JP2002233314A - 家禽用飼料組成物 - Google Patents

家禽用飼料組成物

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JP2002233314A
JP2002233314A JP2001034320A JP2001034320A JP2002233314A JP 2002233314 A JP2002233314 A JP 2002233314A JP 2001034320 A JP2001034320 A JP 2001034320A JP 2001034320 A JP2001034320 A JP 2001034320A JP 2002233314 A JP2002233314 A JP 2002233314A
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poultry
composition
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Noboru Niwa
昇 丹羽
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Chubu Shiryo Co Ltd
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Chubu Shiryo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】肥育成績を維持しかつ肉質等を向上させること
のできる、家禽用飼料組成物を提供する。 【解決手段】ソルガム系作物の子実原料を10wt%以
上70wt%以下含有し、トウモロコシ系作物の子実原
料を実質的に含有しない、家禽用飼料組成物とする。こ
の組成物によれば、肥育成績も維持しつつかつ家禽肉の
肉質も一挙に向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、家禽用飼料組成
物に関し、詳しくは、生産性及び肉質の優れた食用の家
禽肉を得ることのできる家禽用飼料組成物に関する。ま
た、生産性及び肉質の優れた家禽肉を得ることのでき
る、家禽の飼育方法、及び家禽肉に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、ブロイラー等の家禽の肥
育用飼料は、トウモロコシ、トウモロコシ副産物(コー
ンジャームミール、コーングルテンフィード、コーング
ルテンミール等)、マイロ、大豆粕、ナタネ粕、魚粉、
油脂、肉骨紛(ミートボーンミール)、家禽処理副産
物、フェザーミールを主体に配合されている。なかで
も、トウモロコシやトウモロコシ副産物等のトウモロコ
シ系作物の子実原料は、配合の主体をなしている。ま
た、飼料組成物のタンパク質成分としては、トウモロコ
シ副産物の他、大豆粕、肉骨紛、家禽処理副産物、フェ
ザーミール、ナタネ粕、魚粉等が配合されるのが通常で
ある。一方、トウモロコシ系の子実の代替原料として、
ソルガム系作物の子実の原料がある。ソルガム系作物の
子実原料を使用すると脂肪質部位や肉質部位が白色化し
た食肉が得られるため、トウモロコシ系飼料原料の一部
をソルガムに替えて配合される場合もある。しかしなが
ら、トウモロコシ系飼料原料に対して一定割合以上にソ
ルガムを配合すると、成長阻害が発生すると考えられて
おり、一定効率以上の肥育成績を得るにはトウモロコシ
系飼料原料は必須であると考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】現在、トウモロコシ系
飼料原料を主体とする飼料用組成物においては、肉色の
改善は依然として大きな課題であるとともに、肉質につ
いても高い品質が求められるようになってきている。現
在のところ、ビタミンやミネラル等の微量成分の添加
や、香草等の添加が試みられているが、肉色を含む肉質
の改善はなかなか得られていない。また、これらの第3
成分の添加は、配合量が微量であるために、製造工程に
おける品質管理が煩雑化するおそれがある。また、飼料
用組成物における当該有効成分の安定性を確保する必要
もある。そこで、本発明は、かかる微量の第3成分の添
加のみによることなく、肥育成績を維持しつつかつ肉質
等を向上させることのできる、従来にない新しい飼料組
成物を提供することをその目的とする。また、本発明
は、良好な肥育成績で優れた肉質の食用肉を提供するこ
とのできる、家禽肉の製造方法及び食用家禽肉を提供す
ることもその目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
課題を解決するために、飼料組成物中のリノール酸含有
量に着目し、鋭意検討した結果、一定量のリノール酸含
有量の飼料組成物を調製することにより、また、ソルガ
ム系飼料原料を一定範囲で含有し、トウモロコシ系作物
の子実成分を実質的に含有しない家禽用飼料組成物を用
いて家禽を飼育することにより、肥育成績を維持し、か
つ多くの肉質評価項目を一挙に向上させることができる
ことを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明
は、リノール酸含有量が飼料組成物全体において1.6
wt%以下である、家禽用飼料組成物を提供する。ま
た、本発明は、家禽用飼料組成物であって、ソルガム系
作物の子実原料を飼料組成物の全体において10wt%
以上80wt%以下含有し、トウモロコシ系作物の子実
原料を実質的に含有しない、家禽用飼料組成物を提供す
る。また、本発明は、家禽用飼料組成物であって、肥育
前期飼料組成物において粗脂肪含有量が6.5wt%以
下である、及び、肥育後期用飼料組成物において粗脂肪
含有量が7.5wt%以下である、のいずれかである飼
料組成物を提供する。
【0005】また、本発明によれば、以下の特徴; (1)リノール酸含有量が1.6wt%以下である; (2)この飼料組成物の全体に対して、ソルガム系作物
の子実原料を10wt%以上80wt%以下含有し、ト
ウモロコシ系作物の子実原料を実質的に含有しない; (3) 肥育前期飼料組成物において粗脂肪含有量が
6.5wt%以下である、及び、肥育後期用飼料組成物
において粗脂肪含有量が7.5wt%以下である、のい
ずれかである、のうち、少なくとも1つの特徴を有す
る、家禽用飼料組成物で家禽を飼育して食用家禽肉を得
る、食用家禽肉の製造方法。
【0006】上記したいずれかの家禽用飼料組成物によ
れば、肥育成績も維持しかつ食用家禽肉の肉質も一挙に
向上させることができる。
【0007】また、本発明によれば、以下の特徴; (a)ムネ肉が、色差計によって測定されるハンターL
値が46以上50以下、ハンターb値が8以上12以下
の肉色を有する、および/または、モモ肉が、ハンター
L値が42以上45以下、ハンターb値が11以上17
以下の肉色を有する (b)ムネ肉の破断応力が0.35〜0.50×106
N/m2(生肉)、および/または、0.65〜0.8
×106N/m2(加熱肉)である (c)冷蔵保存中のドリップロスが2.0%以下(ムネ
肉)、および/または、1.0%以下(モモ肉)である (d)総脂質含量が1.2wt%以下(ムネ肉)、およ
び/または、3.0wt%以下(モモ肉)である (e)脂肪酸組成において、リノール酸に対するオレイ
ン酸の割合が、3.0以上(ムネ肉および/またはモモ
肉)であるのうち、少なくとも1つの特徴を有する、食
用家禽肉を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につき詳
細に説明する。本発明の家禽用飼料組成物(以下、本組
成物という。)は、少なくとも以下の(1)〜(4)の
うちいずれか1つの組成上の特徴を有している。 (1)リノール酸含量が組成物全体に対して1.6wt
%以下である (2)トウモロコシ系作物の子実原料を実質的に含有し
ない (3)ソルガム系作物の子実原料を組成物全体に対して
10wt%以上80wt%以下含有する (4)肥育前期飼料組成物において粗脂肪含有量が6.
