JP2002231305A - 電池用電解液および非水電解液電池 - Google Patents

電池用電解液および非水電解液電池

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JP2002231305A
JP2002231305A JP2001021944A JP2001021944A JP2002231305A JP 2002231305 A JP2002231305 A JP 2002231305A JP 2001021944 A JP2001021944 A JP 2001021944A JP 2001021944 A JP2001021944 A JP 2001021944A JP 2002231305 A JP2002231305 A JP 2002231305A
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electrolyte
lithium
nitrogen
electron
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Katsuhiko Naoi
勝彦 直井
Masakazu Umehara
将一 梅原
Jun Hasegawa
順 長谷川
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Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全性および信頼性に優れた電池特性を達成
できる電池用電解液および電池用電解液を用いた非水電
解液電池を提供すること。 【解決手段】 本発明は、リチウムイオンの吸蔵および
放出が可能な正極ならびに負極を用いた非水電解液二次
電池用の有機溶媒に支持塩を溶解させてなる電池用電解
液であって、電解液が、電子吸引基を有する窒素含有環
状化合物を含有することを特徴とする。また、この電池
用電解液を有する非水電解液電池である。本発明は、負
極表面でのリチウムデンドライトの生成を抑制すること
ができ、サイクル寿命が長寿命化されるとともに安全性
が向上している電池を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池の電解液に用
いることができる電池用電解液および電池用電解液を有
する非水電解液電池に関する。
【0002】
【従来の技術】エネルギー問題及び環境問題を背景に、
電力をより有効に活用する技術が求められている。その
ためには、多量の電気を蓄え、かつ効率的にその蓄えた
電気を取り出すことができる電気貯蔵手段が必要であ
る。こうした電気の貯蔵手段としては、大きな放電容量
と高い放電電圧をもち、かつ繰り返し充放電を行うこと
ができる二次電池が最適である。
【0003】このような二次電池として、充電時にはリ
チウムイオンが正極から放出されて負極に吸蔵される充
電反応が生じ、放電時には負極から放出されて正極に吸
蔵される放電反応が生じるリチウム二次電池がある。リ
チウム二次電池では、そのエネルギー密度および出力密
度がいずれも高いため、大きな放電容量と高い放電電圧
とが得られる。そのなかでも、負極に炭素材料もしくは
リチウム含有金属を使用したリチウムイオン二次電池
は、高エネルギー密度化が期待され、活発に研究が行わ
れている。
【0004】しかしながら、炭素材料を負極に用いる二
次電池では、過充電時に負極表面にデンドライト状のリ
チウムが発生し、リチウム含有金属を負極に用いる二次
電池では、充電の際の負極表面にデンドライト状のリチ
ウムが発生するという問題があった。
【0005】このデンドライト状のリチウムは表面積が
非常に大きく、電解液とリチウムとの副反応が生起しや
すいので、その副反応によりリチウムが消費されたり、
電池が高温にさらされた場合などの異常時にデンドライ
ト状のリチウムと電解液とが爆発的に反応する場合があ
る。また、デンドライト状のリチウムが負極表面から遊
離することによりサイクル特性が悪化する。
【0006】詳しくは、負極にリチウム金属、あるい
は、リチウム合金が用いられた場合、電解質中の微量不
純物や電解液成分とリチウム金属が反応して、リチウム
負極表面に不均一な被膜が形成される。この被膜によ
り、電流集中が起こり易いために、マイクロショートが
発生したり、デンドライト状のリチウムが生成してい
た。また、これらが要因となり、リチウムが消費されて
しまうために、リチウム充放電効率が低下してしまう上
に電解液との反応面積が飛躍的に大きくなることで、外
部短絡や内部短絡あるいは外部からの加熱により高温に
さらされた場合、反応が一気に進んで熱暴走状態に陥る
場合があった。
【0007】一方、炭素材料あるいは黒鉛材料が負極に
用いられた場合、過充電時に負極表面に金属リチウムが
析出し、上記現象と同様にしてデンドライト状のリチウ
ムが発生し、電池内のリチウムを消費して容量が回復し
なくなったり、高温にさらされた場合には熱暴走する危
険があった。
【0008】このため、安全性と信頼性とに優れたリチ
ウム二次電池の開発が望まれている。リチウム二次電池
において、近年、デンドライト状リチウムの生成を抑制
することでサイクル特性等を向上させることを目的とし
て、電解液中に種々の物質を添加する試みが行われてい
る。
【0009】たとえば、特開平6−349523号公報
には、ベンゾトリアゾールもしくはその誘導体を電解液
中に添加することで、サイクル特性の向上を図った電池
が開示されている。トリアゾール類を添加することによ
り、充電電流密度依存性が小さくなることが明らかとな
っている。
【0010】しかしながら、特開平6−349523号
公報に示されたベンゾトリアゾール類は、耐還元性が十
分ではないためデンドライト状リチウムの発生を充分に
抑制できないという問題を有していた。すなわち、ベン
ゾトリアゾールの耐還元性の低さは、ベンゾトリアゾー
ルを添加した電解液を用いてニッケル基板上にリチウム
