JP3689601B2 - 紙容器及びその製造方法 - Google Patents

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  • Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用後のリサイクルを可能とした紙容器及びその製造方法に関し、更に詳しくは、容器として使用後に通常の故紙と同様に、製紙会社のパルパーで離解され、紙として再利用可能な、耐水層を有する紙容器及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に紙容器は、紙にポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンを塗工したものを製罐したものが良く知られており、紙コップ、飲料容器など広く使用されている。このポリオレフィンを押出ラミネーション法により塗工したものは、耐水性に優れ、衛生上安全であり、風味を損なわず、加工性が良いばかりでなく、安価であり、非常に優れている。更に、ポリオレフィンは熱接着性に優れているため、製罐に接着剤を使用せず、ヒートシールにより、高速に加工される利点がある。
【0003】
しかし、その反面、リサイクル性、即ち故紙再生という観点からみると、ポリオレフィンを使用した紙容器はポリオレフィンの被膜強度が強すぎるため、紙を再生しパルプ化する工程で使用されるパルパーでは、紙の繊維部から脱離したポリオレフィン層が細かく分散されずに塊やフィルムとして残り、産業廃棄物となる。また、抄紙工程に混入した場合は抄紙機の乾燥ロールに付着したり、また再生された紙の表面に付着し、凹凸が発生して紙製品とはならず、故紙のリサイクルを不可能にしている。紙産業界では、写真、ラミネートラベルなどと共に禁忌品としてリサイクル不可能材と位置づけられている。
【0004】
他方、ポリオレフィンを使用せず、故紙へのリサイクル可能な紙加工品が各種提案されている。例えば、変性ポリビニルアルコール系樹脂を剥離層としたセパレーター用紙・テープ基材、スチレン−ブタジエン系ラテックスにワックス、無機フィラー等を添加した液を防湿層とした防湿包装紙、同じくアクリル系、アクリル−スチレン系エマルジョン等を応用した防湿包装紙などがある。しかし、これらはすべて食品用の紙容器に応用することができないという問題を含んでいる。即ち、これらの塗工層は水溶性であるか、可溶性物質を内在しており、その結果、食品衛生上問題のある物質が抽出されるなどにより内容物が変質するため、食品容器として適さない。
【0005】
更に、上記の、リサイクル可能な紙加工品は使用されている樹脂がヒートシール性を有しないか、併用しているワックス等の影響のためヒートシール製罐が困難であり、標準的な容器製罐機で製罐することができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の如き従来の欠点を解決し、故紙へリサイクルされる際に、容易に離解できるポリプロピレン系樹脂組成物を用いた紙容器を安価に提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、先に、ポリオレフィンに粘着性付与剤を多量配合することにより、ポリオレフィンの保有する優れた防湿性能を生かしながら、パルパー等で容易に離解可能な防湿紙が得られることを見出し、特許出願済みである(特願平11−194060)。この防湿紙は、例えば新聞用紙など紙製品の防湿包装紙として、外部環境からの透湿を防止する目的で使用される。また、この防湿紙は乳化剤、成膜助剤等の水溶性有害物質を全く含んでいないため、故紙再生のため、リパルプ化した時の抄紙用水に溶け出す物質が殆どなく、廃水への負荷を増大させないという利点も有する。
【0008】
本発明者らは、更に研究を進めた結果、特定の樹脂組成物を紙基材に塗工したものは、耐水性に優れ、ヒートシール接着ができ、通常の製罐機で紙容器とすることができ、また、使用済みの紙容器は、標準離解機の標準条件で容易に離解し、抄紙原料として活用可能であることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
即ち、本発明の第1は、(A)ポリプロピレン系樹脂40〜75重量部、及び(B)粘着性付与剤60〜25重量部からなる樹脂組成物よりなる耐水層を紙基材の少なくとも片面に形成したことを特徴とする紙容器である(請求項1)。
【0010】
好ましい態様として、(A)ポリプロピレン系樹脂が、結晶化度30%以上の結晶性ポリプロピレン系樹脂である(請求項2)。
好ましい態様として、(B)粘着性付与剤が、石油樹脂、その水添樹脂、テルペン樹脂、及びテルペン系変性樹脂から選ばれた少なくとも1種の粘着性付与剤である(請求項3)。
