JPH11144998A - Cr複合電子部品およびその製造方法 - Google Patents

Cr複合電子部品およびその製造方法

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JPH11144998A
JPH11144998A JP30614397A JP30614397A JPH11144998A JP H11144998 A JPH11144998 A JP H11144998A JP 30614397 A JP30614397 A JP 30614397A JP 30614397 A JP30614397 A JP 30614397A JP H11144998 A JPH11144998 A JP H11144998A
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internal electrode
electronic component
terminal electrode
composite electronic
electrode
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JP30614397A
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English (en)
Inventor
Atsushi Masuda
淳 増田
Katsuhiko Igarashi
克彦 五十嵐
Tomoko Uchida
知子 内田
Yasumichi Tokuoka
保導 徳岡
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子部品のESRを高めたCR複合電子部品
およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明のCR複合電子部品は、誘電体層
と内部電極とが交互に積層されて積層体を形成し、前記
内部電極と、前記積層体の端部に形成された端子電極と
が電気的に接続された電子部品であって、前記内部電極
の引き出し部の少なくとも一部が酸化されていることを
特徴とする。また、前記誘電体と内部電極とが交互に積
層された積層体を焼成して積層焼結体を作製し、酸化性
雰囲気で熱処理して前記内部電極の引き出し部に酸化物
を形成し、還元性雰囲気で熱処理して前記酸化物の一部
を還元した後、前記端子電極と接続することにより製造
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性セラミック
誘電体層を有する積層型のキャパシタに、抵抗ないしイ
ンピーダンス要素を付加したCR複合電子部品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、電子機器の多くには、電源として
スイッチング電源やDC−DCコンバータが用いられて
いる。これら電源に用いられるコンデンサには電源バイ
パス用のコンデンサがある。この電源バイパス用のコン
デンサは、その電源容量やスイッチング周波数、併用さ
れる平滑コイル等の回路パラメータに応じて、低容量の
積層セラミックコンデンサと、高容量のアルミあるいは
タンタル等の電解コンデンサが用いられてきた。ところ
で、近年の積層セラミックコンデンサでは、誘電体およ
び内部導体の薄層化、積層化技術の進展にともない、積
層セラミックコンデンサの静電容量が電解コンデンサと
同等になってきており、電解コンデンサを積層セラミッ
クコンデンサに置き換えようとする試みがなされてい
る。しかしながら、積層セラミックコンデンサを電解コ
ンデンサに置き換えた場合、積層セラミックコンデンサ
の使用周波数帯におけるインピーダンスが低すぎる、す
なわち等価直列抵抗(ESR)が低すぎるために、三端
子レギュレーションの入力電圧のステップ状の変動によ
り、出力電力の波形の乱れが生じる。また電解コンデン
サを使用した場合、インピーダンスは積層セラミックコ
ンデンサよりも大きいものの、インピーダンスが大きす
ぎるために、発熱が生じやすくなり、また電源ラインの
