JP2002208535A - 電子部品およびその製造方法 - Google Patents
電子部品およびその製造方法Info
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Abstract
き、素子本体に対する外部端子電極の固着強度が大き
く、高い信頼性を有する積層セラミックコンデンサなど
の電子部品を提供することである。 【解決手段】 誘電体層4と内部電極層6,8とが交互
に積層してある素子本体10の外面に外部端子電極1
2,14が形成してあり、前記外部端子電極12,14
が、内部に金属(124a)を含むガラス層(124)
を有する電子部品2。
Description
ンデンサなどの電子部品およびその製造方法に関する。
である積層セラミックコンデンサは、誘電体層と内部電
極層とが交互に積層されたコンデンサ素子本体を有し、
このコンデンサ素子本体の両端部には、前記内部電極層
と導通する外部端子電極が形成してある。外部端子電極
は、通常、Ag、Ag−Pd、Cu、Ni、それらの合
金などの金属粉末(導電成分)に、ガラスフリット、有
機ビヒクル(バインダーおよび溶剤など)を配合してな
る外部端子電極用ペーストを、コンデンサ素子本体の両
端部に塗布し、焼き付けることにより固着されて形成さ
れる。
るのは、主として、(1)外部端子電極に含まれるガラ
スフリットに由来するガラス成分と、素子本体に含まれ
る誘電体層に由来するセラミックとの結合力、および
(2)外部端子電極に含まれる金属材料と、素子本体に
含まれる内部電極層を構成する金属材料との接続による
結合力、によるものと考えられている。
デンサの実装強度、特にコンデンサ素子本体に対する外
部端子電極の固着強度が低いと、コンデンサの信頼性が
著しく低下してしまうことから、この固着強度を向上さ
せるために種々の提案がなされている。
では、静電容量に関与する通常の内部電極の他に、静電
容量に関与しないダミー内部電極を素子本体中に形成
し、当該ダミー内部電極を素子本体の端面に露出させる
ことにより、外部端子電極と素子本体との固着強度を向
上させた積層セラミックコンデンサが開示してある。
は、確かに、素子本体に対する外部端子電極の固着強度
を向上させることが期待できるが、製造工程が複雑にな
るのみならず、製造コストが大幅にかかるという新たな
問題を生じうる。
ず、低コストで製造でき、素子本体に対する外部端子電
極の固着強度が大きく、高い信頼性を有する積層セラミ
ックコンデンサなどの電子部品、およびその製造方法を
提供することである。
に、本発明に係る電子部品は、誘電体層と内部電極層と
が交互に積層してある素子本体の外面に外部端子電極が
形成してあり、前記外部端子電極が、内部に金属を含む
ガラス層を有する。
子本体の外面に直接に形成され、前記素子本体の一部と
ガラスとが反応している反応層と、前記反応層の外面に
形成され、内部に金属を含むガラス層と、前記ガラス層
の外面に形成された金属で構成してある導電層とを有す
る。
る金属が、前記導電層を構成する金属と同一成分の金属
である。
る金属が、Cu、Niおよびこれらの合金から選ばれる
少なくとも1種である。
量が1〜50重量%である。
る金属の平均粒径が0.01〜30μmである。
〜5.0μmである。
スが、ケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラスおよびアル
ミナケイ酸塩ガラスから選ばれる少なくとも1種であ
る。
0.01〜30μmである。
Cu2 O、CaO、BaO、MgO、ZnO、Pb
O、Na2 O、K2 OおよびMnO2 から選ばれ
る少なくとも1種の添加物がさらに含有してある。
は、メッキ層が形成してある。
iおよびその合金の少なくとも1種を含有する。
電子部品の製造方法は、誘電体層と内部電極層とが交互
に積層された素子本体を形成する工程と、前記素子本体
の外面に、金属酸化物およびガラスフリットを含む外部
端子電極用ペーストを塗布し、還元雰囲気で焼き付け処
理して外部端子電極を形成する工程とを有する。
が600〜900℃である。
が0.1〜60分である。
における各成分の含有量が、金属酸化物:80〜99重
量%、ガラスフリット:1〜20重量%である。
化物およびNiの酸化物の少なくとも1種である。
に、脱バインダー処理を行う。
品には、誘電体層と内部電極層とが交互に積層してある
素子本体の外面に直接に形成され、前記素子本体の一部
とガラスとが反応している反応層と、前記反応層の外面
に形成され、内部に金属を含まないガラス層と、前記ガ
ラス層の外面に形成された金属で構成してある導電層と
を有する外部端子電極が形成されている。
体の誘電体層に含まれるセラミックと、ガラス層を構成
