JP4685420B2 - 可塑化粘着樹脂 - Google Patents
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Description
又、本発明の課題は、融着のための専用ガンなどを必要とせず、可塑性や粘着性に優れ、機械的、物理特性に優れた可塑化粘着樹脂を、経済的に有利な条件で製造する可塑化粘着樹脂の製造方法、ならびに当該可塑化粘着樹脂を用いたネジの緩み止め方法を提供することである。
更に、本発明は、ネジの緩み防止機能を有したボルト及びナットを提供することを課題とするものでもある。
又、本発明者は、粘着特性に優れた複合材料の製造方法の開発を鋭意検討した結果、混練押出機の可塑化過程の樹脂圧力を制御することにより、機械的、物理特性に優れた可塑化粘着樹脂を生産することが可能であることを見出し、本発明を完成した。
更に、本発明の製造方法は、前記の溶融混合によって得られた溶融混合物を、圧力を加えながら、先端部分に所要形状の開口を有するノズルの先端から押し出すことを特徴とするものでもある。
更に、本発明の、ネジの緩み防止機能を有したボルト及びナットは、当該ボルトの雄ネジの少なくとも先端側ネジ山部と、ナットの雌ネジのネジ山部のいずれか一方に、上記の可塑化粘着樹脂が塗布されていることを特徴とする。
塑性変形により粘着性が生じる特性を有した本発明の可塑化粘着樹脂は、アタクチックポリプロピレン(APP)とワックス成分とから成り、このAPPは、アイソタクチックポリプロピレンを製造する際に生じる副生成物であって、主鎖に結合したメチル基の配置がランダムなポリマーで、ブロックコポリマー、モノポリマー、ランダムコポリマーなどがある。軟化点は125〜160℃で耐熱性として空気中で加熱すると230℃以上の温度になると一部分解しガス化する。耐薬品性としてアルカリ、酸、塩類にしてはアイソタクチックと同様に安定である。市販されている三菱化学株式会社製のユカタック(商品名)のシリーズは更なる精製を行なうことなくそのまま利用できる。この際、APPの平均分子量は20000〜100000の範囲であることが好ましく、APPの平均分子量が20000よりも極端に小さい場合には、低粘度品となって好ましくなく、逆に100000よりも極端に大きい場合には、高粘度品となるので好ましくない。
本発明においては、固体ポリオレフィン系ワックス(パラフィンワックス)が好ましいが、マイクロクリスタリンワックスや低分子量ポリエチレンワックスなどの、天然又は合成ワックスも好ましい。本発明において特に好ましいワックス成分は、日本ワックス株式会社から精密鋳造用キャスティングワックスとして市販されているものであり、このワックスの凝固点は62〜80℃、融点は77〜95℃、針入度は100g/25℃の条件において約3〜9で、日本ワックス株式会社製のK−シリーズ品番K−724やK−512やK−114など強度が強いものを使用することが好ましい。
この物理的性質に属する靭性や伸びに関しては、本発明では粘着性と共に重要な要素である。配合比は粘着性能との関連があるので、使用感のよい適当な配合比になるように製品化する。ただし、ワックス成分が多いほど室温では問題がなくても、高温使用時の性能を左右するので配合比には注意を要する。
本発明の可塑化粘着樹脂を、不透明性(遮光性)が付与された製品とする場合には、遮光性を付与するための遮光性付与剤として、平均粒径100μm以下の金属粉末が、(前記APP+前記ワックス成分)の配合物100重量部に対して1〜10重量部の割合、好ましくは3重量部前後の割合で添加されることが好ましい。この際、前記配合物100重量部に対して金属粉末が1重量部以下の添加では十分な遮光性を得ることが困難であり、逆に10重量部を極端に超えて添加すると樹脂が脆くなるので好ましくない。
このような金属粉末の種類は特に限定されるものではないが、一般的には樹脂練り込み用の光輝性アルミニウム粉末として市販されている平均粒径100μm以下のもの(例えばメッシュ200は74μm以下)などが好ましく、このような光輝性アルミニウム粉末が配合された本発明の可塑化粘着樹脂は、シルバーメタリック調の色調を有した製品となり、ネジ山部への付着状態や付着量を容易に目視により観察できる。
上述の本発明の可塑化粘着樹脂は、接着対象物に対して付着または巻き付け易いような種々の形態で提供することができ、例えば2〜5mmの外径を有した紐状(ロープ状)の他、テープ状(帯状)、カード状、ブロック状などであってもよい。