好ましい態様として、(A)ポリプロピレン系樹脂と(B)粘着性付与剤との合計100重量部に、(C)酸化ポリプロピレン系樹脂及び/又は酸基変性ポリプロピレン系樹脂0〜20重量部が配合される(請求項4)。
好ましい態様として、組成物の比重が1.0以上となるように、(D)無機フィラーが配合される(請求項5)。
好ましい態様として、上記耐水層の上に(メタ)アクリル系樹脂のコート層が設けられる(請求項6)。
【0011】
本発明の第2は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物を紙基材の少なくとも片面に塗工して耐水層を形成した後、打ち抜き、製罐することを特徴とする紙容器の製造方法である(請求項7)。
好ましい態様として、耐水層の上に、更に(メタ)アクリル系樹脂のコート層を設ける(請求項8)。
【0012】
【発明の実施の態様】
本発明に使用される(A)ポリプロピレン系樹脂は、大別して、次の(イ)〜(ハ)の3種類が挙げられる。
【0013】
(イ)第1のタイプは、ポリプロピレン樹脂として販売されている樹脂である。プロピレン単独重合体のホモポリマータイプ、エチレン等との共重合体のランダムコポリマータイプ、ブロック共重合されたブロックコポリマータイプである。また、他種ポリマーとのポリマーアロイのタイプもポリプロピレン樹脂として販売されている。これらは全て本発明に使用することができる。
耐水層の機械的強度、ヒートシール強度を高めるためには、結晶化度30%以上のポリプロピレンホモポリマーが好ましい。
また、ポリプロレン樹脂のMFR(JIS K7210、230℃)は、1〜1000(g/10分)の範囲が適しており、フィルム用、ラミネート用、射出成形用などとして供給されるものが好適に使用される。食品用紙容器の場合には、食品用として使用されているものが用いられる。
また、ポリプロピレン系樹脂の改質用に利用されるプロピレン成分が50mol%以上の非晶性〜低結晶性ポリプロピレン系共重合樹脂も、本発明に使用することができる。
【0014】
(ロ)第2のタイプは、結晶性ポリプロピレン系樹脂を、過酸化物及び/又は熱で分解した、いわゆる分解型ポリプロピレンワックスである。例えば、結晶性ポリプロピレンホモポリマー又はエチレンとのランダムコポリマー、ブロックコポリマーを原料に、粘度平均分子量40000以下の、結晶化度50%以上の、溶融粘度(180℃)5Pa・s(5000cps)以下のものが供給されている。このタイプのものも本発明に使用することができるが、多量に使用すると、耐水層の強度の低下、及び紙容器製罐時のヒートシール強度の低下が起こるため、その使用量は(A)成分の総量の3分の1以下に限定されるのが好ましく、10重量部以下がより好ましい。但し、このタイプのものは、樹脂組成物の溶融粘度を低下させ、紙基材へ塗工が容易にするという作用を有するため、コーターを使用する塗工方法では、上記限定された量の範囲内で使用することは好ましい。
【0015】
(ハ)第3のタイプは、低晶性又は非晶性のポリプロピレン系樹脂で、アモルファスポリアルファオレフィン(APAO)として製造・販売されている。APAOの使用は、耐水層の柔軟性を増し、紙容器製罐時の耐水層の破壊を防止することができ、また、製罐時のヒートシール性を向上させる。しかし、APAOを大量に使用すると、耐水層表面の粘着性が高まり、耐ブロッキング性、紙容器のスタッキング性が劣る傾向があるので(A)成分の総量の1/2以下が好ましい。従って、APAOを大量に使用する場合は、後記するように、耐水層の上に(メタ)アクリル系樹脂のコート層を設け、ブロッキング性を改善することが好ましい。
【0016】
ポリプロピレン系樹脂は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用される。ポリプロピレン系樹脂の使用量は40〜75重量部である。40重量部未満では耐水層の強度が不足し、紙容器を製造する過程で、耐水層が破壊される危険がある。一方、75重量部を越えると、離解性が悪化する。
【0017】
本発明に使用される(B)粘着性付与剤としては、官能基を有するものとして、ロジン、変性ロジン、及びこれらのエステル化合物、アルキルフェノール樹脂、ロジン及びアルキルフェノール変性キシレン樹脂、テルペンフェノール樹脂などが挙げられ、また官能基を有しないものとして、テルペン系樹脂、スチレン系樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロンインデン樹脂などがあり、これらのいずれを選択してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
