JP2003201624A - ポリエステル太細マルチフィラメント糸及びその製造方法並びに織編物 - Google Patents

ポリエステル太細マルチフィラメント糸及びその製造方法並びに織編物

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JP2003201624A
JP2003201624A JP2001395903A JP2001395903A JP2003201624A JP 2003201624 A JP2003201624 A JP 2003201624A JP 2001395903 A JP2001395903 A JP 2001395903A JP 2001395903 A JP2001395903 A JP 2001395903A JP 2003201624 A JP2003201624 A JP 2003201624A
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multifilament yarn
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polyester
thin
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Hideyasu Terao
秀康 寺尾
Hiroshi Katayama
浩志 片山
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Mitsubishi Rayon Textile Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Mitsubishi Rayon Textile Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 染色したときの濃染部と淡染部との周期がラ
ンダムであり、かつ濃染部と淡染部のコントラストが大
きくメリハリのあるポリエステル太細マルチフィラメン
ト糸であって、織編物を形成したときには、染色したと
き淡染領域上に濃染部が長く明瞭に存在する外観を与え
る太細マルチフィラメント糸を提供し、またその太細マ
ルチフィラメント糸からなる織編物を提供する。 【解決手段】 無機物の含有率が0.4重量%以下のポ
リエステルからなる複屈折率が15〜40×10−3
未延伸糸を、(a)延伸倍率をMDRの0.45〜0.
70倍、(b)延伸温度をポリエステルのガラス転移温
度以上結晶化温度以下の温度の条件下で加熱延伸し、熱
セットし、染色したときに濃染部が長く、かつその濃染
部の発現が周期がなく低頻度であり、濃染部と淡染部の
濃淡コントラストの強いカスリ調外観を与える太細マル
チフィラメント糸とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衣料用途やインテ
リア用途等の織編物にしたときに、濃染部が長く、かつ
その濃染部の発現が周期がなく低頻度であり、濃染部と
淡染部の濃淡コントラストの強いカスリ調外観を呈する
織編物を提供することのできるポリエステル太細マルチ
フィラメント糸及びその製造方法並びにポリエステル太
細マルチフィラメント糸からなる織編物に関する。
【0002】
【従来の技術】糸そのものを濃淡に染色し得るものとし
て、従来から、複数の単繊維からなる未延伸糸を半延伸
してなる太細マルチフィラメント糸があり、この太細マ
ルチフィラメント糸による布帛は、濃染性の太部と淡染
性の細部の濃淡の染色効果に起因する霜降り調の外観が
得られることが知られている。しかしながら、かかる太
細マルチフィラメント糸は、淡染性を示す細部に濃染性
を呈する単繊維の太部が混在しており、この糸を布帛に
したときに糸細部には通常の延伸糸と同等の淡色染色性
が具備されておらず、十分なコントラストをなす濃淡の
染色効果を表現させるのは至っていない。
【0003】十分なコントラストを有する濃淡の染色効
果を得るためには、マルチフィラメント糸を形成する各
単繊維の太部及び細部が、それぞれマルチフィラメント
糸の濃染部と淡染部とに集中して存在することが必要で