5wt%以下である、及び、肥育後期用飼料組成物にお
いて粗脂肪含有量が7.5wt%以下である、のいずれ
かである
【0009】好ましくは、本組成物は、上記特徴(1)
〜(4)からなる群から選択される2種以上の特徴を備
える。上記特徴(2)及び(3)の組み合わせ、上記特
徴(2)及び(4)の組み合わせ、上記特徴(3)及び
(4)の組み合わせ、上記特徴(2)、(3)及び
(4)の組み合わせも好ましいが、より好ましくは、上
記特徴(1)を有し、さらに他の特徴を有する。上記特
徴を2個備える組成物としては、上記特徴(1)及び
(2)を有する組成物の他、(1)と(3)とを有する
組成物、(1)と(4)とを有する組成物を好ましく例
示できる。また、上記特徴3個備える組成物としては、
(1)、(2)及び(3)を有する組成物、(1)、
(2)及び(4)を備える組成物、(1)、(3)及び
(4)を備える組成物を好ましく例示できる。もっとも
好ましくは全ての特徴を有する。
【0010】家禽用飼料組成物においてリノール酸含量
が1.6wt%以下であると、家禽の成長にとって必須
量を確保できるとともに、かつ良好な肉質、特に、にお
い、食感、味において良好な食用家禽肉(特にブロイラ
ー)を得ることができる。しかも、低脂肪、かつ低リノ
ール酸含量(高オレイン酸含量)の食用肉が得られるた
め、肉の商品価値が向上する。リノール酸含量が1.6
wt%を超えると、顕著に、肉色、におい、食感(やわ
らかさ)、味等の肉質が顕著に低下し、ドリップロスも
増加する。なお、リノール酸含有量が1.0wt%未満
であると、家禽の生育が不良となるため、好ましくは、
1.0wt%以上とする。特に、後期飼料において、リ
ノール酸含量を1.6wt%以下に制御することが好ま
しいが、より好ましくは、前期飼料において1.4wt
%以下であり、後期飼料において1.6wt%以下であ
る。なお、リノール酸含有量は、従来公知の測定方法に
よって測定することができる。例えば、日本油化学会制
定の基準油脂分析試験法の脂肪酸の試験法に準じて測定
することができる。また、飼料組成物を構成する各原料
のリノール酸含有量から算出することもできる。
【0011】家禽用飼料組成物におけるリノール酸含量
を制御するには、高リノール酸含量の飼料原料を使用し
ないことが好ましい。具体的には、トウモロコシ系作物
の子実原料を実質的に含有しないようにすることが好ま
しい。一方、低リノール酸含量の飼料原料を用いること
が好ましい。具体的には、ソルガム系作物の子実、大豆
粕の他、玄米、小麦、タピオカ、さつまいも、フスマ等
である。
【0012】本明細書において、トウモロコシ系作物と
は、イネ科に属する一年生作物のトウモロコシ属に属す
る作物を意味する。トウモロコシ系作物の子実を実質的
に含有しないとは、トウモロコシ系作物の子実そのも
の、あるいはその加工物を実質的に含有しないことを意
味する。本飼料組成物中にトウモロコシ系作物の子実を
実質的に含有しないことにより、飼料組成物におけるリ
ノール酸含量のコントロールが容易となる。また、白色
度の高い食肉が得られるようになる。「実質的に含有し
ない」とは、トウモロコシ系作物の子実あるいはその加
工物を配合成分としていないこと、あるいは、配合中に
肉眼及び顕微鏡観察を含む外観観察によって検出されな
いこと、あるいは、化学的および/または物理的な検出
手段によって検出されないこと(検出限界以下であるこ
と)のほか、当該子実あるいはその加工物が、例えば、
不純物として組成物中に配合されていたとしても、組成
物としての飼育上の特徴においてなんらその影響を及ぼ
さない範囲で含有される場合を包含する。より具体的に
は、「実質的に含有しない」とは、トウモロコシ系作物
の子実原料は0.1wt%以下であることが好ましい。
なお、ここで、トウモロコシ系作物の子実の加工物と
は、その形態を問うものではないが、当該子実を原料と
するコーングルテンフィード、コーンジャームミール、
コーングルテンミール等が包含される。
【0013】本明細書において、ソルガムとは、イネ科
の一年生作物であるソルガム属に属する作物を意味す
る。前記トウモロコシ系作物を包含しないものである。
ソルガムの別名には、高粱、マイロ、蜀黎、たかきび等
があり、本明細書におけるソルガムにはこれらの作物を
包含する。また、ソルガムには、スーダン型ソルガム、
ソルゴー型ソルガム、兼用型ソルガム、子実型ソルガム
(グレインソルガム)等がある。ソルガムの子実として
は、好ましくは、グレインソルガムの子実である。ソル
ガム系子実原料とは、ソルガムの子実そのもの、当該子
実の粉砕物、あるいは当該子実を原料とする加工物等、
その形態を問わないでソルガム系子実を原料とするいず
れの飼料原料をも包含する。
【0014】ソルガム系作物の子実原料は、本組成物中
10wt%以上80wt%以下含有されることが好まし
い。10wt%未満では、トウモロコシ系作物の子実成
分を実質的に含有しない場合には、家禽の飼育上におい
て肥育成績及び肉質を従前の水準を維持することが難し
く、80wt%を超えると他の成分の配合を制限するこ
とになることにより肥育成績や肉質に悪影響が生じるか
らである。好ましくは、30wt%以上70wt%以下
である。トウモロコシ系作物の子実成分を実質的に含有
せず、ソルガム系作物の子実原料をこの範囲で含むとよ
り好ましい肉色となる。特に、ブロイラー用飼料組成物
の前期飼料では、30wt%以上60wt%以下である
ことが好ましい。この範囲で、肥育成績と肉質評価とが
もっとも高くなるためである。一方、ブロイラー用飼料
組成物の後期飼料としては、30wt%以上70wt%
以下であることが好ましい。この範囲で、肥育成績と肉
質評価とがもっとも高くなるからである。本組成物をブ
ロイラーの飼育に用いる場合、当該前期飼料を0日令〜
21日令前後に給餌し、当該日令以降は、当該後期飼料
を給餌することが好ましい。より好ましくは、当該前期
飼料を0日令〜14日令まで給与し、15日令以降は当
該後期飼料を給与する。ここで、ブロイラーの肥育にお
ける一般的な飼料体系では、孵化からと殺までの期間
(通常はおおよそ45〜60日令前後)のうちの前半期
(通常、0日令〜21日令前後であり、少なくとも14
日令までの期間を含む)と後半期(当該前半期以後屠殺
