JP6310269B2 - 非付着性を有する包装容器用ヒートシール性蓋材およびカップ状容器 - Google Patents

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Description

本発明は、ヨーグルト、ミルクポーション、プリン、ジャム、ガムシロップ、バター、アイスクリームなどの食料品、医薬品、化粧品などの包装容器に好適な非付着性を有する包装容器用ヒートシール性蓋材、その蓋材と有底筒状の容器とからなり、該蓋材が該容器の開口部を覆うカップ状容器に関する。
従来、ヨーグルト、ミルクポーション、プリン、ジャム、ガムシロップ、バター、アイスクリームなどの食料品、医薬品、化粧品などの包装容器として、カップ状容器が広く使用されている。これらのカップ状容器はヒートシールされる蓋材によって、密封されている。したがって、かかる蓋材においては、ヒートシール性を有すると共に、内容物の非付着性、すなわち包装容器の内面側の蓋材面に内容物が付着することを防止するものが望まれる。包装容器の内面側の蓋材面に内容物が付着すると、見栄えが悪かったり、内容物の使い切りができないことによる無駄が生じたり、手指や衣服、あるいはテーブルなどの汚損の原因となると共に、内面側の蓋材面に情報などを印刷しても視認できないなど、といった問題がある。
そこで、こうしたカップ状容器の蓋材において、包装容器の内面側の蓋材面に内容物の非付着性を付与した蓋材について、下記特許文献1〜6のような提案がなされてきた。
特許文献1においては、熱封緘性層の上に、ワックスとそのワックス中に分散された充填剤との組成物からなる内容物付着防止層を積層した蓋材であるが、ワックス中に充填剤を分散させているため、熱封緘性層のヒートシール性に影響し、密封が不安定になりやすいという懸念があった。特許文献2〜4においては、熱封緘層の外面に付着防止層として疎水性酸化物微粒子を用いて、三次元網目状構造の多孔質層を形成した積層体あるいは蓋材であるが、付着防止層の耐熱性が劣り、付着防止効果が著しく損なわれるおそれがある。すなわち、付着防止層の形成工程において、付着防止層の乾燥時に、加熱温度が高すぎたり、乾燥時間が長くなると、付着防止効果が損なわれるものであるため、工程管理や取扱いが困難であった。特許文献5においては、付着防止層に疎水性湿式シリカを用いた蓋材であるが、熱封緘層に低融点のワックスを使用しているため、ヒートシール時にワックスが溶融してしまい、ヒートシール性が劣るという問題があった。特許文献6においては、撥水層がオレフィン系樹脂からなる樹脂粒子に酸化物微粒子が付着した蓋体であるが、撥水性に劣り、特に、水分の少ない内容物に関しては不十分な非付着性である。また、開示されているこれらの蓋材は、長時間内容物が触れていると、その非付着層が劣化し、非付着性能が維持できなくなるという問題があった。
特開2009−73523号公報 特許第4348401号公報 特開2011−93315号公報 特開2013−32013号公報 特許第4668352号公報 特許第4878650号公報
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ヒートシール強度が良好で、十分な非付着性と耐久性を有する包装容器用ヒートシール性蓋材およびその蓋材と有底筒状の容器とからなり、該蓋材が該容器の開口部を覆うカップ状容器を提供することにある。
ことにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく検討した結果、包装容器の内面側の蓋材面を特定の構成の非付着層とすることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)基材層と1層または2層以上のヒートシール層と非付着層を含み、この順に積層した非付着性を有する包装容器用ヒートシール性蓋材であって、
前記非付着層は、疎水化処理を施したタルクを0.1〜50重量%含有する塗工液を該塗工液の塗工量が固形分で0.03g/m 以上、1.5g/m 以下からなる層であり、
前記基材層は、紙またはアルミニウム箔と、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、アルコール系フィルム、バリア性ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、防湿セロハン、透明蒸着ポリエステルフィルム、透明蒸着ポリアミドフィルム、コーティングフィルムから選ばれた少なくとも1つのフィルムとの積層体であることを特徴とする非付着性を有する包装容器用ヒートシール性蓋材、
(2)前記ヒートシール層が、ポリエステル樹脂および/またはアクリル樹脂を含むことを特徴とする(1)に記載の非付着性を有する包装容器用ヒーとシール性蓋材
(3)前記ヒートシール層が、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、シリカ、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト、ゼオライト、カオリナイト、ワックス類、樹脂ビーズまたはこれらの混合物から選ばれた少なくとも1つを含むことを特徴とする(1)または(2)に記載の非付着性を有する包装容器用ヒートシール性蓋材
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の非付着性を有する包装容器用ヒートシール性蓋材と、
有底筒状の容器とからなり、
該蓋材が該容器の開口部を覆うカップ状容器において、
該蓋材の非付着層と該有底筒状の容器の開口部の樹脂層とが接着され
前記有底筒状の容器の開口部の樹脂層が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂から選ばれた少なくとも1つの樹脂であることを特徴とするカップ状容器、に関するものである。

