JP2002330651A - 藻場造成方法と藻草育成ネット - Google Patents

藻場造成方法と藻草育成ネット

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JP2002330651A
JP2002330651A JP2001138036A JP2001138036A JP2002330651A JP 2002330651 A JP2002330651 A JP 2002330651A JP 2001138036 A JP2001138036 A JP 2001138036A JP 2001138036 A JP2001138036 A JP 2001138036A JP 2002330651 A JP2002330651 A JP 2002330651A
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seaweed
net body
spores
seaweed bed
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JP2001138036A
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English (en)
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Yoshimatsu Tetsu
芳松 鉄
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AIAN KK
TETSUGUMI SENSUI KOGYOSHO KK
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AIAN KK
TETSUGUMI SENSUI KOGYOSHO KK
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A20/00Water conservation; Efficient water supply; Efficient water use
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    • Y02A20/402River restoration

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Abstract

(57)【要約】 【課題】海中に沈めた人工漁礁に海藻が自然着床して成
長するのを待ったり、胞子を移植したりして藻場を造成
する藻場造成方法は、不確実で時間もかかり、高いコス
トが掛かり、貝による食害も受ける。 【解決手段】ロープ編みの縦横数10メートルのネット
本体3に多数のアンカー5とブイ15を取り付け、海藻
の胞子を定着させた胞子担持糸9をネット本体3に多数
結んで藻草育成ネット1Aを構成し、これを砂地の海底
に置くと、ネット本体3はブイ15によって海底より浮
いた状態で海中に落ち着く。従って、砂地の海底であっ
ても、胞子が定着しているネット本体3上では海藻が積
極的に成長して藻場を効率よく形成し、しかも、ウニや
アワビがネット本体3上に這い上がるのをほぼ確実に防
止できるため、ネット本体3上の胞子やそれが成長した
海藻を食害から上手く防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、藻場造成方法と藻
草育成ネットに係り、特に、海や河川或いは湖沼若しく
は人工の養殖池等の水底や水中岩場に、又は水中に浮い
た状態で藻場を造成する藻場造成方法と、その造成に使
用する藻草育成ネットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、海や河川等に藻場を造成する方法
としては、海底や川床などに人工漁礁、例えばコンクリ
ートブロックや廃船等を沈めて、これらに海藻等の胞子
や海草の種が自然に着床して成長するのを待ったり、積
極的に海藻等を移植する方法が殆どであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、胞子や
種の自然着床と成長を待つという方法では、藻場が形成
される保証は無いし、時間もかかり過ぎる。また、人工
漁礁に水中植物を移植する方法は、その漁礁作りと設置
だけでも高いコストが掛かるし、これに藻類などの水中