これらの中で、ポリプロピレンとの相溶性があり、高温での溶解時に略透明溶液となる点で、石油樹脂、その水添樹脂、テルペンフェノール共重合樹脂、芳香族変性テルペン樹脂が好適に使用される。また、食品用紙容器の場合は、テルペン樹脂のようにポリプロピレン系樹脂の食品用配合剤として登録されているものが使用される。
粘着性付与剤の使用量は、25〜60重量部である。
【0018】
本発明の樹脂組成物に、(C)酸化ポリプロピレン系樹脂及び/又は酸基変性されたポリプロピレン系樹脂を配合することができる。酸化ポリプロピレン系樹脂及び/又はカルボン酸変性ポリプロピレン系樹脂を配合すると、▲1▼紙基材と耐水層との接着性が改善される、▲2▼(メタ)アクリル系樹脂のコート層との接着性が改善される、▲3▼紙容器製罐時の耐水層の破壊が防止できる、▲4▼紙容器製罐時のヒートシール温度の適用温度域が拡大できる、▲5▼ヒートシール強度が大きくなる、などの効果が得られる。酸化ポリプロピレン系樹脂及び/又は酸基変性ポリプロピレン系樹脂の使用量は、0〜20重量部である。20重量部を越えると、故紙再生時の離解性が悪化する。
【0019】
本発明の樹脂組成物に(D)無機フィラーを配合し、該組成物の比重を1.0以上にすることは、本発明の紙容器が故紙として離解された時に、パルプ液中の浮き樹脂を減少させ、リサイクルされた紙を均一にするために好ましい。
無機フィラーとしては特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、シリカ、硫酸バリウムなどが挙げられるが、食品用の紙容器の場合は、有害重金属等の不純物含有の少ないものが選定される。これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。一般的に無機フィラーの比重は2.4以上であるため、樹脂組成物に5重量部以上配合することが好ましい。樹脂組成物の比重の上限は特に制限されないが、余り大きいと水懸濁状態でパルプとの混合性が却って低下するため、20重量部以下程度が好ましい。
【0020】
本発明の樹脂組成物には、更に酸化防止剤などの安定剤や粘度調整剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤等の添加剤を配合してもさしつかえない。
【0021】
紙基材上に本発明の樹脂組成物からなる耐水層を形成した後、更にその耐水層の上に(メタ)アクリル系樹脂のコート層を設けることができる。コート層は、耐水層のブロッキング性の防止、内容物への少量物質の転移の防止、耐滑り性の付与、製罐時のヒートシール接着性向上などに有効である。(メタ)アクリル系樹脂としては、アクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステルを50重量部以上含有する、(メタ)アクリル酸、スチレンなどとの共重合樹脂が好適に使用される。不純物の少ない点から、溶剤に溶解された溶液状のものが好ましい。特に、水−アルコール混合溶剤系に溶解された共重合樹脂が好ましい。ポリプロピレン系樹脂の耐水層の上に各種コーターで塗工後、溶媒を乾燥により除去し、コート層を形成する。コート層の厚みは、0.1〜3.0g/m2 であり、必ずしも、全面を均一厚みでカバーできていなくても効果は変わらない。
このコート層の(メタ)アクリル系樹脂に添加剤として、例えば、滑り防止剤としての無機フィラー、耐ブロッキング改良剤としての少量のワックス類、静電気除去のための帯電防止剤、表面外観改良のための艶消し剤などを添加することができる。これらは必要に応じ、適宜組み合わせて使用される。
【0022】
本発明の紙容器は、次の方法で製造される。
(1)紙基材の少なくとも片面に樹脂組成物の塗工等により耐水層が設けられる。樹脂組成物の塗工量は所望の性能により適宜決定すればよいが、通常、10〜50g/m2 程度が好ましい。塗工方法は、ロールコーター、スロットオリフィスコーター、エクストルージョンコーターなどのコーター類使用のコーティング方式とTダイ使用のラミネート方式などが可能であるが、これらに限定されず、いかなる方法を用いてもよい。
【0023】
(2)紙基材の少なくとも片面に樹脂組成物を塗工され耐水層を形成された容器原紙は、耐水層を接液面となるよう容器製罐機に供給され、消毒、製罐されて紙容器とされる。事前に外面に印刷しておくことも勿論可能であり、また、製罐と充填を同時に行う製造設備により製造することもできる。製罐時の接合は、熱板加熱、高周波加熱、フレーム加熱などによりなされるが、基本原理はヒートシールである。また、紙コップの成形では、耐水層の面を内側面とし、扇状の胴と円形の底を打ち抜き、成形機でそれぞれヒートシール接着される。その後、トップカール加工を施し、紙コップとされる。事前に外面に印刷しておくことも可能である。
【0024】
