JP6506006B2 - 非付着性包装容器および非付着性包装容器の製造方法 - Google Patents

非付着性包装容器および非付着性包装容器の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水分や糖分を含む食品や水分を含むあるいは水滴などが付着する可能性がある環境で使用される物品に使用される非付着性包装容器およびその製造方法に関する。
従来、水分や糖分を含む食品や水分を含む物品などにおいて、これらを包装する容器などにこれらの物品を封入したり、載置したりする場合、包装容器とこれらが接する部分に食品や物品が付着してしまうという問題がある。これらに非付着性を付与するために、プラスチックシートにエンボス加工を施したり、不織布のように表面に多数の毛管をもつフィルムを使用して、物品との接触面積を減らして、付着を低減するものや、離型油やシリコーン樹脂などをコーティングするなどして、付着しにくくするものなどが考案されている。また、水滴などが付着する可能性がある環境で使用される物品においては、これらに水滴などの付着を抑制または防止するために、表面をシリコーンで処理したり、離型剤やシリコーン樹脂やフッ素樹脂などをコーティングするものなどが考案されている。
特許文献1においては、エンボスフィルムを使用し、さらに含気状態にすることで、被包装物の型崩れ、身離れ、剥れ発生をより抑制できる食品包装体が開示されているが、エンボス加工が必須であり、被包装物の下面のトレイには依然被包装物が付着する。特許文献2においては、フィルムにプラズマ化学蒸着法によって珪素酸化物を主とする連続層を離形層とする離形フィルムが開示されているが、フィルムへの蒸着処理が必須で、別の工程になってしまう。特許文献3においては、球状シリコンを添加した樹脂層を最内層とする内容物撥水性・離型性を有する包装材が開示されているが、最内層は、球状シリコンをポリエチレン樹脂に混合し、共押出しフィルムとしたものであり、該層の厚みは40〜60μmとかなり厚いものとなってしまう。特許文献4においては、プラスチックフィルムにシリコーン系微粉末を含有したシリコーン樹脂を塗工した離型フィルムが開示されているが、シリコーン系微粉末同士が凝集して、均一な分散性が得られず、表面へのシリコーンの露出が不安定になったり、有機溶剤が大量に用いられることや、離型剤を硬化させる際基材が高温に晒されるため、ピンホールが発生するなどといった問題が起こる。
特開2007−308191号公報 特開平8−164969号公報 特開平8−337267号公報 特公平6−2393号公報
そこで、本発明は、非付着性を付与するためのエンボス加工や蒸着処理などの工程が不要で、非付着層が薄くても、十分な撥水性および非付着性を有し、低コストで容易に製造できる非付着性包装容器を提供することを目的とする。
本発明者らは、熱可塑性樹脂層の少なくとも片面に凹凸付与剤を含むアンカーコート層と疎水化処理された無機粒子を含む非付着層が、この順に積層された非付着性積層体を含む非付着性包装容器とすることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)フィルムまたはシートならびにこれらの積層体からなる熱可塑性樹脂層の少なくとも片面に、アンカーコート層と、非付着層が、この順に積層された非付着性積層体を含む非付着性包装容器の製造方法において、
前記アンカーコート層は、5℃以上、50℃以下のガラス転移点(Tg)を有するアクリル系樹脂またはポリエステル系樹脂のなかから選ばれる1種アクリル樹脂ビーズとを含むアンカーコート剤を塗工して形成される層で、
前記非付着層は、疎水化処理された無機粒子とアルコールおよび/または水とを含む塗工液を塗工して形成される層であり、
前記フィルムまたはシートならびにこれらの積層体からなる熱可塑性樹脂層が、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂のなかから選ばれる少なくとも一つであり、
アンカーコート層を形成する工程と、
非付着層を形成する工程とが、この順に形成する工程であり
かつ、前記アンカーコート層を形成する前記工程が、多色グラビア印刷機の1ユニットを用いたグラビア印刷による塗布工程で、
前記非付着層を形成する前記工程が、前記多色グラビア印刷機の別の1ユニットを用いたグラビア印刷による塗布工程であることを特徴とする非付着性包装容器の製造方法、
(2)前記疎水化処理された無機粒子が、シリカ、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、またはそれらの混合物を疎水化処理したものから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする(1)に記載の非付着性包装容器の製造方法、
)前記フィルムまたはシートならびにこれらの積層体からなる熱可塑性樹脂層が、ポリプロピレン樹脂、およびポリスチレン樹脂のなかから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする(1)または)に記載の非付着性包装容器の製造方法、
である。
本発明によれば、非付着性を付与するためのエンボス加工や蒸着処理などの工程が不要で、非付着層が薄くても、十分な撥水性および非付着性を有し、低コストで容易に製造できる、熱可塑性樹脂層の少なくとも片面に凹凸付与剤を含むアンカーコート層と疎水化処理された無機粒子を含む非付着層が、この順に積層された非付着性積層体を含む非付着性包装容器および非付着性包装容器の製造方法を提供できる。
本発明の非付着性包装容器についてその一例を示す概略断面図である。 本発明の非付着性包装容器についてその一例を示す概略断面図である。 本発明の非付着性包装容器についてその一例を示す概略断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更、実施の形態が可能である。
本発明の非付着性包装容器は、熱可塑性樹脂層の少なくとも片面に凹凸付与剤を含むアンカーコート層と疎水化処理された無機粒子を含む非付着層が、この順に積層された非付着性積層体を含むことが好ましい。
前記熱可塑性樹脂層は、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂から選ばれる少なくとも一つを含むフィルムまたはシートならびにこれらの積層体であることが好ましい。
前記凹凸付与剤を含むアンカーコート層とすることにより、凹凸状の層が設けられ、熱可塑性樹脂層と非付着層の密着性の向上に寄与するだけでなく、設けられた凹凸状の層上に、さらに非付着層が積層されることにより、非付着性に大きな効果がある。アンカーコート層は、凹凸付与剤を含む塗工適性を有するアンカーコート剤により形成することが好ましい。
前記凹凸付与剤は、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、シリカ、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト、ゼオライト、カオリナイトなどの無機顔料、ポリエチレン、ポリプロピレン、マイクロクリスタリン、カルナバ、ポリテトラフルオロエチレンなどのワックス類、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂などの樹脂類、またはこれらの混合物から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
