JP4441010B2 - ホットメルト組成物及びそれを用いた防湿紙並びにその製造方法 - Google Patents

ホットメルト組成物及びそれを用いた防湿紙並びにその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に離解可能で、接着性、防湿性に優れた防湿紙に有用なホットメルト組成物、該組成物を用いた防湿紙並びにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に防湿紙とは、紙にポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンを塗工したものが良く知られており、広く使用されている。このポリオレフィンを塗工した防湿紙は、防湿性に優れ、加工性が良いばかりでなく、安価であり、防湿紙として非常に優れている。更に、ポリオレフィンを塗工した防湿紙は内容物を包装する際、表裏をホットメルト糊、エマルジョン糊から幅広く選択した接着剤で接着することができる。
しかし、その反面、リサイクル性、即ち故紙再生という観点からみると、ポリオレフィンを塗工した防湿紙は防湿層の被膜強度が強すぎるため、紙を再生しパルプ化する工程で使用されるパルパーでは、紙の繊維部から脱離したポリオレフィン層が細かく分散されずに塊やフィルムとして残り、これらが抄紙機の乾燥ロールに付着したり、また再生された紙の表面に付着し、にじみや凹凸が発生して故紙のリサイクルを不可能にしている。
【0003】
また近年、リサイクル可能な防湿紙が求められるなかで、合成ゴムラテックスあるいはアクリル系エマルジョンとワックスエマルジョンとからなるエマルジョンを塗工した防湿紙が提案されている。この防湿紙は防湿性に優れ、かつ故紙へのリサイクル性も有している。しかしながら、これらの防湿紙は防湿層が塗工層表面に形成されるため、例えば包装時にエマルジョン糊を使用すると、エマルジョン糊を弾いてうまく塗工できないか、または塗工できたとしても防湿層と接着できず、その結果、接着強度が実用に耐えないものとなる。このため、これらの防湿紙により平判製品を包装する時にはホットメルト糊しか使用することができず、該防湿紙の使用される用途が非常に制限される。また、これらの防湿紙は価格が高価であり、従来のポリオレフィン使用の防湿紙に比較し、使用される用途が限られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の如き従来の欠点を解決し、包装時の接着性が改良され、防湿性に優れ、故紙へのリサイクル性があり、安価で生産性に優れた防湿紙を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ホットメルト組成物を紙基材の表面に塗工することによって、離解可能で、防湿性に優れた防湿紙とその製造方法を先に提案した(特開平9−316252、特願平9−344313、特願平11−12764など)。これらの提案には、得られた防湿紙が離解可能で、防湿性に優れた特長を有するのみならず、その防湿紙の表面性の耐滑り性、耐ブロッキング性が改良されたものも含まれている。
【0006】
しかしながら、更に研究を進める過程で、これらの防湿紙は、包装時に広範囲なホットメルト糊、エマルジョン糊での接着性に若干接着強度が不十分な場合があることが判明した。本発明者らは上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、特定の成分を特定の割合で配合したホットメルト組成物層、特に、ワックス成分に酸化ワックス及び/又は酸変性ワックスを特定割合で併用したホットメルト組成物層を紙基材に設けることにより、上記目的を満足する防湿紙が提供できることを見出した。また、ホットメルト組成物の比重を1.0以上にすることによって、故紙として再利用される工程で、離解した時に発生する微細に粉砕された浮遊樹脂を減少させることができ、故紙の品質を向上させることを見出した。
【0007】
即ち、本発明の第1は、下記の成分(A)〜(E)〔(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の合計で100重量部〕からなることを特徴とするホットメルト組成物を内容とする(請求項1)。
(A)アモルファスポリアルファオレフィン30〜55重量部、
(B)粘着付与剤3〜25重量部、
(C)酸化ワックス及び/又は酸変性ワックス0.1〜20重量部を含むワックス20〜45重量部、
(D)射出成形用ポリプロピレン系樹脂2〜20重量部、
(E)相溶化剤0〜15重量部。
【0008】
好ましい態様として、酸化ワックスが酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス、酸化フィシヤートロプシュワックスから選ばれる少なくとも1種である(請求項2)。
好ましい態様として、酸変性ワックスが酸変性ポリエチレンワックス、酸変性ポリプロピレンワックスから選ばれる少なくとも1種である(請求項3)。