植物を移植する手間は膨大なものになるため、現実には
大規模な藻場を造成することは不可能である。そして、
一般に、カジメやアラメなどの海藻は砂地では生育し難
いので、このような場所に積極的に藻場を造るには、結
局、海底の砂地の上に人工漁礁を置いて、それに海藻を
繁茂させる方法しかない。
【0004】更に、海藻等の水中植物やその胞子は、ア
ワビやウニの餌になるため、これらの生物が集まるとこ
ろ、特に砂地の海底に人工漁礁を設置してこれに藻を育
てる造成方法では、海藻等が生長する前に食べられてし
まう食害の問題がある。
【0005】本発明は上記した従来の問題点に鑑みて為
されたものであり、水中の岩場や水底に、或いは水中に
浮いた状態で大規模にしかも低コストで藻場を造成する
ことができる藻場造成方法と、更に食害の防止もできる
藻場造成方法と、これら藻場造成方法に使用するのに適
した藻草育成ネットを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、請求項1に記載した藻場造成方法は、ネット本体に
予め水中植物の種子や胞子、茎根等が定着された藻草育
成ネットを、そのネット本体が水中岩場に被さるように
設置することを特徴とするものである。
【0007】この藻場造成方法によれば、当初は藻草育
成ネットに定着している種子や胞子、茎根などから水中
植物が積極的に成長し、次には、その成長した植物が放
出する胞子や種が当該岩場にも着床してそこでも積極的
に水中植物が繁茂するので、結果的に、当該岩場全体が
水中植物の群生する藻場となる。しかも、藻草育成ネッ
トに根を張った植物は水にさらわれ難いので、藻場の保
存性が非常に高くなる。特に、本発明で用いる藻場造成
のためのベース部材はネットであるから、不規則な形が
連続する岩場であっても、その形にほぼ馴染ませなが
ら、しかも広範囲に敷設することができ、また、ネット
であるから軽量で且つ安価に製作できる。しかして、水
中の岩場に、大規模且つ低コストで確実に藻場を造成す
ることができ、ネット本体の網目の大きさを選ぶこと
で、少なくとも当初は水中植物の繁殖密度を管理するこ
ともできる。
【0008】請求項2に記載した藻場造成方法は、ネッ
ト本体に予め水中植物の種子や胞子、茎根等が定着され
た藻草育成ネットを、そのネット本体が水底に埋まるよ
うに設置することを特徴とするものである。
【0009】この方法でも、藻草育成ネットに定着して
いる種子や茎根などから水中植物が積極的に成長して当
該水底に根を伸ばし、次には、その成長した植物の地下
茎が子を増やしたり、放出された種が子に成長して行く
ので、やがては当該水底が水中植物の群生する藻場とな
る。特に、種子や茎根は藻草育成ネットに定着した状態
で水底に埋められるので、水にさらわれることは殆ど無
く、藻場が造成される確率が高く、且つ、その後の保存
性も良い。そして、大部分がネットであるから軽量で且
つ安価に製作でき、ネット本体の網目の大きさを選ぶこ
とで、少なくとも当初は水中植物の繁殖密度を管理する
こともできる。
【0010】この発明で用いるネット本体には、例えば
麻など生分解し易い材料のものを使用すれば、自然環境
への悪影響が無く、事後の処分の手間も掛からないし、
有機質肥料になって水中植物の生長を助けることにも寄
与する。
【0011】請求項3に記載した藻場造成方法は、水中
植物の種子や胞子等が予め定着されたネット本体とこれ
に取り付けられた多数のアンカー及び浮き子を備えた藻
草育成ネットを、そのアンカーが水底に置かれネット本
体が浮き子によって当該水底から浮いた状態で設置する
ことを特徴とするものである。
【0012】この藻場造成方法でも、ネット本体に定着
している種子や胞子から積極的に水中植物が成長して藻
場を形成する。特に、この方法では、ネット本体が水底
より浮いた状態で水中に落ち着き、アンカーはロープを
介してネット本体に繋がっているので、水中植物やその
胞子や種が定着しているネット本体にウニやアワビが這
い上がるのをほぼ確実に防止することができるため、ネ
ット本体上の胞子などやそれが成長した植物を食害から
上手く防止することができる。しかも、藻場造成のため
のベースがネットであるから、藻草育成ネットを軽量
で、且つ安価に製作でき、従って、砂地の海底等でも、
大規模且つ低コストで、しかも確実に藻場を造成するこ
とができ、持続性も保証できる。そして、ネット本体の
網目の大きさを選ぶことで、少なくとも当初は植物の繁
