JP2002194600A - アゾジスルホン酸の除去方法、めっき膜の形成方法および積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

アゾジスルホン酸の除去方法、めっき膜の形成方法および積層セラミック電子部品の製造方法

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JP2002194600A
JP2002194600A JP2000397457A JP2000397457A JP2002194600A JP 2002194600 A JP2002194600 A JP 2002194600A JP 2000397457 A JP2000397457 A JP 2000397457A JP 2000397457 A JP2000397457 A JP 2000397457A JP 2002194600 A JP2002194600 A JP 2002194600A
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plating
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Masataka Miyashita
正孝 宮下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 めっき浴の一部を廃棄することなく簡易にア
ゾジスルホン酸を取り除くことができるアゾジスルホン
酸の除去方法を提供すること。 【解決手段】 アゾジスルホン酸の濃度が所定値に達し
たスルファミン酸ニッケルを含むめっき浴に、ランタニ
ド元素の化合物を含む沈殿剤を添加する工程と、前記ア
ゾジスルホン酸の少なくとも一部を、前記沈殿剤と反応
させて沈殿物を得る工程と、前記沈殿物を前記めっき浴
から取り除く工程とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アゾジスルホン酸
の除去方法と、めっき膜の形成方法と、積層セラミック
電子部品の製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型化や省資源の観点
から、積層セラミック電子部品の小型化、特に積層セラ
ミックコンデンサにおいては、薄層・多層化による大容
量化が急速に進展しており、内部電極についても、より
薄く均一で欠陥の少ないものが必要とされている。
【0003】積層セラミック電子部品の内部電極の形成
方法は、金属粉末と有機結合剤からなる金属ペーストを
スクリーン印刷によりセラミックグリーンシートに印刷
する方法によるのが一般的である。
【0004】しかしながら、従来のスクリーン印刷法で
は、原料金属粒子の粒子サイズまたはスクリーンの厚さ
などにより薄層化に限界があり、また電極が粒子の焼結
によって形成されることから、薄層化するほど電極が不
連続となりやすい、などの問題があった。
【0005】そこで、基材に金属膜が形成された金属膜
転写用部材を用いる方法が提案されている。この方法
は、金属膜転写用部材の金属膜側をセラミックグリーン
シートに対向させて重ね合わせ、熱圧着した後に基材を
剥離することにより、金属膜をセラミックグリーンシー
トへ転写する、というものである。
【0006】基材に金属膜を形成する方法としては、め
っき法が代表的である。めっき法により、容易に転写可
能なめっき膜を基材上に形成するには、当該めっき膜の
内部応力(引張応力および圧縮応力)を十分に小さくす
ることが必要である。その理由は、次の通りである。す
なわち、キャリア基材にめっき膜を容易に転写可能に形
成するには、キャリア基材とめっき膜との密着性を極力
低くする必要があるが、基材に形成されためっき膜の内
部応力が、引張方向および圧縮方向のいずれかの方向に
大きいと、(1)前記密着性が低くなりすぎる結果、製
膜中にめっき部分が基材から剥離してしまうこと、
(2)めっき膜を基材に製膜した後の転写操作において
は、めっき膜の変形原因になりうること、などによる。
【0007】めっき法に用いられるニッケルめっき浴と
しては、たとえば、硫酸ニッケル/塩化ニッケル/ホウ
酸を主成分とするワット浴;スルファミン酸ニッケル/
臭化ニッケル/ホウ酸を主成分とするスルファミン酸ニ
ッケル浴;などが挙げられる。
【0008】しかし、上記主成分のみで構成されたワッ
ト浴を用いて得られるめっき膜は、たとえば200MP
a程度の強い引張応力(めっき膜が収縮する方向に生じ
る応力)を持つ。めっき膜の内部応力が引張方向に大き
い場合に生じうる不都合は前述した通りである。したが
って、この引張応力を低減するために浴中に別途、有機
硫黄化合物などの応力調整剤を添加する必要がある。こ
の場合、添加された有機硫黄化合物は、陰極に吸着して
ニッケル層に共析し、その量は硫黄換算で600〜10
00ppmにも達するが、共析した硫黄分はニッケルの
融点を低下させる作用がある。このため、応力調整剤を
添加したワット浴から得られるニッケル膜を、製造工程
に高温での焼結工程を含む積層セラミック電子部品の内
部電極用途に用いることは望ましいものとは言えない。
【0009】一方、スルファミン酸ニッケル浴を用いた
場合には、応力調整剤を添加しなくても、たとえば50
MPa以下の弱い応力を持つめっき膜が得られる。その
理由は、スルファミン酸イオンが陽極表面で酸化されて
生成するアゾジスルホン酸が、陰極に吸着してニッケル