さらに、前記凹凸付与剤が、粉状またはビーズ状であることが好ましい。特に好ましいのは、樹脂ビーズであるが、アンカーコート剤として混合可能で、流動性が保たれれば、いずれでもよい
前記凹凸付与剤の平均粒子径は、0.1μmより大きいものであることが好ましく、0.3〜50μmの範囲内であることがより好ましく、0.8〜30μmの範囲内であることがさらに好ましい。0.1μm以下のものを含むと、撥水性が発現しにくく、50μmより大きいと、塗工適性が劣る。
前記アンカーコート剤は、樹脂と凹凸付与剤を含むことが好ましい。該樹脂と凹凸付与剤の含有量は、樹脂/凹凸付与剤の重量比で、10/90〜99.9/0.1が好ましい。樹脂が10より少ないと、基材層への密着性に劣り、凹凸付与剤が0.1より少ないと、撥水性が発現しにくい。
前記樹脂と凹凸付与剤を含むアンカーコート剤を塗工して形成されるアンカーコート層は、その断面において凹凸状になる。凹凸状になることで、良好な撥水性、非付着性が得られる。
前記樹脂としては、良好な接着性が得られるものであればよく、例えば、セラック類、ロジン類、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、硝化綿、酢酸セルロース、セルロースアセチルプロピオネート、セルロースアセチルブチレート、塩化ゴム、環化ゴム、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリアミド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化エチレンビニルアセテート樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン−ビニルアルコール樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、カゼイン、アルキッド樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられ、これらは一種類または二種類以上組み合わせて使用してもよい。これらの樹脂を溶剤に溶解したタイプ、水系に溶解したタイプ、あるいはアクリル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョン、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール系エマルジョン、ポリプロピレン系エマルジョンなど水中に分散させたエマルジョンタイプなどの性状が挙げられる。
前記アンカーコート剤は、さらに溶剤を含むことが好ましく、前記樹脂を該溶剤中に溶解または分散させるものである。
前記溶剤は、グラビア印刷で通常使用される有機溶剤型または水性型を用いることができる。例えば、有機溶剤および/または水が挙げられる。前記有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ノルマルプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチルなどのエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤およびこれらのエステル化物が挙げられ、エステル化物としては主にアセテート化したものが選ばれ、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどが挙げられる。アンカーコート剤に用いられる樹脂を溶解できれば、いずれでもよい。
前記アンカーコート剤は、必要に応じて、硬化剤を添加することもできる。例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネートおよびこれらのトリメチロールプロパン三量体、イソシアヌレート体、ビュレット体、アロファネート体などの変性体などのポリイソシアネート系硬化剤が挙げられ、これらを一種類または二種類以上組み合わせて使用できる。
前記疎水化処理された無機粒子は、シリカ、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、またはそれらの混合物を疎水化処理したものから選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。なかでも、疎水化処理したシリカ、タルク(以下、単にそれぞれ「処理シリカ」、「処理タルク」ともいう。)がより好ましい。非付着層は、疎水化処理された無機粒子を含む塗工適性を有する塗工液により形成することが好ましい。
無機粒子の疎水化処理としては、無機粒子に疎水性基を導入できれば、特に限定されないが、撥水性、コスト、安全性からシランカップリング処理やシリコーン処理、シラザン処理が好適である。シランカップリング処理には公知のシランカップリング剤が用いられ、シリカ、タルクなどの無機フィラーへの処理は乾式法または湿式法による処理が好ましい。一般にシランカップリング剤は、1つの分子中に有機官能基とアルコキシ基の2つの異なる官能基を持つシラン化合物であり、アミノプロピルメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン系カップリング剤、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシジルブチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシシラン系カップリング剤、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプトシラン系カップリング剤、メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシランなどのシラン系カップリング剤などが用いられる。例えば、乾式法は、無機粒子を撹拌機によって高速撹拌させ、そこにシラン化合物の原液を均一に分散させて処理する方法が知られ、湿式法は、シランの希薄溶液に無機粒子を浸漬させて処理する方法が知られている。シリコーン処理には、常温で液状のシリコーン油が用いられる。シリコーン油は、ポリシロキサン構造を持ったものであれば特に限定されないが、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどがより好ましい。タルクに対して、シリコーン油を1〜5重量%使用して処理を行うことが好ましい。シラザン処理には、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ヘキサフェニルジシラザン、ジメチルアミノトリメチルシラン、トリシラザン、シクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザンなどのオルガノシラザン化合物が好ましく用いられ、ヘキサメチルジシラザンがより好ましく用いられる。例えば、シリカやタルクなどの無機粒子を流動させた状態でヘキサメチルジシラザンを噴霧させる方法や、アルコール、トルエンなどの有機溶媒中にシリカやタルクなどを加え、さらにヘキサメチルジシラザンと水とを加えた後、水と有機溶媒とをエバポレーターで蒸発乾燥させる方法などにより作製することができる。より詳しくは、無機粒子をヘンシェルミキサーに入れ、窒素雰囲気下にて攪拌しながら水およびHMDSを噴霧し、加熱した後に冷却し、ボールミルで解砕することにより、HMDS処理無機粒子を作製することができる。