本発明の製法では、前述のAPPと前述のワックス成分とを85〜40:15〜60、好ましくは80〜50:20〜50の重量比率にて配合し、得られた配合物を溶融混合した後、凝固点以下の温度にまで冷却するが、この際、市販の混合機が種々利用でき、二軸混練押出機を用いる場合には、可塑化粘着樹脂に可塑化現象を起こさせる領域条件として押出圧力が10000kPa以上となる条件で定義された臨界押出量以上の押出速度で成形を行なう。本発明の製法において、2軸混練押出機を用いる場合には、APPとワックス成分が二つの凝固温度を有するから温度管理が重要である。常に凝固温度以下で尚かつ近辺に凝固温度に近いほど混合樹脂は軟らかいので、混練動力が少なくてすむ。ただし、ノズルから押し出す付近では常温状態が望ましいので、送風式や水冷式などの適当な手段を用いて冷却を行う。
また、本発明は、バッチ生産方式として、前記のAPPとワックス成分を上記の比率で配合し、溶融混合した後、得られた混合物を一定量ごとに分けて成形型を用いてカード状や円板状などにプレス成形してもよい。
上記の混合樹脂を、圧力を加えながら、先端部分に所要形状の開口を有するノズル先端から押し出し加工する際、紐状の製品を製造するには円形開口を有したノズルを使用すれば良く、数mm以上の板状のものや1mm以下の厚みのシート状やテープ状の製品を製造するには、前記のノズルから出た成形材を、一定クリアランス(隙間)を有するローラー間に通して薄く伸ばせば簡便に得られる。
上記製法にて得られた可塑化粘着樹脂は、所望の形状に加工した後に長期間の貯蔵(保存)を行なうと、樹脂表面の粘着性が低下してほとんどベトツキのない状態となるが、手や指で混練した際に粘着性が回復する機能を有している。
本発明では、副産物であるAPPに本発明の手段を用いて新たに有効な物性を付与することができ、物性の優れた可塑化粘着樹脂を経済的に有利な条件で得ることができる。
上記の本発明の製法により得られる可塑化粘着樹脂は、再利用可能な製品を提供できるので廃棄物公害を起こすことが少ない。従って、エネルギー資源の節約や地球環境の保護にも役立てることができ、その工業的価値は極めて大きい。
本発明の製造方法により製造される可塑化樹脂組成物は、粘着付与樹脂と離型性の高い固形剤とを組み合わせることにより得られる複合材料である。
本発明では、雄ネジの少なくとも先端側ネジ山部あるいは雌ネジのネジ山部に本発明の可塑化粘着樹脂を塗布した後、雄ネジ又は雌ネジを回転させてネジ止めを行なうと、樹脂がネジ山部に入り込んだ状態となり、確実なネジ止めが達成され、振動部分に取り付けられた場合であってもネジの緩みが生じない。そして、一定期間後にネジを取り外す必要が生じた際であっても、接着剤で固定した場合のようにネジが外れなくなったりすることがなく、特別な工具を使用しなくてもネジの取り外しが容易に行なえる。
本発明により製造された可塑化粘着樹脂を、ネジに付着させると緩みにくいネジが容易にできる。従来のネジの緩み防止法としては、ダブルナット、スプリングワッシャ、スプリングワッシャ内蔵のロックネジ、ダブルナットの平面接触部をテーパー接触として摩擦力を高めた方法、ナイロンなどをネジ軸に縦筋上彫り込んで入れる方法など数々の手法があるがまだ決定的なものはなかった。また、ネジ部に接着剤を塗る方法もあるが、増し締めなどはできないし、分解修理する用途には不向きであった。これに対し、本発明の樹脂は粘着接着性を有し、可塑化過程は繰り返しおこなうことができるので、何度でも再利用できる特徴を有する。メガネに使用しているネジ類のような小物から車両などに使われるような大きな物にまで使える。しかも、専用ナットやボルトを予め用意せずに殆ど全てのネジの締結に利用できる。ネジには予めディッピィングなどの手法でネジ部に可塑化粘着樹脂を付着させてもよい。付着の厚み量は、可塑化粘着樹脂を溶融させる温度やネジの予熱温度などの関係で決まるので、温度制御により容易に厚みをコントロールさせることができる。一旦付着した可塑化粘着樹脂はそのままでは余り粘着性能を発揮しないが、ねじ込むことにより、表面に付着している可塑化粘着樹脂が粘性を帯びてきて、やがて相手部材との接合を始める。本発明の可塑化粘着樹脂は増し締めや分解が可能で、成分が残っていればそのまま再利用できるし、量が少なければ追加してもよい。