本発明によれば、ヒートシール強度が良好で、十分な非付着性と耐久性を有する包装容器用ヒートシール性蓋材およびその蓋材と有底筒状の容器とからなり、該蓋材が該容器の開口部を覆うカップ状容器を提供される。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更、実施の形態が可能である。
本発明の非付着性を有する包装容器用ヒートシール性蓋材(以下、単に「非付着性蓋材」ともいう)は、基材層と1層または2層以上のヒートシール層と非付着層を含み、この順に積層していることが好ましい。
本発明の非付着性蓋材は、前記非付着層が、少なくとも疎水化処理を施したタルク(以下、単に「疎水性タルク」ともいう)を含む層であることが好ましい。タルクは水酸化マグネシウムとケイ酸塩からなる鉱物で、粘土鉱物の一種である。タルク自体は、未処理でもある程度の疎水性はあるが、本発明の課題とする撥水性および非付着性には十分でなく、疎水化処理を施す必要がある。疎水化処理は、一般的なものでよく、シリカ処理、シリコーン処理(シロキサン処理)、樹脂処理、脂肪酸処理、シランカップリング処理、チタネート処理、あるいはこれらの複合処理などが施されていれば、いずれでもよい。処理量は、タルクに対して、0.01〜50重量%であることが好ましく、0.05〜30重量%であることがより好ましい。0.01重量%より少ないと、疎水性が十分でなく、50重量%より多いと、タルクの処理に寄与しないばかりか、それが不純物となり、ヒートシール性を阻害する。疎水化処理としては、タルクに疎水性基を導入できれば、特に限定されないが、撥水性、コスト、安全性からシリコーン処理が好適である。シリコーン処理には、常温で液状のシリコーン油が用いられる。シリコーン油は、ポリシロキサン構造を持ったものであれば特に限定されないが、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどがより好ましい。タルクに対して、シリコーン油を1.0〜5.0重量%使用して処理を行うことが好ましい。例えば、疎水化処理タルクは、シリコーン油のメチレンクロライド10%溶液を、タルクに対して、シリコーン油が1.0〜5.0重量%になるように噴霧し、100℃で2時間焼成処理することで得られる。
前記疎水性タルクの平均粒子径は、20.0μm以下であることが好ましく、10.0μm以下であることがさらに好ましい。タルクの平均粒子径が20.0μmよりも大きいと、撥水性が劣る。ここでいう平均粒子径は、レーザ法(MICROTRAC 9320×100 Honeywell社製)による測定値である。
前記非付着層は、前記疎水性タルクを含む塗工液を塗工して形成され、前記塗工液中の疎水性タルクの量が、0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜30重量%であることがより好ましく、5〜10重量%であることがさらに好ましい。0.1重量%より少ないと、塗工液を塗工した非付着層の撥水性が発現しにくく、50重量%より多いと、塗工液としての流動性が劣り、塗工に適さない。
前記塗工液に用いられる溶剤は、アルコールおよび/または水が好ましい。特に、撥水性の観点から、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロパノールなどが好ましい。これらを一種類または二種類以上組み合わせて使用してもよい。
前記塗工液は、必要に応じて、添加剤を使用することができる。例えば、粘度調整剤、分散剤、ブロッキング防止剤、ワックスなどが挙げられる。粘度調整剤としては、シリカなどの無機化合物、ポリアミドなどの樹脂系増粘剤、分散剤としては、高分子樹脂分散剤、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性などの界面活性剤、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂などの樹脂ビーズまたはこれらの混合物などが挙げられる。ブロッキング防止剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト、ゼオライト、カオリナイトなどの無機顔料が挙げられる。ワックスとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、マイクロクリスタリン、カルナバ、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
添加剤の添加量は、撥水性を阻害しない範囲で使用でき、疎水性タルクに対して、添加剤の総量として、80重量%以下が好ましく、70重量%以下がさらに好ましい。添加剤が疎水性タルクに対して80重量%より多いと、撥水性が低下する。
前記塗工液を塗工して形成される非付着層は、前記塗工液の塗工量(UC)が、固形分で0.03g/m≦UC≦1.5g/mであることが好ましく、0.1g/m≦UC≦1.0g/mであることがより好ましい。0.03g/mより少ないと、撥水性が発現しにくく、1.5g/mより多いと、ヒートシール性が劣る。
前記ヒートシール層は、ヒートシール強度が十分確保できるものであれば、その素材は基材層、用途、構成などに応じて、適宜選択できる。例えば、公知のシーラントフィルムの貼り合わせ、押出ラミネート加工による樹脂コーティング、ホットメルト接着剤の塗工、コーティング用ヒートシール剤の塗工などが挙げられる。
さらに、前記ヒートシール層の厚みは、特に限定されないが、ヒートシール性、コスト、生産性の観点から、シーラントフィルムでは2〜200μm、押出ラミネート加工による樹脂コーティングでは1〜100μm、ホットメルト接着剤の塗工では2〜100μm、コーティング用ヒートシール剤の塗工では0.01〜50μmであることが好ましい。
前記シーラントフィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテートなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルムなどが挙げられ、延伸していても、未延伸のどちらでもよく、一種類または二種類以上を積層していてもよい。
