JP5125037B2 - 鉄鋼スラグを水中設置するための施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを水中設置するための施工方法であって、同スラグを用いて水中において構造体や基礎などを施工するのに好適な施工方法に関するものである。
海岸保全(海岸侵食の防止)や浅場造成などを目的として、沿岸海域などの水底に潜堤が設置される。このような潜堤は、水底に捨石やコンクリートブロックを積み上げることにより構築されるのが一般的である。また、水底に捨石基礎を設置し、その上にコンクリートブロックなどを積み上げて潜堤を構築する場合もある。
しかし、捨石として用いられる天然砕石は年々調達が難しくなっている。一般に、海域工事では波に対する抵抗の大きい大きな石が必要とされるが、このような天然石の調達は特に難しくなりつつある。さらに、最近では天然石の採取による自然破壊も問題視されるようになってきた。また、コンクリートブロックはコストが高い難点があり、さらに、ブロック表面が緻密で隙間がないため初期の生物親和性が劣り、このため一時的に設置海域の環境が劣化するという問題もある。
一方、従来、路盤材等の土木用資材として粒径が20〜50mm程度の塊状の製鋼スラグが製造されており、特許文献1には、このような塊状の製鋼スラグを用いて潜堤を構築することが示されている。製鋼スラグは鉄鋼製造プロセスで発生するスラグ(鉄鋼スラグ)であり、安価に且つ大量に調達できる利点がある。
特開2002−238401号公報
しかし、特許文献1のように潜堤材として粒径20〜50mm程度の塊状製鋼スラグを用いた場合、大きな波浪などによって潜堤材が流失し、潜堤が大きく損傷したり、酷い場合には潜堤そのものが崩壊・消失してしまう。すなわち、塊状の製鋼スラグで構築された潜堤は、波浪安定性が低いという問題がある。
また、例えば、護岸の構築や水底の基礎・基盤工事などにおいても塊状の製鋼スラグを使用することが考えられるが、この場合も上述した潜堤と同様に波浪安定性に大きな問題がある。
したがって本発明の目的は、鉄鋼スラグを水中に安定的に設置することができ、これにより鉄鋼スラグを用いて高い波浪安定性を有する水中構造体や基礎・基盤などを容易に施工することができる施工法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく検討を行い、その結果、鉄鋼スラグを主体とする材料を透水性がある容器に入れ、この容器を水中に置いて容器内の材料を前記スラグの水硬作用により固結させることにより、鉄鋼スラグを主体とする材料を波浪などによる流出を生じることなく水中に安定的に設置でき、これにより高い波浪安定性を有する構造体や基礎・基盤などを容易に施工できることが判った。また、好ましくは、容器として水中で経時的に分解又は腐蝕する容器を用い、容器内の材料が固結した後に容器を分解又は腐蝕により消失(自然消失)させることにより、容器がゴミ化するなどして環境汚染を生じさせることなく、また、施工された構造体等を生物の生息・生育に好適な環境とすることができることが判った。
本発明は、以上述べたような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを50mass%以上含む材料(但し、鉄鋼製造プロセスで発生したスラグのみからなる材料の場合を含む)を、透水性がある容器に入れ、該容器を水中に置いて容器内の材料を前記スラグの水硬作用により固結させる施工方法であって、
容器が水中で経時的に分解又は/及び腐蝕する容器であり、容器内の材料が固結した後に、該容器を分解又は/及び腐蝕により消失させることを特徴とする、鉄鋼スラグを水中設置するための施工方法。
[2]上記[1]の施工方法において、容器が袋体であることを特徴とする、鉄鋼スラグの水中施工法。
[3]上記[1]又は[2]の施工方法において、容器内の材料を、粘着力(但し、JIS A 1216の「土の一軸圧縮試験方法」に基づき求められた試料の一軸圧縮強さquの1/2の値)が15kN/m以上となるように固結させた後、容器を分解又は/及び腐蝕により消失させることを特徴とする、鉄鋼スラグを水中設置するための施工方法。
