JP2002220494A - 樹脂組成物及びこれを用いた耐水・防湿紙並びにその製造方法 - Google Patents
樹脂組成物及びこれを用いた耐水・防湿紙並びにその製造方法Info
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Abstract
性を保持し、また、古紙が製紙工程のパルパーで容易に
離解し、紙原料にリサイクル可能である耐水・防湿紙を
安価に提供する。 【解決手段】(A)ポリオレフィン40〜74.5重量
部、(B)粘着付与剤25〜59.5重量部、(C)水
添されたポリジエンを連続相とする熱可塑性エラストマ
ー0.5〜20重量部の(A)、(B)、(C)合計1
00重量部からなる樹脂組成物を紙基材に塗工する。
Description
れを用いた耐水・防湿紙並びにその製造方法に関し、更
に詳しくは、回収された古紙が製紙工程のパルパーで容
易に離解し、紙原料にリサイクル可能である耐水・防湿
紙を製造するのに有用で安価な樹脂組成物及び該組成物
を用いた耐水・防湿紙並びにその製造方法に関するもの
である。
ン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンを塗工したも
のが良く知られており、広く使用されている。このポリ
オレフィンを押出ラミネーション法により塗工した耐水
・防湿紙は、耐水性、防湿性に優れ、加工性が良いばか
りでなく、安価であり、耐水・防湿紙として非常に優れ
ている。このため、防湿性が要求される紙製品の包装
紙、プラスチックペレット製品の製品袋、塩包装袋など
に多く使用されている。また、業界では合わせ紙、ポリ
サンドなどと呼ばれる、2枚の紙の間にポリオレフィン
をサンドイッチ状に塗工して接着した防湿紙もある。更
に、ポリオレフィンは耐水性に優れ、熱接着による2次
加工が容易なため、飲料用などの紙コップ、牛乳パック
などにも多量に使用されている。
紙再生という観点からみると、ポリオレフィンを塗工し
た防湿紙は防湿層の被膜強度が強すぎるため、紙を再生
しパルプ化する工程で使用されるパルパーでは、紙の繊
維部から脱離したポリオレフィン層が細かく分散されず
に塊やフィルムとして残り、産業廃棄物となる。また、
抄紙工程に混入した場合は抄紙機の乾燥ロールに付着し
たり、また再生された紙の表面に付着し、凹凸が発生し
て良好な紙製品とはならず、古紙のリサイクルを不可能
にしている。このため、紙産業界では、写真、ラミネー
トラベルなどと共に禁忌品としてリサイクル不可能材と
位置づけられている。また、牛乳パックのリサイクルで
は塗工されたポリエチレンをひとつずつ事前に取り除く
ための努力がなされている。
で、合成ゴム系ラテックスあるいはアクリル系エマルジ
ョンとワックスエマルジョンとからなるエマルジョンを
塗工した防湿紙が提案されている。この防湿紙は防湿性
に優れ、かつ古紙へのリサイクル性も有しているが、塗
工液が水系であるため、皮膜形成に長大な乾燥設備が必
要で、設備コストとともにエネルギーコストが大きくな
るという問題を有し、かつオレフィン系樹脂の押出ラミ
ネーション法に比べ生産性が悪い。また、乾燥中に防湿
層にカールが発生したり、塗工液中のワックスがブリー
ドしたり、また防湿紙に滑りが発生する。また、得られ
た防湿紙はコイル状に巻き取られた際に、防湿層表面が
反対面と接触するため、防湿層中に含まれるワックス成
分が反対面に転移し、非常に滑りやすくなる。また、ワ
ックスが防湿層表面に形成されるため、水性インキによ
る印字ができない、包装用のエマルジョン系糊の接着が
できない、という欠点が指摘されている。更に、古紙再
生の際、エマルジョンを構成していた水溶性成分が抄紙
廃液に溶出し、排水処理の負荷を増大させる。
形状の無機フィラーを大量に配合し、無機フィラーの防
湿性を活かした防湿紙も提案されている。扁平な無機フ
ィラーの配合によりワックスによる欠点の多くは解消さ
れるが、大量配合した扁平な無機フィラーによる問題点
が新たに指摘されている。即ち、防湿紙の折り目の防湿
性能が低下し易い、包装される紙製品の表面が傷つき易
い、など包装紙としては致命的な欠点である。また、排
水処理の困難さも解決されない。
プの防湿液を使用したものは、食品が直接防湿層に接触
