JPH09316252A - 水分散性ホットメルト組成物及びこれを用いた防湿紙並びにその製造方法 - Google Patents

水分散性ホットメルト組成物及びこれを用いた防湿紙並びにその製造方法

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JPH09316252A
JPH09316252A JP16108796A JP16108796A JPH09316252A JP H09316252 A JPH09316252 A JP H09316252A JP 16108796 A JP16108796 A JP 16108796A JP 16108796 A JP16108796 A JP 16108796A JP H09316252 A JPH09316252 A JP H09316252A
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Yorinobu Yamazaki
順伸 山崎
Takumi Kosugi
巧 小杉
Shuzo Ohara
柊三 大原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水分散可能で防湿性に優れたホットメルト組
成物及びこれを塗工した防湿紙を提供する。 【解決手段】 第1成分として、アタクチックポリプロ
ピレン及び/又はアモルファスポリアルファオレフィ
ン、第2成分として、ワックス類、第3成分として、粘
着付与剤の3成分から成り、第2成分であるワックス類
の配合量が10〜60重量%で、かつ第1成分と第3成
分との配合割合が同等又は、第1成分が優位量であるこ
とを特徴とするホットメルト組成物、及びこれを紙基材
に塗工してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水分散性ホットメ
ルト組成物及び該組成物を用いる、離解可能で防湿性に
優れた防湿紙並びにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に防湿紙とは、紙にポリエチレン、
ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂を塗工したもの
が良く知られており、広く使用されている。このオレフ
ィン系樹脂を塗工した防湿紙は、防湿性に優れ、加工性
が良いばかりでなく、安価であり、防湿紙として非常に
優れている。しかし、その反面、リサイクル性、即ち故
紙再生という観点からみると、防湿層の被膜強度が強す
ぎるため、紙を再生しパルプ化する工程で使用されるパ
ルパーでは、紙の繊維部から脱離したオレフィン系樹脂
層が細かく分散されず塊やフィルムとして残り、これら
が再生された紙の表面に付着してにじみや凹凸が発生し
て故紙のリサイクルを不可能にしている。
【0003】また近年、リサイクル可能な防湿紙が求め
られるなかで、合成ゴムラテックスとワックスエマルジ
ョンとからなるエマルジョンを塗工した防湿紙が提案さ
れている。この防湿紙は防湿性に優れ、かつ故紙へのリ
サイクル性も有している。しかしながら、塗工液がエマ
ルジョンであるため、被膜形成するのに長大な乾燥設備
が必要で、かつオレフィン系樹脂の塗工に比べ生産性が
悪い。また、乾燥が進み、防湿層の被膜形成にともなっ
て、防湿紙にカールが発生したり、塗工液中のワックス
がブリードし、防湿紙に滑りが発生する。従って、エマ
ルジョン塗工タイプの防湿紙の裏面には、カール防止や
滑り防止の目的でコロイダルシリカなどを塗工せざるを
えず、工程数が増加するという問題がある。また、これ
らの防湿液は、いずれも現状では非常に高価なため、特
殊用途のみに使用され一般の防湿紙用にはほとんど使用
されていないのが実情である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の如き従
来の欠点を解決し、防湿性に優れ、故紙へのリサイクル
性があり、安価で生産性に優れた防湿紙を提供すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発者らは上記課題を解
決するべく鋭意検討した結果、特定の成分を特定の割合
で配合したホットメルト組成物を紙基材に塗工すること
により、上記目的を満足する防湿紙が提供できることを
見出した。即ち、本発明の第1は、第1成分として、ア
タクチックポリプロピレン及び/又はアモルファスポリ