本発明品をネジ部の緩み止めに用いれば、錆の防止にもなり、また金属同士の固着や錆を原因としての、分解時にも緩め易く、また強固にしまった状態のナットの頭などを潰してしまって分解困難に陥ることを防止できる。また、可塑化粘着樹脂で固定されたナットは成人男性が指で回して解くことが困難になるくらいである。しかし、これは24時間放置後の場合であって、可塑化粘着樹脂は揉むことによって充分に軟らかくすることが可能なので、女性や子供の手でも容易にナットをボルトに固定できる。また、予め、表面に可塑化粘着樹脂を塗りつけたボルトは、放置されている時間が長いのでナイロンナットを回すときのように器具を使用する場合も生じるが、目的に応じて塗布量を調節すればよいので手だけで回すことも可能になる。
以下に実施例を用いて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、これによって限定されるものではない。
三菱化学株式会社製のアタクチックポリプロピレン(商品名:ユカタック−E2,平均分子量:約30000)と、融点が58℃近辺である市販のパラフィンワックスとを用い、上記成分の配合割合が0:100〜100:0(重量比率)となるようにして配合して、各配合物を約180℃前後の温度に加熱しながら撹拌して溶融混合を行ない、適当な大きさの成形金型内に入れて、自然冷却することにより試験片(樹脂A)直径約34mm、厚み約3mmを製造した。
又、上記のAPPと、日本ワックス株式会社製の精密鋳造用キャスティングワックス(品番:K−724)とを0:100〜100:0(重量比率)となるようにして配合し、得られた配合物100重量部に対してそれぞれ、樹脂練り込み用アルミニウム粉末(中塚金属箔粉工業株式会社製、粒径:74μm以下)3重量部を配合し、適当な大きさの成形金型内に入れて自然冷却することにより試験片(樹脂B)直径約34mm、厚み約3mmを製造した。
図1は、上記の硬度測定により得られた硬度変化を示すグラフである。
図1から、選択するワックスとその配合比率で仕上がり製品の性状を示す元となる指標の硬度に相当の違いが現れることがわかる。
前記実施例1記載のAPP70重量部と、融点が58℃近辺である市販のパラフィンワックス30重量部とを配合し、得られた配合物を約170℃の温度に加温しながら撹拌溶融を行ない、適当な大きさの成形金型内に入れて自然冷却することにより試験片(樹脂A)直径約34mm、厚み約3mmを製造した。
この工程により得られた樹脂Aを自社開発製の縦型油圧プレス成形機の中に複数枚重ねて入れ、同サイズのピストンでシリンダー内の樹脂Aを強力な圧力で押しつけた。押しつけ圧力は樹脂Aが数10000kPa以上の圧力を必要とした。樹脂Aの温度が常温状態で押出を行った場合は先端部ノズル直径により押出圧力に相当の違いが生じた。内径2mmの円形開口の場合では初期圧力60000kPa程度以上を必要とした。
成形機の先端に設けられたノズルから可塑化された樹脂が一旦押し出されると押出圧力は30000kPa程度に急速に低下した。
本実施例では成形機の先端に設けられたノズルから可塑化された樹脂が押し出され出すと押出圧力は30000kPa程度に急速に低下した。本実施例では外径2mmの紐状の形態を有した本発明の可塑化粘着樹脂(乳白色)を製造した。樹脂Aが通過する全ての部分を予め加温しておけば押出圧力は相当下げられた。
前記実施例1記載のAPP64重量部、日本ワックス株式会社製の精密鋳造用キャスティングワックス(品番:K−724)33重量部の他に、樹脂練り込み用アルミニウム粉末(中塚金属箔粉社製、粒径74ミクロン以下 )3重量部を配合し、得られた配合物を、実施例1と同様に成形した。
そして、得られた樹脂Bを自社開発油圧プレス成形機の中に複数枚重ねて入れ、同サイズ径のピストンでシリンダー内の樹脂Bを強力な圧力で押しつけた。押しつけ圧力は数万kPa以上の圧力を必要とし、樹脂温度Bを常温で押出を行った場合は、先端部ノズル直径により押出圧力に相当違いが生じた。内径3mmの円形開口の場合では初期圧力45000kPa程度以上を必要とした。
成形機の先端に設けられたノズルから可塑化された樹脂が押し出され出すと押出圧力は30000kPa程度に急速に低下した。
本実施例では外径3mmの紐状の形態を有した本発明の可塑化粘着樹脂(シルバーメタリック色)を製造したが、樹脂Bが通過する全ての部分を予め加温しておけば押出圧力は相当に下げられた。
