JP2002220433A - エポキシ樹脂組成物、絶縁基板 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、絶縁基板

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JP2002220433A
JP2002220433A JP2001018487A JP2001018487A JP2002220433A JP 2002220433 A JP2002220433 A JP 2002220433A JP 2001018487 A JP2001018487 A JP 2001018487A JP 2001018487 A JP2001018487 A JP 2001018487A JP 2002220433 A JP2002220433 A JP 2002220433A
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epoxy resin
ion
clay mineral
amine
layered clay
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JP2001018487A
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Hiroyoshi Yoda
浩好 余田
Mitsuo Yaguchi
充雄 矢口
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Panasonic Electric Works Co Ltd
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Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少量の無機フィラーの配合で熱膨張係数を大
きく低減することができる絶縁基板を得るようにする。 【解決手段】 エポキシ反応基を有する熱硬化性樹脂
と、第二アミンとこの第二アミンに水素が結合したイオ
ンの少なくとも一方の第二アミン類、及び第三アミンと
この第三アミンに水素が結合したイオンの少なくとも一
方の第三アミン類で処理された層状粘土鉱物から得られ
る薄片状無機物と、硬化剤を混合して積層板用エポキシ
樹脂組成物を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エポキシ樹脂組成
物、このエポキシ樹脂組成物を用いて作製された絶縁基
板に関するものであり、例えばプリント配線板等の電子
材料や電気絶縁用途用の封止材などに用いられるエポキ
シ樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プリント配線板などに加工して使用され
る積層板は、例えばガラス布などの基材にエポキシ樹脂
組成物のワニスを含浸して乾燥することによってプリプ
レグを作製し、このプリプレグを所要枚数重ねると共に
さらに銅箔等の金属箔をその片側あるいは両側に重ね、
これを加熱加圧成形することによって、絶縁基板に金属
箔を積層したものとして製造されている。
【0003】このようなプリント配線板などに加工して
使用される絶縁基板にあって、プリント配線板の高密度
実装、高集積化等の傾向が強まるにつれ、耐熱性、実装
部品との熱膨張係数の整合をとるための基板の熱膨張係
数の低減、加工性など、各種の特性の改善が求められて
きている。
【0004】そこで従来から、エポキシ樹脂を多官能タ
イプにして、ジシアンジアミドを硬化剤として使用した
り、ジアミノジフェニルスルホンやジアミノジフェニル
メタン、アルキル化あるいはハロゲン化ジアミノジフェ
ニルメタンなどを硬化剤として使用したり、またエポキ
シ樹脂をイミド樹脂で変性したりすることによって、エ
ポキシ樹脂組成物を改良することが提案されている。ま
た最近では、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノ
ボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂等の
フェノール系樹脂を硬化剤として使用することも提案さ
れている(特開平7-224147号公報参照)。
【0005】また樹脂変性等により樹脂そのものを改良
する方法とは別に、エポキシ樹脂の機械的特性や耐熱性
を改善するために無機フィラーを添加、混合する方法が
種々提案されており(特開平6-237055号公報、
特開平11-343398号公報等参照)、このように
無機フィラーを添加して複合化することによって樹脂の
熱膨張率を制御し、基板の熱膨張係数を低減させること
も検討されてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、熱膨張を制御
するために樹脂に混合される無機フィラーは、ミクロン
オーダーの粒子であり、熱膨張係数を低減させる効果は
体積分率的効果としてしか得られない。従って、熱膨張
係数を低減させる効果を高く得ようとすると無機フィラ
ーの配合量をどうしても多量にする必要があり、無機フ
ィラーの配合量を多くするにつれて、樹脂の持つ柔軟
性、電気的特性、靭性などの特性を犠牲にしなければな
らないという問題があった。
【0007】またこのように従来から用いられてきた無
機フィラーは殆どがミクロンオーダーであり、樹脂の分
子がナノオーダーであるのと比べると、その大きさが非
常に違い過ぎ、樹脂と無機フィラーの複合体は微視的に
みると不均一な複合体であり、従って均一性において問
題を有するものであった。
【0008】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、少量の無機フィラーの配合で絶縁基板の熱膨張係
数を大きく低減することができるようにすることを目的
とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