[4]上記[1]又は[2]の施工方法において、容器内の材料を、粘着力(但し、JIS A 1216の「土の一軸圧縮試験方法」に基づき求められた試料の一軸圧縮強さquの1/2の値)が20kN/m以上となるように固結させた後、容器を分解又は/及び腐蝕により消失させることを特徴とする、鉄鋼スラグを水中設置するための施工方法。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの施工方法において、容器内の材料は、高炉水砕スラグの割合が30mass%以上であることを特徴とする、鉄鋼スラグを水中設置するための施工方法。
[6]上記[1]〜[4]のいずれかの施工方法において、容器内の材料は、高炉水砕スラグと製鋼スラグを高炉水砕スラグ:製鋼スラグ=6:1〜1:1の質量比で混合したものであることを特徴とする、鉄鋼スラグを水中設置するための施工方法。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかの施工方法において、材料を入れた容器により、少なくとも潜堤外層部の一部を構築することを特徴とする、鉄鋼スラグを水中設置するための施工方法。
本発明の施工方法によれば、鉄鋼スラグの水硬作用を利用して施工後に容器内の材料を自然に固結させるので、鉄鋼スラグを主体とする材料を波浪などによる流出を生じることなく水中に安定的に設置することができる。このため、高い波浪安定性を有する構造体や基礎・基盤などを容易に施工することができ、特に潜堤の施工・構築に有用である。
本発明の施工法では、鉄鋼製造プロセスで発生したスラグ(鉄鋼スラグ)を主体とする材料(以下、材料Aという)を透水性のある容器に入れ、この容器を水中に置いて容器内の材料Aを前記スラグの水硬作用により固結させる。材料Aは容器に入れられているため波浪などで流出する恐れはなく、また、固結した後は容器が消失したとしても高い波浪安定性が得られる。
容器は、スラグを水中設置するための施工場所(例えば、構造体や基礎などの施工場所)以外の水中において中身の材料Aを固結させた後、施工場所に移動させてもよいが、直接施工場所に設置した状態で容器内の材料Aを固結させた方が、施工が容易であるため好ましい。
材料Aを構成する鉄鋼スラグとしては、高炉水砕スラグ、高炉徐冷スラグ(但し、この高炉徐冷スラグは水中でSが溶出しないようにするため、十分にエージング処理したものが好ましい)、製鋼スラグ、鉱石還元スラグなどの各種スラグを用いることができる。また、製鋼スラグとしては、脱燐スラグ・脱硫スラグ・脱珪スラグ等の溶銑予備処理スラグ、脱炭スラグ、鋳造スラグ、電気炉スラグ等が挙げられる。製鋼スラグとしては、特に脱炭スラグと脱燐スラグが好適である。
上記材料Aは、粒状又は/及び塊状の形態を有するものであり、粒度としては、通常100mm程度以下のものが使用可能である。通常使用する製鋼スラグの粒度は85mm以下、高炉水砕スラグの粒度は5mm以下であるが、既に固結しているような場合には、それ以上の粒度のものを用いることもできる。
上記材料Aは、上記鉄鋼スラグのみで構成してもよいが、鉄鋼スラグ以外の粒状物や塊状物、例えば、天然砂、天然砕石、天然砕石を加工した人工砂、リサイクルコンクリート等の1種以上を固結特性を阻害しない範囲で含むことができる。但し、本発明は鉄鋼スラグの水硬作用を利用して材料Aを固結させるものであるため、材料Aは鉄鋼スラグを主体とするものであること、すなわち鉄鋼スラグの割合が50mass%以上、好ましくは70mass%以上であることが必要である。
通常、容器内に材料Aを入れる作業は陸上又は船上で行われる。
容器は透水性があることが必要であるが、透水性を有する容器には、容器を構成する素材自体が透水性を有するものの他に、容器を構成する素材は非透水性であるが、容器内に水を浸透させることができる隙間や孔を有する容器も含まれる。
