JP2002200537A - シリンダヘッドの切削加工装置 - Google Patents

シリンダヘッドの切削加工装置

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JP2002200537A JP2000400122A JP2000400122A JP2002200537A JP 2002200537 A JP2002200537 A JP 2002200537A JP 2000400122 A JP2000400122 A JP 2000400122A JP 2000400122 A JP2000400122 A JP 2000400122A JP 2002200537 A JP2002200537 A JP 2002200537A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 移載台車に位置決めしたワークをワークテー
ブルに移載してクランプするにあたり、その移載台車側
の位置決め機構の汎用性を高める。 【解決手段】 ロケートピン21にて移載台車8のリフ
タテーブル20に位置決めしたワークWをリフタテーブ
ル20ごとリフトアップさせて、その上方のワークテー
ブルに着座させた上、ワークテーブル側のクランパーに
てクランプする。ワークW側の点火栓取付穴22に係合
するロケートピン21は略半円錐台形状として一対の位
置決め稜線部24をもたせ、同時にNCモータ25にて
位置調整可能な構造とする。点火栓取付穴22にロケー
トピン21を係合させた後に径方向に移動させて、位置
決め稜線部24を点火栓取付穴22の内周面に点接触さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関用シリンダ
ヘッドの切削加工装置に関し、特にダイカスト鋳造後の
アルミニウム合金製シリンダヘッド粗材に付帯している
湯口部および鋳ばりの除去を目的としてそのシリンダヘ
ッド粗材に仕上げ切削加工を施すためのマシニングセン
タタイプの切削加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】アルミニ
ウム合金製のシリンダヘッドの機械加工ラインでは多種
類(多車種または多形式)のシリンダヘッドを共通のラ
インに流すいわゆる多品種混流ライン形式もしくは多品
種少量生産形式が主流となっているが、多種類のシリン
ダヘッドの加工に対応できるように加工設備に汎用性を
持ませれば持たせるほどワークに位置決め精度が問題と
なりやすく、したがって多品種混流ライン形式ではあっ
ても特定の工程ではなおも各種類毎の専用の加工装置を
用いて加工を行っていることが多い。
【0003】例えば、鋳造後のシリンダヘッド粗材に付
帯している湯口部および鋳ばりの除去を目的とした初期
段階の仕上げ切削工程もその例であり、各形式ごとに用
意された専用加工装置を用い、シリンダヘッドの外形状
部を位置決め基準として位置決めして加工を行ってい
る。
【0004】しかしながら、専用設備である以上はワー
ク形状が変更になるとそれに併せて設備改造もしくは新
規設備の購入の必要があり、多大な設備投資と長期にわ
たる準備期間が必要となって好ましくない。
【0005】これらの問題を解消する方策として、所定
の治具にてシリンダヘッド粗材の位置決めを行う一方、
汎用性のある産業用ロボットに仕上げ切削用のカッター
ユニットを持たせ、このロボット作業にて上記湯口部お
よび鋳ばりの除去を目的とした仕上げ切削を行うように
した設備も提案されているが、上記と同様にワーク形状
が変更になるとそれに併せてロボット軌跡データの修正
等の段取り替え作業が必要となるほか、ワーク形状の変
更が大幅なものである場合には上記治具もしくはカッタ
ーユニットの改造が必要となり、多大な設備投資と長期
にわたる準備期間が必要となることに変わりはない。
【0006】本発明は以上のような課題に着目してなさ
れたもので、多品種少量生産を前提としながらもどのよ
うな形式のシリンダヘッドについても高精度な位置決め
を行えて、真の意味での汎用性向上を図ったシリンダヘ
ッドの切削加工装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、加工対象となるシリンダヘッドが固定されるワーク
ベースユニットと、このワークベースユニット上のシリ
ンダヘッドに対して所定の切削加工を施す少なくとも一
つの主軸とを備えたマシニングセンタタイプの切削加工
