JP2002235239A - カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸及びその製造方法並びに織編物 - Google Patents

カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸及びその製造方法並びに織編物

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JP2002235239A JP2001026703A JP2001026703A JP2002235239A JP 2002235239 A JP2002235239 A JP 2002235239A JP 2001026703 A JP2001026703 A JP 2001026703A JP 2001026703 A JP2001026703 A JP 2001026703A JP 2002235239 A JP2002235239 A JP 2002235239A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カチオン染料での染色後の濃染部と淡染部と
の周期がランダムであり、かつ濃染部と淡染部とのコン
トラストが大きなポリエステル太細マルチフィラメント
糸を提供する。 【解決手段】 カチオン可染ポリエステルからなる繊維
軸方向に太細斑を有する複数の単繊維からなり、(1)糸
の長手方向に、糸を構成する単繊維本数の70%以上が
単繊維の太部からなる部分と、糸を構成する単繊維本数
の95%以上が単繊維の細部からなる部分とが存在す
る、(2)糸の太さ斑の変動係数CVが15%以上であ
る、(3)糸の太部の長さが85mm以下である、(4)糸の
太部の長さが24mm以上の部分が太部全体長さの35
〜80%である、(5)単繊維の最も太い部分と最も細い
部分の繊維径比が2.0以上である、要件を満足する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衣料用途やインテ
リア用途等の布帛にしたときに、カチオン染色で濃染部
が鮮明でかつ短く、コントラストの強いカスリ調外観を
呈する布帛を提供するカチオン可染ポリエステル太細マ
ルチフィラメント糸及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維そのものの濃淡染色化手段として、
従来から複数の単繊維からなる未延伸糸を半延伸処理し
てなる太細マルチフィラメント糸があり、この太細マル
チフィラメント糸による布帛には、濃染性の太部と淡染
性の細部の濃淡の染色効果に起因する霜降り調の外観が
得られることが知られている。しかしながら前記の太細
マルチフィラメント糸は、淡染性を示す細部に濃染性を
呈する太部が混在しており、これを布帛にした時に細部
に通常の延伸糸と同等の淡色染色性が具備されておら
ず、十分なコントラストをなす濃淡の染色効果が表現さ
れない。
【0003】十分なコントラストを有する濃淡の染色効
果を得るためには、マルチフィラメント糸を形成する各
単繊維の太部及び細部が、それぞれマルチフィラメント
糸の濃染部と淡染部となるように、集中して存在するこ
とが必要であり、例えば特開昭60−59145号公報
には、高配向未延伸糸に間欠的に水を付与しながら延
伸、熱処理した後、さらに弛緩熱処理することによって
太細マルチフィラメント糸を得る方法が記載されてい
る。しかしながらこの方法では、糸条に対して水をラン
ダムに間欠付与するための煩雑な管理が必要であり、し
かも斑付与の周期が時間に支配されるため生産性を高め
ることが困難である。
【0004】また、特開昭57−117645号公報に
は、直接紡糸延伸法で溶融紡出された糸条に流体噴出ノ
ズルで交絡処理した後、Tg以下に予熱し延伸すること
で太細繊維を得る方法が記載されている。しかしこの方
法では、紡糸引取ローラー前でのエアー交絡において
は、糸条の張力が高くまた張力水準が変動し、20ヶ/
mを越えるような交絡度の高い糸条を安定に得ることは
難しく、太細マルチフィラメント糸を得ることはできる
が、染色後の濃淡のコントラストが強い太細マルチフィ
ラメント糸を得ることはできない。
【0005】さらに、特開平7−90716号公報に
は、カチオン可染性を目的として分散染料可染性の太細
斑ポリエステルフィラメント及びカチオン染料可染性の
太細斑ポリエステルフィラメントからなる任意の1点に
おいて最大で1cmの長さの範囲で3色以上の色に染色
された潜在捲縮性ポリエステル太細糸が提案されてい