の析出をさせようとしても、ベンゾトリアゾールが還元
されリチウムが析出しないことからもわかる。詳しく
は、トリアゾール類は耐還元性が十分ではなく、負極へ
の吸着により還元されて分解消費されるためである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実状に鑑
みてなされたものであり、安全性および信頼性に優れた
電池特性を達成できる電池用電解液および電池用電解液
を用いた非水電解液電池を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明者等は電池用電解液について検討を重ねた結
果、電子吸引基を有する窒素含有環状化合物を有する電
解液およびこの電解液を有する電池とすることで上記課
題を解決できることを見出した。
【0013】(電池用電解液)本発明の電池用電解液
は、リチウムイオンの吸蔵および放出が可能な正極なら
びに負極を用いた非水電解液二次電池用の有機溶媒に支
持塩を溶解させてなる電池用電解液であって、電解液
が、電子吸引基を有する窒素含有環状化合物を含有する
ことを特徴とする。
【0014】本発明の電池用電解液は、非水電解液電池
を形成したときに負極表面でのリチウムデンドライトの
生成を抑制することができ、サイクル寿命が長寿命化さ
れるとともに安全性が向上している電池を得ることがで
きる。
【0015】すなわち、本発明の電池用電解液は、耐還
元性に優れた電子吸引性基を有する窒素含有環状化合物
を電池用電解液に含有させることで、負極表面に安定な
被膜を形成し、負極上の電流集中や副反応を抑制するた
めに、デンドライトを抑制してサイクル寿命を長くする
と同時に電解液との反応面積を低減して安全性が向上す
る。
【0016】電子吸引基を有する窒素含有環状化合物
は、電子吸引基が導入されたトリアゾールおよびトリア
ゾール誘導体であることが好ましい。すなわち、本発明
の電池用電解液は、ベンゼン上に電子吸引基が導入され
たトリアゾールおよびトリアゾール誘導体を添加剤とし
て含有することで、非水電解液電池を形成したときにデ
ンドライトの生成が長期間にわたって抑制される。この
ことは、電子吸引基が導入されることで、トリアゾール
およびトリアゾール誘導体の耐還元性が上昇したためで
ある。
【0017】トリアゾールおよびトリアゾール誘導体
は、非水電解液電池の負極との親和性に優れているた
め、負極表面に安定な被膜を形成しやすくなっている。
さらに、トリアゾールおよびトリアゾール誘導体のベン
ゼン環に電子吸引性基を導入することで、デンドライト
の生成を抑制する効果を持続させることができる。詳し
くは、トリアゾール類は耐還元性が十分ではなく、負極
へ吸着されて還元され分解消費されるという問題があ
り、この反応性はトリアゾールとリチウムの相互作用の
強さに依存していた。このため、電子吸引性の基を導入
することでリチウムとの間に適度な相互作用を生じさせ
る。この結果、デンドライトの生成が長期間にわたって
抑制される。
【0018】電子吸引基を有する窒素含有環状化合物
は、ベンゼン上にフルオロアルキル基が導入されたおよ
び/またはベンゼンを置換したナフタレンを有するトリ
アゾールおよびトリアゾール誘導体であることが好まし
い。トリアゾールおよびトリアゾール誘導体に導入され
たこれらの電子吸引基は、電子吸引性が高く、かつリチ
ウムとの反応性が低いため、トリアゾールおよびトリア
ゾール誘導体のデンドライト生成の抑制の効果を持続さ
せることができる。また、これらの電子吸引基は、電解
液に含有した支持塩がルイス酸の場合においても、支持
塩と反応を生じないため用いられる。すなわち、電子吸
引基がCl系などのときには、ルイス酸の支持塩と反応
を生じるようになるためである。このフルオロアルキル
基とは、C x2x+1で表される官能基であり、たとえ
ば、F,CF3をあげることができる。
【0019】電子吸引基を有する窒素含有環状化合物
は、窒素含有環状化合物の一位の水素をLiと置換した
リチウム塩であることが好ましい。窒素含有化合物の一
位の水素をリチウムと置換することで、耐還元性が向上
する。すなわち、トリアゾール類は、環状構造中の窒素
がリチウムとの相互作用によりリチウム表面に吸着する
と考えられる。したがって、窒素の位置、すなわち、一
位の水素がリチウムによる還元の影響を受けて還元分解
するものと考えられるので、一位の水素をリチウムと置
換することで、耐還元性が向上する。
【0020】トリアゾールおよびトリアゾール誘導体
は、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1,2,4−ト
リアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、
ピラゾール、イミダゾール、チオカルバミン酸誘導体か
ら選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。すな
わち、これらの化合物は、高いデンドライト生成の抑制
効果を有するためである。ここで、チオカルバミン酸誘
導体としては、たとえば、化1および化2に示されたジ
チオホスフィン酸エステル基が導入されたトリアゾール
誘導体、アニリンチオケトン基が導入されたトリアゾー
ル誘導体をあげることができる。
【0021】
【化1】
【0022】
【化2】
【0023】電池用電解液は、電子吸引基を有する窒素
含有環状化合物が5〜100mmol/dm3で添加さ
れていることが好ましい。電子吸引基を有する窒素含有
環状化合物が5〜100mmol/dm3で添加される
ことで、本発明の電池用電解液はデンドライト状リチウ
ムの発生を抑制できる。すなわち、5mmol/dm 3
未満となると、添加の効果が減少し、100mmol/
dm3超えると電池用電解液中で電子吸引基を有する窒
素含有環状化合物が多量に晶出する(もしくは溶解しな
い)のみで、添加の向上が見られなくなる。なお、この
電子吸引基を有する窒素含有環状化合物の晶出が少量で