あり、例えば特開昭60−59145号公報には、高配
向未延伸糸に間欠的に水付与しながら延伸・熱処理した
後、更に弛緩熱処理することによって太細マルチフィラ
メント糸を得る方法が提案されている。しかしながら、
この方法では、糸に対して水をランダムに間欠付与する
ための煩雑な管理が必要であり、しかも斑付与の周期が
時間に支配されるため生産性を高めることが困難であ
る。
【0004】また、特開昭57−117645号公報に
は、直接紡糸延伸法で溶融紡出された糸条に流体噴出ノ
ズルで交絡処理した後、ガラス転移温度以下に予熱し延
伸することで太細繊維を得る方法が提案されている。し
かしながらこの方法では、紡糸引取ローラー前でのエア
ー交絡においては、糸条の張力が高く、また張力水準が
変動し、20ヶ/mを越えるような交絡度の高い糸条を
安定に得ることは難しく、太細マルチフィラメント糸を
得ることはできるが、染色後の濃淡のコントラストが強
い太細マルチフィラメント糸を得ることはできない。
【0005】更に、従来の太細糸では、太部に起因する
杢が短い、太細の頻度に明確な周期性がある、太細の長
さが比較的一定である等のためにそれから得られる染色
織編物は規則的なパターンが生じたり、濃染部が多くに
ぎやかなパターンに見えてしまうという問題がある。例
えば、特開昭56−31013号公報には、太細糸のパ
ターンコントロール方法が提案されているが、得られる
太細糸は、太部の発生頻度が多く、染色した場合に長い
濃染部を発生頻度少なく発現させることはできない。
【0006】また、特開平10−273824号公報及
び特開平11−61552号公報では、太細を有するポ
リエステルマルチフィラメントが提供されているが、染
色による濃淡コントラストが小さく短く、染色後にメリ
ハリのある濃淡コントラストが得られない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術における問題点を解決するものである。本発明
の目的は、染色したときの濃染部と淡染部との周期がラ
ンダムであり、かつ濃染部と淡染部のコントラストが大
きくメリハリのあるポリエステル太細マルチフィラメン
ト糸であって、該ポリエステル太細マルチフィラメント
糸により織編物を形成したときには、染色したとき淡染
領域上に濃染部が長く明瞭に存在する外観を織編物に与
えるポリエステル太細糸を提供すること、及びそのポリ
エステル太細マルチフィラメント糸を安定に得ること並
びにそのポリエステル太細マルチフィラメント糸からな
る織編物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、繊維軸
方向に太細斑を有する複数の単繊維から構成され、下記
(1)〜(7)の要件を満足することを特徴とするポリ
エステル太細マルチフィラメント糸、 (1)太細マルチフィラメント糸太部に占める単繊維太
部の構成比が0.70以上、太細マルチフィラメント糸
細部に占める単繊維細部の構成比が0.85以上であ
る。 (2)太細マルチフィラメント糸の太さ斑の変動係数C
Vが8〜16%である。 (3)太細マルチフィラメント糸の平均太さの8.0%
以上の太部の長さが350mm以下である。 (4)太細マルチフィラメント糸の平均太さの8.0%
以上の太部での長さが48mm以上である割合が太部全
体の0.30〜0.70である。 (5)太細マルチフィラメント糸の平均太さの8.0%
以上の太部の個数が糸長8m当たり60〜120ヶであ
る。 (6)太細マルチフィラメント糸を構成する単繊維の最
も太い部分と最も細い部分の繊度の比が2.0以上であ
る。 (7)太細マルチフィラメント糸の太部と細部の発色差
がL値で4〜10である。及び、エチレンテレフタレ−
トを主たる繰り返し単位とするポリエステルであって、
該ポリエステル中の無機物の含有率が0.4重量%以下
のポリエステルからなる複屈折率が15〜40×10
−3である単繊維群の未延伸糸を、下記(a)〜(b)
を満足する条件下で加熱延伸し、熱セットすることを特
徴とするポリエステル太細マルチフィラメント糸の製造
方法。 (a)延伸倍率をMDRの0.45〜0.70倍とす
る。(但し、MDRは温度85℃での未延伸糸の最大延
