JP2002200118A - 段差走行補助装置および当該装置を備えた車椅子 - Google Patents

段差走行補助装置および当該装置を備えた車椅子

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JP2002200118A
JP2002200118A JP2000402226A JP2000402226A JP2002200118A JP 2002200118 A JP2002200118 A JP 2002200118A JP 2000402226 A JP2000402226 A JP 2000402226A JP 2000402226 A JP2000402226 A JP 2000402226A JP 2002200118 A JP2002200118 A JP 2002200118A
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Teruo Ueda
輝雄 植田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 移動に支障を来さず、かつコストを出来るだ
け抑えられ、歩道等にある程度の段差であれば、利用者
が介護者なしで自力で容易に走行可能な車椅子を提供す
る。 【解決手段】 車椅子1は、板状のスロープ板103を
車椅子1の下部に備えており、車椅子利用者からの指示
を受けるとスロープ板103を進行方向前方に移動させ
(図12(a))、さらに利用者からの指示を受けると
スロープ板103を降下させて、スロープ板103の先
端部を段差202の上段部分203に、その後端部を走
行面201に当接させ、自身が走行可能なスロープを形
成させる(図12(c))。スロープ板103は、移動
板150を介して車椅子1に対し進行方向前方と後方に
移動自在に保持されているため、車椅子1は、スロープ
が形成された状態のままでスロープ板103の上を走行
でき、段差202を乗り越えることができる(図12
(d)〜(f))。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車椅子に装着さ
れ、歩道等にある段差にスロープを形成することにより
当該段差を乗り越えることを可能にする段差走行補助装
置、および当該装置を備える車椅子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の車椅子の構成は、大径の主輪の前
方に小型の補助輪が設けられているタイプが一般的であ
る。この車椅子、特に補助輪が設けられている車椅子
は、歩道等において、補助輪の半径の1/2程度以上の
高さの段差が存在すると、車椅子の利用者はその段差を
介護者なしで自力で乗り越えることが大変困難となる。
【0003】そこで、例えば特開平7−328073号
公報には、電動式の車椅子の本体前部に、油圧シリンダ
によって上下に回動され、先端に車輪を備える前部持上
用アームを前方に向けて突設すると共に、車椅子本体の
後部に油圧シリンダにより当該後部を前方斜め方向に持
ち上げる後部持上部材とを設け、まず、前部持上用アー
ムの先端の車輪を段差の上側の路面に押圧させることに
より車椅子の前側の補助輪を段差よりも高い位置まで浮
上させ、その状態で車椅子がその後側の主輪が段差に当
たる位置まで前進すると、次に車椅子後部を後部持上部
材により持ち上げることによって、後側の主輪を段差の
上段に乗り上げさせるようにした技術が開示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の技術の車椅子は、車椅子を持ち上げるためのアーム
を前方に大きく突出させた構成にしなければならない。
そのため、突出したアームが方向転換を行うときなど、
段差を乗り越える必要のないときには、邪魔となって小
回りがきかなくなり、操作性が悪くなるという問題があ
る。また、車椅子を上方に持ち上げるために、油圧シリ
ンダなどの大掛かりな昇降装置を車椅子に取り付ける必
要が生じ、コストアップが避けられない。
【0005】本発明は、このような問題に鑑み、車椅子
での移動に支障を来さず、かつコストを出来るだけ抑え
られ、車椅子に装着することで、歩道等に見受けられる
程度の段差であれば、利用者が介護者なしで自力で容易
に走行することを可能ならしめる段差走行補助装置、お
よび当該装置を備えた車椅子を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る段差走行補助装置は、車椅子に装着さ
れ、当該車椅子での段差の乗り越えを補助する段差走行
補助装置であって、板状のスロープ部材と、前記車椅子
の下部であって地面から所定の高さの位置に取着され、
前記スロープ部材を車椅子の前方および後方に進退自
在、かつ上下方向に移動可能に保持すると共に、当該ス
ロープ部材先端部がその後端部より上方に傾くのを許容
するように保持する保持手段と、前記スロープ部材を、
ほぼ水平な状態で前方に移動させる第1の駆動手段と、
前記前方に移動されたスロープ部材の先端部が段差上方
に位置する状態で、前記スロープ部材をその後端部が接
地するまで降下させる第2の駆動手段とを備えることを
特徴とする。
【0007】上記第2の駆動手段により、スロープ部材
が降下させられると、スロープ部材の先端部が段差に掛
けられ、その後端部が地面に接地された状態となり、段
差にスロープが形成されることになる(以下、段差にス
ロープが形成されたときのスロープ部材の位置を「スロ
ープ位置」という。)。ここで、スロープ部材がスロー
プ位置にあるときには、スロープ部材の一部が車椅子の
車輪の走行路に相当する位置に来るようになっている。
【0008】スロープ部材は上記保持手段により車椅子
の後方にも進退自在に保持されており、スロープ部材と
車椅子とは、相互に前方および後方に位置変化が自在で
ある。それゆえ、スロープ部材がスロープ位置にある場
合に、車椅子を前進させても、当該スロープ部材には前
方方向への力がほとんど掛からず、スロープ位置におい
て停止したままとなる。したがって、スロープ部材がス
ロープ位置にあるときに、車椅子を前進させると、スロ
ープ部材の上を車椅子で走行することができる。
【0009】また、本発明に係る段差走行補助装置は、
車椅子が、前記スロープ部材上を上がり、その後輪がス
ロープ部材の先端部を通過した後に、当該スロープ部材
を車椅子下部の位置に回収する第3の駆動手段を備える
ことを特徴とする。また、前記第1の駆動手段は、前記
第3の駆動手段を兼ねることを特徴とする。
【0010】また、前記スロープ部材は、車椅子走行面
