JP3826381B2 - ホットメルト組成物およびそれを塗工してなる易離解性防湿紙 - Google Patents

ホットメルト組成物およびそれを塗工してなる易離解性防湿紙 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホットメルト組成物およびそれを塗工してなる易離解性防湿紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に防湿紙は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィンをTダイ押出溶融ラミネート法により高速で製造されている。これらの防湿紙は、安価であり、また折り曲げられて使用される場合においても折り曲げ部に割れの発生がなく、防湿性に優れることから、ワンプ、PPC等の包装材料として多用されている。しかしながら、これをリサイクルしようとすると、防湿層の強度が高すぎるために、紙を再生する際のパルプ化工程において十分に離解せず、紙から脱離したポリオレフィン樹脂層がフィルムとして残るためリサイクルすることが出来ない。
【0003】
本発明において、離解とは古紙を再生する工程において紙を繊維状のパルプに解きほぐす工程のことであり、離解性とはその工程にけるコーティング層の分散され易さを指している。
【0004】
近年、オレフィン系ポリマーに粘着付与樹脂、ワックスなどを配合した易離解性防湿紙が提案されている(特開平9−316252号公報、特開平11−158330号公報、特開2000−212499号公報、特開2001−164217号公報、特開2001−192510号公報、特開2001−192512号公報、および特開2002−003660号公報)。ポリオレフィンとしてアモルファスポリアルファオレフィン(APAO)を使用する場合には、耐ブロッキング性が悪い欠点がある。一方、ベースポリマーとして、PE、PP、EVAをそれぞれ単独で使用する場合には、離解性と折り曲げ時の防湿層に発生する割れのバランスが悪い。従って、良好な離解性を得ようとすると折り曲げ時に防湿層に割れが発生してしまう為防湿性が悪化してしまう。特に、5℃程度の低温雰囲気下で折り曲げられた場合、より大きく防湿性が低下してしまう。反対に、折り曲げ時の防湿性を良好にすると離解性が大きく低下してしまう欠点がある。
【0005】
本発明において、低温雰囲気下とは5℃を指しており、冬季に包装紙として使用される場合には5℃程度の雰囲気下で折り曲げられながら使用される。低温雰囲気下で折り曲げられた場合に防湿層に割れが発生してしまうと防湿性が大きく悪化するために、内容物を保護できなくなる。
【0006】
また、アクリル系エマルジョンとワックスエマルジョン(特開2002−138394号公報)、SBRラテックスに無機フィラーを配合したエマルジョンを塗工してなる防湿紙が提案されている。これらの防湿紙は、優れた離解性、防湿性を有しているが、残存した界面活性剤によりリサイクル時に発泡してしまうばかりでなく、塗工液がエマルジョンであるために長大な乾燥設備が必要となり生産性が悪い欠点がある。
【0007】
一方、水溶性のポリビニルアルコール(PVA)に無機フィラーを配合したリサイクル可能な防湿紙が提案されている(特開2001−288694)。この防湿紙は、本来防湿性のないPVAに無機フィラーを配合することで防湿性を向上させているが、現在使用されているポリオレフィン塗工紙と比較して防湿性が低い。また、PVAは離解時に水に溶解し、排水のBOD、CODを上昇させてしまうため環境上好ましいとはいえない。
【0008】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決することを目的に、離解性に優れ、且つ低温雰囲気下で折り曲げられた場合においても防湿層に割れの発生がないため防湿性に優れ、安価に製造可能な防湿紙を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、紙基材に(a)極性基含有ポリエチレン系共重合体5〜60重量%、(b)ポリエチレン1〜39重量%、(c)粘着付与樹脂10〜50重量%、(d)ワックス1〜30重量%を必須成分としてなり、(a)+(b)+(c)+(d)が100重量%であるホットメルト組成物を用いて紙基材に塗工した場合、離解性が良好であり、且つ低温雰囲気下で折り曲げられた場合においても防湿層に割れの発生がなく、防湿性が良好な防湿紙を得ることが出来ることを発明するに至った。また、メルトフロレート(MFR)が10〜500g/10分のホットメルト組成物をTダイ押出溶融ラミネート法で塗工することにより、安価な防湿紙を高速製造できる。