エポキシ樹脂組成物は、エポキシ反応基を有する熱硬化
性樹脂と、第二アミンとこの第二アミンに水素が結合し
たイオンの少なくとも一方の第二アミン類、及び第三ア
ミンとこの第三アミンに水素が結合したイオンの少なく
とも一方の第三アミン類で処理された層状粘土鉱物から
得られる薄片状無機物と、硬化剤を混合して成ることを
特徴とするものである。
【0010】また請求項2の発明は、請求項1におい
て、層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物は、アスペ
クト比が100〜5000であることを特徴とするもの
である。
【0011】また請求項3の発明は、請求項1又は2に
おいて、層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物は、厚
みが5〜50Å、長さが5μm以下であることを特徴と
するものである。
【0012】また請求項4の発明は、請求項1乃至3の
いずれかにおいて、第二アミン類として、第二アミン
(R21NH)とこの第二アミンに水素が結合したイオ
ン(R 21NH2 +)の少なくとも一方、第三アミン類と
して第三アミン(R321N)とこの第三アミンに水
素が結合したイオン(R321NH+)の少なくとも一
方を用いる[但し、R3、R2、R1はそれぞれ、炭素数
1〜30のアルキル基、もしくは−(R4−O)m−H
(R4は炭素数1〜6のアルキレン基、mは1以上の整
数)、もしくは−R5−OH、−R6−COOH(R5
6はそれぞれ炭素数1〜30のアルキレン基)]こと
を特徴とするものである。
【0013】また請求項5の発明は、請求項1乃至4の
いずれかにおいて、層状粘土鉱物から得られる薄片状無
機物の配合量は熱硬化性樹脂に対して0.1〜30質量
%であることを特徴とするものである。
【0014】また請求項6の発明は、請求項1乃至5の
いずれかにおいて、エポキシ反応基を有する熱硬化性樹
脂の少なくとも一部にビスフェノールA型エポキシ樹脂
を用いることを特徴とするものである。
【0015】また請求項7の発明は、請求項4乃至6の
いずれかにおいて、第二アミンに水素が結合したイオン
として、アルキルモノエタノールアミン(C1225NH
CH 2CH2OH)又は多官能アミン(RNHCH2CH2
HNCH2CH2CH2NHCOOH)に水素が結合した
イオンを用い、第三アミンに水素が結合したイオンとし
て、アルキルビスヒドロキシエチルアミン(RR’R”
N)に水素が結合したイオンを用いる[但し、R、R’
は−(CH2CH2O)5H、R”は−C1225又は−C
1837)]ことを特徴とするものである。
【0016】また請求項8の発明は、請求項1乃至6の
いずれかにおいて、層状粘土鉱物を、第二アミン類及び
第三アミン類と共に、アミノドデカン酸(H2NC11
22COOH)又はこれに水素が結合したイオン、ドデシ
ルアミン(C1225NH2)又はこれに水素が結合した
イオン、アミノカプロン酸(H2NC510COOH)又
はこれに水素が結合したイオン、ヘキシルアミン(C6
13NH2)又はこれに水素が結合したイオンから少な
くとも一つ選ばれる、第一アミンと第一アミンに水素が
結合したイオンの少なくとも一方の第一アミン類で処理
して用いることを特徴とするものである。
【0017】本発明の請求項9に係る積層板は、請求項
1乃至8のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を、加
熱加圧して硬化させて成ることを特徴とするものであ
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0019】本発明においてエポキシ反応基を有する熱
硬化性樹脂としては、少なくとも一分子中に2個以上の
エポキシ基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂、
一分子中に2個以上のエポキシ基を有するフェノールノ
ボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック
型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂
環式エポキシ樹脂、3官能以上の多官能エポキシ樹脂、
及びこれらの臭素化物、さらにこれらの混合物を例示す
ることができるが、熱硬化可能であれば種類は特に問わ
ず、積層板などの絶縁基板に用いられる通常のエポキシ
樹脂を使用することができる。
【0020】また本発明においてエポキシ樹脂を硬化さ
せるために用いる硬化剤としては、ジシアンジアミド、
触媒タイプ、芳香族ポリアミンタイプが好ましく、BF
3−モノエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ジシ
アンジアミド、フェニルイミダゾール、メタフェニレン
ジアミド、ジフェニルジアミノスルフォン、ジフェニル
ジアミノメタンなどを例示することができる。
【0021】また硬化剤としては1分子中に2個以上の
フェノール性OH基を有する化合物を用いることもでき
る。この化合物としては、例えば、ビスフェノールA、
ビスフェノールF、ビスフェノールS、ポリビニルフェ
ノール、β−ナフトール等の低分子化合物や、フェノー
ルノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフ
ェノールA型ノボラック樹脂、アルキルフェノールノボ
ラック樹脂、フェノールとヒドロキシベンズアルデヒド
から合成されるトリフェニルメタン型の3官能ノボラッ
ク樹脂や、これらの臭素化物などを例示することがで
き、これらのフェノール性化合物や樹脂は、1種単独で
用いる他、複数種を併用することもできる。
【0022】また、硬化剤として、1分子中に2個以上
のアミノ基を有する芳香族有機アミンを併用することも
できる。この芳香族有機アミンとしては、ジアミノジフ