る。この公報によれば、分散可染太細斑フィラメント及
びカチオン可染太細斑フィラメントの両方又はいずれか
一方のフィラメントの太部の長さがmmオーダー、好ま
しくは5mm以下、より好ましくは1mm以下となって
いて、かつ太細斑が糸の長さ方向にランダムになってい
ることが必要であると記載されている。しかしながら、
この公報に示される繊維では、目視で明瞭に太部と細部
の染色差を得ることは困難であり、さらにカチオン染料
では太部、細部にメリハリのある染色差を得ることはで
きない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術における問題点を解決するものであり、本発明
の目的は、カチオン染料での染色後の濃染部と淡染部と
の周期がランダムであり、かつ濃染部と淡染部とのコン
トラストが大きなポリエステル太細マルチフィラメント
糸であって、この太細マルチフィラメント糸により布帛
を形成した時に、淡染領域上に濃染部が短く明瞭に存在
する外観を呈するカチオン可染ポリエステル太細マルチ
フィラメント糸を提供し、またこのカチオン可染ポリエ
ステル太細マルチフィラメント糸を得ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、 1.カチオン可染ポリエステルからなる繊維軸方向に太
細斑を有する複数の単繊維からなり、下記要件(1)〜
(5)を満足することを特徴とするカチオン可染ポリエ
ステル太細マルチフィラメント糸、及び、 (1)糸の長手方向に、マルチフィラメント糸を構成す
る単繊維本数の70%以上が単繊維の太部からなる部分
と、マルチフィラメント糸を構成する単繊維本数の95
%以上が単繊維の細部からなる部分とが存在する。 (2)太細マルチフィラメント糸の太さ斑の変動係数C
Vが15%以上である。 (3)太細マルチフィラメント糸の平均太さの2.5%
以上の太部の長さが85mm以下である。 (4)太細マルチフィラメント糸の太部の長さが24m
m以上である部分が太部全体の長さの35〜80%であ
る。 (5)単繊維の最も太い部分と最も細い部分の繊維径の
比が2.0以上である。 2.複屈折率が15×10−3〜40×10−3で、か
つ流体処理により付与された交絡部を20〜80ケ/m
有する複数の単繊維からなるカチオン可染ポリエステル
未延伸糸を、下記工程(a)〜(b)で加熱延伸するこ
とを特徴とするカチオン可染ポリエステル太細マルチフ
ィラメント糸の製造方法、並びに、 (a)温度がカチオン可染ポリエステルのガラス転移温
度(Tg)以下、Tg−20℃以上、かつ接触時間が
4.0×10−2〜4.0×10−1秒の条件で予
熱する工程。 (b)延伸倍率がMDRの0.45〜0.60倍、延伸
温度が80〜120℃の条件で延伸する工程。(但し、
MDRは延伸温度85℃における未延伸糸の最大延伸倍
率を表す) 3.前記1のカチオン可染ポリエステル太細マルチフィ
ラメント糸を含んでなる織編物、にある。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のカチオン可染ポリエステ
ル太細マルチフィラメント糸は、カチオン可染ポリエス
テルからなる繊維軸方向に太細斑を有する複数の単繊維
から構成されている。
【0009】太細マルチフィラメント糸の染色後の濃染
部と淡染部とのコントラストが明瞭であるためには、マ
ルチフィラメント糸を構成する単繊維がカチオン染料で
可染のポリエステルからなることが必要であり、分散染
料で可染のポリエステルに比べその染色の鮮明性が濃染
部と淡染部とのコントラストをより明瞭にする。
【0010】カチオン可染ポリエステルとしては、主た
る繰り返し単位がエチレンテレフタレ−トであり、ナト
リウムスルホイソフタル酸、ナトリウムスルホナフタレ
ンジカルボン酸等の金属塩スルホネート基等の酸基含有
エステル形成性化合物を共重合したポリエステル、好ま
しくは繰り返し単位のエチレンテレフタレ−トに5−ナ
トリウムスルホイソフタール酸を1.5〜3.5モル%
共重合したポリエステルが挙げられる。
【0011】さらに、単繊維を形成するカチオン可染ポ
リエステルとして、カチオン染料に対する易染性を向上
させる目的で、繰り返し単位のエチレンテレフタレート
にナトリウムスルホイソフタル酸、ナトリウムスルホナ
フタレンジカルボン酸等の金属塩スルホネート基等の酸
基含有エステル形成性化合物以外にさらに他の共重合成
分を共重合或いはポリアルキレングリコール、アルキル
スルホン酸、無機物等のブレンド成分をブレンドしたポ