前記押出ラミネート加工による樹脂コーティングに使用できる樹脂としては、LDPE、LLDPE、HDPEなどのポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンやポリプロピレンをマレイン酸やフマル酸などで変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられ、これらの樹脂は、一種類または二種類以上を積層していてもよい。
前記ホットメルト接着剤は、例えば、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。なかでも、エチレン−酢酸ビニル樹脂が最も好適に用いることができる。組成としては、エチレン−酢酸ビニル樹脂とワックスとを主体とし、粘着付与剤として、ロジンを含んだものが好ましい。さらには、ホットメルト接着剤中に、エチレン−酢酸ビニル樹脂が、30重量%以上含有することが好ましく、40重量%以上含有することがより好ましい。30重量%より少ないと、耐熱性が低下する傾向にある。市販品のものが使用できる。市販品としては、X40A、EP10(いずれも、東京インキ(株)製)などを用いることができる。
前記コーティング用ヒートシール剤(以下、単に「ヒートシール剤」ともいう。)は、ヒートシール性樹脂と充填剤を含むヒートシール剤であることが好ましい。
ヒートシール剤に用いられる前記ヒートシール性樹脂の例としては、セラック類、ロジン類、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、硝化綿、酢酸セルロース、セルロースアセチルプロピオネート、セルロースアセチルブチレート、塩化ゴム、環化ゴム、ポリアミド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化エチレンビニルアセテート樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン−ビニルアルコール樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、カゼイン、アルキッド樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられ、これらは一種類または二種類以上組み合わせて使用してもよい。これらの樹脂を溶剤に溶解したタイプ、水系に溶解したタイプ、あるいはアクリル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョン、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール系エマルジョン、ポリプロピレン系エマルジョンなど水中に分散させたエマルジョンタイプなどの性状が挙げられる。
前記ヒートシール性樹脂のガラス転移点(以下、単に「Tg」ともいう。)は、100℃未満であることが好ましく、80℃以下がより好ましく、−50℃以上60℃以下がさらに好ましい。Tgが−50℃より低いと、べたつきが発生しやすくなり、100℃以上であると、ヒートシール強度が弱くなる。Tgが前記範囲内にあれば、特に樹脂系の制限はない。ここでいうTgは、示差走査熱量測定 DSCにより、サンプル5mg、測定温度−60〜120℃、昇温速度20℃/minの条件で測定された値である。
前記充填剤は、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、シリカ、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト、ゼオライト、カオリナイトなどの無機顔料、ポリエチレン、ポリプロピレン、マイクロクリスタリン、カルナバ、ポリテトラフルオロエチレンなどのワックス類、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂などの樹脂ビーズまたはこれらの混合物などが挙げられるが、ヒートシール剤として混合可能で、流動性が保たれれば、いずれでもよい。特に好ましいのは、樹脂ビーズである。
前記充填剤の平均粒子径は、3.0μmより大きいものであることが好ましく、5.0〜50.0μmの範囲内であることがより好ましい。3.0μm以下のものを含むと、撥水性が発現しにくく、50.0μmより大きいと、塗工適性が劣る。ここでいう平均粒子径は、レーザ法(MICROTRAC 9320×100 Honeywell社製)による測定値である。
ヒートシール剤中のヒートシール性樹脂分と充填剤の含有量は、ヒートシール性樹脂分/充填剤の重量比で、10/90〜99.9/0.1が好ましい。ヒートシール性樹脂分が10より少ないと、ヒートシール強度が弱くなり、充填剤が0.1より少ないと、撥水性が発現しにくい。
さらに、前記ヒートシール剤には、溶剤を含むことが好ましい。用いられる溶剤の例としては、有機溶剤および/または水が挙げられる。前記有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチルなどのエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤およびこれらのエステル化物が挙げられ、エステル化物としては主にアセテート化したものが選ばれ、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどが挙げられる。ヒートシール剤に用いられるヒートシール性樹脂を溶解できれば、いずれでもよい。
さらに、ヒートシール剤はその他の添加剤として、消泡剤、帯電防止剤、分散剤、界面活性剤、滑剤、可塑剤、レベリング剤、ブロッキング防止剤、ワックスなどをヒートシール強度に影響しない範囲で、適宜添加することができる。
前記ヒートシール剤は、組成物中の固形分が0.1〜90.0重量%であることが、塗工適性において好ましく、2.0〜70.0重量%であることがより好ましく、3.0〜50.0重量%であることがさらに好ましい。0.1重量%より少ないと、ヒートシール層が薄くなり、強度が劣る。90.0重量%より多いと、溶解または分散しにくく、ヒートシール剤そのものの製造が困難になったり、粘度が高くなり、塗工性に問題がある。