する食品用途には問題が多い。即ち、ラテックスまたは
エマルジョンに含まれる乳化剤、成膜助剤等が防湿層に
残存しているため、食品への移行が危惧される。更に、
これら残存不純物の影響で耐水性に問題が多い。
の如き従来の欠点を解決し、耐水性、防湿性に優れ、離
解可能な耐水・防湿紙を得るための樹脂組成物及びそれ
を用いた耐水・防湿紙を提供することにある。更には、
非常に過酷な包装方式、製袋操作を行った場合において
も、充分な耐水性、防湿性を維持することができる耐水
・防湿紙を得るための樹脂組成物及びそれを用いた耐水
・防湿紙を安価に提供することにある。
オレフィンに粘着付与剤を多量配合することにより、ポ
リオレフィンの保有する優れた防湿性能を生かしなが
ら、パルパー等で容易に離解可能な耐水・防湿紙が得ら
れることを見出した(特願2000−204705)。
このものは、新聞用紙、印刷用紙の防湿包装紙など製紙
用紙の包装紙として有用である。しかし、一部の非常に
厳しい包装機器を使用した包装時に、機械的な折り目付
けが耐水・防湿層を傷つけ、透湿度の悪化を引き起こす
ことがあることが分かった。本発明者らは、更に研究を
進め、ある特定の熱可塑性エラストマーを少量使用する
ことによって過酷な折り目付けにおいても、耐水・防湿
層の性能が保持されることを見出し、本発明に到達し
た。
必須としないため、ワックスによる滑り、耐熱性の低下
がない。また防湿性を発揮させるための特定形状の無機
フィラーを必須としないため、折り目の透湿性の低下、
紙製品への傷付きがない、等数多くの利点を有するもの
である。また、乳化剤、成膜助剤等の水溶性有害物質を
含んでいないため、古紙再生のため、パルプ化した時の
抄紙用水に溶け出す物質が殆どなく、廃水への負荷を増
大させないという利点もある。
ィン40〜74.5重量部、(B)粘着付与剤25〜5
9.5重量部、(C)水添されたポリジエンを連続相と
する熱可塑性エラストマー0.5〜20重量部の
(A)、(B)、(C)合計100重量部からなる樹脂
組成物を内容とする(請求項1)。
ンが、少なくとも1種のアモルファスポリプロピレン系
樹脂である(請求項2)。好ましい態様として、(A)
ポリオレフィンが、プロピレン単独重合体またはプロピ
レンとエチレン及びアルファオレフィンよりなる群から
選ばれた少なくとも1種との共重合体である、結晶性ポ
リプロピレン系樹脂である(請求項3)。
が、ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、ア
ルキルフェノール樹脂、アルキルフェノール変性キシレ
ン樹脂、ロジン変性キシレン樹脂、テルペンフェノール
樹脂、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、オレフ
ィン系樹脂、スチレン系樹脂、石油樹脂、水添石油樹
脂、及びクマロンインデン樹脂よりなる群から選ばれた
少なくとも1種の粘着付与剤である(請求項4)。好ま
しい態様として、(B)粘着付与剤が、水添脂環族系石
油樹脂、水素化テルペン樹脂、及び水添ロジンエステル
よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘着付与剤で
ある(請求項5)。好ましい態様として、(C)水添さ
れたポリジエンを連続相とする熱可塑性エラストマー
が、エチレンブチレン共重合体の連続相である(請求項
6)。
1.0g/cm3 以上となるよう(D)無機フィラーが
配合される(請求項7)。好ましい態様として、樹脂組
成物を紙基材とほぼ同色に着色してなる(請求項8)。
に、本発明の樹脂組成物からなる耐水・防湿層を設けた
ことを特徴とする耐水・防湿紙を内容とする(請求項
9)。好ましい態様として、特定の粘着付与剤、即ち、
水添脂環族系石油樹脂、水素化テルペン樹脂、及び水添
ロジンエステルよりなる群から選ばれた少なくとも1種
の粘着付与剤を含有してなる本発明の樹脂組成物からな
る耐水・防湿層を、紙基材の少なくとも片面に設けたこ
とを特徴とする食品用の耐水・防湿紙である(請求項1
0)。
なる耐水・防湿層の上に(メタ)アクリル系樹脂のコー
ト層を設けた耐水・防湿紙を内容とする(請求項1
1)。
枚以上の紙基材の間に介設したことを特徴とする耐水・
防湿紙を内容とする(請求項12)。