殖密度を管理することができる。
【0013】請求項4に記載した藻場造成方法は、請求
項3に記載した藻場造成方法において、ネット本体とア
ンカーとはロープで連結されていて、このロープには、
その周囲に張り出す形で食害防止板が取り付けられてい
ることを特徴とするものである。このようにすれば、水
中植物を餌とするウニやアワビなどがロープを這い上が
っても、ネット本体に至る前で食害防止板によって進行
を止められるため、それらの生物がネット本体上に這い
上がるのをより確実に防止できる。食害防止板の材料と
してはいろいろ考えられ、例えば、耐食性の良い金属板
やプラスチックの他に、ガラス繊維を埋め込んだボード
や、種類によっては天然素材を用いることもできる。
【0014】これらの方法に用いる藻草育成ネットとし
ては、様々な形態が考えられるが、請求項5に記載のよ
うに、ロープ編みのネット本体に多数のアンカーを取り
付け、少なくともネット本体に水中植物の種子や胞子、
茎根等を予め定着させた構造にするのが何かと便利であ
る。即ち、ロープ編みのネット本体は、軽く且つ変形性
能に優れるので、複雑な形状を持つ岩場でもその形に馴
染み易いし、水底に埋めるのも、水中に浮かせることも
容易である。
【0015】胞子の定着は、ネット本体を成すロープに
直接定着させることでも良いが、例えば「タコ糸」等の
別の担持材に胞子を定着させたものを、ネット本体のロ
ープや、場合によっては、アンカー等にも巻き付けて結
び付けるようにしても良い。また、種子の定着は、目の
細かいネットで形成した種子袋に収納した状態でその種
子袋をネット本体などに縛り付ける方法等が考えられ、
茎根については、種子と同様にネット状の袋に入れてロ
ープに取り付けたり、ロープに直接縛り付ける方法など
も考えられる。
【0016】このような藻草育成ネットを岩場や水底に
設置する方法としては幾つか考えられるが、ネット本体
の幅や長さが数10メートルにも及ぶ大きさにする場合
は、走行する船上から海や川に連続して落として行くの
が効率的である。勿論、場所によっては、ダイバーが海
中で広げても良いし、岩場などにアンカーを打ち付ける
ようにしても良いし、これらを併用しても良い。また、
ネット本体を水底に埋める場合は、水底を多少なりとも
掘ってそこにネット本体を収めては埋め戻す必要がある
ので、ネット本体は比較的小さいサイズで形成した方が
作業し易いと思われる。
【0017】ネット本体の素材は設置場所に応じて選択
することになるが、例えば、請求項3の発明に使用する
ような場合は、強靭で且つ水中で分解し難い性質のも
の、例えば、クレモナ(株式会社倉敷レイヨンの商品
名)等のポリビニルアルコール系の合成繊維製のロープ
などを用いるのが望ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る藻場造成方
法とこれに使用する藻草育成ネットの詳細を図面に示し
た各実施の形態に従って説明する。 〔1.第一の実施の形態〕(図1〜図4) 図1から図4は、第一の実施の形態に係る藻草育成ネッ
ト1と、これを使用した藻場造成方法を示すものであ
り、これらは、例えば海中岩場に適したものである。
【0019】〔A.藻草育成ネット〕(図1〜図4) 藻草育成ネット1は、ネット本体3と、アンカー5と、
このアンカー5をネット本体に繋げる固定綱7と、ネッ
ト本体3に取り付けた胞子担持糸9から構成されてい
る。ネット本体3は、図1に示すように平らに広げた状
態で長方形状を為し、個々の網目が縦横300mm程度
の正方形を成すようにクレモナロープで編まれていて、
外形の長手寸法は約50メートル、幅寸法は約20メー
トル程度の大きさに形成されている。ネット本体3の外
郭を成す枠部3aには太さ30mmのロープを使用し、
その余の部分3bには太さ20mm程度のロープを使用
している。
【0020】アンカー5には、コンクリート製の矩形の
ブロックを用いており、これには図示しないフックを植
え込んである。このアンカー5は、固定綱7によってネ
ット本体の外枠3aに、例えば2メートル程度のピッチ
で多数取り付けられる。この固定綱7も、外枠3aと同
様の太さのクレモナロープを使用し、その一端をアンカ
ー5のフックに結び、他端を外枠3aに結んである。こ
のように結ばれた状態における固定綱7の長さは、約1
mである。
【0021】ネット本体3には、胞子担持糸9(図2参
照)を多数結んである。この胞子担持糸9には太さ2m
m程度のタコ糸を使用していて、これにカジメ、アラ