までの期間)に区分される。これは、ブロイラーの肥育
において全半期と後半期では、発育速度や発達部位、換
羽の関係から各種栄養素の要求量が異なるため、飼料の
成分を区別することでより効率のよいブロイラー肥育を
行うために区分されている。いずれの時期に給与する飼
料用組成物であっても、ソルガム系作物の子実原料は、
組成物全体に対して30wt%以上含まれていることが
好ましい。
【0015】また、本発明の飼料用組成物においては、
タンニンの含有量が0.3wt%以下となるようにする
ことが好ましい。0.3wt%を超えると生育阻害を起
こす場合があるからである。このため、ソルガム系作物
の子実原料は、タンニン含有量が0.5wt%以下であ
るものを使用するのが好ましく、より好ましくは、0.
3wt%以下のものを使用する。本飼料組成物、及びそ
れに使用するソルガム系作物の子実原料のタンニン量
は、塩酸−バニリン法により、カテキンを標準物質とし
て定量することができる。
【0016】本組成物におけるリノール酸含有量を調整
するには、さらに、リノール酸含有量の少ない飼料用油
脂を使用することが好ましい。具体的には、リノール酸
含有量が10wt%以下の飼料用油脂を使用することが
好ましい。かかる飼料用油脂としては、具体的には、動
物性油脂であり、牛や豚の皮下脂肪や腹腔内脂肪を主体
とする油脂が好ましい。タロー、ラード、バター等も好
ましい。また、融点が33℃以上の油脂を用いることが
好ましい。融点が33℃以上であると、脂肪酸組成から
みてリノール酸等の多価不飽和脂肪酸含有量が低くな
り、肉質に悪影響を与える因子が少ないためであるから
である。一方、リノール酸含有量を調整する観点から、
リノール酸含有量の低いものであれば植物性油脂であっ
てもよく、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油
(ココナッツ油)等も使用できる。
【0017】なお、家禽用飼料組成物においては、油脂
の添加により、家禽の生育に必要な熱量を供給できるた
め、飼料用油脂を添加してもよい。添加する場合には、
好ましくは、リノール酸含有量が10wt%以下の油脂
を使用し、その添加総量は、前期飼料で3wt%以下、
後期飼料で4wt%以下とすることが好ましい。また、
飼料組成物中の粗脂肪含有量は前期飼料で6.5wt%
以下、後期飼料で7.5wt%以下とすることが好まし
い。粗脂肪含有量とリノール酸含量とを制御することに
より、好ましい脂肪酸組成を有して好ましい味、匂い、
物性などの品質を備える畜産物(食肉、卵)が得られ
る。なお、粗脂肪含有量は、飼料組成物の一般的な試験
方法によって得ることができる。例えば、飼料分析基準
の粗脂肪の試験法によって測定することができる。ま
た、飼料組成物を構成する各原料の粗脂肪含有量から算
出することもできる。
【0018】ソルガム系作物の子実の他、リノール酸含
量制御に有効な飼料原料は、大豆粕である。大豆粕は、
リノール酸含量が低く本組成物において好ましいタンパ
ク質源である。好ましくはリノール酸含量が1.0wt
%以下、より好ましくは0.8wt%以下の大豆粕を用
いる。本明細書において大豆粕とは、大豆から搾油する
際に得られる残さである。例えば、この残さはフレーク
状あるいはミール状であり、必要に応じて加熱処理・乾
燥されている。本組成物には、大豆粕を10wt%以上
含有することが好ましく、上限は好ましくは40wt%
以下である。10wt%未満であると、タンパク質の総
含有量を確保しにくく、また40wt%を超えると飼料
配合のバランスがとりにくくなるからである。特に、ソ
ルガム系作物の子実原料を40wt%以上含有する場合
に、同時に、大豆粕を25wt%以上含有することが好
ましい。このような組成によれば、飼料エネルギー(熱
量)とタンパク質との良好なバランスを得ることができ
るとともに、組成物におけるリノール酸含量が1.0w
t%以上1.6wt%以下とすることが容易に達成され
る。
【0019】ソルガム系作物の子実と大豆粕以外では、
玄米、小麦、タピオカ,さつまいも等を使用することが
好ましい。本明細書において、小麦という語は、小麦全
粒ないしはその粉砕物を包含する。小麦は、小麦全粒を
原料とするものが好ましく、小麦全粒として、あるいは
その粉砕物として含有されることが好ましい。小麦の含
有量は、本組成物の全体の1wt%以上60wt%以下
であることが好ましい。より好ましくは5wt%以上5
0wt%以下であり、もっとも好ましくは10wt%以
上20wt%以下である。玄米は、玄米全粒ないしはそ
の粉砕物を包含する。また、玄米を精白して得られる精
白米、その粉砕物、その加工品等すべて含む。玄米の含
有量は、本組成物全体の1wt%以上60wt%以下で
あることが好ましい。より好ましくは、5wt%以上5
0wt%以下であり、最も好ましくは10wt%以上2
0wt%以下である。
【0020】本組成物においては、さらに、ナタネ粕と
魚粉とは、食肉への魚臭の移行という観点から実質的に
含有しないことが好ましい。ナタネ粕とは、ナタネ種子
を搾油した残さである。例えば、この残さを加熱処理・
乾燥・粉砕したものが使用される。魚粉とは、各種魚類
から油脂を分離した残さの乾燥物あるいはこの乾燥物の
粉末である。ナタネ粕および/または魚粉を実質的に含
まないとは、飼料組成物の原料として配合されていない
場合を包含する。
【0021】さらに、本組成物には、セレンおよび/ま
たはビタミンEとを含有することが好ましい。これらの
いずれか一方あるいは双方を含有することにより、特に
以下の点、(1)官能的な風味が向上する、(2)食用
肉が柔らかくなり食感が向上する、(3)ドリップロス
が減少する、(4)臭いが減少する、(5)リノール酸
が減少する、(6)オレイン酸が増加する、(7)脂肪
の融点温度が上昇する、(8)総脂質含量が減少する、
の各効果が顕著に得られる。セレンおよび/またはビタ
ミンEとは、出荷前5週間以上連続投与し,筋肉及び脂
肪組織へ充分蓄積させる目的で飼育後半期に使用する後
半期飼料組成物に配合されることが好ましい。より好ま
しくは、セレンとビタミンEとは、飼育前半期、後半期
ともに飼料用組成物に配合されることが好ましい。セレ
ンは、いかなる形態で含まれていてもよいが、セレン単