するガラスとが化学反応を伴い、これにより化学的に強
固に接続している、と考えられている。
であることから、ガラス層と導電層とは、前述した素子
本体とガラス層との間に生じる強固な接続とは異なり、
機械的に接続して強度を維持しているに過ぎない、と考
えられている。
続強度を向上させるためには、両者の間で化学反応を伴
わせて化学的に接続させることが必要である。
電体層と内部電極層とが交互に積層された素子本体の外
面に、金属酸化物、ガラスおよび有機ビヒクルを含む外
部端子電極用ペーストを塗布し、還元雰囲気で焼き付け
処理して外部端子電極を形成する。すなわち本発明で
は、外部端子電極の焼き付け処理を還元雰囲気で行う。
このため、ペーストに含まれる金属酸化物(たとえばC
uO、Cu2 O)が還元されて金属粒子(たとえばC
u)としてガラス層中に析出し、これが導電層を構成す
る金属成分(たとえばCu)と結合する。これにより、
ガラス層と導電層との間で化学的に強固な接続が生じ
る。そもそも素子本体とガラス層とは、前述した反応層
を介して強固に接続しているのであるから、結果的に、
素子本体に対する外部端子電極の固着強度が向上する
(素子本体のサイズがたとえば縦3.2mm×横1.6
mm×厚み1.2mmの場合に、固着強度が100N以
上)。
電極層とが交互に積層してある素子本体の外面に形成さ
れた外部端子電極が、内部に金属を含むガラス層を有す
る。このガラス層の内面には、好ましくは前記素子本体
の外面に直接に形成され、前記素子本体の一部と反応し
ている反応層が形成される。また前記ガラス層の外面に
は、好ましくは金属で構成してある導電層が形成され
る。ここで、素子本体とガラス層とは反応層を介して化
学的に強固に接続してあり、またガラス層と導電層と
は、このガラス層に含まれる金属粒子が導電層を構成す
る金属成分と結合した形で化学的に強固に接続してある
ことから、素子本体に対する外部端子電極の固着強度が
向上している(素子本体のサイズがたとえば縦3.2m
m×横1.6mm×厚み1.2mmの場合に、固着強度
が100N以上)。
程によらず、低コストで製造でき、素子本体に対する外
部端子電極の固着強度が大きく、高い信頼性を有する積
層セラミックコンデンサなどの電子部品、およびその製
造方法を提供できる。本発明では、固着強度が高い電子
部品が得られることから、電子部品の撓み強度も向上す
る。
形態に基づき説明する。図1は本発明の一実施形態に係
る電子部品としての積層セラミックコンデンサの要部断
面図、図2は図1のII部分の拡大図、図3は図2のIII
部分の拡大図、図4は実施例1のコンデンサ試料におい
て、外部端子電極と素子本体との間の断面微細構造をS
EMにより観察した顕微鏡写真である。
に係る積層セラミックコンデンサ2は、誘電体層4と内
部電極層6,8とが交互に積層された構成のコンデンサ
素子本体10を有する。コンデンサ素子本体10の形状
は、特に制限はないが、通常、直方体状とされる。ま
た、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な
寸法とすればよいが、通常、縦(0.6〜5.6mm)
×横(0.3〜5.0mm)×厚み(0.3〜1.9m
m)程度である。
は、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層
6,8と各々導通する一対の外部端子電極12,14が
形成してある。本実施形態では、コンデンサ素子本体1
0のサイズがたとえば縦3.2mm×横1.6mm×厚
み1.2mmである場合において、外部端子電極12,
14は、素子本体に対して100N以上、好ましくは1
20N以上の固着強度で固着される。なお、従来の積層
セラミックコンデンサにおいて、同一サイズでは、10
0N未満の固着強度が限界であった。
部電極層6側から順に、ガラス−素体反応層122、ガ
ラス層124および導電層126が積層される3層構造
で構成してある。導電層126の外面には、メッキ層
(図示省略)が形成してあってもよい。なお、外部端子
電極14は、外部端子電極12と同様の構成であるの
で、その説明を割愛する。
ペースト中に含まれるガラスフリット(ガラス)と、素
子本体10の誘電体層4とが化学反応を起こし、互いに
混じり合って存在する層であり、主としてガラスと誘電
体酸化物とで構成される。反応層122の厚みは、特に
限定されないが、通常0.1〜10μm程度である。
有して構成される。金属粒子124aは、たとえばA
g、Au、Pt、Pd、CuおよびNiから選ばれる少
なくとも一種(合金含む)が挙げられるが、好ましくは
Cu、Niあるいはそれらの合金、より好ましくはCu
である。ガラス層124における金属粒子124aの含