メ、ワカメ、昆布などの海藻類の胞子を含浸定着させて
ある。この定着は、例えば、これら胞子を培養した液に
胞子担持糸9を漬けることで行い、その状態の胞子担持
糸9を5〜10cm程度の長さに切断して網目の一辺ご
とに巻き付けて結び付ける。
【0022】〔B.藻場造成方法〕(図3、図4) 次に、この藻場造ネット1を使用する藻場造成方法の一
例を説明する。藻草育成ネット1を設置するには、例え
ば図3に示すように、漁船などの船舶に積んで行って、
目的の岩場Lの上方に来たところから、船舶を走行させ
たまま、藻草育成ネット1を端から海中に投入して行
く。
【0023】目的の岩場Lの水深は、その水域の透明度
や潮流などの他に、当該藻草育成ネット1に定着させて
ある胞子が光合成する限界深さも考慮して選択すること
になる。例えば、アラメやカジメなどの場合は水深15
メートル程度でも光合成するが、昆布などでは水深7メ
ートル程度が限界になる。
【0024】このようにして海中に落とされた藻草育成
ネット1は、そのネット本体3が、図3に実線で示すよ
うに、当該岩場Lの表面に被さる。ネット本体3はロー
プを編んだもので可撓性を有するため、不規則な形が連
続するどのような岩場であっても、岩場L上に落とされ
たネット本体3は、通常、その岩場Lの凹凸に沿う形に
なると共に、網目を通る大きさのピークはネット本体3
の網目を通して上に突出する(図4参照)。このような
形で岩場Lに被さった状態は、主としてアンカー5の重
量によって保持される。
【0025】しかして、胞子担持糸9を介してネット本
体3に定着されている胞子が海藻Sに成長してネット本
体3上に効率よく藻場が形成されると共に、その成長し
た海藻が放出した胞子が、当該ネット本体3が被さって
いる岩場Lやその周辺の岩場に着床して、そこでも次世
代の海藻S′が生長するので、結果的には、目的の岩場
Lのほぼ全体が藻場に造成される。
【0026】ネット本体3は前記したサイズであるか
ら、それより広い範囲に藻場を造成するときは、ネット
本体3のサイズをより大きくするか、又は、この程度の
サイズのものを必要な数並べるように設置すれば良い。
尚、ネット本体3の網目の大きさを選ぶことで、少なく
とも初期的には海藻の繁殖密度を管理することができ
る。尚、この藻草育成ネット1は、河川や湖沼の水中岩
場に藻場を造成する場合にも使用できる。
【0027】〔2.第二の実施の形態〕(図5) 図5は、第二の実施の形態に係る藻場造成方法と、藻草
育成ネット1Aを示すものである。この藻草育成ネット
1Aは、主として砂地の海底に設置するためのもので、
前記第一の実施の形態に示した藻草育成ネット1と相違
するところは、主として、浮き子としてのブイ15を多
数ネット本体3に取り付け、固定綱7に食害防止板19
を取り付けたことだけである。従って、図面には、海底
に設置した状態の一部のみを示してあり、構造説明は上
記相違点だけについて行い、その余の部分については、
図面の各部に前記藻草育成ネット1における同様の部位
に付した符号と同じ符号を付することで説明を省略す
る。このような符号の使い方とその意味は、後述する第
三の実施の形態においても同様とする。
【0028】ブイ15は、一つ一つが長さ1メートル程
度のロープ17によってネット本体3に取り付けられ、
その浮力がネット本体3の全体にバランス良く働くよう
に取り付けられている。このブイ15の大きさや数は、
その総浮力が、全アンカー5の重量よりは小さくネット
本体3の重量よりは大きくなるように設定されている。
【0029】食害防止版19は、例えば耐食性に優れた
プラスチックによって、10cm四方ぐらいで厚さ1c
m程度の平板に形成されており、その中央部に形成され
た図示しない孔に固定綱7を通し、その上下両脇に抜止
め金具を取り付けて固定綱7上の位置を固定してある。
従って、この食害防止板19は、固定綱7にその周囲に
張り出す形で取り付けられている。固定綱7に食害防止
板19を取り付ける位置は、アンカーよりネット本体3
の方に近い位置が望ましい。
【0030】この藻草育成ネット1Aを海底に設置する
方法も、前記第一の実施の形態で示した方法と同様、走
行する船から海中に連続して落として行く方法が最も簡
便である。このようにして海中に落とされた藻草育成ネ
ット1Aは、図面に示すように、アンカー5が砂地の海
底Bに落ち着いてブイ15が浮くので、このブイ15の
浮力によってネット本体3が海中に浮いて拡がった状態
に落ち着く。そして、食害防止板19は、これに対する
