JP2002238401A - 水中の環境改善方法 - Google Patents
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Landscapes
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Abstract
る海域、磯焼け以外の原因による海藻成育環境の衰退・
消失が現に生じ又は生じる恐れがある海域に対して低コ
ストに実施でき、しかも磯焼けの防止、赤潮の発生防
止、藻場の造成や海藻成育環境の修復などに優れた効果
が得られる水中の環境改善方法を提供する。 【解決手段】 高炉水砕スラグを磯焼けや赤潮が現に生
じ又は生じる恐れがある海域、磯焼け以外の原因による
海藻成育環境の衰退・消失が現に生じ又は生じる恐れが
ある海域に沈設することにより、非常に有効な磯焼け防
止対策や赤潮防止対策、藻場造成や海藻成育環境の修復
を低コストに実現できることを見い出しなされたもの
で、水中にケイ酸塩イオン放出源として高炉水砕スラグ
を設置することを特徴とする。
Description
法に関するもので、具体的には、沿岸海域等における水
中の珪藻類や海藻類の増殖、主に内海や湾などで発生す
る赤潮の防止、所謂磯焼けが生じている海域の藻場造成
或いは磯焼けの防止、消失浅場の回復などに有効な水中
の環境改善方法に関する。なお、本発明法が適用される
磯焼けが生じている海底部とは、岩礁や人工魚礁などの
海藻着生基盤の表面が石灰藻に覆われることにより、コ
ンブ、ワカメ、アラメなどの有用海藻が消失し又は消失
しつつある海底部を指す。
水産資源の保護などの観点から、沿岸海域の海底部に成
育する海藻類の保護・育成、所謂磯焼けの防止或いは磯
焼けが生じている海域の藻場回復、赤潮の発生防止、青
潮の発生防止などが大きな課題となっており、これらを
解決できる水中や水底の環境改善技術の開発が望まれて
いる。以下、磯焼けや赤潮等を中心に沿岸海域における
水中での生物棲息環境の問題点とこれに対する従来の対
策について述べる。
われる所謂“磯焼け”状態となった海域は、魚介類の餌
となる有用海藻(例えば、コンブ、ワカメ、アラメな
ど)が繁殖せず、その海域の漁業生産量が著しく低下す
るという問題がある。
の藻礁を設置するなどの対策が試みられてきたが、鋼製
藻礁を設置すると2年間程度は石灰藻以外の海藻が藻礁
に繁殖して藻礁部分は磯焼け状態が解消されるものの、
3年程度経過すると鋼製藻礁も石灰藻に覆われてしま
い、その効果が無くなってしまう。このため再度鋼製藻
礁を設置するなどの対策が必要となり、磯焼け防止の抜
本的な解決策とはなり得ていない。また最近では、磯焼
けが生じた海域のウニを駆除することによって藻場を復
活させた例もあるが、ウニの駆除は人力で行う必要があ
るため効率が悪く、コストも多くかかる上、一度に適用
できる海域が狭いなど、磯焼け解消の切り札とはなり得
ていない。
により珪藻類が増殖し、その結果として石灰藻の増殖が
抑制されることが知られており、このようなメカニズム
を利用した磯焼けの改善方法として、コンクリート製な
どの藻礁の表面に成分の溶解度を調整したガラスプレー
トを張り付け、これを磯焼け海域に沈設する方法が提案
されている。また、特開平6−335330号公報に
は、構成成分の海水中への溶出により海藻類を増殖させ
ることを目的として、ケイ素、ナトリウム及び/又はカ
リウム、鉄を含有するガラス質材料からなる藻場増殖材
を海中に沈設する方法が提案されている。
常増殖して海水が着色する現象であり、近年、養殖魚類
(例えば、ハマチやタイなど)を大量斃死させるなど、
特に養殖漁業に大きな被害を及ぼしていることから、そ
の防止対策が切望されている。
考えられるが、その中でもシャットネラなどの特定の鞭
毛藻類の大増殖が養殖魚類の大量斃死を招く赤潮の主要
な原因であると考えられている。赤潮は富栄養化の進行
した海域において発生することから、赤潮の防止には覆
砂や浚渫、下水道整備による河川流入栄養塩の低減化が
有効であるとされている。
新たに堆積する有機物によってその効果が失われてしま
い、また、工事可能な海域が比較的浅い海域に限られる
ため、赤潮の大発生が問題となる瀬戸内海中心部などへ
の適用は困難である。また、これらの工事には多大な費
用がかかり、このことも適用範囲が限られる要因とな
る。また、下水道整備による河川流入栄養塩の低減化
は、海域全体の栄養塩量を減らすには有効であるが、こ
れも瀬戸内海中心部のような海岸から離れた場所では、
夏期の海水停滞期に表層海水の貧栄養化の原因となり、
この貧栄養化によって表層海水中の珪藻類が減少するこ
とが、赤潮の原因となるシャットネラなどの鞭毛藻類の
増殖要因の一つとなる。
ケイ素(ケイ酸塩イオン)の海水中への付与により珪藻
類を繁殖させ、赤潮の原因となるシャットネラなどの鞭
毛藻類の増殖を抑制する方法が検討され、この方法に関
して、可溶性のケイ素を含有した人工のガラス質材料を
浮体に装着して海中に設置する赤潮予防方法が特開平1
0−94341号公報に提案されている。
状態となった表層海水中の珪藻類を繁殖させることが知
られており、珪藻類は赤潮の原因となるシャットネラな
どの鞭毛藻類の競合種であり、しかも鞭毛藻類よりも増
殖力が高いため、珪藻類が表層海水中に安定に存在する
とシャットネラなどの鞭毛藻類の異常増殖が抑制され、
その結果、赤潮の発生が防止されることになる。
失及びその対策 沿岸海域では、先に述べた磯焼け以外にも、例えば、底
質のヘドロ化や海砂の流失等による浅場の消失、底質・
水質の汚染等の原因により海藻成育環境(特に、藻場)
の衰退、消失が生じることがある。このような海底での
海藻成育環境の衰退、消失に対しては、先に磯焼け防止
に関して述べた対策が適用可能であると考えられる。
止対策 内湾等において水底で海水の停滞が生じると硫化水素が
発生し、所謂青潮の発生原因となる。特に、土砂採取等
によって水底が部分的に掘られ、比較的深さのある凹部
が形成されると、この凹部内の水が停滞する結果、特に
夏期において著しい無酸素状態となり、有機物の腐敗や
バクテリア(硫酸還元菌)の作用によって大量の硫化水
素が発生するという問題がある。このように凹部内で硫
化水素が大量発生すると、凹部内やその周囲の棲息生物
が減少するだけでなく、硫化水素を含んだ水塊(青潮)
が周辺水域に流出することによって周辺水域の生物の棲
息環境にも多大な影響を与える。
(特に水底の凹部)に石灰を散布したり、水底を天然砂
(海砂、山砂)を用いて覆砂する、などの対策が採られ
ることがあり、水底にヘドロが堆積している場合は同時
にヘドロの浚渫が行われることもある。また、天然砂で
覆砂する場合には、同時に砂質水底に棲息する魚介類等
の棲息場の造成も兼て行うことがあり、また築磯効果を
期待して天然砂に代えて天然石を用いる場合もある。
た磯焼けや他の原因による海藻成育環境の衰退・消失の
防止対策、赤潮の防止対策、磯焼けや他の原因で海藻成
育環境が衰退・消失した海域での藻場造成や環境修復な
どに関しては、従来技術において海水中のケイ酸塩濃度
を高めるために用いられるガラス質材料は人工物である
ため高価であり、これを磯焼けや赤潮が発生したり、何
らかの原因で海藻成育環境が衰退・消失した広い海域に
大量に設置するとなると膨大な費用がかかる。また、本
発明者らが検討したところによれば、従来技術で用いら
れる人工のガラス質材料は海水などへのケイ素の溶出性
が必ずしも十分ではなく、また沈設量も限られるため、
ケイ素の供給はその設置場所近傍に限られてしまい、有
効な磯焼け改善効果や赤潮防止効果、或いは海藻成育環
境の改善効果が得られないことが判った。
に関しては、天然砂や天然石は特に化学的な底質・水質
浄化作用を有していないため、これらを水底に敷設した
場合、例えば、夏期の海水停滞期や生物の活動が活発な
時期になると、ヘドロが堆積していない状態でも間隙水
中において硫酸還元菌の作用により数ppm程度の硫化
水素が生成してしまう。また、敷設材として天然砂や天
然石を用いる場合には、その採取によって新たな環境破
壊を生ずる恐れがあり、また、埋立工事用などの土砂採
取のために水底に掘られた穴や溝を埋めるために他所の
水底から土砂を採取するというのでは問題の根本的解決
にはならない。
(a)多大なコストかかる、(b)pHの制御が困難で水質が
高アルカリになる場合がある、(c)石灰が水底で板状に
固まってしまうため、その下部の泥質中の水が入れ替ら
ず、このため硫化水素がより多量に発生し、ある時期に
板状に固った石灰層が崩壊すると高濃度の硫化水素を含
む水が周囲に流れ出てしまう、等の問題がある。また、
石灰を散布するとしても石灰によって凹部を埋めてしま
うことは困難であるため、結果的に凹部はそのまま残る
ことになり、したがって、凹部内の水が夏期の海水停滞
期に無酸素化し、硫化水素が大量発生するという現象を
根本的に解消することはできない。
が現に生じ又は生じる恐れがある海域、或いは磯焼け以
外の原因による海藻成育環境の衰退・消失が現に生じ又
は生じる恐れがある海域に対して低コストに実施でき、
しかも磯焼けの防止、赤潮の発生防止、或いは藻場の造
成や海藻成育環境の修復などに優れた効果が得られる水
中の環境改善方法を提供することにある。また、本発明
の他の目的は、上記の効果に加えて、青潮の発生防止に
も優れた効果が得られる水中の環境改善方法を提供する
ことにある。
め、まず、本発明者らは海水などへのケイ素の溶出性な
どの点に優れ、しかも安価で且つ大量に入手することが
でき、広い海域に大量に投入することができる材料を見
い出すべく検討を重ね、その結果、鉄鋼製造プロセスに
おいて副生成物として得られる高炉水砕スラグがその条
件に極めてよく合致すること、したがってこの高炉水砕
スラグを磯焼けや赤潮が現に生じ又は生じる恐れがある
海域、或いは磯焼け以外の原因による海藻成育環境の衰
退・消失が現に生じ又は生じる恐れがある海域に沈設す
ることにより、非常に有効な磯焼け防止対策や赤潮防止
対策、或いは藻場造成や海藻成育環境の修復を低コスト