好ましい態様として、ホットメルト組成物の比重が1.0以上となるよう無機フィラーが配合される(請求項4)。
【0009】
本発明の第2は、紙基材の少なくとも片面に、請求項1〜4のいずれか1項に記載のホットメルト組成物からなる防湿層を設けたことを特徴とする防湿紙を内容とする(請求項5)。
好ましい態様として、ホットメルト組成物からなる防湿層の上にバリアーコート層を設ける(請求項6)。
【0010】
本発明の第3は、上記ホットメルト組成物を紙基材の少なくとも片面に塗工することを特徴とする防湿紙の製造方法を内容とする。(請求項7)。
【0011】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を詳細に説明する。
一般に、離解可能な防湿紙の塗工層は、紙基材との接着性が悪いと、包装時に折り目が付けられたときに防湿性が低下したり、包装用の糊で接着されたときに防湿層と紙基材の間で剥離して接着強度が実用に耐えないものとなる。
また、離解可能な防湿紙の塗工層表面と包装用の糊との接着性が問題となる場合がある。例えば、紙製品は、通常、長尺製品、平判に断裁された製品とも防湿紙で包装されるが、この際、防湿紙の防湿層の塗工層表面と裏面の紙とを接着することになる。手作業では紙クラフト粘着テープなどが使用され接着強度は特に問題とならないが、ほとんどの紙製品は自動機で包装されており、接着には接着剤が使用される。
【0012】
接着剤はホットメルト系糊とエマルジョン/ラテックス系糊に大別される。ホットメルト系糊の合成ゴム系粘着タイプ糊は包装時の接着不良を起こさないが作業環境を汚しやすい。また、ホットメルト糊のエチレン−酢酸ビニル樹脂系糊はその組成比及び添加剤の構成によっては、従来のポリエチレン防湿紙に比較し、防湿層との接着強度が不十分となる場合がある。一方、エマルジョン/ラテックス系糊では、従来使用されていた安価な酢酸ビニル樹脂系エマルジョン糊は、離解可能な防湿紙の接着では接着強度が発現せず、使用することができないことが多い。また、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン糊は防湿層表面で弾かれ、うまく塗工できない場合すらある。
【0013】
上記接着性の問題は、ホットメルト組成物のワックス成分に酸化ワックス及び/又は酸変性ワックスを併用することによって解決される。これにより、防湿層と紙基材との接着性の改良、防湿層と包装用糊との接着性の改良、バリアーコート層等のオーバーコート剤との接着性の改良が図られ防湿紙の品質が安定化されるとともに、安価な包装用糊の使用が可能となる。
【0014】
酸化及び/又は酸基を含有させる物質はワックスに限定される。(A)のアモルファスポリアルファオレフィンは酸化されやすく、ホットメルト混練時にも酸化され黄褐色に着色するが、接着性の改良効果は少なく、透湿度の悪化など品質劣化の影響が大きい。(E)の相溶化剤には酸変性ポリプロピレン等を含むが、配合量を増加させても上記効果がない。
【0015】
離解可能な防湿紙を故紙に再生する場合、該防湿紙は他の故紙再生と同様にパルパーなどに投入され、水懸濁状態で機械的な撹拌によりパルプ状に分散される。この時、防湿層の比重が1未満の場合は、紙基材から剥がれた樹脂組成物は水に浮き、抄紙機の滞留部位等に会合して他の不純物等と塊を生成して再生紙に欠点を発生させる虞れがある。
この問題は、本発明のホットメルト組成物に無機フィラーを配合し、その比重を1.0以上にすることによって解決される。即ち、これにより水懸濁状態でパルプとの混合性が良くなり、水に浮く樹脂組成物を大幅に減少させることができ、再生紙の品質低下が防止される。今後、省資源や環境保護の目的で、益々大量に離解可能な防湿紙が使用され、故紙として再利用されると思われるが、再生紙の品質低下が防止されることは極めて意義がある。
【0016】
本発明に使用される(A)アモルファスポリアルファオレフィンは、プロピレン重合後の後工程で副生物として集められるアモルファスポリプロピレン(APP)又は、プロピレン単独あるいはプロピレンとエチレンやブテン−1等を共重合して生産される非晶性のオレフィン系ポリマー(APAO)である。これらの分子量は100〜100000程度のものが適当である。分子量が100未満では防湿層の強度が不十分で、また100000を越えると樹脂の流動性が悪く、均一な防湿層が形成できないため、良好な防湿性が得られない場合がある。また、これらは単独又は2種以上を混合して使用される。
アモルファスポリアルファオレフィンの使用量は30〜55重量部である。30重量部未満では防湿層の強度が悪くなり、55重量部を越えると防湿性、離解性等が悪くなる。
【0017】
本発明に使用される(B)粘着付与剤には、官能基を有するものとして、ロジン、変性ロジン、及びこれらのエステル化合物、アルキルフェノール樹脂、ロジン及びアルキルフェノール変性キシレン樹脂、テルペンフェノール樹脂などがあり、また官能基を有しないものとして、テルペン系樹脂、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロンインデン樹脂などがあり、これらのいずれを選択してもよく、また単独又は2種以上を混合して使用される。
