蒸発)する際に、車室内空気から蒸発潜熱を奪って車室内空気を冷却する。1eは、気相状態のCO2を一時的に蓄えるアキュムレータである。そして、開放型圧縮機1、放熱器1a、圧力制御弁1b、絞り1c、蒸発器1dおよびアキュムレータ1eは、それぞれ配管1fによって接続されて閉回路を形成している。
開放型圧縮機1のハウジング1A(ケーシング)は、カップ状のケース本体2と、これにボルト3により締結されたフロントケース4(クランクケース)とから構成されている。クランクシャフト5はフロントケース4を貫通し、メイン軸受6およびサブ軸受7を介してフロントケース4に回転自在に支持されている。クランクシャフト5には、図示しない車両エンジンの回転が公知の電磁クラッチ32を介して伝動されるようになっている。なお、符号32a,32bはそれぞれ電磁クラッチ32のコイルおよびプーリを示している。
固定スクロール8は、端板10とその内面に立設された渦巻状突起(ラップ)11とを備え、この端板10の背面には背圧ブロック13がボルト12により分解可能に固定されている。背圧ブロック13の内周面および外周面にはOリング14a,14bがそれぞれ埋設されており、これらOリング14a,14bは、ケース本体2の内周面に密接し、ケース本体2内の低圧室15(吸入室)より後述する高圧室(吐出チャンバ)16が隔離されている。この高圧室16は、背圧ブロック13の内空間13aと、固定スクロール8の端板10の背面に形成された凹部10aとから構成されている。
旋回スクロール9は端板17とその内面に立設された渦巻状突起(ラップ)18とを備え、この渦巻状突起18は上記固定スクロール8の渦巻状突起11と実質的に同一の形状を有している。
このような構成により、渦巻状の中心に対してほぼ点対称をなす複数の密閉空間21a,21bが限界される。固定スクロール8と旋回スクロール9との間には、旋回スクロール9の自転を阻止して公転を許容する自転防止リング27(オルダム接手)が設けられている。
シール室30は、後述する非接触型のラビリンスシール31(仕切り手段)により低圧室15と隔離されている。なお、仕切り手段としてはラビリンスシール31に限らず、後述するように、メカニカルシール又は軸シール等の密封装置に漏れ通路を設けた接触シールを採用してもよい。シール室潤滑油供給通路29を介して高圧な潤滑油(潤滑剤)をシール室30に供給されるようになっている。すなわち、吐出口38より吐出され高圧の作動ガスの配管1fには、この作動ガスより潤滑油を分離するための油分離器42(オイルセパレータ)が設けられており、油分離器42で捕集した潤滑油は戻り配管43を通って前記シール室潤滑油供給通路29に導入される。
本例のメカニカルシール28は例えば滑り環式軸封装置であり、フロントケース4に固定された例えば合成ゴム製のシートリング28a(ゴムパッキン)と、クランクシャフト5とともに回転する例えば炭素鋼製の従動リング28b(滑り環)とを備え、この従動リング28bは、付勢部材28cによりシートリング28aに圧接されていることにより、クランクシャフト5の回転に伴いシートリング28aに対して摺動する。なお、このようなメカニカルシール28は例えば本出願人の出願に係わる実公平4−33424号公報や、改訂冷凍工学(発行所:株式会社コロナ社、発行日:昭和50年7月20日)の第141頁〜148頁に記載されている。
このような構成により、ラビリンスシール31は、シール室30を低圧室15より隔離している。ラビリンスシール31の特徴としては、圧縮機の運転時においてシール室30に供給された高圧の潤滑油によりチップ31bが弾性変形して、この潤滑油の一部を前記隙間を通して低圧室15側に漏出させることである。
電磁クラッチのコイルに通電して、車両エンジンの回転をクランクシャフト5に伝動させると、クランクシャフト5の回転は、偏心軸26、貫通孔25、ドライブブッシュ23、旋回軸受24、ボス22からなる旋回駆動機構を介して旋回スクロール9が駆動され、旋回スクロール9は自転防止リング17によってその自転を阻止されながら公転旋回半径を半径とする円軌道上を公転旋回運動する。
図3に示すように、仕切り手段としてのラビリンスシール51は、フロントケース4側に固定されたリング状の第1のシール部51a(構成部材)と、クランクシャフト5に固定されたリング状の第2のシール部51b(構成部材)とから構成されている。第1のシール部51aの外周部は厚肉部52となっており、この厚肉部52はメイン軸受6の外輪6aによって、フロントケース4の内面52に押し付けられていることにより、フロントケース4に固定されている。第2のシール部51bの内周部は厚肉部53となっており、この厚肉部53はクランクシャフト5の大径部5bの端面に固定されている。第1のシール部51aの内周部と第2のシール部51bの外周部との間には極めて微小な隙間が設けられて非接触となっている。このような構成により、ラビリンスシール51は、油溜室30を低圧室15より隔離している。圧縮機の運転時においてシール室30に供給された高圧の潤滑油の一部は、第1のシール部51aおよび第2のシール部51b間の前記隙間より低圧室15側に漏出される。その他の構成は図2のものと同様である。