膜に共析し、応力調整剤としての作用を示すことによ
る。ところが、アゾジスルホン酸の応力調整作用は一般
に用いられる有機硫黄化合物に比較して大きいため、硫
黄換算で30〜50ppmと少ない共析量で弱い応力の
めっき膜が得られる。しかも、スルファミン酸ニッケル
浴を用いて得られるめっき膜は、柔軟性が良好であるこ
とから、易剥離化処理をした型にめっきして製品を製造
する電鋳用に広く用いられている。
【0010】ワット浴に添加される応力調整剤は、めっ
き操作によってめっき膜中に取り込まれて減少していく
ため、めっき時間に応じて適宜補充して一定の応力を保
つことができる。応力調整剤を過剰に添加してしまった
場合でも、ダミー品にめっきを行う空電解処理を行った
り、活性炭で吸着・除去する処理を行うことによって、
析出されるめっき膜の応力を所定範囲に調整することが
可能である。
【0011】一方、スルファミン酸ニッケル浴にて生成
されるアゾジスルホン酸は、ワット浴における有機硫黄
系応力調整剤と同様に、めっき操作によりめっき膜中に
取り込まれていくが、それ以上に陽極ではアゾジスルホ
ン酸が次々に生成されていく。このため、陽極/陰極電
流密度、pH、浴温度、陽極材質などのめっき条件で決
定される平衡濃度までは、アゾジスルホン酸が増加し続
けてしまう。その結果、使用開始時のめっき浴では、弱
い引張応力のめっき膜が得られるのに対し、一定時間稼
働後のめっき浴では、応力0を通り超えて圧縮応力(め
っき膜が膨張する方向に生じる応力)のめっき膜が得ら
れ、さらに長時間稼働後のめっき浴からは、強い圧縮応
力のめっき膜が製膜される、すなわち製膜されるめっき
膜の応力が安定しないという不都合があった。
【0012】また、空電解処理を用いてアゾジスルホン
酸濃度を低減させることも考えられるが、消滅と生成が
同時に起きるために低減していく速度が緩慢であり、効
率が悪い。さらにアゾジスルホン酸は、有機物でないた
めに活性炭による吸着除去も困難である。
【0013】以上のことから、従来は、スルファミン酸
ニッケル浴内のアゾジスルホン酸濃度が所望の応力をも
たらす濃度以上に増加してしまった場合に、めっき浴の
一部を廃棄して希釈することが、浴内のアゾジスルホン
酸濃度を低下させる最も簡便且つ確実な手段であると考
えられていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般に
スルファミン酸ニッケルは硫酸ニッケルと比較して高価
であることから、スルファミン酸ニッケルを含むめっき
浴をたとえ一部でも廃棄することは、コスト面から望ま
しくない。また、ニッケルを含む廃液が多量に発生する
ことは、環境保護の面からも望ましいものではない。
【0015】特に、積層セラミック電子部品の内部電極
形成用として、容易に転写可能なニッケルめっき膜を基
材上に形成する場合には、めっき膜が持つ応力の許容範
囲が狭いため、めっき浴の一部を頻繁に廃棄して希釈し
なければならず、作業がとても煩雑になる。
【0016】本発明の目的は、めっき浴の一部を廃棄す
ることなく簡易にアゾジスルホン酸を取り除くことがで
きるアゾジスルホン酸の除去方法を提供することであ
る。また本発明は、このアゾジスルホン酸の除去方法を
用いためっき膜の形成方法、および積層セラミック電子
部品の製造方法を提供することも目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者は、アゾジスル
ホン酸を特定の化合物と反応させて沈殿物を得ることが
できれば、これをめっき浴中から取り除くことによっ
て、めっき浴中のアゾジスルホン酸濃度を容易に調整で
きるのではないか、との観点から鋭意検討した結果、ラ
ンタニド元素の化合物がアゾジスルホン酸と反応して沈
殿物を生成するとの知見を得て、本発明を完成させるに
至った。
【0018】すなわち、本発明に係るアゾジスルホン酸
の除去方法は、アゾジスルホン酸の濃度が所定値に達し
たスルファミン酸ニッケルを含むめっき浴に、ランタニ
ド元素の化合物を含む沈殿剤を添加する工程と、前記ア
ゾジスルホン酸の少なくとも一部を、前記沈殿剤と反応
させて沈殿物を得る工程と、前記沈殿物を前記めっき浴
から取り除く工程とを有する。
【0019】本発明に係るめっき膜の形成方法は、アゾ
ジスルホン酸の濃度が所定値に達したスルファミン酸ニ
ッケルを含むめっき浴に、ランタニド元素の化合物を含
む沈殿剤を添加する工程と、前記アゾジスルホン酸の少
なくとも一部を、前記沈殿剤と反応させて沈殿物を得る
工程と、前記沈殿物を前記めっき浴から取り除く工程
と、前記沈殿物を取り除いためっき浴を用いてめっき処
理を行い、めっき膜を形成する工程とを有する。
【0020】本発明に係る積層セラミック電子部品の製
造方法は、アゾジスルホン酸の濃度が所定値に達したス
ルファミン酸ニッケルを含むめっき浴に、ランタニド元
素の化合物を含む沈殿剤を添加する工程と、前記アゾジ
スルホン酸の少なくとも一部を、前記沈殿剤と反応させ
て沈殿物を得る工程と、前記沈殿物を前記めっき浴から
取り除く工程と、前記沈殿物を取り除いためっき浴を用
いてめっき処理を行い、めっき膜で構成される金属膜が
所定パターンで形成された金属膜転写用部材を得る工程
と、前記金属膜転写用部材の所定パターンの金属膜を、
焼成後にセラミック焼結体となるグリーンシートの表面
に、直接または1種以上の中間媒体を介して間接的に転
写する工程と、前記所定パターンの金属膜が転写された
グリーンシートを、他のグリーンシートと共に積層する