に実現できることを見い出した。
易い水底に敷設することにより、上述した効果に加え
て、硫化水素の発生及び海水の富栄養化とこれらにより
引き起こされる青潮の発生を長期間に亘って抑制でき、
しかも底質や水質の浄化作用も得られることが判った。
また、敷設された高炉水砕スラグ層は硫化水素が少なく
溶存酸素の多い状態となるため着生する生物にとって棲
息しやすい環境となり、生物の着生基盤としても高い機
能を有することが判った。
もので、その特徴は以下の通りである。 [1] 水中にケイ酸塩イオン放出源として、高炉水砕スラ
グを設置することを特徴とする水中の環境改善方法。 [2] 上記[1]の方法において、磯焼けが生じている海底
部に、磯焼け防止材として高炉水砕スラグを設置するこ
とにより、磯焼け海域での藻場造成を行うことを特徴と
する水中の環境改善方法。 [3] 上記[2]の方法において、天然又は人工の海藻着生
基盤の周囲又は近傍に高炉水砕スラグを設置することに
より、磯焼け海域での藻場造成を行うことを特徴とする
水中の環境改善方法。
ラグを設置した後、人工の海藻着生基盤を設置すること
により、磯焼け海域での藻場造成を行うことを特徴とす
る水中の環境改善方法。 [5] 上記[1]の方法において、磯焼けが生じるおそれが
ある海底部に、磯焼け防止材として高炉水砕スラグを設
置することにより、磯焼けを防止することを特徴とする
水中の環境改善方法。 [6] 上記[5]の方法において、天然又は人工の海藻着生
基盤の周囲又は近傍に高炉水砕スラグを設置することに
より、磯焼けを防止することを特徴とする水中の環境改
善方法。
ラグを設置した後、人工の海藻着生基盤を設置すること
により、磯焼けを防止することを特徴とする水中の環境
改善方法。 [8] 磯焼けが発生している海底部又は磯焼けの発生を予
防すべき海底部に設置される磯焼け防止材であって、高
炉水砕スラグからなることを特徴とする水中の環境改善
用資材。 [9] 海水域、汽水域又淡水域において、水中に赤潮防止
材として高炉水砕スラグを設置することにより赤潮発生
を防止することを特徴とする水中の環境改善方法。
以内の水中に高炉水砕スラグを設置することにより赤潮
発生を防止することを特徴とする水中の環境改善方法。 [11] 上記[9]又は[10]の方法において、高炉水砕スラグ
を水底に直接敷設することにより赤潮発生を防止するこ
とを特徴とする水中の環境改善方法。 [12] 上記[9]又は[10]の方法において、高炉水砕スラグ
を通水性を有する袋又は容器に入れ、該袋又は容器を水
底に設置することにより赤潮発生を防止することを特徴
とする水中の環境改善方法。 [13] 上記[9]又は[10]の方法において、高炉水砕スラグ
を通水性を有する袋又は容器に入れ、該袋又は容器を水
面又は水面下に浮設した浮体に保持させることにより赤
潮発生を防止することを特徴とする水中の環境改善方
法。
発生を予防すべき海域に設置される赤潮防止材であっ
て、高炉水砕スラグからなることを特徴とする水中の環
境改善用資材。 [15] 上記[1]の方法において、硫化水素発生源である水
底に高炉水砕スラグを敷設することを特徴とする水中の
環境改善方法。 [16] 上記[1]の方法において、水底に形成された凹部内
に、全部又は一部が高炉水砕スラグからなる敷設材を敷
設し、該敷設材により形成される水底面の平均水深d1
と凹部周囲の水底面の平均水深d0との差[d1−
d0]を2m以下(但し、[d1−d0]がマイナス値
の場合を含む)とすることを特徴とする水中の環境改善
方法。
高炉水砕スラグとそれ以外の素材とからなり、該敷設材
は、高炉水砕スラグとそれ以外の素材が混合された状態
であるか、又は高炉水砕スラグが上層側、それ以外の素
材が下層側になるようにして凹部内に敷設されることを
特徴とする水中の環境改善方法。 [18] 上記[16]又は[17]の方法において、凹部内に敷設
された敷設材の50mass%以上が高炉水砕スラグからな
ることを特徴とする水中の環境改善方法。 [19] 上記[16]〜[18]のいずれかの方法において、凹部
に敷設された敷設材の上層が、高炉水砕スラグを60ma
ss%以上含むことを特徴とする水中の環境改善方法。 [20] 上記[1]の方法において、海岸に面した海底に高炉
水砕スラグを敷設するとともに、該高炉水砕スラグの敷
設領域の周囲にスラグ流失防止用の潜堤を設置し、且つ
該高炉水砕スラグの敷設領域には人工の海藻着生基盤及
び/又は漁礁を設置したことを特徴とする水中の環境改
善方法。
なくとも一部を、鉄鋼製造プロセスで発生した塊状のス
ラグ、鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを主原料とす
る粉粒状原料を炭酸反応で生成させたCaCO3を主た
るバインダーとして固結させて得られたブロック、鉄鋼
製造プロセスで発生したスラグを主原料とする水和硬化
体ブロックの中から選ばれる1種以上で構成したことを
特徴とする水中の環境改善方法。 [22] 上記[20]又は[21]の方法において、人工の海藻着
生基盤及び/又は漁礁の少なくとも一部を、鉄鋼製造プ
ロセスで発生した塊状のスラグ、鉄鋼製造プロセスで発
生したスラグを主原料とする粉粒状原料を炭酸反応で生
成させたCaCO 3を主たるバインダーとして固結させ
て得られたブロック、鉄鋼製造プロセスで発生したスラ
グを主原料とする水和硬化体ブロックの中から選ばれる
1種以上で構成したことを特徴とする水中の環境改善方
法。
ン放出源として高炉水砕スラグを設置するものであり、
この高炉水砕スラグから水中に放出されるケイ酸塩イオ
ンが珪藻類を増殖させ、その結果、磯焼けが現に生じ又
は生じる恐れがある海域においては石灰藻の増殖が抑制
されて磯焼けの発生が抑えられ或いは磯焼け海域に藻場
を造成することができ、また、磯焼け以外の原因で海藻
成育環境が現に衰退・消失し又は衰退・消失する恐れが
ある海域においては、海藻類を効果的に成育・増殖させ
ることができる。また、同じく赤潮が現に生じ又は生じ
る恐れがある海域においては、赤潮の原因となる鞭毛類
の増殖が抑制されて赤潮の発生が抑えられる。さらに、
青潮発生を引き起こす硫化水素の発生や海水の富栄養化
を生じている海域においては、上記の効果に加えて、高
炉水砕スラグから水中に溶出したCaOが水中のpHを
高めること、さらにはスラグ中に含まれるCaOに水中
の硫化水素、燐などが固定されることなどにより、硫化
水素の発生が抑制されるとともに水の富栄養化も抑制さ
れるため、青潮の発生も抑えられる。
施形態である、磯焼け海域の藻場造成法及び磯焼け防止
法について説明する。本発明の水中の環境改善法に基づ
く磯焼け海域の藻場造成法では、磯焼けが生じている海
底部に磯焼け防止材(ケイ塩イオン放出源)として高炉
水砕スラグを設置(沈設)するものである。高炉水砕ス
ラグは鉄鋼製造プロセスにおいて副生成物として大量に
生産され、しかも非常に安価な材料であるため海中への
大量投入が可能であり、例えば、1つの磯焼け発生海域
に百万トンオーダーで投入することが可能である。本発
明法では、基本的には磯焼け海域の海中(海底)に高炉
水砕スラグをそのまま沈設すればよい。
スにおいて副生成物として得られたスラグのままのも
の、或いはスラグを地鉄(鉄分)除去したもの、破砕処
理したもの、地鉄除去の前又は後に破砕処理したものな
どを用いることができる。また、高炉水砕スラグを磯焼
け防止材として海中に沈設する際には、他の材料(例え
ば、製鋼スラグ、フライアッシュ、けい砂、山砂、海
砂、粘土など)と混合した状態で用いることができる
が、この場合でも所望のケイ酸塩溶出量を確保するため
に必要とされる量の高炉水砕スラグを用いる必要があ
る。
分とを多量に含むガラス質材料(一般に、SiO2:3
0mass%以上、CaO:35mass%以上)であり、この
ため海水中に設置(沈設)された高炉水砕スラグは、こ
れに含まれるCaOの溶解により生じたCaイオンのケ
イ酸塩網目構造へのアタックによりケイ酸塩網目構造が
分断され、この結果、海水中にケイ酸塩イオンを溶出さ
せる。すなわち、高炉水砕スラグの場合には、水分子に
よるケイ酸塩網目構造の切断により徐々にケイ酸塩イオ
ンが海水中に溶解する作用に加えて、スラグから溶解し
たCaイオンによるケイ酸塩網目構造の分断によりケイ
酸塩イオンが海水中に溶解する作用が得られ、したがっ
て、このような高炉水砕スラグのケイ酸塩イオンの溶出
機構は、先に従来技術として挙げた人工のガラス質材料
と同様の水分子によるケイ酸塩イオンの溶出作用と、C
aイオンのアタックによるケイ酸塩イオンの溶出作用と
が組み合わされたものとなり、人工のガラスよりもはる
かにケイ酸塩が溶出しやすい。
にある高炉スラグ(溶融スラグ)を噴流水で急冷して得
られるものであるため、その形態や組織において人工の
ガラス質材料には無い以下のような特質がある。すなわ
ち、一般に人工のガラス質材料は組織が緻密であるのに
対し、高炉水砕スラグの場合には、溶融状態にあるスラ
グを噴流水で急冷する過程でスラグ中に溶け込んでいる
窒素や水分などによってスラグが発泡するため、得られ
るスラグ粒子は無数の内部気孔を有する多孔質組織のガ
ラス質材料となり、しかも相当に細かい粒子(通常、D
50が1.0〜2.0mm程度の粒度)となる。また、
同様の理由から高炉水砕スラグの粒子は角張った形状
(表面に多数の尖った部分を有する形状)を有してい
る。したがって、このような形態及び組織面での特質か
ら、高炉水砕スラグは人工のガラス質材料を破砕装置で
破砕して得られたような粒状物に較べて比表面積が格段
に大きく、その分ケイ酸塩イオンが溶出しやすいという
特徴がある。さらに、高炉水砕スラグ粒子表面に多数存
在する尖った部分は微細な形態であるため、微細な粉体
が成分の溶解性が高いのと同様に、ケイ酸塩の溶解に非
常に適している。
炉水砕スラグの積層物は人工のガラス質材料を破砕装置
で破砕して得られたような粒状物の積層物に較べて充填
間隙が大きく、通水性に優れている。このため高炉水砕