体、セレン化合物、セレン単体および/またはセレン化
合物を含む酵母等の有機体成分として含有されることが
好ましい。具体的には、セレン酸ナトリウム、亜セレン
酸ナトリウム、セレン酵母の形態で含有されることが好
ましい。もっとも好ましくは、セレン酵母の形態であ
る。セレン酵母としては、セレンを1000ppm以上
含有するものを例示することができる。また、セレンの
含有量は、セレンとして0.2ppm以上であることが
好ましい。なお、セレンの含有量の上限は、1ppm以
下であることが好ましく、より好ましくは、0.5pp
m以下である。
【0022】ビタミンEとしては、特にその形態を限定
しないで含有される。すなわち、α−、β−、γ−、δ
−トコフェロール、あるいは、α−、β−、γ−、δ−
トコトリエノールのいずれであってもよい。また、天然
のものでも合成のものでもよく、光学異性も問わない。
好ましくは、α−トコフェロールである。また、α−ト
コフェロールの酢酸やニコチン酸などのエステルである
ことが好ましい。最も好ましくは、酢酸dl−α−トコ
フェロールである。また、ビタミンEの含有量は、15
0ppm以上であることが好ましい。より好ましくは2
00ppm以上である。また、ビタミンEの含有量の上
限は、600ppm以下であることが好ましい。ビタミ
ンEの含有量は、150ppm以上300ppm以下で
あることが好ましく、もっとも好ましくは約200pp
mである。なお、ビタミンEの含有量は、酢酸α−トコ
フェロールのdl体の1mgを1国際単位;1IUとし
て定められている。
【0023】セレンとビタミンEとの双方を上記した好
ましい範囲で含有することにより、特に上記した(1)
〜(8)の各効果が顕著に得られる。上記した好ましい
セレン含有量とビタミンE含有量において、特に、セレ
ンとビタミンEの含有量の比が、以下の範囲であること
が好ましい。すなわち、本組成物において、重量比で、
セレン1重量部に対してビタミンE200重量部以上5
000重量部以下とすることが好ましい。例えば、セレ
ン0.1ppm〜0.5ppmに対して、ビタミンE1
00ppm〜500ppmである。もっとも好ましく
は、セレン1重量部に対してビタミンEが約500重量
部である。この最も好ましい配合比を達成するセレン及
びビタミンEの含有量は、それぞれ約0.43ppm、
約215ppmである。
【0024】本組成物には、他に、一般に家禽用飼料組
成物として含有される成分が含有されうる。すなわち、
本組成物には、他の動物由来成分や、無機塩や、その他
の各種添加剤等が含めることができる。動物由来成分と
しては、ミートボーンミール等を用いることが好まし
い。さらに、本組成物には、他の一般的な飼料添加物を
用いることができる。
【0025】このような本組成物を構成する各種材料
が、一般的な飼料調製方法に従って配合され、混合され
る。本組成物は、通常の家禽の飼育方法に従って、家禽
類に飼料として給与されることにより、家禽が飼育され
る。本組成物は、好ましくは、飼育後半期に給与する
が、より好ましくは、全飼育期間を通して給与する。な
お、給餌量は、成長に併せて決められるが、おおよそ2
0〜170g/日である。
【0026】本組成物は、家禽用の飼育に用いられる。
採卵用の家禽等にも用いることができるが、好ましく
は、主として食肉用として飼育される家禽に用いられ
る。また、好ましくは、キジ、カモ、ウズラ等の家禽や
各種鶏に用いられ、特に好ましくは、ブロイラーに適用
される。また、本組成物は、食用家禽肉の製造に用いる
ことができるが、特に、ドリップロスを減少させること
のできる食用家禽肉の製造方法、肥育成績の良好な食用
家禽肉の製造方法、風味の向上した食用家禽肉の製造方
法、破断応力の低い(食感の柔らかい)食用家禽肉の製
造方法、オレイン酸比率の高い(リノール酸比率の低
い)食用家禽肉の製造方法に用いるのが好ましい。これ
らは、また、ブロイラーの製造方法であることが好まし
い。
【0027】リノール酸含量が低い本組成物を用いて飼
育した家禽類の食肉においては、以下の特徴のうち、い
ずれか1つ以上を備えている。好ましくは、2つ以上を
備え、もっとも好ましくはすべての特徴を備えている。 (a)ムネ肉が、色差計によって測定されるハンターL
値が46以上50以下、ハンターb値が8以上12以下
の肉色を有する、および/またはモモ肉が、ハンターL
値は、42以上45以下、ハンターb値が11以上17
以下の肉色を有する (b)ムネ肉の破断応力が0.35〜0.50×106
N/m2(生肉)、および/または0.65〜0.8×
106N/m2(加熱肉)である (c)冷蔵保存中のドリップロスが2.0%以下(ムネ
肉)、および/または1.0%以下(モモ肉)である (d)総脂質含量が1.2wt%以下(ムネ肉)および
/または、3.0wt%以下(モモ肉)である (e)脂肪酸組成において、リノール酸に対するオレイ
ン酸の割合が、3.0以上(ムネ肉および/またはモモ
肉)である これらの特徴は、特にブロイラーの食用肉において顕著
である。
【0028】(肉色)本組成物を給与して飼育した家禽
から採取した肉は、色差計による測定値であるハンター
L値及びハンターb値は以下の特徴を有する。特に、ブ
ロイラーにおいて以下の特徴を備える。ムネ肉のハンタ
ーL値は46以上であり、好ましくは47以上であり、
好ましくは50以下であり、ハンターb値は、12以
下、好ましくは10以下であり、また、好ましくは8以
上である。モモ肉のハンターL値は、42以上、好まし
くは43以上であり、また、好ましくは、45以下であ
る。ハンターb値は、17以下、好ましくは15以下で
あり、好ましくは11以上である。もも皮のハンターL
値は、67以上70以下であり、ハンターb値は14以
上18以下である。もも皮下脂肪のハンターL値は67
以上70以下であり、ハンターb値は、14以上18以
下である。
【0029】(破断応力)本組成物を給与して飼育した
家禽、特に、ブロイラーから採取した食肉(ムネ肉:浅
胸筋)について以下の破断応力を備えている。すなわ
ち、生肉については、0.35〜0.50×106N/
2であり、より好ましくは0.40〜0.45×106
N/m2である。また、加熱肉については0.65〜
0.80×106N/m2であり、より好ましくは、0.