有量は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは5
〜40重量%である。ガラス層124に含まれる金属粒
子124aの平均粒径は、好ましくは0.01〜30μ
m、より好ましくは0.1〜10μmである。ガラス層
124の厚みは、特に限定されないが、通常、0.1〜
5μm程度である。ガラス層124を構成するガラスの
組成は、特に限定されないが、たとえばケイ酸塩ガラ
ス、ホウケイ酸塩ガラス、アルミナケイ酸塩ガラスなど
で構成される。ガラス層124には、必要に応じて、C
uO、Cu2 O、CaO、BaO、MgO、ZnO、
PbO、Na2 O、K2 O、MnO2 などの添加
物が含有してあってもよい。
の金属で構成される。導電層126の厚みは、特に限定
されないが、通常、5〜100μm程度である。
ッタなどに代表されるような乾式法、あるいはメッキ液
中で行う湿式法のいずれを用いて形成されていても構わ
ない。従来より公知の湿式法、具体的には電解メッキ法
あるいは無電解メッキ法で形成できるが、電解メッキ法
により形成してあることが好ましい。
メッキ層を形成する場合、通常、外部端子電極12上か
らNiおよびSnの順、あるいはNiおよびSn−Pb
はんだメッキの順に形成されるが、特に環境への配慮か
ら、NiおよびSnの順でメッキ層が形成してあること
が好ましい。メッキ層の厚みは、特に限定されないが、
通常、総計0.1〜20μm程度である。
サ2では、誘電体層4と内部電極層6,8とが交互に積
層してある素子本体10の外面に外部端子電極12,1
4が形成してある。外部端子電極12,14は、素子本
体10の外面に直接に形成され、前記素子本体10の一
部とガラスとが反応しているガラス−素体反応層122
と、反応層122の外面に形成され、内部に金属124
aを含むガラス層124と、ガラス層124の外面に形
成された金属で構成してある導電層126とを有する。
ここで、素子本体10とガラス層124とはガラス−素
体反応層122を介して化学的に強固に接続してあり、
ガラス層124と導電層126とはこのガラス層124
に含まれる金属粒子124aが導電層126を構成する
金属成分と結合して化学的に強固に接続してある。その
結果、高い固着強度が得られる。
製造方法の一例を説明する。 (1)まず、誘電体層用ペースト、内部電極層用ペース
ト、外部端子電極用ペーストをそれぞれ準備する。
混練して製造される。
た粉末を用いる。誘電体材料としては特に限定されるも
のではなく、種々の誘電体材料を用いて良いが、たとえ
ば、チタン系酸化物、チタン系複合酸化物、あるいはこ
れらの混合物等が好ましい。チタン系酸化物としては、
必要に応じてNiO,CuO,Mn3 O4 ,Al
2 O3 ,MgO,SiO2 等を総計0.001〜
30重量%程度添加したTiO2 系の酸化物が例示さ
れ、チタン系複合酸化物としては、チタン酸バリウムB
aTiO3 等が挙げられる。Ba/Tiの原子比は、
0.95〜1.20程度が良く、BaTiO3 には、
MgO,CaO,Mn3 O4 ,Y2O3 ,V2
O5 ,ZnO,ZrO2 ,Nb2 O5 ,Cr
2 O3,Fe2 O3 ,P2 O5 ,Na
2 O,K2 O等が総計0.001〜30重量%程度
添加されていても良い。また、焼成温度、線膨張率の調
整のため、(Ba,Ca)SiO3 ガラス等のガラス
が、誘電体層用ペースト中に添加されていても良い。
ず、たとえばチタン酸バリウムを用いる場合、水熱合成
したBaTiO3 に、副成分原料を混合する方法を用
いることができる。また、BaCO3 とTiO2 と
副成分原料との混合物を仮焼して固相反応させる乾式合
成法を用いても良い。また共沈法、ゾル・ゲル法、アル
カリ加水分解法、沈殿混合法等により得た沈殿物と副成
分原料との混合物を仮焼して合成しても良い。なお、副
成分としては、酸化物や、焼成により酸化物となる各種
化合物、たとえば、炭酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、有
機金属化合物等の少なくとも一種以上を用いることがで
きる。
体層の平均結晶粒径に応じて決定すれば良いが、通常、
平均粒子径0.3〜1.0μm程度の粉末を用いる。
に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダ
ーは、特に限定されず、エチルセルロース等の通常の各
種バインダーから適宜選択すれば良い。また、用いる有
機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法、利用する
方法に応じて、ターピネオール、ブチルカルビトール、
アセトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すれ