ここで、容器の透水性は容器内の材料Aに水が浸透する程度の透水性でよく、海水交換が行われるような透水性は必要ない。むしろ、容器内の材料Aの固結を早めるには海水交換をなるべく少なくすることが好ましく、この観点からは、容器は水が浸透できる程度の隙間を有するシート製の袋体や透水性の低い網袋などで構成するのが好ましい。
また、水底などの形状に合わせて容器を積み上げて構造体などを構築するためには、材料Aを入れた容器は変形できることが好ましく、この観点からは、容器は袋体(例えば、一般にフレコンバッグと呼ばれるような袋体)であることが好ましいが、ある程度の剛性を有する容器(例えば、箱、篭など)であってもよい。
本発明法では、容器内の材料Aをスラグの水硬作用により固結させ、容器が消失した後でも、高い波浪安定性を得るために必要な粘着力(固結力)を備えさせるものである。具体的には、容器内の材料Aを粘着力(但し、JIS A 1216の「土の一軸圧縮試験方法」に基づき求められた試料の一軸圧縮強さquの1/2の値)が15kN/m以上、望ましくは20kN/m以上、特に望ましくは35kN/m以上となるように固結させることが好ましい。この粘着力の限定理由については後述する。
材料Aはスラグの水硬作用によって比較的短期間に固結することが必要であり、例えば、容器を水中に設置してから6ヶ月以内、望ましくは3ヶ月以内に所定の固結状態(望ましくは粘着力15kN/m以上、より望ましく20kN/m以上、特に望ましく35kN/m以上)になることが好ましい。
材料Aとして、以下に示すような高炉水砕スラグ単独材、高炉水砕スラグ+製鋼スラグの混合材、高炉水砕スラグ+製鋼スラグ+海砂の混合材、製鋼スラグ単独材を用い、固結試験を行った。ここで、高炉水砕スラグ、製鋼スラグ(脱炭スラグ)ともに、CaO含有量が30mass%以上、粒径2mm以下の割合が20mass%以上であった。
材料(a):高炉水砕スラグのみ
材料(b):高炉水砕スラグ(質量比:2)+製鋼スラグ(質量比:1)
材料(c):高炉水砕スラグ(質量比:1)+製鋼スラグ(質量比:1)
材料(d):高炉水砕スラグ(質量比:1)+製鋼スラグ(質量比:1)+海砂(質量比:1)
材料(e):高炉水砕スラグ(質量比:1)+製鋼スラグ(質量比:2)+海砂(質量比:2)
材料(f):製鋼スラグのみ
この試験では、φ100mm×H200mmのプラスチック容器に人工海水を満たし、その上方10cmの位置から各材料(a)〜(f)を自由落下させてプラスチック容器にいっぱいになるまで投入した後、上面をすりきり状態にし、これを供試体とした。各材料の供試体のうち、一つはそのままで(非被覆供試体)、もう一つは容器上面を医療用ガーゼでラップし(被覆供試体)、図1に示すような人工海水入りの水槽に設置(室内)し、往復流を作用させつつ、各材料の粘着力が20kN/m以上になるまでの日数(但し、91日を上限とする)と材料の流失性を調べた。その結果を以下に示す。
○非被覆供試体
材料(a) 91日後に粘着力:20kN/m以上。上面が最大8mm流失。
材料(b) 21日後に粘着力:20kN/m以上。上面が最大3mm流失。
材料(c) 28日後に粘着力:20kN/m以上。上面が最大3mm流失。
材料(d) 56日後に粘着力:20kN/m以上。上面が最大5mm流失。
材料(e) 91日後に粘着力:18kN/m。上面が最大5mm流失。
材料(f) 91日後でも粘着力は測定不可(固化せず)。上面が最大1mm流失。
○被覆供試体
材料(a)〜(f)ともに、上記各日数経過後の粘着力は上記非被覆供試体と同じ。但し、いずれの材料も上面の流失なし。
また、固結性の観点からは、鉄鋼スラグとしては、高い潜在水硬性を有している高炉水砕スラグが特に好ましい。このため材料A(鉄鋼スラグ単独材又は鉄鋼スラグ+その他材料の混合材)は、少なくとも一部が高炉水砕スラグであることが好ましい。特に、材料Aは高炉水砕スラグの割合が30mass%以上であること、より好ましくは50mass%以上、さらに好ましくは70mass%以上であることが望ましい。
ここで、高炉水砕スラグは、粒度が細かいほど水硬後の粘着力が大きいため、材料A中には粒径2mm以下(篩目2mmの篩下)の高炉水砕スラグが20mass%以上含まれることが好ましい。高炉水砕スラグの粒度が細かいほど水硬後の粘着力が大きくなるのは、スラグ粒子どうしの接点数が多くなるからであり、上記粒度が好ましい理由は以下のとおりである。