70〜0.75×106N/m2である。なお、破断応力
の測定は、採取されたムネ肉(浅胸筋;皮なし)10枚
の同一部位を2cm3に裁断して、生肉試料(各区10
個以上)とし、採取されたムネ肉(浅胸筋;皮なし)
を、同一部位を幅3cmほどの短冊状にカットし、10
0℃の熱湯で5分間加熱し氷水中で5分間冷却後、2c
3にカットしたゆで肉を(中心部まで火がとおった)
加熱後試料(各区10個)とし、これらの試料につき、
クリープメーター(山電製 RE−3305 Reone
r)を用いて、下記条件にて破断応力を求めた。 使用ロードセル:2kgf 測定歪率:80% 測定速度:0.5mm/秒 接触面直径(プランジャー):3mm(円柱) 測定温度:20℃ プランジャーが試料を、80%圧縮した場合の荷重曲線
を求め、その荷重が最大となった点Fmaxを破断荷重
とし、破断荷重をプランジャーの接触面積で割、重力加
速度を乗ずることで破断応力を算出した。生肉試料、加
熱肉試料とも全て、80%圧縮前にFmaxに到達し、
到達してすぐ破断し、一時的に応力が急激に低下するた
め、Fmaxを破断点の荷重として用いた。破断応力は
次式によって算出した。 破断応力(N/m2)=Fmax(kgf)×重力加速
度(9.8m/sec2)/プランジャの接触面積(m2
【0030】(ドリップロス)本組成物を給与して飼育
した家禽(特に、ブロイラー)から採取した食肉は以下
の冷蔵保存中のドリップロスに関する特徴を有する。す
なわち、ムネ肉については、2.0%以下であり、好ま
しくは1.5%以下である。また、モモ肉については、
1.0%以下であり、好ましくは0.7%以下である。
なお、ドリップロスは、食肉(もも肉10枚以上、胸肉
10枚以上)につき、それぞれ採取直後に、重量を測定
した後、乾燥を防ぐためにビニール袋へ入れ脱気密封
後、7日間家庭用冷蔵庫(約4℃)にて保存し、7日間
経過後、開封して肉を取り出し、ドリップをふき取った
後、肉の重量を測定し、保存前と保存後の肉の重量か
ら、次の式から、ドリップロスを算出した。 ドリップロス(%)=(保存前重量−保存後重量)/保
存前重量×100
【0031】(総脂質含量)本組成物を給与して飼育し
た家禽(特に、ブロイラー)の食肉から抽出される脂肪
画分の当該食肉に対する重量比率(%)(総脂質含量)
について、以下の特徴を有する。すなわち、ムネ肉につ
いては、1.2wt%以下であり、好ましくは、1.1
wt%以下である。また、モモ肉については、3.0w
t%以下であり、好ましくは2.8wt%以下である。
なお、総脂質含量は、皮及び皮下脂を除去した食肉を用
い、これらをミンチ処理した後、秤量し、クロロホルム
−メタノール混液抽出法により総脂質を加熱抽出し、得
られた脂肪画分から溶媒を除去し、それを秤量すること
で総脂質含量とした。
【0032】(リノール酸に対するオレイン酸の割合)
本組成物を給与して飼育した家禽(特に、ブロイラー)
の食肉から抽出される脂肪画分の脂肪酸組成における、
リノール酸に対するオレイン酸の割合について、以下の
特徴を有する。すなわち、ムネ肉については、3.0以
上であり、好ましくは、3.3以上、より好ましくは、
3.6以上である。また、モモ肉については、3.0以
上であり、好ましくは、3.5以上であり、より好まし
くは3.8以上である。なお、当該割合は、以下の手順
にて算出した。上記総脂質含量にて得られた総脂質画分
をメチル化して脂肪酸を遊離させ、遊離脂肪酸画分をガ
スクロマトグラフィーに供した。脂肪画分中、代表的な
7種の脂肪酸(ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミト
レイン酸,ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リ
ノレン酸)を脂肪酸組成構成脂肪酸として選択し、これ
らの各脂肪酸の各ピーク面積の総和を分母として、目的
とする脂肪酸(オレイン酸、リノール酸)の各ピーク面
積を分子として、その百分率を各脂肪酸の含有割合とし
た。こうして得られたオレイン酸とリノール酸の含有割
合から、オレイン酸とリノール酸の比率を算出し、当該
割合とした。なお、直接、オレイン酸とリノール酸との
ピーク面積比から当該割合を求めることもできる。ガス
クロマトグラフィーの測定条件は、例えば、以下の通り
とする。 カラム:J&W Scientific DB−23(6
0m−0.254m、0.25μm) キャリアガス:He 昇温プログラム:185℃−(2℃/min)−225
℃−(5℃/min)−240℃(12min)
【0033】
【実施例】以下、本組成物を用いて行ったブロイラーの
飼育実験、および得られた食肉についての評価結果につ
いて具体的に説明する。
【0034】本実施例では、本発明に係る飼料組成物と
して、表1に示す配合に基づく試験例1〜5の各組成物
を使用した。また、対照群として、表2に示す配合に基
づく対照例1〜3の各組成物を使用した。なお、表1お
よび2において、飼料用油脂A,Bのうち、Bは、リノ
ール酸含有量が10wt%以下で、融点が33℃以上の
油脂であり、Aは、リノール酸含有量が10wt%超、
融点が33℃未満の油脂であった。また、いずれの飼料
組成物においても、タンニン含有量は0.3wt%以下
であった。
【表1】
【表2】
【0035】肥育試験は、これらの試験例1〜5及び対
照例1〜3の組成物を、図1に示す飼料給与体系にした
がって給与した。すなわち、試験区1では、試験例1の
組成物を前期飼料として、0日令から14日令まで給与
し、試験例3の組成物を後期飼料として15日令から5