上記実施例2及び3で得られた可塑化粘着樹脂をそれぞれ使用し、手揉みした時の柔らかさの度合いと、時間経過後の硬度増加を測定した。(20℃の環境中で保存)尚、経過時間毎の硬度測定は、それぞれの樹脂を手で揉み始めて最も柔らかくなった状態にした後で行ない、測定方法は、前記実施例1の場合と同じとした。
図2は、上記の硬度測定により得られた硬度の経時変化を示すグラフである。
図2から、本発明の可塑化粘着樹脂は、約5分を経過した後からグラフが徐々に上昇し硬度が硬くなる特性を有していることがわかる。このような特性を示す可塑化樹脂製品は、手揉み作業で柔らかくなればなるほど粘着性能が良くなり使い易くなる。また、一旦揉んで軟らかくした可塑化樹脂は放置すれば時間経過と共に硬度を増すが、放置後に硬度が増加する比率の高いものほど接合強度の性能がよい。
a)ボルト‐ナット固定への使用例I
上記実施例2で得られた本発明の可塑化粘着樹脂を指で圧力を加えて5〜6回混練した後、市販のボルト‐ナットのボルトの先端側ネジ山部分の谷間を埋めるようにして可塑化粘着樹脂を擦り込んでナットを固定した。このようにしてネジ山に本発明の樹脂を擦り込んだ場合、ナットの締め始めから締め終わりまで常に一定の負荷がかかった状態で締め付けがなされ、ナット締め付け直後からナットが確実に固定されることが確認された。
又、上記実施例3で得られた可塑化粘着樹脂を用いた場合にも同様の結果が得られた。可塑化粘着樹脂の緩みトルクは上記状態て固定後に、24時間放置したM5サイズのナットを回す場合に、日本電産シンポ株式会社製のデジタルフォースゲージを用いて自社開発したデジタルトルクメーターで、10N/cm以上の初期回転抵抗があることが確認された。なお、本発明の可塑化粘着樹脂は、押出成形機での押出圧力が急速に減じた現象と同様に、ズリ始めの抵抗は大きいが、一旦ズレ出すと急速に抵抗を減ずる物性があることがわかった。
b)ボルト‐ナット固定への使用例II
上記実施例2で得られた本発明の可塑化粘着樹脂を、加熱手段を有した浴の中に入れ、徐々に昇温していくと70〜80℃の温度で溶融し始め、最終的には約160℃の温度を維持させた。この浴の中に市販のボルトの先端側ネジ山部を浸漬させて引き上げ、ネジ山部に樹脂を付着させた。このようにして樹脂を付着させたボルトにナットをネジ込んだ場合、ナットの締め始めから締め終わりまで常に一定の負荷がかかった状態で締め付けがなされ、ナット締め付け直後からナットが確実に固定されることが確認された。又、上記実施例3で得られた可塑化粘着樹脂を用いた場合にも同様の結果が得られた。
c)メガネのネジ固定へ使用した場合
上記実施例2で得られた本発明の可塑化粘着樹脂を指で圧力を加えて5〜6回混練した後、市販のメガネのネジのボルト部に少量付着させてからネジを固定した。このような状態でネジ止めされたメガネは長期間使用した後であってもネジの緩みがないことが確認された。又、上記実施例3で得られた可塑化粘着樹脂を用いた場合にも同様の結果が得られた。
上記実施例3で得られた本発明の可塑化粘着樹脂を指で圧力を加えて充分な柔らかさとなるまで混練した後、150mm×150mmの大きさのテフロン(登録商標)板(厚み約3mm)の表面に指で付着させ、その上から、同じ大きさのテフロン(登録商標)板を重ね合わせて指で圧着させた。このようにして得られた積層物の引張強度を、JIS K6849に従い、日本電産シンポ株式会社のデジタルフォースゲージを用いて自社開発した引張強度試験機で測定した。
1時間経過した後に測定したところ、約46N/cm2の接着強度が得られた。又、上記実施例3で得られた本発明の可塑化粘着樹脂を加熱して溶融させ、上記テフロン(登録商標)板間に挟んで溶融接合させた積層物の引張強度を、上記と同様にして1時間経過した後に測定したところ、約183N/cm2の接着強度であることが確認された。尚、本発明の可塑化粘着樹脂の硬度は経過時間の増加とともに増加する性質があるので、8時間後では25%程度も引張強度が増加する。さらに数日間程度の長期放置した場合では1時間放置の値より50〜70%程度も引張強度の増加が確認された。
また、溶融後、型に入れて自然冷却した場合の可塑化粘着樹脂は、日数増加と共に数日間で10〜20%も硬度が増加することが確認された。引張強度の増加の表現は増加した数値を元の数値で割り算して表現した。ただし、硬度の軟化や増加に関しての表現については、硬度計の針の度数変化を数値換算して差し引き計算したものを元の硬度計の数値で割り算した簡便な方法である。