前記ヒートシール剤を塗工して形成されるヒートシール層の膜厚は、0.01〜50μmとすることが好ましい。膜厚が0.01μmより小さいものは、撥水性が発現しにくく、50μmより大きいものは、塗工による作製が困難である。
前記ヒートシール剤を塗工して形成されるヒートシール層は、前記ヒートシール剤の塗工量(HC)の合計が、固形分で0.5g/m≦HC≦8.0g/mの層であることが好ましく、0.6g/m≦HC≦5.0g/mであることがより好ましい。HCの合計が、0.5g/mより小さいと、ヒートシール強度が弱くなり、8.0g/mを超えると、ブロッキングしやすくなることに加え、コスト効果がなくなる。グラビア印刷方式による塗工では、1層のヒートシール層は、固形分でおおよそ0.5〜3g/mの塗工量のヒートシール剤を塗工して形成できる。
前記ヒートシール性樹脂と充填剤を含むヒートシール剤を塗工して形成されるヒートシール層は、その断面において凹凸状になる。凹凸状になることで、良好な撥水性、非付着性が得られる。
前記ヒートシール剤を塗工して形成されるヒートシール層は、前記ヒートシール剤の塗工量(HC)の合計が、前記範囲内であれば、1層であってもよいが、2層以上設けることが好ましく、ヒートシール強度のコントロールが容易になる。2層以上設ける場合は、同じ樹脂組成のヒートシール剤を塗工してもよいが、異なる樹脂組成のヒートシール剤であってもよく、適宜選択できる。
また、ヒートシール層を2層形成する場合、どちらかの1層に平均粒子径が30.0μmの充填剤を含むヒートシール剤を使用してヒートシール層を形成したとしても、もう1層に充填剤を含まないヒートシール剤および/または平均粒子径が3.0μm以下の充填剤を含んだヒートシール剤を使用してヒートシール層を形成すると、非付着層を形成したとしても、ヨーグルト非付着性や撥水性の効果が弱まる。
前記ヒートシール層の1層以上の形成は、多色グラビア印刷機の1ユニット以上を用いたグラビア印刷方式によって行われることが好ましい。このことにより、ヒートシール層を多層とすることができるため、ヒートシール強度のコントロールが容易に、低コストで行なうことができる。
本発明の基材層としては、紙、アルミニウム箔またはプラスチックフィルムまたはその積層体から選ばれた少なくとも1つであることが好ましい。積層方法は、ドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法や押出ラミネート法、接着剤などを介して貼り合せる方法などが挙げられ、これらを適宜組み合わせてもよい。基材層の厚さは、印刷適性、巻き取り適性などに支障のない範囲内であれば、特に制限はないが、5〜300μmが好ましく、6〜250μmがより好ましい。
前記紙は、印刷に適していればよく、出版印刷用紙、包装印刷用紙、板紙印刷用紙などが挙げられる。出版印刷用紙としては、上質紙やグラビア紙などの非塗工紙、アート紙やコート紙、微塗工紙などの塗工紙が挙げられる。包装印刷用紙としては、純白ロール紙や晒クラフト紙などが挙げられる。また、板紙印刷用紙としては、塗工または非塗工の白ボール、塗工または非塗工のマニラボール、ポリエチレンを押し出したポリエチレンコート紙などが挙げられる。さらには、ポリエチレン系やポリプロピレン系などの合成紙であってもよい。
前記プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテートなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、エチレン−ビニルアルコール、ポリビニルアルコールなどのアルコール系フィルム、ポリアミドフィルムまたはバリア層を中間に配したバリア性ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、防湿セロハン、PETフィルムまたはポリアミドフィルムにアルミナやシリカなどの蒸着層を設けた透明蒸着ポリエステルフィルムまたは透明蒸着ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸樹脂などをコートした各種コーティングフィルムなどが挙げられる。これらは延伸していても、未延伸のどちらでもよく、一種類または二種類以上を積層していてもよい。機械的強度や寸法安定性などを考慮して、適切なものが選択できる。また、密着性を向上させるため、コロナ処理、低温プラズマ処理、フレーム処理、溶剤処理、コート処理などを施すか、あらかじめ施されたものが選択できる。
前記ドライラミネート法やノンソルベントラミネート法などに使用できるプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテートなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、エチレン−ビニルアルコール、ポリビニルアルコールなどのアルコール系フィルム、ポリアミドフィルムまたはバリア層を中間に配したバリア性ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、防湿セロハン、PETフィルムまたはポリアミドフィルムにアルミナやシリカなどの蒸着層を設けた透明蒸着ポリエステルフィルムまたは透明蒸着ポリアミドフィルム、PETフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムなどにアルミニウムを蒸着させたアルミニウム蒸着フィルム、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸樹脂などをコートした各種コーティングフィルムなどが挙げられる。これらは延伸、未延伸のどちらでもよく、一種類または二種類以上を積層していてもよい。機械的強度や寸法安定性などを考慮して、適切なものが選択できる。また、プラスチックフィルム以外にも紙や加工紙、アルミニウム箔なども使用できる。