2日令まで給与した。試験区2では、試験例1の組成物
を前記飼料として0日令から14日令まで給与し、試験
例4の組成物を15日令から52日令まで給与した。試
験区3では、試験例2の組成物を前記飼料として0日令
から14日令まで給与し、試験例5の組成物を15日令
から52日令まで給与した。対照区1では、対照例1の
組成物を前記飼料として0日令から21日令まで給与
し、対照例2の組成物を後期飼料として、22日令から
52日令まで給与した。対照区2では、対照例1の組成
物を前記飼料として0日令から21日令まで給与し、対
照例3の組成物を後期飼料として、22日令から52日
令まで給与した。なお、いずれの飼料区においても、前
期飼料には、ラサロシドナトリウム、エンラマイシン、
及び硫酸コリスチンが配合されてそれぞれ有効量が連日
投与され、後期飼料には、サリノマイシンナトリウム、
エンラマイシン、及び硫酸コリスチンが配合されてそれ
ぞれ有効量が連日投与され、43日令から52日令まで
は、これらの投与が休止された。
【0036】(試験羽数)各飼料区について、チャンキ
ー種のオスを100羽、メスを100羽を用い、5区で
合計1000羽を用いた。 (飼育条件)飼育条件は、ウインドレス(陰圧換気)の
鶏舎にて、飼育密度45羽/坪であった。 (飼育期間)0日令から52日令であり、52日令時
に、鶏を処理場に出荷し、通常の方法にて屠殺、解体を
行い、各区につき、モモ肉100枚、ムネ肉100枚を
採取し、評価に用いた。
【0037】1)肥育試験成績 出荷時の平均体重、育成率、飼料摂取量、飼料要求率、
日増体を算出した。この結果を、表3に示す。
【0038】
【表3】 表3に示すように、試験区1、2、及び3と、対照区1
及び2との間にはほとんど差が見られず、試験区におい
ても対照区と同様の肥育成績が得られていた。
【0039】2)肉質の評価 官能検査 官能検査に熟練したパネラー10名による2反復(計n
=20)にて、生肉の色、柔らかさ、ジューシーさ、に
おい、味、好ましさについて2点嗜好試験法(pair
ed preference test)を用いて行っ
た。評価は、対照区1/対照区2、対照区1/試験区
1、対照区1/試験区3、試験区1/試験区2、試験区
1/試験区3、対照区1/試験区2という6とおりの組
み合わせで行った。
【0040】試験方法は、肉色については、生肉(モモ
肉及びムネ肉)を用い、その他の評価項目については、
ムネ肉及びモモ肉(但し、下モモは除く)をそれぞれ2
cm角に裁断し、沸騰水中にて加熱したものを試食し
た。調味料は調理時及び試食時とも一切使用しなかっ
た。上記組み合わせについての試験結果を表4〜表9に
示す。
【0041】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【0042】表4に示すように、従来の飼料組成物であ
る対照例1の組成物と従来の飼料組成物にセレン・ビタ
ミンEを添加した対照例2の組成物とでは、いずれの評
価項目についても同程度の評価であり、有意差はなかっ
た。これに対して、表5に示すように、対照区1と試験
区1とを対比すると、いずれの評価項目についても、試
験区1が明らかに有意に優れていた。また、表6に示す
ように、試験区1とではリノール酸含有レベルの異なる
試験区3と対照区1とを対比しても、表5の結果同様、
試験区3が有意に優れていた。つづいて、表7に示すよ
うに、試験区1と試験区2とを対比すると、試験区2
(セレン・ビタミンE添加群)が、色、柔らかさ、ジュ
ーシーさ、好ましさについて、有意に優れていた。さら
に、表8に示すように、各々でリノール酸含有レベルの
異なる試験区1と試験区3との比較では、いずれの評価
項目についても若干リノール酸含有量の低い試験区3で
好ましい傾向が見られたもの有意な差ではなかった。最
後に、表9に示すように、対照区1と試験区2とを対比
すると、いずれの評価項目についても、試験区2は、著
しく有意に優れていた。
【0043】以上の結果から、対照区1に対して、試験
区1、試験区2及び試験区3の組成物は、いずれの評価
項目についても肉質の優れた鶏肉を得られ、特に、試験
例3の組成物を用いることにより、顕著に優れた肉質の
鶏肉を得られることがわかった。また、試験区1と試験
区2とは、対照区1に対して同程度に優れており、リノ
ール酸含有量が1.6wt%以下(必須脂肪酸としての
含有量1.0wt%以上を確保した上で)であれば、優
れた肉質の鶏肉が得られることがわかった。また、対照
区1と対照区2との対比で、大きく肉質に差が認められ
なかったのに対し、試験区1と試験区2との対比では、
肉質に有意な差が認められたことから、セレン及びビタ
ミンEの添加効果は、本発明の組成物において顕著に有
効であることがわかった。
【0044】肉色の色差計による測定 各区から、それぞれムネ肉(浅胸筋)、モモ肉(縫工
筋)、モモ皮下脂肪、モモ皮を採取して、色差計(東京
電色 TC−P III)を用いて、ハンターL値(明る
さ)、ハンターa値(赤色度)、およびハンターb値
(黄色度)を測定した。結果を表10に示す。
【表10】
【0045】表10に示すように、対照区と試験区とで
はすべての部位と項目で色の変化があった。試験区で
は、対照区に比較して、ハンターb値が大幅に減少し、
ハンターL値が上昇して、ハンターa値は減少した。ま
た、ハンターb値も減少した。すなわち、肉色から黄色
味が顕著に減少し、明るさが増したことから、肉色がよ
り好ましい明るいピンク色に近づいたことを意味する。
試験区1の飼料にセレンとビタミンEが添加された試験
区2では、ムネ肉及びモモ肉において試験区1よりもさ