ば良い。
定されないが、通常1.5〜20μm程度である。また
誘電体層4の積層数は、通常、100〜300程度であ
る。
金、あるいは焼成後に前記導電性金属やその合金となる
金属酸化物など)と、上記した有機ビヒクルとを少なく
とも混練して調整される。
は、特に限定されないが、Ni、Cuなどの卑金属また
はその合金が好ましく、より好ましくはNiあるいはN
i合金である。Ni合金としては、Mn,Cr,Coお
よびAl等から選ばれる少なくとも一種の元素と、Ni
との合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%
以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金
中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含
まれていても良い。誘電体層4の構成材料に耐還元性を
有するものを使用することで、安価な卑金属を用いるこ
とが可能となる。
適宜決定すれば良いが、0.5〜5μm程度であること
が好ましい。
と、有機ビヒクルとを少なくとも含有して調整される。
には、少なくとも金属酸化物が含まれる。金属酸化物と
しては、特に限定されないが、Cuの酸化物(たとえば
CuOまたはCu2 O)、またはNiの酸化物(たと
えばNiO)が好ましく、より好ましくはCuの酸化物
である。
には、さらに金属単体またはその合金が含有してあって
もよい。金属としては、たとえばAg、Au、Pt、P
d、CuおよびNiから選ばれる少なくとも一種などが
挙げられる。
が、たとえば0.01〜30μm程度である。0.01
μmよりも平均粒径が小さい場合、粒子の凝集が激しく
なり、外部端子電極用ペーストの塗布や乾燥時に、ある
いは焼き付け時に、外部端子電極4にクラックが生じや
すくなる傾向がある。30μmよりも平均粒径が大きい
場合、ペースト化が困難になる傾向がある。
フリットは、主として素子本体10に対する外部端子電
極12,14の接着を確保する機能を司る。
いが、後述するように本発明では外部端子電極12,1
4の焼き付け処理を還元性雰囲気で行うことから、その
雰囲気下でもガラスとしての機能を果たすものであるこ
とが必要である。このようなものとしては、たとえば、
ケイ酸塩ガラス{(SiO2 :20〜80重量%、N
a2 O:80〜20重量%)や(SiO2 :7〜6
3重量%、ZnO:37〜93重量%)}、ホウケイ酸
塩ガラス(B2 O3 :5〜50重量%、Si
O2 :5〜70重量%、PbO:1〜10重量%、K
2 O:1〜15重量%)、アルミナケイ酸塩ガラス
(Al2 O3 :1〜30重量%、SiO2:10〜
60重量%、Na2 O:5〜15重量%、CaO:1
〜20重量%、B2 O3 :5〜30重量%)等が挙
げられる。これらの各種ガラスは、それぞれ単独で用い
てもよいし、あるいは二種以上組み合わせて用いてもよ
い。
uO:0.01〜50重量%、Cu 2 O:0.01〜
50重量%、CaO:0.01〜50重量%、BaO:
0.01〜50重量%、MgO:0.01〜5重量%、
ZnO:0.01〜70重量%、PbO:0.01〜5
重量%、Na2 O:0.01〜10重量%、K2O:
0.01〜10重量%、MnO2 :0.01〜40重
量%等の添加物を所定の組成になるように混合しても良
い。ガラスフリットの平均粒径は、特に限定されない
が、たとえば0.01〜30μm程度である。0.01
μmよりも平均粒径が小さいと導電材の焼結が不均一と
なり、外部端子電極12,14にクラックを発生させる
原因となる傾向があり、30μmよりも平均粒径が大き
いと、ガラスの分散が悪くなり、外部端子電極12,1
4と素子本体10との接着性が低下する傾向にある。
含有量は、好ましくは80〜99重量%、より好ましく
は85〜93重量%である。ガラスフリットの含有量
は、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは3〜1
5重量%である。
れば良い。
特に制限はなく、通常の含有量、たとえばバインダーは
1〜5重量%程度、溶剤は10〜50重量%とすれば良
い。また、各ペースト中には、必要に応じて各種分散
剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加剤が
含有されていても良い。これらの総含有量は、10重量
%以下とすることが好ましい。
極層用ペーストとの積層体(グリーンチップ)を作製す
る。
極層用ペーストをPET等の基板上に印刷する。このと
き内部電極層用ペーストの端部の一方が誘電体ペースト