アルファオレフィン、第2成分として、ワックス類、第
3成分として、粘着付与剤の3成分から成り、第2成分
であるワックス類の配合量が10〜60重量%で、かつ
第1成分と第3成分との配合割合が同等又は、第1成分
が優位量であることを特徴とするホットメルト組成物
を、本発明の第2は、前記組成物と紙基材とから成る防
湿紙を、本発明の第3は、上記ホットメルト組成物を紙
基材に塗工することを特徴とする、離解可能で防湿性に
優れた防湿紙の製造方法をそれぞれ内容とする。
【0006】本発明のホットメルト組成物に使用される
第1成分としてのアタクチックポリプロピレンは、アイ
ソタクチックポリプロピレン製造時の副産物で、コスト
が安く、流動性及び成膜性が良く、極めて柔軟である。
またアモルファスポリアルファオレフィンは、プロピレ
ン単独あるいはプロピレンとエチレンやブテン−1等を
共重合した非晶性のオレフィン系ポリマーである。これ
らの分子量は1000〜100000程度のものが適当
である。分子量が1000未満では防湿層に十分な被膜
強度がなく、さらに再生紙化の乾燥工程において樹脂の
にじみが発生する場合がある。また100000を超え
ると樹脂の流動性が悪く、均一な防湿層が形成できない
ため、良好な防湿性が得られない場合がある。また使用
に際し、単独又は2種以上を混合して使用される。
【0007】次に第2成分としてのワックス類には、大
別すると天然系ワックスと合成系ワックスの2種類があ
り、これらのいずれのワックスを選択してもよく、また
単独又は2種以上を混合して使用される。天然系ワック
スには、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワ
ックス、モンタンワックス、カルナバワックス、キャン
デリラワックスなどがあり、また合成系ワックスには、
低分子量ポリエチレンワックスなどがある。
【0008】また第3成分としての粘着付与剤には、官
能基を有するものとして、ロジン、変性ロジン、及びこ
れらのエステル化合物、アルキルフェノール樹脂、ロジ
ン及びアルキルフェノール変性キシレン樹脂、テルペン
フェノール樹脂などがあり、また官能基を有しないもの
として、テルペン系樹脂、オレフィン系樹脂、スチレン
系樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロンインデン樹脂など
があり、これらのいずれを選択してもよく、また単独又
は2種以上を混合して使用される。
【0009】本発明において、防湿層を形成するホット
メルト組成物は、第2成分であるワックス類の配合量が
10〜60重量%で、第1成分であるアタクチックポリ
プロピレン及び/又はアモルファスポリアルファオレフ
ィン量と、第3成分である粘着付与剤との配合割合が同
等又は第1成分が優位量であることを特徴としている。
【0010】第2成分であるワックス類の配合量が10
重量%未満になると、第1成分の占める割合が増加し、
ホットメルト組成物の水中での分散性が悪く、再生され
た紙の表面にホットメルト組成物のフィルム破片が付着
してにじみや凹凸が発生する。また、第2成分であるワ
ックス類の配合量が60重量%を超えると、防湿層の柔
軟性が低下し、防湿紙を十文字に折り曲げた時、防湿層
に割れが生じ透湿度が著しく低下して、防湿機能が果た
されなくなる。
【0011】第1成分であるアタクチックポリプロピレ
ン及び/又はアモルファスポリアルファオレフィン量
と、第3成分である粘着付与剤との配合割合において、
第1成分の量が少なくなると、防湿層の柔軟性が低下
し、防湿紙を十文字に折り曲げた時、防湿層に割れが生
じ透湿度が著しく低下して、防湿機能が果たされなくな
る。従って、上記範囲外での配合からなるホットメルト
組成物では、防湿性及び水分散性の両立が困難となる。
紙基材に対する塗工方法は、ロールコーター、スロット
オリフィスコーター、エクストルージョンコーターなど
の使用が可能であるが、これらに限定されず、いかなる
方法を利用してもよい。
【0012】
【実施例】以下に本発明を実施例を挙げて更に詳細に説
明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではな
い。尚、以下の記載において、%は特に断らない限り、
重量%を示す。
【0013】実施例1 アタクチックポリプロピレン(APP)45%、芳香族
変性テルペン重合体(軟化点125℃、酸価2以下)2