リエステルであってもよい。共重合成分としては、芳香
族ジカルボン酸類、脂肪族ジカルボン酸類、脂肪族ジオ
ール類、脂環式ジオール類、芳香族ジオール類を用いる
ことができ、具体的にはイソフタル酸、アジピン酸、セ
バシン酸、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジ
オール、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物等
を用いることができる。
【0012】本発明において、カチオン可染ポリエステ
ル太細マルチフィラメント糸を構成する単繊維は、繊維
軸方向に太細斑を有するものであり、また単繊維の断面
形状は、丸断面或いは三角、多葉、扁平等の異型断面の
いずれであってもよく、特に限定されるものではない。
【0013】特に本発明において、カチオン可染ポリエ
ステル太細マルチフィラメント糸のカチオン染料での染
色後の濃染部と淡染部とのコントラストが明瞭であるた
めには、糸の長手方向に、マルチフィラメント糸を構成
する単繊維本数の70%以上が単繊維の太部からなる部
分と、マルチフィラメント糸を構成する単繊維本数の9
5%以上が単繊維の細部からなる部分とが存在すること
が必要である。
【0014】糸の長手方向に、マルチフィラメント糸を
構成する単繊維本数の70%以上が単繊維の太部からな
る部分と、マルチフィラメント糸を構成する単繊維本数
の95%以上が単繊維の細部からなる部分とが存在しな
い場合は、カチオン染料での染色後の濃染部と淡染部と
のコントラストが小さくなり、カスリ調の外観が不鮮明
なものになる。
【0015】また、本発明のカチオン可染ポリエステル
太細マルチフィラメント糸は、その太さ斑の変動係数C
Vが15%以上であることが必要である。この変動係数
CVが15%未満になると、カチオン染料での染色時に
濃淡差による霜降り効果はあるものの、糸での太部と細
部の繊度差、濃淡差が軽減されて明瞭な濃淡表現が得ら
れなくなる。
【0016】さらに、本発明のカチオン可染ポリエステ
ル太細マルチフィラメント糸は、太部の長さが85mm
以下であることが必要である。太部の長さが85mmを
超えると、カチオン染料での染色後の濃染部が長くなり
過ぎてカスリ調の外観がぼけたものとなる。
【0017】また、カチオン可染ポリエステル太細マル
チフィラメント糸の太部の長さが24mm以上である部
分が太部全体の長さの35〜80%であることが必要で
ある。長さが24mm以上の太部の比率が35%未満で
あると、太細差が小さくなるため、カチオン染料での染
色時に濃淡の発現効果が小さく明瞭な濃淡表現が得られ
ず、80%を超えると、染色時に太部の割合が多すぎ、
繊維全体が濃色に染まるため、淡色部の効果が小さく、
明瞭な濃淡の発現効果が得られない。
【0018】前記の太さ斑の変動係数CVは、計測器工
業(株)製のイーブネステスターKET−80Cを用い
て、糸速8m/分、チャートスピード1m/分の条件下
で1分間チャートを描かせ、ウースターノルマル値を測
定して得られた数値であり、平均値からの太さの偏りの
大きさを示す指標となるものである。また、カチオン可
染ポリエステル太細マルチフィラメント糸の太部とは、
マルチフィラメント糸を構成する単繊維本数の70%以
上が単繊維の太部からなる部分のうち、イーブネステス
ターで得られたチャート上で、平均太さから2.5%の
値に線を引き、この線以上の部分を1ケの太部としたも
のである。さらにチャート上で全ての太部をそれぞれ読
み取り、読み取った値を8倍して実際の繊維上の太部の
長さ(mm)とする。
【0019】また、本発明のカチオン可染ポリエステル
太細マルチフィラメント糸を構成する単繊維は、その最
も太い部分と最も細い部分の繊維径の比が2.0以上で
ある太細斑を有することが必要であり、この繊維径の比
が2.0未満の太細斑の場合には、カチオン染料での染
色でも十分な濃淡効果が得られない。
【0020】本発明のカチオン可染ポリエステル太細マ
ルチフィラメント糸は、さらに仮撚加工等の加工を施し
て任意の糸形態として、カチオン染料で染色する時に
は、濃染部と淡染部との周期がランダムであり、かつ濃
染部と淡染部とのコントラストが大きく、淡染領域上に
濃染部が短く明瞭に存在する外観を呈する。
【0021】本発明のカチオン可染ポリエステル太細マ
ルチフィラメント糸は、次のような方法で製造できる。
即ち、複屈折率が15×10−3〜40×10−3で、
かつ流体処理により付与された交絡部を20〜80ケ/
m有する複数の単繊維からなるカチオン可染ポリエステ