紙容器では、内容物の酸化防止、遮光性などの目的で、アルミニウム箔、バリア樹脂層などが複合されたものがあるが、これらには、本発明は利用できない。アルミニウム箔、バリア樹脂層が故紙としてのリサイクルを阻害するためである。但し、水溶性又は水中で離解性のあるバリア樹脂を使用する場合は、複合使用することができる。
【0025】
また、樹脂組成物を紙基材の両面に塗工し耐水層を形成したものを用いて紙容器とすることも可能である。この場合は、片面だけに塗工し耐水層を形成したものに比べ、故紙としてパルパーに投入されたときに水の浸透が遅いために若干離解速度が遅くなるが、実用上特に問題はなく、製紙原料としてリサイクルできる。
【0026】
【実施例】
以下に本発明を実施例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
尚、以下の記載において、部は特に断らない限り、重量部を示す。
【0027】
実施例1
(A)成分としてポリプロピレン樹脂〔ホモポリマー、MFR(JIS K 7210)=60g/10分、融点157℃〕(A1)30部、アモルファスポリプロピレン(ホモポリマー、重量平均分子量70000)(A2)30部、B)成分としてテルペンフェノール共重合樹脂(環球式軟化点145℃、酸価1以下、数平均分子量1000)40部、及び安定剤としてヒンダードフェノール系酸化防止剤(融点110〜125℃)0.5部からなる組成物を210〜220℃に加熱し、材料の全てが溶解したところで各成分が均一に混合する様に十分に撹拌し、その後放置して脱泡した。
得られた溶融状態の組成物を予め加熱しておいたマイヤーバーを使用して、210g/m2 の100%バージンパルプから抄造された板紙の片面に、20g/m2 塗工して耐水層を形成した。
冷却後、型紙に沿って扇形と円形に切り抜き、塗工面が内面となるようにして、扇形を胴とし、円形の周辺を加工して底になるようヒートシーラーで接着し、紙コップを作成した。
【0028】
作成した紙コップと塗工された板紙について、内容物のにじみ出し、水による離解性、耐ブロッキング性、ヒートシール性を下記の方法で評価した。結果は表1に示したように、紙コップへの内容物のにじみ出しはまったく認められなかった。また、水による離解性は良好で、抄紙した紙の加熱による樹脂のにじみ出しは見られなかった。耐ブロッキング性については、僅かにブロッキングが認められた。ヒートシール性は紙層破壊し、従って、ヒートシール強度が高く、製罐機に充分に適用できる。
【0029】
(1)内容物のにじみ出し
得られた紙コップに、メチレンブルー試験液を入れ、30分間放置した。板紙へのにじみ出しを目視で判定する。
○:にじみ出しは見られない。
×:僅かににじみ出しが見られる。
【0030】
(2)離解性
熊谷理機工業株式会社製標準パルプ離解機を用い、塗工された板紙から約1.5cm角に切断したサンプルを2Lの水に対して40g(パルプ濃度:2重量%)投入して、3000回転/分、30分間撹拌後、パルプ溶液及び抄紙したものの樹脂分散性を下記の基準で目視により判定する。
○:抄紙された紙に樹脂の存在がほとんど認められない。
×:抄紙された紙に、細かく分散されていない樹脂が付着・存在する。
【0031】
(3)樹脂のにじみ出し
加熱による樹脂のにじみ出しの評価については、抄紙・乾燥した紙をギヤオーブン内で150℃、1分間加熱して、樹脂のにじみ出しの有無を下記の基準で目視により判定する。
○:樹脂のにじみ出しが見られない。
×:樹脂のにじみ出しが相当見られる。
【0032】
(4)耐ブロッキング性
塗工された板紙の一辺5cmの正方形に切断したサンプル10枚の表裏を重ね、0.2MPa(2kg/cm2 )荷重下、50℃で16時間放置する。室温に戻した後、サンプルを1枚ずつ手で剥がし、ブロッキングの状態を下記の基準で判定する。
○:容易に1枚ずつ剥がれ、殆ど音がしない。
△:剥がすときに、僅かに音がする。
×:剥がすと、塗工層の一部が剥離する、または、簡単には剥がせない。
【0033】
(5)ヒートシール性
ヒートシーラーを使用し、シール条件は、シールバー上下を110℃に加熱し、0.78MPa(8kg/cm2 )、2秒でヒートシール性を評価し、下記の基準で判定する。試料は(イ)耐水層/裏面(片面塗工品を想定)、(ロ)耐水層/耐水層(両面塗工品を想定)を実施する。但し、すべての試験で、(イ)、(ロ)にヒートシール性に差がなかった。
○:剥がすと、紙層破壊する。
×:樹脂層で剥がれ、接着強度が低い。
【0034】
実施例2
実施例1で作成した板紙の、耐水層の上にメタアクリル系樹脂のコート層を2g/m2 の厚みで設けた。メタアクリル系樹脂の組成は、メチルメタアクリレート80部、エチルアクリレート15部、アクリル酸5部がイソプロピルアルコール中で重合されたものを使用した。少量のアンモニア水溶液の存在下で、イソプロピルアルコールと水で希釈し、20%濃度の溶液とし、マイヤーバーで10g/塗工し、90℃、2分乾燥させた。