平滑性も悪くなる。
【0003】そこで通常の積層セラミックコンデンサの
等価直列抵抗(ESR)を高めた電子部品が提案されて
いる。例えば、特許第2578264号では、外部電極
の表面に金属酸化膜を形成し、これを抵抗として機能さ
せることにより、ESRを高めており、その酸化膜厚で
抵抗値を制御しようとしている。しかしながら、この方
法では、端子電極の酸化の制御は非常に難しく、酸化の
程度が少しでも大きいと、内部電極も酸化されてしま
い、コンデンサとしての機能を果たすことができなくな
る。また、端子電極のみを酸化することができても、端
子電極が酸化されているために、メッキを行う際に無電
解メッキでメッキ被膜を形成しているが、この方法では
メッキの際にセラミック素体をメッキされないように樹
脂等で被覆する必要があり、工程が複雑になるばかりで
なく、酸化物とNi膜間の接着性が著しく低下するため
に、その間で剥離が生じてしまい、電子部品としての必
要十分な機械的強度が得られないという欠点がある。
【0004】また、例えば特開昭59−225509号
公報に記載されているように、積層セラミックコンデン
サに、酸化ルテニウム等の抵抗体ペーストを積層し、こ
れを同時焼成して抵抗体を形成している。しかし、これ
ではそのまま端子電極を設けた場合、等価回路がC/
R、または(LC)/Rの並列回路となり、直列回路を
得ることができない。また、直列回路を得るためには、
端子電極形状が複雑となり、製造工程も複雑となる。さ
らに、抵抗体には通常ガラスが含まれており、このガラ
スはメッキ液に容易に溶解してしまう。このためメッキ
をする場合には抵抗体をメッキ液に晒さないように樹脂
等でコーティングする必要があり、工程数も多くなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事
情からなされたものであり、本発明の目的は、積層型セ
ラミックコンデンサの内部電極の引き出し部の一部を酸
化させた後、端子電極と接する領域を還元して電気的接
続を確保することにより、電子部品のESRを高めたC
R複合電子部品およびその製造方法を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的は下記
(1)〜(6)により達成される。
【0007】(1) 誘電体層と内部電極とが交互に積
層されて積層体を形成し、前記内部電極と、前記積層体
の端部に形成された端子電極とが電気的に接続された電
子部品であって、前記内部電極の引き出し部の少なくと
も一部が酸化されていることを特徴とするCR複合電子
部品。
【0008】(2) 前記内部電極の導電材がNiを主
成分とし、前記内部電極の引き出し部がNiOを含有す
ることを特徴とする(1)のCR複合電子部品。
【0009】(3) 前記端子電極と前記内部電極とが
接する領域の一部または全部が金属Niであり、それに
接続される引き出し部の一部または全部がNiOである
ことを特徴とする(2)のCR複合電子部品。
【0010】(4) 前記端子電極表面にメッキ処理が
施されていることを特徴とする(1)〜(2)のCR複
合電子部品。
【0011】(5) 等価回路がCRまたは(LC)R
直列回路を含む(1)〜(4)のCR複合電子部品。
【0012】(6) 誘電体層と内部電極とが交互に積
層されて積層体を形成し、前記内部電極と、前記積層体
の端部に形成された端子電極とが電気的に接続された電
子部品の製造方法であって、前記積層体を焼成して積層
焼結体を作製し、酸化性雰囲気で熱処理して前記内部電
極の引き出し部に酸化物を形成し、還元性雰囲気で熱処
理して前記酸化物の一部を還元した後、前記端子電極と
接続することを特徴とする(1)〜(5)のCR複合電
子部品の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明のCR複合電子部品は、誘
電体層と内部電極層とが交互に積層された積層型チップ
コンデンサにおいて、内部電極の引き出し部の少なくと
も一部が酸化されていることを特徴とする。この構成に
よれば、内部電極の引き出し部に抵抗の高い酸化物層が
形成されているために、ESRの高い積層型チップコン