を有し、車椅子進行方向に平行な軸を介して回動可能に
保持されて、当該車椅子走行面が上を向いて車椅子の前
輪および後輪の走行路の位置に来る第1の位置と、当該
車椅子走行面が車椅子の内側を向いて当該走行路よりも
当該車椅子の内側の位置に来る第2の位置に切り換える
ことができるように構成されており、前記スロープ部材
が前方に進出した状態で、当該スロープ部材を第1の位
置に回動させ、当該スロープ部材を車椅子下部の位置に
回収するときに、第2の位置に回動させる第4の駆動手
段を備えることを特徴とする。
【0011】また、前記保持手段には、前記車椅子がス
ロープ部材上を走行する際に生ずる前記スロープ材と前
記車椅子との相対的な上下方向の位置変化を許容する変
位許容手段が設けられていることを特徴とする。また、
本発明に係る車椅子は、前記の段差走行補助装置を備え
ることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る段差走行補助
装置を備えた車椅子の実施の形態を図面を参照しながら
説明する。 (1)全体構成 図1は、本実施の形態の車椅子1の全体斜視図、図2
は、側面図、図3は、背面図を示す。
【0013】図1〜図3に示すように、この車椅子1
は、介護者が押動するタイプの車椅子であり、介護者か
ら見て右側のパイプフレーム2、左側のパイプフレーム
3の前方下部に回転自在に装着された小径の補助輪4、
5、および後方下部に回転自在に装着された大径の主輪
6、7によって支持されて路上を走行する。主輪6、7
には、車椅子1を前方および後方に移動させるために、
車椅子利用者(以下、単に「利用者」という。)により
操作されるハンドリム12、13が取り付けられてい
る。
【0014】パイプフレーム2、3は、左右方向に延び
る補強メンバ8、9および図示しないクロスメンバによ
って一体化されており、補強メンバ8、9間には、角柱
状のアーム10、11が渡されている。車椅子1の下部
には、段差走行補助装置100が装着されている。段差
走行補助装置100は、スロープ板出入部101、10
2、操作パネル310、制御部300、バッテリー1
5、16からなり、後述するように段差にスロープを形
成することで、車椅子1での段差の乗り越えを容易にす
る。
【0015】スロープ板出入部101は、アーム10
に、スロープ板出入部102は、アーム11に取り付け
られている。操作パネル310は、アームレスト14の
先端部に配され、利用者からのスロープの形成等に関す
る指示入力を受け付ける。制御部300は、操作パネル
310の下部に配設され、段差走行補助装置100の全
体の動作制御を行う。
【0016】バッテリー15、16は、制御部300や
後述する昇降モータ123などの各電気部材の駆動源で
あり、公知の蓄電池からなる。スロープ板出入部101
と102は、図3に示すように、左右対称となっている
点を除いて同じ構成であるので、以下、スロープ板出入
部101の構成について説明し、スロープ板出入部10
2の構成については省略するものとする。
【0017】(2)スロープ板出入部101の構成 図4は、スロープ板出入部101の構成を示す斜視図で
あり、矢印A方向が車椅子1の進行方向となる。同図に
示すように、スロープ板出入部101は、大きく分け
て、昇降部120とスライド部140からなる。
【0018】昇降部120は、鋼板からなる固定板12
1と昇降板122、および昇降モータ123、124な
どから構成される。固定板121は、その上端部がアー
ム10に図示しないねじにより固定される。固定板12
1の、車椅子進行方向における前側上部および後側上部
には、昇降板122を上下方向に移動させるための、公
知のステッピングモータからなる昇降モータ123、1
24が取付られており、その回転軸125、126に
は、送りねじ機構を構成するためのねじがきってある。
【0019】回転軸125、126は、そのねじ部分
が、側面視L字型の支持板127、128の一片127
1、1281に設けられたねじ孔に螺合されている。昇
降板122は、支持板127、128と固定板121に
挟まれた状態において、支持板127、128により保
持されている。図5(a)は、支持板128と昇降板1
22の分解斜視図であり、図5(b)は、支持板128
を図5(a)の矢印D方向から見たときの斜視図であ
る。
【0020】両図に示すように、支持板128の、昇降
板122と対向する面1282には、固定板121に上
下方向に穿設された長孔130の幅aよりも径がやや小
さい円柱状の突起132が設けられている。昇降板12
2の、固定板121の長孔130と対向する位置には、
長孔131が穿設されており、長孔131の上下方向の
長さは、突起132の径よりも長く、その幅は、長孔1
30の幅aとほぼ等しくなっている。
【0021】支持板128の突起132は、長孔131
を介して長孔130に挿入され、その先端部が固定板1
21の裏面側において、長孔130の幅aよりも径が大
きい円板状の規制板133とねじ止め固定される。これ
より、昇降板122は、突起132にぶら下がった状態
で保持されることになる。このような構成において、昇
降モータ124の回転軸126を矢印B方向(反時計回
り)に回転させると、送りねじ方式により、支持板12
8と昇降板122は、固定板121に沿って下降し、逆
に時計回りに回転させると上昇することになる。
【0022】突起132は、長孔131に遊挿されてい
るので、昇降板122は、突起132が長孔131に沿
って移動可能な分だけ、突起132を中心に上下方向に
移動自在となる。すなわち、昇降板122と固定板12
1(支持板128)との間には、上下方向について遊び
が設けられていることになる。このような遊びを設けて
いる理由については、後述する。
【0023】図4に戻って、支持板127も、支持板1
28と同様の形状になっており、その突起(不図示)の
先端部が昇降板122に穿設された長孔(不図示)を介
して固定板121の長孔129に係合される構成になっ
ている。固定板121の前側上部の位置には、昇降板1
22の上限位置を検出するための、公知のマイクロスイ
ッチからなる上限位置検出スイッチ135が配設されて
おり、昇降板122の昇降によりオン、オフされる。
【0024】一方、スライド部140は、移動板150
と、スロープ部170などからなる。移動板150は、
昇降板122とほぼ等しい厚さの鋼板からなり、昇降板
122に対して前後方向にスライド自在に保持されてい
る。スロープ部170は、昇降板122とほぼ等しい厚
さの鋼板からなる、側面視L字型の移動板171と、段
差を乗り越えるためのスロープとなるスロープ板103