基材の少なくとも片面に塗工して耐水・防湿層を形成す
ることを特徴とする耐水・防湿紙の製造方法を内容とす
る(請求項13)。
基材の少なくとも片面に塗工して耐水・防湿層を形成
し、更にその上に(メタ)アクリル系樹脂のコート層を
形成することを特徴とする耐水・防湿紙の製造方法を内
容とする(請求項14)。
2枚以上の紙基材の間に介設することを特徴とする耐水
・防湿紙の製造方法を内容とする(請求項15)。
レフィンは、大別して、次の(1)〜(3)の3種類が
挙げられる。 (1)第1は、プロピレン重合後の後工程で副生物とし
て集められるアモルファスポリプロピレン(APP)、
プロピレン単独あるいはプロピレンとエチレンやブテン
−1等を共重合して生産される非晶性のオレフィン系ポ
リマー(アモルファスポリアルファオレフィン:APA
O)等である。これらの分子量は100程度以上のもの
が適当である。分子量が100未満では防湿層の強度が
不十分となる傾向がある。好ましくは、重量平均分子量
10000以上のプロピレン単独あるいはプロピレン
と、エチレン、ブテン−1等のアルファオレフィンから
選ばれる少なくとも1種との共重合体が使用される。
系成形材料として、広く供給されているポリプロピレン
系樹脂である。まず、結晶性樹脂として、プロピレン単
独重合体のホモタイプ、エチレン等との共重合体のラン
ダムコポリマータイプ、ブロック共重合されたブロック
コポリマータイプがある。また、他種ポリマーとのポリ
マーアロイのタイプもポリプロピレン系樹脂として販売
されている。これらは全て本発明に使用することができ
る。MFR(JIS K7210、230℃)1g/1
0分以上の押出用途、ラミネート用途、射出成形用途、
不織布用途に使用されるものが本発明に好適に使用され
る。また、結晶性で低分子量のポリプロピレン系樹脂も
樹脂組成物の粘度調整などに好適に使用される。更に、
ポリオレフィンの改質用樹脂として製造されている、プ
ロピレン成分が50mol%以上の非晶性〜低結晶性ポ
リプロピレン系共重合樹脂も、本発明に好適に使用され
る。プロピレンとアルファオレフィンとの共重合樹脂が
良く知られており、MFR(ASTM D1238、1
90℃)1g/10分以上のものが本発明に好適に使用
される。これらを配合してポリプロピレン系ブロックコ
ポリマーとして供給されているものもある。
る。一般的に低密度ポリエチレン(直鎖状低密度ポリエ
チレンを含む)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチ
レンと分類されるが、本発明では全て使用することがで
きる。また、ポリプロピレン系樹脂の一部として、ポリ
エチレン系樹脂が配合される場合もある。耐熱性を低下
させないためには、ポリエチレン系樹脂はポリオレフイ
ンの50重量%以下が好ましい。
組み合わせて使用される。耐水・防湿層が柔軟性に富
み、耐水・防湿性能に優れる点で、プロピレン単独重合
体またはプロピレンとエチレン、ブテン−1との共重合
体のアモルファスポリアルファオレフィンを用いること
は好適である。また結晶性のポリプロピレン系の樹脂か
ら選ばれた樹脂だけを使用することは、耐水・防湿層の
耐熱性を高めるために好ましい。ポリオレフィンを2種
以上併用することは、離解性、透湿度に優れ、耐水・防
湿層の割れ易さを防ぎ、耐熱性と、耐ブロッキング性を
バランス良く両立させる点で好ましい。ポリオレフイン
は、吸水性が無く、その成膜層は、耐水性が良好であ
る。
重量部、好ましくは45〜70重量部である。40重量
部未満では耐水・防湿層の強度が不足し、包装時に耐水
・防湿層が破壊され、耐水性、防湿性が低下する。7
4.5重量部を越えると、離解性が悪化し、古紙として
の再使用に欠点となる。
ては、官能基を有するものとして、ロジン、変性ロジ
ン、及びこれらのエステル化合物、アルキルフェノール
樹脂、アルキルフェノール変性キシレン樹脂、ロジン変
性キシレン樹脂、テルペンフェノール樹脂などが挙げら
れ、また官能基を有しないものとして、テルペン樹脂、
芳香族変性テルペン樹脂などのテルペン系樹脂、オレフ
ィン系樹脂、スチレン系樹脂、石油樹脂、水添石油樹
脂、クマロンインデン樹脂などがあり、これらのいずれ
を選択してもよく、また2種以上を混合して使用しても
よい。これらの中で、ポリオレフィンとの相溶性があ