デンサを得ることが可能となる。また本発明において、
前記酸化物層は、端子電極と接する領域のみが還元され
ているために、端子電極との接続が確保され、また引き
出し部のみが酸化されているために、チップコンデンサ
の静電容量の劣化が起こらない。なお、本発明において
引き出し部とは、静電容量に関与しない内部電極、すな
わち一方の端面から延びる内部電極と、もう一方の端面
から延びる内部電極とが対向しない領域を示す。
【0014】このような構成により、ESRの高いCR
複合電子部品が得られる。ESRの値は特に限定される
ものではないが、1〜2000mΩ程度であり、好まし
くは10〜300mΩである。この範囲のESRを有す
ることで、電源回路の電源バイパス用コンデンサとして
十分な性能を発揮することができる。
【0015】ESRは内部電極の引き出し部に形成され
た酸化物層の厚さで制御することが可能である。酸化物
層の厚さの制御方法については後述する。
【0016】本発明のCR複合電子部品の内部電極は、
特に限定されるものではないが、Ni、Cuより選ばれ
る少なくとも一種以上からなることが好ましい。また、
誘電体層構成材料に耐還元性を有するものを使用するこ
とで、安価な卑金属を用いることができる。このため、
導電材としては、特にNiを主成分とすることが好まし
い。この場合、内部電極の引き出し部にはNiOが形成
される。
【0017】また、酸化された引き出し部は、端子電極
と接する領域の少なくとも一部が還元されて金属となっ
ている。このように金属に還元されることによって、端
子電極との接続が確保される。
【0018】さらに、端子電極表面には、ハンダ付き
性、およびハンダ食われ性を改善するために、メッキ層
が形成されることが好ましい。メッキ層の形成方法は、
特に限定されないが、従来より公知の電解メッキ法等に
よればよい。また、無電解メッキ法あるいは乾式メッキ
法、例えばスパッタリング法、蒸着法、いわゆる真空薄
膜形成技術を用いた方法でもメッキ層が形成できること
は言うまでもない。メッキ層は特に限定されないが、通
常、Ni層を形成した後、Sn層またはSn−Pb層が
形成される。
【0019】次に、製造方法について説明する。
【0020】本発明のCR複合電子部品は、内部電極が
端面から露出した積層型チップコンデンサの焼結体を、
酸化性雰囲気で熱処理して内部電極の引き出し部を酸化
して酸化物層を形成し、端面から露出した内部電極の酸
化された引き出し部を還元して金属層とした後に端子電
極と接続することにより製造できる。ここで、焼結体を
酸化性雰囲気で熱処理するときの雰囲気、熱処理温度ま
たは熱処理時間を制御することにより、酸化物層の厚さ
を制御することが可能である。
【0021】酸化性雰囲気での熱処理条件は、例えば以
下の通りである。酸化性雰囲気は特に限定されないが、
製造コスト等の点から空気中で行うことが好ましい。熱
処理温度は200〜800℃、特に250〜400℃で
0〜1時間程度保持する。上記温度未満であると十分な
酸化物層が得られず、抵抗体としての機能を果たせな
い。また、上記温度を超えると、静電容量に関与する内
部電極層まで酸化されてしまい、後の還元工程でも還元
されず、静電容量の低下を生じてしまう。
【0022】端子電極との電気的接続を確保するため
に、端子電極と接する領域を金属化する必要がある。還
元方法は特に限定されないが、例えば、N2とH2の混合
雰囲気中で、300〜800℃、特に、400〜600
℃で0〜1時間程度とすることが好ましい。上記範囲未
満であると完全な還元が行われず、端子電極との電気的
接続不良が起こり、静電容量が低下する。また、上記温
度を超えると酸化物層全部が還元されてしまい、抵抗体
となる酸化物層が存在しなくなり、ESRが小さくなっ
てしまう。
【0023】以下に、具体的構成を説明する。
【0024】本発明のCR複合電子部品は、ペーストを
用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを
作製し、これを焼成した後、酸化性雰囲気で熱処理して
内部電極の引き出し部の少なくとも一部に酸化物層を形