シリカ(二酸化ケイ素)は、天産品、合成品あるいは結晶性、非晶質性とその種類は多いが、その中で合成非晶質シリカが好ましい。合成非晶質シリカには、湿式法シリカと乾式法シリカに大別されるが、シランカップリング処理やシリコーン処理(シロキサン処理)、シラザン処理あるいはこれらの複合処理などの疎水性処理がなされていれば、いずれでもよい。市販品としては、SIPERNATシリーズ(EVONIK社製)、AEROSILシリーズ(日本アエロジル(株)製)、WACKER HDKシリーズ(旭化成ワッカーシリコーン(株)製)、レオロシール((株)トクヤマ製)などが挙げられる。
タルクは水酸化マグネシウムとケイ酸塩からなる鉱物で、粘土鉱物の一種である。タルク自体は、未処理でもある程度の疎水性はあるが、本発明の課題とする撥水性および非付着性には十分でなく、疎水化処理をする必要がある。疎水化処理は、一般的なものでよく、シリカ処理、シリコーン処理(シロキサン処理)、シラザン処理、樹脂処理、脂肪酸処理、シランカップリング処理、チタネート処理、あるいはこれらの複合処理などが施されていれば、いずれでも良い。処理量は、タルクに対して、0.01〜50重量%であることが好ましく、0.05〜30重量%であることがより好ましい。0.01重量%より少ないと、疎水性が十分でなく、50重量%より多いと、タルクの処理に寄与しないばかりか、それが不純物となり、撥水性を阻害する。例えば、処理タルクは、シリコーン油のメチレンクロライド10%溶液を、タルクに対して、シリコーン油が1〜5重量%になるように噴霧し、100℃で2時間焼成処理することで得られる。
前記疎水化処理された無機粒子の平均粒子径は、50μm以下であることが好ましく、0.001〜50μmの範囲内であることがより好ましく、0.003〜30μmの範囲内であることがさらに好ましい。0.001μm以下のものを含むと、撥水性が発現しにくく、50μmより大きいと、耐摩擦性が劣る。ここでいう平均粒子径は、レーザ法(MICROTRAC 9320×100 Honeywell社製)による測定値である。
処理シリカの場合は、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
処理タルクの場合は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
さらに前記疎水化処理された無機粒子を含有する塗工液を塗工して形成される非付着層の膜厚は、0.01〜50μmとすることが好ましく、0.01〜30μmであることがより好ましい。膜厚が0.01μmより小さいものは、撥水性が発現しにくく、50μmより大きいものは、グラビア印刷方式で作製することが困難である。
前記塗工液は、疎水化処理された無機粒子とアルコールおよび/または水が含まれることが好ましい。特に、撥水性の観点から、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロパノールなどが好ましい。これらを一種類または二種類以上組み合わせて使用してもよい。
前記塗工液は、必要に応じて、添加剤を使用することができる。例えば、粘度調整剤、分散剤、ブロッキング防止剤、ワックス、充填剤などが挙げられる。粘度調整剤としては、シリカなどの無機化合物、ポリアミドなどの樹脂系増粘剤、分散剤としては、高分子樹脂分散剤、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性などの界面活性剤、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂などの樹脂ビーズまたはこれらの混合物などが挙げられる。ブロッキング防止剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト、ゼオライト、カオリナイトなどの無機顔料が挙げられる。ワックスとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、マイクロクリスタリン、カルナバ、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。充填剤としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、シリカ、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト、ゼオライト、カオリナイトなどの無機顔料、ポリエチレン、ポリプロピレン、マイクロクリスタリン、カルナバ、ポリテトラフルオロエチレンなどのワックス類、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂などの樹脂ビーズまたはそれらの混合物などが挙げられる。充填剤の平均粒子径は0.01〜50μmの範囲内であることが好ましい。
添加剤の添加量は、撥水性を阻害しない範囲で使用でき、疎水化処理された無機粒子に対して、添加剤の総量として、80重量%以下が好ましく、70重量%以下がさらに好ましい。添加剤が疎水化処理された無機粒子に対して80重量%より多いと、撥水性が低下する。
前記塗工液は、塗工液中の疎水化処理された無機粒子の量が、0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜40重量%であることがより好ましく、3〜30重量%であることがさらに好ましい。0.1重量%より少ないと、塗工液を塗工した非付着層の撥水性が発現しにくく、50%重量より多いと、塗工液としての流動性が劣り、グラビア印刷方式による塗工に適さない。
前記塗工液を塗工して形成される非付着層は、前記塗工液の塗工量(UC)が、固形分で0.02g/m≦UC≦1.5g/mであることが好ましく、0.1g/m≦UC≦1.0g/mであることがより好ましい。0.02g/mより少ないと、撥水性が発現しにくく、1.5g/mより多いと、非付着層の耐摩擦性が劣る。
さらに、前記非付着層の面が最内層であることが好ましい。本発明の非付着性包装容器において、前記非付着層の面が最内層である場合、該包装容器の非付着層と食品や物品が接するように該包装容器に食品や物品を収容し、封止した際に、前記食品や物品に対して、前記非付着層が非付着性を示す。ここで、非付着性包装容器の非付着層と食品や物品とが接するとは、非付着性包装容器の非付着層を有する面と食品の一部の面あるいは全面が接することを意味する。このことにより、該食品や物品のうち特に付着性の強い部分であっても、包装容器の最内層の面の非付着層への該食品や物品の付着を防止または軽減できるという効果がある。また、食品や物品を非付着性包装容器から取り出した際に、食品や物品の見た目のよさや該包装容器内部に残渣が残らず、その商品価値を下げることがないという効果もある。
また、前記非付着層の面が最外層である場合、該包装容器に食品や物品を収容し、封止した際に、該包装容器の外装面に水分や糖分、水滴などが接触しても、最外層の面の非付着層への水分や糖分、水滴などの付着を防止または軽減することができるため、水分や糖分、水滴などが原因となるほこりや塵などの付着が防止または軽減するという効果がある。このことによって、陳列時の清潔さや汚れなどがなく、その商品価値を下げることがないという効果もある。
さらに、非付着性包装容器を構成する前記熱可塑性樹脂層の非付着層面の反対面に別の基材層を有していてもよい。前記基材層としては、紙、アルミニウム箔、プラスチックフィルムまたはシートおよびその積層体から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。基材層は、熱可塑性樹脂などをドライラミネート、ノンソルベントラミネートや押出ラミネートなどによる方法、接着剤などを介して貼り合せる方法などにより積層したものであってもよく、また、これらを適宜組み合わせたものであってもよい。基材層の厚さは、印刷適性、巻き取り適性などに支障のない範囲内であれば、特に制限はないが、10〜1000μmが好ましい。
