JP2002199480A - 骨導スピーカ - Google Patents

骨導スピーカ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 振動系の不必要な振動が抑制されて異常共振
による異音の発生が防止され、十分に音質改善がなされ
る骨導スピーカを提供することを課題とする。 【解決手段】 ヨーク４とボイスコイル６とマグネット
７と振動板８及びそれと一体となった振動ブロック１０
とから成る骨導スピーカユニット１と、それを収容して
振動部となるハウジング２とから成り、骨導スピーカユ
ニット１の振動ブロック１０をハウジング２内部の上面
に固定すると共に、ヨーク４を、ハウジング２内部に設
置した制動材によって支持させて成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】本発明は骨導スピーカ、より詳細には、頭
部の一部に当接させて振動板の振動を骨組織に伝達させ
ることにより、音声を聴取させるタイプのスピーカに関
するものである。
【０００２】
【従来の技術】従来の骨導スピーカは、図６、７に示す
ようなものが一般的である。図６に示す骨導スピーカ
は、ボイスコイル２１とマグネット２２を備えたヨーク
２３を、ヨーク２３の上面に取り付けた振動板２５及び
振動ブロック２７を介し、ハウジング２４内の天面に吊
下して成る。
【０００３】この構成の場合、組み立てが容易で比較的
大きな出力が得られる等の利点がある反面、ヨーク２３
が振動板２５に宙吊り状態となっているため、振動系の
質量等によって定まる共振部のＱ（共振の鋭さ：振動系
の等価質量に正比例する。）が大きくなり、周波数特性
がフラットでなくなる。その結果、最低共振周波数の再
生音が強調され、音質が悪くなり、不快な振動として感
じることも起こる。また、上記構成のために、周波数を
変化させたときに、振動板２５の異常共振が発生しやす
くなり、共振点で異音が発生しやすくなるという問題が
ある。
【０００４】また、図７に示す骨導スピーカは、ボイス
コイル２１とマグネット２２を備えたヨーク２３を、上
面を開口したハウジング２４の内底面に固定し、ヨーク
２３の上面に取り付けた振動板２５上に、振動ブロック
２７を介して振動部２６を設置して成るもので、頭部に
当接して振動を伝達する振動部２６は、ハウジング２４
の開口部２８から露出して振動する。
【０００５】この場合も上記骨導スピーカと同様に、振
動系が宙吊り状態になるため、上記骨導スピーカの場合
程ではないにしても、やはりそれと同じような問題があ
る。
【０００６】更に、この構成の場合には、振動部２６の
周囲に隙間ができるために、そこから塵埃、汗、異物等
が入り込む虞があり、故障の原因となりやすい。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】従来の骨導スピーカに
は上述したような問題があったので、本発明はそのよう
な問題のない、即ち、振動系の不必要な振動が抑制され
て異常共振による異音の発生が防止され、十分に音質改
善がなされる骨導スピーカを提供することを課題とす
る。
【０００８】本発明はまた、過剰振動、落下時による衝
撃等に十分対処し得て壊れ難い骨導スピーカを提供する
ことを課題とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】本発明は、ヨークとボイ
スコイルとマグネットと振動板及びそれと一体となった
振動ブロックとから成る骨導スピーカユニットと、それ
を収容して振動部となるハウジングとから成り、前記骨
導スピーカユニットの振動ブロックを前記ハウジング内
部の上面に固定すると共に、前記ヨークを、前記ハウジ
ング内部に設置した制動材によって支持させて成る骨導
スピーカ、を以て上記課題を解決した。
【００１０】好ましい実施形態においては、前記制動材
が前記ハウジング内側面に固定された板バネであって、
前記ヨークはその裏面中心部に設けた板バネ設置部を介
して前記板バネに固定され、あるいは、前記制動材が前
記ハウジング内底面に設置されたゴム、プラスチック等
の弾性ブロックであって、前記ヨークの裏面が前記弾性
ブロックの上面に固着される。
【００１１】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図面に
依拠して説明する。図１及び図２は、本発明に係る骨導
スピーカの、それぞれ異なる実施例を示す縦断面図であ
る。本発明に係る骨導スピーカは、骨導スピーカユニッ
ト１と、それを収容するハウジング２と、ハウジング２
内に設置されて骨導スピーカユニット１を支持する制動
材とから成る。
【００１２】通例、骨導スピーカユニット１は、中心磁
極５を有するヨーク４と、中心磁極５を取り巻くドーナ
ツ型のボイスコイル６と、ボイスコイル６の外側に配置
されるマグネット７と、ヨーク４周縁の振動板固定部９
の上面に取り付けられる振動板８と、振動板８の上面に
固定される振動ブロック１０とで構成される。
【００１３】骨導スピーカユニット１は、その振動ブロ
ック１０がハウジング２内の天面にネジ１１等を介して
固定されることにより、ハウジング２内に固定される。
本発明においては、骨導スピーカユニット１は更に、ハ
ウジング２内に設置される制動材によって支持される。
【００１４】図１に示される制動材は板バネ３である。
この板バネ３は、その周縁部がハウジング２の内側面に
埋入されることによって固定され、その中心部に、ヨー
ク４の下面中央部に突設された板バネ設置部１２が固定
される。
【００１５】この板バネ３は、骨導スピーカユニット１