ル未延伸糸を、下記工程(a)〜(b)で加熱延伸する
ことにより、本発明のカチオン可染ポリエステル太細マ
ルチフィラメント糸を製造することができる。 (a)温度がカチオン可染ポリエステルのTg以下、T
g−20℃以上、かつ接触時間が4.0×10−2
4.0×10−1秒の条件で予熱する工程。 (b)延伸倍率がMDRの0.45〜0.60倍、延伸
温度が80〜120℃の条件で延伸する工程。
【0022】カチオン可染ポリエステル未延伸糸は、そ
の複屈折率が15×10−3未満の場合、未延伸部から
形成されるカチオン可染太細マルチフィラメント糸の太
部の耐熱性が低く、仮撚加工やアルカリ減量加工等の後
工程での強度低下が大きく実用的な布帛強度を得ること
ができない。また複屈折率が40×10−3を超える場
合は、カチオン可染ポリエステル未延伸糸のMDRが小
さいため延伸した糸に太細斑を形成させる際の延伸倍率
が低くなり、得られる太細マルチフィラメント糸の太部
と細部の繊度差が小さく、染色後の濃淡差が小さくなり
目的とするコントラストの強い外観を得ることができな
い。
【0023】本発明の方法では、かかるカチオン可染ポ
リエステル未延伸糸に流体処理を施し交絡部を付与する
が、付与される交絡部は、1m当たり20〜80ケであ
ることが必要であり、交絡部が1m当たり20ケ未満で
は、得られる太細マルチフィラメント糸の太部と細部の
繊度差が小さく、濃染性を示す太部も長くなり明瞭なコ
ントラストの外観が得られず、交絡部が1m当たり80
ケを超えると、濃染部と淡染部の発生頻度が高くなるも
のの、全体としての濃淡コントラストが低下しカスリ調
より霜降り調外観となり目的とする外観を得ることがで
きない。また、カチオン可染ポリエステル未延伸糸への
交絡部の付与は、紡糸工程で付与してもよいし、延伸工
程の直前で付与してもよい。
【0024】さらに本発明の方法では、単繊維に太細斑
を生じさせると共に単繊維太部が集合した部分と単繊維
細部が集合した部分を形成させるために、交絡部を有す
るカチオン可染ポリエステル未延伸糸を、温度がカチオ
ン可染ポリエステルのTg以下、Tg−20℃以上で、
かつ接触時間が4.0×10−2〜4.0×10−1
で予熱する工程と延伸倍率がMDRの0.45〜0.6
0倍で、延伸温度が80〜120℃で延伸する工程とで
加熱延伸することが必要である。
【0025】予熱する工程での温度がカチオン可染ポリ
エステルのTgを超えると、摩擦抵抗が大きくなり延伸
不安定となり、Tg−20℃未満では、十分な予熱が行
われないため、延伸による太細斑の発現が弱くなる。ま
た、接触時間が4.0×10 −2秒未満であると、十分
な予熱がされていないため延伸時に太細が発現し難くな
り、染色時の太細感が不足し、接触時間が4.0×10
−1秒を超えると、染色後濃染部となる太部の比率が高
くなる。なお、本発明方法でいうガラス転移温度Tg
は、ポリエステル重合体を290℃まで昇温してメルト
クエンチした後、DSC法(示差走査熱量測定法、昇温
速度10℃/分)より求めたガラス転移温度を採用し
た。
【0026】延伸する工程での延伸手段としては加熱さ
れた摩擦抵抗ピン又は加熱ローラーのいずれでを用いて
もよい。延伸する工程での延伸倍率がMDRの0.45
倍未満の場合には、染色後濃染部となる太部の比率が高
くなり、延伸倍率がMDRの0.60倍を超えると、太
部の比率が小さくなり、目的とするコントラストの強い
外観が得られ難くなる。また、延伸温度が80℃未満で
あると、太部の比率が高くなり、延伸温度が120℃を
超える場合には、太部の比率が小さくなり、目的とする
太細感を得ることができない。
【0027】本発明のカチオン可染ポリエステル太細マ
ルチフィラメント糸は、このカチオン可染ポリエステル
太細マルチフィラメント糸同士、又は他のフィラメント
糸と混繊、交絡してマルチフィラメント糸とした後、織
編物となし、しかる後にカチオン染料を含む染色浴中で
染色することが好ましい。本発明のカチオン可染ポリエ
ステル太細マルチフィラメントを用いて混繊、交絡して
マルチフィラメント糸とするには、引き揃え、合撚、空
気交絡等従来公知の方法が任意に採用できる。カチオン
染料を含む染色浴には、公知のカチオン染料が用いら
れ、他のマルチフィラメント糸を染める目的で、他のマ
ルチフィラメントが染色可能な染料を同時に又は別浴で
用いて染色することも可能である。染色方法自体は、従
来公知の染色方法が任意に用いられる。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例中の各特性値の測定、判定は、以下の