らにこの傾向が観察された。また、対照区1に対して、
対照区2と試験区1とを対比すると、試験区1における
ハンターL値が、対照区よりも明らかに高く、また、試
験区1のハンターb値が対照区2よりも明らかに低く、
試験区1における配合組成が対照区2の配合組成より肉
色改善効果が高いことが明らかであった。
【0046】ムネ肉の破断応力 各区から採取したムネ肉について、破断応力を測定し
た。各区から採取されたムネ肉(皮なし)10枚の同一
部位を2cm3に裁断して、生肉試料(各区10個)と
した。また、各区から採取されたムネ肉(皮なし)10
枚の同一部位を幅3cmほどの短冊状にカットし、10
0℃の熱湯で5分間加熱し氷水中で5分間冷却後、2c
3にカットしたゆで肉を、加熱後試料(各区10個)
とした。これらの試料につき、皮側の面を上面として、
クリープメーター(山電製 RE−3305 Reone
r)を用いて、直径3mmの円筒形プランジャーを押し
当てて破断するまで加重した。測定条件は、測定速度1
mm/秒、測定歪率80%とした。なお、破断点におけ
る最大荷重から破断応力を算出した。破断点は、応力が
急激に低下した点とした。結果を表11に示す。
【0047】
【表11】
【0048】表11に示すように、対照区1及び2につ
いては、生肉試料及び加熱肉試料ともほとんど破断応力
に差はなかった。これに対して、試験区1、2及び3試
料については、生肉及び加熱肉のいずれも対照区に比べ
て低い破断応力を示し、特に試験区2は顕著に低い破断
応力を示した。試験区1と3とでは差はなかった。すな
わち、試験区1、3では、生肉で0.44106N/m2
以下、加熱肉で0.78×106N/m2以下であり、試
験区2では、生肉で0.41×106N/m2以下、加熱
肉で0.72×106N/m2以下であった。このことか
ら、本発明の組成物は、肉の柔らかさを向上させること
ができること、及び、セレン及びビタミンEの添加によ
りより効果的に肉の柔らかさを向上できることが明らか
となった。さらに、これらの結果は、官能検査の結果と
対応するものであった。
【0049】ドリップロス 各区から得た食肉(もも肉10枚、胸肉10枚)につ
き、それぞれ採取直後に、重量を測定した後、真空パッ
ク(シャープ製 真空包装機 SQ−202を使用)し、
7日間冷蔵庫(約4℃)にて保存した。7日間経過後、
開封して肉を取り出し、ドリップをふき取った後、肉の
重量を測定した。保存前と保存後の肉の重量差から、次
の式から、ドリップロスを算出した。結果を表12に示
す。ドリップロス(%)=(保存前重量−保存後重量)
/保存前重量×100
【0050】
【表12】
【0051】表12に示すように、対照区間において
は、ドリップロス量に大きな差はなかった。また、対照
区に比較すると試験区では、顕著にドリップロスが減少
していた。すなわち、試験区1、3では、ムネ肉で1.
6%以下、モモ肉で1.0%以下であり、試験区2で
は、ムネ肉で1.5%以下、モモ肉で0.7%以下であ
った。また、試験区間では、試験区2は試験区1に比し
て顕著にドリップロスが減少していた。このことは、飼
料組成物におけるリノール酸含有量の制御とセレン及び
ビタミンEの添加による相乗効果を示している。これら
の結果は、官能検査結果とも対応するものであった。
【0052】匂い 各区から採取した食肉から、ムネ肉、モモ肉を各10点
採取し、2cm角に裁断し、100℃の熱湯で5分間加
熱後、直ちにミンチ処理を行い、冷却後10mlのバイ
アルに各1gを充填した後、プライムテック社スマート
センシングシステム・センサーアレイシステム(Alp
ha MOS社 Fox400)のオートサンプラーに供
し、バイアル内で発生したヘッドスペースガスの各種セ
ンサーに対する抵抗値を測定した。結果を表13及び表
14に示す。なお、これらの表においては、絶対値が大
きいほど当該センサー値で検出される匂いが強いことを
示している。測定条件は以下の通りであった。 キャリアガス:乾燥空気、流量150ml/分 ヘッドスペースジェネレーション:60℃、10分間、
500rpm ヘッドスペースインジェクション:500μl/秒・1
秒間 データ取得パラメータ:120秒
【0053】
【表13】
【表14】
【0054】表13、14に示すように、ムネ肉、モモ
肉、ともに、多くの項目で対照区全般に対し、試験区全
般の数値(抵抗値の絶対値)が小さく、におい(臭い)
が弱いことを示す結果となった。また、試験区1と2と
の間では、セレンとビタミンEを添加した試験区2がよ
り良い値を示した。試験区1と試験区3とは、ほぼ同程
度の数値を示した。対照区間ではセレン・ビタミンEの
添加効果がないことが明らかであった。したがって、セ
レン及びビタミンEを含む本組成物は、特に匂いの軽
減、向上に効果的であることが明らかであった。この結
果は、官能検査の結果とも対応していた。
【0055】総脂質含量 各区より採取した食肉のうち、皮及び皮下脂を除去した
モモ肉及びムネ肉各10枚をミンチ処理して、クロロホ
ルム−メタノール混液抽出法(新・食品分析法日本食品
化学工学会 新・食品分析法編集委員会、光琳)により
総脂質を加熱抽出し、得られた脂肪画分から溶媒を除去
し、それを秤量することで総脂質含量とした。
【0056】
【表15】
【0057】表13に示すように、対照区間では、ムネ
肉及びモモ肉のいずれにおいてもほとんど差はなかった
が、対照区全般と試験区全般とを対比すると、試験区の
脂肪含量は顕著に減少していた。また、試験区間におい
ては、試験区2が試験区1に対してよりいっそう脂肪含
量が減少していた。試験区1と試験区3とでは差はなか
った。これらのことから、本組成物によれば、脂肪含量