スラグの積層物から溶出するケイ酸塩イオンは、人工の
ガラス質材料のそれに較べて積層物の外部に拡散し易い
という特徴がある。
するため、海中に設置された場合に硫化水素の発生抑制
効果を有し、このため高炉水砕スラグの積層物内では硫
酸還元が起こりにくく、天然の砂やガラスの積層物内に
較べて硫化水素が少なく溶存酸素の多い状態となる。こ
の状態は着生する生物にとって棲息しやすい状態である
と言え、したがって、海中に設置された高炉水砕スラグ
はケイ酸塩イオンの供給源であるとともに、生物の着生
基盤としても機能し、この点からも磯焼けの改善に有効
である。
成物として得られるスラグとしては、高炉水砕スラグ以
外にも高炉徐冷スラグや製鋼スラグ(例えば、脱炭スラ
グ、脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱珪スラグ、電気炉製鋼
スラグなど)などがあるが、これらのスラグ粒子は組織
が緻密で高炉水砕スラグのような多孔質組織ではなく、
しかも、スラグ粒子の粒径も高炉水砕スラグに較べて格
段に大きく、またこれを粉砕処理した場合でも個々のス
ラグ粒子の形状は高炉水砕スラグのような角張った形状
(表面に多数の尖った部分を有する形状)にはならな
い。このため比表面積は高炉水砕スラグに較べて格段に
小さい。また、高炉徐冷スラグは、硫化物の溶出量が大
きいため、海水のCODを高めたり、スラグ積層物の充
填間隙中で硫化水素の濃度が高くなるという問題があ
る。また、製鋼スラグの多くはSiO 2の含有量が少な
くCaOの含有量が多いため、この面からもケイ酸塩の
溶解量が少ない。したがって、これらのスラグからは海
水中へのケイ酸塩イオンの供給が十分にできず、いずれ
も本発明法で用いる磯焼け防止材には適さない。
基度(CaO+Al2O3+MgO)/SiO2で1.
6〜2.5、望ましくは1.6〜2.0であることが好
ましい。高炉水砕スラグの上記塩基度が1.6未満では
スラグ中でのSiO2の安定度が高まるためケイ酸塩イ
オンの海水中への溶出性が低下する傾向がある。一方、
上記塩基度が2.0を超え、特に2.5を超えるとスラ
グ中の結晶質の量が増加し、ケイ酸塩の溶出と同時にC
aの溶出も増加するため、ケイ酸塩がCaと沈殿物を生
成してケイ酸塩の海水中への供給量が低下する場合があ
る。
オンの濃度は10μmol/L以上とされているが、この
ようなケイ酸塩イオン濃度は高炉水砕スラグからなる磯
焼け防止材の設置によって容易に達成される。これによ
り海底の海藻着生基盤表面に珪藻類が安定的に繁殖し、
この結果、石灰藻の増殖が抑えられるとともに、昆布や
アラメなどの大型の海藻類が繁殖する。また、海藻着生
基盤表面に繁殖した珪藻類は、石灰藻とは異なり魚介類
の餌となるため、珪藻類が繁殖すれば磯焼け海域におい
て水産資源が増加する。また、高炉水砕スラグからのケ
イ酸塩イオンの溶出は長期間継続するため、珪藻類の増
殖及びこれに伴う磯焼け防止効果も長期間に亘って継続
することになる。
造成法の特に好ましい実施形態について説明する。この
藻場造成法では、磯焼けが生じている海底部において海
藻着生基盤の周囲又は近傍に高炉水砕スラグを設置する
のが好ましい。これにより高炉水砕スラグから溶出した
ケイ酸塩イオンにより海藻着生基盤周囲の海水が高ケイ
酸塩濃度化し、海藻着生基盤に珪藻類を効果的に繁殖さ
せることができる。
よく、前者の場合は岩礁などであり、後者の場合には鋼
製ブロック、コンクリートブロック、天然石、スラグ塊
などである。また、この後者の場合には、磯焼け防止材
を設置した後に海藻着生基盤を設置してもよい。人工の
海藻着生基盤を設置する海底は、岩礁帯、砂地などを問
わない。
く、一般にこのような海域は海流が速いので、高炉水砕
スラグをそのまま海底に設置すると海流により流失して
しまうおそれがある。したがって、このような海域では
高炉水砕スラグを通水性の容器又は袋に入れて設置する
ことが好ましく、この場合も上記と同様の形態で海底に
設置すればよい。
ている海域だけでなく、磯焼けが生じる恐れのある海底
部に設置することができる。すなわち、本発明の水中の
環境改善方法の他の実施形態である磯焼け防止方法で
は、磯焼けが生じる恐れがある海底部に、磯焼け防止材
として高炉水砕スラグを設置することにより、当該海域
での磯焼けを予防する。この場合も高炉水砕スラグは、
先に述べたものと同様の形態で設置される。なお、上述
したように本発明法に基づく磯焼け海域の藻場造成法や
磯焼け防止法が適用される主たる海域(磯焼けを現に生
じ又は生じる恐れのある海域)は主として外海に面した
海域であり、したがって所謂赤潮が生じるような河川流
入栄養塩などにより富栄養化した海域とは対照をなすよ
うな海域である。
実施形態である、赤潮防止法について説明する。この赤
潮防止方法では、海水域などの水中(以下、海水中に適
用する場合について説明する)に赤潮防止材として高炉
水砕スラグを設置(沈設)する。先に述べたように、高
炉水枠スラグは鉄鋼製造プロセスにおいて副生成物とし
て大量に生産され、しかも非常に安価な材料であるため
海中への大量投入が可能であり、例えば、1つの赤潮多
発海域に百万トンオーダーで投入することが可能であ
る。一般に、赤潮が発生する海域は富栄養化が進んだ内
海や湾に多く、基本的にはそのような海域の海中(海
底)に高炉水砕スラグをそのまま沈設すればよい。
スにおいて副生成物として得られたスラグのままのも
の、或いはスラグを地鉄(鉄分)除去したもの、破砕処
理したもの、地鉄除去の前又は後に破砕処理したものな
どを用いることができる。また、高炉水砕スラグを海中
に沈設する際には、他の材料(例えば、製鋼スラグ、フ
ライアッシュ、けい砂、山砂、海砂、粘土など)と混合
した状態で用いることができるが、この場合でも所望の
ケイ素(ケイ酸塩イオン)溶出量を確保するために必要
とされる量の高炉水砕スラグを用いる必要がある。
成分とCaO成分とを多量に含むガラス質材料(一般
に、SiO2:30mass%以上、CaO:35mass%以
上)であり、このため海水中に設置(沈設)された高炉
水砕スラグは、これに含まれるCaOの溶解により生じ
たCaイオンのケイ酸塩網目構造へのアタックによりケ
イ酸塩網目構造が分断され、この結果、海水中にケイ酸
塩イオンを溶出させる。すなわち、高炉水砕スラグの場
合には、水分子によるケイ酸塩網目構造の切断により徐
々にケイ酸塩イオンが海水中に溶解する作用に加えて、
スラグから溶解したCaイオンによるケイ酸塩網目構造
の分断によりケイ酸塩イオンが海水中に溶解する作用が
得られ、したがって、このような高炉水砕スラグのケイ
酸塩イオンの溶出機構は、先に従来技術として挙げた人
工のガラス質材料と同様の水分子によるケイ酸塩イオン
の溶出作用と、Caイオンのアタックによるケイ酸塩イ
オンの溶出作用とが組み合わされたものとなり、人工の
ガラスよりもはるかにケイ酸塩が溶出しやすい。
にある高炉スラグ(溶融スラグ)を噴流水で急冷して得
られるものであるため、その形態や組織において人工の
ガラス質材料には無い以下のような特質がある。すなわ
ち、一般に人工のガラス質材料は組織が緻密であるのに
対し、高炉水砕スラグの場合には、溶融状態にあるスラ
グを噴流水で急冷する過程でスラグ中に溶け込んでいる
窒素や水分などによってスラグが発泡するため、得られ
るスラグ粒子は無数の内部気孔を有する多孔質組織のガ
ラス質材料となり、しかも相当に細かい粒子(通常、D
50が1.0〜2.0mm程度の粒度)となる。また、
同様の理由から高炉水砕スラグの粒子は角張った形状
(表面に多数の尖った部分を有する形状)を有してい
る。したがって、このような形態及び組織面での特質か
ら、高炉水砕スラグは人工のガラス質材料を破砕装置で
破砕して得られたような粒状物に較べて比表面積が格段
に大きく、その分ケイ酸塩イオンが溶出しやすいという
特徴がある。さらに、高炉水砕スラグ粒子表面に多数存
在する尖った部分は微細な形態であるため、微細な粉体
が成分の溶解性が高いのと同様に、ケイ酸塩の溶解に非
常に適している。
炉水砕スラグの積層物は人工のガラス質材料を破砕装置
で破砕して得られたような粒状物の積層物に較べて充填
間隙が大きく、通水性に優れている。このため高炉水砕
スラグの積層物から溶出するケイ酸塩イオンは、人工の
ガラス質材料のそれに較べて積層物の外部に拡散し易い
という特徴がある。
するため、海中に設置された場合に硫化水素の発生抑制
効果を有し、このため高炉水砕スラグの積層物内では硫
酸還元が起こりにくく、天然の砂やガラスの積層物内に
較べて硫化水素が少なく溶存酸素の多い状態となる。こ
の状態は着生する生物にとって棲息しやすい状態である
と言え、したがって、海中に設置された高炉水砕スラグ
はケイ酸塩イオンの供給源であるとともに、生物の着生
基盤としても機能することができる。
て副生成物として得られるスラグとしては、高炉水砕ス
ラグ以外にも高炉徐冷スラグや製鋼スラグ(例えば、脱
炭スラグ、脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱珪スラグ、電気
炉製鋼スラグなど)などがあるが、これらのスラグ粒子
は組織が緻密で高炉水砕スラグのような多孔質組織では
なく、しかも、スラグ粒子の粒径も高炉水砕スラグに較
べて格段に大きく、またこれを粉砕処理した場合でも個
々のスラグ粒子の形状は高炉水砕スラグのような角張っ
た形状(表面に多数の尖った部分を有する形状)にはな
らない。このため比表面積は高炉水砕スラグに較べて格
段に小さい。また、高炉徐冷スラグは、硫化物の溶出量
が大きいため、海水のCODを高めたり、スラグ積層物
の充填間隙中で硫化水素の濃度が高くなるという問題が
ある。また、製鋼スラグの多くはSiO2の含有量が少
なくCaOの含有量が多いため、この面からもケイ酸塩
の溶解量が少ない。したがって、これらのスラグからは
海水中へのケイ酸塩イオンの供給が十分にできず、いず
れも本発明法で用いる赤潮防止材には適さない。
基度(CaO+Al2O3+MgO)/SiO2で1.