り、高温での溶解時に略透明溶液となる点で、芳香族系
・脂環族系石油樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族
変性テルペン樹脂、ロジンエステルなどが特に好適に使
用される。更に、食品用途には水添脂環族系石油樹脂、
水素化テルペン樹脂、水添ロジンエステルが特に好適に
使用される。粘着付与剤の使用量は25〜59.5重量
部、好ましくは30〜55重量部である。25重量部未
満では離解性が不十分となり、59.5重量部を越える
と、防湿性が低下する。
ジエンを連続相とする熱可塑性エラストマーとしは、ポ
リブタジエン、ポリイソプレンの水添された連続相に、
ポリスチレン、結晶性ポリオレフィン(1,4ポリブタ
ジエンの水添物等を含む)等を分散相としてブロック共
重合された熱可塑性エラストマーが挙げられる。水添さ
れたポリジエンが1,2ポリブタジエンと1,4ポリブ
タジエンの共重合体からなるエチレンブチレンポリマー
であり、ポリスチレン、結晶性ポリオレフィン(1,4
ポリブタジエンの水添物等を含む)等を分散相としてブ
ロック共重合された熱可塑性エラストマーが好ましく使
用される。この熱可塑性エラストマーはポリオレフィン
と粘着付与剤との相溶性を改良していると考えられ、過
酷な折り目付けによる透湿度の悪化を防ぐことができ
る。これらは単独でまたは併用して使用することができ
る。
る熱可塑性エラストマーの使用量は0.5〜20重量
部、好ましくは1〜7重量部である。0.5重量部未満
では目的とする効果が得られず、一方、20重量部を越
えると樹脂組成物の熱安定性が悪くなる。本発明におい
て、各成分の使用量は、成分(A)〜(C)の合計で1
00重量部である。
ーを配合し、該樹脂組成物の密度を1.0g/cm3 以
上にすることは、本発明の耐水・防湿紙が古紙として離
解された時に、パルプ液中の浮き樹脂を減少させ、リサ
イクルされた紙の表面性を均一にするために好ましい。
無機フィラーとしては特に限定されず、例えば、炭酸カ
ルシウム、マイカ、タルク、シリカ、硫酸バリウム、ワ
ラストナイト、カオリン、クレーなどが挙げられ、これ
らは単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。一
般的に無機フィラーの密度は、2.4g/cm3 以上で
あるため、樹脂組成物に5重量部以上配合することが好
ましい。安価な樹脂組成物を得るためには、無機フィラ
ーの配合量を増やすことができる。樹脂組成物との混合
性を高めるために、シリカ化合物、アミン化合物等で表
面処理をした無機フィラーを使用することは好ましい。
融粘度調整、耐ブロッキング性の改良等の目的で、更に
(E)ワックスを添加することができる。ワックスの添
加量が多いと、防湿性向上効果が得られるものの、耐水
・防湿紙の裏面への転写による滑り性の悪化(滑り過ぎ
る)、耐熱性の低下などの問題が顕在化するので好まし
くない。
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、
モンタンワックス、カルナバワックス、キャンデリラワ
ックス、フィシヤートロプシュワックスなどの天然ワッ
クスが挙げられる。これらは単独または2種以上混合し
て用いることができる。ワックスの使用量は、樹脂組成
物の配合比率により変動するため一概には規定できない
が、溶融粘度調整用としては、10重量部以下が好適に
使用される。
ーで離解し、古紙として再使用する場合、本発明の樹脂
組成物を紙基材とほぼ同色に着色することにより、たと
え抄造された再生紙上に樹脂組成物が存在する場合にお
いても該樹脂組成物が見えにくくなり、再生紙の品質低
下を抑えることができ好都合である。着色のレベルはあ
まり厳密でなくて良いが、紙基材とほぼ同色か少し薄目
が好適である。濃い目の場合は、樹脂組成物の存在が目
立ち易い。
るなどの目的で、酸化防止剤などの安定剤、粘度調整
剤、滑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤等の添加剤
を配合してもさしつかえない。
耐水・防湿層を形成した後、更に耐水・防湿層の上に
(メタ)アクリル系樹脂のコート層を設けることができ
る。コート層は、耐水・防湿層のブロッキング性の改