工程と、積層されたグリーンシートを焼成する工程とを
有する。
【0021】好ましくは、前記焼成工程前に、積層され
たグリーンシートを切断する工程を有する。
【0022】本発明に係るアゾジスルホン酸の沈殿剤
は、ランタニド元素の化合物を含む。
【0023】好ましくは、前記ランタニド元素の化合物
が、ネオジムおよび/またはジスプロシウムの化合物で
ある。
【0024】好ましくは、前記ランタニド元素の化合物
が、ランタニド元素の酸化物、水酸化物、臭化物および
スルファミン酸塩から選ばれる1つ以上である。
【0025】好ましくは、前記めっき浴に含まれるアゾ
ジスルホン酸の濃度が500ppmに達したときに、前
記沈殿剤をめっき浴に添加する。
【0026】好ましくは、前記めっき浴に含まれるアゾ
ジスルホン酸の濃度が200ppmに達したときに、前
記沈殿剤をめっき浴に添加する。
【0027】好ましくは、応力が引張方向に作用する場
合をプラス(+)とし、圧縮方向に作用する場合をマイ
ナス(−)とした場合に、析出されるめっき膜の応力
が、+20MPa〜−50MPaになる量の沈殿剤を添
加する。
【0028】好ましくは、濾過することにより前記沈殿
物を前記めっき浴から取り除く。
【0029】好ましくは、前記めっき浴中に、実質的に
塩素イオンおよび硫酸イオンを含有しない。
【0030】
【作用】スルファミン酸ニッケルを含むめっき浴におい
て、陽極として白金や白金被覆チタンなどの不溶解陽極
や、S、C、Oなどの添加物を含まない難溶解性の高純
度電解ニッケル陽極を使用すると、スルファミン酸イオ
ンが陽極で酸化されて、アゾジスルホン酸イオンを生成
する。具体的には、下記式(1)〜(2)に示すよう
に、めっき浴中のスルファミン酸イオン(NHSO
)が、ヒドラジンジスルホン酸イオン(SO
H−NHSO 2−)に分解され、これが酸化されて
アゾジスルホン酸イオン(SON=NS
2−)を生成する。
【0031】 2・NHSO → SONH−NHSO 2− +2H+2 e …(1) SONH−NHSO 2− →SON=NSO 2− +2H +2e…(2) すなわち、アゾジスルホン酸イオンは、下記式(3)に
示すスルファミン酸イオンの酸化反応により生成され
る。
【0032】 2・NHSO → SON=NSO 2− +4H+4e …(3) 生成されたアゾジスルホン酸イオンは、陰極に吸着して
ニッケル電着膜に共析することにより、有機硫黄化合物
を主成分とする応力調整剤と同様の作用を示し、圧縮の
電着応力を生じることから、別途、応力調整剤を添加し
なくても、析出するめっき膜に圧縮方向への応力を与え
ることができる。
【0033】しかしながら、浴中のアゾジスルホン酸濃
度が高くなり、ひいてはニッケル膜中への共析量が多く
なると、析出するめっき膜に作用する圧縮応力が強くな
りすぎて、不都合を生じうる。
【0034】本発明者は、アゾジスルホン酸がランタニ
ド元素の化合物と反応すると沈殿物が生成し、この沈殿
物は濾過によって除去可能である、との知見を得た。
【0035】本発明では、ランタニド元素の化合物を含
む沈殿剤と過剰なアゾジスルホン酸とを反応させて沈殿
物を得た後、この沈殿物を取り除く。このため、めっき
浴の一部を廃棄することなく、析出するめっき膜の応力
を容易に調整することができる。すなわち、沈殿物を取
り除いた後のめっき浴を用いて形成されためっき膜は、
その圧縮応力が低減される。
【0036】また、本発明では、めっき浴の一部を廃棄
する必要がないので、コスト的にも有利であり、しかも
環境保護の観点からも利用価値は高い。
【0037】特に、この技術は、積層セラミック電子部
品の内部電極を形成するために用いる金属膜形成用部材
の製造、ひいては該金属膜転写用部材を用いたチップコ
ンデンサなどの積層セラミック電子部品の製造にきわめ
て有益である。なぜなら、この種の金属膜転写用部材の
金属膜は、応力の許容範囲が狭いものであるが、この技
術を用いれば、応力範囲を所定内におさめることが容易
だからである。
【0038】なお、本発明の技術は、積層セラミック電
子部品の内部電極形成以外にも、たとえば情報記録ディ
スクを複製するためのスタンパを製造する場合や、印刷
用スクリーンメッシュを製造する場合など、各種のスル
ファミン酸ニッケルを含むめっき浴を用いる場合に有益
である。
【0039】積層セラミック電子部品としては、特に限
定されないが、積層セラミックコンデンサ、圧電素子、
チップインダクタ、チップバリスタ、チップサーミス
タ、チップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型
電子部品が例示される。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、図面に示す実施
形態に基づき説明する。
【0041】図1は本発明に係る積層セラミック電子部
品の一例としての積層セラミックコンデンサの一部破断
断面図、図2は図1の積層セラミックコンデンサの平面
図、図3は図1および図2に示すコンデンサの製造過程
に用いるグリーンシートの斜視図、図4は金属膜転写用
部材の一例を示す斜視図、図5は図4に示すV−V線に沿
う断面図である。
【0042】本実施形態では、積層セラミック電子部品
として、図1および図2に示す積層セラミックコンデン
サ2を例示し、その構造および製造方法について説明す
る。
【0043】積層セラミックコンデンサ 図1および図2に示すように、本実施形態に係る積層セ
ラミックコンデンサ2は、コンデンサ素体4と、第1端