6〜2.5、望ましくは1.6〜2.0であることが好
ましい。高炉水砕スラグの上記塩基度が1.6未満では
スラグ中でのSiO2の安定度が高まるためケイ酸塩イ
オンの海水中への溶出性が低下する傾向がある。一方、
上記塩基度が2.0を超え、特に2.5を超えるとスラ
グ中の結晶質の量が増加し、ケイ酸塩の溶出と同時にC
aの溶出も増加するため、ケイ酸塩がCaと沈殿物を生
成してケイ酸塩の海水中への供給量が低下する場合があ
る。
て高炉水砕スラグを海中に設置する場合の特に好ましい
実施形態は以下の通りである。この赤潮防止方法におい
て、高炉水砕スラグは水深15m以内(以浅)、好まし
くは10m以内(但し、いずれも干潮時の水深)に設置
するのが望ましい。これは、高炉水砕スラグの設置深度
があまり大きいと溶出したケイ酸塩イオンが表層海水に
到達しにくくなり、表層海水のケイ酸塩濃度を高める上
で効率が悪いからである。
えば、沿岸から数km以内の場合)には、図1に示すよ
うに水深15m以内、好ましくは10m以内の海底を覆
うように高炉水砕スラグAを敷設すればよく、この高炉
水砕スラグAから溶出したケイ酸塩イオンにより沿岸海
域の海水が高ケイ酸塩濃度化し、この海水が海流によっ
て沖合に流されるため、その海域一帯の表層海水のケイ
酸塩濃度が高まり、珪藻類を効果的に増殖させることが
できる。
1(a)に示すように高炉水砕スラグAをそのまま海底
に設置する以外に、図1(b)に示すように高炉水砕ス
ラグAを通水性の容器又は袋に入れて設置することも可
能である。この方法は設置する海域の海流が速い場合
に、高炉水砕スラグの流出を防止するのに有効である。
また、図1(a)のように高炉水砕スラグをそのまま海
底に設置する場合には、後述する図8に示すような潜堤
(例えば、製鋼スラグ塊を積み上げることにより構築さ
れる潜堤)を高炉水砕スラグAの周囲に設置すること
で、高炉水砕スラグの流出を防止するようにしてもよ
い。
の場合(例えば、沿岸から数km以上離れた沖合の場
合)には、図1のように沿岸に高炉水砕スラグを設置す
る方法でもよいが、この方法の場合には、高炉水砕スラ
グの設置により高ケイ酸塩濃度化した海水が海流よって
赤潮発生海域に安定的に流れ込まなければならなず、事
前に海流などの調査が必要となる。したがって、赤潮発
生海域が沿岸から離れた沖合の場合は、図2(a)〜
(c)に示すように沖合の赤潮発生海域にブイや筏等の
浮体Bを浮かべ、この浮体Bに高炉水砕スラグAを入れ
た通水性の袋又は容器を保持させるようにすることが好
ましい。また、この場合にも袋又は容器は水深15m以
内、望ましくは10m以内に設置することが好ましい。
対して高炉水砕スラグから直接ケイ酸塩イオンを供給す
ることができ、赤潮発生海域の表層海水が容易に高ケイ
酸塩濃度化し、珪藻類を効果的に増殖させることができ
る。また、この方法によれば浮体Bはアンカーで水底な
どに固定されるので、高炉水砕スラグの流出の恐れもな
い。また、浮体Bとしては海面上に浮設されるもののほ
かに、海面下に浮設されるものでもよい。
を利用したもので、ブイB1を海底に係留するロープC
に適当な間隔で高炉水砕スラグAを入れた通水性の袋又
は容器を固定したものである。また、図2(b)は、海
面に浮設された筏B2を利用したもので、筏B2を海底
に係留するロープCに適当な間隔で高炉水砕スラグAを
入れた通水性の袋又は容器を固定したものである。さら
に、図2(c)は海面に浮設されたブイB1を海底に係
留するロープCに適当な間隔で板状又は箱状などの支持
基盤Dを取付け、この支持基盤Dに高炉水砕スラグAそ
のもの又はこれを入れた通水性の袋又は容器を載せたも
のである。
容器を浮体Bに保持させる構造は図2の形態に限定され
るものではなく、例えば、上記袋又は容器を適当な固定
手段により浮体Bの下部に直接取り付けるようにしても
よい。また、高炉水砕スラグを沿岸又は沖合に設置する
場合においては、高炉水砕スラグを入れた通水性の袋又
は容器を水底または陸上に支持基盤を持つ構造物(例え
ば、海洋構造物)に保持させること、例えば構造物から
吊り下げるようにすることもできる。
イオンの濃度は10μmol/L以上とされているが、こ
のようなケイ酸塩イオン濃度は本発明法により高炉水砕
スラグを海中に設置すること、好ましくは水深15m以
内(より好ましくは水深10m以内)の海中に設置する
ことによって容易に達成される。これにより表層海水中
に珪藻類(シャットネラなどの鞭毛藻類の競合種)が安
定的に繁殖し、赤潮の原因となるシャットネラなどの鞭
毛藻類の異常増殖が防止される。また、珪藻類の安定的
な繁殖は、これを食料とする魚介類の増殖にも効果があ
り、水産資源の増加にも効果がある。また、高炉水砕ス
ラグからのケイ酸塩イオンの溶出は長期間継続するた
め、珪藻類の増殖及びこれに伴う赤潮防止効果も長期間
に亘って継続することになる。
主たる海域(旧来の赤潮多発海域)は主として内海や湾
などにおいて河川流入栄養塩などにより富栄養化した海
域であり、したがって所謂“磯焼け”が生じるような海
域とは対照をなすような海域である。また、以上の実施
形態では本発明を海水域に適用する場合について説明し
たが、赤潮は汽水域や淡水域でも発生するものであり、
したがって、本発明に基づく赤潮防止方法はこれらの水
域に対しても適用することができる。
施形態としては、以上説明した形態、すなわち磯焼け海
域の藻場造成法、磯焼け防止法、赤潮防止法以外にも、
例えば、磯焼け以外の原因で海藻成育環境が衰退・消失
した海域の環境改善法(修復)等などがある。このよう
な環境改善法においても、使用される高炉水砕スラグの
組成や性状、高炉水砕スラグの敷設形態、高炉水砕スラ
グからのケイ酸塩イオンの溶出機構、その他の高炉水砕
スラグの機能などは、先に磯焼け海域の藻場造成法や磯
焼け防止法に関して述べたものと同様である。
実施形態について説明する。この実施形態では、高炉水
砕スラグを硫化水素の発生源となる水底に敷設し、上述
したケイ酸塩イオンの水中への放出による効果に加え
て、硫化水素の発生(さらには、海水の富栄養化)とこ
れにより引き起こされる青潮の発生を抑制する。硫化水
素の主要な発生源は水が停滞しやすく、且つ有機物が堆
積し、酸素消費量が多いヘドロ状の水底部であり、特に
土砂採取等によって水底が部分的に掘られ、比較的深さ
のある凹部が形成された水底部において硫化水素が発生
しやすい。すなわち、このような凹部内では水が停滞す
る結果、特に夏期において著しい無酸素状態となり、有
機物の腐敗やバクテリア(硫酸還元菌)の作用によって
大量の硫化水素が発生し、硫化水素を含んだ大量の無酸
素水塊が生じる。このように凹部内で硫化水素が大量発
生すると、凹部内やその周囲の棲息生物が減少するだけ
でなく、硫化水素を含んだ上記水塊が周辺水域に流出
し、所謂青潮の発生に至る。また、凹部以外の水底部で
あっても、水が停滞しやすく且つ有機物が堆積して酸素
消費量が多いヘドロ状の水底部では、同様に硫化水素が
発生して硫化水素を含んだ無酸素水塊が生じ、底棲生物
のへい死を招いたり、無酸素水塊が周辺水域に流出して
青潮を発生させたりする。したがって、このような硫化
水素発生源となる有機物が堆積した水底部に高炉水砕ス
ラグを敷設し、或いは同じく有機物が堆積した凹部内に
当該凹部を埋めるようにして高炉水砕スラグを敷設する
ことにより、硫化水素の発生とこれにより引き起こされ
る青潮の発生を抑えることができる。
の凹部とは、通常は土砂採取や浚渫等によって水底に人
為的に形成された穴状または溝状の凹部であるが、これ
に限定されるものではなく、例えば、自然に形成された
水底の凹部や、土砂採取や元々の地形により傾斜面や浅
い凹部が形成されている水底にケーソン等を設置するこ
とで人工的に形成された凹部等も対象となる。また、対
象となる水域としては、港湾を含む海、河川、河口、湖
沼等のいずれでもよい。一般に凹部が形成される水底は
泥質又は砂質である。
場合、敷設した敷設材(高炉水砕スラグ)上面により形
成される水底面は、その周囲の水底面と略同等かそれ以
上の高さを有することが好ましいが、少なくとも、敷設
された敷設材により形成される水底面Aの平均水深d1
と凹部周囲(凹部近傍の周囲)の水底面Bの平均水深d
0との差[d1−d0]が2m以下、好ましくは1m以
下(但し、いずれも[d1−d0]がマイナス値の場合
を含む)となるようにすることが好ましい。この差[d
1−d0]が2m以下、好ましくは1m以下であれば、
凹部が十分に浅くなるため凹部内外での水の流出入が円
滑に行われるようになり(すなわち、凹部内での水の停