【0009】
ここで、本発明の内容を更に詳述に記載する。
本発明のホットメルト組成物は、(a)極性基含有ポリエチレン系共重合体5〜60重量%、(b)ポリエチレン1〜39重量%、(c)粘着付与樹脂10〜50重量%、(d)ワックス1〜30重量%を必須成分としてなり、(a)+(b)+(c)+(d)が100重量%である。本発明のホットメルト組成物は、ベースポリマーとして(a)極性基含有ポリエチレン系共重合体と、(b)ポリエチレンを併用し、紙基材上に塗工した場合、離解性が良好であり且つ折り曲げられた場合においても防湿層に割れの発生がないため防湿性が良好である。特に、従来の易離解性防湿紙の欠点であった低温雰囲気下で折り曲げられた場合においても防湿層に割れの発生がないため防湿性が良好である。また、配合物のMFRが10〜500g/10分のホットメルト組成物をTダイ押出溶融ラミネート法で塗工した場合、高速で安価に製造することができる。
【0010】
本発明の(a)極性基含有ポリエチレン系共重合体は、エチレンと極性基含有モノマーを共重合して得られるポリマーであり、紙基材との接着性および防湿層の柔軟性を向上させる目的で少なくとも1種類の極性基含有ポリエチレン系共重合体が配合される。極性基含有モノマーとしては、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、無水マレイン酸などが挙げられ、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物も使用することが出来る。コストが安くポリエチレンとの相溶性が良好なエチレン−酢酸ビニル共重合体が好適に用いられる。
市販品としては東ソー(株)製商品名ウルトラセン636などがある。
極性基含有ポリエチレン系共重合体の配合比は5〜60重量%であり、好ましくは10〜50重量%であり、更に好ましくは20〜40重量%である。極性基含有ポリエチレン系共重合体の配合比が5重量%よりも少ない場合には、紙基材との接着性が悪化してしまうために防湿紙としての実用に耐えないばかりでなく、フィルム強度が低すぎるために折り曲げ時の防湿性が著しく損なわれる。また、Tダイ押出溶融ラミネート法での加工性が悪くなるためネックインを発生しやすい。一方、極性基含有ポリエチレン系共重合体の配合比が60重量%よりも多い場合には、フィルムの強度が高すぎるため離解しない。
【0011】
本発明の(b)ポリエチレンは、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)が挙げられ、これらの少なくとも1種類を使用することが出来る。平板時の防湿性を向上させると共に、Tダイ押出溶融ラミネート法での加工時における冷却ロールからの剥離性(ロールリリース性)を向上させる目的で高密度ポリエチレンが好適に用いられる。
市販品としては、東ソー(株)製商品名ニポロンハード4000などがある。ポリエチレンの配合比は1〜39重量%であるが、好ましくは10〜39重量%であり、更に好ましくは20〜35重量%である。ポリエチレンの配合比が1重量%よりも少ない場合には、離解性と折り曲げ時の防湿性のバランスが悪く、良好な離解性を得ようとすると折り曲げ時に防湿層に割れが発生してしまうため防湿性が悪化する。反対に折り曲げ時の防湿性を得ようとすると離解性が大きく悪化してしまう。一方、ポリエチレンの配合比が39重量%よりも多い場合には紙基材との接着性が悪く、防湿紙としての実用に耐えないばかりでなく、離解性が悪化してしまう。
【0012】
本発明の(c)粘着付与樹脂は、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂、脂肪族系樹脂、脂環族系樹脂、芳香族系樹脂、クマロン・インデン樹脂、ロジンおよびその誘導体などがあり、離解性を向上させると共に紙基材との接着性を向上させるために配合される。ポリエチレンおよび極性基含有ポリエチレン系共重合体との相溶性が良好なテルペン樹脂が好適に用いられる。