子電極6と第2端子電極8とを有する。コンデンサ素体
4は、誘電体層10と、第1内部電極層12と、第2内
部電極層14とを有し、誘電体層10の間に、第1内部
電極層12と第2内部電極層14とが交互に積層してあ
る多層構造を持つ。各第1内部電極層12の一端は、コ
ンデンサ素体4の第1端部4aの外側に形成してある第
1端子電極6の内側に対して電気的に接続してある。ま
た、各第2内部電極層14の一端は、コンデンサ素体4
の第2端部4bの外側に形成してある第2端子電極8の
内側に対して電気的に接続してある。
【0044】本実施形態では、内部電極層12および1
4は、金属膜22(図4参照)を誘電体グリーンシート
に転写して形成され、金属膜22と同じ材質で構成され
るが、その厚みは、焼成による水平方向の収縮分だけ金
属膜22よりも厚くなる。
【0045】誘電体層10の材質は、特に限定されず、
たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム
および/またはチタン酸バリウムなどの誘電体材料で構
成される。各誘電体層10の厚みは、特に限定されない
が、数μm〜数百μmのものが一般的である。
【0046】端子電極6および8の材質も特に限定され
ないが、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金な
どが用いられるが、銀や銀とパラジウムの合金なども使
用することができる。端子電極6および8の厚みも特に
限定されないが、通常10〜50μm程度である。
【0047】このような積層型セラミックコンデンサ2
の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すれば
よい。積層セラミックコンデンサ2が直方体形状の場合
は、通常、0.6〜3.2mm×0.3〜1.6mm×
0.1〜1.2mm程度である。
【0048】金属膜転写用部材 図4に示すように、本実施形態に係る積層セラミックコ
ンデンサ2の製造に用いる金属膜転写用部材30は、シ
ート状基体20の表面に、剥離可能なように金属膜22
が所定パターンで形成してある。図5に示すように、金
属膜22の表面には、たとえば電着塗装法により形成さ
れた接着層24が積層してある。
【0049】基体 基体20は、金属板、金属箔などの導電性基体、あるい
はポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンなどの
絶縁性基体の表面に実質的に剥離しないように導電性薄
膜を形成またはラミネートした複合基体のいずれでも良
いが、本実施形態では、図4に示すように導電性基体を
用いている。基体20の表面粗さは、形成する金属膜の
厚さと比較して充分に小さいことが望ましい。
【0050】金属膜 金属膜22は、本発明ではNiを主成分として含有する
が、P、B、S、Cなどのメタロイド元素が含有してあ
ってもよい。ただし、焼結時のセラミックとの反応を考
慮して、これらのメタロイド元素の含有量が少ないこと
が好ましい。
【0051】金属膜22の厚さD1(図5参照)は、用
途に応じて適宜選択可能であるが、たとえば薄層化が要
求される積層セラミックコンデンサの内部電極用として
は、0.1〜1.5μm程度とすればよい。
【0052】パターン化した金属膜22を基体20上に
形成するには、本発明ではめっき法を用いる。以下にそ
の一例を示す。
【0053】(1)まず、予め所望のパターン形状の開
口部を有するめっきレジスト層(図示省略)を、基体2
0の表面に形成する。
【0054】めっきレジスト層は、たとえば、感光性レ
ジストを基体20の全面に塗布し、所定パターンのマス
クを介して露光した後、現像するいわゆるフォトパター
ニング法などを用いることができる。めっきレジスト層
の材質は、酸性のめっき浴に対応するものを選択すれば
よい。めっきレジスト層の厚さは1〜30μm程度とす
れば良い。
【0055】(2)次に、前記開口部内にめっき法によ
って金属膜22を析出させる。
【0056】金属膜22を形成する際のめっき浴として
は、本発明ではニッケルめっき浴が使用される。
【0057】ニッケルめっき浴は、ニッケルイオン源、
アノード溶解剤およびpH緩衝剤で構成される主成分を
含有する。
【0058】本発明では、ニッケルイオン源として、ス
ルファミン酸ニッケル(Ni(NH
)を用いる。スルファミン酸ニッケルは、
たとえば、スルファミン酸(NHSOH)溶液
に、塩基性炭酸ニッケル(NiCO)を反応させる
ことにより得ることができる。全ニッケルめっき浴中の
ニッケルイオン源の含有量は、好ましくは0.2〜2.
0モル/dmである。
【0059】アノード溶解剤としては、たとえばハロゲ
ン化合物などが挙げられるが、中でも、形成後のめっき
膜に残部応力を与え難いとの観点から、臭化ニッケルを
用いることが好ましい。全ニッケルめっき浴中のアノー
ド溶解剤の含有量は、好ましくは0.01〜0.1モル
/dmである。
【0060】ニッケルめっきは、通常、pH3.0〜
6.2の範囲で作業されることから、浴のpHをこの範
囲に保つ必要がある。そこで浴には、通常、pH緩衝剤
を含有させる。pH緩衝剤としては、たとえばホウ酸、
ギ酸、酢酸、クエン酸、酒石酸などが挙げられるが、p
H4.5〜5.5で大きな緩衝作用を発揮するホウ酸を
用いることが好ましい。ただし、これに限定する必要は
なく、pH緩衝剤として、たとえば、pH2.5〜4.
0で効果を発揮するギ酸ニッケルや、pH3.5〜4.