前記押出ラミネート法に使用できる樹脂としては、LDPE、LLDPE、HDPEなどのポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンやポリプロピレンをマレイン酸やフマル酸などで変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は一種類または二種類以上を積層していてもよい。
本発明の非付着性蓋材と、有底筒状の容器とからなり、該蓋材が該容器の開口部を覆うカップ状容器であって、該蓋材の非付着層と該有底筒状の容器の開口部の樹脂層とが接着されているカップ状容器であることが好ましい。
前記開口部の樹脂層に用いられる樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリルなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。前記した通り、ヒートシール層を多層とすることができるため、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル基材層からなる蓋材とポリスチレン樹脂からなる容器の開口部との接着を十分高めることができる。この場合、「PET(蓋材の基材層)/PETへの親和性の高いシール層(第1のヒートシール層)/ポリスチレンへの親和性の高いシール層(第2のヒートシール層)/非付着層/ポリスチレン(容器の樹脂層)」といった容器が容易に作製できる。
前記基材層とヒートシール層の間は、無地である必要はなく、基材層に、印刷インキ層(以下、単に「印刷インキ」ともいう)を1色以上塗工することができる。基材層に印刷インキ層を塗工することにより、例えば、会社名、製品名、内容物、成分表示、応募方法やキャンペーンの告知、食べ方や使用方法、年月日、原産地、当たりくじなどの情報を付与することができる。
前記印刷インキ層としては、通常のグラビアインキが使用でき、基材層に応じて、適宜選択できる。印刷適性や汎用性の観点から、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、硝化綿、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂などのグラビアインキが好ましく、これらの樹脂が一種類または二種類以上組み合わせたグラビアインキであってもよい。また、2色以上のグラビアインキを使用する場合は、同じ樹脂系のインキである必要はなく、別の樹脂系のインキも適宜使用できる。
市販品としては、LG−NT(ウレタン系)、TPH(ポリアミド系)、VESTA(ポリアミド系)、LRC−NT(硝化綿系)、KCNT(硝化綿系)、SYNA−S(アクリル系)、LAMREK(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂系)(以上、いずれも東京インキ(株)製)などを用いることができる。
前記基材層とヒートシール層の密着性が、十分でない場合は必要に応じて、その間にアンカーコート層を設けることもできる。アンカーコート層は、基材層とヒートシール層の密着性を高めるものであり、塗工適性を有するアンカーコート剤が好適である。
前記アンカーコート剤は、溶剤および樹脂を含有するものであり、該樹脂は該溶剤中に溶解または分散しているものである。該溶剤は、グラビア印刷で通常使用される有機溶剤型または水性型を用いることができる。該樹脂としては、良好な接着性が得られるものであればよく、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
前記アンカーコート剤は、必要に応じて、硬化剤を添加することもできる。例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネートおよびこれらのトリメチロールプロパン三量体、イソシアヌレート体、ビュレット体、アロファネート体などの変性体などのポリイソシアネート系硬化剤が挙げられ、これらを一種類または二種類以上組み合わせて使用できる。
前記非付着層を形成する塗工液、ヒートシール剤、印刷インキ、アンカーコート剤といった各組成物は、顔料、疎水性タルク、ヒートシール性樹脂、充填剤、各種添加剤などを溶剤中に均一に溶解または分散することにより公知の方法で製造できる。溶解または分散方法は、ディゾルバー、ロールミル、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、ペイントシェーカー、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、パールミル、超音波ホモジナイザー、湿式ジェットミル、ニーダー、ホモミキサーなどの各種撹拌機または分散機を使用できる。これらの装置は一種類または二種類以上組み合せて使用してもよい。各組成物中に気泡や粗大粒子が含まれる場合、印刷適性や印刷物品質を低下させるため、公知のろ過機や遠心分離機などを用いて、取り除くことが好ましい。
前記各組成物の粘度は、印刷に支障のない範囲であれば、特に制限はない。各組成物の製造適性、取扱いなどを考慮すれば、25℃において10〜1,000mPa・sであることが好ましい。
前記粘度は、ブルックフィールド型粘度計などの市販の粘度計を用いて測定することができる。
前記各組成物は、そのまま塗工することもできるが、塗工条件、塗工効果に応じ、ザーンカップ#3((株)離合社製)にて、希釈溶剤で希釈することにより所望の粘度に調整して使用できる。この場合の粘度は、25℃において10〜40秒であることが好ましい。
前記希釈溶剤は、前記各組成物の粘度を調整して使用できるものであれば、いずれでもよく、有機溶剤、水などが挙げられ、市販のものも使用できる。市販品としては、TA52(アルコール系溶剤)、PU515(ノントルエン系溶剤)、SL9155(ノントルエン系溶剤)、TS31(エステル系溶剤)(以上、いずれも東京インキ(株)製)などが挙げられる。