あれば、電解液内で窒素含有環状化合物のリチウム塩が
消費されて濃度が低くなった場合に、電解液中へ補充的
に溶解できるので、電解液中の窒素含有環状化合物のリ
チウム塩濃度を一定以上に保つ働きがある。
【0024】このため、電子吸引基を有する窒素含有環
状化合物は、10〜50mmol/dm3で添加される
ことがより好ましい。
【0025】負極は、リチウム金属あるいはリチウム合
金よりなることが好ましい。負極がリチウム金属あるい
はリチウム合金よりなることで、デンドライト状リチウ
ムの発生を抑制できる。
【0026】したがって、本発明の電池用電解液によれ
ば、安全性と信頼性とに優れた電池特性を達成できる電
池を得ることができる。
【0027】(非水電解液電池)本発明の非水電解液電
池は、リチウムイオンの吸蔵および放出が可能な正極な
らびに負極と、正極および負極の間に介在し有機溶媒に
支持塩を溶解させてなる電池用電解液と、を有する非水
電解液電池であって、電解液が、電子吸引基を有する窒
素含有環状化合物を含有することを特徴とする。
【0028】本発明の非水電解液電池は、負極表面での
リチウムデンドライトの生成が抑制されることから、サ
イクル寿命が長寿命化されるとともに安全性が向上して
いる。
【0029】本発明の非水電解液電池は、電池用電解液
が電子吸引基を有する窒素含有環状化合物を含有してい
るため、負極表面に安定な被膜が形成され、負極上の電
流集中や副反応を抑制するために、デンドライトを抑制
してサイクル寿命を長くすると同時に電解液との反応面
積を低減して安全性が向上する。
【0030】電子吸引基を有する窒素含有環状化合物
は、ベンゼン上に電子吸引基が導入されたトリアゾール
およびトリアゾール誘導体であることが好ましい。すな
わち、本発明の非水電解液電池は、ベンゼン上に電子吸
引基が導入されたトリアゾールおよびトリアゾール誘導
体を添加剤として含有することで、デンドライトの生成
が長期間にわたって抑制される。
【0031】トリアゾールおよびトリアゾール誘導体
は、非水電解液電池の負極との親和性に優れているた
め、負極表面に安定な被膜を形成しやすくなっている。
さらに、トリアゾールおよびトリアゾール誘導体のベン
ゼン環に電子吸引性基を導入することで、デンドライト
の生成を抑制する効果を持続させる。詳しくは、トリア
ゾール類は耐還元性が十分ではなく、負極への吸着によ
り還元されて分解消費するという問題があった。この反
応性はトリアゾールとリチウムの相互作用の強さに依存
しており、電子吸引性の基を導入することでリチウムと
の間に適度な相互作用を生じさせる。この結果、デンド
ライトの生成が長期間にわたって抑制される。
【0032】電子吸引基を有する窒素含有環状化合物
は、ベンゼン上にフルオロアルキル基が導入されたおよ
び/またはベンゼンを置換したナフタレンを有するトリ
アゾールおよびトリアゾール誘導体であることが好まし
い。トリアゾールおよびトリアゾール誘導体に導入され
たこれらの電子吸引基は、電子吸引性が高く、かつリチ
ウムとの反応性が低いため、トリアゾールおよびトリア
ゾール誘導体のデンドライト生成の抑制の効果を持続さ
せることができる。また、これらの電子吸引基は、電解
液に含有した支持塩がルイス酸の場合においても、支持
塩と反応を生じないため用いられる。すなわち、電子吸
引基がCl系などのときには、ルイス酸の支持塩と反応
を生じるようになるためである。このフルオロアルキル
基とは、C x2x+1で表される官能基であり、たとえ
ば、F,CF3をあげることができる。
【0033】電子吸引基を有する窒素含有環状化合物
は、窒素含有環状化合物の一位の水素をLiと置換した
リチウム塩であることが好ましい。窒素含有化合物の一
位の水素をリチウムと置換することで、耐還元性が向上
する。すなわち、トリアゾール類は、環状構造中の窒素
がリチウムとの相互作用によりリチウム表面に吸着する
と考えられる。したがって、窒素の位置、すなわち、一
位の水素がリチウムによる還元の影響を受けて還元分解
するものと考えられるので、一位の水素をリチウムと置
換することで、耐還元性が向上する。
【0034】トリアゾールおよびトリアゾール誘導体
は、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1,2,4−ト
リアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、
ピラゾール、イミダゾール、チオカルバミン酸誘導体か
ら選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。すな
わち、これらの化合物は、高いデンドライト生成の抑制
効果を有するためである。
【0035】電池用電解液は、電子吸引基を有する窒素
含有環状化合物が5〜100mmol/dm3で添加さ
れていることが好ましい。電子吸引基を有する窒素含有
環状化合物のリチウム塩が5〜100mmol/dm3
で添加されることで、本発明の電池用電解液はデンドラ
イト状リチウムの発生を抑制できる。すなわち、5mm
ol/dm3未満となると、添加の効果が減少し、10
0mmol/dm3超えると電池用電解液中で電子吸引
基を有する窒素含有環状化合物が多量に晶出する(もし
くは溶解しない)のみで、添加の向上が見られなくな
る。なお、この電子吸引基を有する窒素含有環状化合物
の晶出が少量であれば、電解液内で窒素含有環状化合物
のリチウム塩が消費されて濃度が低くなった場合に、電
解液中へ補充的に溶解できるので、電解液中の窒素含有
環状化合物のリチウム塩濃度を一定以上に保つ働きがあ
る。
【0036】負極は、リチウム金属あるいはリチウム合
金よりなることが好ましい。負極がリチウム金属あるい
はリチウム合金よりなることで、デンドライト状リチウ
ムの発生を抑制できる。
【0037】したがって、本発明の非水電解液電池は、
使用される非水電解液が負極の表面に耐還元性に優れた
安定な被膜を形成するので、安全性と信頼性とに優れた