装置にして、所定の搬送手段により搬送されてきたシリ
ンダヘッドをリフタ機能を有する移載台車のリフタテー
ブルで一旦受け取って位置決めした上、この位置決めさ
れたシリンダヘッドがワークベースユニット側のワーク
テーブルと対面する位置まで上記移載台車を移動させ、
その位置にてリフタテーブルをリフトアップさせること
によりシリンダヘッドをワークテーブルに着座させつつ
そのワークテーブル側のクランパーにてクランプするよ
うにしたシリンダヘッドの切削加工装置であることを前
提としている。
【0008】その上で、上記移載台車のリフタテーブル
に設けられた少なくとも二つの略半円錐形状のロケート
ピンをシリンダヘッド側の点火栓取付穴もしくはインジ
ェクションノズルボディ取付穴にそれぞれ係合させるこ
とでそのリフタテーブルとシリンダヘッドとの相対位置
決めがなされるようになっていて、上記ロケートピン
は、位置調整用アクチュエータの作動によって任意に位
置調整可能となっていることを特徴としている。
【0009】ここで、上記点火栓取付穴とは、1気筒4
弁式ガソリンエンジン仕様のシリンダヘッドのうち点火
栓(スパークプラグ)が取り付けられる穴をいい、同様
にインジェクションノズルボディ取付穴とは、直噴式デ
ィーゼルエンジンのシリンダヘッドのうちインジェクシ
ョンノズルのボディが装着される穴をいう。このように
シリンダヘッド側の位置決め基準部を点火栓取付穴もし
くはインジェクションノズルボディ取付穴としているの
は、エンジン形式(シリンダヘッドの形式もしくは仕
様)の相違やシリンダヘッドの外形状の相違にかかわら
ずその位置が比較的一定しているためである。
【0010】また、上記位置調整用アクチュエータとし
ては例えば数値制御が可能なNCモータを採用するのが
望ましい。さらに、この発明が対象としている切削加工
は、先に例示したようにシリンダヘッド粗材に付帯して
いる湯口部もしくは鋳ばりの切除を目的とした仕上げ切
削加工であるが、いわゆる工具回転型の加工であれば上
記以外の切削加工にも適用可能である。
【0011】したがって、この請求項1に記載の発明で
は、移載台車側の水平なリフタテーブルに対しシリンダ
ヘッドをシリンダブロックとの接合面を上にした状態で
載置すれば、略半円錐形状のロケートピンとシリンダヘ
ッド側の点火栓取付穴もしくはインジェクションノズル
ボディ取付穴とが係合し、その段階でシリンダヘッドを
搬送するための移載台車側のリフタテーブルとシリンダ
ヘッドとの相対位置決めがなされ、たとえ移載台車が移
動しても両者の関係は不変である。
【0012】そして、切削加工装置側のワークテーブル
の直下まで移載台車を移動させ、その移載台車自体のリ
フタ機能によりリフタテーブルをリフトアップさせる
と、リフタテーブルとシリンダヘッドとの相対位置決め
状態を維持したままでシリンダヘッドのうちシリンダブ
ロックとの接合面がワークテーブルに密着して着座する
ようになることから、この状態でワークテーブル側に付
帯しているクランパーをクランプ動作させることによ
り、シリンダヘッドがワークテーブルに堅固にクランプ
される。このシリンダヘッドのクランプ状態をもってロ
ケートピンはその機能を失うことから、移載台車のリフ
タテーブルのみを下降させる。
【0013】このようなシリンダヘッドの移載過程にお
いて、予めリフタテーブルとシリンダヘッドとの相対位
置決めがロケートピンによってなされていることから、
リフタテーブルのリフトアップ軌跡の精度さえ保障され
ていれば、ワークテーブルとシリンダヘッドとの相対位
置決め精度は一義的に定まることになる。
【0014】また、先に述べたようにエンジン形式の相
違やシリンダヘッドの外形状の相違にかかわらず、位置
決め基準部となる点火栓取付穴もしくはインジェクショ
ンノズルボディ取付穴の位置がほぼ一定してはいても、
必ずしも完全に一致しているわけではない。そこで、各
エンジン形式ごとの点火栓取付穴もしくはインジェクシ
ョンノズルボディ取付穴位置の微妙な違いに対応するた
めに、位置調整用アクチュエータの作動により各ロケー
トピンの位置をいわゆるNC制御方式にて切り換える。
こうすることにより、多種類のシリンダヘッドの位置決
めに対応でき、きわめて汎用性が高いものとなる。
【0015】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の発明を前提とした上で、上記ロケートピンは、