5%、カルナバワックス(軟化点86℃、酸価6、針入
度2以下)30%を約160〜170℃に加熱し、材料
の全てが溶解したところで各成分が均一に分散する様に
十分攪拌し、ホットメルト組成物を作製した。得られた
溶融状態のホットメルト組成物を予め加熱しておいたマ
イヤーバーを使って75g/m2のクラフト紙上に約18
g/m2塗布して防湿紙を得た。得られた防湿紙につい
て、水による離解性と透湿度を以下に示した方法で測定
した。結果は表1に示したように、水による離解性が良
好で、かつ平板及び十字折りでの透湿度がオレフィン系
樹脂を塗工した防湿紙と同等又はそれ以上の良好な防湿
性を示した。
【0014】(1)離解性 熊谷理機工業(株)標準パルプ離解機を用い、2〜3cm
角に切断した防湿紙サンプルを2Lの水に対して40g
(パルプ濃度2%)投入して30分間攪拌後、パルプ溶
液及び抄紙したものの樹脂分散性を下記の基準で目視に
より判定する。 ○:抄紙された紙に、樹脂の存在がほとんど確認できな
い。 ×:抄紙された紙に、細かく分散されていない樹脂が多
数付着・存在する。
【0015】(2)透湿度 カップ法(JIS Z 0208)に基づいて透湿度を
測定する。透湿度は平板状と十字折りについて測定す
る。尚、十字折りは、サンプルの中央を十文字に折り、
折り目上を3Kgのローラーで1往復させ折り目をつけた
後、透湿度を測定する。
【0016】実施例2 実施例1において、配合割合をアタクチックポリプロピ
レン55%、芳香族変性テルペン重合体35%、カルナ
バワックス10%として、ホットメルト組成物を作製し
た。上記ホットメルト組成物を用い、実施例1と同様の
方法で防湿紙を作製し、離解性及び防湿性を測定した。
結果は表1に示したように、水による離解性が良好で、
かつ平板及び十字折りでの透湿度がオレフィン系樹脂を
塗工した防湿紙と同等又はそれ以上の良好な防湿性を示
した。
【0017】実施例3 アタクチックポリプロピレン25%、芳香族変性テンペ
ン重合体25%、パラフィンワックス(軟化点69℃、
針入度15)25%、硬質酸化ワックス(軟化点100
℃、酸価12、針入度8)25%を混合して実施例1と
同様の方法でホットメルト組成物を作製した。上記ホッ
トメルト組成物を用いて実施例1と同様の方法で防湿紙
を作製し、離解性及び防湿性を測定した。結果は表1に
示したように、水による離解性が良好で、かつ平板及び
十字折りでの透湿度がオレフィン系樹脂を塗工した防湿
紙と同等又はそれ以上の良好な防湿性を示した。
【0018】実施例4 実施例1においてアタクチックポリプロピレンの代わり
に、アモルファスポリアルファオレフィン(APAO)
を同量用いた他は同様にしてホットメルト組成物を作製
した。上記ホットメルト組成物を用いて実施例1と同様
の方法で防湿紙を作製し、離解性及び防湿性を測定し
た。結果は表1に示したように、水による離解性が良好
で、かつ平板及び十字折りでの透湿度がオレフィン系樹
脂を塗工した防湿紙と同等又はそれ以上の良好な防湿性
を示した。
【0019】実施例5 実施例4において、芳香族変性テルペル重合体の代わり
にロジン(軟化点80〜87℃、酸価165〜175)
を同量用いた他は同様にしてホットメルト組成物を作製
した。上記ホットメルト組成物を用いて実施例1と同様
の方法で防湿紙を作製し、離解性及び防湿性を測定し
た。結果は表1に示したように、水による離解性が良好
で、かつ平板及び十字折りでの透湿度がオレフィン系樹
脂を塗工した防湿紙と同等又はそれ以上の良好な防湿性
を示した。
【0020】比較例1 アタクチックポリプロピレン50%、芳香族変性テルペ
ン重合体50%を混合して、実施例1と同様の方法でホ
ットメルト組成物を作製した。上記ホットメルト組成物
を用いて実施例1と同様の方法で防湿紙を作製し、離解
性及び防湿性を測定した。結果は表1に示したように、
水による離解性が良好であるが、平板及び十字折りでの
透湿度がオレフィン系樹脂を塗工した防湿紙と比較する
と劣り、満足できる防湿性が得られなかった。
【0021】比較例2 アタクチックポリプロピレン50%、パラフィンワック
ス25%、硬質酸化ワックス25%を混合して、実施例
1と同様の方法でホットメルト組成物を作製した。上記
ホットメルト組成物を用いて実施例1と同様の方法で防
湿紙を作製し、離解性及び防湿性を測定した。結果は表
1に示したように、水による離解性は良好であるが、オ
レフィン系樹脂を塗工した防湿紙と透湿度を比較する