良、包装される紙製品等への少量物質の転移の抑止、耐
滑り性の付与(滑りにくくする)、包装用糊の接着性向
上などに有効である。(メタ)アクリル系樹脂として
は、メタクリル酸メチルと(メタ)アクリル酸、アクリ
ル酸エステル、スチレンなどの共重合樹脂が好適に使用
される。溶剤に溶解された溶液状、水系に分散されたエ
マルジョン状を問わない。主成分が(メタ)アクリル系
樹脂であれば、ポリ(スチレン−ブタジエン)系ラテッ
クス等を併用することもできる。耐水・防湿層に各種コ
ーターで塗工後、溶媒を乾燥により除去し、コート層を
形成する。コート層の厚みは、0.1〜3.0g/m2
が好適である。このコート層の(メタ)アクリル系樹脂
に添加剤として、例えば、滑り防止剤としての無機フィ
ラー、耐ブロッキング改良剤としての少量のワックス
類、静電気除去のための帯電防止剤、表面外観改良のた
めの艶消し剤、リサイクルされた古紙に本発明の組成物
及び/またはコート剤が目立たなくなるための着色剤な
どを添加することができる。これらは必要に応じ、適宜
組み合わせて使用される。
にサンドイッチ状に介設することにより、合わせ紙(ポ
リサンドタイプ)の耐水・防湿紙を提供することができ
る。ポリサンドタイプの耐水・防湿紙は、一の紙基材に
熱溶融された本発明樹脂組成物が塗工された後、冷却さ
れるまでに他の紙基材を配設し、加圧により接着させる
などの方法により容易に製造することができる。また、
片面に耐水・防湿層が形成された耐水・防湿紙に、熱ま
たは接着剤で紙基材または耐水・防湿紙を接着すること
により製造することも可能である。更に、2枚の紙基材
を同時に繰り出し、その2枚の紙基材の間に押出ラミネ
ートマシンでダイスから本発明の樹脂組成物を溶融押出
し、ポリサンド加工を行い製造することも可能である。
基材の少なくとも片面に塗工等により設けられる。塗工
量は所望の耐水性、防湿性により適宜決定すればよい
が、通常、10〜50g/m2 程度が好適である。防湿
紙としての透湿性は、50g/m2 ・24hr以下、好
ましくは、40g/m2 ・24hr以下(測定方法:J
IS Z 0208)と言われているため、安価な耐水
・防湿紙を提供するためには、塗工量は、16〜25g
/m2 が特に好適である。紙基材に対する本発明樹脂組
成物の塗工方法は、ロールコーター、スロットオリフィ
スコーター、エクストルージョンコーターなどのコータ
ー類使用のコーティング方式とTダイ使用の押出ラミネ
ート方式などが可能であるが、これらに限定されず、い
かなる方法を用いてもよい。
・防湿紙は、例えば、紙基材として、クラフト紙の片面
に適用した場合、製紙製品のリサイクル可能な包装用防
湿紙、プラスチックペレット製品などの製品袋として有
用である。晒クラフト紙の片面に塗工し、反対面に図柄
印刷を施したものはPPC(プレーンペーパーコピヤ
ー)用紙のリサイクル可能な包装紙として有用である。
また、カップ原紙に塗工し、製罐機で打ち抜き・製罐す
れば、リサイクル可能な耐水性に優れた紙コツプが得ら
れる。その他、ライナー紙に目止めの上塗工し、コルゲ
ートマシンでダンボール原紙に加工後、組み立てて耐水
・防湿ダンボール箱を製造することもできる。更に、2
枚の紙基材を同時に繰り出すことのできるラミネートマ
シンで、紙基材の間にTダイから本発明組成物を押出す
ることなどにより、サンドイッチ状のポリサンドタイプ
の防湿紙が得られる。など、広範囲な用途に安価で有用
な耐水・防湿紙を供給できる。
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。尚、以下の記載において、部は特に断らない
限り、重量部を示す。
合体、重量平均分子量70000)(A1)40部、結
晶性ポリプロピレン樹脂〔ホモタイプ、MFR(JIS
K 7210、230℃)=38g/10分、融点1
57℃〕(A2)20部、(B)成分としてテルペンフ
ェノール共重合樹脂[環球式軟化点145℃、酸価1以
下、数平均分子量1000](B1)35部、(C)成
分として水添されたポリブタジエンがエチレンブチレン
ポリマーである連続相に両末端ポリスチレンの分散相を
ブロック共重合した熱可塑性エラストマー[スチレン含
量20重量%、比重0.89、MFR(230℃、2.