円錐形状の一部を軸心と平行な面をもって切除すること
により一対の位置決め稜線部を有する略半円錐形状のも
のとして形成されていて、ロケートピンを上記点火栓取
付穴もしくはインジェクションノズルボディ取付穴に係
合させた後にそのロケートピンを点火栓取付穴もしくは
インジェクションノズルボディ取付穴の径方向に移動さ
せることで上記位置決め稜線部を基準としてシリンダヘ
ッドが位置決めされるようになっていることを特徴とし
ている。
【0016】この場合、少なくとも二つのロケートピン
の移動させる際には相互に逆向き方向に移動させること
が位置決め精度向上の上で望ましい。
【0017】したがって、この請求項2に記載の発明で
は、ロケートピン側の位置決め稜線部と点火栓取付穴も
しくはインジェクションノズルボディ取付穴側の円筒面
とが点接触するかたちとなり、この点接触をもって相対
位置決めがなされることから、より高精度な位置決めが
可能となる。
【0018】さらに、請求項3に記載の発明は、上記請
求項1または2に記載の発明を前提とした上で、上記ワ
ークテーブルは360度任意の位置で停止可能なインデ
ックスタイプのものとして形成されているとともに、シ
リンダヘッドの着座およびクランプに必要な領域を残し
て中抜き形状とされた略枠状のものとして形成されてい
て、上記クランプ状態のままでシリンダヘッドの6面の
加工が可能となっていることを特徴としている。
【0019】ここで、シリンダヘッドの6面とは、シリ
ンダヘッド自体を略立方体形状のものとみなした場合に
その天地四周全面をいう。
【0020】したがって、この請求項3に記載の発明で
は、ワークテーブルを割り出し回転させながらシリンダ
ヘッドと加工用の主軸との相対位置を変化させることに
より、ワークテーブルに対するシリンダヘッド自体の着
座面およびクランプ部位を除いたシリンダヘッド全面に
ついて、ワークテーブルからの取り外し,再取り付けの
必要なくしてその加工を行えることになる。
【0021】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、シリン
ダヘッドの種類あるいは形式の違いにかかわらずほぼ一
定している点火栓取付穴もしくはインジェクションノズ
ルボディ取付穴にリフタテーブル側の略半円錐形状のロ
ケートピンを係合させて相対位置決めを行い、その相対
位置決め状態を保ったままでリフタテーブルのリフトア
ップ動作によりシリンダヘッドをワークテーブル側に移
載してクランプするようにしたため、シリンダヘッドの
種類あるいは形式の違いにかかわらず高精度な位置決め
が可能となって、加工精度も向上するほか、ロケートピ
ン自体も位置調整可能であることから多種類,多形式の
シリンダヘッドの位置決めに対応可能であるとともに、
シリンダヘッドの形状変更に際しても位置決め機構の改
造もしくは新設等が不要で設備投資を抑制でき、真の意
味で汎用性の高い設備を実現できる効果がある。
【0022】特に請求項2に記載の発明によれば、シリ
ンダヘッド側の点火栓取付穴もしくはインジェクション
ノズルボディ取付穴の円筒面とロケートピン側の位置決
め稜線部との点接触をもって相対位置決めがなされるた
め、位置決め精度が一段と向上する効果がある。
【0023】また、請求項3に記載の発明によれば、ワ
ークベースユニット側のワークテーブルがインデックス
回転タイプのものであって、しかもその枠状のワークテ
ーブルに一旦シリンダヘッドを固定すればその6面全面
の加工が可能であるため、同じ加工のために数工程に分
割する必要もなければそれら工程間でのシリンダヘッド
の搬送も不要となるほか、上記6面全面の切削加工を一
工程で行えることによりシリンダヘッドそのものの加工
精度も向上する。
【0024】
【発明の実施の形態】図1以下の図面は本発明に係る切
削加工装置の好ましい実施の形態を示す図であり、特に
図1はその平面説明図を、図2は図1の左側面の拡大説
明図を、図3は図2のA−A線に沿う断面図をそれぞれ
示している。そして、本実施の形態の切削加工装置は先
にも述べたようにダイカスト鋳造後のアルミニウム合金
製シリンダヘッド粗材の外周面に不可避的に付帯してい
る湯口部や鋳ばりの切削除去を目的とした仕上げ切削加
工ラインに適用した例を示している。
【0025】図1に示すように、上記仕上げ切削加工ラ
インは大別して、鋳造後のシリンダヘッド粗材(以下、
ワークという)Wを搬入するための前詰めストレージ機
能を有する搬入コンベア1と、並べて配置された2台の