に対する制動機能を果たし、骨導スピーカユニット１の
過度の振動を抑止する。板バネ３による制動力は、板バ
ネ３の素材、厚さ等を変えることによって調整すること
ができる。
【００１６】図２に示される制動材はゴム、プラスチッ
ク等の弾性ブロック３ａである。この弾性ブロック３ａ
は、適度な弾性を有するゴム、プラスチック等のブロッ
クで、ハウジング２の内底面に固定され、その上面がヨ
ーク４の裏面中央部に固定される。この弾性ブロック３
ａも、上記板バネ３と同様に、骨導スピーカユニット１
に対する制動作用を果たす。
【００１７】言うまでもなく制動材による制動は、骨導
スピーカユニット１の過度の振動を抑えることを目的と
するものであるから、逆に制動し過ぎないように注意し
なければならない。図３は、制動材の有無又は制動材の
弾性が異なるそれぞれの場合において、骨導スピーカへ
の入力周波数を変化させたときの出力の違いを示すもの
である。
【００１８】図３の曲線Ａは、制動材の無い従来の骨導
スピーカの入力周波数と出力との関係を示す。この場
合、入力周波数が６５０（Ｈｚ）のときに共振が鋭くな
っている。このように、周波数特性がフラットでなくな
ると、共振が鋭くなっている周波数の前後の音が強調さ
れ音質が悪くなる。特に、骨導スピーカの場合では、音
が強調されるということは振動が大きいということであ
り、その場合は不快な振動として感じることがある。
【００１９】図３の曲線Ｂは、弾性の大きい制動材を使
用した本発明に係る骨導スピーカの入力周波数と出力と
の関係を示す。この場合、曲線Ａほど共振は鋭くない
が、弾性が大きいため共振を抑えきれずに、全体的に出
力が大きくなっていることが分かる。
【００２０】図３の曲線Ｄは、弾性の小さい制動材を使
用した本発明に係る骨導スピーカの入力周波数と出力と
の関係を示す。この場合、弾性が小さすぎるために、骨
導スピーカ全体の振動が小さくなってしまい、出力が低
下してしまっている。
【００２１】図３の曲線Ｃは、理想的な曲線に近づくよ
うに制動材３、３ａの弾性を調節して得た本発明に係る
骨導スピーカの入力周波数と出力との関係を示す。この
場合、大入力が入った時の立ち上がり時の歪み感が大き
く改善されていることが分かる。
【００２２】図４の曲線は、制動材の無い従来の骨導ス
ピーカのインピーダンス特性を示すもので、振動板の異
常共振のため１ｋＨｚから２ｋＨｚの間で、周波数特性
が大きく変化して、異常音が発生している。
【００２３】図５の曲線は、本発明による制動材を備え
た骨導スピーカのインピーダンス特性を示すもので、従
来の制動材の無い時に比べ、周波数特性が大きく改善さ
れ、異常音の発生が抑えられていることが分かる。
【００２４】なお、本発明における骨導スピーカユニッ
ト１の各部の構成は任意であって、例えば、ヨーク４周
縁の振動板固定部９とマグネット７をそれぞれ分割し、
各一対を中心磁極５を中心とする１つの円弧上に交互に
配置し、全体をコンパクトな構成としたもの（特許第２
９６７７７７号公報記載のもの）等も含まれる。
【００２５】
【発明の効果】本発明は上述した通りであって、本発明
に係る骨導スピーカにおける骨導スピーカユニットは、
適度な弾性力を有する制動材によって支持されていて、
過剰な振動が抑えられるため、スピーカの周波数特性が
良好に維持されて音質が改善され、以て明瞭に聴取する
ことが可能となり、また、制動材が振動や落下等による
衝撃に対する緩衝材の役目も果たすため、骨導スピーカ
が故障したり壊れたりしにくくなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る骨導スピーカの実施例を示す縦断
面図である。
【図２】本発明に係る骨導スピーカの別の実施例を示す
縦断面図である。
【図３】骨導スピーカの入力周波数と出力の大きさの関
係を示す図である。
【図４】制動材の無い骨導スピーカのインピーダンス特
性を示すグラフである。
【図５】制動材を備えた骨導スピーカのインピーダンス
特性を示すグラフである。
【図６】従来の骨導スピーカの実施例を示す縦断面図で
ある。
【図７】従来の骨導スピーカの別の実施例を示す縦断面
図である。
【符号の説明】
１ 骨導スピーカユニット ２ ハウジング ３ 板バネ ３ａ 弾性ブロック ４ ヨーク ５ 中央磁極 ６ ボイスコイル ７ マグネット ８ 振動板 ９ 振動板固定部 １０ 振動ブロック １１ ネジ １２ 板バネ設置部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 ヨークとボイスコイルとマグネットと振
    動板及びそれと一体となった振動ブロックとから成る骨
    導スピーカユニットと、それを収容して振動部となるハ
    ウジングとから成り、前記骨導スピーカユニットの振動
    ブロックを前記ハウジング内部の上面に固定すると共
    に、前記ヨークを、前記ハウジング内部に設置した制動
    材によって支持させて成る骨導スピーカ。
  2. 【請求項２】 前記制動材が前記ハウジング内側面に固
    定された板バネであって、前記ヨークはその裏面中心部
    に設けた板バネ設置部を介して前記板バネに固定される
    請求項１に記載の骨導スピーカ。
  3. 【請求項３】 前記制動材が前記ハウジング内底面に設
    置されたゴム、プラスチック等の弾性ブロックであっ
    て、前記ヨークの裏面が前記弾性ブロックの上面に固着
    される請求項１に記載の骨導スピーカ。
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