滞がなくなる)、夏期等に凹部内の水が無酸素状態にな
るような現象が適切に防止できる。
面Aの平均水深d1とは、敷設材により形成される水底
面Aに起伏や凹凸があるために水深にバラツキがある場
合に、その水底面を平らに均した際の水深であり、ま
た、凹部周囲(凹部近傍の周囲)の水底面Bの平均水深
d0とは、凹部周囲の水底面Bに起伏や凹凸があるため
に水深にバラツキがある場合に、その水底面を平らに均
した際の水深である。
して、敷設材としては高炉水砕スラグ100%が最も好
ましいと言えるが、高炉水砕スラグとそれ以外の素材、
例えば製鋼スラグ等の高炉水砕スラグ以外のスラグやス
ラグ以外の素材を併用してもよい。高炉水砕スラグ以外
の鉄鋼製造プロセスで発生するスラグとしては、高炉で
発生する高炉徐冷スラグ、予備処理、転炉、鋳造等の工
程で発生する脱炭スラグ、脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱
珪スラグ、鋳造スラグ等の製鋼スラグ、鉱石還元スラ
グ、電気炉スラグ等を挙げることができるが、これらに
限定されるものではなく、また2種以上のスラグを混合
して用いることもできる。また、これらのスラグは、水
和処理、炭酸化処理、エージング、水和硬化、炭酸化硬
化等を経たものを用いてもよい。また、スラグ以外の素
材としては、資源のリサイクルという観点からは都市ゴ
ミスラグ、廃コンクリート、モルタルや耐火物の廃材等
が好ましいが、それ以外に例えば建設発生残土、フライ
アッシュ、天然砂、天然石等を用いてもよい。また、都
市ゴミスラグや廃コンクリート等は、水和処理、炭酸化
処理、エージング、水和硬化、炭酸化硬化等を経たもの
を用いてもよい。
素材とからなるものを用いる場合、上述したような高炉
水砕スラグによる作用を適切に得るために、凹部に敷設
された敷設材の50mass%以上、好ましくは80mass%
以上が高炉水砕スラグで構成されることが望ましい。ま
た、その場合には高炉水砕スラグとそれ以外の素材が混
合されるか、又は高炉水砕スラグが上層側、それ以外の
素材が下層側になるようにして凹部内に敷設されること
が好ましい。
で構成し、下層をそれ以外の素材からなる敷設材で構成
する場合、上述したような高炉水砕スラグによる作用を
適切に得るために、上層中の高炉水砕スラグの含有率は
60mass%以上、好ましくは80mass%以上とすること
が望ましい。また、このように凹部内の敷設材の上層を
高炉水砕スラグ又は高炉水砕スラグを60mass%以上
(好ましくは80mass%以上)含む敷設材で構成する場
合、この上層の厚みは0.1m以上、好ましくは0.5
m以上とすることが望ましい。この上層の厚みが0.1
m未満では、その下方の硫化水素を含んだ水が簡単に通
過してしまい、上述したような作用が十分に得られなく
なる恐れがある。また、厚みが0.1m未満では施工の
際の厚み管理自体も難しくなる。また、特にこの上層の
厚みが1m以上あれば、当該上層部は底泥と混合しなく
なるため、スラグが固結するようなことがなく、このた
め生物の棲息環境として好適な砂質水底を提供できる。
を使用する場合において、脱珪スラグ、脱炭スラグ等の
製鋼スラグを用いた場合、これらのスラグは酸化鉄の含
有量が高いため高炉水砕スラグ等に較べて硫化水素や燐
を固定化する作用が大きいという特徴がある。このた
め、例えば凹部内の敷設材の下層を製鋼スラグ又は製鋼
スラグを含む敷設材で構成することにより、底泥中の硫
化水素や燐を効果的に固定することができる。下層を製
鋼スラグを含む敷設材で構成する場合、下層中の製鋼ス
ラグの含有率は60mass%以上、好ましくは80mass%
以上とすることが望ましい。下層中の製鋼スラグの含有
率が60mass%未満では、上述した製鋼スラグに特有の
作用が十分に得られない。
製鋼スラグ又は製鋼スラグを60mass%以上(好ましく
は80mass%以上)含む敷設材で構成する場合、この下
層の厚みは0.1m以上、好ましくは0.3m以上とす
ることが望ましい。この下層の厚みが0.1m未満で
は、製鋼スラグによる泥質中の硫化水素や燐の固定が十
分に行われる前に、硫化水素や燐を含んだ水がこの下層
を通過してしまい、硫化水素や燐の固定化作用が十分に
得られなくなるおそれがある。また、厚みが0.1m未
満では、施工の際の厚み管理自体も難しくなる。
て、凹部内への敷設材の敷設形態としては、例えば、以
下のようなものが考えられる。 敷設材の全部:高炉水砕スラグ 敷設材の上層:高炉水砕スラグ、敷設材の下層:高
炉水砕スラグ以外のスラグ及び/又はスラグ以外の素材 敷設材の上層:高炉水砕スラグ、敷設材の下層:製
鋼スラグ 敷設材の上層:高炉水砕スラグ、敷設材の中層:ス
ラグ以外の素材又はスラグとスラグ以外の素材との混合
物、敷設材の下層:製鋼スラグ
敷設材2(高炉水砕スラグ又は高炉水砕スラグを含む敷
設材)を敷設した状態を示しており、図5(a)に示すよ
うに、敷設材2はこれにより形成される水底面Aの平均
水深d1と凹部周囲の水底面Bの平均水深d0との差
[d1−d0]が2m以下、好ましくは1m以下となる
ように(特に好ましくは、敷設材2により形成される水
底面Aが凹部周囲の水底面Bと略同等かそれ以上の高さ
となるように)敷設される。
設材2又は高炉水砕スラグとそれ以外の素材(例えば、
廃コンクリート)とを混合した敷設材2を凹部1内に敷
設した実施形態を示している。また、図5(b)は、敷設
材2として高炉水砕スラグとそれ以外の素材を用いたも
ので、高炉水砕スラグ以外の素材21(例えば、廃コン
クリート)を下層側に、高炉水砕スラグ20を上層側に
それぞれ敷設した実施形態を示している。また、図5
(c)は、敷設材2として高炉水砕スラグ20aとその他
のスラグ20b(例えば、製鋼スラグ)を用いたもの
で、高炉水砕スラグ20aを上層側に、それ以外のスラ
グ20bを下層側にそれぞれ敷設した実施形態を示して
いる。さらに、図5(d)は、浅い凹部が形成されている
水底にケーソン3を設置することで人工的に形成された
凹部1内に敷設材2(例えば、上記(a)〜(c)のような形
態の敷設材)を敷設した実施形態を示している。また、
凹部以外の水底に敷設材を敷設する場合も、敷設材中の
高炉水砕スラグの含有率は60mass%以上、好ましくは
80mass%以上とすることが望ましく、特に高炉水砕ス
ラグのみからなる敷設材が最も好ましい。高炉水砕スラ
グ以外の敷設材としては、上述した各種スラグや都市ゴ
ミスラグ、廃コンクリート等を用いることができる。ま
た、敷設材の厚みは、上述したと同様の理由から0.1
m以上、好ましくは0.5m以上とすることが望まし
い。
砕スラグは、以下のような機構により青潮の発生原因で
ある硫化水素の発生や水の富栄養化を抑制する。すなわ
ち、高炉水砕スラグは多量のCaOを含んでいるが、こ
の高炉水砕スラグ中に含まれるCaOが水中に溶出する
ことによって水中のpHが適度に高められ、この結果、
硫化水素を発生させる硫酸還元菌の活動が抑制される。
また、高炉水砕スラグに含まれるCaO、Fe2O3に
よって水中の硫化水素を固定化することにより、水中の
硫化水素の低減化が図られる。さらに、高炉水砕スラグ
中に含まれるCaOによって水中の燐が吸着・固定さ
れ、青潮発生等の要因の一つである水の富栄養化が抑制
される。このため高炉水砕スラグを水底、特に水の停滞
を生じ易い水底の凹部に敷設した場合、凹部内の底泥か
らの硫化水素の発生が抑制されるとともに、敷設材上部
層の間隙水中での硫化水素の発生も抑制され、さらに、
スラグ粒子への硫化水素や燐の固定化作用による水質浄
化作用も得られる。また、敷設材の上部層は硫化水素が
少なく溶存酸素の多い状態となるため着生する生物にと
って棲息しやすい環境となり、生物の着生基盤としても
高い機能を有することになる。
ラス質であることから、他のスラグに較べて含有成分の
溶出や水中又は底泥中の成分との反応が非常にゆっくり
と進行する。このため水中のpHを急激に上昇させた
り、底質・水質の改善効果が短期間で消失することがな
い。さらに、高炉水砕スラグは白色で天然砂と同様の外
観を有しており、砂質域の生物が棲息するのに適した環
境を提供できる利点もある。また言うまでもなく、水底
に敷設された高炉水砕スラグはケイ酸塩イオンの放出源
として機能し、先に述べたような機構により水中にケイ
酸塩イオンを溶出して珪藻類の増殖に寄与する。
炉水砕スラグを水底に形成された凹部の敷設材として使
用した場合には、下記(a),(b)の作用効果が得られる。 (a) 敷設材の沈下抑制効果 天然砂や天然石を水底の凹部に敷設した場合、凹部の内