電池性能を達成できる。
【0038】したがって、本発明の非水電解液電池によ
れば、携帯用電子機器や自動車などを高機能で駆動させ
ることができるようになる上、長期にわたって繰り返し
使用できるようになるなど電池性能が極めて高いものと
なる。
【0039】
【発明の実施の形態】(電池用電解液)本発明の電池用
電解液は、用いられる電池の種類で特に限定されるもの
ではなく、公知の種類の電池に用いることができる。ま
た、その電池は一次電池であっても二次電池であっても
よい。
【0040】本実施形態の電池用電解液は、リチウムイ
オンの吸蔵および放出が可能な正極並びに負極とを用い
た非水電解液二次電池用の有機溶媒に支持塩を溶解させ
てなる電池用電解液であって、電解液が電子吸引基を有
する窒素含有環状化合物を含有する。
【0041】電子吸引基を有する窒素含有環状化合物
は、本実施形態の電池用電解液において、添加剤として
添加される。
【0042】電子吸引基を有する窒素含有環状化合物に
おける窒素含有環状化合物は、たとえば、トリアゾー
ル、アジリジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾー
ル、ピロリン、ピペリジン、インドール、カルバゾール
およびこれらの誘導体をあげることができる。これらの
なかでも、窒素含有環状化合物としては、トリアゾール
およびトリアゾール誘導体が好ましい。さらに具体的に
は、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1,2,4−ト
リアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、
ピラゾール、イミダゾール、チオカルバミン酸誘導体を
用いることがより好ましい。
【0043】また、電子吸引基を有する窒素含有環状化
合物における電子吸引基は、フルオロアルキル基または
置換されたナフタレンをあげることができる。
【0044】電子吸引基を有する窒素含有環状化合物の
リチウム塩は、それらの窒素含有環状化合物のイミド水
素をリチウムに置換した物質から選ばれる少なくとも1
種以上の化合物である。そして、電子吸引基を有する窒
素含有環状化合物のリチウム塩は、複数の化合物の混合
物であってもかまわない。
【0045】電子吸引基を有する窒素含有環状化合物を
電解液に添加する濃度は、5〜100mmol/dm3
であり、より好ましくは、10〜50mmol/dm3
である。添加量が5mmol/dm3未満となると本発
明の効果が低下する。また、100mmol/dm3
超えるとなると、添加剤が電池用電解液中で晶出した晶
出量が増加するのみで効果の向上が少なくなる。しかし
ながら、電解液内に晶出した結晶は、電解液内で窒素含
有環状化合物が消費されて濃度が低くなった場合に、電
解液中へ補充的に溶解できるので、電解液中の窒素含有
環状化合物の濃度を一定以上に保つ働きがあるため、電
解液中で晶出することを排除するものではない。すなわ
ち、電子吸引基を有する窒素含有環状化合物が負極表面
の活性点に吸着できるだけの添加量があれば、充分に本
発明の効果が得られる。
【0046】本発明の電池用電解液に添加剤として含有
される電子吸引基を有する窒素含有環状化合物の製造方
法および電子吸引基を有する窒素含有環状化合物のリチ
ウム塩の製造方法は、特に限定されるものではない。
【0047】具体的な製造方法としては、以下に示した
方法をあげることができる。なお、本発明の電池用電解
液に添加剤として含有される電子吸引基を有する窒素含
有環状化合物のリチウム塩の製造方法は、この方法に限
られるものではない。
【0048】まず、化3に示されたCF3を有するオル
トフェニレンジアミン誘導体(176g,1mol)、
氷酢酸(120g,115ml,2mol)、水(30
0ml)をビーカーに入れ、この混合物を温めて透明な
液体を得る。次に、このビーカーを氷浴にいれ5℃まで
冷やす。
【0049】
【化3】
【0050】液温が5℃に達したら、すぐにスターラー
で攪拌しながら冷えた亜硝酸ナトリウム水溶液(75
g,1.09mol,水120ml)を加える。色が変
わったらビーカーを氷浴から取り出し、中身を1時間放
置する。溶液が冷えると、オイルとして5−trifl
utrometyl−1,2,3−Benzotria
zoleが分離する。ビーカーを氷浴にいれ、固体状の
塊になるまで攪拌した。3時間冷やした後、固体をブフ
ナー漏斗にあつめ200mlの冷水で洗浄し、乾燥する
まで吸引する。45〜50℃で一晩乾燥させた。
【0051】これを200mlのクライゼンフラスコに
いれ減圧下で蒸留し白色の固体を得た。これを250m
lのベンセンにいれ結晶化するまで攪拌し、2時間冷や
したあと生成物をブフナー漏斗にとおした。以上の精製
を行い無色の5−triflutrometyl−1,
2,3−Benzotriazole(化4)を得た。
【0052】
【化4】
【0053】同様の方法により化5〜7に示された誘導
体を合成することが可能である。なお、これらの合成方
法も、本方法に限られるものではない。
【0054】
【化5】
【0055】
【化6】
【0056】
【化7】
【0057】つづいて、電子吸引基を有する窒素含有環
状化合物をリチウム塩とした。
【0058】例えば、テトラヒドロフランに1mol/
dm3で5−triflutrometyl−1,2,
3−Benzotriazoleを溶解し、これをテト
ラヒドロフラン浴中にゆっくりと滴下する。このテトラ
ヒドロフラン浴中に当量のリチウム金属を少量ずつ加
え、攪拌しながら穏やかに5−triflutrome
tyl−1,2,3−Benzotriazoleと作
用させると、黄白色の5−triflutromety
l−1,2,3−Benzotriazoleのリチウ
ム塩が沈澱する。
【0059】得られた沈澱物をろ過、乾燥後、メタノー
ルとアセトンの混合溶媒を用いて再結晶させて精製し