成するものである。これを端子電極と接続するのである
が、前記酸化物層の端子電極との接続する領域を還元し
て金属化することにより、端子電極との電気的接属を確
保できる。さらに必要に応じて、端子電極表面にメッキ
層を形成する。
【0025】<誘電体層用ペースト>誘電体層を構成す
る誘電体材料としては、特に限定されるものではなく、
種々の誘電体材料を用いてよいが、例えば、酸化チタ
ン、チタン酸系複合酸化物、あるいはこれらの混合物等
が好ましい。酸化チタン系としては、必要に応じてNi
O、CuO、Mn34、Al23、MgO、SiO2
を総計0.001〜30wt%程度含むTiO2系が、
チタン酸系複合酸化物としては、チタン酸バリウムBa
TiO3等が挙げられる。Ba/Tiの原子比は0.9
5〜1.20程度がよく、BaTiO3には、MgO、
CaO、Mn34、Y23、V25、ZnO、Zr
2、Nb25、Cr23、Fe23、P25、Na
2O、K2O等が総計0.001〜30wt%程度含有さ
れていてもよい。また、焼成温度、線膨張率の調整のた
め、(BaCa)SiO2ガラス等のガラスが含有され
ていてもよい。
【0026】誘電体原料の製造方法は特に限定されず、
例えばチタン酸系酸化物とチタン酸バリウムを用いる場
合、水熱合成したBaTiO3に、副成分原料を混合す
る方法を用いることができる。また、BaCO3とTi
2と副成分原料との混合物を仮焼して固相反応させる
乾式合成法を用いてもよい。また、共沈法、ゾル・ゲル
法、アルカリ加水分解法、沈殿混合法等により得た沈殿
物と副成分原料との混合物を仮焼して合成してもよい。
なお、副成分には、酸化物や、焼成により酸化物となる
各種化合物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水
酸化物、有機金属化合物等の少なくとも1種を用いるこ
とができる。
【0027】誘電体材料の平均粒径は、目的とする誘電
体層の平均結晶粒径に応じて決定すればよいが、通常、
平均粒子径0.3〜1.0μm程度の粉末を用いる。
【0028】誘電体用ペーストは、誘電体原料と有機ビ
ヒクルとを混練して製造される。
【0029】有機ビヒクルは、バインダーを有機溶剤中
に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダ
ーは特に限定されず、エチルセルロース等の通常の各種
バインダーから適宜選択すればよい。また、用いる有機
溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法、利用する方
法に応じて、ターピネオール、ブチルカルビトール、ア
セトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すれば
よい。
【0030】誘電体層の一層あたりの厚さは特に限定さ
れないが、通常5〜20μm程度である。また、誘電体
層の積層数は、通常、2〜300程度とする。
【0031】<内部電極用ペースト>内部電極用ペース
トの導電材は特に限定されないが、Ni、Cuより選ば
れる少なくとも一種以上からなることが好ましい。ま
た、誘電体層構成材料に耐還元性を有するものを使用す
ることで、安価な卑金属を用いることができる。このた
め、導電材としては、特にNiあるいはNi合金が好ま
しい。Ni合金としては、Mn、Cr、Co、Al等か
ら選択される1種以上の元素とNiの合金が好ましく、
合金中のNi含有量は95wt%以上であることが好ま
しい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微
量成分が0.1wt%程度以下含まれていてもよい。
【0032】内部電極用ペーストは、上記した各種導電
性金属や合金、あるいは焼成後に上記した導電材となる
各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と上記した
有機ビヒクルとを混練して調整する。
【0033】内部電極層の厚さは用途に応じて適宜決定
すればよいが、0.5〜5μm程度であることが好まし
い。
【0034】<端子電極用ペースト>端子電極用ペース