前記紙は、印刷に適していればよく、出版印刷用紙、包装印刷用紙、板紙印刷用紙などが挙げられる。出版印刷用紙としては、上質紙やグラビア紙などの非塗工紙、アート紙やコート紙、微塗工紙などの塗工紙が挙げられる。包装印刷用紙としては、純白ロール紙や晒クラフト紙などが挙げられる。また、板紙印刷用紙としては、塗工または非塗工の白ボール、塗工または非塗工のマニラボール、ポリエチレンを押し出したポリエチレンコート紙などが挙げられる。さらには、ポリエチレン系やポリプロピレン系などの合成紙であってもよい。
前記プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテートなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、エチレン−ビニルアルコール、ポリビニルアルコールなどのアルコール系フィルム、ポリアミドフィルムまたはバリア層を中間に配したバリア性ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、防湿セロハン、PETフィルムまたはポリアミドフィルムにアルミナやシリカなどの蒸着層を設けた透明蒸着ポリエステルフィルムまたは透明蒸着ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリウレタン樹脂、イソシアネート樹脂などをコートした各種コーティングフィルムなどが挙げられる。これらは延伸していても、未延伸のどちらでもよく、一種類または二種類以上を積層していてもよい。また、酸素吸収剤などを含んでいてもよい。機械的強度や寸法安定性などを考慮して、適切なものが選択できる。また、密着性を向上させるため、コロナ処理、低温プラズマ処理、フレーム処理、溶剤処理、コート処理などを施すか、あらかじめ施されたものが選択できる。
前記ドライラミネートやノンソルベントラミネートなどに使用できるプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテートなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、エチレン−ビニルアルコール、ポリビニルアルコールなどのアルコール系フィルム、ポリアミドフィルムまたはバリア層を中間に配したバリア性ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、防湿セロハン、PETフィルムまたはポリアミドフィルムにアルミナやシリカなどの蒸着層を設けた透明蒸着ポリエステルフィルムまたは透明蒸着ポリアミドフィルム、PETフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムなどにアルミニウムを蒸着させたアルミニウム蒸着フィルム、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸樹脂などをコートした各種コーティングフィルムなどが挙げられる。これらは延伸、未延伸のどちらでもよく、一種類または二種類以上を積層していてもよい。また、酸素吸収剤などを含んでいてもよい。機械的強度や寸法安定性などを考慮して、適切なものが選択できる。また、プラスチックフィルム以外にも紙や加工紙、アルミニウム箔なども使用できる。
前記押出ラミネートに使用できる樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、リニア低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンやポリプロピレンをマレイン酸やフマル酸などで変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂は一種類または二種類以上を積層していてもよい。
非付着性包装容器の熱可塑性樹脂層に、印刷インキ層(以下、単に「印刷インキ」ともいう)を1色以上塗工することもでき、非付着層の反対面や熱可塑性樹脂層と非付着層の間に印刷インキ層を設けることもできる。熱可塑性樹脂層に印刷インキ層を塗工することにより、例えば、会社名、ロゴ、キャラクター、製品名、内容物、成分表示、目盛、目盛線、応募方法やキャンペーンの告知、食べ方や使用方法、年月日、原産地、当たりくじなどの情報を付与することができる。
また、熱可塑性樹脂層とアンカーコート層の間も、無地である必要はなく、該熱可塑性樹脂層にも印刷インキ層を1色以上塗工することができる。
一方、基材層にも印刷インキ層を1色以上塗工することもでき、熱可塑性樹脂層と合わさらない面や熱可塑性樹脂層と基材層の間に印刷インキ層を設けることもできる。基材層に印刷インキ層を塗工することにより、例えば、会社名、ロゴ、キャラクター、製品名、内容物、成分表示、目盛、目盛線、応募方法やキャンペーンの告知、食べ方や使用方法、年月日、原産地、当たりくじなどの情報を付与することができる。
前記印刷インキ層としては、通常のグラビアインキが使用でき、熱可塑性樹脂層や基材層に応じて、適宜選択できる。印刷適性や汎用性の観点から、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、硝化綿、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂などのグラビアインキが好ましく、これらの樹脂が一種類または二種類以上組み合わせたグラビアインキであってもよい。また、2色以上のグラビアインキを使用する場合は、同じ樹脂系のインキである必要はなく、別の樹脂系のインキも適宜使用できる。
市販品としては、LG−NT、TPH、VESTA、LRC−NT、KCNT、SYNA−S、LAMREK(以上、いずれも東京インキ(株)製)などを用いることができる。
非付着性包装容器の形態としては、カップ、トレイ、ボトル、ブリック、コンテナ、ボックス、ケース、パン、カバー、蓋、キャップなどの包装用途に用いられる周知の形態のいずれでもよい。
また、前記非付着性包装容器は前記形態単体として使用してもよいが、組み合わせて使用してもよい。すなわち、いずれかの形態の容器に食品や物品を収容または載置後、別の形態の容器で封止や嵌合させてもよいし、あるいは食品や物品を一時的に収容または載置し、その後取り出したり、取り去ったりしてもよい。いずれの場合においても、該食品や物品に接する非付着層が食品や物品に対して非付着性を示すものである。
また、非付着層を有する面が外装面となるような形態の非付着性包装容器であってもよい。この場合においては、収容する内容物に制限はなく、外装面への水分や糖分、水滴などの接触に起因するほこりや塵などに対して非付着性を示すものである。
ここで、非付着性包装容器に食品や物品を収容するとは、例えば、ゲル状、ゼリー状、ペースト状、糊状、顆粒状、粉状などといったそのもの自体の形状が保たれにくい食品や物品を該非付着性包装容器の非付着層を有する面と一部あるいは全体が接するように収めたり、詰めたりするといった場合などが挙げられる。非付着性包装容器に食品や物品を載置するとは、例えば、固形状、半固形状などといったそのもの自体の形状が保たれやすい食品や物品を非付着性包装容器の非付着層を有する面と食品や物品の一部の面あるいは全面が接するように載置すること、または静置状態では食品等と非付着層を有する面とが接しない程度の間隙が設けられるように載置することを意味する。後者の場合、搬送、運搬、輸送、振動、傾斜、横転、転置などで食品や物品の一部の面あるいは全面が物理的に非付着性包装容器の非付着層を有する面と接してしまうことを包含する。本明細書中において、非付着層は非付着層を有する面と解釈することを意味する。