などから構成され、移動板171が移動板150に対し
て前後方向にスライド自在に保持されている。
【0025】図6は、移動板150と移動板171をス
ライド自在に保持する機構を説明するための分解斜視図
である。なお、同図では、保持機構の説明に関係ない部
分については、説明の都合上、図示を省略している。同
図に示すように、昇降板122の下部には、前後方向に
延びる長孔1221が穿設されており、一方、移動板1
50上部の、長孔1221と対向する位置には、前後方
向に延びる長孔1501が、その下部には長孔1502
がそれぞれ穿設されている。長孔1221、1501、
1502の上下方向長さは、ほぼ同じである。
【0026】移動板150は、支持ユニット151によ
り昇降板122に対して前後方向にスライド自在に保持
される構成になっている。この支持ユニット151は、
支持板152、153、回転板156、支点軸154な
どからなる。支点軸154は、金属性であって、円柱状
の胴部1541と、当該胴部1541を挟んで頭部15
42とねじ部1543とを有し、支持板152、153
を一体化するために用いられる。
【0027】支持板152の前後方向両端部には、支点
軸154の胴部1541よりも径がやや大きい貫通孔1
521が穿設されている。回転板156は、金属性の円
環状の部材であり、その外径は、長孔1211の上下方
向の長さとほぼ等しくなっており、その内径は、支点軸
154の胴部1541の径よりもやや大きくなってお
り、その厚さは、昇降板122(移動板150)の厚さ
とほぼ等しくなっている。
【0028】一方、支持板153には、両端部に支点軸
155のねじ部1543が螺嵌されるねじ孔1531が
穿設されている。支持ユニット151は、各回転板15
6が長孔1221、1501に嵌め込まれた状態で、そ
れぞれの支点軸154が支持板152の貫通孔1521
に挿入され、2つの回転板156を介して支持板153
のねじ孔1531に螺嵌されることにより組み立てら
れ、一体化される。このように一体化されると、支持板
152の表面が移動板150に、支持板153の表面が
移動板150にそれぞれ接触した状態となり、そして各
回転板156が、支点軸154に回動自在となる。これ
により、支持ユニット151は、長孔1221、150
1に沿ってスライド自在となり、結果的に、移動板15
0は、昇降板122に対して前後方向にスライド自在に
保持されることになる。なお、回転板156には、転が
り軸受を用いることもできる。
【0029】一方、移動板171の垂直片1711に
は、移動板150の長孔1502と対向する位置に、前
後方向に延びる長孔1713が穿設されており、この長
孔1713は、長孔1502と大きさがほぼ等しくなっ
ている。移動板171は、支持ユニット160により移
動板150に対して、前後方向にスライド自在に保持さ
れる構成になっている。
【0030】支持ユニット160は、支持板161、1
62、支点軸163、回転板164、規制板165、固
定ピン166からなる。支点軸163は、円柱状の胴部
1631と、ねじ部1632と、頭部1633とを有
し、支持板161、162を一体化するために用いられ
る。そして、胴部1631の軸方向長さは、支持板16
2の厚さとほぼ同じであり、頭部1633の径は、長孔
1713の上下方向長さよりも小さくなっている。
【0031】支持板162の中央部には、支点軸163
の胴部1631よりも径がやや大きい貫通孔1621が
穿設されており、一方、支持板161の中央部には、支
点軸163のねじ部1632が螺嵌されるねじ孔161
1が穿設されている。支点軸163が、支持板162の
貫通孔1621から挿入され、ねじりコイルバネ167
を介して支持板161のねじ孔1611に螺嵌される
と、支持板161と162は、軸回りに相対的に回動可
能となる。なお、支持板162には、介挿されたねじり
コイルバネ167により支持板161に対して矢印E方
向へ回転させようとする力が常時付勢されており、その
ため支持板162は、支持板161の前方下部に設けら
れたストッパ1612に常時押圧された状態になってい
る。
【0032】回転板164は、上記回転板156と同じ
ものである。固定ピン166は、頭部1661と、円柱
状の胴部1662と、ねじ部1663とを有しており、
回転板164を支持板161、162上において回動自
在に保持するために用いられる。なお、胴部1662の
径は、回転板164の内径よりもやや小さくなってい
る。
【0033】支持板162には、貫通孔1621を挟ん
で前後方向両側に、固定ピン166のねじ部1663が
螺嵌されるねじ孔1622が穿設されている。規制板1
65は、金属性の円環状の部材であって、その外径は長
孔1713の上下方向長さよりも長く、その内径は、回
転板164の内径とほぼ等しくなっている。
【0034】このような構成において、2つの固定ピン
166が、規制板165、回転板164、長孔1713
を介して支持板162に螺嵌されると、支持板162の
表面が垂直片1711に接触した状態で丁度回転板16
4、164の周面が長孔1713の内面に係合される状
態となる。支持板161についても同様に、昇降板12
2側から2つの固定ピン166が、破線で示す規制板1
65、回転板164、移動板150の長孔1502を介
して支持板161に螺嵌されると、支持板161が移動
板150に当接した状態で丁度回転板164、164の
周面が長孔1502の内面に係合される状態となる。
【0035】したがって、ねじりコイルバネ167を介
挿した状態で支持板161、162が支点軸163によ
り一体化されると、移動板171(スロープ部170)
は、移動板150に対して前後方向にスライド自在に保
持されると共に、支点軸163を中心に回転可能に保持
される。そして、スロープ部170は、ねじりコイルバ
ネ167の付勢力により、移動板150とほぼ平行とな
る状態で維持されるようになる。
【0036】図4に戻って、昇降板122の前方下部に
は、移動板150、171を矢印A方向(車椅子進行方
向)にスライドさせるためのスライドモータ141が配
設されている。スライドモータ141は、公知のステッ
ピングモータが用いられ、その回転軸には、駆動トルク
を上げるための減速歯車列を含む減速装置(不図示)を
介してワイヤ143を巻き取るためのワイヤドラム14
2が取着され、巻き取り装置として使用される。また、
スライドモータ141の回転軸には、図示しない電磁ブ
レーキ(図11の電磁ブレーキ1411)が取着されて
おり、この電磁ブレーキ1411を作用させることによ
り当該回転軸をロックさせることができる。
