JP6673649B2 - 産卵家禽用飼料 - Google Patents
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Description
また、タラ肝油は、DHAやEPAに加えてビタミンAを豊富に含むため、鶏卵中のビタミンAを強化する目的でも用いられることが知られている(非特許文献2)。
また、卵の呈味としては、その甘い香り・旨味・コク等が重要であるが、特にDHAやEPAを強化した卵を加熱調理すると、卵の旨味や卵らしいコクのある味わいが劣る傾向があった。
本発明は、上記の如き実状に鑑みてなされたものであり、魚油を用いながらも、魚臭さが少なく、かつ卵の旨味やコクが強い家禽卵を生産することのできる産卵家禽用飼料及び家禽卵の生産方法を提供することに関する。
また、本発明は、前記産卵家禽用飼料を産卵家禽に給餌することを特徴とする家禽卵の生産方法を提供するものである。
なかでも、スケトウダラ油が好ましい。
タラ油は、頭、骨、肝臓等の魚体各部から得ることができる。また、タラ油は、精製工程を経た精製油であるのが好ましい。
これらのビタミンEは公知の化合物であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
飼料中のビタミンE濃度は、飼料分析基準収載分析法に従って、「高速液体クロマトグラフ法」により測定することができる。
また、ビタミンB1、ビタミンB2、葉酸、ビタミンB12、ビオチン、パントテン酸、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンK等のビタミンE以外のビタミン類が配合されてもよい。
タラ油:「ハイカロールE」兼松新東亜食品(株)製、DHA 5.5質量%*含有、EPA 9.3質量%*含有
(*ガスクロマトグラフ法にて測定)
ビタミンE(50):ZHEJIANG NHU COMPANY LTD.(CHINA)製、ビタミンE50質量%含有物
セレン酵母(1000):セレン1000ppm含有物
BHT(10):BHT10質量%含有物
〔飼育試験〕
供試鶏(ジュリアライト 220日令)を1区36羽として8区設け、ウィンドレス(窓なし)鶏舎において表1に示す飼料を用いて28日間不断給餌で飼育した。
試験区を次のように設定した。
(区分)
1区:タラ油3質量%
2区:タラ油3質量%+ビタミンE 60ppm
3区:タラ油3質量%+ビタミンE 100ppm
4区:タラ油3質量%+ビタミンE 200ppm
5区:タラ油3質量%+ビタミンE 300ppm
6区:タラ油3質量%+ビタミンE 400ppm
7区:タラ油3質量%+BHT 140ppm
8区:タラ油3質量%+セレン 0.3ppm
表2より、産卵成績は、ビタミンE添加濃度の高い区が改善される傾向にあるが、試験区間で大きな差はなかった。BHTとセレンの添加区も同様な結果であった。
飼育試験開始から27日目〜28日目の鶏卵を採卵して官能試験に供した。
次の生卵(卵黄部)と固茹で卵(卵黄部)につき、専門パネル12名(男性6名、女性6名)により、旨味の強さ・コクの強さ・魚臭の強さについて1区(対照区)の官能評価を0点とし、他の試験区について−2点、−1点、0点(同等)、1点、2点の5段階で相対評価を行った。12名の平均値を評点とした。評点は、旨味、コク又は魚臭さを強く感じる程高い。尚、「旨味」とは、先味の強さと嗜好性の良さをあわせた風味で、「コク」とは、後味の強さと嗜好性の良さをあわせた風味である。
また、同様に、卵の嗜好性の高さを総合評価として評価した。評点は、嗜好性が高い程高い。
結果を表3と表4に示す。
(生卵)
エッグセパレーターで卵白と卵黄を分離し、卵黄3個分をプールした卵液を少量スプーンに取って官能に供した。
(固茹で卵)
卵が浸るぐらいの水を入れた鍋を強火にかけ、沸騰後、弱火10分で水に上げ、流水にて冷却したものを殻ごと半分に切り、卵黄部を官能に供した。