マシニングセンタ2,3と、搬入コンベア1によって搬
入されたワークWを順次2台のマシニングセンタ2,3
に供給するための自走可能な多関節型のハンドリングロ
ボット4と、2台のマシニングセンタ2,3間にまたが
って配設されたワーク搬出用の搬出コンベア(ベルトコ
ンベア)5とを備えている。なお、各マシニングセンタ
2,3は図2,3にも示すようにブース板6によって囲
まれた独立ブース構造となっている。そして、各マシニ
ングセンタ2,3とロボット走路7との間には、それら
両者間を往復移動してハンドリングロボット4から供給
されたワークWを受け取ってこれをマシニングセンタ
2,3側に供給するための移載台車8がそれぞれに設け
られている。
【0026】各マシニングセンタ2,3は、先端に所定
の切削工具Tが装着されることになる主軸9を備えた主
軸ヘッド10のほか、ワークベースユニット11および
自動工具交換装置(以下、ツールチェンジャーという)
12等から構成されていて、周知のようにツールチェン
ジャー12のツールマガジン13には複数の切削工具T
が予め用意されていることから、主軸ヘッド10はその
直交3軸の動作自由度を使ってツールマガジン13との
間で自律的に工具交換を行う機能を有している。なお、
各マシニングセンタ2,3はともに同一構造であるの
で、互いに共通する部分には同一符号を付してある。
【0027】上記ワークベースユニット11は、NCモ
ータ14の起動により360度割り出し回転可能なイン
デックスタイプのワークテーブル15を備えていて、後
述するようにワークWを複数のクランパー16にてクラ
ンプした上で主軸10に対するワークWの姿勢を任意に
変更することができるようになっている。ワークテーブ
ル15は図1,2に示すように、ワークWが着座する部
位以外の中央の大部分が中抜き形状とされた略矩形枠状
ものとして形成されていて、複数のクランパー16にて
ワークWを堅固にクランプするようになっている。
【0028】一方、移載台車8はNCモータ23の起動
の起動により架台17上のレール18に沿って往復移動
するようになっているとともに、リフトシリンダ19の
伸縮作動によって昇降動作するリフタテーブル20を備
えている。そして、図2に示すようにワーク受け取り位
置P1にて下降状態にあるリフタテーブル20上にワー
クWを受け取った移載台車8はワーク引き渡し位置P2
まで走行して、その位置にてリフタテーブル20をリフ
トアップさせることによりワークWをワークテーブル1
5側に引き渡すことになる。
【0029】上記リフタテーブル20の上面には図4の
(A)に示すように左右一対のロケートピン21が設け
られていて、これらのロケートピン21をワークW側の
既存の取付穴22に係合させることでリフタテーブル2
0とワークWとの相対位置決めがなされるようになって
いる。各ロケートピン21には個別にNCモータ25が
付設されており、このNCモータ25のはたらきにより
ロケートピン21が矢印a方向にスライドしてその位置
を任意に調整することが可能となっている。
【0030】また、各ロケートピン21は図4のほか図
5に示すように円錐台形状の一部を切除することに略半
円錐台形状に形成されているものであって、上記切除部
はロケートピン21自体の軸心と平行な平面をもって切
除することにより、各ロケートピン21には一対の位置
決め稜線部24が形成されている。そして、ロケートピ
ン21のうちその位置決め稜線部24を基準としてワー
クWの位置決めがなされるようになっている。
【0031】さらに、上記ワークW側の取付穴22はワ
ークWの種別の相違(エンジン、シリンダヘッドの形式
もしくは仕様の相違)にかかわらずその位置がほぼ一定
している部位が選定され、この実施の形態では図6,7
に示すように直列4気筒タイプで且つ1気筒当たり4弁
タイプのガソリンエンジン仕様の場合に四つある点火栓
(スパークプラグ)取付穴22,22…のうち両端位置
のものが上記ロケートピン21との係合部位として使用
される。同様に、直噴ディーゼルエンジンの場合には上
記点火栓取付穴22とほぼ同位置に設定されることにな
るインジェクションノズルボディ取付穴がロケートピン
21との係合部位として使用される。
【0032】ここで、図4の(B)に示すように各ロケ
ートピン21の直径は相手側の点火栓取付穴もしくはイ
ンジェクションノズルボディ取付穴等の取付穴22の直
径よりも十分に小さく形成されているものの、上記のよ
うにNCモータ25を作動させることにより各ロケート