の端部より交互に外部に露出するように積層する。その
後、熱圧着し、所定形状に切断してチップ化した後、基
板から剥離してグリーンチップとする。
ペーストを用いてグリーンシートを形成し、このグリー
ンシート上に内部電極層用ペーストを印刷し、これらを
交互に繰り返して積層し、所定形状に切断してグリーン
チップとする。
ダ後に焼結(焼成、アニール)することにより、積層セ
ラミックコンデンサの素体本体10である焼結チップを
作製する。
あっても良いが、内部電極層6,8の導電材にNiやN
i合金等の卑金属を用いる場合、特に下記の条件で行う
ことが好ましい。 昇温速度:5〜300℃/時間、特に10〜100℃/
時間、 保持温度:200〜400℃/時間、特に250〜30
0℃/時間、 温度保持時間:0.5〜24時間、特に5〜20時間、 雰囲気:空気中。
ストの導電材の種類に応じて適宜選択すれば良いが、導
電材としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、焼
成雰囲気はN2 を主成分とし、H2 :1〜10容積
%を、10〜35℃における水蒸気圧によって加湿して
H2 Oガスとしたものが好ましい。酸素分圧は10
−8〜10−3Paとすることが好ましい。酸素分圧が
前記範囲未満であると、内部電極層6,8中の導電材が
異常焼結を起こし、途切れてしまうことがある。また、
酸素分圧が前記範囲を越えると、内部電極層6,8が酸
化してしまう傾向にある。
〜1400℃、より好ましくは1200〜1300℃で
ある。保持温度が前記範囲未満であると緻密化が不十分
であり、前記範囲を越えると、内部電極層6,8が途切
れやすくなる傾向がある。また、焼成時の温度保持時間
は、好ましくは0.5〜8時間、より好ましくは1〜3
時間である。
アニールを施すことが好ましい。アニールは、誘電体層
4を再酸化するための処理であり、これにより得られる
コンデンサ2の絶縁抵抗の加速寿命を著しく長くするこ
とができる。
10−3Pa以上、より好ましくは10−3〜10−1
Paである。酸素分圧が前記範囲未満であると、誘電体
層4の再酸化が困難であり、前記範囲を越えると内部電
極層6,8が酸化する傾向がある。
0℃以下、より好ましくは500〜1000℃である。
保持温度が前記範囲未満であると、誘電体層4の酸化が
不十分となり、絶縁抵抗の加速寿命が短くなる傾向を示
し、前記範囲を越えると内部電極6,8が酸化し、容量
が低下するだけでなく、誘電体素地と反応し、加速寿命
も短くなる傾向がある。なお、アニール工程は昇温およ
び降温だけから構成しても良い。この場合、温度保持時
間をとる必要なく、保持温度は最高温度と同義である。
また、温度保持時間は、好ましくは0〜20時間、より
好ましくは2〜10時間が好である。雰囲気ガスには、
N2 と加湿したH2 ガスを用いることが好ましい。
よびアニールの各工程において、N 2 ,H2 や混合
ガス等を加湿するには、たとえば、ウエッター等を使用
すれば良い。この場合の水温は、5〜75℃程度が好ま
しい。
ル工程は、連続して行っても、独立して行っても良い。
処理後、冷却せず雰囲気を変更、独立して行っても良
い。これらを連続して行う場合、脱バインダー処理後、
冷却せず雰囲気を変更し、続いて焼成の保持温度まで昇
温して焼成を行い、ついで冷却し、アニール工程での保
持温度に達したときに雰囲気を変更してアニールを行う
ことが好ましい。また、これらを独立して行う場合は、
脱バインダー処理工程では、所定の保持温度まで昇温
し、所定時間保持した後、室温まで降温する。その際の
脱バインダー雰囲気は、連続して行う場合と同様なもの
とする。また、脱バインダー工程と焼成工程とを連続し
て行い、アニール工程だけを独立して行うようにしても
良く、または、脱バインダー工程だけを独立して行い、
焼成工程とアニール工程を連続して行うようにしても良
い。
における内部電極層6,8の端部が露出している両端面
に、外部端子電極12および14を形成する。
部端子電極用ペーストを用いる。
極用ペーストを塗布する。塗布工程としては特に限定さ
れるものではないが、ディップ法等によれば良い。外部
端子電極用ペーストの塗布量は、特に限定されるもので
はなく、塗布する焼結体チップの大きさなどにより適宜
調整すれば良いが、通常、5〜100μm程度である。
る。乾燥は60〜150℃程度で、10分〜1時間程度
行うことが好ましい。
行う。脱バインダ条件は、特に限定されるものではない
が、通常、300〜600℃程度、1〜60分程度、空
気中で行うことが好ましい。この脱バイ中に、内部電極
層6,8であるNiが酸化するため、この酸化したNi
を還元するために、還元処理を行う。還元は、特に限定
されるものではないが、250〜600℃程度、0.1