【0035】
このサンプルを用いて作成した紙コップは、表1に示すように、内容物のにじみ出しはなく、離解性、ヒートシール性も変わらなかった。また、コート層を設けたことにより、耐ブロッキング性は改良された。また、紙コップを重ねたときのスタッキング性が更に良くなることが期待できる。
【0036】
実施例3
(A)成分としてポリプロピレン樹脂〔ホモポリマー、MFR(JIS K 7210)=5g/10分、融点157℃〕(A3)60部、(B)成分としてC5系石油樹脂(水添品)(環球式軟化点105℃、ヨウ素価30(g/100g)、数平均分子量1000)(B2)40部からなる組成物を、2軸混練機を用い、210℃で混練、冷却、ペレタイズし、組成物のペレットを得た。
このペレットを、ラミネートマシンを使用し、190g/m2 の100%バージンパルプから抄造された板紙の片面に、膜厚が20g/m2 となるよう押出成形した。Tダイの設定温度は、220℃であった。
得られたサンプルから、型紙に沿って扇形と円形に切り抜き、塗工面が内面となるようにして、扇形を胴とし、円形の周辺を加工して底とし、胴の最下部で底を包み込むように加工して、ヒートシーラーで接着し、紙コップを作成した。
性能評価は、実施例1と同様に評価した。結果は、表1記載の通り、紙コップとしての耐水性があり、離解性、耐ブロッキング性、ヒートシール性も良好であった。
【0037】
実施例4〜6
表1に示したように組成を変更した組成物を用いた以外は実施例1と同様にして紙コップを作成し、性能を評価した。結果は表1に示すように、内容物のしみ出しなく、離解性、耐ブロッキング性及びヒートシール性に優れていた。
尚、実施例1〜3で使用していない材料の詳細は、以下の通りである。
(A4)分解型ポリプロピレンワックス:ポリエチレン成分10%含有の結晶性ポリプロピレンランダムコポリマー(結晶化度60%)を熱分解して得られたもの。粘度平均分子量21000、環球式軟化点154℃。
(C) 無水マレイン酸変性ポリプロピレン:軟化点154℃、酸価26、数平均分子量40000。
(D) 炭酸カルシウム:白石工業(株)カルシテック ブリリアント15(平均粒子径0.15mμ、立方形コロイドタイプ。)
【0038】
比較例1〜3
表1に示したように組成を変更した組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして紙コップを得た。結果は表1に示すように、内容物のにじみ出し、離解性、耐ブロッキング性、ヒートシール性の少なくともいずれかの点に難点を有するものであった。
【0039】
【表1】
Figure 0003689601
【0040】
【発明の効果】
叙上の通り、特定のポリプロピレン系組成物を耐水層として、紙基材の少なくとも片面に形成し、必要に応じ、耐水層の上に(メタ)アクリル系樹脂のコート層を塗工して得られた紙容器は、使用後に故紙として、抄紙原料に戻すことができる。また、既存の容器製罐機を使用することができ、環境に優しい紙容器を安価に、大量に供給することができる。

Claims (8)

  1. (A)ポリプロピレン系樹脂40〜75重量部、及び(B)粘着性付与剤60〜25重量部からなる樹脂組成物よりなる耐水層を紙基材の少なくとも片面に形成したことを特徴とする紙容器。
  2. (A)ポリプロピレン系樹脂が、結晶化度30%以上の結晶性ポリプロピレン系樹脂である請求項1記載の紙容器。
  3. (B)粘着性付与剤が、石油樹脂、その水添樹脂、テルペン樹脂、及びテルペン系変性樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘着性付与剤である請求項1記載の紙容器。
  4. (A)ポリプロピレン系樹脂と(B)粘着性付与剤との合計100重量部に、(C)酸化ポリプロピレン系樹脂及び/又は酸基変性ポリプロピレン系樹脂0〜20重量部が配合された請求項1記載の紙容器
  5. 組成物の比重が1.0以上となるように、(D)無機フィラーが配合された請求項1記載の紙容器。
  6. 耐水層の上に、更に(メタ)アクリル系樹脂のコート層を設けた請求項1記載の紙容器。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物を紙基材の少なくとも片面に塗工して耐水層を形成した後、打ち抜き、製罐することを特徴とする紙容器の製造方法。
  8. 耐水層の上に、更に(メタ)アクリル系樹脂のコート層を設ける請求項7記載の紙容器の製造方法。
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