この他、接着させる基材の材質をポリプロピレン板、アルミニウム板、木板などに変えて同様に試験した場合にも充分な接着強度が得られることが確認された。
引張強度は添加するワックスや配合比によって数値が変わる。日本ワックス株式会社製の精密鋳造用キャスティングワックスにはKシリーズがあるが、融点及び硬度は様々であり、硬度の硬いもの程、引張強度は強くなる傾向がある。ただし、強度が高まれば常温での手揉み作業も硬くて、作業者が使用しずらくなるので、使用目的に応じて適度な強度をもたせることがよい。
本発明に可塑化粘着樹脂を製造することに精密鋳造用のキャステイングワックスを用いたが、その理由としてキャステイングワックスの物理特性が一般のワックスに比較して、熱による膨張収縮率が小さいこと、硬度と強度のあること、加熱による変質の少ないこと、溶融粘度の小さいこと、溶融点の高いことである。
また、本発明の可塑化粘着樹脂は、従来からあるホットメルト接着剤と比べて、物理特性としての違いは、ホットメルト接着剤は固化すると強く硬くなることを目的とするものであって、固化したものは手で揉んだくらいでは容易に変形しない。従って、本発明の可塑化粘着樹脂が目的とする用途には使えない。
なお、本発明の可塑化粘着樹脂を製造するに際して用いるワックスは上記の実施例のワックスにこだわらず、他のメーカのものを用いてもよいし配合して用いてもよい。
これは、樹脂内部の分子間の結合状態に微細な変化が生じ、同じ温度条件でも物理特性が変化したものであると言える。また溶融後に常温まで冷却された可塑化粘着樹脂は放置日数に応じて10〜20%も硬度が増すことも確認された。これは本発明の可塑化粘着樹脂の特徴的な物性変化であり、産業上での利用分野が広く、幅広い接着に利用できる。
しかも、本発明の可塑化粘着樹脂の場合には、化学反応のような接着機構による接着ではないために接着直後から十分な接着強度を示す。有機溶剤などを含まないので環境にも優しく、1回使用した後でも回収すれば何度でも再使用できる。密閉した状態での保存も不要の特徴もあり、容器形態にこだわらなくてよい。この樹脂をボルト、ナット、一般的なサラネジ、ナベネジ、止めネジ等の各種ネジのネジ山部に塗布してネジ止めを行なう本発明の方法を使用することにより、ネジの緩みを有効に防止でき、本方法は、メガネ分野においてメガネのネジが緩むのを防止するのにも適している。
Claims (6)
- 熱溶融させずに使用され、圧力を加えた際に塑性変形して粘着性及び接着性が生じる特性を有する樹脂であって、当該樹脂が、アタクチックポリプロピレンとワックス成分とから成り、前記樹脂における前記アタクチックポリプロピレンの配合割合が85〜40重量%であり、前記ワックス成分の配合割合が15〜60重量%であることを特徴とする可塑化粘着樹脂。
- 前記可塑化粘着樹脂に遮光性を付与するための遮光性付与剤として、平均粒径100μm以下の金属粉末が、前記アタクチックポリプロピレンと前記ワックス成分の配合物100重量部に対して1〜10重量部の割合で含有されていることを特徴とする請求項1記載の可塑化粘着樹脂。
- 熱溶融させずに使用され、圧力を加えた際に塑性変形して粘着性及び接着性が生じる特性を有する樹脂を製造するための方法であって、アタクチックポリプロピレンとワックス成分とを85〜40:15〜60の重量比率にて配合し、得られた配合物を溶融混合した後、凝固点以下の温度にまで冷却して押出又は圧延することを特徴とする可塑化粘着樹脂の製造方法。
- 前記の溶融混合によって得られた溶融混合物を、凝固点以下の温度に冷却後、圧力を加えながら、先端部分に所要形状の開口を有するノズルの先端から押し出すことを特徴とする請求項3記載の可塑化粘着樹脂の製造方法。
- ネジの緩みを防止するための方法であって、雄ネジの少なくとも先端側ネジ山部と、雌ネジのネジ山部のいずれか一方に、前記請求項1又2記載の可塑化粘着樹脂を付着させた後、前記雄ネジ又は雌ネジを回転させてネジ止めを行なうことを特徴とするネジの緩み止め方法。
- ネジの緩み防止機能を有したボルト及びナットで、当該ボルトの雄ネジの少なくとも先端側ネジ山部と、ナットの雌ネジのネジ山部のいずれか一方に、前記請求項1又2記載の可塑化粘着樹脂が塗布されていることを特徴とするボルト及びナット。
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