〜60分程度、N2とH2 の混合雰囲気中で行うこと
が好ましい。
への焼き付け処理を行う。 雰囲気:N2 とH2 との混合ガス等の還元雰囲気、 保持温度:好ましくは600〜900℃、より好ましく
は650〜850℃、 保持時間:好ましくは0.1〜60分、より好ましくは
1〜10分。
電極12,14上には、Ni層とSn層、またはSn−
Pb合金層を電解メッキ法にて形成してもよい。メッキ
層の厚みは特に限定されないが、通常、0.1〜20μ
m程度である。
り、上述した図1および図2に示す構成の積層セラミッ
クコンデンサが得られる。本実施形態のセラミックコン
デンサ1は、はんだ付け等によってプリント基板上に実
装され、各種電子機器に用いられる。
サ2の製造方法では、外部端子電極12,14の焼き付
け処理を還元雰囲気で行うことにより、ペーストに含ま
れる金属酸化物が還元され、導電層126を構成する金
属成分と同一成分の金属粒子124aを、ガラス層12
4(図2参照)の中に析出させることができる。そし
て、このガラス層124中に析出した金属粒子124a
は、導電層126を構成する金属成分と結合し、その結
果、ガラス層124と導電層126との間に強固な接続
を生じさせることができる。素子本体10とガラス層1
24とは、ガラス−素体反応層122を介して強固に接
続していることから、素子本体10に対する外部端子電
極12,14の固着強度が向上する。
きたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において
種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
に係る電子部品として積層セラミックコンデンサを例示
したが、本発明に係る電子部品としては、積層セラミッ
クコンデンサに限定されず、誘電体層と内部電極層とが
交互に積層してある素子本体を有し、この素子本体の外
面に上記構造の外部端子電極が形成してあるものであれ
ば何でも良い。
き説明するが、本発明は、これら実施例に限定されな
い。
0μm)およびTiO 2 (平均粒径:2.0μm)を
用意した。Ba/Tiの原子比は1.00である。ま
た、これに加えて、100重量%のBaTiO3 に対
し、添加物としてMnCO3 を0.2重量%、MgC
O3 を0.2重量%、Y2 O3 を2.1重量%、
(Ba,Ca)SiO3 を2.2重量%、それぞれ準
備した。各原料粉末を水中ボールミルで混合し、乾燥し
た。得られた混合粉を1250℃で2時間仮焼した。こ
の仮焼粉を水中ボールミルで粉砕し、乾燥した。得られ
た仮焼粉に、有機バインダーとしてアクリル樹脂と、有
機溶剤として塩化メチレンとアセトンを加えてさらに混
合し、誘電体スラリーとした。得られた誘電体スラリー
をドクターブレード法にて誘電体グリーンシートとし
た。
径:0.8μm)を用意し、これに有機バインダーとし
てエチルセルロースと、有機溶剤としてターピネオール
を加え、三本ロールを用いて混練し、内部電極ペースト
とした。
(平均粒径:0.5μm)とCuO粉末に対して亜鉛系
マンガン含有ガラスフリット(平均粒径:2.0μm)
を5重量%添加し、これらの合計100重量部に対し
て、有機バインダーとしてのアクリル樹脂を3重量部
と、有機溶剤としてのターピネオールを22重量部とを
加え、三本ロールを用いて混練し、外部端子電極用ペー
ストとした。
ートを数枚積層し、その上にスクリーン印刷法により内
部電極層用ペーストの端部が誘電体層用グリーンシート
の端部から交互に外部に露出するように印刷されたグリ
ーンシートを200枚積層し、熱圧着した。次いで、焼
成後のチップ形状が、縦3.2mm×横1.6mm×厚
み1.2mmになるように切断し、グリーンチップを得
た。
2 +H2 (H2 :3容積%)雰囲気中、1300
℃にて3時間保持して焼成し、さらに加湿したH2 ガ
スを含む酸素分圧10−2Paの雰囲気にて1000℃
で2時間保持し、チップ焼結体を得た。得られた焼結体
の両端部に、外部端子電極用ペーストを塗布、乾燥を行
い、空気中で脱バインダを行い、Niを還元するために
還元処理をした後に、N 2 −H2 (H2 :3容量
%)雰囲気(還元雰囲気)中、750℃で1分間保持し
て焼き付け処理を行い、外部端子電極を形成した。
順に電解メッキ法にてメッキ膜を形成して積層セラミッ
クコンデンサ試料を得た。得られた試料の静電容量は設
計通り、100nFであった。
向に沿って切断して、断面を露出させた後、外部端子電
極と素子本体との間の断面微細構造をSEM−EDX
(日本電子製)により観察した結果を図4に示す。その
結果、外部端子電極は、チップ焼結体(素子本体)側か
ら順に、亜鉛系マンガン含有ガラスフリットおよびBa
TiO3 が混合して存在するガラス−素体反応層と、