ェニルメタン(DDM)、あるいはその誘導体等を用い
ることができる。
【0023】硬化剤の配合量は、ジシアンジアミドの場
合は、エポキシ基1当量あたり0.1〜0.6当量程度
の範囲になるように設定するのが、耐湿性や金属箔との
接着性の点から好ましい。またフェノール性OH基を有
する化合物の場合は、エポキシ基1当量あたりOH基が
0.1〜0.6当量程度の範囲になるように設定するの
が、耐湿性や、プリプレグライフとガラス転移温度(T
g)の両立の点から好ましい。さらに芳香族有機アミン
の場合は、NH当量がエポキシ基1当量あたり0.1〜
0.6当量程度の範囲になるように設定するのが、Tg
や吸湿後耐熱性の点から好ましい。また、エポキシ樹脂
に対するこれらの硬化剤の割合は、当量比で1:0.8
〜1:1.2の範囲とすることが、Tgと吸湿性の点か
ら好ましい。これら三種の硬化剤を併用すると、ジシア
ンジアミドの持つ接着性の向上、フェノール性化合物の
持つ耐熱性やプリプレグの保存性の向上、芳香族有機ア
ミンの吸湿耐熱性やプリプレグ保存性という長所が活か
されるので、相互の短所を補って長所をより大きな効果
として発現させることが可能になるものである。そして
これら3種類の硬化剤は、予めメチルセロソルブなどの
セロソルブ類、ジメチルホルムアミド(DMF)、メチ
ルエチルケトン(MEK)などの溶剤に溶解させ、30
〜150℃で10〜60分間加熱して予備反応を行なわ
せるのが、その潜在能力の向上の点で好ましい。
【0024】本発明において硬化促進剤は必要に応じて
用いられるものであり、エポキシ樹脂用として従来から
知られている2−エチル−4−メチルイミダゾール(2
E4MZ)などのイミダゾール化合物、第三級有機アミ
ンなどから適宜選択して配合することができる。
【0025】そして、本発明では無機フィラーとして層
状粘土鉱物を混合して用いる。この層状粘土鉱物として
は、合成雲母、スメクタイト、モンモリロナイト、ベン
トナイト、ヘクトライト、サポナイト、バイデライトな
どを用いることができる。これらの中でも層状粘土鉱物
は、陽イオン交換容量が40〜140meq/100g
であるものが好ましい。層状粘土鉱物の配合量は、エポ
キシ樹脂組成物の樹脂固形分に対して1〜30質量%の
範囲が好ましい。層状粘土鉱物の配合量が1質量%未満
であると、無機フィラーの配合によって絶縁基板の熱膨
張係数を低減することが困難になる。また層状粘土鉱物
の配合量が30質量%を超えると、エポキシ樹脂の持つ
柔軟性、電気的特性、靭性などの特性が無機フィラーに
よって損なわれるおそれがある。
【0026】しかして、上記のエポキシ樹脂、層状粘土
鉱物を混合し、さらに硬化剤、及び必要に応じて硬化促
進剤を混合することによってエポキシ樹脂組成物を得る
ことができる。これらの成分は通常、溶剤により希釈・
分散してワニスとして使用されるものであり、このよう
な溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、エチ
レングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテル、メタノール、エタノール、ト
ルエン、キシレン、DMF、ジメチルアセトアミド(D
MAc)等を用いることができ、これらは単独で用いる
他、複数種を併用することもできる。希釈率は、樹脂分
の固形分濃度が50〜70質量%の範囲になるように設
定するのが好ましい。
【0027】そしてこのようにして得られるエポキシ樹
脂組成物のワニスを基材に含浸させ、これを乾燥機に通
して120〜180℃の温度で3〜10分間加熱・乾燥
することによって、エポキシ樹脂がBステージに半硬化
したプリプレグを得ることができる。この基材として
は、ガラス織布(ガラスクロス)、ガラス不織布(ガラ
スペーパー)、クラフト紙、リンター紙、布などを用い
ることができる。これらの中でも、基材としてガラス織
布やガラス不織布が特に望ましい。
【0028】次に、このようにして得られたプリプレグ
を1枚乃至複数枚の所要枚数を重ね、さらにその片側あ
るいは両側に金属箔を重ね、これを加熱加圧して積層成
形し、エポキシ樹脂を硬化させることによって、絶縁基
板に金属箔を張った積層板を得ることができるものであ
る。金属箔としては銅、アルミニウム、ステンレス等の
適宜のものを用いることができる。成形の際の加熱加圧
条件は、150〜200℃、0.98〜4.9MPa
(10〜50kg/cm2)の範囲が好ましい。また多
層板を製造する場合には、内層になる銅箔などの金属箔
の表面を化学的に処理する黒化処理を行なって酸化銅と
するので、成形時の温度は150〜180℃の範囲にす
るのが好ましい。
【0029】上記のようにして得られる絶縁基板のエポ
キシ樹脂には層状粘土鉱物からなる無機フィラーが含有
されている。ここで、樹脂と無機フィラーの複合材料の
熱膨張率αは、一般に α=αf×Vf+αm×Vm (αf:無機成分の熱膨張係数、Vf:無機成分の体積
分率、αm:樹脂成分の熱膨張係数、Vm:樹脂成分の
体積分率)が成り立つとされている。
【0030】そしてこれによると、熱膨張係数が65p
pmの樹脂成分中に仮に熱膨張係数が5ppmの無機成
分が分散されていると仮定すると、樹脂成分と無機成分
からなる複合材料の熱膨張係数は次の表1のようにな
る。
【0031】
【表1】
【0032】しかし、非常に大きなアスペクト比を有す
る無機成分が樹脂成分中に均一にランダムに配合された
複合材料の熱膨張率αは、 α=αm+Kf(4Gf+3Km)×(αf−αm)×
Vf/{Kf×(4GfVf+3Km)+4GfKmV
f} (Gf:無機成分の剪断弾性率、Kf:無機成分の体積
弾性率、Gm:樹脂成分の剪断弾性率、Gm:樹脂成分
の体積弾性率)が成り立つとされている。
【0033】そしてこれによると、樹脂成分と無機成分
からなる複合材料の熱膨張係数は次の表2のようにな
る。
【0034】
【表2】
【0035】表1と表2の比較からわかるように、無機