5で効果を発揮する酢酸ニッケルを用いてもよい。全ニ
ッケルめっき浴中のpH緩衝剤の含有量は、好ましくは
0.1〜1.0モル/dmである。
【0061】ニッケルめっき浴には、浴の通電性を増加
させ、膜厚の均一性を改善するための支持電解質および
ピット防止剤が含有してあってもよい。支持電解質とし
ては、Li、Na、Kなどのアルカリ金属のスルファミ
ン酸塩を用いることができ、全ニッケルめっき浴中の支
持電解質の含有量は、好ましくは1.0〜3.0モル/
dmである。ピット防止剤としては、たとえばアニ
オン系界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウムなどの
界面活性剤が挙げられる。全ニッケルめっき浴中のピッ
ト防止剤の含有量は、0.1〜0.5g/dm程度
である。
【0062】なお、めっき浴中には、実質的に塩素イオ
ンおよび硫酸イオンを含有しないことが好ましく、より
好ましくは、浴中の塩素イオンおよび硫酸イオンの含有
量が、100ppm以下である。このように、塩素イオ
ンおよび硫酸イオンを含まないめっき浴とすることによ
り、後述する本発明のランタニド元素によるアゾジスル
ホン酸の除去効果を十全に発揮させることができる。
【0063】ニッケルめっきの作業条件は、以下の通り
である。
【0064】浴のpHは、通常pH3.0〜6.2、好
ましくは4.0〜5.0である。浴のpHは、低い方が
高電流密度が使用でき、製膜速度が向上する点で好まし
いが、pHが低すぎると、電流効率が著しく低下し、結
果的に発生する水素ガスの物理的作用によって、めっき
中に膜が剥離しうる。pHが高すぎると、めっき膜が脆
くなるといった不都合を生じうる。
【0065】浴の温度は、好ましくは30〜70℃、よ
り好ましくは40〜60℃である。浴の温度は、高い方
が高電流密度が使用でき、電圧が低くなり、析出物の硬
さを減らし、柔軟性が増加する点で好ましいが、70℃
を超える高温ではスルファミン酸イオンの加水分解が起
こって硫酸イオンやアンモニウムイオンが生成するとい
う不都合があり、また、30℃未満の低温では、浴成分
の析出が発生しうる。
【0066】陰極電流密度は、好ましくは0.1〜10
A/dm、より好ましくは0.5〜4.0A/dm
程度である。通常使用されるニッケル塩中には、微
量(ニッケルの1/100程度)のコバルトなどが不純
物として含有されており、この不純物は、作業後のニッ
ケルめっき膜中に共析する。電流密度が低すぎると、ニ
ッケルめっき膜中に共析するコバルトなどの不純物が多
くなり、脆くて表面性の悪いめっき膜となりうる。陰極
電流密度が高すぎると、陰極近傍で多くの水素が発生
し、これにより、めっき膜の剥離が発生することがあ
る。
【0067】陽極電流密度は、好ましくは4A/dm
以下、より好ましくは2A/dm 以下程度であ
る。陽極電流密度が高すぎる場合には、アゾジスルホン
酸の生成速度が大きくなり、頻繁に後述の除去作業を行
うことが必要となる。
【0068】なお、めっき作業は、浴を撹拌しながら行
うことが好ましい。撹拌することで、浴温や浴成分を均
一化し、正常な析出物を得る限界電流密度を上昇できる
メリットと、ピット(水素ガスの付着などによりめっき
面に生成される小さな穴)の発生も効果的に防止しう
る。
【0069】めっき浴の陽極としては、本実施形態では
溶解性を増加するためのS、C、Oなどの添加物を含ま
ない、高純度の電解ニッケル陽極を用いる。難溶性の電
解ニッケル陽極を用いることにより、スルファミン酸イ
オンの一部が陽極で酸化されて、下記式(3)に示すよ
うに、アゾジスルホン酸イオンが生成される(スルファ
ミン酸イオンの酸化反応)。
【0070】 2・NHSO → SON=NSO 2− +4H+4e …(3)。
【0071】生成されたアゾジスルホン酸は、陰極に吸
着してニッケル電着膜に共析することにより、有機硫黄
化合物を主成分とする応力調整剤と同様の作用を示し、
圧縮の電着応力を生じる。しかしながら、浴中のアゾジ
スルホン酸濃度が高くなり、ニッケル膜中への共析量が
多くなると、析出するめっき膜に作用する圧縮応力が強
くなりすぎて、不都合を生じうる。そこで、本発明で
は、アゾジスルホン酸の濃度が所定値に達したときに、
浴中に沈殿剤を添加する。
【0072】本実施形態で添加する沈殿剤は、ランタニ
ド元素の化合物を含有する。ランタニド元素としては、
ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム
(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、
サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニ
ウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム
(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、
ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウ
ム(Lu)から選ばれる少なくとも1つの元素であれば
よいが、これらの中でも、NdおよびDyの少なくとも
1つの元素が好ましい。すなわち沈殿剤には、ランタニ
ド元素の化合物として、NdおよびDyの少なくとも1
つの元素の化合物を含むことが好ましい。化合物として
は、酸化物、水酸化物、臭化物およびスルファミン酸塩
から選ばれる少なくとも1つが好ましい。
【0073】沈殿剤をめっき浴に添加するタイミング
は、浴中のアゾジスルホン酸濃度が、好ましくは500
ppm、より好ましくは200ppmに達したときであ
る。アゾジスルホン酸濃度が500ppmに達しためっ
き浴を用いて得られるめっき膜の圧縮応力は、通常50
MPa以上程度であり、積層セラミックコンデンサの内
部電極形成用に用いた場合に、製膜中の剥離によるパタ
ーンの欠損や、基体からの剥離、転写後の変形などの悪
影響を与えうる。
【0074】なお、浴中のアゾジスルホン酸濃度が20
0ppmに達したときに沈殿剤を添加することは、50
0ppmに達したときに添加する場合と比較して、その