トは、導電材とガラスフリットと有機ビヒクルから構成
される。端子電極用ペーストの導電材はAg、Au、P
t、Pd、Cu、Niから少なくとも一種以上から選ば
れるが、安価であることからCu、Ni、あるいはそれ
ら合金が好ましく、特にCuがより好ましい。これら導
電材に、焼結助剤、あるいはチップ素体との接着を確保
するためにガラスフリットが添加される。
【0035】導電材の平均粒径は0.01〜10μmと
する。これよりも粒径が小さい場合、導電材粒子の凝集
が激しくなり、端子電極ペーストの塗布、乾燥時に、あ
るいは焼成時に、端子電極にクラックが生じやすくな
り、これよりも粒径が大きい場合、ペースト化が困難と
なる。また、ガラスフリットの平均粒径は0.01〜3
0μmとする。これよりも粒径が小さいとガラスのクラ
ックを発生させる原因となり、これよりも大きいと、ガ
ラスの分散が悪くなり、端子電極と素体との接着性が低
下する。
【0036】これら導電材およびガラスフリットをビヒ
クル中に分散して端子電極ペーストを得る。
【0037】ガラスフリット組成は、特に限定されるも
のではないが、中性、あるは還元性雰囲気で端子電極を
焼成する必要上、それら雰囲気下でもガラスの機能を果
たすものであれば何でもよい。例えば、珪酸ガラス、ホ
ウケイ酸ガラス、アルミナ珪酸ガラスから選択されるガ
ラスフリットから一種または二種以上を用い、これに必
要に応じて、CaO、SrO、BaO、MgO、Zn
O、PbO、Na2O、K2O、MnO2等の添加物を所
定の組成比になるように混合したものを用いればよい。
ガラスの含有量は、特に限定されるものではないが、通
常、金属成分に対して、0.5〜15重量%程度であ
る。
【0038】有機ビヒクルとしては上述のものを用いれ
ばよい。
【0039】<有機ビヒクルの含有量>上記した各ペー
スト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常
の含有量、例えばバインダーは1〜5wt%程度、溶剤
は10〜50wt%とすればよい。また、各ペースト中
には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁
体等から選択される添加物が含有されていてもよい。こ
れらの総含有量は、10wt%以下とすることが好まし
い。
【0040】<グリーンチップの作製>印刷法を用いる
場合、誘電体層用ペーストおよび内部電極用ペースト
を、PET等の基板上に印刷する。これらを交互に積み
重ね、熱圧着し、所定形状に切断してチップ化した後、
基板から剥離してグリーンチップとする。
【0041】また、シート法を用いる場合、誘電体層用
ペーストを用いてグリーンシートを形成し、このグリー
ンシート上に内部電極層用ペーストを印刷し、これらを
交互に繰り返して積層し、所定形状に切断して、グリー
ンチップとする。
【0042】<脱バインダー工程>焼成前に行う脱バイ
ンダー処理の条件は、通常のものであってもよいが、内
部電極層の導電材にNiやNi合金等の卑金属を用いる
場合、特に下記の条件で行うことが好ましい。
【0043】昇温速度:5〜300℃/時間、特に10
〜100℃/時間 保持温度:200〜400℃、特に250〜300℃ 温度保持時間:0.5〜24時間、特に5〜20時間 雰囲気:空気中 <焼成工程>グリーンチップの焼成時の雰囲気は、内部
電極用のペーストの導電材の種類に応じて適宜選択すれ
ばよいが、導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用
いる場合、焼成雰囲気はN2を主成分とし、H2を1〜1
0%、10〜35℃における水蒸気圧によって得られる
2Oガスを混合したものが好ましい。酸素分圧は10
-8〜10-12気圧とすることが好ましい。酸素分圧が前
記範囲未満であると、内部電極の導電材が異常焼結を起
こし、途切れてしまうことがある。また、酸素分圧が前
記範囲を超えると、内部電極が酸化してしまう。
【0044】焼成時の保持温度は、1100〜1400
℃、特に1200〜1300℃とすることが好ましい。
保持温度が前記範囲未満であると緻密化が不十分であ