16kg)=13:旭化成工業(株)製タフテックH1
052](SEBS)(C1)5部及び安定剤としてヒ
ンダードフェノール系酸化防止剤[融点110〜125
℃]1部からなる混合物を同方向2軸押出機を用い、押
出・混練・ペレッッティングして、本発明の樹脂組成物
を作成した。なお、ダイス温度は180℃に設定した。
得られたペレットをラミネートマシンの1軸押出機を使
用して75g/m2 のクラフト紙上の片面に22g/m
2 塗工して、耐水・防湿紙を得た。なお、Tダイの温度
は、200℃に設定した。
水による離解性、耐ブロッキング性を以下に示した方法
で測定した。結果は表1に示したように、平判状、十字
折り及び逆十字折りでの透湿度は良好な防湿性を示し
た。また、水による離解性は良好で、抄紙した紙の加熱
によるにじみ出しは見られなかった。耐ブロッキング性
については、僅かにブロッキングが認められた。離解後
の白水(パルプ成分が抄紙された後の櫨液)を実際の製
紙工程でのパルプ濃度である0.5%相当に希釈してC
OD、BODを測定したが、ブランクのクラフト紙だけ
を同様に処理した値と同じであった(COD:2.5p
pm、BOD:2ppm)。このことは、本発明の樹脂
組成物からなる耐水・防湿紙は、離解中に、水への酸化
性物質、有機化合物の溶解が殆ど無いことを示してい
る。
(平判状、十字折り及び逆十字折り)を測定する。な
お、十字折り及び逆十字折りは、吸湿に非常に厳しい製
品の包装を考慮した透湿度測定方法であり、JISでは
規定されていない。そのサンプルの作成方法は、十字折
りは耐水・防湿層を内側にして、サンプルの中央を十文
字に折り、折り目上を3kgのローラーで1往復させ折
り目を付けた後、透湿度を測定する。また、逆十字折り
は、耐水・防湿層を外側にして、サンプルの中央を十文
字に折り、折り目上を3kgローラーで1往復させ折り
目を付けた後、透湿度を測定する。折り目付けの厳しい
加工時の防湿性が評価できる。透湿度は、一般的に、5
0g/m2 ・24hr以下、好ましくは40g/m2 ・
24hr以下であれば、防湿紙として使用される。
1.5cm角に切断した防湿紙サンプルを2Lの水に対し
て40g(パルプ濃度:2重量%)投入して、3000
回転/分、30分間撹拌後、パルプ溶液及び抄紙したも
のの樹脂分散性を下記の基準で目視により判定する。 ○:抄紙された紙に樹脂の存在がほとんど確認できな
い。 ×:抄紙された紙に、細かく分散されていない樹脂が付
着・存在する。
ン内で150℃、1分間加熱して、にじみの有無を下記
の基準で目視により判定する。にじみ出しが相当見られ
るものは、抄紙・乾燥工程、二次加工工程で、耐熱性に
問題を発生させる危険性があるため、古紙として再活用
できない。 ○:にじみ出しが見られない。 ×:にじみ出しが相当見られる。
表裏を重ね、0.196MPa(2kg/cm2 )圧力
の下、50℃で16時間放置する。室温に戻した後、防
湿紙サンプルを1枚ずつ手で剥がし、ブロッキングの状
態を下記の基準で判定する。 ○:容易に1枚ずつ剥がれ、殆ど音がしない。 △:剥がすときに、僅かに音がする。 ×:剥がすと、防湿層の一部が剥離する、または、簡単
には剥がせない。
続相とする熱可塑性エラストマーの種類を変更した樹脂
組成物を用いた以外は実施例1と同様にして耐水・防湿
紙を作成し、性能を評価した。結果は表1に示すよう
に、逆十字折り透湿度の悪化がなく、離解性、にじみ出
しに優れる。耐ブロッキング性は、剥がすときに、僅か
に音がする。尚、実施例1で使用していない材料の詳細
は、以下の通りである。 (C2)水添されたポリブタジエンがエチレンブチレンポリ
マーである連続相に両末端ポリスチレンの分散相をブロ
ック共重合した熱可塑性エラストマー[スチレン含量3
0重量%、比重0.91、MFR(230℃、2.16
kg)=140:旭化成工業(株)製タフテックH11
41](SEBS) (C3)水添されたポリブタジエンがエチレンブチレンポリ
マーである連続相に両末端ポリスチレンの分散相をブロ
ック共重合した熱可塑性エラストマー[スチレン含量1
0重量%、比重0.89、MFR(230℃、2.16
kg)=10:JSR(株)製ダイナロン1321P]
(HSBR) (C4)水添されたポリブタジエンがエチレンブチレンポリ
マーである連続相に、末端がオレフィン結晶(1,4ポ
リブタジエンの水添物)の分散相をブロック共重合した
熱可塑性エラストマー[スチレン含量0重量%、比重
0.88、MFR(230℃、2.16kg)=2.