と、平板では良好な防湿性が得られるが、十字折りでは
著しく防湿性が低下した。
【0022】比較例3 実施例1において、配合割合をアタクチックポリプロピ
レン57%、芳香族変性テルペン重合体38%、カルナ
バワックス5%として、ホットメルト組成物を作製し
た。上記ホットメルト組成物を用いて実施例1と同様の
方法で防湿紙を作製し、離解性及び防湿性を測定した。
結果は表1に示したように、平板及び十字折りでの透湿
度はオレフィン系樹脂を塗工した防湿紙と同等又はそれ
以上の良好な防湿性であるが、水による離解性が悪く防
湿層が細かく分散しないため、故紙のリサイクルが不可
能であった。
【0023】比較例4 実施例1において、配合割合をアタクチックポリプロピ
レン18%、芳香族変性テルペン重合体12%、カルナ
バワックス70%として、ホットメルト組成物を作製し
た。上記ホットメルト組成物を用いて実施例1と同様の
方法で防湿紙を作製し、離解性及び防湿性を測定した。
結果は表1に示したように、水による離解性は良好であ
るが、オレフィン系樹脂を塗工した防湿紙と透湿度を比
較すると、平板では良好な防湿性が得られるが、十字折
りでは著しく防湿性が低下した。
【0024】比較例5 実施例1において、配合割合をアタクチックポリプロピ
レン17%、芳香族変性テルペン重合体33%、カルナ
バワックス50%として、ホットメルト組成物を作製し
た。上記ホットメルト組成物を用いて実施例1と同様の
方法で防湿紙を作製し、離解性及び防湿性を測定した。
結果は表1に示したように、水による離解性は良好であ
るが、オレフィン系樹脂を塗工した防湿紙と透湿度を比
較すると、平板では良好な防湿性が得られるが、十字折
りでは著しく防湿性が低下した。
【0025】比較例6 スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー
(SIS)30%、芳香族変性テルペン重合体20%、
パラフィンワックス50%を混合して、実施例1と同様
の方法でホットメルト組成物を作製した。上記ホットメ
ルト組成物を用いて実施例1と同様の方法で防湿紙を作
製し、離解性及び防湿性を測定した。結果は表1に示し
たように、水による離解性が悪く、防湿層が細かく分散
しないため故紙のリサイクルが不可能でかつ、平板及び
十字折りでの透湿度がオレフィン系樹脂を塗工した防湿
紙と比較すると劣り、満足できる防湿性が得られなかっ
た。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】叙上の通り、本発明のホットメルト組成
物を塗工した防湿紙は、オレフィン系樹脂を塗工した防
湿紙と同等又はそれ以上の防湿性があり、かつ折り曲げ
等による防湿性の低下がない。さらに近年提案されてい
るエマルジョン塗工タイプのリサイクル可能な防湿紙と
同等の、水に対する分散性も有し、かつ乾燥工程を必要
としないのでカールの心配がなく、また設備的にも安価
であり、作業能率も良好である。また価格的にも、安価
なアタクチックポリプロピレン及び/又はアモルファス
ポリアルファオレフィンを主成分とするので、安価にリ
サイクル可能な防湿紙を提供することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1成分として、アタクチックポリプロ
    ピレン及び/又はアモルファスポリアルファオレフィ
    ン、第2成分として、ワックス類、第3成分として、粘
    着付与剤の3成分から成り、第2成分であるワックス類
    の配合量が10〜60重量%で、かつ第1成分と第3成
    分との配合割合が同等又は、第1成分が優位量であるこ
    とを特徴とするホットメルト組成物。
  2. 【請求項2】 紙基材と請求項1記載のホットメルト組
    成物からなる、離解可能で防湿性に優れた防湿紙。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のホットメルト組成物を紙
    基材に塗工することを特徴とする、離解可能で防湿性に
    優れた防湿紙の製造方法。
JP16108796A 1996-05-31 1996-05-31 水分散性ホットメルト組成物及びこれを用いた防湿紙並びにその製造方法 Pending JPH09316252A (ja)

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