高炉水砕スラグの見掛け上の体積をVとし、このスラグ体積V中でのスラグ粒子の占めている体積Vsと、スラグ粒子間の間隙の体積Vvとの比率Vv/Vsをスラグの間隙比eとしたとき、高炉水砕スラグの体積V(cm)当たりのスラグ粒子の接点数Nが、
Figure 0005125037
e:間隙比(−)
d:スラグ粒子径(cm)
で表されるものとすると、接点数Nが概ね500個/cm以上あれば、高炉水砕スラグは水硬作用により固結しやすくなることが本発明者らの実験で確認されている。ここで、スラグ粒子径が2mm以下のスラグの平均粒径を求めたところ約0.92mmであり、水中自由落下により堆積したスラグの間隙比は平均で1.05であったことから、粒径2mm以下の割合が20mass%である場合の接点数Nを求めると、
Figure 0005125037
となり、材料中に粒径2mm以下の高炉水砕スラグが20mass%以上含まれれば、材料が固結しやすい条件であると言える。
以上の理由から、材料A中には粒径2mm以下の高炉水砕スラグが20mass%以上含まれることが好ましいが、一般に高炉水砕スラグは80mass%以上が粒径2mm以下であることから、材料A中の高炉水砕スラグの割合が30mass%以上であれば、上記好ましい条件がほぼ満足されることになる。
さらに、製鋼スラグ(特に好ましくは、脱炭スラグ又は/及び脱燐スラグ)は高炉水砕スラグのアルカリ刺激剤として有効に作用するため、高炉水砕スラグと製鋼スラグとを適当な割合で混合して用いるのが最も好ましい。以上の点は、さきに挙げた固結試験の結果や後述する実施例2などの結果からも裏付けられる。すなわち、これらの結果によれば、高炉水砕スラグ:製鋼スラグの質量比がほぼ6:1〜1:1の範囲において、特に高い波浪安定性が得られている。
次に、固結した材料Aが備えるべき粘着力について説明する。
この粘着力は、JIS A 1216の「土の一軸圧縮試験方法」に基づき求められた試料の一軸圧縮強さquの1/2の値である。粘着力は、一般的には、三軸圧縮試験(例えば、地盤工学会基準JGS 0521−2000 土の非圧密非排水(UU)三軸圧縮試験方法)により直接求めた方が、スラグ粒子の噛み合わせ効果も考慮されるため望ましい。しかし、水中施工材料(例えば、潜堤材料)の流失のような設計的事項には、設計上の安全を見てスラグ粒子の噛み合わせ効果を考えなくてもよい。このため本発明では、より簡便且つ低コストに比較的精度の高い粘着力を求めることができる上記一軸圧縮強さquを基に粘着力を規定した。
本発明法では、容器内の材料Aを粘着力が15kN/m以上、望ましくは20kN/m以上、特に望ましくは35kN/m以上となるように固結させることが好ましい。
水中構造体が備えるべき適正な粘着力を調べるために、実物の1/20のスケールで図2に示すような潜堤模型を作り、不規則波を48時間及び96時間作用させる水理実験を行った。模型は、海底勾配1/50、水深20cm、潜堤の高さ10cm、潜堤幅30cm、潜堤の勾配1/2とした。実験条件は、フルード相似則により決めた。
潜堤は、実物200kg/個相当の長方形コンクリートブロックで構築したもの、粘土(含水比等を調整して粘着力をパラメーターとした)で構築したものの2種類とした。
表1に実験結果を示すが、これによれば、粘着力がほぼ15kN/m以上、好ましくはほぼ20kN/m以上あれば、高い波浪安定性が得られ、潜堤として十分機能することが判る。また、粘着力がほぼ35kN/m以上では、特に高い波浪安定性が得られることが判る。
Figure 0005125037
本発明法では、容器として水中で経時的に分解又は/及び腐蝕する容器を用い、容器内の材料Aが固結した後に、容器の少なくとも主要部を分解又は/及び腐蝕により消失(自然消失)させるようにすることが特に好ましい。