た。これを150℃で24時間真空乾燥して5−tri
flutrometyl−1,2,3−Benzotr
iazoleのリチウム塩を得た。
【0060】同様にしてその他のトリアゾール誘導体の
リチウム塩を合成することができる。
【0061】本発明の電池用電解液は、リチウムイオン
の吸蔵および放出が可能な正極ならびに負極を用いた非
水電解液電池であれば、用いられる電池の種類で特に限
定されるものではなく、公知の電池の電解液として用い
ることができる。
【0062】本発明の電池用電解液は、電子吸引基を有
する窒素含有環状化合物を添加剤として含有している以
外は、公知の電解液に用いられる材質により構成するこ
とができる。
【0063】本発明の電池用電解液は、非水電解液二次
電池用の有機溶媒に支持塩を溶解させてなる電池用電解
液であり、支持塩としては、公知の支持塩が用いられ
る。すなわち、支持塩として公知の支持塩を用いること
で、電池用電解液に電気伝導性を付与できる。
【0064】公知の支持塩としては、たとえば、LiP
6、LiBF4、LiClO4、LiCF3SO3などの
無機リチウム塩、あるいは、LiN(SO2x2x+1
(SO2y2y+1)で表される有機リチウム塩である。
ここで、xおよびyは1〜4の整数を表し、また、x+
yは3〜8である。具体的には、LiN(SO2
3)(SO225)、LiN(SO2CF3)(SO2
37)、LiN(SO2CF3)(SO249)、L
iN(SO225)(SO225)、LiN(SO 2
25)(SO237)、LiN(SO225)(S
249)等があげられる。なかでも、LiN(SO2
CF3 )(SO249)、LiN(SO22 5)(S
225)などを電解質に使用すると、電気特性に優
れるので好ましい。
【0065】また、有機リチウム塩は、4V以上の高電
位で、正極集電体であるアルミニウムを破壊する場合が
あるので、これを抑制するための添加剤として、LiP
6などを添加してもよい。
【0066】上記した支持塩は、その電解液中の濃度
が、0.1〜3.0mol/dm3、特に0.5〜2.
0mol/dm3となるように有機溶媒に溶解すること
が好ましい。電解液中の濃度が0.1mol/dm3
満となると充分な電流密度が得られないことがあり、
3.0mol/dm3を超えると電解液の粘度を増加さ
せ、電解液の導電性が低下するためである。
【0067】有機溶媒としては、通常の非水電解液電池
の電解液に用いられる有機溶媒であれば特に限定される
ものではない。
【0068】例えば、カーボネート化合物、ラクトン化
合物、エーテル化合物、スルホラン化合物、ジオキソラ
ン化合物、ケトン化合物、ニトリル化合物、ハロゲン化
炭化水素化合物等をあげることができる。
【0069】具体的には、ジメチルカーボネート、メチ
ルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレ
ンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレング
リコールジメチルカーボネート、プロピレングリコール
ジメチルカーボネート、エチレングリコールジエチルカ
ーボネート、ビニレンカーボネート等のカーボネート
類、γ−ブチルラクトン等のラクトン類、ジメトキシエ
タン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフ
ラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサンなどの
エーテル類、スルホラン、3−メチルスルホラン等のス
ルホラン類、1,3−ジオキソラン等のジオキソラン
類、4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、アセト
ニトリル、プロピオニトリル、バレロニトリル、ベンソ
ニトリル等のニトリル類、1,2−ジクロロエタン等の
ハロゲン化炭化水素類、その他のメチルフォルメート、
ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシド等の溶媒を挙げることができる。また、
これらの複数の混合物であっても良い。
【0070】これらの有機溶媒のうち、特に、カーボネ
ート類、エーテル類からなる群より選ばれた一種以上の
非水溶媒は、電解質の溶解性、誘電率及び粘度において
優れるとともに、リチウム充放電効率も高いので、有機
溶媒として用いることがより好ましい。
【0071】本発明の電池用電解液は、電子吸引基を有
する窒素含有環状化合物を電解液に含有していること
で、負極表面に安定な被膜を形成し、負極上の電流集中
や副反応を抑制するために、デンドライトを抑制してサ
イクル寿命を長くすると同時に電解液との反応面積を低
減して安全性が向上する。
【0072】(非水電解液電池)本発明の非水電解液二
次電池は、その形状には特に制限を受けず、シート型、
コイン型、円筒型、角型など、種々の形状の電池として
使用できる。
【0073】本実施形態では、とりあえず、図1に示し
たコイン型の非水電解液二次電池に基づいて説明を行
う。
【0074】本実施形態の非水電解液二次電池1は、ガ
スケット7を介して接合された正極ケース51と負極ケ
ース52とからなるケース5の内部にセパレータ6を介
して接合された正極2と負極3と空隙を満たす電解液4
とからなる。正極2と正極ケース51とについて、そし
て負極3と負極ケース52とについては、それぞれ電気
的に接合されている。
【0075】正極2については、リチウムイオンを充電
時には放出し、かつ放電時には吸蔵することができれ
ば、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知
の材料構成のものを用いることができる。特に、正極活
物質、導電材および結着材を混合して得られた合材21
が集電体22に塗布されてなるものを用いることが好ま
しい。
【0076】正極活物質には、その活物質の種類で特に
限定されるものではなく、公知の活物質を用いることが