本発明の非付着性包装容器の製造方法は、熱可塑性樹脂層の少なくとも片面に凹凸付与剤を含むアンカーコート剤を塗工して前記アンカーコート層を形成する工程と、疎水化処理された無機粒子を含む塗工液を塗工して前記非付着層を形成する工程とを含むことが好ましい。
前記熱可塑性樹脂層は、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂から選ばれる少なくとも一つを含むフィルムまたはシートならびにこれらの積層体であることが好ましい。これら熱可塑性樹脂層のフィルムまたはシートならびにこれらの積層体を形成する工程は、公知のフィルム形成工程またはシート形成工程によって積層されるものであり、特に制限されない。
前記アンカーコート層と前記非付着層を形成する工程は、公知の印刷または塗布、噴霧、浸漬などにより前記熱可塑性樹脂層に形成する工程が好ましく、特に塗布工程がより好ましい。塗布工程としてはシルクスクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、ローラーコーター、刷毛塗り、スプレー、ナイフジェットコーターなどによる形成工程が挙げられる。なかでも、品質および生産性の高さからグラビア印刷、フレキソ印刷またはシルクスクリーン印刷による塗布工程が好ましく用いられ、特に多色グラビア印刷機を用いたグラビア印刷による塗布工程であることが好ましい。これらの形成工程により前記熱可塑性樹脂層の少なくとも片面にアンカーコート層と非付着層がこの順に積層された積層体(以下、単に「非付着性積層体」ともいう)とする。より具体的には、前述した形成工程により積層した熱可塑性樹脂層を作成する工程の後に、グラビア印刷により、アンカーコート層と非付着層をこの順に形成する工程とし、非付着性積層体を製造してもよいが、ベースとなる熱可塑性樹脂層の一方面に、グラビア印刷により、アンカーコート層と非付着層を形成する工程の後に、これとは異なる他方面に前述した形成工程により別の基材層をさらに積層する工程により、非付着性積層体を製造してもよい。また、熱可塑性樹脂層の両面に非付着層が形成できるような工程によって、非付着性積層体を製造してもよい。
さらに、印刷インキ層を形成する工程も、公知の印刷または塗布、噴霧、浸漬などの工程が好ましく、特に塗布工程がより好ましい。また、多色グラビア印刷機を用いたグラビア印刷による塗布工程が好ましい。このことにより、非付着層の反対面や熱可塑性樹脂層と非付着層の間など自由に印刷インキ層を設けることもできる。
これらの工程により、アンカーコート層と非付着層を多層に形成することができるため、熱可塑性樹脂層と非付着層の接着性や非付着性のコントロールが容易に行なうことができる。すなわち、従来のエンボス加工やプラズマ化学蒸着法などを用いた非付着性積層体は、非付着層の作製が別々の工程となり、非効率であることに対して、本発明の非付着性包装容器に使用する非付着性積層体は、多色グラビア印刷機を用いたグラビア印刷による形成工程となるため、インラインで、連続して熱可塑性樹脂層に印刷インキ層、アンカーコート層、非付着層を形成でき、一連の流れのなか(1パス)で非付着性積層体を低コストで容易に作製することができる。もちろん、グラビア印刷機の仕様や印刷環境、設備などの制約でインラインで、連続して形成できない場合もあるが、この場合オフライン(アウトライン)での形成も可能である。また、アンカーコート層は非付着層を設ける部分にのみ塗布することが好ましい。
非付着層の接着性とは、非付着層を有する面と食品や物品の一部の面あるいは全面が、くっつきやすいかどうかを意味する。また、非付着性のコントロールとは、非付着層を有する面と食品や物品の一部の面あるいは全面のくっつきにくさを制御できることを意味する。
さらに、グラビア印刷によって非付着層を形成する工程において、100%網点面積率では、非付着性が十分過ぎる場合や、食品や物品への非付着性の要求度によって、その面積率を下げたり、版深度を調節したり、希釈率を調整することによって、非付着層と食品や物品などとの付着性が容易にコントロールできる。さらに、網点面積率や版深度などの調節に加え、文字(例えば、メーカー名、ブランド名、商品名、記号など)や文様(例えば、マーク、標章、デザインした図柄など)などを「抜き」にして形成する(非付着層がない部分を形成する)ことにより、「抜き」の部分が食品や物品に付着し、適度な付着性を保つといった効果もある。
本発明の非付着性包装容器は、前記非付着性積層体を含めて成形する工程からなることが好ましい。
成形工程としては、カップ、トレイ、ボトル、ブリック、コンテナ、ボックス、ケース、パン、カバー、蓋、キャップなどの包装用途に用いられる周知の容器成形工程のいずれでもよい。特に、シート成形工程による容器成形が好ましい。
前記シート成形工程は、圧空成形、真空成形、真空圧空成形、プレス成形、3次元ラミネート成形または対向液圧成形のいずれかの成形工程であることが好ましい。なかでも、圧空成形、真空成形、真空圧空成形、プレス成形による成形工程がより好ましい。
さらに、前記成形工程により形成されたいずれかの形態の容器に食品や物品の収容工程または載置工程の後、別の形態の容器での封止工程や嵌合工程を含んでもよい。あるいは食品や物品を一時的に収容または載置し、その後取り出したり、取り去ったりしてもよい。
非付着性包装容器への収容工程または載置工程は、人の手を介して収容する工程または載置する工程でもよいが、自動装置などの機械を用いて収容する工程または載置する工程でもよい。これらの工程は、食品の種類、形態や大きさ、数量、収容または載置する包装容器、設備、環境などによって、適宜選択すればよい。さらに、封止工程は、ヒートシール、粘着剤などでの貼り付けあるいは接着する工程やキャッピングする工程など周知の封止工程により行えばよいが、ヒートシールによる封止工程がより好ましい。嵌合工程についても、周知の嵌合工程により行えばよい。いずれも、手動によって封止や嵌合する工程でもよいが、自動装置などの機械を用いて封止や嵌合する工程でもよい。
本発明の非付着性包装容器に好ましい食品としては、餃子、しゅうまい、中華饅頭、スイートポテト、だんご、餡、プリン、カラメル、カステラ、ショートケーキ、チーズケーキ、ホットケーキ、ロールケーキ、マドレーヌ、バームクーヘン、フィナンシェ、マフィン、ワッフル、モンブラン、シュークリーム、ドーナツ、チョコレート、キャラメル、水飴、クリーム、ジャム、バター、マーガリン、アイスクリーム、ヨーグルト、ゼリー、はちみつ、黒蜜、キャンディ、グミ、ゼラチン、タルト、パイ、餅、草餅、おはぎ、大福、ぜんざい、あんみつ、みつ豆、羊羹、ういろう、ちまき、饅頭、どら焼き、納豆、麺、パン、蒸しパン、サンドイッチ、ピザ、チーズ、クリームチーズ、米飯品、寿司、牛丼、豚丼、鶏丼、カツ丼、中華丼、茶碗蒸し、味噌、たこ焼き、お好み焼き、焼肉、やき鳥、照り焼き、蒲焼、煮魚、角煮、煮鶏、スパゲティ、オムレツ、オムライス、卵焼き、スクランブルエッグ、煮卵、温泉卵、グラタン、ドリア、リゾット、カレー、シチュー、ミートソース、ハンバーグ、ミートボール、ウインナーソーセージ、フランクフルト、ハム、ベーコン、ワンタン、春巻、麻婆豆腐、エビチリ、酢豚、八宝菜、回鍋肉、かに玉、あんかけヤキソバ、キムチ、チヂミ、ポテトサラダ、たまごサラダ、マカロニサラダ、春雨サラダ、マヨネーズ、醤油、ソース、ケチャップ、マスタード、ラー油、みそ漬け、粕漬け、わさび漬け、ぬか漬け、べったら漬け、佃煮、塩辛、明太子、海苔、海草、海藻、ラーメンなどの液状タレ、つゆ、スープなどの水分や糖分を含むものから選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