【0037】ワイヤ143は、その一端がワイヤドラム
142に固定され、移動板150の後側上部に配設され
ているプーリ144、移動板150の前側上部に配設さ
れているプーリ145の順に巻き架けられた後、その他
端が移動板171の後側上部に立設されている固定ピン
1712に固定されて張架される。したがって、スライ
ドモータ141が動作して、ワイヤドラム142が同図
のC方向(時計回り)に回転すると、ワイヤ143がワ
イヤドラム142に巻き取られ、これにより移動板15
0、171に車椅子進行方向へ引っ張られる力が作用
し、移動板150、171は、ワイヤ143の巻き取り
量に応じて前方へほぼ水平な状態でスライドしていくこ
とになる。
【0038】図7は、移動板150、171を前方に一
杯まで移動させたときの様子を示す模式図であり、図8
は、図7の状態を車椅子1全体として見たときの図であ
る。スロープ板103、104が同図に示す位置まで移
動するのは、後述するように、スロープ板103、10
4を段差に架ける動作を行う前である。以下、スロープ
板103、104が、前方一杯まで移動しているときの
位置(同図に示す位置)を進出位置、車椅子1の下部に
回収されているときの位置(図1に示す位置)を回収位
置という。
【0039】なお、スライドモータ141は、巻き取り
装置として使用されるため、スロープ板103を前方へ
移動させる場合にだけ動作することになる。また、図7
では、スライドモータ141を動作させてスロープ板1
03を進出位置まで移動させた状態を示したが、上述し
たように、移動板171は、移動板150を介して昇降
板122に前後方向にスライド可能に保持されているの
で、スライドモータ141、電磁ブレーキ1411への
通電がなされない場合には、昇降板122に対して後方
にも移動自在となる。
【0040】次に、スロープ部170の構成を図9を用
いて説明する。図9に示すように、スロープ板103と
移動板171とは、蝶番173を介して接続されてお
り、スロープ板103は、図4に示す直立位置と図9に
示す水平位置との間を蝶番173を中心に回動可能とな
っている。このスロープ板103の回動動作は、移動板
171上に配設された巻き取り装置174により行われ
る。
【0041】巻き取り装置174は、開閉モータ17
5、ワイヤドラム176、ワイヤ177、178、ワイ
ヤプーリ179〜182からなる。開閉モータ175
は、公知のステッピングモータが用いられ、その回転軸
には、円筒ウォームギヤ181が取着されている。ワイ
ヤドラム176は、ワイヤ177、178を巻き取るた
めのドラムであって、回転可能に支持されており、その
回転軸には円筒ウォームギヤ181と噛合するウォーム
ホイール183が取着されている。
【0042】ワイヤ177は、その一方がワイヤドラム
176に固定され、ワイヤプーリ179、181の順に
巻き掛けられた後、その他方184がスロープ板103
上にねじ止め固定されて張架される。同様に、ワイヤ1
78は、その一方がワイヤドラム176に固定され、ワ
イヤプーリ180、182の順に巻き掛けられた後、そ
の他方185がスロープ板103上にねじ止め固定され
て張架される。
【0043】なお、移動板171とスロープ板103と
の蝶番173による接続部分には、図示しないねじりコ
イルバネが配設され、このねじりコイルバネにより、ス
ロープ板103は、直立位置から外側に倒れて水平位置
に回動する方向に常時付勢されている。このような構成
において、開閉モータ175を動作させ、ワイヤドラム
176を矢印F方向(反時計回り)に回転させると、上
記ねじりコイルバネの付勢力により、スロープ板103
が外側に開く方向に回動する。また、ワイヤドラム17
6を時計回りに回転させると、ワイヤ177、178が
巻き取られてスロープ板103が内側に閉じる方向に回
動する。
【0044】なお、スロープ板103に配設される突起
186は、スロープ板103が直立位置にきたときに移
動板171と当接して、スロープ板103がそれよりも
内側に倒れないように規制するための部材である。ま
た、移動板171には、公知のマイクロスイッチからな
る直立位置検出スイッチ191が配設されている。この
スイッチは、スロープ板103が直立位置にきたときに
スロープ板103に配設された突起192によりオンさ
れ、スロープ板103が直立位置から外側に倒れ始める
とオフとなるスイッチであり、スロープ板103が直立
位置にあるか否かの検出に用いられる。
【0045】スロープ板103の190の部分は、スロ
ープ板103が同図の水平位置まで開いたときに、丁
度、車椅子1の補助輪4と主輪6の走行路上の位置に来
るようになっており、後述するように車椅子1で段差を
乗り越えるときの車椅子1の走行面として用いられる。
移動板171の後側には、ストッパ部199が配設され
ている。
【0046】ストッパ部199は、ソレノイド195、
ストッパレバー196、引っ張りバネ197などからな
る。ストッパレバー196は、棒状の部材であって、ほ
ぼ中央部に配されている軸1961回りに、図示しない
支持部材により回動自在に保持されており、突起196
2を有している。ストッパレバー196の下端部は、ソ
レノイド195のプランジャに連結された連結部材19
8と、上端部は、引っ張りバネ197の一端とそれぞれ
接続され、引っ張りバネ197の他端は、移動板171
に固定されている。一方、移動板171の、突起196
2に対向する部分には、突起1962よりも径が大きな
孔1714が穿設されている。
【0047】このような構成において、ソレノイド19
5がオンすると(同図の状態)、ストッパレバー196
が矢印Fと同方向に回転し、ストッパレバー196の突
起1962の先端が移動板171の孔1714に入り込
まないようになり、一方、ソレノイド195がオフする
と、ストッパレバー196の上端部の引っ張りバネ19
7の付勢力により、ストッパレバー196が矢印Fと逆
方向に回転し、突起1962が孔1714を介して、そ
の先端が移動板150側に突出するようになっている。
【0048】ソレノイド195は、後述するように、ス
ロープ板103が格納位置にあるときには、オフされて
おり、このときストッパレバー196の突起1962の
先端は、孔1714を介して移動板150の後側下部の
切り欠け部1503(図6参照)に係合し、スロープ板
103が格納位置において前後方向に移動しないように
規制する。一方、スロープ板103が格納位置から前方
へ移動し始めるときには、オンされて、突起1962が
スロープ板103の移動の邪魔をしないように移動板1
50の切り欠き部1503から待避する。