できる。たとえば、TiS2、TiS3、MoS3、Fe
2、LiMnO2、LiMn24、LiCoO2、Li
NiO2、V25等の化合物をあげることができる。ま
た、これらの化合物の混合物を正極活物質として用いて
もよい。さらに、Li1+xMn2-x2、LiNi1-xCo
x2などのようにLiMn24、LiNiO2の遷移金
属元素の一部を少なくとも1種類以上の他の遷移金属元
素あるいはLiで置き換えたものを正極活物質としても
よい。
【0077】正極活物質としては、LiMn24、Li
CoO2、LiNiO2等のリチウムおよび遷移金属の複
合酸化物がより好ましい。すなわち、電子とリチウムイ
オンの拡散性能に優れるなど活物質としての性能に優れ
ているため、高い充放電効率と良好なサイクル特性とを
有する電池が得られる。さらに、正極活物質としては、
材料コストの低さから、LiMn24を用いることが好
ましい。
【0078】負極3については、リチウムイオンを充電
時には吸蔵し、かつ放電時には放出することができれ
ば、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知
の材料構成のものを用いることができる。特に、負極活
物質、導電材および結着剤を混合して得られた合材31
が集電体32に塗布されてなるものを用いることが好ま
しい。
【0079】負極活物質としては、特に限定されるもの
ではなく、公知の活物質を用いることができる。たとえ
ば、結晶性の高い天然黒鉛や人造黒鉛などの炭素材料、
金属リチウムやリチウム合金などのリチウム系金属をあ
げることができる。このため、炭素材料を負極活物質に
用いれば、高い充放電効率と良好なサイクル特性とが得
られる。さらには、負極3としてリチウム系金属を使用
することが電池容量の観点から、より好ましい。
【0080】電解液4には、本発明の電池用電解液と同
じ形態の電解液を使用することができる。
【0081】正極ケース51、および負極ケース52
は、特に限定されるものではなく、公知の材料、形態で
作成することができる。
【0082】セパレータ6は、正極2および負極3を電
気的に絶縁し、電解液4を保持する役割を果たすもので
ある。たとえば、ポリエチレン等の微多孔質膜を用いれ
ばよい。なおセパレータ6は、正極2と負極3との絶縁
を担保するため、正極2および負極3よりもさらに大き
いものとするのが好ましい。
【0083】ガスケット7は、ケース5の正極ケース5
1と負極ケース52との間の電気的な絶縁と、ケース5
内の密閉性とを担保するものである。たとえば、ポリプ
ロピレン等の電解液4にたいして、化学的、電気的に安
定な高分子等から構成できる。
【0084】上記構成からなる本発明の非水電池の製造
方法について説明する。
【0085】図1に示すコイン型電池の作製方法の例を
以下に述べる。正極2としては、正極活物質としてのL
iMn24と導電材としてのグラファイトと結着材とし
てのポリフッ化ビニリデンとを混合して、正極材料とす
る。この正極材料を分散材としてのN−メチル−2−ピ
ロリドンに分散させ、スラリー状とする。このスラリー
をアルミニウム製の正極集電体に塗布し、乾燥後、プレ
ス成型して、正極2とする。
【0086】負極3は、厚さ100μmのリチウム箔を
円形に打ち抜くことで作製することができる。あるい
は、負極3は、負極活物質としての黒鉛材料と、結着剤
としてのポリフッ化ビニリデンとを混合して、負極材料
とする。この負極材料を分散剤としてのNーメチル−2
−ピロリドンに分散させ、スラリー状とする。このスラ
リーを銅製の負極集電体に塗布し、乾燥後、プレス成型
して、負極3とすることができる。
【0087】この正極2と負極3とをポリエチレン製の
セパレータ6を介し、ケース5内に内設し、前述の電池
用電解液を満たした後、ケース5を圧接・接合して、コ
イン型電池を作製することができる。
【0088】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を説明する。な
お、本発明は、以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0089】(実施例1)有機溶媒としてのエチレンカ
ーボネートとジメトキシエタンの等体積混合溶媒に、支
持塩としてLiPF6を電解液中での濃度が1mol/
dm3となるように、さらに電子吸引基を有する窒素含
有環状化合物のリチウム塩として5−triflutr
omethyl−1,2,3−Benzotriazo
leのリチウム塩を電解液中での濃度が10mmol/
dm3となるように溶解させたものを非水電解液とし
て、以下の方法でリチウム充放電効率測定用のコイン型
セルを作製した。なお、このコイン型セルを図2に示し
た。
【0090】(コイン型セルの作製)コイン型セル8
は、作用極81には、厚さ100μmのリチウム箔を直
径15mmの円盤状に打ち抜いて使用し、対極82に
は、厚さ400μmのリチウム箔を直径15mmの円盤
状に打ち抜いて使用した。これらリチウム箔81、82
をケース85、86に圧着し、厚さ40μmのポリエチ
レン製のフィルム83を介し、非水電解液を含有させて
リチウム充放電効率測定用のコイン型セル8とした。な
お、このコイン型セル8のケース85、86の接合は、
電気的な絶縁と、密閉性とを担保するためにガスケット
87を介してなされた。
【0091】(実施例2)有機溶媒としてのエチレンカ
ーボネートとジメトキシエタンの等体積混合溶媒に、支
持塩としてLiPF6を電解液中での濃度が1mol/
dm3となるように、さらに電子吸引基を有する窒素含
有環状化合物のリチウム塩として5−triflutr
omethyl−1,2,3−Benzotriazo
leのリチウム塩を電解液中での濃度が50mmol/
dm3となるように溶解させたものを非水電解液とし
て、実施例1と同様にしてコイン型セルをそれぞれ作製
した。
【0092】(実施例3)有機溶媒としてのエチレンカ