ピン21の位置を微調整することが可能となっている。
【0033】したがって、以上のように構成された切削
加工装置によれば、図1,2に示すようにダイカスト鋳
造されたワークWとして複数の種別のものが混在するか
たちで搬入コンベア1によって前詰め方式にてストレー
ジされているものとすると、その搬入コンベア1上の最
前列のワークWの種別が図示外のセンサによって検知さ
れる。例えばワークWの外観上の特徴を光電的に検出す
ることでその種別が検知される。なお、各ワークWはシ
リンダヘッドとの接合面を上にした状態で待機してい
る。そして、この種別検知後のワークWはロボットハン
ド26にて把持された上で例えば一方のマシニングセン
タ2側のワーク受け取り位置P1で待機している移載台
車8のリフタテーブル20上に移載される。
【0034】それに先立って、上記の種別情報を受けて
リフタテーブル20上のNCモータ25が作動し、各ワ
ークWの種別ごとに予め設定されている位置までロケー
トピン21を移動させて位置決めする。これにより上記
ロボットハンド26にて搬送されてきたワークWが移載
台車8のリフタテーブル20上に載置されると、図4の
(A),(B)に示すように各ロケートピン21がワー
クW側の取付穴22にスムーズに係合し、両者間のラフ
ないわゆる一次位置決めがなされることになる。この
時、各ロケートピン21と取付穴22とが単に係合した
だけでは両者の間に隙間ができている可能性があり、位
置決め精度の向上に限界がある。
【0035】そこで、リフタテーブル20上にワークW
が移載されて各ロケートピン21と取付穴22とが係合
し且つロボットハンド26がワークWを開放したなら
ば、さらなるNCモータ25の作動により所定量だけ各
ロケートピン21を図4の(B)および図7の矢印C方
向に移動させる。その結果、各ロケートピン21につき
一対の位置決め稜線部24がそれぞれ相手側である取付
穴22の内筒面に圧接して二次的な位置決め機能を発揮
し、これら位置決め稜線部24と取付穴22の内周面と
の点接触をもってワークWの最終的な位置決めがなされ
ることになる。この位置決め完了状態を図8に示す。
【0036】ここで、ハンドリングロボット4が一方の
マシニングセンタ2側の移載台車8へのワークWの供給
動作を終えると、ハンドリングロボット4は搬入コンベ
ア1上の次のワークWを把持した上でロボット走路7上
を他方のマシニングセンタ3側まで走行して、その他方
のマシニングセンタ3側の移載台車8にワークWを供給
することから、この他方のマシニングセンタ3側でもも
う一方のマシニングセンタ2側と全く同様の動作が繰り
返されることになる。
【0037】このように、ワークWの種別に応じて略半
円錐台形状のロケートピン21の位置を調整するととも
に、各ロケートピン21とワークW側の取付穴22とが
係合した後にさらにそのロケートピン21を取付穴の2
2径方向に移動させて該ロケートピン21側の位置決め
稜線部24を取付穴22の内周面に圧接させて両者を点
接触させることにより、ワークWの種別にかかわらずロ
ケートピン21を共通して使用することを前提としつつ
も、いずれの種別のワークWについても確実かつ正確に
位置決めすることができる。
【0038】こうしてリフタテーブル20上のワークW
の最終的な位置決めが完了すると、移載台車8は図2の
ほか図8,9に示すようにそのワーク受け取り位置P1
からワーク引き渡し位置P2まで走行して停止する。こ
のワーク引き渡し位置P2はワークベースユニット11
のうちワークテーブル15の直下位置となるように予め
設定されており、同時にワークテーブル15はワーク着
座面を下向きにした水平状態で待機している。
【0039】上記のようにワーク引き渡し位置P2に移
載台車8が位置決めされると、図2のほか図10に示す
ようにその移載台車8に付帯しているリフトシリンダ1
9が伸長動作し、リフタテーブル20上に位置決めされ
ているワークWをリフタテーブル20ごと押し上げる。
ワークWが押し上げられるとそのワークWの上面すなわ
ちシリンダヘッドとの接合面となるべき部位がワークテ
ーブル15に着座することから、その状態のままでワー
クテーブル15側に付帯している複数のクランパー16
を作動させて、ワークWをワークテーブル15側の着座
面に押し付けるようにしてクランプさせる。そして、ワ
ークWがワークテーブル15側にクランプされたならば
リフトシリンダ19が収縮動作してリフタテーブル20