【0049】(3)制御部300の構成 図10は、制御部300の構成を示すブロック図であ
る。同図に示すように、制御部300は、CPU301
を中心に、昇降モータ駆動回路302、305、開閉モ
ータ駆動回路303、306、スライドモータ駆動回路
304、307からなる。ここで、同図に示される上限
位置検出スイッチ211、直立位置検出スイッチ21
2、昇降モータ221、222、開閉モータ223、ス
ライドモータ224、ソレノイド225、電磁ブレーキ
226は、スロープ板出入部102側に配される部材で
あり、それぞれがスロープ板出入部101に配される上
限位置検出スイッチ135、直立位置検出スイッチ19
1、昇降モータ123、124、開閉モータ175、ス
ライドモータ141、ソレノイド195、電磁ブレーキ
1411に相当する部材である。
【0050】昇降モータ駆動回路302は、昇降モータ
123、124を、開閉モータ駆動回路303は、開閉
モータ175を、スライドモータ駆動回路304は、ス
ライドモータ141を、一方、昇降モータ駆動回路30
5は、昇降モータ221、222を、開閉モータ駆動回
路306は、開閉モータ223を、スライドモータ駆動
回路307は、スライドモータ224をそれぞれ回転駆
動させるための回路であり、CPU301から送られて
くる駆動パルスに基づいて各モータを時計回り、もしく
は反時計回りに回転させるための励磁電流の生成を行
い、これを当該各モータへ供給する。
【0051】CPU301は、操作パネル310からの
利用者の指示内容を示す信号、および上限位置検出スイ
ッチ135、直立位置検出スイッチ191などの各スイ
ッチからの検出信号に基づいて、昇降モータ123、1
24などの各モータの回転開始/停止および回転方向の
制御やソレノイド195、電磁ブレーキ1411のオン
/オフ制御などを行い、後述のスロープ板出場処理、ス
ロープ板下降処理、およびスロープ板回収処理を円滑に
実行する。
【0052】また、昇降モータ123などの各モータを
後述する所定の駆動パルス分だけ動作させるときのパル
ス数を予め自身の記憶領域に記憶している。なお、制御
部300は、電源スイッチ17がオンされているとき
は、基本的に電磁ブレーキ1411、226を動作さ
せ、スライドモータ141、224の回転軸をロックさ
せるようにしている。これは、スロープ板103、10
4が走行中の振動などで回収位置から前後方向に移動す
るのを防止するためである。
【0053】バッテリー15、16の電力は、電源スイ
ッチ17を介して、CPU301、昇降モータ駆動回路
302などの各駆動回路に供給される。なお、電源スイ
ッチ17は、後述のように操作パネル310に配される
スイッチである。また、開閉モータ175など移動板1
50等の移動に伴って位置が変位する電気部材には、フ
レキシブルワイヤなどが用いられて配線される。
【0054】(4)操作パネル310の構成 次に、操作パネル310の構成を図11を用いて説明す
る。図10に示すように、操作パネル310には、スラ
イドスイッチからなる電源スイッチ17と、押しボタン
スイッチからなる、スロープ板出場ボタン311、スロ
ープ板下降ボタン312およびスロープ板回収ボタン3
13が配されている。
【0055】電源スイッチ17がONされると、バッテ
リー15、16の電力が制御部300に供給される。ス
ロープ板出場ボタン311は、スロープ板出場処理を、
スロープ板下降ボタン312は、スロープ板下降処理
を、スロープ板回収ボタン313は、スロープ板回収処
理の開始をそれぞれ指示するためのボタンである。これ
らのボタンの押下信号は、制御部300に送られる。
【0056】(5)制御部300の処理内容 以下、制御部300によるスロープ板出場処理などの各
処理の内容を、図12を用いて説明していく。図12
は、利用者(不図示)が乗った車椅子1が前方にある段
差202を乗り越えるときの様子を説明するための模式
図である。ここでは、スロープ板出入部101の動作に
ついて説明するが、スロープ板出入部102についても
スロープ板出入部101と同様の動作が行われる。
【0057】まず、車椅子1の利用者は、前方に段差2
02を発見すると、操作パネル310上のスロープ板出
場ボタン311を押下する。制御部300は、スロープ
板出場ボタン311が押されたことを判断すると、スロ
ープ板出場処理を実行する。すなわち、スライドモータ
141を動作させて、スロープ板103を進出位置まで
移動させる(図12(a)の状態)。
【0058】具体的には、電磁ブレーキ1411をオフ
すると共にソレノイド195をオンし、それからスライ
ドモータ141を動作させてワイヤドラム142を時計
回り(図4のC方向)に回転させ、ワイヤ143の巻き
取りを開始し、スロープ板103を格納位置から進出位
置まで移動させて当該処理を終了する。ここでは、その
移動に必要なワイヤ143の巻取量に相当する駆動パル
ス数が予めCPU301の記憶領域に記憶されており、
CPU301は、それを読み出して、その分の駆動パル
スをスライドモータ駆動回路304に送出する。
【0059】利用者は、スロープ板103の進出位置ま
での移動が終了すると、スロープ板103の先端部を段
差202の上方の位置まで車椅子1を前進させた後(図
12(b)の状態)、スロープ板下降ボタン312を押
下する。制御部300は、スロープ板下降ボタン312
が押されたことを判断すると、スロープ板下降処理を実
行する。すなわち、図12(c)に示すように、まず昇
降モータ123、124の軸を反時計回り(図5の矢印
B方向)に回転させて、昇降板122を上限位置から下
限位置(移動板150が走行面(地面)201に当接す
る位置)に来るまで下降させて当該処理を終了する。こ
こでは、昇降板122の下限位置までの移動に必要なモ
ータの回転角に相当する駆動パルス数が上記記憶領域に
予め記憶されており、CPU301は、それを読み出し
て、その分の駆動パルスを昇降モータ駆動回路302に
送出する。
【0060】移動板150とスロープ板103は、図6
に示す支持ユニット160を介して接続されることで、
スロープ板103先端部がその後端部より上方に傾くの
を許容するように保持されており、これによりスロープ
板103の先端部が段差202の上段部分203に掛か
った状態で移動板150が下降すると、スロープ板10
3(スロープ部170)は、ねじりコイルバネ167の
付勢力に抗して移動板150に対して支持ユニット16
0を中心に反時計回り(図6の矢印Eと反対方向)に回
転することになり、結果的にスロープ板103の先端部
が段差202に掛り、その後端部が走行面201に当接
する状態となる。