り、前記範囲を超えると、内部電極が途切れやすくな
る。また、焼成時の温度保持時間は、0.5〜8時間、
特に1〜3時間が好ましい。
【0045】<アニール工程>還元雰囲気で焼成した場
合、積層セラミックコンデンサにはアニールを施すこと
が好ましい。アニールは、誘電体層を再酸化するための
処理であり、これにより、絶縁抵抗の加速寿命を著しく
長くすることができる。
【0046】アニール雰囲気の酸素分圧は、10-6気圧
以上、特に10-6〜10-8気圧とすることが好ましい。
酸素分圧が前記範囲未満であると誘電体層の再酸化が困
難であり、前記範囲を超えると内部電極が酸化する。
【0047】アニールの際の保持温度は、1100℃以
下、特に500〜1000℃とすることが好ましい。保
持温度が前記範囲未満であると、誘電体層の酸化が不十
分となり、絶縁抵抗の加速寿命が短くなる傾向を示し、
前記範囲を超えると内部電極が酸化し、容量が低下する
だけでなく、誘電体素地と反応し、加速寿命も短くな
る。なお、アニール工程は昇温および降温だけから構成
してもよい。この場合、温度保持時間をとる必要はな
く、保持温度は最高温度と同義である。また、温度保持
時間は、0〜20時間、特に2〜10時間が好ましい。
雰囲気ガスには、加湿したN2ガスを用いることが好ま
しい。
【0048】なお、上記した脱バインダー処理、焼成お
よびアニールの各工程において、N2、H2や混合ガス等
を加湿するには、例えば、ウエッター等を使用すればよ
い。この場合の水温は、5〜75℃程度が好ましい。
【0049】脱バインダー処理工程、焼成工程およびア
ニール工程は、連続して行っても、独立して行ってもよ
い。
【0050】これらを連続して行う場合、脱バインダー
処理後、冷却せず雰囲気を変更、独立して行ってもよ
い。これらを連続して行う場合、脱バインダー処理後、
冷却せず雰囲気を変更し、続いて焼成の保持温度まで昇
温して焼成を行い、ついで冷却し、アニール工程での保
持温度に達したときに雰囲気を変更してアニールを行う
ことが好ましい。
【0051】また、これらを独立して行う場合は、脱バ
インダー処理工程は、所定の保持温度まで昇温し、所定
時間保持した後室温まで降温する。その際の脱バインダ
ー雰囲気は連続して行う場合と同様なものとする。さら
にアニール工程は、所定の保持温度にまで昇温し所定時
間保持した後、室温にまで降温する。その際のアニール
雰囲気は、連続して行う場合と同様なものとする。ま
た、脱バインダー工程と、焼成工程とを連続して行い、
アニール工程だけを独立して行うようにしてもよく、脱
バインダー工程だけを独立して行い、焼成工程とアニー
ル工程を連続して行うようにしてもよい。
【0052】<内部電極の引き出し部の酸化、還元工程
>上記のようにして得られた焼結体チップの内部電極の
引き出し部の酸化、還元処理を行う。
【0053】まず、酸化性雰囲気で熱処理することによ
り内部電極の引き出し部を酸化する。酸化性雰囲気での
熱処理条件は、例えば以下の通りである。酸化性雰囲気
は特に限定されないが、製造コスト等の点から空気中で
行うことが好ましい。熱処理温度は200〜800℃、
特に250〜400℃で0〜1時間程度保持する。上記
温度未満であると十分な酸化物層が得られず、抵抗体と
しての機能を果たせない。また、上記温度を超えると、
静電容量に関与する内部電極層まで酸化されてしまい、
後の還元工程でも還元されず、静電容量の低下を生じて
しまう。
【0054】次に、端子電極との電気的接続を確保する
ために、端子電極と接する領域を金属化する必要があ
る。還元方法は特に限定されないが、例えば、N2とH2
の混合雰囲気中で、300〜800℃、特に、400〜
600℃で0〜1時間程度とすることが好ましい。上記
範囲未満であると完全な還元が行われず、端子電極との
電気的接続不良が起こり、静電容量が低下する。また、
上記温度を超えると酸化物層全部が還元されてしまい、
抵抗体となる酸化物層が存在しなくなり、ESRが小さ
くなってしまう。
【0055】<端子電極用ペーストの塗布工程>端子電
極ペーストを焼結体チップに塗布する。塗布の工程とし
ては特に限定されるものではないが、ディップ法等によ