フィラーを樹脂に混合するにあたって高アスペクト比の
無機フィラーを用いることによって、非常に大きな熱膨
張係数の低減効果が期待できることが予想される。
【0036】しかし、アスペクト比、すなわちフィラー
の平均長さに対する平均厚みの比が高い無機フィラー
は、大きさ(長さ)が数十〜数百μm以上と非常に大き
な形状を有しており、このものでは既述のように、熱膨
張係数を低減させる効果を高く得ることが期待すること
ができず、またこのような大きな形状の無機フィラーは
混合の際に粉砕されて小さくなり、アスペクト比が小さ
くなってしまうのが通常であり、無機フィラーを複合化
することによる熱膨張係数の低減の効果を得ることがで
きなくなるおそれがある。またこのように数十〜数百μ
m以上の大きな無機フィラーが含まれていると、高密度
実装、高集積化に対応したプリント配線板への適応に際
して、この無機フィラーが異物や不純物として作用して
しまうおそれもある。
【0037】そこで本発明では、無機フィラーとして混
合した層状粘土鉱物の一層一層が剥離して、ナノレベル
の大きさ(長さ)でアスペクト比が数百以上の超微細な
無機フィラーとなって、エポキシ樹脂中に均一に分散さ
れるようにすることによって、少ない配合量で熱膨張係
数を低減させる効果を高く得ることを可能にすると共
に、無機フィラーが異物や不純物として作用せず、高密
度実装や高集積化に対応した低熱膨張プリント配線板を
達成することができる絶縁基板を提供するようにしたも
のである。
【0038】このためには、エポキシ基と反応して重合
させると共にエポキシ樹脂を硬化させる硬化剤として作
用する有機アミン類を、層状粘土鉱物の層間に導入する
処理をしておく必要がある。この処理に用いる有機アミ
ン類として、本発明では第二アミン類と第三アミン類を
併用して用いる。ここで本発明において第二アミン類と
は化学式がR21Nと表記される第二アミンと、この第
二アミンに水素が結合されたイオンであるR21NH2 +
からなるものであり、第二アミンとそのイオンの一方を
用いるかあるいは両方を併用して用いることもできる。
また本発明において第三アミン類とは化学式がR32
1Nと表記される第三アミンと、この第三アミンに水素
が結合したイオンであるR321NH+からなるもので
あり、第三アミンとそのイオンの一方を用いるかあるい
は両方を併用して用いることもできる。但し、R3
2、R1はそれぞれ、炭素数1〜30のアルキル基、も
しくは−[R4−O]m−H(R4は炭素数1〜6のアル
キレン基、mは1〜8の整数)、もしくは−R5−O
H、−R6−COOH(R5、R6はそれぞれ炭素数1〜
30のアルキレン基)が好ましい。
【0039】そしてなかでも特に好ましいものは、第二
アミンに水素が結合したイオンとして、アルキルモノエ
タノールアミン(C1225NHCH2CH2OH)に塩酸
を反応させて水素を結合したイオンや、多官能アミン
(RNHCH2CH2HNCH2CH2CH2NHCOO
H)に塩酸を反応させて水素を結合したイオンを、第三
アミンに水素が結合されたイオンとして、アルキルビス
ヒドロキシエチルアミン(RR’R”N)に塩酸を反応
させて水素を結合したイオンを挙げることができる。但
し、R、R’は−(CH2CH2O)5H、R”は−C12
25又はC1837である。
【0040】また、層状粘土鉱物の処理に用いる有機ア
ミン類としては、上記の第一アミン類及び第二アミン類
と併用して、第一アミン類を用いることもできる。第一
アミン類は第一アミン及び第一アミンに水素を結合した
イオンを意味するものであり、アミノドデカン酸(H2
NC1122COOH)又はこれに塩酸を反応させて水素
を結合したイオン、ドデシルアミン(C1225NH2
又はこれに塩酸を反応させて水素を結合したイオン、ア
ミノカプロン酸(H2NC510COOH)又はこれに塩
酸を反応させて水素を結合したイオン、ヘキシルアミン
(C613NH2)又はこれに塩酸を反応させて水素を結
合したイオンから選ばれるものを用いるのが好ましい。
【0041】層状粘土鉱物を有機アミン類で処理するに
あたっては、層状粘土鉱物と上記の有機アミン類の混合
物を水溶液中で溶解分散及び攪拌混合した後に、遠心分
離して層状粘土鉱物を分離し、さらに不要なイオン種の
除去のために再度、水溶液分散、遠心分離の作業を繰り
返すことによって、層状粘土鉱物の層間に有機アミン類
を導入するようにして行なうことができる。層状粘土鉱
物に処理する有機アミン類の量は、層状粘土鉱物100
質量部に対して20〜200質量部の範囲が好ましい。
また第二アミン類と第三アミン類を併用することによっ
て、層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物の分散性を
高く得ることができるものである。第二アミン類と第三
アミン類の配合比率は特に限定されるものではない。
【0042】そしてこのように有機アミン類で処理した
層状粘土鉱物をエポキシ樹脂と混合すると、有機アミン
で広がった層状粘土鉱物の層間にエポキシ樹脂が侵入し
て重合反応が起こる。この際に層間のエポキシ樹脂だけ
でなく、層外から順次エポキシ樹脂を取り込みながら重
合反応が起こるので、層間の反応生成物の体積が増加
し、体積増加によるドライビングフォース(推進力)で
層状粘土鉱物に層間剥離が発生し、高アスペクト比を有
し、サブミクロン以下のナノレベルの大きさの薄片状無
機物が生成されるものである。
【0043】このように層状粘土鉱物を層間剥離させて
薄片状無機物を生成させる作用を効率良く得るには、有
機アミン類で広がった層状粘土鉱物の層間に挿入され易
いビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂を用いるのが
好ましい。ビスフェノールAタイプは立体障害性が少な
い直鎖状の分子構造を有しており、層状粘土鉱物の層間
に入り易い構造をしているものであり、特に分子長さが
短い液状のビスフェノールAタイプエポキシ樹脂を有効
に用いるとさらに好ましい。またエポキシ樹脂よりも層