浮力が全体に均等に掛かるため、ほぼ水平な姿勢に落ち
着く。
【0031】従って、ネット本体3は、固定綱7の長さ
分、砂地の海底Bから離れており、しかも、アンカー5
は固定綱7を介してネット本体3に繋がっているので、
これだけでもウニやアワビがネット本体3に這い上がる
のをかなり防止でき、仮にウニ等が固定綱7を這い上が
って来ても、固定綱7から鍔のように張り出している食
害防止板19がそれらの這い上がりをほぼ確実に阻止す
る。これによって、ネット本体3上の胞子やそれが成長
した海藻S等を食害から防止することができると共に、
その海藻S等の破片などはウニやアワビの食餌として利
用される。しかして、砂地の海底Bでも、大規模な藻場
を低コストに、しかも、貝等による食害を上手く防止し
た状態で造成することができる。この藻草育成ネット1
Aは、河川や湖沼の水中岩場に藻場を造成する場合にも
使用できる。
【0032】〔3.第三の実施の形態〕(図6、図7) 図6及び図7は、第三の実施の形態に係る藻場造成方法
と、藻草育成ネット1Bを示すものである。この藻草育
成ネット1Bは、例えば川床や湖底に藻場を造成するの
に適したものである。
【0033】藻草育成ネット1Bのネット本体3は、麻
など生分解し易い素材から成り、水中での扱いを容易に
するために、外形寸法を数メートル四方程度に小さくし
てあり、その4隅にアンカーとしての杭23を取り付け
てある。また、ネット本体3には種子袋25(図7だけ
に示してある)が多数取り付けてある。この種子袋25
は目の細かいネット製のもので、その中には葦やガマな
どの種子を入れてある。この種子袋25とは別に、ネッ
ト本体3には葦の茎根27を多数縛り付けてある。
【0034】この藻草育成ネット1Bの設置は、図6に
示すように、例えば砂地の川床Vを数10センチ程度掘
り起こして、そこにネット本体3を敷き広げると共に、
杭23を打ち込んだ後、掘り起こしたところを埋め戻す
ことで行う。従って、種子袋25や茎根27はネット本
体3に固定されたまま川床V等に埋設されるので、この
茎根27や種子袋25内の種子は水流で運び去られるこ
と無くそこに確実に定着し、やがてその種子から葦Wな
どが成長して当該川床Vにも根を伸ばし、積極的に藻場
を形成する。そして、少なくともネット本体3は経時的
に分解して川床の土壌に養分として吸収される。この藻
草育成ネット1Bと藻場造成方法は、海や湖沼での藻場
造成にも適用できる。
【0035】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明の具体的構成がこの実施の形態に限定されるもの
では無く、本発明の要旨から外れない範囲での設計変更
等があっても本発明に含まれる。特に、実施の形態で
は、海や河川や湖沼に藻場を造成する場合を例とした
が、本発明は、海や河川に設けた閉鎖水域、又は陸上に
設けた人工養殖池(養殖池、養殖プール、養殖水槽な
ど)などに藻場を造成する方法としても適用することが
できる。この場合、人工の養殖池等に海洋深層水を溜め
たり又は絶え間なく流すことで所望の水域を形成し、そ
の水域の中で前記した各種の藻草育成ネットによる藻場
造成を行うことも考えられる。また、本発明で言うネッ
ト本体のロープとは、必ずしも繊維を編んだ形のものに
限らず、場合によっては鎖を連結した形態にしても良い
し、浮き子もブイに限ることは無い。
【0036】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、藻草育成ネットに定着している種子や胞子、茎根な
どから水中植物が積極的に成長すると共に、その成長し
た植物が放出する胞子や種が当該岩場にも着床してそこ
でも積極的に水中植物が繁茂するので、結果的に、当該
岩場全体が水中植物の群生する藻場となる。しかも、藻
草育成ネットに根を張った植物は水にさらわれ難いの
で、藻場の保存性が非常に高くなる。本発明で用いる藻
場造成のためのベース部材はネットであるから、不規則
な形が連続する岩場であっても、その形にほぼ馴染ませ
ながら、しかも広範囲に敷設することができ、また、ネ
ットであるから軽量で且つ安価に製作でき、ネット本体
の網目の大きさを選ぶことで、少なくとも当初は水中植
物の繁殖密度を管理することもできる。
【0037】請求項2の発明によれば、藻草育成ネット
に定着している種子や茎根などから水中植物が積極的に
成長して当該水底に根を伸ばし、次には、その成長した