表3より、卵のコクに対する官能評価は、タラ油を単独で添加した1区に比べ、ビタミンE100〜400ppm添加の3〜6区で高く、なかでもビタミンE200〜300ppm添加の4区又は5区が最も高い評価であった。
魚臭さに対する官能評価は、ビタミンE100〜400ppm添加の3〜6区で軽減される結果であった。
総合評価は、3〜6区で高く、ビタミンE300ppm添加の5区が最も高かった。
表4より、卵のコクに対する官能評価は、生卵黄と同様に1区に比べ、ビタミンE100〜400ppm添加の3〜6区で高い評価であった。
魚臭さに対する評価は、ビタミンE100〜400ppm添加の3〜6区で軽減される結果であった。また、セレン添加区でも若干の改善が見られた。
総合評価は、3〜6区で高く、ビタミンE300ppm添加の5区が最も高かった。
〔飼育試験〕
試験区を次のように設定した以外は、試験例1と同様に行った。飼料の組成を表5に示す。
(区分)
1区:タラ油1質量%+ビタミンE 150ppm
2区:タラ油2質量%+ビタミンE 150ppm
3区:タラ油3質量%+ビタミンE 150ppm
4区:タラ油4質量%+ビタミンE 150ppm
5区:タラ油5質量%+ビタミンE 150ppm
表6より、タラ油5質量%配合の5区は、1〜4区に比べ、産卵率が約2〜3%低かった。生存率も低下する結果であった。生産性へ影響を考慮してタラ油の配合量は4質量%以下が好適と考えられた。
先に示した試験例1と同じ方法で実施した。1区の官能評価を0点とし、他の試験区について評点を決定した。結果を表7及び表8に示す。
表7より、卵の旨味とコクに対する官能評価は、タラ油の量が増えるに従い高い評価であった。
魚臭さは、タラ油5質量%配合で強くなる傾向であった。
総合評価は、2〜4区が高かった。
表8より、卵の旨味とコクに対する官能評価は、生卵黄と同様にタラ油の量が増えるに従い高い評価であった。
魚臭さは、生卵黄に比べてより臭みが強くなる傾向であり、特にタラ油5質量%配合で強くなる傾向であった。
総合評価は、2〜4区が高かった。
〔飼育試験〕
試験区を次のように設定した以外は、試験例1と同様に行った。飼料の組成を表9に示す。
(区分)
1区:タラ油3質量%
2区:タラ油3質量%+ビタミンE 150ppm
3区:マグロ油3質量%+ビタミンE 150ppm
表10より、生産成績は試験区間に大きな差はなかった。
先に示した試験例1と同じ方法で実施した。1区の官能評価を0点とし、他の試験区について評点を決定した。結果を表11及び表12に示す。
表11より、卵の旨味とコクは、タラ油配合の1区及び2区でマグロ油配合の3区よりも高い結果であった。
魚臭さは、タラ油にビタミンE150ppmを添加した2区が最も弱かった。次いでタラ油単独添加の1区が低く、マグロ油配合の3区は1区よりも臭みの強い結果であった。
総合評価は、2区が高い結果であった。
表12より、卵の旨味とコクは、タラ油配合の1区及び2区でマグロ油配合の3区より高い結果であった。
魚臭さは、タラ油にビタミンE150ppmを添加した2区が最も弱かった。次いでタラ油単独添加の1区が低く、マグロ油配合の3区は最も臭みの強い結果であった。それらの差は生卵黄より大きい傾向であった。
総合評価は、2区が高い結果であった。
これらの結果より、タラ油を給餌することで、旨味・コクのある嗜好性の高い卵を生産でき、さらにタラ油にビタミンEを組み合わせることで、魚臭さがなく、より卵のコクが増大した卵を生産できることが確認された。
Claims (3)
- 1〜5質量%のタラ油と100〜400ppmのビタミンEを含有することを特徴とする産卵家禽用飼料。
- 産卵鶏用飼料である請求項1記載の産卵家禽用飼料。
- 1〜5質量%のタラ油と100〜400ppmのビタミンEを含有する産卵家禽用飼料を産卵家禽に給餌することを含む、家禽卵の生産方法。
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