が下降し、さらに移載台車8全体がも元のワーク受け取
り位置P1まで移動して一時待機し、以降は上記と同様
の動作を繰り返すことになる。
【0040】このように、予め可動式のロケートピン2
1をもってリフタテーブル20に位置決めされているワ
ークWをその位置決め状態のままでワークテーブル15
側にクランプさせ、その後に上記ロケートピン21によ
る位置決めを解除するようにしたことで、ワークWの種
別にかかわらずロケートピン21による位置決め精度を
維持したままでそのワークWをワークテーブル15側に
移載して位置決めクランプすることができる。そして、
ワークWの多種類対応のためにワークテーブル15がク
ランパー16以外のロケートピン等の位置決め手段を備
えていない場合であっても、その位置決め精度の全てを
上記リフタテーブル20側のロケートピン21の位置決
め精度に依存することになるものの、上記のようにワー
クWの種別にかかわらず高精度な位置決めが行えること
になる。
【0041】ワークWがワークテーブル15に位置決め
クランプされると、図2,3のほか図11の(A),
(B)に示すようにワークテーブル15は適宜割り出し
回転されて加工位置に応じワークWの姿勢を変更する一
方(図11の(A),(B)は相互にワークWを180
度反転させた状態を示している)、主軸9は加工位置も
しくはワークWの種別に応じてツールチェンジャー12
との間で工具Tの自動交換をい行いながらに切削工具T
にてワークWている湯口部の切断や鋳ばりの除去といっ
た仕上げ切削加工を施すことになる。この場合、ワーク
Wがワークテーブル15ごと360度回転可能となって
いるのに加えて、ワークテーブル15はいわゆる中抜き
形状で且つフラット状のものとなっているため、ワーク
Wのアンクランプ,クランプをし直すことなくそのワー
クWの6面の切削加工が可能である。また、ワークWの
種別に応じた加工位置情報等は先の選択すべき工具Tの
種別情報とともにマシニングセンタ2,3の制御装置に
予め記憶・設定されており、加工すべきワークWの種別
情報に応じて逐次呼び出される。
【0042】ワークWの切削加工が終了すると、ワーク
テーブル15は図10に示すように元の水平状態に復帰
する一方、図1に示すようにそのワークテーブル15の
真下で待機しているドロップリフタ27が作動する。す
なわち、ドロップリフタ27のリフトシリンダ28の伸
長作動によりそのテーブル29がワークWを受け取り可
能な位置まで上昇し、その状態にてワークテーブル15
側のクランパー16がアンクランプ動作することにより
加工済みのワークWがドロップリフタ27のテーブル2
9に移載される。さらに、そのテーブル29が下降する
ことにより加工済みのワークWはその下降位置で待機
し、図2に示すように次のワークWの加工に際して移載
台車8がワーク引き渡し位置P2まで前進してくること
によりその移載台車8のリフタテーブル20にて搬出コ
ンベア5側に押し出され、最終的には傾斜したシュート
51を滑り落ちるようにして搬出コンベア5に移載され
て後工程へと搬出され、以降は上記と同様の動作が繰り
返されることになる。
【0043】このように本実施の形態によれば、ワーク
Wをマシニングセンタ2もしくは3側のワークベースユ
ニット11に移載するためのリフタ機能付きの移載台車
8にロケートピン21を設け、このロケートピン21を
積極的に位置調整可能とするとともに、一次位置決め機
能と二次位置決め機能とを発揮させるようにしたことに
より、そのロケートピン21が多種類のワークWに対応
可能なように汎用性をもつこととなるほか、ワークベー
スユニット11側のワークテーブル15は少なくとも多
種類のワークWに対応可能なクランプ機能さえあればよ
く、ワークベースユニット11ひいてはマシニングセン
タ2,3自体が汎用性の高いものとなり、シリンダヘッ
ドの混流生産形態に無理なく対応できるようになる。
【0044】なお、上記実施の形態では、主軸9とツー
ルマガジン13との間での工具交換に際してツール交換
用アームを使用することなく両者の間で直接的に工具交
換を行う場合の例を示しているが、必要に応じて工具交
換に際してツール交換用アームを使用するようにしても
よい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る切削加工装置の全体構成を示す平
面説明図。
【図2】図1の左側の側面説明図。
【図3】図2のA−A線に沿う断面説明図。
【図4】(A)はワークと移載台車の相互関係を示す拡