ーボネートとジメトキシエタンの等体積混合溶媒に、支
持塩としてLiPF6を電解液中での濃度が1mol/
dm3となるように、さらに電子吸引基を有する窒素含
有環状化合物のリチウム塩として5−triflutr
omethyl−1,2,3−Benzotriazo
leのリチウム塩を電解液中での濃度が100mmol
/dm3となるように溶解させたものを非水電解液とし
て、実施例1と同様にしてコイン型セルをそれぞれ作製
した。
【0093】(実施例4)有機溶媒としてのエチレンカ
ーボネートとジメトキシエタンの等体積混合溶媒に、支
持塩としてLiPF6を電解液中での濃度が1mol/
dm3となるように、さらに電子吸引基を有する窒素含
有環状化合物のリチウム塩として5−triflutr
omethyl−1,2,3−Benzotriazo
leを電解液中での濃度が50mmol/dm3となる
ように溶解させたものを非水電解液として、実施例1と
同様にしてコイン型セルをそれぞれ作製した。
【0094】(比較例1)有機溶媒としてのエチレンカ
ーボネートとジメトキシエタンの等体積混合溶媒に、支
持塩としてLiPF5を電解液中での濃度が1mol/
dm3 となるように溶解させたものを非水電解液とし
て、実施例1と同様にしてコイン型セルをそれぞれ作製
した。
【0095】(比較例2)有機溶媒としてのエチレンカ
ーボネートとジメトキシエタンの等体積混合溶媒に、支
持塩としてLiPF6を電解液中での濃度が1mol/
dm3となるように、さらに電子吸引基を有する窒素含
有環状化合物のリチウム塩として5−triflutr
omethyl−1,2,3−Benzotriazo
leのリチウム塩を電解液中での濃度が3mmol/d
3となるように溶解させたものを非水電解液として、
実施例1と同様にしてコイン型セルをそれぞれ作製し
た。
【0096】(比較例3)有機溶媒としてのエチレンカ
ーボネートとジメトキシエタンの等体積混合溶媒に、支
持塩としてLiPF6を電解液中での濃度が1mol/
dm3となるように、さらに電解液中での濃度が50m
mol/dm3となるように1,2,3−ベンゾトリア
ゾールリチウム塩を溶解させたものを非水電解液とし
て、実施例1と同様にしてコイン型セルをそれぞれ作製
した。
【0097】(比較例4)有機溶媒としてのエチレンカ
ーボネートとジメトキシエタンの等体積混合溶媒に、支
持塩としてLiPF6を電解液中での濃度が1mol/
dm3となるように、さらに電解液中での濃度が50m
mol/dm3となるように1,2,3−ベンゾトリア
ゾールを溶解させたものを非水電解液として、実施例1
と同様にしてコイン型セルをそれぞれ作製した。
【0098】各実施例および比較例の非水電解液に溶解
した支持塩および溶解量を表1に示した。
【0099】
【表1】
【0100】(トリアゾール類のリチウム塩を合成する
方法)テトラヒドロフランにベンゾトリアゾールを1m
ol/dm3 の濃度に溶解する。このテトラヒドロフラ
ン溶液中に当量の金属リチウムを少量ずつ加え、攪拌し
ながら穏やかにベンゾトリアゾールと作用させると、黄
白色のベンゾトリアゾールのリチウム塩が沈澱する。得
られた沈澱物を濾過、乾燥後、メタノールとアセトンと
の混合溶媒で再結晶して精製した。これを150℃で2
4時間真空乾燥してベンゾトリアゾールのリチウム塩を
得た。
【0101】同様にしてその他のトリアゾール類のリチ
ウム塩を合成することができる。
【0102】(評価)評価として、実施例および比較例
の電池を用いてリチウム充放電効率の測定を行った。
【0103】リチウム充放電効率の測定は、以下に示す
方法によりなされた。
【0104】まず、実施例および比較例の各試験用セル
について、作用極から0.5mA/cm2の定電流密度
で、電荷量7.5C/cm2のリチウムを溶出(放電)
させた。
【0105】次に、対極から作用極に対して、電流密度
を0.5mA/cm2、2.5mA/cm2の2種類につ
いて定電流密度で電荷量7.5C/cm2 のリチウムを
析出(充電)させた。
【0106】この充放電を20サイクル繰り返した後
に、0.5mA/cm2の定電流密度、終止電圧を1V
として、作用極上に残った電気化学的に活性なリチウム
容量を測定し、次式を用いてリチウム充放電効率を測定
した。測定結果を表2に示した。
【0107】リチウム充放電効率(%)=100×{1
−(1/FOM)} FOM=(充放電を繰り返した場合の充電容量の総和)
/{(作用極に最初に存在したリチウム容量)−(残っ
た電気化学的に活性なリチウム容量)}
【0108】
【表2】
【0109】表2より、トリアゾール類のリチウム塩を
10〜50mmol/dm3で添加した実施例1、2お
よび3は、トリアゾール類のリチウム塩の添加の効果に
より、高いリチウム充放電効率が測定された。
【0110】また、実施例3は、5−triflutr
ometyl−1,2,3−Benzotriazol
eのリチウム塩の溶解度が低いために5−triflu
trometyl−1,2,3−Benzotriaz
oleのリチウム塩が電解液中に晶出している。
【0111】実施例4は、5−triflutrome
tyl−1,2,3−Benzotriazoleが添
加されているが、充放電効率の向上がみられた。このt
riflutrometyl−1,2,3−Benzo
triazoleは、リチウム塩を形成していないが、
電子吸引基を付与することにより、リチウムとの相互作
用をやわらげ、反応を抑制しているものと考えられる。
【0112】比較例1は、支持塩を含有していないため
に、充電電流密度が大きい場合に、リチウム充放電効率
が低下している。
【0113】比較例2は、5−triflutrome
tyl−1,2,3−Benzotriazoleのリ
チウム塩の添加量が少ないために添加の効果が現れず、
リチウム充放電効率が低下している。
【0114】比較例3は、Fを有さない1,2,3−ベ
ンゾトリアゾールリチウム塩を添加しているため、リチ