の低い食肉が得られること、及びセレン及びビタミンE
の添加による相乗効果により、いっそう脂肪含量の低い
食肉が得られることがわかった。
【0058】脂肪酸組成及び上昇融点 (脂肪酸組成)で得られた脂肪画分をメチル化して脂
肪酸を遊離させ、遊離脂肪酸画分をさらにエーテルで洗
浄後、当該画分をガスクロマトグラフィーに供し、脂肪
画分中、代表的な7種の脂肪酸(ミリスチン酸、パルミ
チン酸、パルミトレイン酸,ステアリン酸、オレイン
酸、リノール酸、リノレン酸)を脂肪酸組成構成脂肪酸
として選択し、これらの各脂肪酸の各ピーク面積の総和
を分母として、目的とする脂肪酸(オレイン酸、リノー
ル酸)の各ピーク面積を分子として、その百分率を各脂
肪酸の含有割合とした。こうして得られたオレイン酸と
リノール酸の含有割合から、オレイン酸とリノール酸の
比率を算出し、当該割合とした。結果を表14及び表1
5に示す。ガスクロマトグラフィーの測定条件は以下の
通りであった。 カラム:J&W Scientific DB−23(6
0m−0.254m、0.25μm) キャリアガス:He 昇温プログラム:185℃−(2℃/min)−225
℃−(5℃/min)−240℃(12min)
【0059】(上昇融点)試験は、社団法人日本油化学
会制定 基準油脂分析試験法(I)の融点(上昇融点)
に基づいて行った。各区より採取した食肉を加熱(電子
レンジにて)して、脂肪を融解採取し、さらに乾燥ろ紙
で濾過して試験用試料とした。完全に融解した試験用試
料を毛細管(内径1mm、外径2mm)に充填し、速や
かに固化させた。その後、上記試験方法に基づいて操作
し、毛細管内の脂肪が融解して上昇した時点での温度を
測定し、上昇融点とした。結果を、表16及び表17に
示す。
【0060】
【表16】
【表17】
【0061】表16及び表17に示すように、試験区全
般において、対照区全般に対してオレイン酸が増加し、
リノール酸が減少していた。また対照区間では、特にリ
ノール酸の減少程度に差はないのに対し、試験区間で
は、試験区1、2より試験区3においてリノール酸減少
程度が大きく、本組成物におけるリノール酸含量が効果
的にリノール酸の減少に作用していることが明らかとな
った。またリノール酸に対するオレイン酸の比率は、対
照区ではいずれも3.0未満であるのに対し、試験区で
は、3.0以上であり、試験区1、2では、3.5以
上、試験区3では、3.9以上であった。また、上昇融
点についても、試験区全般が対照区全般よりも高い温度
を示し、脂肪部位のしまりが向上したことが明らかであ
った。特に、試験区3では、試験区1,2よりも高い温
度を示し、より脂肪部位のしまりのよい鶏肉の生産が可
能であることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における飼料組成物の給与スケジュール
を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A23L 1/315 A23L 1/315

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リノール酸含有量が1.6wt%以下であ
    る、家禽用飼料組成物。
  2. 【請求項2】家禽用飼料組成物であって、 この飼料組成物の全体に対して、ソルガム系作物の子実
    原料を10wt%以上80wt%以下含有し、 トウモロコシ系作物の子実原料を実質的に含有しない、
    家禽用飼料組成物。
  3. 【請求項3】家禽用飼料組成物であって、 肥育前期飼料組成物においては、粗脂肪含有量が6.5
    wt%以下である、及び、肥育後期用飼料組成物におい
    ては、粗脂肪含有量が7.5wt%以下である、のいず
    れかである家禽用飼料組成物。
  4. 【請求項4】以下の特徴; (1)リノール酸含有量が飼料組成物の全体に対して
    1.6wt%以下である; (2)ソルガム系作物の子実原料を飼料組成物の全体に
    対して10wt%以上80wt%以下含有し、トウモロ
    コシ系作物の子実原料を実質的に含有しない; (3) 肥育前期飼料組成物においては、粗脂肪含有量
    が6.5wt%以下である、及び、肥育後期用飼料組成
    物においては、粗脂肪含有量が7.5wt%以下であ
    る、のいずれかである、のうち、少なくとも1つの特徴
    を有する、家禽用飼料組成物で家禽を飼育して食用家禽
    肉を得る、食用家禽肉の製造方法。
  5. 【請求項5】以下の特徴; (a)ムネ肉が、色差計によって測定されるハンターL
    値が46以上50以下、ハンターb値が8以上12以下
    の肉色を有する、および/または、モモ肉が、ハンター
    L値が42以上45以下、ハンターb値が11以上17
    以下の肉色を有する (b)ムネ肉の破断応力が0.35〜0.50×106
    N/m2(生肉)、および/または、0.65〜0.8
    ×106N/m2(加熱肉)である (c)冷蔵保存中のドリップロスが2.0%以下(ムネ
    肉)、および/または、1.0%以下(モモ肉)である (d)総脂質含量が1.2wt%以下(ムネ肉)、およ
    び/または、3.0wt%以下(モモ肉)である (e)脂肪酸組成において、リノール酸に対するオレイ
    ン酸の割合が、3.0以上(ムネ肉および/またはモモ
    肉)であるのうち、少なくとも1つの特徴を有する、食
    用家禽肉
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