伸倍率を表す) (b)延伸温度をポリエステルのガラス転移温度以上結
晶化温度以下の温度とする。 並びに、前記のポリエステル太細マルチフィラメント糸
を含んでなる織編物、にある。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明におけるポリエステル太細
マルチフィラメント糸を構成するポリエステルは、エチ
レンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする重合体
であり、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテ
レフタレートに5モル%以下の共重合成分を共重合させ
た共重合ポリエチレンテレフタレート或いはポリエチレ
ンテレフタレートに5重量%以下のポリアルキレングリ
コール、アルキルスルホン酸、有機物等のブレンド成分
をブレンドしたポリエチレンテレフタレートであっても
よい。
【0010】共重合成分としては、芳香族ジカルボン酸
類、脂肪族ジカルボン酸類、脂肪族ジオール類、脂環式
ジオール類、芳香族ジオール類を用いることができ、よ
り具体的にはイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、
1,4ーブタンジオール、シクロヘキサンジオール、ビ
スフェノールAのエチレンオキシド付加物等が挙げられ
る。また、本発明におけるポリエステル太細マルチフィ
ラメント糸を構成する単繊維のフィラメントの断面形状
は、円形断面或いは三角、多葉、扁平等の異形断面のい
ずれであってもよく、特に限定されるものではない。
【0011】本発明のポリエステル太細マルチフィラメ
ント糸においては、太細マルチフィラメント糸太部に占
める単繊維太部の構成比が0.70以上、即ち太細マル
チフィラメント糸太部がその構成の70%以上の単繊維
の太部の集まりによって形成され、太細マルチフィラメ
ント糸細部に占める単繊維細部の構成比が0.85以
上、即ち太細マルチフィラメント糸細部がその構成の8
5%以上の単繊維の細部の集まりによって形成されてい
ることが必要である。
【0012】太細マルチフィラメント糸太部に淡染色性
を示す単繊維の細部が構成比で0.3以上占めて混在し
たり、或いは太細マルチフィラメント糸細部に濃染色性
を示す単繊維の太部が構成比で0.15以上占めて混在
した場合は、染色したときの濃染部と淡染部とのコント
ラストが小さくなり、カスリ調の外観が不鮮明なものに
なる。
【0013】また、本発明のポリエステル太細マルチフ
ィラメント糸においては、太細マルチフィラメント糸の
太さ斑の変動係数CVが8〜16%であることが必要で
ある。この変動係数CVが8%未満では、染色したとき
の濃淡差による霜降り効果が本来目的とする濃淡差に達
せず、16%を超えると、糸での太部と細部の繊度差が
大きく、染色したときの濃淡差は得られるが、実用とす
る強度が得られないことがある。
【0014】太さ斑の変動係数CVは、計測器工業
(株)製のイーブネステスターKET−80Cを用い
て、糸速8m/分、チャートスピード1m/分の条件下
でチャートを描かせ、ウースターノルマル値を測定して
得られた数値であり、平均値からの太さの偏りの大きさ
を示す指標となるものである。
【0015】更に、太細マルチフィラメント糸の平均太
さの8.0%以上の太部の長さが350mm以下である
ことが必要である。この太部の長さが350mmを超え
ると、染色したとき、濃染部が長くなり過ぎて淡色の中
に濃染部が存在するカスリ調の外観がぼける場合があ
る。
【0016】太細マルチフィラメント糸の平均太さの
8.0%以上の太部とは、イーブネステスターで得られ
たチャート上で、平均太さから8.0%の値に線を引
き、この線以上の部分を太部としたものである。更にチ
ャート上で全ての太部のそれぞれの長さを読み取り、読
み取った値を8倍して実際の繊維上の太部の長さ(m
m)とする。
【0017】また、太細マルチフィラメント糸の長さが
48mm以上である太部の割合が太部全体の0.30〜
0.70であることが必要である。この割合が0.30
未満では、太細差が小さくなるため、染色したときに濃
淡の発現効果が小さく明瞭な濃淡表現が得られず、0.