5:JSR(株)製ダイナロン6200P](CEB
C)
以外は実施例1と同様にして、耐水・防湿紙を作成し、
性能を評価した。結果は、表1に示すように、透湿度、
離解性、にじみ出しに優れる。耐ブロッキング性は、剥
がすときに、僅かに音がする。尚、実施例1で使用して
いない材料の詳細は、以下の通りである。 (A3)プロピレン−ブチレン共重合樹脂:ビカット軟化点
(ASTM D1525)114℃、MFR(ASTM
D1238,190℃)4g/10分。 (A4)低分子量ポリプロピレン:溶液粘度分子量2100
0、融点143℃、密度0.91g/cm3 。 (B2)水添脂環族系石油樹脂:環球式軟化点135℃、分
子量860、酸化0.0。
タクリル酸メチル−アクリル酸エチル−アクリル酸共重
合樹脂のイソプロピルアルコール−水溶液(アロロン:
株式会社日本触媒)を固形分として1.0g/m2 塗工
し、80℃、1分間乾燥させ、コート層を形成した。耐
ブロッキング性の評価は良好で、1枚ずつ簡単に剥がす
ことができた。
以外は、実施例1と同様にして耐水・防湿紙を得た。結
果は表1に示すように、透湿度、離解性の少なくともい
ずれかの点に難点を有するものであった。
2μmの厚さでラミネートした耐水・防湿紙を作成し、
性能を評価した。結果は表1に示す如く、透湿度は30
(g/m2 ・24hr)と良好で、耐ブロッキング性も
良好であったが、離解性評価では、耐水・防湿層はまっ
たく離解せず、ポリエチレンのフィルムが残ったままで
あった。
合体、重量平均分子量70000)(A1)22部、結
晶性ポリプロピレン樹脂〔ブロックタイプ、MFR(J
IS K 7210、230℃)=55g/10分、融
点143℃〕(A5)30部、プロピレン−ブチレン共
重合樹脂(ビカット軟化点(ASTMD1525)11
4℃、MFR(ASTM D1238,190℃)4g
/10分)(A3)10部、(B)成分として水素化テ
ルペン樹脂(環球式軟化点135℃、酸価1以下、数平
均分子量1000)(B3)35部、(C)成分として
水添されたポリブタジエンがエチレンブチレンポリマー
である連続相に両末端ポリスチレンの分散相をブロック
共重合した熱可塑性エラストマー[スチレン含量20重
量%、比重0.89、MFR(230℃、2.16k
g)=13:旭化成工業(株)製タフテックH105
2](SEBS)(C1)3部からなる混合物を同方向
2軸押出機を用い、押出・混練・ペレッティングして、
本発明の樹脂組成物を作成した。なお、ダイス温度は1
70℃に設定した。
軸押出機を使用して220g/m2のカップ原紙(バー
ジンパルプ100%)上の片面に30g/m2 塗工し
て、耐水紙を得た。なお、Tダイの温度は、210℃に
設定した。得られた耐水紙についての評価結果は表2に
示したように、水による離解性が良好で、抄紙した紙の
加熱によるにじみ出しは見られなかった。この耐水紙を
所定の大きさの扇形(胴部)、円形(底部)に切り抜
き、耐水層を内側にして紙コップを作成した。熱板加熱
方式のヒートシーラーで、ポリエチレンラミネート耐水
紙と変わらないヒートシール強度を得た。この紙コップ
にメチレンブルー着色の水溶液を注入して、40℃、1
週間放置したが、紙基材へのメチレンブルーの浸透は観
察されず、耐水性に問題ないことが分かった。
レスで平板を成形し、食品衛生法に基づく、厚生省告示
20号に準拠した衛生試験を実施した。材質試験の鉛、
カドミウムは検出限界以下であった。また、重金属溶出
量は基準以下であった。過マンガン酸カリウム消費量、
及び疑似溶剤による溶出試験の蒸発残留物のうち、水、
4%酢酸、20%アルコールは基準以下であった。した
がって、これらの基準に適合する食品の容器として使用
可能である。
・防湿層として用いた耐水・防湿紙は、折り目付けの厳
しい加工時にも、オレフィン系樹脂をラミネートした耐
水紙、防湿紙と同等またはそれ以上の耐水性、防湿性を
有している。また、近年提案されているエマルジョン塗
工タイプのリサイクル可能な防湿紙と同等の水に対する