図3は、この方法で潜堤を施工する場合の一実施形態(潜堤縦断面)を示しており、2は材料A(以下、潜堤材という)を入れた容器(袋体)である。この方法では、透水性があり且つ水中で経時的に分解又は/及び腐蝕する容器2内に潜堤材を入れ、この容器2を積み上げることにより堤構造体1(潜堤)を構築する。
この方法のように容器2を水中で経時的に分解又は/及び腐蝕する材料で構成し、最終的に自然消失させるのは、容器2がゴミ化するなどして環境汚染を生じさせるのを防止すること、潜堤などのような構造体を生物(水中動植物)の生息・生育に好適な環境とするには、構造体面に固結した粒状材料が露出した状態(岩肌の状態)となることが必要であること、などのためである。
容器2の材料としては、例えば、生分解性プラスチック製のシートや網、植物又は植物繊維製のシートや網(例えば、筵、麻織布など)、鋼製などの金属箔、金属網などを用いることができるが、これに限定されるものではない。水中(特に海水中)において例えば数ヶ月〜1年位の間に、少なくとも主要な部分が徐々に分解又は/及び腐蝕して最終的に自然消失するものであって、且つその分解・腐蝕が水中の環境に悪影響を与えないようなものが好ましい。
また、先に述べたように、水底などの形状に合わせて容器2を積み上げて構造体などを構築するためには、容器2は上記材質などからなる袋体であることが好ましい。
また、容器2は、その内部の材料Aが固結しないうちは消失せず、必要な流失防止機能を果たすようにするため、その種類・組成や厚さなどを選択すればよい。
また、図4は、潜堤を施工する場合の他の実施形態(潜堤縦断面)を示しており、堤構造体1の外層部を潜堤材(材料A)を入れた容器2(特に袋体が好ましい)で構成し、内層部を潜堤材をそのまま積み上げて構成したものである。また、内層部には本発明が規定する材料A以外の潜堤材(例えば、建設残土、浚渫土、塊状製鋼スラグなどの1種)を用いてもよい。
また、図5は、傾斜護岸を施工する場合の一実施形態(護岸縦断面)を示しており、傾斜護岸3のアンコ材として材料Aを入れた容器2(特に袋体が好ましい)を設置し、その上に他の護岸材4を設置したものである。
容器2に用いる生分解性プラスチックとは、土中または海水中などの環境に置かれた際に微生物により分解され、最終的に水と二酸化炭素になるプラスチックを指す。この種のプラスチックは、通常の使用状態では他の一般的なプラスチックと同等の機能(強度など)を有する。
使用する生分解性プラスチックの種類に特別な制限はないが、例えば、トウモロコシなどの植物性のデンプンを主原料としたポリ乳酸、微生物が作るPHB、バクテリアセルロースなどを用いることができる。また、これらを用いる場合、例えば、分解速度が速いバクテリアセルロースと分解速度が遅いポリ乳酸を混合し、それらの混合率を調整することにより容器2の分解速度を調整することができる。
生分解性プラスチック製の容器2は、水中に置かれた後、水中の微生物により経時的に分解され、最終的に消失するが、生分解性プラスチックの種類・組成や被覆の厚さなどを選択することにより、水中での分解・消失期間を設定することができる。
生分解性プラスチックは分解してCOと水になるため、自然環境に悪影響を与える恐れは全くない。
また、生分解性プラスチック製の容器2には、全てが生分解性プラスチックで構成されるもの以外に、一部に生分解性プラスチック以外の物質を混合し或いは物理的に組み合わせたもの(すなわち、生分解性プラスチックを主体とした被覆体や容器)も含まれる。要は、主たる構成物質または構成部材である生分解性プラスチックが経時的に分解・消失することで、容器2の主要部が消失できるものであればよい。
本発明法は、例えば、潜堤や護岸などの構造体の施工、水底での各種基礎・基盤の施工などに好適であり、なかでも潜堤の施工・構築に特に好適であるが、これらに限らず、鉄鋼スラグを水中設置するためのあらゆる施工工事に適用できる。また、適用される水域も、港湾や内海などの沿岸海域だけでなく、河川、河口、湖沼など任意である。
[実施例1]