状粘土鉱物の層間に入り易いDMFやDMAcなどの極
性溶媒を用いて、この溶媒中で層状粘土鉱物とエポキシ
樹脂を攪拌すると、溶媒で層状粘土鉱物を膨潤させて層
間を広げることができ、層間にエポキシ樹脂が入り易い
ようにすることができるものである。さらに、層状粘土
鉱物とエポキシ樹脂の混合物を加熱して80〜150℃
の温度に保持することによって、層状粘土鉱物の層間で
のエポキシ樹脂の重合反応を容易に進めることができる
ものである。バッチ式のオートクレーブによる加熱と、
超音波分散ホモジナイザーを併用するとさらに好まし
い。
【0044】また、エポキシ樹脂と反応性のある有機ア
ミン類の中でも、層状粘土鉱物の層間にエポキシ樹脂を
挿入する触媒性のある第二アミン類や第三アミン類を用
いるのがよい。第一アミン類はエポキシ樹脂との反応性
が高いため、層状粘土鉱物の層間にあるエポキシ樹脂の
みで反応が終了してしまい、層外からエポキシ樹脂を取
り込んで反応させることができず、層内で体積膨張が起
こすことできないのでドライビングフォースが不足して
層間剥離が生じず、高アスペクト比を有し、ナノレベル
の大きさの薄片状無機物を得ることはできない。従っ
て、触媒性のある第二アミン類や第三アミン類を用いる
のが好ましいものである。しかし、エポキシ樹脂との反
応性が高い第一アミン類を第二アミン類や第三アミン類
と併用した場合、第一アミン類がエポキシ樹脂と反応す
ると第二アミン類となって、層状粘土鉱物の層間にエポ
キシ樹脂を挿入させる効果を殆ど低下させずに、硬化を
早めることができるものである。
【0045】上記のようにして、層状粘土鉱物が層間で
一枚ずつ剥離して得られる高アスペクト比でナノレベル
の大きさの薄片状無機物が、エポキシ樹脂に均一に混合
分散したエポキシ樹脂組成物を得ることができるもので
あり、これにさらに必要に応じて他のエポキシ樹脂、そ
して硬化剤、また必要に応じて硬化促進剤を配合するこ
とによって、本発明に係るエポキシ樹脂組成物を調製す
ることができるものである。このエポキシ樹脂組成物は
既述のように溶剤に溶解・分散してワニスとして使用さ
れるものである。ここで、層状粘土鉱物から得られる薄
片状無機物はアスペクト比が100〜5000の範囲で
あることが好ましく、またその大きさは厚みが5〜50
Å、長さが5μm以下であることが好ましい。薄片状無
機物のアスペクト比が100未満の場合、厚みが50Å
を超える場合、長さが5μmを超える場合は、少量の配
合で熱膨張係数を大きく低減させる効果を得るのが難し
くなる。一方、層状粘土鉱物の各層の厚みは5Å程度が
最少であるので、厚みの実質的な下限は5Åに設定され
る。また長さの上限が5μmであり、厚みの下限が5Å
であるから薄片状無機物のアスペクト比の実質的な上限
は5000に設定される。尚、薄片状無機物の長さの下
限は特に限定されないが、層状粘土鉱物から剥離して生
成される薄片状無機物の長さの下限は実質的に0.1μ
m程度である。
【0046】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0047】(実施例1)層状粘土鉱物としてコープケ
ミカル社製の合成雲母を用い、有機アミン類として第三
アミンに塩酸を反応させて得られるイオン(RR’R”
NH+)[但しR、R’は−(CH2CH2O)5H、R”
は−C1837]と第二アミンに塩酸を反応させて得られ
るイオン[(C1225NHCH2CH2OH)H+]を
1:1の質量比で混合して用いた。そして層状粘土鉱物
100質量部に対して有機アミン類を120質量部加え
て両者を水溶液中で溶解分散し、室温で30分攪拌した
後、さらに80℃で30分攪拌し、その後、遠心分離し
て固形分である層状粘土鉱物を分離した。さらにこの分
離した層状粘土鉱物を水に分散して遠心分離する操作を
行なって不要なイオン除去を行なうことによって、有機
アミン類で処理された層状粘土鉱物を得た。
【0048】次にまず、ビスフェノールA型エポキシ樹
脂(東都化成株式会社製「YD011」:エポキシ当量
475g/eq)20質量部とDMF20質量部を混合
し、この中に上記の有機アミン類で処理された層状粘土
鉱物を、組成物に最終に含まれるエポキシ樹脂物に対し
て1質量%になるように添加し、30分間攪拌混合し
た。このようにして、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
が層状粘土鉱物の層間に入り込み、層間が広がった構造
のエポキシ複合層状粘土鉱物を得た。このときの層状粘
土鉱物の(001)底面間隔のX線回折ピーク位置を測
定することによって、底面間隔が約10Åから35Åへ
と増大していることを確認した。
【0049】このままでは、層間の間隔が広がったのみ
で層状粘土鉱物は層間剥離しないので、オイルバスを用
いて加熱し、100℃で2時間攪拌混合した。この加熱
によって、層状粘土鉱物は層間が完全に剥離し、ナノレ
ベルの大きさで分散可能な薄片状無機物となった。この
ときの層状粘土鉱物の(001)底面間隔のX線回折ピ
ーク位置の測定によって、底面間隔が35Åから100
Å以上へと増大していることを確認した。
【0050】上記のように加熱分散処理を行なったの
ち、3官能エポキシ樹脂(三井石油化学工業社製「VG
3101」:エポキシ当量210g/eq)を80質量
部、硬化剤としてジシアンジアミド(アミン当量21g
/eq)を50質量部、硬化促進剤として2−エチル−
4−メチルイミダゾール(四国化成株式会社製「2E4
MZ」)を0.1質量部、DMFを30質量部添加し、
十分に攪拌してエポキシ樹脂組成物のワニスを得た。
【0051】
【表3】
【0052】上記のようにして得たワニスを7628タ
イプのガラス織布に含浸させ、160℃で5分間乾燥す
ることによって、プリプレグを作製した。
【0053】次に、このプリプレグを6枚重ね、さらに
その両面に厚み35μmの銅箔を重ね、これを170
℃、3.9MPa(40kg/cm2)の条件で90分