本発明の非付着性包装容器に好ましい物品としては、ペットフード、固形ワックス、クリーム、乳液、化粧水、美容液、シャンプー、リンス、コンディショナー、毛染め剤、美白化粧料、化粧オイル、ウェットティッシュ、ウェットシート、練りはみがき、入浴剤、軟膏、シェービングジェル、日焼け止め、培養土、腐葉土などの水分を含むものから選ばれる少なくとも1つである。
前記非付着層の塗工液、印刷インキ、アンカーコート剤といった各組成物は、顔料、樹脂、凹凸付与剤、疎水処理された無機粒子、各種添加剤などを溶剤中に均一に溶解または分散することにより公知の方法で製造できる。溶解または分散は、ディゾルバー、ロールミル、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、ペイントシェーカー、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、パールミル、超音波ホモジナイザー、湿式ジェットミル、ニーダー、ホモミキサーなどの各種撹拌機または分散機を使用できる。これらの装置は一種類または二種類以上組み合せて使用してもよい。各組成物中に気泡や粗大粒子が含まれる場合、印刷適性や印刷物品質を低下させるため、公知のろ過機や遠心分離機などを用いて、取り除くことが好ましい。
前記各組成物の粘度は、印刷に支障のない範囲であれば、特に制限はない。各組成物の製造適性、取扱いなどを考慮すれば、25℃において10〜1,000mPa・sであることが好ましい。
前記粘度は、ブルックフィールド型粘度計などの市販の粘度計を用いて測定することができる。
前記各組成物は、そのまま塗工することもできるが、塗工条件、塗工効果に応じ、ザーンカップ#3((株)離合社製)にて、希釈溶剤で希釈することにより所望の粘度に調整して使用できる。この場合の粘度は、25℃において10〜40秒であることが好ましい。
前記希釈溶剤は、前記各組成物の粘度を調整して使用できるものであれば、いずれでもよく、有機溶剤、水などが挙げられ、市販のものも使用できる。市販品としては、TA52(アルコール系溶剤)、WA704(アルコール系溶剤)、PU515(ノントルエン系溶剤)、SL9155(ノントルエン系溶剤)、AC372(ノントルエン系溶剤)、TH−12(含トルエン系溶剤)(以上、いずれも東京インキ(株)製)などが挙げられる。
本発明の非付着性包装容器について、その例を挙げて説明するが、これらに限定されるものではない。
図1は、非付着性包装容器1に内容物3を載置し、蓋材2により封止した例である。この場合、内容物3の下面が特に強い付着を示す部分であり、これと接する部分に本発明の非付着性包装容器を適用した例である。
図2は、非付着性包装容器1に内容物3を載置し、非付着性包装容器1および内容物3とともにプラスチック袋4に収容し、封止した例である。この場合図1で示したような蓋材2があっても、なくてもよい。
図3は、トレイ5に内容物31を載置し、非付着性包装容器1をトレイ5および内容物31とを覆うように嵌合し、封止した例である。この場合、トレイ5も本発明の非付着性包装容器とすることがなおよい。この場合、内容物31の上面が特に強い付着を示す部分であり、これと接する可能性のある部分に本発明の非付着性包装容器を適用した例である。
以下に実施例および比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の部は重量部を、%は重量%を表す。
[非付着層塗布液の作製]
非付着層塗布液1(製造例1)
エタノール90部に、疎水化処理した乾式法シリカ(平均粒子径0.2μm、WACKER HDK H18、旭化成ワッカーシリコーン(株)製)10部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗布液1を作製した。
非付着層塗布液2(製造例2)
エタノール90部に、疎水化処理した湿式法シリカ(平均粒子径6.2μm、SIPERNAT D10、EVONIK社製)10部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗布液2を作製した。
非付着層塗布液3(製造例3)
エタノール90部に、疎水化処理したタルク1)10部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗布液3を作製した。
1):タルクに対し、3重量%となるようにシリコーン油(KF−96−50cs、信越化学工業(株)製)のメチレンクロライド10%溶液を噴霧し、100℃で2時間焼成処理し、表面被覆処理したタルク(平均粒子径6μm)
非付着層塗布液4(製造例4)
エタノール90部に、疎水化処理したタルク8部、疎水化処理していない湿式法シリカ(平均粒子径6.2μm、SIPERNAT 383DS、EVONIK社製)2部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗布液4を作製した。
非付着層塗布液5(製造例5)
エタノール90部に、疎水化処理していない湿式法シリカ(平均粒子径6.2μm、SIPERNAT 383DS、EVONIK社製)10部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗布液5を作製した。
非付着層塗布液6(製造例6)
エタノール90部に、疎水化処理していないタルク(平均粒子径7〜11μm、JA−46R、浅田製粉(株)製)10部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗布液6を作製した。
[アンカーコート剤の作製]
アンカーコート剤1(製造例7)
ポリエステル樹脂系溶液(固形分30%、Tg5℃)50部に、アクリル樹脂ビーズ(平均粒子径10μm)を10部添加し、撹拌しながら、酢酸n−プロピルを40部添加して、アンカーコート剤1を作製した。
アンカーコート剤2(製造例8)
アクリル樹脂系溶液(固形分30%、Tg50℃)60部に、アクリル樹脂ビーズ(平均粒子径10μm)を10部添加し、撹拌しながら、酢酸エチル10部、イソプロピルアルコール20部を添加して、アンカーコート剤2を作製した。
アンカーコート剤3(製造例9)
ポリエステル樹脂系溶液(固形分30%、Tg20℃)40部に、アクリル樹脂ビーズ(平均粒子径8μm)を5部添加し、撹拌しながら、酢酸n−プロピル25部、メチルエチルケトン30部を添加して、アンカーコート剤3を作製した。
アンカーコート剤4(製造例10)
ポリエステル樹脂系溶液(固形分30%、Tg20℃)40部に、アクリル樹脂ビーズ(平均粒子径0.8μm)を5部添加し、撹拌しながら、酢酸n−プロピル25部、メチルエチルケトン30部を添加して、アンカーコート剤4を作製した。
アンカーコート剤5(製造例11)
アクリル樹脂系溶液(固形分30%、Tg50℃)60部に、撹拌しながら、酢酸エチル20部、イソプロピルアルコール20部を添加して、アンカーコート剤5を作製した。
(実施例1)
