JP2022050023A - アマモ場の造成方法及びアマモ場 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、海水の透明度に関わらず、生育に適した条件下でアマモを生育させることにある。
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
本項に記載のアマモ場の造成方法は、海中の所定の水深帯に位置する複数の容器の設置場所の少なくとも一部を、アマモの生育場所としてのみではなく、そのままアマモ場として利用するものである。これにより、従来はアマモ場への利用が困難と考えられていたような海域であっても、アマモの生育場所としてアマモの生育に適した環境が確保され、更にその生育場所からアマモ場が効率よく造成されるものとなる。
本項に記載のアマモ場の造成方法は、海中の所定の水深帯に設置された複数の容器内で生育した少なくとも一部のアマモの株を、複数の容器を設置した生育場所と異なる、アマモ場を造成するための別の場所へ移植するものである。これにより、生育に適した環境下で生育したアマモの株が利用されて、様々な場所で容易にアマモ場が造成されるものとなる。
本項に記載のアマモ場の造成方法は、海中の所定の水深帯に設置された複数の容器内で生育した少なくとも一部のアマモを、複数の容器を設置した生育場所と異なる、アマモ場を造成するための別の場所へ容器ごと移動するものである。このとき、移動先の環境に対応してアマモ場が造成されるような、十分な段階まで生育したアマモを移動する。これにより、適切な環境で生育したアマモから、様々な場所で容易にアマモ場が造成されるものとなる。
本項に記載のアマモ場の造成方法は、複数の容器を海面から海中へと吊り下げる場合に使用する浮体として、例えば牡蠣や帆立などの海産物を養殖している養殖筏を利用するものである。これにより、専用の浮体を製作及び設置する手間を省きながら、容器内のアマモから養殖海域へ酸素が供給されるといった、アマモの生育と海産物の養殖との相乗効果が期待されるものである。
本項に記載のアマモ場の造成方法は、アマモの衰退期が過ぎるまで海中の所定の水深帯に設置されていた複数の容器のうち、少なくとも一部の容器を再利用して、アマモを新たに生育させるものである。すなわち、再利用する容器を海中から回収し、回収した容器内に新たにアマモの種子を播き、その容器を回収前と同様の海中の所定の水深帯に再び設置することで、その容器内のアマモの種子からアマモを新たに生育させるものである。これにより、新たな容器を使用することなくコストを抑制しながら、生育に適した環境下でアマモが繰り返し生育するものとなる。
本項に記載のアマモ場の造成方法は、アマモの衰退期が過ぎるまで海中の所定の水深帯に設置されていた複数の容器のうち、少なくとも一部の容器をそのまま残置し、残置した容器内に残っているアマモの地下茎を利用してアマモを再び生育させるものである。これにより、海中の所定の水深帯に残置された容器によって確保される生育に適した環境において、地下茎の枝分かれによってアマモが繁殖するものとなる。
(9)上記(8)項において、前記浮体として養殖筏が利用されているアマモ場(請求項9)。
そして、(8)及び(9)項に記載のアマモ場は、各々、上記(2)及び(5)項のアマモ場の造成方法によって造成されることで、上記(2)及び(5)項のアマモ場の造成方法と同等の作用を奏しながら、アマモ場としての様々な機能を発揮するものである。
図1は、本発明の実施の形態に係るアマモ場10の構成を概略的に示している。図示のように、本発明の実施の形態に係るアマモ場10は、底質14と共にアマモ20が内部に敷き詰められた複数(図1では2つのみ図示)の容器12が、海中52の所定の水深帯54に設置され、それら複数の容器12内で生育したアマモ20によって形成されてなるものである。なお、図1に示されているアマモ20は、アマモ場10を形成する途中段階における生育中のものである。
S30(アマモ生育):上記S20で複数の容器12を設置した海中52の所定の水深帯54において、容器12内のアマモ20を生育させる。ここで、アマモ20を生育させる期間は、次ステップのS40で判定するアマモ20の利用方法に応じたものとなる。
S80(容器内へアマモを播種):回収した容器12内へ、上記S10で説明した方法と同じようにしてアマモ20の種子を播く。このとき、容器12内に残っていた底質14を再利用してもよく、新たな底質14を使用してもよい。