市販品としては、ヤスハラケミカル(株)製クリアロンP115などがある。粘着付与樹脂の配合比は10〜50重量%であるが、好ましくは20〜45重量%であり、更に好ましくは25〜40重量%である。粘着付与樹脂の配合比が10重量%よりも少ない場合にはフィルムの強度が高すぎるために離解しない。一方、50重量%よりも多い場合にはフィルムの強度が低すぎるために折り曲げ時の防湿性が大きく低下してしまう。
【0013】
本発明の(d)ワックスは、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、カルナバワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合ワックス、エチレン−アクリル酸エチル共重合ワックス、エチレン−アクリル酸共重合ワックスまたはこれらの酸化ワックスや無水マレイン酸で変性したワックスがあり、これらの少なくとも1種類を配合することが出来る。
耐ブロッキング性を付与すると共に、リサイクル時のにじみ出しを防止し、乾燥ドライヤーへのピッチの付着を防止する防止する効果がある。
市販品としては、ヤスハラケミカル(株)製商品名ネオワックスLなどがある。
ワックスの配合比は1〜30重量%であるが、好ましくは5〜20重量%であり、更に好ましくは10〜20重量%である。ワックスの配合比が1重量%よりも少ない場合には、耐ブロッキング性が悪化し、リサイクル時のにじみ出しが発生し、且つ乾燥ドライヤーへのピッチの付着量が増大してしまう。一方、ワックスの配合比が30重量%よりも多い場合には、紙基材との接着性が悪化すると共に、Tダイ押出溶融ラミネート法での加工性が悪化し、良好な塗工紙が得られない。
【0014】
本発明のホットメルト組成物には、酸化防止剤、フィラー、滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤などを配合することができ、本発明の効果を阻害しない範囲で必要に応じて配合される。
【0015】
本発明のホットメルト組成物のメルトフローレート(MFR、190℃、2160g荷重)は特に制限されないが、Tダイ押出溶融ラミネート法で加工を行う場合には10〜500g/10分であることが好ましく、より好ましくは50〜350g/10分である。MFRが10g/10分よりも小さい場合には、粘着付与樹脂の配合比が少なすぎるため離解性が得られない。一方、MFRが500g/10分よりも大きい場合には、溶融粘度が低すぎるため、厚みの均一な塗工紙が得られないばかりでなく、ネックインが大きくなってしまうため、製造コストが高くなり実用的でない。
【0016】
ここで、ホットメルト組成物のメルトフローレート(MFR)について詳述する。
MFRを求める方法は、直径2.1mm、長さ8mmのオリフィスのあるシリンダー中に材料を入れ、190℃で2160gの荷重をかけて溶融した材料を押し出し、10分あたりの押し出し量を求めた。したがって、MFRの高いものほど流動性がよいことを示している。(JIS K 7210参照)
【0017】
本発明の紙基材は特に限定されないが、未晒しクラフト紙、晒しクラフト紙、印刷用紙、アート紙、薄葉紙、グラシン紙、板紙などを使用することができ、50〜200g/mの紙が好適に用いられる。
【0018】
本発明の易離解性防湿紙の製造方法は、ロールコーター、ダイコーター等の既存のホットメルトコーターを使用することが出来るが、10〜20μm程度の薄膜で製造しようとする場合にピンホールが発生しやすく、また製造スピードが遅いため、Tダイ押出溶融ラミネート法で製造されることが好ましい。Tダイ押出溶融ラミネート法はホットメルトコーティング法と比較して、10〜20μm程度の薄膜での製造時においてピンホールの発生が少ないばかりでなく、高速で製造することが出来るために安価に防湿紙を得ることが出来る。また、Tダイ共押出ラミネート法による多層化により更にピンホールの少ない防湿紙を得ることが出来る。
【0019】
本発明のホットメルト組成物の塗工厚みは5〜50μmが好ましい。更に好ましくは10〜25μmである。塗工厚みが5μmよりも薄い場合、ピンホールの発生が多いため防湿性が悪いと共に紙基材との接着性が悪く実用に耐えない。一方、塗工厚みが50μmよりも厚い場合にはコストアップとなり実用的でない。
【0020】