図4に示すように、カップ状本体2に、低圧室に連通するような潤滑油供給通路29a(低圧室潤滑剤供給通路)を形成し、潤滑油供給通路29aに戻り配管43の分岐管43aを接続したものである。運転時には潤滑油を低圧室潤滑剤供給通路29aを介して直接低圧室15に供給することができるので、低圧室15の潤滑性がさらに向上する。
また、上記各実施形態では、吐出した高圧の作動ガスより分離した潤滑油をシール室(あるいはシール室および低圧室)に導入して再使用することにより、ランニングコストの低減に寄与できるが、これに限らず、潤滑油を貯留するタンクを別途設け、このタンクより潤滑油を高圧状態でシール室(あるいはシール室および低圧室)に導入する構成としてもよい。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
1 開放型圧縮機
1A ハウジング
2 ハウジング本体
4 フロントケース(クランクケース)
5 クランクシャフト
6 メイン軸受
8 固定スクロール
9 旋回スクロール
13 背圧ブロック
15 低圧室(吸入室、機械室)
16 高圧室
27 自転防止リング
28 メカニカルシール(シャフトシール)
29 シール室潤滑油供給通路(シール室潤滑剤供給通路)
29a 低圧室潤滑油供給通路(低圧室潤滑剤供給通路)
30 シール室
31 ラビリンスシール(仕切り手段)
42 油分離器(オイルセパレータ)
43 戻り配管
43a 分岐配管
Claims (6)
- クランクケースの低圧室に軸受を介して回転自在に支持されたクランクシャフトが回転することにより、前記低圧室に導入した作動ガスを圧縮し、所定の高圧にしてから吐出する、高圧冷媒を使用する開放型圧縮機において、
前記クランクシャフトの前記軸受の軸方向外側に設けられたシャフトシールと、前記軸受と前記シャフトシールとの間に設けられて、前記シャフトシールが設けられた空間を前記低圧室より仕切ってシール室とする弾性変形可能な仕切り手段と、前記クランクケースに前記シール室に連通して形成され、かつ前記シール室に潤滑剤を供給するためのシール室潤滑剤供給通路と、を備えていることを特徴とする開放型圧縮機。 - 前記仕切り手段は非接触型のラビリンスシールであり、このラビリンスシールは圧縮機の運転時において前記シール室に供給された高圧の潤滑剤をシール材の弾性変形により前記低圧室に漏出させるものである請求項1記載の開放型圧縮機。
- 前記クランクケースに前記低圧室に連通して形成され、かつ前記低圧室に潤滑剤を供給するための低圧室潤滑剤供給通路を備えている請求項1又は請求項2に記載の開放型圧縮機。
- 前記シール室、あるいは前記シール室および前記低圧室に潤滑剤としての潤滑油を供給する潤滑油供給手段として、前記吐出された高圧の作動ガスの配管に設けられて、この作動ガスより潤滑油を分離するための油分離器と、この油分離器で分離された潤滑油を前記シール室潤滑剤供給通路に、あるいは前記シール室潤滑剤供給通路および低圧室潤滑剤供給通路に戻すための潤滑油戻り配管とを備えている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の開放型圧縮機。
- 前記作動ガスは二酸化炭素である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の開放型圧縮機。
- クランクケースの低圧室に軸受を介して回転自在に支持されたクランクシャフトの密封装置であって、前記クランクシャフトの前記軸受の軸方向外側に設けられたシャフトシールと、前記軸受と前記シャフトシールとの間に設けられて、前記シャフトシールが設けられた空間を前記低圧室より仕切ってシール室とする弾性変形可能な仕切り手段と、前記クランケースに前記シール室に連通して形成され、かつ前記シール室に潤滑剤を供給するためのシール室潤滑剤供給通路と、を備えていることを特徴とする密封装置。
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- 2009-05-18 JP JP2009120134A patent/JP4859952B2/ja not_active Expired - Lifetime
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