離解性及び分散性を有し、抄紙後の加熱によるにじみも
無く、紙製品に再生することができる。また抄紙時の排
水処理にも負荷をかけない。更に、製造設備的に安価で
あり、製造作業能率も良好である。本発明は、工業製品
の防湿包装紙、家庭用品等の防湿容器材料、耐水性を必
要とする容器・カップ等として、非常に有用な耐水・防
湿紙を提供するとともに、使用後の再活用による木材資
源の保護、及び焼却廃棄しないため環境の保護に大きく
寄与するものである。
Claims (15)
- 【請求項1】 (A)ポリオレフィン40〜74.5重
量部、(B)粘着付与剤25〜59.5重量部、(C)
水添されたポリジエンを連続相とする熱可塑性エラスト
マー0.5〜20重量部の(A)、(B)、(C)合計
100重量部からなる樹脂組成物。 - 【請求項2】 (A)ポリオレフィンが、少なくとも1
種のアモルファスポリプロピレン系樹脂を使用する請求
項1記載の樹脂組成物。 - 【請求項3】 (A)ポリオレフィンが、プロピレン単
独重合体またはプロピレンとエチレン及びアルファオレ
フィンよりなる群から選ばれた少なくとも1種との共重
合体である、結晶性ポリプロピレン系樹脂である請求項
1記載の樹脂組成物。 - 【請求項4】 (B)粘着付与剤が、ロジン、変性ロジ
ン、これらのエステル化合物、アルキルフェノール樹
脂、アルキルフェノール変性キシレン樹脂、ロジン変性
キシレン樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹
脂、芳香族変性テルペン樹脂、オレフィン系樹脂、スチ
レン系樹脂、石油樹脂、水添石油樹脂、及びクマロンイ
ンデン樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘
着付与剤である請求項1記載の樹脂組成物。 - 【請求項5】 (B)粘着付与剤が、水添脂環族系石油
樹脂、水素化テルペン樹脂、及び水添ロジンエステルよ
りなる群から選ばれた少なくとも1種の粘着付与剤であ
る請求項1記載の樹脂組成物。 - 【請求項6】 (C)水添されたポリジエンを連続相と
する熱可塑性エラストマーが、エチレンブチレン共重合
体の連続相である請求項1記載の樹脂組成物。 - 【請求項7】 樹脂組成物の密度が1.0g/cm3 以
上となるよう(D)無機フィラーが配合された請求項1
記載の樹脂組成物。 - 【請求項8】 紙基材とほぼ同色に着色してなる請求項
1〜7記載の樹脂組成物。 - 【請求項9】 紙基材の少なくとも片面に、請求項1〜
8のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる耐水・防
湿層を設けたことを特徴とする耐水・防湿紙。 - 【請求項10】 紙基材の少なくとも片面に、請求項5
に記載の樹脂組成物からなる耐水・防湿層を設けたこと
を特徴とする食品用の耐水・防湿紙。 - 【請求項11】 耐水・防湿層の上に(メタ)アクリル
系樹脂のコート層を設けた請求項9又は10記載の耐水
・防湿紙。 - 【請求項12】 請求項1〜8のいずれか1項に記載の
樹脂組成物を2枚以上の紙基材の間に介設したことを特
徴とする耐水・防湿紙。 - 【請求項13】 請求項1〜8のいずれか1項に記載の
樹脂組成物を紙基材の少なくとも片面に塗工して耐水・
防湿層を形成することを特徴とする請求項9又は10記
載の耐水・防湿紙の製造方法。 - 【請求項14】 請求項1〜8のいずれか1項に記載の
樹脂組成物を紙基材の少なくとも片面に塗工して耐水・
防湿層を形成し、更にその上に(メタ)アクリル系樹脂
のコート層を形成することを特徴とする請求項11記載
の耐水・防湿紙の製造方法。 - 【請求項15】 請求項1〜8のいずれか1項に記載の
樹脂組成物を、2枚以上の紙基材の間に介設することを
特徴とする請求項12記載の耐水・防湿紙の製造方法。
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