間、加熱加圧して積層成形することによって、両面銅箔
張り積層板を得た。
【0054】このようにして得られた積層板中のエポキ
シ樹脂硬化物をX線回折ピークを分析すると、広角度側
から2度までの測定で層状粘土鉱物の(001)面の回
折ピークが認められず、層状粘土鉱物の一層ずつが剥離
して、ミクロに分散していると判断された。またこの積
層板中のエポキシ樹脂硬化物のフィラー分散状態を走査
型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)
により観察し、ガラス織布の間に含浸している樹脂中に
厚み5〜15Å、長さ2〜3μm、アスペクト比200
0〜3000の薄片状無機物質が分散していることを確
認した。また積層板の断面を研磨した後、SEMによる
モルフォロジー観察を行なったところ、フィラーの凝集
等の不均一は認められず、ナノレベルで非常に均一な樹
脂組成になっていることを確認した。
【0055】(実施例2〜4)有機アミン類で処理され
た層状粘土鉱物を、組成物に最終に含まれるエポキシ樹
脂物に対して3質量%になるように(実施例2)、ある
いは5質量%になるように(実施例3)、あるいは7質
量%になるように(実施例4)、それぞれ添加するよう
にした他は、実施例1と同様にして両面銅箔張り積層板
を得た。
【0056】このものにあっても実施例1と同様に、室
温混合によりビスフェノールA型エポキシ樹脂が層状粘
土鉱物の層間に入り込み、層間が広がった構造のエポキ
シ複合層状粘土鉱物を得た。さらにオイルバスを用いて
100℃で2時間攪拌混合することによって、層状粘土
鉱物は層間が完全に剥離し、ナノレベルの大きさで分散
可能な薄片状無機物となった。このときの層状粘土鉱物
の(001)底面間隔のX線回折ピーク位置の測定によ
って、底面間隔が35Åから100Å以上へと増大して
いることを確認した。
【0057】(実施例5)有機アミン類として第三アミ
ンに塩酸を反応させて得られるイオン(RR’R”NH
+)[但し、R、R’は−(CH2CH2O)5H、R”は
−C1225]と第二アミンに塩酸を反応させて得られる
イオン[(C1225NHCH2CH2OH)H+]を1:
1の質量比で混合して用いるようにした他は、実施例2
と同様にして両面銅箔張り積層板を得た。
【0058】このものにあっても、実施例2と同様に、
室温混合によりビスフェノールA型エポキシ樹脂が層状
粘土鉱物の層間に入り込み、層間が広がった構造のエポ
キシ複合層状粘土鉱物を得た。さらにオイルバスを用い
て100℃で2時間攪拌混合することによって、層状粘
土鉱物は層間が完全に剥離し、ナノレベルの大きさで分
散可能な薄片状無機物となった。このときの層状粘土鉱
物の(001)底面間隔のX線回折ピーク位置の測定に
よって、底面間隔が35Åから100Å以上へと増大し
ていることを確認した。
【0059】(実施例6)硬化剤としてジフェニルジア
ミノメタン(DDM)を用いるようにした他は、実施例
2と同様にして両面銅箔張り積層板を得た。
【0060】このものにあっても、実施例2と同様に、
室温混合によりビスフェノールA型エポキシ樹脂が層状
粘土鉱物の層間に入り込み、層間が広がった構造のエポ
キシ複合層状粘土鉱物を得た。さらにオイルバスを用い
て100℃で2時間攪拌混合することによって、層状粘
土鉱物は層間が完全に剥離し、ナノレベルの大きさで分
散可能な薄片状無機物となった。このときの層状粘土鉱
物の(001)底面間隔のX線回折ピーク位置の測定に
よって、底面間隔が35Åから100Å以上へと増大し
ていることを確認した。
【0061】(比較例1)有機アミン類で処理した層状
粘土鉱物を添加しない表3の配合でエポキシ樹脂組成物
のワニスを調製し、後は実施例1と同様にして両面銅箔
張り積層板を得た。
【0062】(比較例2)有機アミン類で処理していな
い層状粘土鉱物を用い、これを表3の配合に混合するこ
とによってエポキシ樹脂組成物を調製するようにした他
は、実施例2と同様にして両面銅箔張り積層板を得た。
【0063】(比較例3)有機アミン類で処理された層
状粘土鉱物にエポキシ樹脂を混合するにあたって、ビス
フェノールA型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製「Y
D011」)を用いず、その代りに3官能エポキシ樹脂
(三井石油化学工業社製「VG3101」)を用いるよ
うにした他は、実施例1と同様にして両面銅箔張り積層
板を得た。
【0064】(比較例4)有機アミン類で処理された層
状粘土鉱物の代りに粒径0.5μmの球状シリカ粉末
(株式会社龍森製「SO−25R」を用い、これを表3
の配合に混合することによってエポキシ樹脂組成物を調
製するようにした他は、実施例2と同様にして両面銅箔
張り積層板を得た。
【0065】(比較例5)有機アミン類として第一アミ
ン(アミノドデカン酸)に塩酸を反応させて得られるイ
オン[(H2NC1122COOH)H+]を用いるように
した他は、実施例2と同様にして両面銅箔張り積層板を
得た。
【0066】上記のようにして得た実施例1〜6及び比
較例1〜5の両面銅箔張り積層板について、銅箔ピール
強度、熱膨張係数、ガラス転移温度(Tg)を測定し
た。熱膨張係数の測定は、表面の銅箔をエッチングによ
り除去した積層板を6mm角に切断し、セイコー電子工
業株式会社製「SSC5200TMA3200」を用い
て、厚み方向について10℃/minの昇温速度で室温
から200℃までの熱膨張率を測定することによって行
ない、またこの測定で得られた温度−変位のグラフの屈
曲点をガラス転移温度とした。銅箔ピール強度の測定
は、両面銅張り積層板を100mm幅で短冊型に切断
し、積層板の表面の銅箔を積層板と垂直の方向に50m
m/分で引き剥がしたときの強度を測定して行なった。
結果を表4に示す。
【0067】
【表4】
【0068】実施例1〜4の結果にみられるように、層
状粘土鉱物から得られる薄片状無機物の少量の配合によ
って熱膨張係数低下が確認されるものであり(例えば実