植物の地下茎が子を増やしたり、放出された種が子に成
長して行くので、やがては当該水底が水中植物の群生す
る藻場となる。特に、種や茎根は藻草育成ネットに定着
した状態で水底に埋められるので、水にさらわれること
は殆ど無く、藻場が造成される確率が高く、且つ、その
後の保存性も良い。そして、大部分がネットであるから
軽量で且つ安価に製作でき、ネット本体の網目の大きさ
を選ぶことで、少なくとも当初は水中植物の繁殖密度を
管理することもできる。
【0038】請求項3の発明によれば、ネット本体に定
着している種子や胞子から積極的に水中植物が成長して
藻場を形成する。特に、この方法では、ネット本体が水
底より浮いた状態で水中に落ち着き、アンカーはロープ
を介してネット本体に繋がっているので、水中植物やそ
の胞子や種が定着しているネット本体にウニやアワビが
這い上がるのをほぼ確実に防止することができるため、
ネット本体上の胞子などやそれが成長した植物を食害か
ら上手く防止することができる。しかも、藻場造成のた
めのベースがネットであるから、藻草育成ネットを軽量
で、且つ安価に製作でき、従って、砂地の海底等でも、
大規模且つ低コストで、しかも確実に藻場を造成するこ
とができ、持続性も保証できる。そして、ネット本体の
網目の大きさを選ぶことで、少なくとも当初は植物の繁
殖密度を管理することができる。
【0039】請求項4の発明によれば、水中植物を餌と
するウニやアワビなどがロープを這い上がっても、ネッ
ト本体に至る前で食害防止板によって進行を止められる
ため、それらの生物がネット本体上に這い上がるのをよ
り確実に防止できる。
【0040】請求項5の発明によれば、ネット本体がロ
ープ編みであるために、軽く且つ変形性能に優れるの
で、複雑な形状を持つ岩場でもその形に馴染み易いし、
水底に埋めるのも、水中に浮かせることも容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る藻草育成ネッ
トを平らに広げた状態で示す平面図である。
【図2】図1に示す藻草育成ネットの一部を拡大した斜
視図である。
【図3】図1の藻草育成ネットを目的の水中岩場に被せ
る方法の一例を示す図である。
【図4】図1の藻草育成ネットが水中岩場に被せられた
状態を一部拡大して示す図である。
【図5】本発明の第二の実施の形態に係る藻草育成ネッ
トの一部を、海底に設置した状態で示す側面図である。
【図6】本発明の第三の実施の形態に係る藻草育成ネッ
トを、川床に埋設した状態で示す側面図である。
【図7】図6に示す藻草育成ネットの一部を拡大した斜
視図である。
【符号の説明】 1…藻草育成ネット 3…ネット本体 5…アンカ
ー 1A…藻草育成ネット 7…(ネット本体とアンカー
とを連結した)ロープ 15…浮き子 19…食害防止板 1B…藻草育成ネット 27…茎根 B…水底(海底) L…岩場 S…水中植物
S′…水中植物 V…水底(川床) W…水中植物

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ネット本体に予め水中植物の種子や胞子、
    茎根等が定着された藻草育成ネットを、そのネット本体
    が水中岩場に被さるように設置することを特徴とする藻
    場造成方法。
  2. 【請求項2】ネット本体に予め水中植物の種子や胞子、
    茎根等が定着された藻草育成ネットを、そのネット本体
    が水底に埋まるように設置することを特徴とする藻場造
    成方法。
  3. 【請求項3】水中植物の種子や胞子等が予め定着された
    ネット本体とこれに取り付けられた多数のアンカー及び
    浮き子を備えた藻草育成ネットを、そのアンカーが水底
    に置かれネット本体が浮き子によって当該水底から浮い
    た状態で設置することを特徴とする藻場造成方法。
  4. 【請求項4】請求項3に記載した藻場造成方法におい
    て、ネット本体とアンカーとはロープで連結されてい
    て、このロープには、その周囲に張り出す形で食害防止
    板が取り付けられていることを特徴とする藻場造成方
    法。
  5. 【請求項5】ロープ編みのネット本体とこれに取り付け
    られた多数のアンカーとを備えており、少なくとも上記
    ネット本体に水中植物の種子や胞子、茎根等を予め定着
    させたことを特徴とする藻草育成ネット。
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