【0061】続いて、制御部300は、開閉モータ17
5を、ワイヤドラム176が反時計回り(図9の矢印F
方向)に回転するように動作させ、直立位置にあるスロ
ープ板103を図10に示す水平位置まで移動させる。
ここでは、スロープ板103を直立位置から水平位置ま
で回動するのに必要なモータの回転角に相当する駆動パ
ルス数が上記記憶領域に予め記憶されており、CPU3
01は、それを読み出して、その分の駆動パルスを開閉
モータ駆動回路303へ送出する。
【0062】すると、図13に示す模式図のように、ス
ロープ板103の走行面190が、丁度車椅子1の補助
輪4および主輪6の走行路の位置に来て、段差202を
乗り越えるときに車椅子1が走行するための車椅子走行
面となり、段差202にスロープが形成されることにな
る(スロープ板103のスロープ位置への移動)。この
とき制御部300は、本実施の形態では、電磁ブレーキ
1411への給電を停止しており、そのため移動板15
0、171にはワイヤ143による引張力が作用せず、
昇降板122と移動板150、移動板150と移動板1
71は、それぞれが前後方向にスライド自在の状態に戻
る。したがって、スライド自在の範囲内であれば、昇降
板122が車椅子1の前進に伴って前方へ移動しても、
移動板150、スロープ板103には、前方へ動かされ
る力がほとんど掛からないようになる。
【0063】これより、図12(c)の状態で、利用者
が車椅子1を前進させると、走行面201に当接してい
る移動板150とスロープ板103は、走行面201と
の摩擦により前方へ移動しないが、昇降板122は、停
止している移動板150に対して前方へ移動するように
なる。ここで、移動板150とスロープ板103が停止
している状態で、昇降板122が前方へ移動できるの
は、昇降板122が前方へ移動していくに連れて、ワイ
ヤドラム142に巻き取られているワイヤ143がワイ
ヤドラム142から解き放されていくからである。
【0064】すなわち、電磁ブレーキ1411への給電
を停止しているため、スライドモータ141の回転軸に
はブレーキが掛からなくなり、ワイヤドラム142に巻
き取られているワイヤ143に、昇降板122の前方へ
の移動に伴う後方の方向への引っ張り力が作用し、その
ためワイヤドラム142が図7に示す矢印Cと逆方向
(反時計方向)に回転し、ワイヤ143がワイヤドラム
142から解き放されていく。そして、昇降板122が
前方へ移動していくに連れて、ワイヤドラム142の位
置からプーリ144、145を介して固定ピン1712
の位置までのワイヤ143の長さは、長くなっていくこ
とになる。
【0065】車椅子1がさらに前進し、前側の補助輪4
がスロープ板103上を走行するようになると、今度
は、図12(d)に示すように、補助輪4に踏まれるス
ロープ板103は、スロープ位置に止まるが、昇降板1
22と移動板150がスロープ板103に対して前進す
るようになる。この状態を車椅子1から見ると、スロー
プ板103が後退していくように見える。
【0066】この場合も、スロープ板103が停止した
状態で、昇降板122と移動板150が前方へ移動して
いくので、その移動に連れて、ワイヤ143は、ワイヤ
ドラム142から解き放されていく。なお、補助輪4が
スロープ板103上に乗り上げ、主輪6がまだ走行面2
01上にあるときには、車椅子1は、その進行方向(矢
印H方向)が走行面201およびスロープ板103の走
行面190双方に平行でない状態で前進することにな
り、その間は、車椅子1が前進するに連れて固定板12
1とスロープ板103の上下方向の距離が変化していく
ことになる。上述したように、昇降板122と移動板1
50、移動板150とスロープ部170を接続する支持
ユニット151と160は、上下方向への移動を許容す
る構成になっていないので、このような上下方向の距離
の変化に対応することができず、その距離の変化が大き
くなると、そのままでは接続状態を維持することができ
なくなってしまう。
【0067】そこで、本実施の形態では、スロープ板1
03と車椅子1との相対的な上下方向の位置変化を許容
する変位許容手段として、固定板121と昇降板122
間に上述の上下方向の遊びを設け、その距離の変化をこ
の遊びで逃がすようにすることで、移動板150とスロ
ープ部170の良好な接続状態を維持するようにしてい
る。
【0068】さらに、車椅子1が前進し、前側の補助輪
4がスロープ板103を通過し、後側の主輪6がスロー
プ板103上を走行するようになると(図12(e)の
状態)、主輪6に踏まれているスロープ板103は、ス
ロープ位置から動かないため、移動板150が昇降板1
22に対して後方にずれていくようになる。車椅子1か
ら見ると、移動板150が後退していくように見える。
【0069】図12(f)は、主輪6がスロープ板10
3を通過したときの状態を示している。昇降板122と
移動板150は、車椅子1の主輪6がスロープ板103
の上を走行している間も、車椅子1の前進と共に前方へ
移動したが、スロープ板103は、スロープ位置で停止
したままとなっていたので、主輪6がスロープ板103
を通過したときには、図12(f)に示すように、スロ
ープ板103と、移動板150と、昇降板122の位置
関係は、前から昇降板122、移動板150、スロープ
板103の順になり、図12(b)に示す位置関係と逆
となる。
【0070】図14は、図12(f)の状態におけるス
ロープ板103と、移動板150と、昇降板122の位
置関係を示す概略斜視図であり、説明の都合上、開閉モ
ータ175などのスロープ板103の開閉機構を構成す
る部材等については、図示を省略している。この状態
で、ワイヤドラム142の位置から固定ピン1712の
位置までのワイヤ143の長さは最長となる。
【0071】車椅子1の主輪6がスロープ板103の先
端部を通過すると、スロープ板103には下方に押圧さ
れる力が作用しなくなるため、スロープ板103は、ね
じりコイルバネ167の付勢力により、移動板150と
の接続部分を中心に、移動板150とほぼ平行になるま
で、すなわち図6に示す支持板162が、矢印F方向に
回転して支持板161のストッパ1612に当接するま
で、同図の時計回りに回転することになる。
【0072】図12(f)に戻って、利用者は、車椅子
1の主輪6がスロープ板103を通過すると、すなわち
段差202を乗り越えると、車椅子1を一旦停止させ、
スロープ板回収ボタン313を押下する。制御部300
は、スロープ板回収ボタン313が押下されたことを判
断すると、スロープ板回収処理を実行する。すなわち、
スロープ板103を水平位置から直立位置まで回動させ