大説明図、(B)は同図(A)をb方向から見たときの
要部拡大図。
【図5】図4の(A)に示すロケートピンの拡大説明
図。
【図6】加工対象ワークとなるシリンダヘッドの一例を
示す斜視図。
【図7】図6に示すシリンダヘッドの平面説明図。
【図8】移載台車とワークベースユニット側のワークテ
ーブルとの相互関係を示す説明図。
【図9】移載台車とワークベースユニット側のワークテ
ーブルとの相互関係を示す説明図。
【図10】移載台車とワークベースユニット側のワーク
テーブルとの相互関係を示す説明図。
【図11】(A),(B)ともに加工中の主軸ヘッドと
ワークテーブルとの関係を示す説明図。
【符号の説明】
1…搬入コンベア 2,3…マシニングセンタ 4…ハンドリングロボット 8…移載台車 9…主軸 10…主軸ヘッド 11…ワークベースユニット 15…ワークテーブル 16…クランパー 19…リフトシリンダ 20…リフタテーブル 21…ロケートピン 22…取付穴(点火栓取付穴もしくはインジェクション
ノズルボディ取付穴) 24…位置決め稜線部 25…NCモータ(位置調整用アクチュエータ) P1…ワーク受け取り位置 P2…ワーク引き渡し位置 T…切削工具 W…ワーク(シリンダヘッド粗材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 正敏 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 3C016 AA01 BA05 BA06 CE01 HA04 3C033 AA11 BB03 BB10 DD00 PP10 PP11

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加工対象となるシリンダヘッドが固定さ
    れるワークベースユニットと、このワークベースユニッ
    ト上のシリンダヘッドに対して所定の切削加工を施す少
    なくとも一つの主軸とを備えたマシニングセンタタイプ
    の切削加工装置にして、 所定の搬送手段により搬送されてきたシリンダヘッドを
    リフタ機能を有する移載台車のリフタテーブルで一旦受
    け取って位置決めした上、この位置決めされたシリンダ
    ヘッドがワークベースユニット側のワークテーブルと対
    面する位置まで上記移載台車を移動させ、その位置にて
    リフタテーブルをリフトアップさせることによりシリン
    ダヘッドをワークテーブルに着座させつつそのワークテ
    ーブル側のクランパーにてクランプするようにしたシリ
    ンダヘッドの切削加工装置であって、 上記移載台車のリフタテーブルに設けられた少なくとも
    二つの略半円錐形状のロケートピンをシリンダヘッド側
    の点火栓取付穴もしくはインジェクションノズルボディ
    取付穴にそれぞれ係合させることでそのリフタテーブル
    とシリンダヘッドとの相対位置決めがなされるようにな
    っていて、 上記ロケートピンは、位置調整用アクチュエータの作動
    によって任意に位置調整可能となっていることを特徴と
    するシリンダヘッドの切削加工装置。
  2. 【請求項2】 上記ロケートピンは、円錐形状の一部を
    軸心と平行な面をもって切除することにより一対の位置
    決め稜線部を有する略半円錐形状のものとして形成され
    ていて、 ロケートピンを上記点火栓取付穴もしくはインジェクシ
    ョンノズルボディ取付穴に係合させた後にそのロケート
    ピンを点火栓取付穴もしくはインジェクションノズルボ
    ディ取付穴の径方向に移動させることで上記位置決め稜
    線部を基準としてシリンダヘッドが位置決めされるよう
    になっていることを特徴とする請求項1に記載のシリン
    ダヘッドの切削加工装置。
  3. 【請求項3】 上記ワークテーブルは360度任意の位
    置で停止可能なインデックスタイプのものとして形成さ
    れているとともに、シリンダヘッドの着座およびクラン
    プに必要な領域を残して中抜き形状とされた略枠状のも
    のとして形成されていて、 上記クランプ状態のままでシリンダヘッドの6面の加工
    が可能となっていることを特徴とする請求項1または2
    に記載のシリンダヘッドの切削加工装置。
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