ればよい。端子電極ペーストの塗布量は、特に限定され
るものでなく、塗布する焼結体チップの大きさなどによ
り適宜調整すればよいが、通常、5〜100μm程度で
ある。端子電極ペーストの塗布後、乾燥する。乾燥は6
0〜150℃程度で、10分〜1時間程度行うことが好
ましい。
【0056】<端子電極層の焼き付け>上記のようにし
て第1の電極層用ペーストを塗布、乾燥した後、チップ
素体への焼き付け(焼成)を行う。焼き付け条件は、例
えば、N2の中性雰囲気あるいは、N2とH2との混合ガ
ス等の還元雰囲気中にて600〜1000℃で0〜1時
間程度保持することにより行うことが好ましい。
【0057】<メッキ層>上記端子電極表面にNi層と
Sn層またはSn−Pb合金層をメッキ法にて形成す
る。メッキ層の厚みは特に限定されないが、通常0.1
〜10μm程度である。
【0058】このようにして製造される本発明のCR複
合電子部品の構成例を図1に示す。図1において本発明
のCR複合電子部品は、誘電体層1、内部電極層2、酸
化物層3、金属化層4、端子電極5およびメッキ層6を
有する。酸化物層3は引き出し部の少なくとも一部にの
み形成され、内部電極層2には形成されていない。
【0059】本発明の電子部品は、ハンダ付け等により
プリント基板上等に実装され、電源装置等の各種電子機
器等に使用される。
【0060】
【実施例】次に実施例を示し、本発明をより具体的に説
明する。
【0061】[実施例1]誘電体層の主原料としてBa
CO3(平均粒径:2.0μm)およびTiO2(平均粒
径:2.0μm)を用意した。Ba/Tiの原子比は
1.00である。また、これに加えて、BaTiO3
対し、添加物としてMnCO3を0.2wt%、MgC
3を0.2wt%、Y23を2.1wt%、(BaC
a)SiO3を2.2wt%用意した。各原料粉末を水
中ボールミルで混合し、乾燥した。得られた混合粉を1
250℃で2時間仮焼した。この仮焼粉を水中ボールミ
ルで粉砕し、乾燥した。得られた仮焼粉に、有機バイン
ダーとしてアクリル樹脂と有機溶剤として塩化メチレン
とアセトンを加えてさらに混合し、誘電体スラリーとし
た。得られた誘電体スラリーとドクターブレード法を用
いて誘電体グリーンシートとした。
【0062】内部電極材料として、卑金属のNi粉末
(平均粒径0.8μm)を用意し、これに有機バインダ
ーとしてエチルセルロースと、有機溶剤としてターピネ
オールを加え三本ロールを用いて混練し、内部電極ペー
ストとした。
【0063】端子電極材料として、卑金属のCu粉末
(平均粒径3.0μm)とCu粉末に対して、ホウケイ
酸ストロンチウムガラスを7wt%を用意し、これに有
機バインダーとしてアクリル樹脂と有機溶剤としてター
ピネオールを加え、三本ロールを用いて混練し、端子電
極ペーストとした。
【0064】所定の厚みを得るために誘電体にグリーン
シートを数枚積層し、その上にスクリーン印刷法により
内部電極ペーストを印刷、その上にグリーンシートを積
層、このように内部電極の印刷されたシートとグリーン
シートを交互に積層して、最後にグリーンシートを所定
枚数積層し、熱圧着し、所定のチップ形状が焼成後に縦
×横×厚みが3.2×1.6×1.0mmになるように
切断し、グリーンチップを得た。
【0065】得られたグリーンチップを加湿したN2
2(H23%)還元雰囲気中、1300℃にて3時間保
持して焼成し、さらに加湿したN2酸素分圧10-7気圧
の雰囲気にて1000℃で2時間保持し、焼結体を得
た。
【0066】この焼結体を空気中、表1に示す温度で1
0分間熱処理を行い、内部電極の引き出し部を酸化し
た。その後、N2+H2(H24%)の混合気体雰囲気
中、500℃で5分間熱処理して、端面に露出している
内部電極を還元してNiOが引き出し部に形成された焼
結体を得た。
【0067】上記のようにして得られた焼結体の両端部
に、導電材としてCuを用い、ガラスフリットをCu粉
に対して7重量%添加、これらをビヒクル中に分散させ
た端子電極ペーストを塗布し、乾燥を行い、N2中、7
70℃で10分間保持して焼き付け、端子電極層を形成
した。さらに端子電極表面にNi層、Sn層を電解メッ