ウム充放電効率の低下が見られた。これは、リチウムと
の相互作用が強く1,2,3−ベンゾトリアゾールがリ
チウムと反応して消費されたためと考えられる。
【0115】比較例4は、充電電流密度が大きい場合
に、リチウム充放電効率が大きく低下している。
【0116】以上のことから、電子吸引基を有する窒素
含有環状化合物およびそのリチウム塩を電解液に添加す
ることによって、リチウム充放電効率を向上させ、か
つ、安全性を向上することができることが明らかとなっ
た。
【0117】
【発明の効果】本発明の電池用電解液は、非水電解液電
池を形成したときに負極表面でのリチウムデンドライト
の生成を抑制することができ、サイクル寿命が長寿命化
されるとともに安全性が向上する効果を有する。
【0118】また、本発明の非水電解液電池は、電子吸
引基を有する窒素含有環状化合物を電池用電解液に含有
しているため、負極表面でのリチウムデンドライトの生
成が抑制されることから、サイクル寿命が長寿命化され
るとともに安全性が向上している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態のコイン型の非水電解液二次電池
を概略的に示す電池の縦断面図である。
【図2】 本実施例の充放電効率試験に用いたコイン型
セルの縦断面図である。
【符号の説明】
1…コイン型電池 2…正極 3…
負極 4…非水電解液 5…ケース 6…
セパレータ 7…ガスケット 8…コイン型セル 81…作用極 82…
対極 83…セパレータ 85、86…ケース 87…
ガスケット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H029 AJ05 AK03 AL12 AM03 AM04 AM05 AM07 BJ03 BJ16 HJ02 HJ10

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウムイオンの吸蔵および放出が可能
    な正極ならびに負極を用いた非水電解液二次電池用の有
    機溶媒に支持塩を溶解させてなる電池用電解液であっ
    て、 該電解液が、電子吸引基を有する窒素含有環状化合物を
    含有することを特徴とする電池用電解液。
  2. 【請求項2】 前記電子吸引基を有する窒素含有環状化
    合物は、電子吸引基が導入されたトリアゾールおよびト
    リアゾール誘導体である請求項1記載の電池用電解液。
  3. 【請求項3】 前記電子吸引基を有する窒素含有環状化
    合物は、ベンゼン上にフルオロアルキル基が導入された
    またはベンゼンを置換したナフタレンを有するトリアゾ
    ールおよびトリアゾール誘導体である請求項2記載の電
    池用電解液。
  4. 【請求項4】 前記トリアゾールおよび前記トリアゾー
    ル誘導体は、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1,
    2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリ
    アゾール、ピラゾール、イミダゾール、チオカルバミン
    酸誘導体から選ばれる少なくとも1種である請求項2記
    載の電池用電解液。
  5. 【請求項5】 前記電子吸引基を有する窒素含有環状化
    合物は、窒素含有環状化合物の一位の水素をLiと置換
    したリチウム塩である請求項1記載の電池用電解液。
  6. 【請求項6】 前記電池用電解液は、前記電子吸引基を
    有する窒素含有環状化合物が5〜100mmol/dm
    3で添加されている請求項1記載の電池用電解液。
  7. 【請求項7】 前記負極は、リチウム金属あるいはリチ
    ウム合金よりなる請求項1〜6のいずれかに記載の電池
    用電解液。
  8. 【請求項8】 リチウムイオンの吸蔵および放出が可能
    な正極ならびに負極と、該正極および該負極の間に介在
    し有機溶媒に支持塩を溶解させてなる電池用電解液と、
    を有する非水電解液電池であって、 該電解液が、電子吸引基を有する窒素含有環状化合物を
    含有することを特徴とする非水電解液電池。
  9. 【請求項9】 前記電子吸引基を有する窒素含有環状化
    合物は、電子吸引基が導入されたトリアゾールおよびト
    リアゾール誘導体である請求項8記載の非水電解液電
    池。
  10. 【請求項10】 前記電子吸引基を有する窒素含有環状
    化合物は、ベンゼン上にフルオロアルキル基が導入され
    たまたはベンゼンを置換したナフタレンを有するトリア
    ゾールおよびトリアゾール誘導体である請求項8記載の
    非水電解液電池。
  11. 【請求項11】 前記電子吸引基を有する窒素含有環状
    化合物は、窒素含有環状化合物の一位の水素をLiと置
    換したリチウム塩である請求項8記載の非水電解液電
    池。
  12. 【請求項12】 前記トリアゾールおよび前記トリアゾ
    ール誘導体は、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1,
    2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリ
    アゾール、ピラゾール、イミダゾール、チオカルバミン
    酸誘導体から選ばれる少なくとも1種である請求項8記
    載の非水電解液電池。
  13. 【請求項13】 前記電池用電解液は、前記電子吸引基
    を有する窒素含有環状化合物が5〜100mmol/d
    3で添加されている請求項8記載の非水電解液電池。
  14. 【請求項14】 前記負極は、リチウム金属あるいはリ
    チウム合金よりなる請求項8〜13のいずれかに記載の
    非水電解液電池。
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