施例2では3質量%の配合で比較例1のものよりも1
0.5%の熱膨張係数の低下がみられる)、しかも銅箔
のピール強度も確保することができるものであった。ま
た実施例5,6においても、銅箔のピール強度の低下な
く、少量の配合で大きな熱膨張係数の低減が達成できる
ものであった。
【0069】一方、比較例2のものは、有機アミン類で
処理していない層状粘土鉱物を用いているので、層状粘
土鉱物は層間剥離せず、ナノレベルの薄片状無機物は得
られない。このため、熱膨張係数は比較例1のものより
約3%低減しただけであった。
【0070】また比較例3のものは、エポキシ樹脂とし
てビスフェノールA型のものを用いていないので、層状
粘土鉱物の層間にエポキシ樹脂成分が挿入されず、層状
粘土鉱物の層間剥離が不十分であってナノレベルの薄片
状無機物の生成が不十分である。従って、3官能エポキ
シ樹脂の量の増加によって架橋密度が高くなってガラス
転移温度は高くなるが、熱膨張係数は比較例1のものよ
り約5%低減しただけであった。
【0071】また、比較例4のものは、熱膨張係数は比
較例1のものより約5%低減しただけであった。
【0072】また比較例5のものは、有機アミン類とし
て第一アミン類のみを用いているので、層状粘土鉱物の
層間剥離が不十分であってナノレベルの薄片状無機物の
生成が不十分である。従って、3官能エポキシ樹脂の量
の増加によって架橋密度が高くなってガラス転移温度は
高くなるが、熱膨張係数は比較例1のものより約3%低
減しただけであった。
【0073】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係るエ
ポキシ樹脂組成物は、エポキシ反応基を有する熱硬化性
樹脂と、第二アミンとこの第二アミンに水素が結合した
イオンの少なくとも一方の第二アミン類、及び第三アミ
ンとこの第三アミンに水素が結合したイオンの少なくと
も一方の第三アミン類で処理された層状粘土鉱物から得
られる薄片状無機物と、硬化剤を混合したものであり、
層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物はナノレベルの
大きさであって、少量の配合で熱膨張係数を大きく低減
することができるものである。
【0074】また請求項2の発明は、層状粘土鉱物から
得られる薄片状無機物は、アスペクト比が100〜50
00であるので、少量の配合で熱膨張係数を大きく低減
することができるものである。
【0075】また請求項3の発明は、層状粘土鉱物から
得られる薄片状無機物は、厚みが5〜50Å、長さが5
μm以下であるので、少量の配合で熱膨張係数を大きく
低減することができるものである。
【0076】また請求項4の発明は、第二アミン類とし
て、第二アミン(R21NH)とこの第二アミンに水素
が結合したイオン(R21NH2 +)の少なくとも一方、
第三アミン類として第三アミン(R321N)とこの
第三アミンに水素が結合したイオン(R321NH+
の少なくとも一方を用いる[但し、R3、R2、R1はそ
れぞれ、炭素数1〜30のアルキル基、もしくは−(R
4−O)m−H(R4は炭素数1〜6のアルキレン基、m
は1以上の整数)、もしくは−R5−OH、−R6−CO
OH(R5、R6はそれぞれ炭素数1〜30のアルキレン
基)]ようにしたものであるので、層状粘土鉱物の層間
剥離を効率良く行わせることができて、層状粘土鉱物か
らナノレベルの薄片状無機物を効率良く得ることがで
き、熱膨張係数を大きく低減することができるものであ
る。
【0077】また請求項5の発明は、層状粘土鉱物から
得られる薄片状無機物の配合量は熱硬化性樹脂に対して
0.1〜30質量%であるので、層状粘土鉱物の層間剥
離を効率良く行わせることができて、層状粘土鉱物から
ナノレベルの薄片状無機物を効率良く得ることができ、
熱膨張係数を大きく低減することができるものである。
【0078】また請求項6の発明は、エポキシ反応基を
有する熱硬化性樹脂の少なくとも一部にビスフェノール
A型エポキシ樹脂を用いるので、層状粘土鉱物の層間剥
離を効率良く行わせることができて、層状粘土鉱物から
ナノレベルの薄片状無機物を効率良く得ることができ、
熱膨張係数を大きく低減することができるものである。
【0079】また請求項7の発明は、第二アミンに水素
が結合したイオンとして、アルキルモノエタノールアミ
ン(C1225NHCH2CH2OH)又は多官能アミン
(RNHCH2CH2HNCH2CH2CH2NHCOO
H)に水素が結合したイオンを用い、第三アミンに水素
が結合したイオンとして、アルキルビスヒドロキシエチ
ルアミン(RR’R”N)に水素が結合したイオンを用
いる[但し、R、R’は−(CH2CH2O)5H、R”
は−C1225又は−C1837)]ものであるので、層状
粘土鉱物の層間剥離を効率良く行わせることができて、
層状粘土鉱物からナノレベルの薄片状無機物を効率良く
得ることができ、熱膨張係数を大きく低減することがで
きるものである。
【0080】また請求項8の発明は、層状粘土鉱物を、
第二アミン類及び第三アミン類と共に、アミノドデカン
酸(H2NC1122COOH)又はこれに水素が結合し
たイオン、ドデシルアミン(C1225NH2)又はこれ
に水素が結合したイオン、アミノカプロン酸(H2NC5
10COOH)又はこれに水素が結合したイオン、ヘキ
シルアミン(C613NH2)又はこれに水素が結合した
イオンから少なくとも一つ選ばれる、第一アミンと第一
アミンに水素が結合したイオンの少なくとも一方の第一
アミン類で処理して用いるので、第一アミン類で反応を
早めて製造効率を高めることができるものである。
【0081】本発明の請求項9に係る絶縁基板は、請求
項1乃至8のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を、
加熱加圧して硬化させて形成されたものであり、熱膨張