亜鉛系マンガン含有ガラスフリットおよびCu粒子を含
有するガラス層と、Cuで構成される導電層とが積層し
て構成されていることが確認できた。なお、反応層の厚
みは3μm程度、ガラス層の厚みは4μm程度、導電層
の厚みは40μm程度であった。
体(焼結体チップ)に対する外部端子電極の固着強度を
評価した。固着強度は、20個のコンデンサ試料を用い
て行い、得られた値の平均値を算出して評価した。その
結果、本実施例のコンデンサ試料では、固着強度が12
0Nであった。
極の焼き付け処理を、還元雰囲気以外の中性雰囲気、7
50℃で1分間行った以外は、実施例1と同様にして積
層セラミックコンデンサ試料を得た。
用い、外部端子電極と素子本体との間の断面を観察した
ところ、実施例1と異なり、外部端子電極は、チップ焼
結体(素子本体)側から順に、亜鉛系マンガン含有ガラ
スフリットおよびBaTiO 3 が混合して存在するガ
ラス−素体反応層と、亜鉛系マンガン含有ガラスフリッ
トで構成されたガラス層と、Cuで構成される導電層と
が積層して構成されていることが確認できた。
体(焼結体チップ)に対する外部端子電極の固着強度を
評価したところ、固着強度は82Nであり、これにより
実施例1の優位性が確認できた。
径:2.0μm)を5重量%添加した以外は、実施例1
と同様にして外部端子電極用ペーストを得た。そして、
実施例1と同様にして得られたチップ焼結体の両端部
に、この外部端子電極用ペーストを塗布、乾燥を行い、
空気中で脱バインダを行い、Niを還元するために還元
処理をした後に、N2 −H2 雰囲気中、750℃で
1分間保持して焼き付け処理を行い、外部端子電極を形
成した。その後、外部端子電極上に、実施例1と同様の
メッキ膜を形成して積層セラミックコンデンサ試料を得
た。得られた試料の静電容量は設計通り、100nFで
あった。
部端子電極と素子本体との間の断面を観察したところ、
実施例1と同様に、外部端子電極は、チップ焼結体(素
子本体)側から順に、バリウム系ガラスフリットおよび
BaTiO3 が混合して存在するガラス−素体反応層
と、バリウム系ガラスフリットおよびCu粒子を含有す
るガラス層と、Cuで構成される導電層とが積層して構
成されていることが確認できた。なお、反応層の厚みは
1μm程度、ガラス層の厚みは1.2μm程度、導電層
の厚みは40μm程度であった。
体(焼結体チップ)に対する外部端子電極の固着強度を
評価したところ、本実施例のコンデンサ試料では、固着
強度が155Nであった。
極の焼き付け処理を、還元雰囲気以外の中性雰囲気、7
50℃で1分間行った以外は、実施例2と同様にして積
層セラミックコンデンサ試料を得た。
用い、外部端子電極と素子本体との間の断面を観察した
ところ、実施例2と異なり、外部端子電極は、チップ焼
結体(素子本体)側から順に、バリウム系ガラスフリッ
トおよびBaTiO3 が混合して存在するガラス−素
体反応層と、バリウム系ガラスフリットで構成されたガ
ラス層と、Cuで構成される導電層とが積層して構成さ
れていることが確認できた。
体(焼結体チップ)に対する外部端子電極の固着強度を
評価したところ、固着強度は76Nであり、これにより
実施例2の優位性が確認できた。
径:2.0μm)を5重量%添加した以外は、実施例1
と同様にして外部端子電極用ペーストを得た。そして、
実施例1と同様にして得られたチップ焼結体の両端部
に、この外部端子電極用ペーストを塗布、乾燥を行い、
空気中で脱バインダを行い、Niを還元するために還元
処理をした後に、N2 −H2 雰囲気中、750℃で
1分間保持して焼き付け処理を行い、外部端子電極を形
成した。その後、外部端子電極上に、実施例1と同様の
メッキ膜を形成して積層セラミックコンデンサ試料を得
た。得られた試料の静電容量は設計通り、100nFで
あった。
部端子電極と素子本体との間の断面を観察したところ、
実施例1と同様に、外部端子電極は、チップ焼結体(素
子本体)側から順に、カリウム系ガラスフリットおよび
BaTiO3 が混合して存在するガラス−素体反応層
と、カリウム系ガラスフリットおよびCu粒子を含有す
るガラス層と、Cuで構成される導電層とが積層して構
成されていることが確認できた。なお、反応層の厚みは
2μm程度、ガラス層の厚みは4μm程度、導電層の厚
みは40μm程度であった。
体(焼結体チップ)に対する外部端子電極の固着強度を
評価したところ、本実施例のコンデンサ試料では、固着
強度が106Nであった。
極の焼き付け処理を、還元雰囲気以外の中性雰囲気、7
50℃で1分間行った以外は、実施例3と同様にして積
層セラミックコンデンサ試料を得た。
用い、外部端子電極と素子本体との間の断面を観察した
ところ、実施例3と異なり、外部端子電極は、チップ焼