本発明の非付着性蓋材の製造方法は、基材層と1層または2層以上のヒートシール層と非付着層を含み、この順に積層した非付着性を有する包装容器用ヒートシール性蓋材の製造方法において、前記ヒートシール層を形成する工程と、疎水化処理を施したタルクを含む塗工液を塗工して前記非付着層を形成する工程とを、含むことによって好適に得ることができる。さらに、前記ヒートシール層を形成する工程と前記非付着層を形成する工程が、多色グラビア印刷機を用いたグラビア印刷方式によって行われることがより好適である。より具体的には、前記積層方法により積層した基材層を作成してから、グラビア印刷方式により、1層以上のヒートシール層と非付着層を形成して非付着性蓋材を作製してもよいが、ベースとなる基材層の一方面に、グラビア印刷方式により、1層以上のヒートシール層と非付着層を形成してから、該基材層の他方面に前記積層方法により基材層を形成して非付着性蓋材を作製してもよい。この場合、ヒートシール層の形成はヒートシール剤を使用することがより好ましい。前記シーラントフィルムの貼り合わせ、押出ラミネート加工による樹脂コーティング、ホットメルト接着剤の塗工によるヒートシール層の形成工程は、これらのヒートシール層を作製する工程と、非付着層を作製する工程が別々の工程となってしまうが、多色グラビア印刷機を用いたグラビア印刷方式によって行われる本発明の製造方法によれば、インラインで、連続して各層を形成でき、一連の流れのなか(1パス)で非付着性蓋材を低コストで容易に作製することができる。
以下に実施例および比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の部は重量部を、%は重量%を表す。
[基材層の作製]
基材層1
印刷用紙(略称:紙)に、KCNTインキ(硝化綿系、東京インキ(株)製)で、グラビア印刷法により印刷を施し、非印刷面をドライラミネート法により、ウレタン系接着剤(略称:DL)を用いて、厚さ15μmのアルミニウム箔(略称:AL)を貼り、次いで、同様に、厚さ12μmのPETフィルム(略称:PET)を貼り合わせてから、40℃で3日間エージングをして、「KCNTインキ/紙/DL/AL/DL/PET」の構成の基材層1を作製した。
基材層2
厚さ12μmのPETフィルムにLG−NTインキ(ウレタン系、東京インキ(株)製)で、印刷を施し、印刷面をドライラミネート法により、ウレタン系接着剤を用いて、厚さ15μmのアルミニウム箔を貼り、次いで、同様に、厚さ12μmのPETフィルムを貼り合わせてから、40℃で3日間エージングをして、「PET/LG−NTインキ/DL/AL/DL/PET」の構成の基材層2を作製した。
[コーティング用ヒートシール剤の作製]
ヒートシール剤1
ポリエステル樹脂系溶液(固形分30%、Tg5℃)50部に、アクリル樹脂ビーズ(平均粒径30μm)を10部添加し、撹拌しながら、酢酸n−プロピルを40部添加して、ヒートシール剤1を作製した。
ヒートシール剤2
アクリル樹脂系溶液(固形分30%、Tg50℃)60部に、アクリル樹脂ビーズ(平均粒径30μm)を10部添加し、撹拌しながら、酢酸エチル10部、メチルエチルケトン10部、酢酸n−プロピル10部を添加して、ヒートシール剤2を作製した。
[非付着層塗布液の作製]
非付着層塗布液1(実施例1)
エタノール90部に、疎水化処理したタルク1)10部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗布液1を作製した。
1):タルクに対し、3重量%となるようにシリコーン油(KF−96−50cs、信越化学工業(株)製)のメチレンクロライド10%溶液を噴霧し、100℃で2時間焼成処理し、表面被覆処理したタルク(平均粒子径6μm)
非付着層塗布液2(実施例2)
エタノール90部に、疎水化処理したタルク8部、シリカ2部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗布液2とした。
非付着層塗布液3(比較例1)
エタノール90部に、疎水化処理していないタルク(平均粒子径7〜11μm、JA−46R、浅田製粉(株)製)10部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗布液3とした。
非付着層塗布液4(比較例2)
エタノール90部に、疎水化処理したシリカ(平均粒子径6.2μm、SIPERNAT D10、EVONIK社製)10部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗布液4とした。
[非付着性蓋材の作製]
(実施例3)
印刷用紙に、KCNTインキで、グラビア印刷法により印刷を施した後、非印刷面にドライラミネート法により、ウレタン系接着剤を用いて、厚さ15μmのアルミニウム箔を貼り、次いで、アルミニウム箔上に、イソシアネート系アンカーコート剤(略称:AC)を塗工しながら、低密度ポリエチレン(略称:LDPE)を膜厚15μmとなるように、押出ラミネートを施して、積層した。次に、LDPE上に、ホットメルト接着剤(X40A、東京インキ(株)製、略称:HM)をグラビア塗工して、25g/mとなるように、積層した。これによって、「KCNTインキ/紙/DL/AL/AC/LDPE/HM」の構成の積層体を作製した。さらに、該積層体のHMの塗工側に非付着層塗布液1(略称:非付着層1)を塗工機にて、塗工して、巻き取り、非付着性蓋材1を作製した。非付着層塗布液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、塗工量は0.3g/mであった。これによって、非付着性蓋材1は、「KCNTインキ/紙/DL/AL/AC/LDPE/HM/非付着層1」の構成の蓋材となった。
(実施例4)