るべく、ワイヤドラム176を時計回りに回転させるた
めの駆動パルスを送出する。そして、直立位置検出スイ
ッチ191がオンされると、スロープ板103が直立位
置まで回動したと判断して、駆動パルスの送出を停止し
て回転を停止させる。
【0073】そして、ソレノイド195をオフさせてか
ら、スライドモータ141を時計回り(図4のC方向)
に回転させて、ワイヤ143を巻き取る。このときの巻
取量は、昇降板122に対して後方一杯まで移動したス
ロープ板103および移動板150を格納位置の真下の
位置まで戻すのに必要なワイヤ143の巻取量であり、
この巻き取り量に相当する駆動パルス数が予めCPU3
01の記憶領域に記憶されており、CPU301はそれ
を読み出して、その分の駆動パルスをスライドモータ駆
動回路304に送出する。
【0074】ワイヤ143の巻取りが開始されると、ま
ずスロープ部170が前方へ引っ張られ移動し始める。
ソレノイド195がオフされているので、ストッパレバ
ー196の突起1962が移動板171の孔1714を
介して移動板150側に突出した状態となっている。そ
のため、スロープ部170が前方へ移動し、当該突起1
962が移動板150の切り欠け部1503に係合する
と、移動板150は突起1962に押されるようになっ
てスロープ部170と一体的に前方へ移動していく。
【0075】ワイヤ143が所定の巻取量だけ巻き取ら
れると、図12(g)に示すように、移動板150とス
ロープ部170は丁度格納位置の真下位置で停止する。
制御部300は、ワイヤ143の巻取りを終了すると、
電磁ブレーキ1411を動作させ、スライドモータ14
1の回転軸をロックさせる。ストッパレバー196の突
起1962が移動板150の切り欠き部1503に係合
している状態で、スライドモータ141の回転軸がロッ
クされると、移動板150とスロープ部170は、前後
方向への移動が規制されることになる。
【0076】続いて、制御部300は、昇降モータ駆動
回路302に、昇降モータ123、124の軸を時計回
りに回転させるための駆動パルスを送出し、上限位置検
出スイッチ135がオンされると、昇降板122が上限
位置まで上昇したと判断して、駆動パルスの送出を停止
して回転を停止させ(図12(h)の状態)、スロープ
板回収処理を終了する。これによりスロープ板103、
104は回収位置に戻ることになる。なお、スロープ板
103、104が回収位置に戻っても、電磁ブレーキ1
411、226は動作しており、スライドモータ14
1、224の回転軸がロックされたままとなっているの
で、スロープ板103、104は前後方向への移動が規
制され、走行中の振動などで回収位置からずれることが
ない。
【0077】以上、説明したように、本発明に係る車椅
子1は、スロープ板103、104を備え、利用者から
の指示を受けると、回収位置にあるスロープ板103、
104を進行方向前方へ移動させると共に下降させるこ
とにより、その先端部を段差の上段部分に架け、その後
端部を走行面に当接させて、自身が走行可能なスロープ
を形成するように構成されている。したがって、スロー
プ板103、104の回収位置を歩道等に見受けられる
程度の段差の高さよりも高くしておけば、利用者は、介
助者などの他人の力を全く借りずに自力で当該段差を乗
り越えて車椅子1で走行することが容易にでき大変便利
となる。そして、スロープ板103、104は、平坦な
走行路を走行中は車椅子1の下部の回収位置に回収され
ており、段差を乗り越えるときにだけ車椅子から出場さ
れる構成になっている。したがって、車椅子を持ち上げ
るためのアームが常時前方や後方に突出しているため、
それが邪魔となって取り回しが悪くなるといった従来の
問題が生じない。また、スロープ板103、104を移
動させるだけなので、従来のような、油圧シリンダを用
いて車椅子を持ち上げるといった大掛かりな昇降装置を
備える必要がなく、その分コストを抑えることも可能と
なる。
【0078】(6)変形例 以上、本発明に係る車椅子を実施の形態に基づいて説明
してきたが、本発明の内容が、上記実施の形態に限定さ
れないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられ
る。 (6−1)上記実施の形態では、移動板150、スロー
プ板103等の素材として、高強度であり、プレス加工
などで所望の形状に成形し易く、低コストを実現できる
鋼板を用いたが、これに限定されず、例えばステンレス
や、軽量化を優先させる場合にアルミ軽合金などを利用
することもできる。もちろん、スロープ板だけを他の部
材よりも強度を高めるように構成することもできる。
【0079】(6−2)上記実施の形態では、スロープ
板103を前方に移動させるのに、スライドモータ14
1でワイヤ143を巻き取る構成を採用したが、ワイヤ
での巻き取り方式に限らず、例えばラックピニオン方式
を用いることもできる。この場合には、移動板150側
に前後方向に延びるラックを設け、昇降板122側に、
回転軸にギヤ(ピニオン)が取着されたモータを当該ラ
ックと噛合する位置に固定する構成にすれば、移動板1
50を前方に移動させることができる。なお、巻き取り
方式の場合は、スライドモータ141とワイヤ143等
からなる一の駆動手段で、移動板150を車椅子1下部
の位置から前方へ移動させるための第1の駆動手段と、
車椅子1で段差を乗り越えた後に、車椅子1の後方にあ
る移動板150を車椅子1の下部の位置まで前方へ移動
させるための第2の駆動手段とを兼用することができた
が、ラックピニオン方式の場合は、第1の駆動手段とし
て第1のモータを、第2の駆動手段として第2のモータ
が別々に必要になり、第1のモータは昇降板122の前
側の位置に、第2のモータは後側の位置にそれぞれ配設
されることになる。
【0080】また、スロープ部170を移動板150に
対して前方に移動させる場合には、同様に、スロープ部
170側にラックと、移動板150にモータを配設する
ようにすればよいが、この場合も、モータが2つ必要と
なる。 (6−3)本発明に係る車椅子は、介護者が押動するタ
イプのものに限られず、モータなどの動力により走行す
る電動式のものにも適用できる。
【0081】(6−4)本発明は、車椅子に装着可能な
段差走行補助装置として適用することもできる。すなわ
ち、段差走行補助装置100を、一般に市販されている
車椅子に取付可能なアタッチメントとして販売する構成
とすることもできる。この場合、昇降モータ123、1
24等の回転のための駆動パルス数を取り付け対象とな
る車椅子に応じて変更可能にしておけば、適応可能な車