方法に拠った。
【0029】(複屈折率)得られたポリエステル未延伸
糸をカネボウエンジニアリング(株)製分子配向度測定
装置DELTA−Nを用いて測定し、10点の平均値を
複屈折率とした。 (交絡部数)未延伸糸を水浴上に浮かべてマルチフィラ
メントを開繊させ、サンプル長1mでの交絡部の数を目
視で計測し、5回測定の平均値を交絡部数とした。
【0030】(糸斑の変動係数CV)カチオン可染ポリ
エステル太細マルチフィラメント糸を計測器工業(株)
製イーブネステスターKET−80Cを用いて、糸速8
m/分、チャートスピード1m/分の条件下で、1分間
チャートを描かせ、ウースターノルマルモードで糸の太
さ斑の変動係数CV(%)を測定した。 (マルチフィラメント糸の太部の長さ及び比率)カチオ
ン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸の太部と
は、イーブネステスターで、糸速8m/分、チャートス
ピード1m/分の条件下で、1分間チャートを描かせ、
得られたチャート上で、平均太さから2.5%の値に線
を引き、この線以上の部分を1ケの太部としたものであ
る。また太部の長さは、チャート上の長さを8倍して実
際のマルチフィラメント糸上での長さ(mm)とした。
さらに、太部比率を求める際の太部全体の長さは、チャ
ート上の全ての太部の長さを合計し、得られた値を8倍
して実際のマルチフィラメント糸上での全太部の長さと
した。
【0031】(単繊維の太部細部)マルチフィラメント
糸の長手方向の任意の位置で、光学顕微鏡により断面を
観察し、単繊維10本の繊維径を測定し、繊維径の最も
細いものの2倍以上の繊維径を単繊維の太部、2倍未満
のものを単繊維の細部とした。また、単繊維の最も太い
部分と最も細い部分との繊維径の比を求めた。
【0032】(マルチフィラメント糸の構成単繊維の比
率)マルチフィラメント糸の長手方向の任意の位置で、
光学顕微鏡により断面を観察し、構成単繊維中の単繊維
太部、単繊維細部の本数を数え、構成本数に対する比率
を求めた。
【0033】(織物の外観)平織物をカチオン染料で染
色を行い、目視にてスラブ調太細外観効果を評価した。
カチオン染料としてアイゼン カチロン マリンブルー
GRLH 200%(保土谷化学工業(株)製)を用
い、染料1%owf、酢酸0.5g/l、酢酸ソーダ
0.5g/l、ボウ硝1.0g/l、浴比1:30、染
色温度120℃、染色時間30分の条件で染色した。評
価は次のように判定した。 ◎:スラブ調外観効果が非常に良好である。 ○:スラブ調外観効果が良好である。 ×:スラブ調外観効果が不十分である。 なお、◎、○を合格レベルとした。
【0034】(実施例1)5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸を2.0モル%共重合してなる固有粘度0.5
8、密度1.38g/cm、融点252℃、ガラス転
移温度77℃のカチオン染料可染性ポリエチレンテレフ
タレートを、直径0.25mmの紡糸孔を36ケ有する
紡糸口金より、紡糸温度285℃で溶融紡糸し、油剤を
付与した後、2110m/分の速度で引き取り、引き続
き、一対のローラー間でエアー圧400kPaでエアー
交絡処理を施しながら2100m/分で巻き取り、21
0デシテックス(dtex)/36フィラメント(f)
の未延伸糸を得た。得られた未延伸糸は、複屈折率が2
4×10−3、最大延伸倍率(MDR)が3.20で、
交絡部を1m当たり40ケ有するものであった。この未
延伸糸を表1に示す条件で加熱延伸し、110dtex
/36fのカチオン可染ポリエステル太細マルチフィラ
メント糸を得た。得られたカチオン可染ポリエステル太
細マルチフィラメント糸の評価結果を表1に示したが、
得られたポリエステル太細マルチフィラメント糸からな
る布帛は、濃染部と淡染部とのコントラストが大きく、
良好なスラブ調外観を呈するものであった。
【0035】(実施例2〜5、比較例1〜3)実施例1
で得られたと同じ未延伸糸を用い、表1に示す条件で延
伸して太細マルチフィラメント糸を得た。得られた太細
マルチフィラメント糸の評価結果を表1に示した。比較
例1では、延伸前の予熱工程がないため、得られる太細
マルチフィラメント糸の構成単繊維の太細斑が小さく、
本発明で定義する太細部が存在せず、染色後の濃淡差が
小さくなり目的とするコントラストの強い外観は得られ
なかった。比較例2では、未延伸糸の交絡部がないた
め、得られる太細マルチフィラメント糸の構成単繊維の
太細斑が小さく、本発明で定義する太細部が存在せず、