頻度を増加させるが、200ppmの時点で沈殿剤を添
加することで、上述した不都合が一層生じにくい優れた
めっき膜を得ることができる。
【0075】沈殿剤の添加量は、応力が引張方向に作用
する場合をプラス(+)とし、圧縮方向に作用する場合
をマイナス(−)とした場合に、析出されるめっき膜の
応力が、好ましくは+20MPa〜−50MPa、より
好ましくは+10MPa〜−20MPa程度になる量で
ある。たとえば本実施形態では、100MPaの圧縮応
力を示すようになっためっき浴を、上記範囲の応力とな
るように戻そうとする場合の沈殿剤の添加量は、好まし
くは0.5×10−3〜2.0×10−3モル/dm
、より好ましくは1.0×10−3〜1.5×10
−3モル/dm である。
【0076】アゾジスルホン酸の少なくとも一部を沈殿
剤と反応させるには、浴中に沈殿剤を投入後、浴内を撹
拌することにより行えばよい。撹拌の方式は、手動であ
ってもよいし、あるいは自動攪拌機を用いてもよい。撹
拌時間は、特に限定されないが、好ましくは1〜8時
間、より好ましくは2〜4時間程度行えばよい。
【0077】このようにして生成する沈殿物は、塩酸塩
や硫酸塩溶液には溶解するが、スルファミン酸塩溶液や
臭化物溶液には溶解しないことが本発明者により確認さ
れている。この沈殿物を取り除くには、濾過などの分離
操作を行えばよい。
【0078】本発明によれば、めっき浴の一部を廃棄す
ることなく、極めて簡単な操作で過剰なアゾジスルホン
酸を除去できる。その結果、析出するめっき膜の応力を
調整することが容易である。また本発明では、めっき浴
の一部を廃棄する必要がないので、コスト的にも有利で
あり、しかも環境保護の観点からも有益である。
【0079】(3)次いで、本実施形態では、めっきレ
ジスト層を除去する。ただし、後述する接着層24を形
成した後に、めっきレジスト層を除去することとしても
よい。
【0080】本実施形態のように、後述する接着層24
の形成に先立ち、めっきレジスト層を除去する場合に
は、剥離液の選定について接着層24への悪影響を考慮
する必要はなく、めっきレジスト層に対する影響のみを
考慮して有機溶剤、酸、アルカリ溶液等の中から選択す
れば良い。
【0081】接着層 金属膜22の表面に形成される接着層24(図5参照)
は、たとえばアニオンまたはカチオン電着塗装法による
熱可塑性有機高分子を含む。
【0082】接着層24を金属膜22の表面に形成する
には、有機高分子エマルジョンまたは溶液中に基体20
を浸漬し、金属膜22を陰極または陽極として電解処理
することにより行うことができる。
【0083】有機高分子エマルジョンまたは溶液として
は、エポキシ系、アクリル系、酢酸ビニル系、アクリル
共重合系などが利用可能であるが、セラミック積層体を
焼成する際の熱分解性も考慮すると、アクリル系または
アクリル共重合系の中から、陽極電解または陰極電解に
よって析出可能なものを選択するのが望ましい。
【0084】また、金属膜厚と同等以下の薄さの厚みD
2(図5参照)を持つ接着層24を形成するためには、
エマルジョンの粒径または分子量が十分小さいものを選
択することが望ましい。
【0085】接着層24の厚さD2(図5参照)は、パ
ターン化された金属膜22の厚さD1と同等以下とする
のが望ましいが、これは電着電圧を所定の値に設定する
ことにより制御することができる。電着塗装では、印加
電圧に応じた厚みの絶縁膜が金属の表面に形成された段
階で、絶縁膜の成長が停止するからである。
【0086】なお、前記有機高分子エマルジョンまたは
溶液には、通常の電着塗装法と同様に、必要に応じて有
機/無機の顔料などを添加することもでき、接着層24
の着色が可能であると共に、積層セラミック電子部品に
おけるセラミック層と金属膜との密着性改善、金属膜の
酸化防止などの効果を持たせることも可能である。
【0087】積層セラミックコンデンサ2の製造方法 次に、積層セラミックコンデンサ2の製造方法を説明す
る。積層型セラミックコンデンサ2は、たとえば上述し
た金属膜転写用部材30などを用いて、以下のようにし
て製造することができる。
【0088】まず、誘電体層用ペーストを準備する。誘
電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混
練して得られた有機溶剤系ペースト、または水溶性溶剤
系ペーストで構成される。誘電体原料としては、複合酸
化物や酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸
塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、
混合して用いることができる。
【0089】有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中
に溶解したものであり、有機ビヒクルに用いられるバイ
ンダとしては、特に限定されず、エチルセルロース、ポ
リビニルブチラール、アクリル樹脂などの通常の各種バ
インダが用いられる。また、有機溶剤も特に限定され
ず、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、
トルエンなどの有機溶剤が用いられる。
【0090】また、水溶性溶剤系ペーストに用いられる
水溶性溶剤としては、水に水溶性バインダ、分散剤など
を溶解させた溶剤が用いられる。水溶系バインダとして
は特に限定されず、ポリビニルアルコール、メチルセル
ロース、ヒドロキシエチルセルロース、水溶性アクリル
樹脂、エマルジョンなどが用いられる。
【0091】上述した各ペーストの有機ビヒクルの含有
量は特に限定されず、通常の含有量、たとえばバインダ
は1〜5質量%程度、溶剤は10〜50質量%程度とす
ればよい。また、各ペースト中には必要に応じて各種分
散剤、可塑剤、ガラスフリット、絶縁体などから選択さ
れる添加物が含有されても良い。
【0092】次に、この誘電体層用ペーストを用いて、
ドクターブレード法などにより、図3に示すグリーンシ
ート10aを形成する。次に、グリーンシート10aの
表面に、図1に示す内部電極12となる金属膜のパター