椅子の範囲をより広げることができる。
【0082】
【発明の効果】以上のように本発明に係る段差走行補助
装置は、板状のスロープ部材と、車椅子の下部であって
地面から所定の高さの位置に取着され、前記スロープ部
材を車椅子の前方および後方に進退自在、かつ上下方向
に移動可能に保持すると共に、当該スロープ部材先端部
がその後端部より上方に傾くのを許容するように保持す
る保持手段と、前記スロープ部材を、ほぼ水平な状態で
前方に移動させる第1の駆動手段と、前記前方に移動さ
れたスロープ部材の先端部が段差上方に位置する状態
で、前記スロープ部材をその後端部が接地するまで降下
させる第2の駆動手段とを備えており、スロープ部材を
段差を乗り越えるときにだけ車椅子の前方に突出させる
構成なので、従来のように車椅子を持ち上げるためのア
ームが常時前方や後方に突出しているため、それが邪魔
となって取り回しが悪くなるといった問題が生じない。
また、スロープ部材を移動させるだけなので、従来のよ
うに、油圧シリンダを用いて利用者が乗った車椅子自体
を持ち上げるといった大掛かりな昇降装置を備える必要
がなく、その分コストを抑えることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車椅子1の全体斜視図である。
【図2】上記車椅子1の側面図である。
【図3】上記車椅子1の背面図である。
【図4】スロープ板出入部101の構成を示す斜視図で
ある。
【図5】(a)は、移動板150と昇降板122の分解
斜視図であり、(b)は、当該昇降板122を(a)の
矢印D方向から見たときの斜視図である。
【図6】移動板150とスロープ部170の保持機構を
説明するための分解斜視図である。
【図7】移動板150、171が前方に一杯まで移動し
たときの様子を示す模式図である。
【図8】図7の状態を車椅子1全体として見たときの図
である。
【図9】スロープ部170の構成を示す図である。
【図10】制御部300の構成を示すブロック図であ
る。
【図11】操作パネル310の構成を示す図である。
【図12】(a)〜(h)は、制御部300による処理
内容を説明するための図である。
【図13】スロープ板103が段差202に掛けられた
状態を示す模式図である。
【図14】図12(f)の状態におけるスロープ板10
3と、移動板150と、昇降板122の位置関係を示す
概略斜視図である。
【符号の説明】
1 車椅子 4、5 補助輪 6、7 主輪 100 段差走行補助装置 101、102 スロープ板出入部 103、104 スロープ板 121 固定板 122 昇降板 123、124、221、222 昇降モータ 141、224 スライドモータ 143、177、178 ワイヤ 150 移動板 151、160 支持ユニット 170 スロープ部 171 移動板 175、223 開閉モータ 190、201 走行面 202 段差 203 上段部分 300 制御部 301 CPU 302、305 昇降モータ駆動回路 303、306 開閉モータ駆動回路 304、307 スライドモータ駆動回路 310 操作パネル 311 スロープ板出場ボタン 312 スロープ板下降ボタン 313 スロープ板回収ボタン

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車椅子に装着され、当該車椅子での段差
    の乗り越えを補助する段差走行補助装置であって、 板状のスロープ部材と、 前記車椅子の下部であって地面から所定の高さの位置に
    取着され、前記スロープ部材を車椅子の前方および後方
    に進退自在、かつ上下方向に移動可能に保持すると共
    に、当該スロープ部材先端部がその後端部より上方に傾
    くのを許容するように保持する保持手段と、 前記スロープ部材を、ほぼ水平な状態で前方に移動させ
    る第1の駆動手段と、 前記前方に移動されたスロープ部材の先端部が段差上方
    に位置する状態で、前記スロープ部材をその後端部が接
    地するまで降下させる第2の駆動手段とを備えることを
    特徴とする段差走行補助装置。
  2. 【請求項2】 車椅子が、前記スロープ部材上を上が
    り、その後輪がスロープ部材の先端部を通過した後に、
    当該スロープ部材を車椅子下部の位置に回収する第3の
    駆動手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の段
    差走行補助装置。
  3. 【請求項3】 前記第1の駆動手段は、前記第3の駆動
    手段を兼ねることを特徴とする請求項2に記載の段差走
    行補助装置。
  4. 【請求項4】 前記スロープ部材は、車椅子走行面を有
    し、車椅子進行方向に平行な軸を介して回動可能に保持
    されて、当該車椅子走行面が上を向いて車椅子の前輪お
    よび後輪の走行路の位置に来る第1の位置と、当該車椅
    子走行面が車椅子の内側を向いて当該走行路よりも当該
    車椅子の内側の位置に来る第2の位置に切り換えること
    ができるように構成されており、 前記スロープ部材が前方に進出した状態で、当該スロー
    プ部材を第1の位置に回動させ、当該スロープ部材を車
    椅子下部の位置に回収するときに、第2の位置に回動さ
    せる第4の駆動手段を備えることを特徴とする請求項2
    もしくは3に記載の段差走行補助装置。
  5. 【請求項5】 前記保持手段には、前記車椅子がスロー
    プ部材上を走行する際に生ずる前記スロープ材と前記車
    椅子との相対的な上下方向の位置変化を許容する変位許
    容手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至
    4のいずれかに記載の段差走行補助装置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の段
    差走行補助装置を備えることを特徴とする車椅子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110884551A (zh) * 2019-12-26 2020-03-17 刘国华 一种爬楼车
JP2021514337A (ja) * 2018-05-04 2021-06-10 深▲せん▼市福隆智能科技発展有限公司Shenzhen Fulong Intelligent Technology Development Co.,Ltd. 伸縮板

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