係数の小さい絶縁基板を得ることができるものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 1/03 610 H05K 1/03 610R Fターム(参考) 4J002 CD021 CD051 CD061 DJ007 EN026 EN036 EP026 ET006 EU116 FA017 FB087 FD146 4J036 AA01 AD08 DA01 DC04 DC05 FA01 JA08

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ反応基を有する熱硬化性樹脂
    と、第二アミンとこの第二アミンに水素が結合したイオ
    ンの少なくとも一方の第二アミン類、及び第三アミンと
    この第三アミンに水素が結合したイオンの少なくとも一
    方の第三アミン類で処理された層状粘土鉱物から得られ
    る薄片状無機物と、硬化剤を混合して成ることを特徴と
    するエポキシ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物
    は、アスペクト比が100〜5000であることを特徴
    とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物
    は、厚みが5〜50Å、長さが5μm以下であることを
    特徴とする請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 第二アミン類として、第二アミン(R2
    1NH)とこの第二アミンに水素が結合したイオン
    (R21NH2 +)の少なくとも一方、第三アミン類とし
    て第三アミン(R321N)とこの第三アミンに水素
    が結合したイオン(R321NH+)の少なくとも一方
    を用いる[但し、R3、R2、R1はそれぞれ、炭素数1
    〜30のアルキル基、もしくは−(R4−O)m−H(R
    4は炭素数1〜6のアルキレン基、mは1以上の整
    数)、もしくは−R5−OH、−R6−COOH(R5
    6はそれぞれ炭素数1〜30のアルキレン基)]こと
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエポキ
    シ樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物
    の配合量は熱硬化性樹脂に対して0.1〜30質量%で
    あることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載
    のエポキシ樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 エポキシ反応基を有する熱硬化性樹脂の
    少なくとも一部にビスフェノールA型エポキシ樹脂を用
    いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載
    のエポキシ樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 第二アミンに水素が結合したイオンとし
    て、アルキルモノエタノールアミン(C1225NHCH
    2CH2OH)又は多官能アミン(RNHCH 2CH2HN
    CH2CH2CH2NHCOOH)に水素が結合したイオ
    ンを用い、第三アミンに水素が結合したイオンとして、
    アルキルビスヒドロキシエチルアミン(RR’R”N)
    に水素が結合したイオンを用いる[但し、R、R’は−
    (CH2CH2O)5H、R”は−C1225又は−C18
    37)]ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記
    載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 層状粘土鉱物を、第二アミン類及び第三
    アミン類と共に、アミノドデカン酸(H2NC1122
    OOH)又はこれに水素が結合したイオン、ドデシルア
    ミン(C1225NH2)又はこれに水素が結合したイオ
    ン、アミノカプロン酸(H2NC510COOH)又はこ
    れに水素が結合したイオン、ヘキシルアミン(C613
    NH2)又はこれに水素が結合したイオンから少なくと
    も一つ選ばれる、第一アミンと第一アミンに水素が結合
    したイオンの少なくとも一方の第一アミン類で処理して
    用いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記
    載のエポキシ樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれかに記載のエポ
    キシ樹脂組成物を、加熱加圧して硬化させて成ることを
    特徴とする絶縁基板。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003096315A (ja) * 2001-05-11 2003-04-03 Sekisui Chem Co Ltd 難燃熱硬化性樹脂組成物
JP2011057867A (ja) * 2009-09-10 2011-03-24 Sekisui Chem Co Ltd 透明複合材料及び透明シート
WO2015053031A1 (ja) * 2013-10-08 2015-04-16 株式会社日立製作所 樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、樹脂硬化物及び当該樹脂硬化物を用いた電気機器、電線、樹脂膜積層体、構造体
JP2016008279A (ja) * 2014-06-25 2016-01-18 味の素株式会社 樹脂組成物

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