壁に敷設材による大きな圧力が作用し、敷設後ある程度
の期間が過ぎると敷設材が凹部の内壁を押し広げて水平
方向に広がってしまい、その結果、敷設当初は周囲の水
底面と略同レベルであった敷設材の上面レベル(水底
面)が大きく沈下し、これより水の停滞を生じるような
凹部が再び形成されてしまうという問題がある。
天然砂や天然石に較べて内部摩擦角がかなり大きく、こ
のため高炉水砕スラグを水底の凹部に敷設した場合、敷
設材から凹部の内壁に作用する圧力が比較的小さい。こ
のため天然砂や天然石を用いた場合のように敷設材が凹
部の内壁を押し広げて水平方向に広がってしまう現象が
生じにくく、敷設材の上面レベル(水底面)の沈下も生
じにくい。特に、高炉水砕スラグは他のスラグに較べて
も内部摩擦角が大きく、このため凹部内壁に対する圧力
が小さく、また他のスラグに較べて嵩密度も小さいた
め、自重による沈下も起こりにくい。したがって、敷設
材の上面レベル(水底面)の沈下も最小限に抑えること
ができる。
図6は敷設材として天然砂や天然石を用いた従来法、図
6は敷設材として高炉水砕スラグを用いた本発明法を示
している。まず、従来法のように天然砂や天然石を水底
の凹部1に敷設した場合(図6(a))、凹部1の内壁に
敷設材2による大きな圧力Fが作用し、敷設後ある程度
の期間が過ぎると、図6(b)に示すように敷設材2が凹
部1の内壁を押し広げて水平方向に広がってしまう。そ
の結果、敷設当初は周囲の水底面Yと略同レベルであっ
た敷設材の水底面Xが沈下し、これより再び凹部1′が
形成されてしまう。これに対して高炉水砕スラグを水底
の凹部1に敷設した場合(図7(a))、高炉水砕スラグ
は天然砂や天然石に較べて内部摩擦角がかなり大きいた
め、敷設材2から凹部1の内壁に作用する圧力Fが小さ
い。このため図7(b)に示すように敷設材2が凹部1の
内壁を押し広げて水平方向に広がってしまう現象が生じ
にくく、敷設材2の水底面Xの沈下も生じにくい。
運搬し、これを船上から直接又はシュート等を介して硫
化水素の発生源となる水底に投入することになるが、こ
の際、水底を構成する泥質や堆積したヘドロが水中に巻
き上げられて大量の浮泥が発生し、この浮泥により周辺
水域の水質や水底が汚染されてしまうという問題があ
る。ここで、高炉水砕スラグは比較的多量の未反応Ca
を含んでおり、このため個々のスラグ粒子の表面にも未
反応Caが存在している。このため敷設材として高炉水
砕スラグを船上から水底に投入した場合、水底を構成す
る泥質や堆積したヘドロが水中に巻き上げられて大量の
浮泥が発生するが、浮泥は水底に降下する途中のスラグ
の表面に存在するCa基により凝集・捕捉され、スラグ
とともに水底に沈降する。特に、スラグは天然砂や天然
石等に較べて真比重が大きいので、浮泥を凝集・捕捉し
たスラグは水底に速やかに沈降する。この結果、敷設材
の水底への投入に伴う浮泥の発生と、この浮泥による周
辺水域の水質や水底の汚染が適切に防止できる。
面した所謂浅場の造成又は修復を兼ねて行ってもよい。
すなわち、主に海岸に面した海域において海藻類や魚介
類の成育・棲息に適した所謂浅場が海砂の流失や浚渫な
どにより衰退・消失する場合があり、このような海底部
を本来の浅場としての環境に造成又は修復することを兼
ねて、その海底部に覆砂材等として高炉水砕スラグを敷
設することができる。このようにして敷設された高炉水
砕スラグは、生物の棲息に適した底質を提供する。また
この場合、海流等による高炉水砕スラグの流失を防止す
るため、敷設された高炉水砕スラグの周囲に潜堤を設置
することが好ましい。また、高炉水砕スラグの敷設領域
には人工の海藻着生基盤や漁礁を設置し、海藻類や魚介
類の成育・棲息環境を整えることが好ましい。
堤は任意の材料で構成することができるが、塊状スラグ
(鉄鋼製造プロセスで発生した塊状スラグ)を積み上げ
て潜堤を構築することにより、例えばコンクリート製品
を用いたり、コンクリート構造物を構築したりすること
なく、簡易且つ安価に潜堤を形成することができる。高
炉水砕スラグが元々粒状の形態であるのに対して、製鋼
スラグ等は塊状のものが得られやすく且つ比重も大きい
ため、これを所定の高さに積み上げることにより堅牢な
潜堤を構築することができ、しかもスラグが塊状である
ため海流等により消失する恐れもない。また、先に述べ
たように製鋼スラグには底質や水質を浄化する作用もあ
るため、水中の環境改善にも寄与できるという利点があ
る。
する高炉徐冷スラグ(但し、この高炉徐冷スラグは水中
でSが溶出しないようにするため、十分にエージング処
理したものが好ましい)、予備処理、転炉、鋳造等の工
程で発生する脱炭スラグ、脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱
珪スラグ、鋳造スラグ等の製鋼スラグ、鉱石還元スラ
グ、電気炉スラグ等が挙げられ、これらの2種以上を用
いてもよい。またこれらのスラグなかでも、高比重であ
るという点では脱炭スラグ、鋳造スラグが特に好まし
い。またスラグの大きさとしては、一般に塊径が30m
m程度以上のものが好ましい。また、上記潜堤は後述す
るようなスラグを主原料とするブロック、すなわち、鉄
鋼製造プロセスで発生したスラグを主原料とする粉粒状
原料を炭酸反応で生成させたCaCO3を主たるバイン
ダーとして固結させて得られたブロック、鉄鋼製造プロ
セスで発生したスラグを主原料とする水和硬化体ブロッ
クなどで構成することもできる。これらのブロックを適
当に積み上げることにより、堅牢な潜堤を構築すること
ができる。これらと上記塊状スラグを併用してもよい。
工の海藻着生基盤や漁礁は、自然石、ブロック、鋼製構
造体等の任意のもので構成することができるが、特に、
上述したような鉄鋼製造プロセスで発生した塊状スラ
グ、鉄鋼製造プロセスで発生したスラグ(鉄鋼スラグ)
を主原料とする粉粒状の原料を炭酸固化させて得られた
ブロック、或いは同じく鉄鋼スラグを主原料とする水和
硬化体ブロックなどを用いるのが好ましい。
塊状スラグについては、先に述べた通りである。また、
主原料である鉄鋼スラグを炭酸固化させて得られたブロ
ックとしては、例えば特許第3175694号で提案さ
れている、鉄鋼スラグを主原料とする粉粒状原料を炭酸
化反応で生成させたCaCO3(場合によっては、さら
にMgCO3)を主たるバインダーとして固結させ、塊
状させたものを用いることができる。また、鉄鋼スラグ
としては、先に挙げたような各種スラグ、すなわち高炉
で発生する高炉水砕スラグや高炉徐冷スラグ、予備処
理、転炉、鋳造等の工程で発生する脱炭スラグ、脱燐ス
ラグ、脱硫スラグ、脱珪スラグ、鋳造スラグ等の製鋼ス
ラグ、鉱石還元スラグ、電気炉スラグ等を用いることが
できる。
られたブロック(石材)は、スラグ中に含まれるCa
O(またはCaOから生成したCa(OH)2)の大部
分がCaCO3に変化するため、CaOによる海水のp
H上昇を防止できる、スラグに適量の鉄分(特に、金
属鉄、含金属鉄材)が含まれることにより、この鉄分が
海水中に溶出することで海水中に栄養塩として鉄分が補
給され、これが海藻類の育成に有効に作用する、スラ
グを炭酸固化して得られたブロックは全体(表面及び内
部)がポーラスな性状を有しており、このため石材表面
に海藻類が付着し易く、しかも石材内部もポーラス状で
あるため、石材中に含まれている海藻類の成育促進に有
効な成分(例えば、ケイ酸塩イオンや鉄分)が海水中に
溶出しやすい、などにより海藻の着生基盤や漁礁として
有効に機能する。また、主原料であるスラグの一部又は
全部として高炉水砕スラグを用いることにより、上述し
たようなケイ酸塩イオンの溶出を特に促進することがで
きるため、海藻成育環境の改善や磯焼け防止、赤潮防止
などに特に有効である。このためブロックの全原料又は
主原料を高炉水砕スラグとすることが最も好ましい。
ブロックは、鉄鋼スラグを主原料(骨材及び/又は結合
材)として含む原料を水和硬化させて得られるものであ
り、鉄鋼スラグとしては、先に挙げたような各種スラ
グ、すなわち高炉で発生する高炉水砕スラグや高炉徐冷
スラグ、予備処理、転炉、鋳造等の工程で発生する脱炭
スラグ、脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱珪スラグ、鋳造ス
ラグ等の製鋼スラグ、鉱石還元スラグ、電気炉スラグ等
を用いることができる。水和硬化によるブロックの製造
では、原料を水と混練後、型枠に入れ、通常1〜4週間
養生することによってブロックが製造される。
あるスラグの一部又は全部として高炉水砕スラグを用い