キ法で順次形成し、CR複合電子部品を得た。得られた
試料の静電容量は1μFであった。ESRを測定して得
られた結果を表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】表から明らかなように、内部電極の引き出
し部だけをNiOとすることで、静電容量の低下がな
く、ESRが高められたチップコンデンサが得られてい
ることがわかる。
【0070】これらのESRを付加したCR複合電子部
品をDC−DCコンバータのバイパスコンデンサとして
用い、スイッチング周波数を100kHz〜40MHz
に変化させて動作させたところ、発振等による入力電圧
の電圧変動現象を生じることなく、正常に動作すること
が確認された。
【0071】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、内部電極
の引き出し部だけを酸化して酸化物層とし、さらにこの
酸化物層の端子電極と接する領域だけを還元して金属化
することにより、内部に比較的抵抗の高い酸化物層を内
蔵することができ、これによってESRが高く、しかも
静電容量の低下がないCR複合電子部品を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のCR複合電子部品の基本構成を示す断
面概略図である。
【符号の説明】
1. 誘電体層 2. 内部電極層 3. 酸化物層 4. 金属化層 5. 端子電極 6. メッキ層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 徳岡 保導 東京都中央区日本橋一丁目13番1号ティー ディーケイ株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体層と内部電極とが交互に積層され
    て積層体を形成し、前記内部電極と、前記積層体の端部
    に形成された端子電極とが電気的に接続された電子部品
    であって、前記内部電極の引き出し部の少なくとも一部
    が酸化されていることを特徴とするCR複合電子部品。
  2. 【請求項2】 前記内部電極の導電材がNiを主成分と
    し、前記内部電極の引き出し部がNiOを含有すること
    を特徴とする請求項1のCR複合電子部品。
  3. 【請求項3】 前記端子電極と前記内部電極とが接する
    領域の一部または全部が金属Niであり、それに接続さ
    れる引き出し部の一部または全部がNiOであることを
    特徴とする請求項2のCR複合電子部品。
  4. 【請求項4】 前記端子電極表面にメッキ処理が施され
    ていることを特徴とする請求項1〜2のCR複合電子部
    品。
  5. 【請求項5】 等価回路がCRまたは(LC)R直列回
    路を含む請求項1〜4のCR複合電子部品。
  6. 【請求項6】 誘電体層と内部電極とが交互に積層され
    て積層体を形成し、前記内部電極と、前記積層体の端部
    に形成された端子電極とが電気的に接続された電子部品
    の製造方法であって、前記積層体を焼成して積層焼結体
    を作製し、酸化性雰囲気で熱処理して前記内部電極の引
    き出し部に酸化物を形成し、還元性雰囲気で熱処理して
    前記酸化物の一部を還元した後、前記端子電極と接続す
    ることを特徴とする請求項1〜5のCR複合電子部品の
    製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001307947A (ja) * 2000-04-25 2001-11-02 Tdk Corp 積層チップ部品及びその製造方法
CN109003814A (zh) * 2017-06-06 2018-12-14 太阳诱电株式会社 复合电子部件及其制造方法和其封装体、电路板
KR20190018183A (ko) * 2017-08-14 2019-02-22 한국전기연구원 내부 전극을 적용한 압전 세라믹 소자 및 그 제작방법

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