粘着付与剤の使用量は3〜25重量部である。3重量部未満では防湿性が不十分となり、25重量部を越えると十字折り時に防湿層にクラックが生じ、防湿性能が低下する。
【0018】
本発明に使用される(C)ワックスには、大別すると天然系ワックスと合成系ワックスの2種類があり、これらのいずれのワックスを選択してもよく、また単独又は2種以上を混合して使用される。
天然系ワックスには、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス、フィシヤートロプシュワックスなどがあり、また合成系ワックスには、ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックスなどがある。
本発明に用いられる酸化ワックス、酸変性ワックスとは、上記ワックスを化学反応により酸化、カルボキシル基等の酸基導入したワックスである。ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィシヤートロプシュワックスを化学反応させた酸化ワックス、酸変性ワックスが好ましく、これらは単独又は2種以上混合して用いられる。酸化ワックス及び/又は酸変性ワックスの使用量は、防湿性の低下がなく、接着性の改良効果が認められる点で0.1〜20重量部である。
ワックスの使用量は、酸化ワックス及び/又は酸変性ワックスを含めて20〜45重量部である。20重量部未満では防湿性が不十分となり、45重量部を越えると離解後の抄紙時ににじみが発生する。
【0019】
本発明に使用される(D)射出成形用ポリプロピレン系樹脂は、分子量10000〜50000までの範囲の射出成形等に使用されるものが使用される。分子量が10000未満では離解後の抄紙時における耐熱性が不十分となり、50000を越えるとホットメルト組成物の溶融混合が難しくなる。
射出成形用ポリプロピレン系樹脂の使用量は2〜20重量部である。2重量部未満では上記した耐熱性が不十分となり、20重量部を越えると十字折り時に防湿層にクラックが生じ易くなり、防湿性能が低下する
【0020】
本発明に使用される(E)相溶化剤は、無水マレイン酸等の酸成分をグラフトしたポリプロピレン、低結晶化エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体などがあり、分子量10000〜50000の範囲のものが好適に使用される。分子量が10000未満では上記した耐熱性が不十分となり、50000を越えると相溶化の効果が低下する。これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。
相溶化剤の使用量は0〜15重量部である。0重量部では実用上使用可能であるものの防湿性向上効果が不十分な場合があるので、1〜7重量部が好適である。15重量部を越えるとホットメルト組成物の熱安定性が悪くなる。
本発明において、各成分の使用量は、成分(A)〜(E)の合計で100重量部である。
【0021】
本発明において、ホットメルト組成物の比重を1.0以上にするために配合される無機フィラーには特に限定はない。一般的に無機フィラーの比重は2.4以上のものが多く、この場合、無機フィラーの使用量はホットメルト組成物100重量部に対し、約5重量部以上である。ホットメルト組成物の比重の上限は特に制限されないが、余り大きいと水懸濁状態でパルプとの混合性が却って低下するため、20重量部以下程度が好ましい。無機フィラーは炭酸カルシウム等の球形状のもの、タルク、マイカ等の針状、平判状のものなどがあるが、すべて使用することができる。ホットメルト組成物との混練性から適切なものが選択される。
【0022】
本発明によるホットメルト組成物には、更に酸化防止剤などの安定剤や粘度調整剤等の添加剤を配合してもさしつかえない。また、ホットメルト組成物の塗工層の上に、アクリル系樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂などのバリアコート層を形成することにより、防湿紙の耐ブロッキング性、耐滑り性を付与し、ホットメルト組成物中に含まれる物質の防湿紙裏面等への移行及び裏写りを防止することができる。
【0023】
本発明のホットメルト組成物は、紙基材の少なくとも片面に設けられる。包装紙等の場合は、通常、包装の際に接着する必要性から紙基材の片面のみに設けられる。このような接着の必要性がなく、より優れた防湿性が要求される場合には、紙基材の両面に設けることもできる。
ホットメルト組成物は、通常、塗工により設けられる。塗工量は所望の防湿性能により適宜決定すればよいが、通常、10〜50g/m2程度が好ましい。