ることにより、上述したようなケイ酸塩イオンの溶出を
特に促進することができるため、海藻成育環境の改善や
磯焼け防止、赤潮防止などに特に有効である。このため
ブロックの全原料又は主原料を高炉水砕スラグとするこ
とが最も好ましい。なお、ブロックに用いる結合材とし
ては、上述した高炉水砕スラグの微粉末などの他にシリ
カ含有物質(例えば、粘土、フライアッシュ、ケイ砂、
シリカゲル、シリカシューム)、セメント、消石灰、N
aOHなどを適宜組み合わせて使用することもできる。
敷設領域に設置する場合には、個々のブロックを高炉水
砕スラグ層上に設置してもよいし、複数のブロックを積
み上げ或いは組み付けてもよい。特に、ブロックに漁礁
としての機能を持たせる場合には、複数のブロックを積
み上げ或いは組み付けることにより、複数のブロック間
に魚介類が棲息できるような空間部を形成することが好
ましい。また、塊状スラグを高炉水砕スラグの敷設領域
に設置する場合には、例えばスラグを山状に積み上げた
り、或いはスラグを金網籠など入れて設置するなど、任
意の設置形態を採ることができる。
とする浅場の造成又は修復において、高炉水砕スラグの
流出防止用の潜堤として塊状スラグ及び/又はスラグ
(特に好ましくは高炉水砕スラグ)を主原料とするブロ
ックを用い、且つ高炉水砕スラグの敷設領域に設置する
海藻着生基盤や漁礁としても、塊状スラグ及び/又はス
ラグ(特に好ましくは高炉水砕スラグ)を主原料とする
ブロックを用いることにより、先に述べたようなスラグ
による水中の環境改善作用(すなわち、珪藻類の増殖に
よる海藻類成育環境の改善作用や磯焼け・赤潮の発生抑
制作用、硫化水素の発生防止による青潮の発生抑制作
用、底質・水質の浄化作用など)が最も効果的に得ら
れ、しかも浅場の造成又は修復用の資材として天然資源
を用いることなく、100%リサイクル材(鉄鋼スラ
グ)を用いることができ、リサイクル材の有効利用、施
工の低コスト化、天然資源の利用による環境破壊の防止
などの面からも極めて有利である。
場の造成又は修復の一実施形態を示したもので、4は水
底に適当な厚さに敷設された高炉水砕スラグ、5は敷設
された高炉水砕スラグの流失を防止するために高炉水砕
スラグ4の周囲に設置された潜堤であり、この潜堤5は
塊状スラグ(製鋼スラグ)を積み上げることにより構築
されている。さらに、6は敷設された高炉水砕スラグ層
上に積み上げられることにより海藻着生基盤及び/又は
漁礁を構成するブロックであり、このブロック6として
は、鉄鋼スラグ(好ましくは高炉水砕スラグ)を主原料
とする粉粒状原料を炭酸固化させて得られたブロック、
或いは同じく鉄鋼スラグ(好ましくは高炉水砕スラグ)
を主原料とする水和硬化体ブロックなどを用いる。
するとともに、その流失防止用の潜堤5として塊状スラ
グを用い、さらに高炉水砕スラグ4の敷設領域に鉄鋼ス
ラグ(好ましくは高炉水砕スラグ)で構成されたブロッ
ク6を海藻着生基盤及び/又は漁礁として設置すること
により、海藻類や魚介類の成育・棲息環境に最も適した
浅場が造成又は修復されることになる。なお、以上述べ
た浅場の造成又は修復においても、使用される高炉水砕
スラグの組成や性状、高炉水砕スラグの敷設形態、高炉
水砕スラグからのケイ酸塩イオンの溶出機構、その他の
高炉水砕スラグの機能などは、先に磯焼け海域の藻場造
成法や磯焼け防止法に関して述べたものと同様である。
本発明では、高炉水砕スラグは高炉設備で生成したもの
をそのまま用いてもよいし、分級又は破砕−分級などに
より粒度調整したものを用いてもよい。
水砕スラグを20cm厚さで10m×10mの範囲に設
置した。その後、この付近の海底部での珪藻類及び大型
海藻類の着生の調査を継続して行った。その結果、スラ
グ設置1週後には、スラグ設置場所近傍の岩礁に付着珪
藻が観察され、スラグ設置1ヶ月後にはスラグ設置場所
から海流の下流側30mまで付着珪藻が観察された。ま
た、大型の海藻類は、スラグ設置1ヶ月後にスラグ設置
場所の近傍に観察され、スラグ設置6ヶ月後には海流の
下流側20mの範囲で観察された。また、長期の観察で
は、5年経過した後も6ヶ月後と同様に珪藻類と大型の
海藻類が観察された。特に大型の海藻類はその種類も増
加した。
状態となっている海域において、図4に示すように砂質
部に高炉水砕スラグを50cmの厚さで30m×30m
の範囲に設置した。さらに、その上に製鋼スラグ硬化体
及び製鋼スラグを設置し、人工の岩礁を作った。その
後、この付近の海底部での付着珪藻及び大型海藻類の着
生の調査を継続して行った。その結果、スラグ設置1週
間後には、スラグ設置場所の人工岩礁に付着珪藻が観察
され、スラグ設置1ヶ月後にはスラグ設置場所から20
m離れた岩礁においても付着珪藻が観察された。また、
大型の海藻類については、スラグ設置1ヶ月後にスラグ
設置場所の人工岩礁に観察され、スラグ設置6ヶ月後に
は設置場所から20m離れた岩礁においても観察され
た。長期の観察では、5年経過した後も6ヶ月後と同様
に人工岩礁と天然岩礁の双方に珪藻類と大型海藻類が観
察された。特に大型の海藻類はその種類も増加した。
において、海岸近くの海底に高炉水砕スラグを略30c
mの厚さに敷設した。その敷設範囲は海岸線から沖合に
40m(水深2〜7m)までの範囲であって、海岸線の
総延長200mの範囲とした。
期)、その設置場所と旧来の赤潮発生ポイント(海域)
の表層海水中のケイ酸塩濃度と珪藻量とを継続的に調査
した。その結果を表1に示す。これによれば、高炉水砕
スラグの設置2週間後には、その設置場所と旧来の赤潮
発生ポイントでの表層海水中のケイ酸塩濃度が増加して
おり、元々ケイ酸塩濃度の低かった赤潮発生ポイントで
も珪藻量が増加していた。また、高炉水砕スラグの設置
後3年間調査を継続したが、この間赤潮の発生は全く認
められず、また高炉水砕スラグの設置場所では海藻や魚
介類も多数観察された。
海)にブイを浮かべ、高炉水砕スラグを入れた通水性の
袋を前記ブイから吊した。通水性の袋としては土嚢袋を
用い、1つの土嚢袋には高炉水砕スラグを10kg入
れ、これをロープに50cm間隔で水深10m位置まで
複数個に取り付け、ロープの上部をブイに固定するとと
もに、ロープ下部にアンカーを取り付けてブイを海底に
係留した。そして、このような高炉水砕スラグ入りの土
嚢袋を取り付けたロープを上記赤潮多発海域の500m
四方に100m間隔で設置した。
期)、高炉水砕スラグ設置海域とその外側海域(高炉水
砕スラグ設置場所から3km離れた海域)の表層海水中
のケイ酸塩濃度と珪藻量とを継続的に調査した。その結
果を表2に示す。これによれば高炉水砕スラグの設置1
週間後には高炉水砕スラグ設置海域における表層海水中
のケイ酸塩濃度と珪藻量はその外側海域よりも増加して
いた。また、赤潮が高炉水砕スラグ設置海域の外側海域
で発生した場合にも、高炉水砕スラグ設置海域には赤潮
は流入せず、顕著な赤潮防止効果が確認された。
成された直径が約30mの凹部(深掘り部分)に、高炉
水砕スラグを凹部周囲の水底面との平均高低差が1m以
下([d1−d0]≦1m)となるように敷設した。敷
設厚みは約15mであった。
いを調べるため、凹部の中心部の直上水深5m地点にお
いて、上記敷設材の敷設直前の懸濁物質量と敷設材の敷
設直後(30分後)の懸濁物質量をそれぞれ測定し、そ
の差を求めた。また、敷設材の敷設後、3年にわたって
半年毎に敷設部水底面の直上、敷設部から50m離れた
地点での水底面の直上及び敷設部から100m離れた地
点での水底面の直上の各位置で水の硫化水素濃度を測定
した。また、敷設してから3年後の敷設材上面レベル
(水底面)の沈下量(平均値)を測定した。それらの結
果を表3に示す。
成された直径が約20mの凹部(深掘り部分)に、高炉
水砕スラグ60mass%、高炉徐冷スラグ10mass%、製
鋼スラグ20mass%、都市ゴミスラグ10mass%の混合
物を凹部周囲の水底面との平均高低差が1m以下([d
1−d0]≦1m)となるように敷設した。敷設厚みは
約10mであった。
いを調べるため、凹部の中心部の直上水深5m地点にお
いて、上記敷設材の敷設直前の懸濁物質量と敷設材の敷
設直後(30分後)の懸濁物質量をそれぞれ測定し、そ
の差を求めた。また、敷設材の敷設後、3年にわたって
半年毎に敷設部水底面の直上、敷設部から50m離れた
地点での水底面の直上及び敷設部から100m離れた地
点での水底面の直上の各位置で水の硫化水素濃度を測定
した。また、敷設してから3年後の敷設材上面レベル
(水底面)の沈下量(平均値)を測定した。それらの結
果を表3に示す。 ・発明例(3) 湾内の平坦な水底であって、砂質上に泥質が堆積した水