ン12aを、転写法により形成する。また、別のグリー
ンシート10aの表面には、図1に示す内部電極14と
なる金属膜のパターン14aを、転写法により形成す
る。
【0093】金属膜のパターン12aおよび14aは、
同様な転写法によりグリーンシート10aの表面に形成
できる。以下の説明では、グリーンシート10aの表面
に電極のパターン12aを直接転写法により形成する方
法について説明する。
【0094】ドクターブレード法などで形成した直後の
グリーンシート10aは、通常、基材シート上に剥離可
能に積層してある。そのグリーンシート10aの表面
に、図4および図5に示す金属膜転写用部材30を、接
着層24がグリーンシート10aの表面に接触するよう
に積層させ、両者を、常温にて、好ましくは0.05〜
2MPa、さらに好ましくは0.05〜1MPaの圧力
にて加圧する。
【0095】その結果、転写用部材30の表面に形成し
てある接着層24の作用により、所定パターンの金属膜
22は、グリーンシート10a側に良好に接着し、基体
20をグリーンシート10a側から剥がすことで金属膜
が転写され、図3に示す金属膜のパターン12aが得ら
れる。その他の金属膜のパターン14aも、同様にして
転写法により形成することができる。
【0096】本実施形態に係る金属膜転写用部材30を
用いることにより、グリーンシート10aなどの壊れや
すい被転写部材の表面に、極めて薄くかつ均一な金属膜
のパターン12aまたは14aを、常温および低圧で転
写することができる。
【0097】その後、これらパターン12aおよび14
aが形成されたグリーンシート10aを、必要に応じて
何らパターンが形成されていないグリーンシート10a
と共に複数枚積層し、切断線16に沿って切断すること
で焼成前グリーンチップを得る。
【0098】次に、このグリーンチップに対して脱バイ
ンダ処理および焼成処理を行う。脱バインダ処理は焼成
前に行われるが、空気雰囲気において、昇温速度を5〜
300℃/時間、より好ましくは10〜100℃/時
間、保持温度を180〜400℃、より好ましくは20
0〜300℃、温度保持時間を0.5〜24時間、より
好ましくは5〜20時間とする。
【0099】グリーンチップの焼成雰囲気は、酸素分圧
を10−7〜10−3Paとすることが好ましい。酸素
分圧が低すぎると内部電極の導電材が異常焼結を起こし
て途切れてしまい、酸素分圧が高すぎると内部電極が酸
化される傾向にある。また、焼成時の保持温度は110
0〜1400℃、より好ましくは1200〜1380℃
である。この保持温度が低すぎると緻密化が不充分とな
り、保持温度が高すぎると内部電極の異常焼結による電
極の途切れまたは内部電極材質の拡散により容量温度特
性が悪化する傾向にある。
【0100】これ以外の焼成条件としては、昇温速度を
50〜500℃/時間、より好ましくは200〜300
℃/時間、温度保持時間を0.5〜8時間、より好まし
くは1〜3時間、冷却速度を50〜500℃/時間、よ
り好ましくは200〜300℃/時間とし、焼成雰囲気
は還元性雰囲気とすることが望ましく、雰囲気ガスとし
てはたとえば窒素ガスと水素ガスとの混合ガスを加湿し
て用いることが望ましい。
【0101】還元性雰囲気で焼成した場合は、コンデン
サチップの焼結体にアニールを施すことが望ましい。上
述した脱バインダ処理、焼成およびアニール工程におい
て、窒素ガスや混合ガスを加湿するためには、たとえば
ウェッターなどを用いることができる。この場合の水温
は5〜75℃とすることが望ましい。
【0102】以上のようにして、図1および図2に示す
コンデンサ素体4が得られる。この得られたコンデンサ
素体4の両端部に、端子電極6および8を形成すれば、
積層セラミックコンデンサ2が得られる。
【0103】以上、本発明の実施形態について説明して
きたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において
種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0104】
【実施例】以下、本発明をさらに詳細な実施例に基づき
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0105】実施例1 まず、以下に示す濃度に調整したスルファミン酸ニッケ
ルめっき浴1を準備した。
【0106】スルファミン酸ニッケルの4水塩(Ni
(NHSO・4H O):0.5モル/
dm、 スルファミン酸リチウム(LiNHSO):2
モル/dm、 臭化ニッケルの6水塩(NiBr・6HO):
0.03モル/dm 、 ホウ酸:0.5モル/dm
【0107】次いで、前記めっき浴1を用い、応力測定
用のテストストリップ(エレクトロケミカル社製)に
て、電流密度:1A/dm、めっき時間:10分、
における応力を測定した。その結果、建浴直後のめっき
浴1では、約20MPaの引張応力であった。
【0108】次いで、前記めっき浴1を1dm使用
して、電解ニッケル板を陽極、鉄板を陰極とし、陽極電
流密度:1A/dm、陰極電流密度:1A/dm
の電流条件で、100時間の連続めっき処理を行っ
た。処理後のめっき浴2について前述の方法でめっき膜
の応力を測定したところ、約100MPaの圧縮応力を
示した。
【0109】次いで、前記処理後のめっき浴2を用い
て、陽極酸化処理して膜の剥離性を向上させたニオブ基
体に厚さ1μmのパターン状の製膜を試みたところ、め
っき膜の浮きが発生し、パターンの一部が剥離してしま
った。
【0110】次いで、前記処理後のめっき浴2に、Nd
酸化物の粉末を0.001モル/dm添加し、2時
間撹拌した後No.5Cの濾紙を用いて濾過を行ったと
ころ、濾紙上には薄紫色の沈殿物が観察された。
【0111】次いで、前記沈殿物を濾過した後のめっき
浴3について、再び前述の方法でめっき膜の応力を測定
したところ、ほとんど0MPaの値を示した。
【0112】次いで、前記濾過後のめっき浴3を用い
て、陽極酸化処理済みニオブ基体にパターン状の製膜を
行ったところ、引張応力によるパターンエッジのめくれ
や、圧縮応力によるパターン中央部の浮き等は全くな