70を超えると、染色したときに太部の割合が多すぎ、
繊維全体が濃色に染まるため、淡色部の効果が小さく、
明瞭な濃淡の発現効果が得られない。
【0018】本発明のポリエステル太細マルチフィラメ
ント糸においては、太細マルチフィラメント糸の平均太
さの8.0%以上の太部の個数が8m当たり60〜12
0ヶであることが必要である。太部の個数が60ヶ未満
であると、太部の数が糸全体に対して少ないため、太部
が点在して見え、120ヶを超えると、太部の数が多く
糸の全面にあるため、外観として好ましくない。
【0019】本発明のポリエステル太細マルチフィラメ
ント糸を構成する単繊維は、その最も太い部分と最も細
い部分の繊度の比が2.0以上であるフィラメント状の
単繊維であり、単繊維の最も太い部分と最も細い部分の
太さの比が2.0未満では、染色したときに十分な濃淡
効果が得られない。
【0020】更に本発明のポリエステル太細マルチフィ
ラメント糸は、その太部と細部の発色差がL値で4〜1
0であることが必要である。太部と細部の発色差がL値
で4未満であると、染色したときの濃淡差が小さいこと
により、カスリ調の効果が薄れ繊維全体が均一な外観に
なり、十分な濃淡発現効果が得られない。L値が10を
超えると、染色したときの濃淡差が大きいことにより濃
部が強調され過ぎ、濃部が際立つため織編物にした際に
賑やかな感じがする。
【0021】太細マルチフィラメント糸の太部と細部の
発色差は、次のように求めることができる。太細マルチ
フィラメント糸を、浴比1:30のテラシル ネービー
SGL200%(日本チバガイギー(株)製分散染料)
1%(対繊維重量)、ディスパーTL(明成化学工業
(株)製染色助剤)0.5%、ウルトラMT−N2(御
幣島化学工業(株)製pH調整剤)0.5%の染浴にて
130℃で30分間染色後、浴比1:30のハイドロサ
ルフェイト1g/l、ソーダ灰1g/l、スコアロール
FC−300(花王(株)製界面活性剤)1g/lの洗
浄浴にて80℃で20分間還元洗浄し、水洗、乾燥す
る。得られた染色糸の太部、細部のそれぞれについて、
色彩色差計CR−241(ミノルタ(株)製)を用い、
光源としてパルスキセノンランプで標準の光C(JIS
Z8720)、測定孔径0.3mmにてL値(ハンタ
ーの色差式における明度指数)を測定し、太部のL値と
細部のL値との差を求める。
【0022】次に本発明のポリエステル太細マルチフィ
ラメント糸は、以下のようにして製造することができ
る。即ち、本発明のポリエステル太細マルチフィラメン
ト糸は、エチレンテレフタレ−トを主たる繰り返し単位
とするポリエステルであって、このポリエステル中の無
機物の含有率が0.4重量%以下のポリエステルからな
る複屈折率が15〜40×10−3である単繊維群の未
延伸糸を、(a)延伸倍率をMDRの0.45〜0.7
0倍、(b)延伸温度をポリエステルのガラス転移温度
以上結晶化温度以下の温度、の条件下で加熱延伸し、熱
セットすることにより得ることができる。
【0023】ポリエステル中に含まれる酸化チタン等の
金属酸化物、カオリン等の鉱物等の無機物は、理由は定
かではないが、無機物の含有量が0.4重量%を超える
と、無機物が滑剤として作用し、太細の発現の妨げとな
るため、太細の外観効果が小さくなり、染色時に明瞭な
カスリ調を呈する太細マルチフィラメント糸が得られな
くなる。また本発明の製造方法で用いられる未延伸糸
は、複屈折率が15×10−3未満では、未延伸部から
形成される太部の耐熱性が低く、仮撚工程やアルカリ減
量加工等の後工程での強度低下が大きく実用的な布帛強
度が得られず、40×10−3を超えると、未延伸糸の
MDRが小さいため未延伸糸に太細斑を付与する際の延
伸倍率が低くなり、得られる太細マルチフィラメント糸
での太部と細部の繊度差が小さく、染色したときの濃淡
差が小さくなり目的とするコントラストの強い外観が得
られなくなる。
【0024】本発明のポリエステル太細マルチフィラメ