S90(容器を海中へ再設置):アマモ20を播種した容器12を、回収前に設置されていた海中52の所定の水深帯54へ再設置する。このときの設置方法は、上記S20で説明したものと同様である。そして、上記S30へ移行することで、所定の水深帯54において、翌シーズンにアマモ20を種子から生育させる。
S110(容器回収):上記S60で特に利用しないと判定した容器12を、海中52の所定の水深帯54から陸上へ回収する。このとき、容器12を所定の水深帯54に設置するために使用していた、浮体30、係留ロープ32、錘34、及び浮子36なども同時に回収する。これにより、当該ルートのアマモ場の造成方法の説明は終了となる。
S130(移植先にアマモ場造成):上記S120でアマモ20の株を移植した移植先の場所において、アマモ20を株から十分に生育させてアマモ場10を造成し、アマモ場10の機能を発揮させる。これにより、当該ルートのアマモ場の造成方法の説明は終了となる。
S150(移動先にアマモ場造成):上記S140で容器12ごとアマモ20を移動した移動先の場所において、移動時のアマモ20の生育状態に応じて、移動したアマモ20によりアマモ場10を造成する、或いは、アマモ20を十分に生育させてアマモ場10を造成し、アマモ場10の機能を発揮させる。これにより、当該ルートのアマモ場の造成方法の説明は終了となる。
更に、本発明の実施の形態に係るアマモ場の造成方法は、海中52の所定の水深帯54に設置した複数の容器12内で生育した少なくとも一部のアマモ20を、複数の容器12を設置した生育場所と異なる、アマモ場10を造成するための別の場所へ容器12ごと移動してもよい(図2のS140)。これによっても、適切な環境で生育したアマモ20から、様々な場所で容易にアマモ場10を造成することが可能となる(図2のS150)。
他方、本発明の実施の形態に係るアマモ場10は、上述した本発明の実施の形態に係るアマモ場の造成方法によって造成されることで、本発明の実施の形態に係るアマモ場の造成方法と同等の作用効果を奏しながら、アマモ場10としての様々な機能を発揮することができる。
Claims (9)
- アマモ場の造成方法であって、
上面が開口した複数の容器内に、底質と共にアマモの種子、苗、或いは株を敷き詰め、
前記複数の容器を、海面に設置した浮体から海中へと吊り下げる、或いは、錘及び浮子を利用して海底から海中に浮上させることで、海中の所定の水深帯へと設置し、
該所定の水深帯において生育したアマモを利用してアマモ場を造成することを特徴とするアマモ場の造成方法。 - 前記複数の容器の設置場所の少なくとも一部を、そのままアマモ場として利用することを特徴とする請求項1記載のアマモ場の造成方法。
- 前記複数の容器内で生育した少なくとも一部のアマモの株を、アマモ場を造成するための別の場所へ移植することを特徴とする請求項1又は2記載のアマモ場の造成方法。
- 前記複数の容器内で生育した少なくとも一部のアマモを、アマモ場を造成するための別の場所へ容器ごと移動することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のアマモ場の造成方法。
- 前記浮体として養殖筏を利用することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のアマモ場の造成方法。
- アマモの衰退期の後、前記複数の容器の少なくとも一部を回収して容器内にアマモの種子を播き、回収した容器を前記所定の水深帯に再び設置することで、再設置した容器内のアマモの種子からアマモを新たに生育させることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のアマモ場の造成方法。
- アマモの衰退期の後、前記複数の容器の少なくとも一部をそのまま前記所定の水深帯に残置することで、残置した容器内のアマモの地下茎を利用してアマモを再び生育させることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載のアマモ場の造成方法。
- 底質と共にアマモの種子、苗、或いは株が内部に敷き詰められた、複数の容器を利用して形成されるアマモ場であって、
前記複数の容器は、海面に設置された浮体から海中へと吊り下げられる、或いは、錘及び浮子が利用されて海底から海中に浮上させられることで、海中の所定の水深帯へと設置されていることを特徴とするアマモ場。 - 前記浮体として養殖筏が利用されていることを特徴とする請求項8記載のアマモ場。
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