また、本発明の易離解性防湿紙には、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、PVA等の離解性を有するガスバリア性物質をコーティングもしくはホットメルト層間に設けることによりガスバリア性をも有した防湿紙を製造することが出来る。
【0021】
【発明の実施の形態】
実施例
以下に製造例および実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。以下、%は特記しない限り重量基準である。
以下実施例に示すホットメルト組成物は、フリージアマクロス社製NR−112軸押出機を用いて溶融混練し、ペレットを作成した。
作成したペレットを山口製作所社製YEL−350−40Tダイ押出ラミネート機を用いて、エアーギャップ:80mm、リップ幅:0.8mm、冷却ロール:マットロール、プレッシャーロール:シリコンロール、加工速度:80m/minの加工条件で、75g/cmの未晒しクラフト紙に塗工し、防湿紙を得た。
【0022】
実施例1
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)〔東ソー製、商品名ウルトラセン636、MFR2.5g/10分、酢酸ビニル単位含有量19%〕20%、高密度ポリエチレン(HDPE)〔東ソー製、商品名ニポロンハード4000、MFR5g/10分〕30%、粘着付与樹脂〔ヤスハラケミカル製、商品名クリアロンP115、軟化点115℃〕35%、ワックス〔ヤスハラケミカル製、ネオワックスL、融点107℃〕15%を上記押出機を使用して混練りし、ホットメルト組成物とした。得られた組成物のMFRは100g/10分であった。山口製作所製YEL−350−40を用いて15μm厚に塗工した。
【0023】
実施例2
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)〔東ソー製、商品名ウルトラセン636、MFR2.5g/10分、酢酸ビニル単位含有量19%〕30%、高密度ポリエチレン(HDPE)〔東ソー製、商品名ニポロンハード4000、MFR5g/10分〕20%、粘着付与樹脂〔ヤスハラケミカル製、商品名クリアロンP115、軟化点115℃〕40%、ワックス〔ヤスハラケミカル製、ネオワックスL、融点107℃〕10%を上記押出機を使用して混練りし、ホットメルト組成物とした。得られた組成物のMFRは150g/10分であった。山口製作所製YEL−350−40を用いて15μm厚に塗工した。
【0024】
実施例3
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)〔東ソー製、商品名ウルトラセン640、MFR2.8g/10分、酢酸ビニル単位含有量25%〕25%、高密度ポリエチレン(HDPE)〔東ソー製、商品名ニポロンハード2400、MFR8g/10分〕20%、粘着付与樹脂〔ヤスハラケミカル製、商品名クリアロンP115、軟化点115℃〕40%、ワックス〔ヤスハラケミカル製、ネオワックスL、融点107℃〕10%を上記押出機を使用して混練りし、ホットメルト組成物とした。得られた組成物のMFRは170g/10分であった。山口製作所製YEL−350−40を用いて15μm厚に塗工した。
【0025】
実施例4
エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)〔三井デュポンポリケミカル製、商品名エバフレックスEEA A−702、MFR5g/10分、アクリル酸エチル含有量19%〕30%、高密度ポリエチレン(HDPE)〔東ソー製、商品名ニポロンハード4000、MFR5g/10分〕20%、粘着付与樹脂〔ヤスハラケミカル製、商品名クリアロンP115、軟化点115℃〕35%、ワックス〔ヤスハラケミカル製、ネオワックスL、融点107℃〕15%を上記押出機を使用して混練りし、ホットメルト組成物とした。得られた組成物のMFRは100g/10分であった。山口製作所製YEL−350−40を用いて15μm厚に塗工した。
【0026】
比較例1