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ0.6mmのポリプロピレンシート(略称:PP)に、第一ユニットで、製造例7で得られたアンカーコート剤1(略称:AC1)、第二ユニットで、製造例1で得られた非付着層塗布液1(略称:非付着層1)を印刷して、巻き取り、非付着性積層体1を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、0.9g/m、0.2g/mであった。これによって、非付着性積層体1は、「PP/AC1/非付着層1」の構成の積層体となった。
(実施例2)
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ0.5mmのポリスチレンシート(略称:PS)に、第一ユニットで、製造例8で得られたアンカーコート剤2(略称:AC2)、第二ユニットで、製造例1で得られた非付着層塗布液1を印刷して、巻き取り、非付着性積層体2を作製した。このとき、アンカーコート剤2はAC372(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、1.0g/m、0.1g/mであった。これによって、非付着性積層体2は、「PS/AC2/非付着層1」の構成の積層体となった。
(実施例3)
アンカーコート剤1を製造例9で得られたアンカーコート剤3(略称:AC3)に変更した以外は実施例1と同じ条件にて、非付着性積層体3を作製した。このとき、アンカーコート剤3はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、1.1g/m、0.2g/mであった。これによって、非付着性積層体3は、「PP/AC3/非付着層1」の構成の積層体となった。
(実施例4)
アンカーコート剤1を製造例10で得られたアンカーコート剤4(略称:AC4)に変更した以外は実施例1と同じ条件にて、非付着性積層体4を作製した。このとき、アンカーコート剤4はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、1.1g/m、0.2g/mであった。これによって、非付着性積層体4は、「PP/AC4/非付着層1」の構成の積層体となった。
(実施例5)
非付着層塗布液1を製造例2で得られた非付着層塗布液2(略称:非付着層2)に変更した以外は実施例1と同じ条件にて、非付着性積層体5を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液2はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、1.1g/m、0.2g/mであった。これによって、非付着性積層体5は、「PP/AC1/非付着層2」の構成の積層体となった。
(実施例6)
非付着層塗布液1を製造例2で得られた非付着層塗布液2に変更した以外は実施例2と同じ条件にて、非付着性積層体6を作製した。このとき、アンカーコート剤2はAC372(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液2はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、1.0g/m、0.2g/mであった。これによって、非付着性積層体6は、「PS/AC2/非付着層2」の構成の積層体となった。
(実施例7)
非付着層塗布液1を製造例3で得られた非付着層塗布液3(略称:非付着層3)に変更した以外は実施例2と同じ条件にて、非付着性積層体7を作製した。このとき、アンカーコート剤2はAC372(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液3はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、1.0g/m、0.2g/mであった。これによって、非付着性積層体7は、「PS/AC2/非付着層3」の構成の積層体となった。
(実施例8)
非付着層塗布液1を製造例4で得られた非付着層塗布液4(略称:非付着層4)に変更した以外は実施例2と同じ条件にて、非付着性積層体8を作製した。このとき、アンカーコート剤2はAC372(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液4はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、1.0g/m、0.2g/mであった。これによって、非付着性積層体8は、「PS/AC2/非付着層4」の構成の積層体となった。
(実施例9)
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ20μmの2軸延伸ポリスチレンシート(略称:OPS)に、第一ユニットで、アンカーコート剤2、第二ユニットで、非付着層塗布液3を印刷して、巻き取り、次いで厚さ1mmのポリスチレンペーパー(略称:PSP)を非付着層の反対面に重ねて熱ラミネートをして、非付着性積層体9を作製した。このとき、アンカーコート剤2はAC372(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液3はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、1.1g/m、0.1g/mであった。これによって、非付着性積層体9は、「PSP/OPS/AC2/非付着層3」の構成の積層体となった。
(実施例10)
厚さ0.6mmのポリプロピレンシートを厚さ0.7mmのポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体共押出多層シート(略称:PP/EVOH)に変更した以外は実施例1と同じ条件にて、非付着性積層体10を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、0.9g/m、0.3g/mであった。これによって、非付着性積層体10は、「PP/EVOH/AC1/非付着層1」の構成の積層体となった。
(比較例1)
非付着層塗布液1を製造例5で得られた非付着層塗布液5(略称:非付着層5)に変更した以外は実施例1と同じ条件にて、非付着性積層体11を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液5はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、1.0g/m、0.1g/mであった。これによって、非付着性積層体11は、「PP/AC1/非付着層5」の構成の積層体となった。
(比較例2)
非付着層塗布液1を製造例6で得られた非付着層塗布液6(略称:非付着層6)に変更した以外は実施例1と同じ条件にて、非付着性積層体12を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液6はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、1.1g/m、0.2g/mであった。これによって、非付着性積層体12は、「PP/AC1/非付着層6」の構成の積層体となった。
(比較例3)
アンカーコート剤2を製造例11で得られたアンカーコート剤5(略称:AC5)に変更した以外は実施例2と同じ条件にて、非付着性積層体13を作製した。このとき、アンカーコート剤5はAC372(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、1.1g/m、0.1g/mであった。これによって、非付着性積層体13は、「PS/AC5/非付着層1」の構成の積層体となった。