ント糸を得る際に用いる未延伸糸は、ポリエステルを溶
融紡糸法により1500〜2500m/min程度の紡
糸巻取速度で紡糸することにより得られる。本発明の製
造方法においては、前記(a)、(b)条件下での加熱
延伸により未延伸糸を不均一延伸し、後100〜200
℃の温度で熱セットする。本発明の製造方法における加
熱延伸には、供給ローラーと延伸ローラーによる通常の
延伸方法又は供給ローラーと延伸ローラーの間に熱ピン
を設置した方法等を採用することができる
【0025】本発明の製造方法では、延伸領域での延伸
倍率が未延伸糸のMDRの0.45倍未満では、染色し
たとき濃染部となる太部の比率が高く、0.70倍を超
える場合には、太部の比率が小さくなり、目的とするコ
ントラストの強い外観を呈する太細マルチフィラメント
糸が得られなくなる。
【0026】未延伸糸のMDR(最大延伸倍率)は、未
延伸糸を予熱ローラー温度85℃、熱板温度145℃、
延伸ローラー速度600m/minで引き取りながら、
徐々に予熱ローラー速度を下げていき、糸が破断した時
の予熱ローラーと延伸ローラーの速度比を最大延伸倍率
とし、3回測定の平均値をMDRとした。
【0027】また、延伸温度がポリエステルのガラス転
移温度未満であると、染色したとき濃染部となる太部の
比率が高くなり、ポリエステルの結晶化温度(Tc)を
超えると、染色時の太細の発現が弱くなる。
【0028】本発明でいう、ガラス転移温度、結晶化温
度は、重合体を290℃まで昇温してメルトクエンチし
た後、DSC法(示差走査熱量測定法、昇温速度10℃
/分)より求めたガラス転移温度、結晶化温度を採用し
た。
【0029】本発明のポリエステル太細マルチフィラメ
ント糸は、単独で或いは同種又は異種の他の繊維のフィ
ラメント糸と混繊・交絡し、仮撚加工等の後加工をし複
合加工糸とした後若しくは他の紡績糸と組み合わせて用
いられ、織編物とすることができる。また、本発明のポ
リエステル太細マルチフィラメント糸を他のフィラメン
ト糸混繊・交絡して複合加工糸とする際には、引き揃
え、合撚、空気交絡等の従来公知の方法が任意に採用で
きる。
【0030】本発明のポリエステル太細マルチフィラメ
ント糸を含んでなる織編物は、分散染料にて任意の方法
で染色するときには、ポリエステル太細マルチフィラメ
ント糸の濃染部と淡染部との周期がランダムであり、か
つ濃染部と淡染部のコントラストが大きくメリハリがあ
り、織編物に淡染領域上に濃染部が長く明瞭に存在する
外観を与える。染色は分散染料を含む染浴中で染色する
ことが好ましいが、併用する他の繊維を染める目的で他
の染料を用い、同浴又は別浴で染色することもできる。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例による具体的に説明す
る。なお、実施例中の各特性値の測定、判定は、以下の
方法に従った。
【0032】(複屈折率)ポリエステル未延伸糸をカネ
ボウエンジニアリング(株)製分子配向度測定装置DE
LTA−Nを用いてその複屈折率を測定し、10点の平
均値を複屈折率とした。
【0033】(糸斑)計測器工業(株)製イーブネステ
スターKET−80Cを用いて、ポリエステル太細マル
チフィラメント糸について、糸速8m/分、チャートス
ピード1m/分の条件下でチャートを描かせ、ウースタ
ーノルマルモードで変動係数CVを測定した。
【0034】(太部の個数及び長さ)ポリエステル太細
マルチフィラメント糸についてのイーブネステスターで
得られたチャート上で、糸の平均太さから8.0%の値
に線を引き、この線以上の部分を1個の太部とし、チャ
ート上で全ての太部をそれぞれ読み取り、読み取った値
を8倍して実際の糸での太部の長さ(mm)とした。
【0035】(ポリエステル太細マルチフィラメント糸
太部(細部)での単繊維太部(細部)の構成比率)ポリ
エステル太細マルチフィラメント糸を緯糸に用いて平織