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)〔東ソー製、商品名ウルトラセン636、MFR2.5g/10分、酢酸ビニル単位含有量19%〕50%、粘着付与樹脂〔ヤスハラケミカル製、商品名クリアロンP115、軟化点115℃〕40%、ワックス〔ヤスハラケミカル製、ネオワックスL、融点107℃〕10%を上記押出機を使用して混練りし、ホットメルト組成物とした。得られた組成物のMFRは120g/10分であった。山口製作所製YEL−350−40を用いて15μm厚に塗工した。
【0027】
比較例2
ポリエチレン〔東ソー製、商品名ニポロンハード4000、MFR5g/10分〕50%、粘着付与樹脂〔ヤスハラケミカル製、商品名クリアロンP115、軟化点115℃〕40%、ワックス〔ヤスハラケミカル製、ネオワックスL、融点107℃〕10%を上記押出機を使用して混練りし、ホットメルト組成物とした。得られた組成物のMFRは200g/10分であった。山口製作所製YEL−350−40を用いて15μm厚に塗工した。
【0028】
比較例3
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)〔東ソー製、商品名ウルトラセン636、MFR2.5g/10分、酢酸ビニル単位含有量19%〕15%、高密度ポリエチレン(HDPE)〔東ソー製、商品名ニポロンハード4000、MFR5g/10分〕45%、粘着付与樹脂〔ヤスハラケミカル製、商品名クリアロンP115、軟化点115℃〕30%、ワックス〔ヤスハラケミカル製、ネオワックスL、融点107℃〕10%を上記押出機を使用して混練りし、ホットメルト組成物とした。得られた組成物のMFRは70g/10分であった。山口製作所製YEL−350−40を用いて15μm厚に塗工した。
【0029】
比較例4
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)〔東ソー製、商品名ウルトラセン636、MFR2.5g/10分、酢酸ビニル単位含有量19%〕15%、高密度ポリエチレン(HDPE)〔東ソー製、商品名ニポロンハード4000、MFR5g/10分〕15%、粘着付与樹脂〔ヤスハラケミカル製、商品名クリアロンP115、軟化点115℃〕60%、ワックス〔ヤスハラケミカル製、ネオワックスL、融点107℃〕10%を上記押出機を使用して混練りし、ホットメルト組成物とした。得られた組成物のMFRは800g/10分であった。山口製作所製YEL−350−40を用いて15μm厚に塗工した。
【0030】
比較例5
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)〔東ソー製、商品名ウルトラセン636、MFR2.5g/10分、酢酸ビニル単位含有量19%〕40%、高密度ポリエチレン(HDPE)〔東ソー製、商品名ニポロンハード4000、MFR5g/10分〕30%、粘着付与樹脂〔ヤスハラケミカル製、商品名クリアロンP125、軟化点125℃〕5%、ワックス〔ヤスハラケミカル製、ネオワックスL、融点107℃〕25%を上記押出機を使用して混練りし、ホットメルト組成物とした。得られた組成物のMFRは65g/10分であった。山口製作所製YEL−350−40を用いて15μm厚に塗工した。
【0031】
比較例6
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)〔東ソー製、商品名ウルトラセン636、MFR2.5g/10分、酢酸ビニル単位含有量19%〕30%、高密度ポリエチレン(HDPE)〔東ソー製、商品名ニポロンハード4000、MFR5g/10分〕20%、粘着付与樹脂〔ヤスハラケミカル製、商品名クリアロンP115、軟化点115℃〕50%を上記押出機を使用して混練りし、ホットメルト組成物とした。得られた組成物のMFRは100g/10分であった。山口製作所製YEL−350−40を用いて15μm厚に塗工した。
【0032】
比較例7
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)〔東ソー製、商品名ウルトラセン636、MFR2.5g/10分、酢酸ビニル単位含有量19%〕20%、高密度ポリエチレン(HDPE)〔東ソー製、商品名ニポロンハード4000、MFR5g/10分〕25%、粘着付与樹脂〔ヤスハラケミカル製、商品名クリアロンP115、軟化点115℃〕20%、ワックス〔ヤスハラケミカル製、ネオワックスL、融点107℃〕35%を上記押出機を使用して混練りし、ホットメルト組成物とした。得られた組成物のMFRは4100g/10分であった。山口製作所製YEL−350−40を用いて15μm厚に塗工した。