(比較例4)
アンカーコート剤を使用しない以外は実施例1と同じ条件にて、非付着性積層体14を作製した。このとき、非付着層塗布液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、塗工量は、0.1g/mであった。これによって、非付着性積層体14は、「PP/非付着層1」の構成の積層体となった。
(比較例5)
厚さ0.6mmのPPシートにシリコーン樹脂(KF−96H−30マンcs、信越化学工業(株)製、略称:シリコーン)を塗布し、40℃で3日間エージングをして、非付着性積層体15を作製した。このとき、シリコーン樹脂の膜厚は、0.3μmであった。これによって、非付着性積層体15は、「PP/シリコーン」の構成の積層体となった。
実施例1〜10および比較例1〜5の非付着性積層体について撥水性、非付着性、耐久性を評価し、表1に示した。
<撥水性>
非付着性積層体の非付着層について、接触角を測定した。測定には、ポータブル接触角計PCA−1(協和界面科学(株)製)を用いた。測定値が大きいほど撥水性が高く、優れる。
◎:130°以上、○:130°未満110°以上、△:110°未満90°以上、×:90°未満の4段階で評価した。
<非付着性>
実施例1〜10、比較例1〜5の非付着積層体をシート成形(真空成形)によりトレイ状非付着性包装容器(図1の1)とし、該容器内にシューマイ(商品名:プリプリのエビシューマイ、味の素冷凍食品(株)製)(図1の3)を配置し、冷蔵庫内に水平状態で静置し、24時間後、冷蔵庫から取り出し、シューマイをゆっくりと持ち上げた際に、シューマイとトレイ状非付着性包装容器の接触面(非付着層面)におけるシューマイの付着具合を目視にて観察した。付着が少ないほど、非付着性が優れる。
◎:まったく付着していない、○:やや付着している、△:かなり付着している、×:ほとんど付着している、の4段階で評価した。
<耐久性>
水平状態に設置した前記非付着性の評価と同様に作製したトレイ状非付着性包装容器に、シューマイ(商品名:プリプリのエビシューマイ、味の素冷凍食品(株)製)を配置し、シューマイの乾燥防止のためカバーを掛けて、そのまま3日間冷蔵庫内に静置した。その後、冷蔵庫内から該容器を取り出し、カバーを取り除き、さらに、シューマイをゆっくりと持ち上げた際に、シューマイと該容器の接触面(非付着層面)におけるシューマイの付着具合を目視にて観察した。耐久性が優れるとは、長時間非付着性包装容器の非付着層に内容物が接触していても、その非付着性能の劣化が起こらず、持続することを示す。したがって、非付着性包装容器の非付着層とシューマイが付着しないものを、耐久性が優れるとした。
◎:まったく付着していない(耐久性が優れる)、×:そのまま付着する(耐久性が劣る)の2段階で評価した。
<総合評価>
前記撥水性、非付着性、耐久性のうち、評価結果がすべて「◎」のものは総合評価として「◎」、評価結果が「◎」か「○」であるものは総合評価として「○」、1つでも「△」があるものは総合評価として「△」、1つでも「×」があるものは総合評価として「×」とした。
Figure 0006506006
表1によると、実施例1〜10の非付着積層体は、比較例1〜5の非付着積層体と比べ、撥水性、非付着性、耐久性のバランスが優れることが明確である。疎水化処理をしていないシリカまたはタルクを使用した非付着積層体の例である比較例1または2は、非付着性が劣る。また、充填剤を含まないアンカーコート剤を使用した例である比較例3は、非付着性が劣る。アンカーコート剤を使用しない例である比較例4は、トレイ状非付着性包装容器にシューマイのほとんどが付着してしまい、非付着層の効果が発現しない。従来例であるシリコーン樹脂を塗布した例である比較例5は、非付着性に効果はない。
本発明の非付着性包装容器によれば、十分な非付着性を有し、しかも低コストで容易に製造できるため、食品や物品が付着しない非付着性包装容器として有効に利用することができる。また、食品や物品あるいは用途、形態によっては、非付着性の要求度が異なる場合もあり、このような場合グラビア版の網点面積率を下げたり、版深度を調節したり、希釈率を調整することによって、非付着性包装容器と食品や物品との付着性が容易にコントロールできる。また熱可塑性樹脂層に印刷インキ層を設けることによって、キャンペーンや食品の食用方法や物品の使用方法、あたりくじなど、顧客向け情報の表示に利用することができる。
また、本発明の非付着性積層体は、グラビア印刷方式にて塗工できることから、前記食品や物品用途に限らず、合羽、傘、靴、幌などの生活用品、のれん、テーブルクロス、シャワーカーテン、鏡、台所シンク、洗面台などの住宅用品、携帯電話やスマートフォンなどのディスプレーパネルなど電子機器部品、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、炊飯器、電気ポットなどの家電品、コンクリートやレンガ、壁材、床材、屋根材、天井材、クロス、ガラスなどの産業資材、エプロン、ユニフォーム、アウトドアウエアなどの衣料品、スキー、スノーボード、ゴーグルなどのスポーツ用品、テント、タープなどのキャンプ用品、カメラやプロジェクタ、めがねのレンズなどの光学用品といった水滴などが付着する可能性がある環境で使用される物品にも広く適用できる。
1 非付着性包装容器
2 蓋材
3、31 内容物
4 プラスチック袋
5 トレイ

Claims (3)

  1. フィルムまたはシートならびにこれらの積層体からなる熱可塑性樹脂層の少なくとも片面に、アンカーコート層と、非付着層が、この順に積層された非付着性積層体を含む非付着性包装容器の製造方法において、
    前記アンカーコート層は、5℃以上、50℃以下のガラス転移点(Tg)を有するアクリル系樹脂またはポリエステル系樹脂のなかから選ばれる1種アクリル樹脂ビーズとを含むアンカーコート剤を塗工して形成される層で、
    前記非付着層は、疎水化処理された無機粒子とアルコールおよび/または水とを含む塗工液を塗工して形成される層であり、
    前記フィルムまたはシートならびにこれらの積層体からなる熱可塑性樹脂層が、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂のなかから選ばれる少なくとも一つであり、
    アンカーコート層を形成する工程と、
    非付着層を形成する工程とが、この順に形成する工程であり
    かつ、前記アンカーコート層を形成する前記工程が、多色グラビア印刷機の1ユニットを用いたグラビア印刷による塗布工程で、
    前記非付着層を形成する前記工程が、前記多色グラビア印刷機の別の1ユニットを用いたグラビア印刷による塗布工程であることを特徴とする非付着性包装容器の製造方法。
  2. 前記疎水化処理された無機粒子が、シリカ、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、またはそれらの混合物を疎水化処理したものから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の非付着性包装容器の製造方法。
  3. 前記フィルムまたはシートならびにこれらの積層体からなる熱可塑性樹脂層が、ポリプロピレン樹脂、およびポリスチレン樹脂のなかから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または2に記載の非付着性包装容器の製造方法。
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