物を作成し、分散染料で染色後、抜糸して濃染部(糸の
太部)及び淡染部(糸の細部)の断面について、カネボ
ウエンジニアリング(株)製分子配向度測定装置DEL
TA−Nを用いて各単繊維の繊維径を測定し、糸の太部
(細部)に占める単繊維の太部(細部)構成比率をそれ
ぞれの太部(細部)のある単繊維比率で求めた。なお、
単繊維の最も細い部分に比べ2倍以上の繊度を有する部
分を単繊維の太部、最も太い部分に比べ1/2以下の繊
度を有する部分を単繊維の細部とした。
【0036】(単繊維繊度比)ウオータージェットルー
ムにて、ポリエステル太細マルチフィラメント糸を緯糸
に、通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメ
ント糸55dtex/18フィラメントを経糸に用い、
経糸密度59本/cm、横糸密度(本/cm)= 27
9/√(ポリエステル太細マルチフィラメント糸の繊度
(dtex))にて、平織物を作成し、分散染料で染色
後、緯糸を抜糸して濃染部及び淡染部の単繊維を無作為
に選択し、それぞれ100点の繊維径を、カネボウエン
ジニアリング(株)製分子配向度測定装置 DELTA
−Nを用いて測定した。最も太い部分の直径と細い部分
の比を単繊維繊度比とした。
【0037】(織物の外観)前記平織物を浴比1:3
0、テラシル ネービーSGL200%(日本チバガイ
ギー(株)製分散染料)1%(対繊維重量)、ディスパ
ーTL(明成化学工業(株)製染色助剤)を0.5%、
ウルトラMT−N2(御幣島化学工業(株)製pH調整
剤)を0.5%の染浴にて130℃で30分間染色し、
還元洗浄して得た染色平織物を目視にて次の判定基準で
スラブ調太細外観効果を評価した。 ○:スラブ調外観効果が非常に良好である △:スラブ調外観効果が良好である ×:スラブ調外観効果が不十分である なお、○又は△が合格レベルである。
【0038】(実施例1)無機物として酸化チタンを
0.02重量%含有する固有粘度が0.68、密度1.
38g/cm、ガラス転移温度74℃、結晶化温度1
39℃のポリエチレンテレフタレートを、直径0.25
mmのノズル孔を36個有する紡糸口金より、紡糸温度
280℃で溶融紡糸し、油剤を付与した後、1800m
/分の速度で巻き取り150dtex/36フィラメン
トの未延伸糸を得た。得られた未延伸糸は、複屈折率が
20×10−3、最大延伸倍率(MDR)が3.82で
あった。この未延伸糸を表1に示す条件で延伸し、55
dtex/36フィラメントの太細マルチフィラメント
糸を得た。主な製糸(紡糸、延伸)条件、評価結果を表
1に示したが、得られた太細マルチフィラメント糸を用
いてなる織物は、濃染部と淡染部とのコントラストが大
きく、良好なスラブ調外観を呈するものであった。
【0039】(実施例2、比較例1)実施例1で用いた
のと同じポリエチレンテレフタレート、紡糸口金を用い
て、表1に示す製紙条件で実施例と同様にして太細マル
チフィラメント糸を得た。得られた太細マルチフィラメ
ント糸についての評価結果を表1に示した。比較例1で
は、未延伸糸の複屈折率が高いため、得られる太細マル
チフィラメント糸の太部と細部の繊度差が小さく、染色
後の濃淡差が小さくなり目的とするコントラストの強い
外観は得られなかった。
【0040】(実施例3)酸化チタンの含有量が0.1
5重量%であるポリエチレンテレフタレートを用いた以
外は、実施例1と同様にしてポリエステル太細マルチフ
ィラメント糸を得た。得られたポリエステル太細マルチ
フィラメント糸についての評価結果を表1に示した。
【0041】(比較例2)酸化チタンの含有量が0.5
0重量%であるポリエチレンテレフタレートを用いた以
外は、実施例1と同様にしてポリエステル太細マルチフ
ィラメント糸を得た。得られたポリエステル太細マルチ
フィラメント糸についての評価結果を表1に示したが、
用いたポリエチレンテレフタレートの酸化チタンの含有