紙基材に対するホットメルト組成物の塗工方法は、ロールコーター、スロットオリフィスコーター、エクストルージョンコーターなどの使用が可能であるが、これらに限定されず、いかなる方法を用いてもよい。
【0024】
【実施例】
以下に本発明を実施例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
尚、以下の記載において、部は特に断らない限り、重量部を示す。
【0025】
実施例1
(A)成分としてアモルファスポリアルファオレフィン(ポリプロピレン単独重合体、分子量70000、APAO)39部、(B)成分としてテルペンフェノール共重合樹脂(軟化点145℃、酸価1以下)8部、(C)成分としてポリプロピレンワックス(C1)(軟化点154℃、針入度1以下、分子量19000)35部、酸化ポリプロピレンワックス(C2)(軟化点145℃、分子量3500、酸価7mg/g asKOH)1部、(D)成分としてポリプロピレン〔MFR(230℃)=30g/10分、融点157℃、分子量40000〕14部、(E)成分として無水マレイン酸変性ポリプロピレン(分子量40000、軟化点154℃、酸価26)3部、及び安定剤としてヒンダードフェノール系酸化防止剤(融点110〜125℃)1部からなる組成物を190〜200℃に加熱し、材料の全てが溶解したところで各成分が均一に分散する様に十分に攪拌し、ホットメルト組成物を作成した。
得られた溶融状態のホットメルト組成物を予め加熱しておいたマイヤーバーを使って75g/m2のクラフト紙上に20g/m2塗工し、防湿紙を得た。
【0026】
得られた防湿紙について、透湿度、水による離解性接着性及び静摩擦係数を以下に示した方法で測定した。結果は表1に示したように、透湿度はポリエチレン防湿紙と同等又はそれ以上の良好な防湿性を示した。水による離解性が良好で、抄紙した紙の加熱によるにじみ出しも見られなかった。また、接着性は、包装用ホットメルト糊使用時に紙基材との接着性及び包装用ホットメルト糊との接着性とも良好であった。また、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン糊との接着性は、ホットメルト糊の場合に比べて僅かに劣るが実用上問題のない程度に良好であった。
【0027】
(1)透湿度
カップ法(JIS Z 0208)に基づいて透湿度を測定する。なお、十字折りは、サンプルの中央を十文字に折り、折り目上を3kgのローラーで1往復させ折り目を付けた後、透湿度を測定する。一般的に、40g/m2・24hr以下であれば、防湿紙として使用される。
【0028】
(2)離解性
熊谷理機工業株式会社製標準パルプ離解機を用い、1〜1.5cm角に切断した防湿紙サンプルを2Lの水に対して40g(パルプ濃度2重量%)投入して30分間攪拌後、パルプ溶液及び抄紙したものの樹脂分散性を下記の基準で目視により判定する。なお、比重は室温の水中にホットメルト組成物単独を投入し、水に浮くか沈むかで判定した。
◎:パルプ溶液に浮き樹脂がなく、抄紙された紙に樹脂の存在がほとんど確認できない。
○:抄紙された紙に樹脂の存在がほとんど確認できない。
×:抄紙された紙に、細かく分散されていない樹脂が付着・存在する。
【0029】
(3)にじみ
にじみ出しの評価については、抄紙した紙をギヤオーブン内で150℃、1分間加熱してにじみの有無を下記の基準で目視により判定する。
○:にじみ出しが見られない。
△:にじみ出しが若干見られ、にじみの面積が5%未満である。
×:にじみ出しが相当見られ、にじみの面積が5%以上である。
【0030】
(4)包装用ホットメルト糊接着性
包装用エチレン−酢酸ビニル樹脂系ホットメルト糊(エスダイン:積水化学工業株式会社)をホットメルトガンで180℃に加熱し、防湿層表面に3mm幅で塗工する。直ちに、該塗工面に防湿紙紙裏を重ね、防湿層と紙裏とを接着させる。室温に冷却した後、接着強度を下記の基準で判定する。
○:紙層破壊し、接着強度は十分である。
△:一部紙層破壊するが、接着強度は不十分である。
×:ほとんど紙層破壊せず、接着強度は弱い。
【0031】
(5)包装用エマルジョン糊接着性
包装用酢酸ビニル樹脂系エマルジョン糊(ボンド:コニシ株式会社)を室温で防湿層に薄く塗工し、該塗工面に防湿紙紙裏を重ねる。室温に放置し乾燥させた後、接着強度を下記の基準で判定する。
○:紙層破壊し、接着強度は十分である。
△:一部紙層破壊するが、接着強度は不十分である。
×:簡単に剥がれ、接着していない。
【0032】
(6)摩擦係数(JIS P 8147水平法)
水平板の上に、一方の試験片をシワや弛みが生じないように粘着テープで固定する。次いで、他の試験片をおもりに密着させて、滑り面(表面)にシワや弛みが生じないように両端を粘着テープでおもりの前後側面に張り付けて錘り用試験片とし、引張試験機で試験片の上を引張速度30mm/min で約10mm錘り用試験片を滑らせ、両者間の摩擦力を記録させる。
評価面:(a)ホットメルト組成物の塗工面対同塗工裏面(紙裏)(実施例1)