高炉水砕スラグ14kgと粒径40mm以下の脱燐スラグ(製鋼スラグ)6kgの混合物を麻袋に入れ、護岸の緊急補修工事において、前記スラグ入りの麻袋を、図6(A)に示すような形態で海面下5〜2mに1000体投入した。投入して1ヵ月後に調査した結果、波に流されることなく、内部のスラグが固結したことにより麻袋は変形した状態で保形していた。さらに、投入3ヶ月後、一部の麻袋から固結したスラグの試料を採取してその粘着力を測定したところ、粘着力は28kN/mであった。
[実施例2]
高炉水砕スラグ850kgと粒径20mm以下の脱燐スラグ(製鋼スラグ)150kgの混合物を生分解性プラスチック製のトン袋に入れ、潜堤工事において、前記スラグ入りのトン袋を、潜堤材の一部として図6(B)に示すような形態で海面下10〜3mに24体投入した。投入して3ヶ月後に調査した結果、波に流されることなく、内部のスラグが固結したことによりトン袋は変形した状態で保形していた。また、一部のトン袋から固結したスラグの試料を採取してその粘着力を測定したところ、粘着力は37kN/mであった。さらに、投入から1年後に調べたところ、生分解性プラスチック製トン袋は半分以上の部分が分解消失し、固結したスラグ表層には、貝などの付着が認められた。
材料の固結試験の実施方法を示す説明図 水中構造体の粘着力試験に用いた潜堤模型を示す説明図 本発明法を潜堤の施工に適用した場合の一実施形態(潜堤縦断面)を示す説明図 本発明法を潜堤の施工に適用した場合の他の実施形態(潜堤縦断面)を示す説明図 本発明法を傾斜護岸の施工に適用した場合の一実施形態(護岸縦断面)を示す説明図 実施例における施工状況を示す説明図
符号の説明
1 堤構造体
2 容器
3 傾斜護岸
4 護岸材

Claims (7)

  1. 鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを50mass%以上含む材料(但し、鉄鋼製造プロセスで発生したスラグのみからなる材料の場合を含む)を、透水性がある容器に入れ、該容器を水中に置いて容器内の材料を前記スラグの水硬作用により固結させる施工方法であって、
    容器が水中で経時的に分解又は/及び腐蝕する容器であり、容器内の材料が固結した後に、該容器を分解又は/及び腐蝕により消失させることを特徴とする、鉄鋼スラグを水中設置するための施工方法。
  2. 容器が袋体であることを特徴とする、請求項1に記載の鉄鋼スラグを水中設置するための施工方法。
  3. 容器内の材料を、粘着力(但し、JIS A 1216の「土の一軸圧縮試験方法」に基づき求められた試料の一軸圧縮強さquの1/2の値)が15kN/m以上となるように固結させた後、容器を分解又は/及び腐蝕により消失させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の鉄鋼スラグを水中設置するための施工方法。
  4. 容器内の材料を、粘着力(但し、JIS A 1216の「土の一軸圧縮試験方法」に基づき求められた試料の一軸圧縮強さquの1/2の値)が20kN/m以上となるように固結させた後、容器を分解又は/及び腐蝕により消失させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の鉄鋼スラグを水中設置するための施工方法。
  5. 容器内の材料は、高炉水砕スラグの割合が30mass%以上であることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の鉄鋼スラグを水中設置するための施工方法。
  6. 容器内の材料は、高炉水砕スラグと製鋼スラグを高炉水砕スラグ:製鋼スラグ=6:1〜1:1の質量比で混合したものであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の鉄鋼スラグを水中設置するための施工方法。
  7. 材料を入れた容器により、少なくとも潜堤外層部の一部を構築することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の鉄鋼スラグを水中設置するための施工方法。
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