量が0.50重量%であるため、得られた太細マルチフ
ィラメント糸の太部と細部の繊度差が小さく、太部が短
いため、明瞭なコントラストの外観が得られなかった。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明のポリエステル太細マルチフィラ
メント糸は、染色したときの濃染部と淡染部との周期が
ランダムであり、かつ濃染部と淡染部とのコントラスト
が大きく、このポリエステル太細マルチフィラメント糸
により織編物を形成し、染色したときに、淡染領域上に
濃染部が長く明瞭に存在する外観を付与できる。また、
本発明のポリエステル太細マルチフィラメント糸の製造
方法によれば、無機物の含有量が0.4重量%以下とす
ることで、延伸時に発生する太細斑が、太部を長く明瞭
に発現し、染色したときの濃染部と淡染部のコントラス
トが強く、かつ濃染部が強調されたカジュアル調外観の
衣料を提供できるポリエステル太細マルチフィラメント
糸を安定に得ることができる。更に本発明のポリエステ
ル太細マルチフィラメント糸を含んでなる織編物は染色
により本発明のポリエステル太細マルチフィラメント糸
に基づく淡染領域上に濃染部が長く明瞭に存在する外観
を呈するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片山 浩志 愛知県豊橋市牛川通四丁目1番地の2 三 菱レイヨン株式会社豊橋事業所内 Fターム(参考) 4L035 BB31 BB91 DD12 DD16 4L048 AA21 AA36 AA56 AB07 AC07 CA00 CA16

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維軸方向に太細斑を有する複数の単繊
    維から構成され、下記(1)〜(7)の要件を満足する
    ことを特徴とするポリエステル太細マルチフィラメント
    糸。 (1)太細マルチフィラメント糸太部に占める単繊維太
    部の構成比が0.70以上、太細マルチフィラメント糸
    細部に占める単繊維細部の構成比が0.85以上であ
    る。 (2)太細マルチフィラメント糸の太さ斑の変動係数C
    Vが8〜16%である。 (3)太細マルチフィラメント糸の平均太さの8.0%
    以上の太部の長さが350mm以下である。 (4)太細マルチフィラメント糸の平均太さの8.0%
    以上の太部での長さが48mm以上である太部の割合が
    太部全体の0.30〜0.70である。 (5)太細マルチフィラメント糸の平均太さの8.0%
    以上の太部の個数が糸長8m当たり60〜120ヶであ
    る。 (6)太細マルチフィラメント糸を構成する単繊維の最
    も太い部分と最も細い部分の繊度の比が2.0以上であ
    る。 (7)太細マルチフィラメント糸の太部と細部の発色差
    がL値で4〜10である。
  2. 【請求項2】 エチレンテレフタレ−トを主たる繰り返
    し単位とするポリエステルであって、該ポリエステル中
    の無機物の含有率が0.4重量%以下のポリエステルか
    らなる複屈折率が15〜40×10−3である単繊維群
    の未延伸糸を、下記(a)〜(b)を満足する条件下で
    加熱延伸し、熱セットすることを特徴とするポリエステ
    ル太細マルチフィラメント糸の製造方法。 (a)延伸倍率をMDRの0.45〜0.70倍とす
    る。(但し、MDRは温度85℃での未延伸糸の最大延
    伸倍率を表す) (b)延伸温度をポリエステルのガラス転移温度以上結
    晶化温度以下の温度とする。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のポリエステル太細マル
    チフィラメント糸を含んでなる織編物。
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