底の50m×50mの範囲に、高炉水砕スラグ90mass
%、製鋼スラグ10mass%の混合物を厚さ50cmに敷
設した。この敷設材の敷設による水中の懸濁の度合いを
調べるため、敷設領域の中心部の直上水深5m地点にお
いて、上記敷設材の敷設直前の懸濁物質量と敷設材の敷
設直後(30分後)の懸濁物質量をそれぞれ測定し、そ
の差を求めた。また、敷設材の敷設後、3年にわたって
半年毎に敷設部水底面の直上、敷設部から50m離れた
地点での水底面の直上及び敷設部から100m離れた地
点での水底面の直上の各位置で水の硫化水素濃度を測定
した。それらの結果を表3に示す。
成された直径が約40mの凹部(深掘り部分)に、海砂
を凹部周囲の水底面との平均高低差が1m以下([d1
−d0]≦1m)となるように敷設した。敷設厚みは約
8mであった。この敷設材の敷設による水中の懸濁の度
合いを調べるため、凹部の中心部の直上水深5m地点に
おいて、上記敷設材の敷設直前の懸濁物質量と敷設材の
敷設直後(30分後)の懸濁物質量をそれぞれ測定し、
その差を求めた。また、敷設材の敷設後、3年にわたっ
て半年毎に敷設部水底面の直上、敷設部から50m離れ
た地点での水底面の直上及び敷設部から100m離れた
地点での水底面の直上の各位置で水の硫化水素濃度を測
定した。また、敷設してから3年後の敷設材上面レベル
(水底面)の沈下量(平均値)を測定した。それらの結
果を表3に示す。
成された直径が約30m、深さ10mの凹部(深掘り部
分)について、発明例1における敷設材の敷設時とほぼ
同時期から3年にわたって半年毎に深掘部水底面の直
上、深掘部から50m離れた地点での水底面の直上及び
深掘部から100m離れた地点での水底面の直上の各位
置で水の硫化水素濃度を測定した。その結果を表3に示
す。
善方法は、安価で且つ大量に入手できる高炉水砕スラグ
を水中に設置するだけで、磯焼けの防止、赤潮の発生防
止、或いは藻場の造成や海藻成育環境の修復などに優れ
た効果を発揮できる。このため磯焼けや赤潮が現に生じ
又は生じる恐れがある海域、或いは磯焼け以外の原因に
よる海藻成育環境の衰退・消失が現に生じ又は生じる恐
れがある海域に対して低コストに実施でき、しかも上記
のような優れた水中の環境改善効果が得られ、沿岸海域
における環境保全や水産資源の保護、育成に極めて有効
な方法であると言える。また、本発明の水中の環境改善
方法は、上記の効果に加えて青潮の発生防止にも優れた
効果が得られる。
である赤潮防止法において、赤潮防止材を水底に直接敷
設した実施形態を示す説明図である。
である赤潮防止法において、赤潮防止材を浮体から吊す
ことにより水中に設置した実施形態を示す説明図であ
る。
成の実施状況を示す説明図
成の実施状況を示す説明図
態を示す説明図
作用を示す説明図
敷設材の作用を示す説明図
態において、造成された浅場を示す説明図
プ、D…支持基盤、1,1′…凹部、2…敷設材、3…
ケーソン、4…高炉水砕スラグ、5…潜堤、6…ブロッ
ク、20…スラグ、20a…高炉水砕スラグ、20b…
高炉水砕スラグ以外のスラグ、21…スラグ以外の素
材、X,Y…水底面
Claims (22)
- 【請求項1】 水中にケイ酸塩イオン放出源として、高
炉水砕スラグを設置することを特徴とする水中の環境改
善方法。 - 【請求項2】 磯焼けが生じている海底部に、磯焼け防
止材として高炉水砕スラグを設置することにより、磯焼
け海域での藻場造成を行うことを特徴とする請求項1に
記載の水中の環境改善方法。 - 【請求項3】 天然又は人工の海藻着生基盤の周囲又は
近傍に高炉水砕スラグを設置することにより、磯焼け海
域での藻場造成を行うことを特徴とする請求項2に記載
の水中の環境改善方法。 - 【請求項4】 高炉水砕スラグを設置した後、人工の海
藻着生基盤を設置することにより、磯焼け海域での藻場
造成を行うことを特徴とする請求項3に記載の水中の環
境改善方法。 - 【請求項5】 磯焼けが生じるおそれがある海底部に、
磯焼け防止材として高炉水砕スラグを設置することによ
り、磯焼けを防止することを特徴とする請求項1に記載
の水中の環境改善方法。 - 【請求項6】 天然又は人工の海藻着生基盤の周囲又は
近傍に高炉水砕スラグを設置することにより、磯焼けを
防止することを特徴とする請求項5に記載の水中の環境
改善方法。 - 【請求項7】 高炉水砕スラグを設置した後、人工の海
藻着生基盤を設置することにより、磯焼けを防止するこ
とを特徴とする請求項6に記載の水中の環境改善方法。 - 【請求項8】 磯焼けが発生している海底部又は磯焼け
の発生を予防すべき海底部に設置される磯焼け防止材で
あって、高炉水砕スラグからなることを特徴とする水中
の環境改善用資材。 - 【請求項9】 海水域、汽水域又淡水域において、水中
に赤潮防止材として高炉水砕スラグを設置することによ
り赤潮発生を防止することを特徴とする水中の環境改善
方法。 - 【請求項10】 水深15m以内の水中に高炉水砕スラ
グを設置することにより赤潮発生を防止することを特徴
とする請求項9に記載の水中の環境改善方法。 - 【請求項11】 高炉水砕スラグを水底に直接敷設する
ことにより赤潮発生を防止することを特徴とする請求項
9又は10に記載の水中の環境改善方法。 - 【請求項12】 高炉水砕スラグを通水性を有する袋又
は容器に入れ、該袋又は容器を水底に設置することによ
り赤潮発生を防止することを特徴とする請求項9又は1
0に記載の水中の環境改善方法。 - 【請求項13】 高炉水砕スラグを通水性を有する袋又
は容器に入れ、該袋又は容器を水面又は水面下に浮設し
た浮体に保持させることにより赤潮発生を防止すること
を特徴とする請求項9又は10に記載の水中の環境改善
方法。 - 【請求項14】 赤潮が発生している海域又は赤潮の発
生を予防すべき海域に設置される赤潮防止材であって、
高炉水砕スラグからなることを特徴とする水中の環境改
善用資材。 - 【請求項15】 硫化水素発生源である水底に高炉水砕
スラグを敷設することを特徴とする請求項1に記載の水
中の環境改善方法。 - 【請求項16】 水底に形成された凹部内に、全部又は
一部が高炉水砕スラグからなる敷設材を敷設し、該敷設
材により形成される水底面の平均水深d1と凹部周囲の
水底面の平均水深d0との差[d1−d0]を2m以下
(但し、[d1−d0]がマイナス値の場合を含む)と
することを特徴とする請求項1に記載の水中の環境改善
方法。 - 【請求項17】 敷設材が高炉水砕スラグとそれ以外の
素材とからなり、該敷設材は、高炉水砕スラグとそれ以
外の素材が混合された状態であるか、又は高炉水砕スラ
グが上層側、それ以外の素材が下層側になるようにして
凹部内に敷設されることを特徴とする請求項16に記載
の水中の環境改善方法。 - 【請求項18】 凹部内に敷設された敷設材の50mass
%以上が高炉水砕スラグからなることを特徴とする請求
項16又は17に記載の水中の環境改善方法。 - 【請求項19】 凹部に敷設された敷設材の上層が、高
炉水砕スラグを60mass%以上含むことを特徴とする請
求項16、17又は18に記載の水中の環境改善方法。 - 【請求項20】 海岸に面した海底に高炉水砕スラグを
敷設するとともに、該高炉水砕スラグの敷設領域の周囲
にスラグ流失防止用の潜堤を設置し、且つ該高炉水砕ス
ラグの敷設領域には人工の海藻着生基盤及び/又は漁礁
を設置したことを特徴とする請求項1に記載の水中の環
境改善方法。 - 【請求項21】 潜堤の少なくとも一部を、鉄鋼製造プ
ロセスで発生した塊状のスラグ、鉄鋼製造プロセスで発
生したスラグを主原料とする粉粒状原料を炭酸反応で生
成させたCaCO3を主たるバインダーとして固結させ
て得られたブロック、鉄鋼製造プロセスで発生したスラ
グを主原料とする水和硬化体ブロックの中から選ばれる
1種以上で構成したことを特徴とする請求項20に記載
の水中の環境改善方法。 - 【請求項22】 人工の海藻着生基盤及び/又は漁礁の
少なくとも一部を、鉄鋼製造プロセスで発生した塊状の
スラグ、鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを主原料と
する粉粒状原料を炭酸反応で生成させたCaCO3を主
たるバインダーとして固結させて得られたブロック、鉄
鋼製造プロセスで発生したスラグを主原料とする水和硬
化体ブロックの中から選ばれる1種以上で構成したこと
を特徴とする請求項20又は21に記載の水中の環境改
善方法。
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