印刷用紙に、KCNTインキで、グラビア印刷法により印刷を施した後、非印刷面にドライラミネート法により、ウレタン系接着剤を用いて、厚さ15μmのアルミニウム箔を貼り、次いで、アルミニウム箔上に、イソシアネート系アンカーコート剤を塗工しながら、低密度ポリエチレンを膜厚15μmとなるように、押出ラミネートを施した上に、厚さ30μmの直鎖状低密度ポリエチレン(略称:LLDPE)のフィルムを積層した。これによって、「KCインキ/紙/DL/AL/AC/LDPE/LLDPE」の構成の積層体を作製した。さらに、LLDPEの塗工側に非付着層塗布液2(略称:非付着層2)を塗工機にて、塗工して、巻き取り、非付着性蓋材2を作製した。非付着層塗布液2はTA52にて、希釈し、塗工量は0.4g/mであった。これによって、非付着性蓋材2は、「KCNTインキ/紙/DL/AL/AC/LDPE/LLDPE/非付着層2」の構成の蓋材となった。
(実施例5)
5色機グラビア印刷機を用いて、基材層1に、第一ユニットで、LG−NT631R白S(ウレタン系グラビアインキ、東京インキ(株)製、略称:白インキ)で絵柄を印刷し、第二ユニットで、ヒートシール剤1(略称:HT1)、第三ユニットで、ヒートシール剤2(略称:HT2)、第四ユニットで、非付着層塗布液1を印刷して、巻き取り、非付着性蓋材3を作製した。このとき、LG−NT631R白Sの粘度は、離合社のザーンカップ#3を用いて、希釈溶剤PU515(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)にて、15秒に調整した。また、ヒートシール剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、ヒートシール剤2はPU515(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液1はTA52にて、希釈し、それぞれ塗工量は、1.1g/m、0.9g/m、0.5g/mであった。これによって、非付着性蓋材3は、「KCNTインキ/紙/DL/AL/DL/PET/白インキ/HT1/HT2/非付着層1」の構成の蓋材となった。
(実施例6)
基材層1を基材層2に変更した以外は実施例5と同じ条件にて、非付着性蓋材4を作製した。これによって、非付着性蓋材4は、「PET/LG−NTインキ/DL/AL/DL/PET/白インキ/HT1/HT2/非付着層1」の構成の蓋材となった。
(実施例7)
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ12μmのPETフィルムに、第一ユニットで、ヒートシール剤1、第二ユニットで、ヒートシール剤2、第三ユニットで、非付着層塗布液2を印刷した後、巻き取った。ヒートシール剤1はSL9155、ヒートシール剤2はPU515、非付着層塗布液2は、TA52にて、希釈し、それぞれ塗工量は、1.0g/m、0.9g/m、0.4g/mであった。この塗工面と反対面に、ドライラミネート法により、ウレタン系接着剤を用いて、厚さ15μmのアルミニウム箔を貼り、次いで、同様に、アルミニウム箔面にあらかじめ、LG−NTインキで印刷された厚さ12μmのPETフィルムの印刷面を貼り合わせてから、40℃×3日間エージングをして、非付着性蓋材5を作製した。これによって、非付着性蓋材5は、「PET/LG−NTインキ/DL/AL/DL/PET/HT1/HT2/非付着層2」の構成の蓋材となった。
(比較例3)
5色機グラビア印刷機を用いて、基材層2に、第一ユニットで、ヒートシール剤1、第二ユニットで、ヒートシール剤2、第三ユニットで、非付着層塗布液3(略称:非付着層3)を印刷して、巻き取り、非付着性蓋材6を作製した。このとき、ヒートシール剤1はSL9155、ヒートシール剤2はPU515、非付着層塗布液3はTA52にて、希釈し、それぞれ塗工量は、0.8g/m、0.8g/m、0.3g/mであった。これによって、非付着性蓋材6は、「PET/LG−NTインキ/DL/AL/DL/PET/HT1/HT2/非付着層3」の構成の蓋材となった。
(比較例4)
5色機グラビア印刷機を用いて、基材層2に、第一ユニットで、ヒートシール剤1、第二ユニットで、ヒートシール剤2、第三ユニットで、非付着層塗布液4(略称:非付着層4)を印刷して、巻き取り、非付着性蓋材7を作成した。このとき、ヒートシール剤1はSL9155、ヒートシール剤2はPU515、非付着層塗布液4はTA52にて、希釈し、それぞれ塗工量は、0.8g/m、0.9g/m、0.4g/mであった。これによって、非付着性蓋材7は、「PET/LG−NTインキ/DL/AL/DL/PET/HT1/HT2/非付着層4」の構成の蓋材となった。
(比較例5)
市販品のヨーグルト(商品名:ビヒダスヨーグルト、森永乳業(株)製)の蓋材を、カップ容器から剥がし、蓋材の内面部分にヨーグルトが付着していないこと、後記撥水性、ヨーグルト非付着性およびヒートシール性が十分維持されていることを確認したものを非付着性蓋材8として使用した。
実施例3〜7、比較例3〜5の非付着性蓋材について撥水性、ヨーグルト非付着性、ヒートシール性、耐久性の結果を、表1に示した。
<撥水性>
非付着性蓋材の非付着層について、接触角を測定した。測定には、ポータブル接触角計PCA−1(協和界面科学(株)製)を用いた。測定値が大きいほど撥水性が高く、優れる。
◎:130°以上、○:130°未満、110°以上、△:110°未満、90°以下、×:90°未満の4段階で評価した。
<ヨーグルト非付着性>
水平状態に設置した非付着性蓋材の非付着層に、ヨーグルト(商品名:ビヒダスヨーグルト、森永乳業(株)製)を1滴のせ、非付着性蓋材の片側をゆっくりと持ち上げて、傾けた際に、ヨーグルトが転がり落ちた時の角度を観察した。角度が小さいほど、ヨーグルトが付着しにくく、ヨーグルト非付着性が優れる。
◎:30°以下、○:30°超、60°以下、△:60°超、90°以下、×:90°超の4段階で評価した。
<ヒートシール性>
非付着性蓋材と厚さ0.15mmのポリスチレンシートを、140℃、2秒間、3kgf/cmの加重にて、ヒートシールした後、15mm巾の短冊状にして、試料片とした。この試料片を、万能型引張試験機(RTE−1210、(株)オリエンテック製)にて、剥離角度180°、引張速度300mm/minの条件にて、引っ張り、剥離時の最大荷重をシール強度(g)として測定した。シール強度が大きいほど、ヒートシール性が優れる。