【0033】
上記防湿性ホットメルト組成物を下記の方法で評価した。結果を表1に示した。(イ)Tダイ押出溶融ラミネート加工適性
○:ネックインが少なく加工性良好である。
×:ネックインが大きく加工性が悪い。
(ロ)基材との接着
クラフトテープ〔日東電工(株)製、商品名クラフト粘着テープ No.712〕を、サンプルの塗工面に張り合わせ、ゆっくりと角度180°で引き剥がした際の塗工面の変化、および塗工(組成物)層と紙基材との剥離状況を目視にて評価した。
○:紙基材の材料が破壊
×:紙基材と塗工層の界面剥離
(ハ)離解性
サンプル24gを1.5cm×1.5cmに切断し、TAPPI標準離解機に22℃の温水2リットルとともに入れて、3,000rpmで25分間撹拌した後に再抄紙し、目視にて紙表面のホットメルト組成物部分の大きさを測定し離解性を判定した。判定規準は下記の通りである。
○:良好(0.5mm未満)
△:可(0.5mm〜2.0mm)
×:不可(2.0mmを超えるもの)
(ニ)ピッチの付着量
再抄紙後の湿ったサンプルを、90℃のシリンダードライヤーで1分間乾燥した際に、シリンダードライヤーへの付着物をピッチとし、付着物の量を目視で判定した。
(ホ)耐にじみ性
離解試験後の湿ったサンプルを、125℃の恒温槽中で10分放置後し、紙のにじみを目視で評価した。
○:にじみ無し
×:にじみあり
(ヘ)折り曲げ時の割れの発生
23℃もしくは5℃の恒温槽内でサンプルを中央から十文字に折り、2kgのロールを2往復させて折り目を付けた後、折り曲げ部に着色オイルを塗布し、着色オイルの裏抜け状況を目視にて評価した。
○:裏抜けなし(割れ発生なし)
×:裏抜けあり(割れ発生)
(ト)透湿度
自動透湿度測定装置(JIS K 7126 A法)で透湿度を測定した。透湿度は平板状と十字折りについて測定した。なお、十字折りは、23℃もしくは5℃の恒温槽内でサンプルを中央から十文字に折り、2kgのロールを2往復させて折り目を付けた後に透湿度を測定した。透湿度は、フラットおよび十字折り時において、50g/m・24hr以下が好ましい。
【0034】
【表1】
Figure 0003826381
【0035】
【発明の効果】
本発明のホットメルト組成物およびそれを塗工してなる易離解性防湿紙は、離解性が良好であり、且つ従来の易離解性防湿紙の課題であった低温雰囲気下で折り曲げられた場合においても防湿層に割れの発生がないため防湿性が非常に良好である。また、本防湿紙は、ポリエチレンやポリプロピレン塗工紙と同様にTダイ押出溶融ラミネート法でも製造できるため、高速で安価に製造を行うことが出来る。
したがって、防湿性の要求される包装材として広く使用することができ、且つ古紙再生率の向上に大きく貢献することが出来る。

Claims (6)

  1. (a)極性基含有ポリエチレン系共重合体5〜60重量%、(b)ポリエチレン1〜39重量%、(c)粘着付与樹脂10〜50重量%、(d)ワックス1〜30重量%を必須成分としてなり、(a)+(b)+(c)+(d)が100重量%であるホットメルト組成物。
  2. (a)極性基含有ポリエチレン系共重合体がエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)である請求項1記載のホットメルト組成物。
  3. (b)ボリエチレンが、高密度ポリエチレンである請求項1または請求項2記載のホットメルト組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のホットメルト組成物を紙の片面もしくは両面に塗工してなる易離解性防湿紙。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のホットメルト組成物を紙基材間に塗工してなる易離解性防湿紙。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載のホットメルト組成物のメルトフロレート(MFR)が10〜500g/10分であり、Tダイ押出溶融ラミネート法により紙基材に塗工してなる易離解性防湿紙。
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