く、完全な製膜が可能であった。また、不純物の混入時
に懸念される、粉状析出、光沢不良等の外観的な異常も
認められなかった。
【0113】実施例2 Nd酸化物の代わりにDy酸化物を用いた以外は、実施
例1と同様にして、めっき浴の処理および応力測定を行
った。Dy酸化物の添加処理後の濾過においては、白色
の沈殿物が観察され、濾過後のめっき液における応力
は、5MPaの圧縮応力を示した。このめっき浴を用い
て、実施例1と同様にパターン状の製膜を行ったとこ
ろ、パターンエッジのめくれや、パターン中央部の浮き
などの不都合はなく、完全な製膜が可能であった。
【0114】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、めっき浴の一部を廃棄することなく簡易にアゾジス
ルホン酸を取り除くことができるアゾジスルホン酸の除
去方法を提供できる。また、本発明によれば、このよう
なアゾジスルホン酸の除去方法を用いた低応力のめっき
膜の形成方法、および積層セラミック電子部品の製造方
法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明に係る積層セラミック電子部品
の一例としての積層セラミックコンデンサの一部破断断
面図である。
【図2】 図2は図1の積層セラミックコンデンサの平
面図である。
【図3】 図3は図1および図2に示すコンデンサの製
造過程に用いるグリーンシートの斜視図である。
【図4】 図4は金属膜転写用部材の一例を示す斜視図
である。
【図5】 図5は図4に示すV−V線に沿う断面図であ
る。
【符号の説明】 2… 積層セラミックコンデンサ 4… コンデンサ素体 6… 第1端子電極 8… 第2端子電極 10… 誘電体層 10a… グリーンシート 12… 第1内部電極層 12a… パターン 14… 第2内部電極層 14a… パターン 20… 基体 22… 金属膜 24… 接着層 30… 金属膜転写用部材

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アゾジスルホン酸の濃度が所定値に達し
    たスルファミン酸ニッケルを含むめっき浴に、ランタニ
    ド元素の化合物を含む沈殿剤を添加する工程と、 前記アゾジスルホン酸の少なくとも一部を、前記沈殿剤
    と反応させて沈殿物を得る工程と、 前記沈殿物を前記めっき浴から取り除く工程とを有する
    アゾジスルホン酸の除去方法。
  2. 【請求項2】 前記ランタニド元素の化合物が、ネオジ
    ムおよび/またはジスプロシウムの化合物である請求項
    1に記載のアゾジスルホン酸の除去方法。
  3. 【請求項3】 前記ランタニド元素の化合物が、ランタ
    ニド元素の酸化物、水酸化物、臭化物およびスルファミ
    ン酸塩から選ばれる1つ以上である請求項1に記載のア
    ゾジスルホン酸の除去方法。
  4. 【請求項4】 前記めっき浴が、実質的に塩素イオンお
    よび硫酸イオンを含有しないことを特徴とする請求項1
    〜3のいずれかに記載のアゾジスルホン酸の除去方法。
  5. 【請求項5】 前記めっき浴に含まれるアゾジスルホン
    酸の濃度が500ppmに達したときに、前記沈殿剤を
    めっき浴に添加することを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれかに記載のアゾジスルホン酸の除去方法。
  6. 【請求項6】 前記めっき浴に含まれるアゾジスルホン
    酸の濃度が200ppmに達したときに、前記沈殿剤を
    めっき浴に添加することを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれかに記載のアゾジスルホン酸の除去方法。
  7. 【請求項7】 応力が引張方向に作用する場合をプラス
    (+)とし、圧縮方向に作用する場合をマイナス(−)
    とした場合に、析出されるめっき膜の応力が、+20M
    Pa〜−50MPaになる量の沈殿剤を添加することを
    特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のアゾジスル
    ホン酸の除去方法。
  8. 【請求項8】 濾過することにより前記沈殿物を前記め
    っき浴から取り除くことを特徴とする請求項1〜7のい
    ずれかに記載のアゾジスルホン酸の除去方法。
  9. 【請求項9】 アゾジスルホン酸の濃度が所定値に達し
    たスルファミン酸ニッケルを含むめっき浴に、ランタニ
    ド元素の化合物を含む沈殿剤を添加する工程と、 前記アゾジスルホン酸の少なくとも一部を、前記沈殿剤
    と反応させて沈殿物を得る工程と、 前記沈殿物を前記めっき浴から取り除く工程と、 前記沈殿物を取り除いためっき浴を用いてめっき処理を
    行い、めっき膜を形成する工程とを有するめっき膜の形
    成方法。
  10. 【請求項10】 アゾジスルホン酸の濃度が所定値に達
    したスルファミン酸ニッケルを含むめっき浴に、ランタ
    ニド元素の化合物を含む沈殿剤を添加する工程と、 前記アゾジスルホン酸の少なくとも一部を、前記沈殿剤
    と反応させて沈殿物を得る工程と、 前記沈殿物を前記めっき浴から取り除く工程と、 前記沈殿物を取り除いためっき浴を用いてめっき処理を
    行い、めっき膜で構成される金属膜が所定パターンで形
    成された金属膜転写用部材を得る工程と、 前記金属膜転写用部材の所定パターンの金属膜を、焼成
    後にセラミック焼結体となるグリーンシートの表面に、
    直接または1種以上の中間媒体を介して間接的に転写す
    る工程と、 前記所定パターンの金属膜が転写されたグリーンシート
    を、他のグリーンシートと共に積層する工程と、 積層されたグリーンシートを焼成する工程とを有する積
    層セラミック電子部品の製造方法。
  11. 【請求項11】 ランタニド元素の化合物を含むアゾジ
    スルホン酸の沈殿剤。
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