◎:300g以上、○:300g未満、200g以上、△:200g未満、100g以上、×:100g未満の4段階で評価した。
<耐久性>
水平状態に設置した非付着性蓋材の非付着層に、ヨーグルト(商品名:ビヒダスヨーグルト、森永乳業(株)製)を1滴のせ、ヨーグルトの乾燥防止のためカバーを掛けて、そのまま24時間冷蔵庫内に静置した。その後、冷蔵庫内から非付着性蓋材を取り出し、カバーを取り除き、さらに、非付着性蓋材の片側をゆっくりと持ち上げて、傾けた際に非付着性蓋材の非付着層からヨーグルトが転がり落ちる様子を目視にて観察した。耐久性が優れるとは、長時間非付着性蓋材の非付着層に内容物が接触していても、その非付着性能の劣化が起こらず、持続することを示す。したがって、非付着性蓋材の非付着層からヨーグルトが転がり落ちるものを、耐久性が優れるとした。
◎:ヨーグルトが転がり落ち、付着がない(耐久性が優れる)、×:ヨーグルトが転がり落ちず、そのまま付着する(耐久性が劣る)の2段階で評価した。
<総合評価>
前記撥水性、ヨーグルト非付着性、ヒートシール性、耐久性のうち、評価結果がすべて「◎」のものは総合評価として「◎」、評価結果が「◎」か「○」であるものは総合評価として「○」、1つでも「△」があるものは総合評価として「△」、1つでも「×」があるものは総合評価として「×」とした。
Figure 0006310269
表1によると、実施例3〜7の非付着性蓋材は、比較例3〜5の非付着性蓋材と比べ、撥水性、ヨーグルト非付着性、ヒートシール性、耐久性のバランスが優れることが明確である。未処理のタルクを使用した例である比較例3は、撥水性、ヨーグルト非付着性、耐久性が劣る。非付着層が処理シリカを用いた従来例である比較例4は、ヒートシール性がやや劣る。市販品の比較例5は、初期の撥水性、ヨーグルト非付着性は良好であるが、長時間ヨーグルトが非付着層に付着した状態で保持されると、当該部分の非付着層が何らかの原因で劣化し、当該部分にそのままヨーグルトが付着し続けてしまう(耐久性が劣る)。このことは、カップなどの容器にヨーグルトを充填後、蓋材で封をし、製品として流通する際に、輸送、運搬などの行程時の振動や転置、横転などにより、蓋材にヨーグルトが長時間触れた状態になると、仮にその後、正置されたとしても、ヨーグルトがそのまま付着してしまうことになり、見栄えが悪くなったり、内容物の使い切りができないことによる無駄が生じたり、手指や衣服、あるいはテーブルなどの汚損の原因となると共に、内面側の蓋材面に情報などを印刷しても視認できないなど、といった問題が生じる。
本発明の包装容器用ヒートシール性蓋材によれば、ヒートシール強度が良好で、十分な非付着性と耐久性を有し、かつ低コストで容易に作製できるため、内容物が付着しない蓋材を有するカップ状容器として有効に利用することができる。また、必要に応じて、蓋材用基材とヒートシール層の間に印刷層を設けることによって、キャンペーンや、内容物の使用方法など、顧客向け情報の表示に利用できたり、さらに、蓋材用基材とヒートシール層の間に、他のヒートシール層や同じヒートシール層もしくはアンカーコート層を設けることによって、様々な素材の蓋材用基材への対応が容易となり、蓋材用基材とヒートシール層の密着強度を向上させた蓋材として利用することができる。
また、グラビア印刷方式にて塗工できることから、蓋材の用途に限らず、食品用途、日用品用途、医薬品用途および産業資材用途などの各種撥水用フィルム、シール、ラベル、シートなどさらにそれを利用した包装袋に広く適用できる。

Claims (4)

  1. 基材層と1層または2層以上のヒートシール層と非付着層を含み、この順に積層した非付着性を有する包装容器用ヒートシール性蓋材であって、
    前記非付着層は、疎水化処理を施したタルクを0.1〜50重量%含有する塗工液を該塗工液の塗工量が固形分で0.03g/m 以上、1.5g/m 以下からなる層であり、
    前記基材層は、紙またはアルミニウム箔と、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、アルコール系フィルム、バリア性ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、防湿セロハン、透明蒸着ポリエステルフィルム、透明蒸着ポリアミドフィルム、コーティングフィルムから選ばれた少なくとも1つのフィルムとの積層体であることを特徴とする非付着性を有する包装容器用ヒートシール性蓋材。
  2. 前記ヒートシール層が、ポリエステル樹脂および/またはアクリル樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の非付着性を有する包装容器用ヒーとシール性蓋材。
  3. 前記ヒートシール層が、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、シリカ、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト、ゼオライト、カオリナイト、ワックス類、樹脂ビーズまたはこれらの混合物から選ばれた少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の非付着性を有する包装容器用ヒートシール性蓋材。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の非付着性を有する包装容器用ヒートシール性蓋材と、
    有底筒状の容器とからなり、
    該蓋材が該容器の開口部を覆うカップ状容器において、
    該蓋材の非付着層と該有底筒状の容器の開口部の樹脂層とが接着され
    前記有底筒状の容器の開口部の樹脂層が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂から選ばれた少なくとも1つの樹脂であることを特徴とするカップ状容器。
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