明瞭なコントラストの外観が得られなかった。比較例3
では、延伸の際の延伸倍率が高いため、得られる太細マ
ルチフィラメント糸の構成単繊維の太細斑が小さく、本
発明で定義する太細部が存在せず、目的とするコントラ
ストの強い外観は得られなかった。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】本発明のカチオン可染ポリエステル太細
マルチフィラメント糸は、カチオン染料での染色後の濃
染部と淡染部との周期がランダムであり、かつ濃染部と
淡染部とのコントラストが大きな太細マルチフィラメン
ト糸であって、この太細マルチフィラメント糸により布
帛を形成した時、淡染領域上に濃染部が短く明瞭に存在
する外観が得られる。また、本発明のカチオン可染ポリ
エステル太細マルチフィラメント糸の製造方法によれ
ば、未延伸糸に流体処理による交絡部を付与した後、太
細斑延伸することで単繊維の太部と細部の過度の分散を
抑制し、濃染部と淡染部のコントラストが強い太細マル
チフィラメント糸を安定に得ることができ、布帛上に杢
調に濃染部が強調されたカジュアル調外観の衣料を提供
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D03D 15/00 D03D 15/00 J B D04B 1/16 D04B 1/16 21/00 21/00 B (72)発明者 坂倉 秀夫 愛知県豊橋市牛川通四丁目1番地の2 三 菱レイヨン株式会社豊橋事業所内 Fターム(参考) 4L002 AA07 AB02 AC06 AC07 DA04 EA00 FA00 FA01 4L035 BB33 BB71 CC11 DD12 EE20 4L036 MA05 MA24 MA33 PA03 UA16 4L048 AA21 AA36 AA45 AA46 AA47 AB07 AC07 DA01 DA19

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カチオン可染ポリエステルからなる繊維
    軸方向に太細斑を有する複数の単繊維からなり、下記要
    件(1)〜(5)を満足することを特徴とするカチオン
    可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸。 (1)糸の長手方向に、マルチフィラメント糸を構成す
    る単繊維本数の70%以上が単繊維の太部からなる部分
    と、マルチフィラメント糸を構成する単繊維本数の95
    %以上が単繊維の細部とが存在する。 (2)太細マルチフィラメント糸の太さ斑の変動係数C
    Vが15%以上である。 (3)太細マルチフィラメント糸の平均太さの2.5%
    以上の太部の長さが85mm以下である。 (4)太細マルチフィラメント糸の太部の長さが24m
    m以上である部分が太部全体長さの35〜80%であ
    る。 (5)単繊維の最も太い部分と最も細い部分の繊維径の
    比が2.0以上である。
  2. 【請求項2】 カチオン可染ポリエステルが、主たる繰
    り返し単位がエチレンテレフタレ−トであり、5−ナト
    リウムスルホイソフタール酸を1.5〜3.5モル%共
    重合したポリエステルである請求項1に記載のカチオン
    可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸。
  3. 【請求項3】 複屈折率が15×10−3〜40×10
    −3で、かつ流体処理により付与された交絡部を20〜
    80ケ/m有する複数の単繊維からなるカチオン可染ポ
    リエステル未延伸糸を、下記工程(a)〜(b)で加熱
    延伸することを特徴とするカチオン可染ポリエステル太
    細マルチフィラメント糸の製造方法。 (a)温度がカチオン可染ポリエステルのガラス転移温
    度(Tg)以下、Tg−20℃以上、かつ接触時間が
    4.0×10−2〜4.0×10−1秒の条件で予
    熱する工程。 (b)延伸倍率がMDRの0.45〜0.60倍、延伸
    温度が80〜120℃の条件で延伸する工程。(但し、
    MDRは延伸温度85℃における未延伸糸の最大延伸倍
    率を表す)
  4. 【請求項4】 請求項1又は2に記載のカチオン可染ポ
    リエステル太細マルチフィラメント糸を含んでなる織編
    物。
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