(b)バリアーコート層塗工面対ホットメルト組成物の塗工裏面(紙裏)(実施例2)
(c)ホットメルト組成物の塗工裏面(紙裏)対同塗工裏面(紙裏)(実施例1、2)
水平板:幅約75mm、長さ200mm
錘り:幅60mm、長さ100mm、重量1000g
静摩擦係数:
紙の最初の動きを阻止しようとする摩擦力と紙に垂直に加わる力との比
【0033】
実施例2
実施例1で作成した防湿紙のホットメルト組成物塗工層に、アクリル系樹脂溶液(ユーダブル:株式会社日本触媒)を樹脂量0.5g/m2となるよう塗工し、バリアーコート層を形成した。結果は表1に記載のとおり、包装用エマルジョン糊の接着強度が改良されるとともに、特にホットメルト組成物中に含まれる物質の塗工層から紙裏への移行が防止され、また耐滑り性が付与されるので、防湿包装紙として使用されるときの荷崩れの危険がない優れたものであった。
【0034】
実施例3〜4
表1に示したように組成を変更して得られたホットメルト組成物について、実施例1と同様に操作して防湿紙を作成し、実施例1と同様にして透湿度、離解性及び接着性を評価した。
なお、実施例1で使用していない材料の詳細は以下の通りである。
(B2)芳香族変性テルペン炭化水素樹脂:軟化点125℃、酸価1以下、分子量800。
(C3)酸化ポリエチレンワックス:融点121℃、酸価1.0、密度0.96、分子量4000。
(C4)酸変性ポリエチレンワックス:融点107℃、酸価30、密度0.93、分子量2700。
炭酸カルシウム:重質炭酸カルシウム試薬1級。
【0035】
比較例1
実施例1の原料を使用し、(C)成分としてポリプロピレンワックス(C1)36部だけを用い、酸化ポリプロピレンワックスを使用しない方法でホットメルト組成物及び防湿紙を作成し、実施例1と同様にして透湿度、離解性、接着性を測定した。
結果は表1に示したように、透湿度、離解性、にじみは良好であるが、包装用糊の接着性がやや不十分であった。。
【0036】
比較例2〜3
表1に示したように組成を変更して得られたホットメルト組成物について、実施例1と同様な操作をして防湿紙を作成し、実施例1と同様にして、透湿度、離解性、接着性を評価した。酸化ワックス、酸変性ポリエチレンワックスを使用しない場合は、包装用糊との接着性が悪く(比較例2)、また粘着付与剤を所定量使用しない場合は、離解性が悪く、リサイクル可能な防湿紙とならないことがわかる。
【0037】
【表1】
Figure 0004441010
【0038】
【発明の効果】
叙上の通り、本発明のホットメルト組成物は、防湿性能に優れ、製品包装時の接着性が良好な防湿紙を提供することができる。また、本発明のホットメルト組成物を用いた防湿紙は、使用後のリサイクル時に容易に離解し、パルプとして再生紙原料として使用することができ、木材資源及び環境の保護に大きく寄与するものである。更に、従来のエマルジョンタイプのリサイクル可能防湿紙と比較し、生産性が高く安価に提供でき、従って、紙製品等の防湿性能を要求される包装に広範囲に使用することができる。

Claims (7)

  1. 下記の成分(A)〜(E)〔(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の合計で100重量部〕からなることを特徴とするホットメルト組成物:
    (A)アモルファスポリアルファオレフィン30〜55重量部、
    (B)粘着付与剤3〜25重量部、
    (C)酸化ワックス及び/又は酸変性ワックス0.1〜20重量部を含むワックス20〜45重量部、
    (D)射出成形用ポリプロピレン系樹脂2〜20重量部、
    (E)相溶化剤0〜15重量部。
  2. 酸化ワックスが酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス、酸化フィシヤートロプシュワックスから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の組成物。
  3. 酸変性ワックスが酸変性ポリエチレンワックス、酸変性ポリプロピレンワックスから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の組成物。
  4. ホットメルト組成物の比重が1.0以上となるよう無機フィラーが配合された請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 紙基材の少なくとも片面に、請求項1〜4のいずれか1項に記載のホットメルト組成物からなる防湿層を設けたことを特徴とする防湿紙。
  6. ホットメルト組成物からなる防湿層の上にバリアーコート層を設けた請求項5記載の防湿層。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のホットメルト組成物を紙基材の少なくとも片面に塗工することを特徴とする防湿紙の製造方法。
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