結体(素子本体)側から順に、カリウム系ガラスフリッ
トおよびBaTiO3 が混合して存在するガラス−素
体反応層と、カリウム系ガラスフリットで構成されたガ
ラス層と、Cuで構成される導電層とが積層して構成さ
れていることが確認できた。
体(焼結体チップ)に対する外部端子電極の固着強度を
評価したところ、固着強度は80Nであり、これにより
実施例3の優位性が確認できた。
ば、複雑な製造工程によらず、低コストで製造でき、素
子本体に対する外部端子電極の固着強度が大きく、高い
信頼性を有する積層セラミックコンデンサなどの電子部
品、およびその製造方法を提供できる。
しての積層セラミックコンデンサの要部断面図である。
外部端子電極と素子本体との間の断面微細構造をSEM
により観察した顕微鏡写真である。
Claims (17)
- 【請求項1】 誘電体層と内部電極層とが交互に積層し
てある素子本体の外面に外部端子電極が形成してあり、 前記外部端子電極が、内部に金属を含むガラス層を有す
る電子部品。 - 【請求項2】 前記外部端子電極が、前記素子本体の外
面に直接に形成され、前記素子本体の一部とガラスとが
反応している反応層と、 前記反応層の外面に形成され、内部に金属を含むガラス
層と、 前記ガラス層の外面に形成された金属で構成してある導
電層とを有する請求項1に記載の電子部品。 - 【請求項3】 前記ガラス層の内部に含まれる金属が、
前記導電層を構成する金属と同一成分の金属であること
を特徴とする請求項2に記載の電子部品。 - 【請求項4】 前記ガラス層の内部に含まれる金属が、
Cu、Niおよびこれらの合金から選ばれる少なくとも
1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
記載の電子部品。 - 【請求項5】 前記ガラス層内の金属の含有量が1〜5
0重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
かに記載の電子部品。 - 【請求項6】 前記ガラス層の内部に含まれる金属の平
均粒径が0.01〜30μmであることを特徴とする請
求項1〜5のいずれかに記載の電子部品。 - 【請求項7】 前記ガラス層の厚みが0.1〜5.0μ
mであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記
載の電子部品。 - 【請求項8】 前記ガラス層を構成するガラスが、ケイ
酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラスおよびアルミナケイ酸
塩ガラスから選ばれる少なくとも1種であることを特徴
とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子部品。 - 【請求項9】 前記ガラスの平均粒子径が0.01〜3
0μmであることを特徴とする請求項8に記載の電子部
品。 - 【請求項10】 前記ガラス層には、CuO、Cu2
O、CaO、BaO、MgO、ZnO、PbO、Na
2 O、K2 OおよびMnO2 から選ばれる少なく
とも1種の添加物がさらに含有してある請求項8または
9に記載の電子部品。 - 【請求項11】 前記外部端子電極の外面には、メッキ
層が形成してあることを特徴とする請求項1〜10のい
ずれかに記載の電子部品。 - 【請求項12】 前記内部電極層が、Cu、Niおよび
その合金の少なくとも1種を含有する請求項1〜11の
いずれかに記載の電子部品。 - 【請求項13】 誘電体層と内部電極層とが交互に積層
された素子本体を形成する工程と、 前記素子本体の外面に、金属酸化物およびガラスフリッ
トを含む外部端子電極用ペーストを塗布し、還元雰囲気
で焼き付け処理して外部端子電極を形成する工程とを有
する電子部品の製造方法。 - 【請求項14】 前記焼き付け処理の保持温度が600
〜900℃であり、前記焼き付け処理の保持時間が0.
1〜60分であることを特徴とする請求項13に記載の
電子部品の製造方法。 - 【請求項15】 前記外部端子電極用ペーストにおける
各成分の含有量が、金属酸化物:80〜99重量%、ガ
ラスフリット:1〜20重量%であることを特徴とする
請求項13または14に記載の電子部品の製造方法。 - 【請求項16】 前記金属酸化物が、Cuの酸化物およ
びNiの酸化物の少なくとも1種であることを特徴とす
る請求項13〜15のいずれかに記載の電子部品の製造
方法。 - 【請求項17】 前記焼き付け処理を行う前に、脱バイ
ンダー処理を行うことを特徴とする請求項13〜16の
いずれかに記載の電子部品の製造方法。
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