JP2005101348A - セラミック薄膜の製造方法および積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

セラミック薄膜の製造方法および積層セラミック電子部品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 膜厚を薄くしてもピンホールのない緻密なセラミック薄膜を、高い温度での焼成工程を経ずに製造する方法を提供する。
【解決手段】 セラミック結晶粒子の単分散溶液である電着液15に基板31と陽極14とを浸漬し、パルス電流を通電して基板31上にセラミック結晶粒子を堆積させてセラミック薄膜を得る。さらに、これを焼結温度以下の温度で熱処理する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、セラミック薄膜の製造方法およびこれを用いた積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品に製造方法に関する。
積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品の製造方法としては、キャリアフィルム上に形成したグリーンシートを積層、圧着する方法がよく知られている。すなわち、セラミック材料粉末を含むスラリーをドクターブレード法などによってキャリアフィルム上に所定の厚みを有するグリーンシートとして成形する。次にスクリーン印刷などの方法によってグリーンシート上に所定形状の内部導体を印刷し、複数のグリーンシートを積層、圧着した後に例えば1000℃程度の所定の温度で焼成して積層セラミック電子部品を製造している。
しかし、現在一般的に用いられている上記の方法には次のような問題があることが知られている。第1に、積層セラミックコンデンサにおいては小型で大容量を得るためにはセラミック層を薄くすることが不可欠であり、セラミック層をさらに薄くすることが要求されているが、この製造方法ではセラミック層が3μm以下となったときに電流のリークやショートが発生しやすくなる。第2に、内部電極をスクリーン印刷で形成する場合、グリーンシートを薄くするほど、グリーンシートの厚みに対して内部電極の厚みが無視できなくなり、積層、圧着の工程で「積みずれ」と呼ばれる内部電極の位置ずれを招いたり、積層体に不所望な変形が生じることがあった。
これらの問題を解決するべく、本出願人は特許文献1において以下に説明する製造方法を提案した。
この発明では、まず導電性の基板上に電気泳動法によってセラミックグリーン層を形成し、次に、無電解めっき法などの湿式めっき法を用いてセラミックグリーン層上に内部電極を形成する。さらに、内部電極が形成されたセラミックグリーン層上にさらに電気泳動法によってセラミックグリーン層を形成する。この後さらに内部電極の形成とセラミックグリーン層の形成を繰り返して積層体を得る。次にこの積層体をたとえば1000℃から1200℃程度の温度で焼成して積層セラミック電子部品が完成する。
この製造方法によれば、内部電極による段差を解消するようにセラミックグリーン層が堆積するため、「積みずれ」や積層体の不所望な変形が起こらないという効果がある。さらに、電気泳動法によって堆積するセラミックグリーン層には、厚みが極端に薄い部分や貫通孔などが生じにくいことから、セラミックグリーン層の厚みを1μm程度まで薄くすることが可能となった。
さらに、電気泳動法を用いたセラミック層の形成方法としては特許文献2に記載された技術がある。
この技術では、Ba(NO32とTiCl3を含んだ水溶液中でパルス電解を行い、基板上にTiおよびBaの水酸化物などを析出させ、この水酸化物を1000℃程度で熱処理することによってBaTiO3を得る。
特開2002−231574号公報 特開平10−152796号公報
特許文献1に記載された技術では、電気泳動法によって得られるセラミックグリーン層は結晶粒子がランダムに堆積している。そのため、セラミックグリーン層の厚みを1μm以下にした場合には焼成工程後にセラミック層にピンホールが発生することがあった。
また、内部電極を形成するときにマスクを介して無電解めっきを施すが、マスクの周辺部でめっきの異常析出が生じてしまうこともあった。
さらに、電気泳動法によって電着されるのはセラミックグリーン層であるため、積層体を形成した後に内部電極とともに1000℃程度の温度で焼成することが不可欠である。このとき、セラミック層と内部電極とのあいだで熱応力が発生し、セラミック層や内部電極にクラックが発生することがあった。また、焼成時に金属からなる内部導体が熱によって凝集を起こしてしまうこともあった。
特許文献2の技術においても、電着によって形成されるのは水酸化物であって、酸化物であるセラミック層を得るためには1000℃程度の温度での焼成が必要である。よってこの技術を使って積層セラミック電子部品を製造すると、セラミック層や内部導体のクラックが発生する虞がある。
本発明は、厚みを1μm以下としてもピンホール等が生じにくく、かつ高温での焼成を必要とせず内部電極の凝集やクラックが発生しないセラミック薄膜の製造方法および積層セラミック電子部品の製造を提供することを目的とする。
また本発明は、無電解めっき工程において異常析出しない内部電極の形成方法を含む積層セラミック電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係るセラミック薄膜の製造方法は、セラミック結晶粒子を分散させた電着液中に基板と電極とを浸漬し、前記基板と前記電極との間にパルス電流を通電させて前記基板上に前記セラミック結晶粒子を堆積させることを特徴とする。
これにより、高い温度での焼成工程を経ずに、薄くかつ緻密なセラミック薄膜を得ることができる。高温での焼成工程が不要であるため、このセラミック薄膜を電子部品に用いた場合に熱応力によるクラックなどが発生しない。また、製造コストも低減される。
また、本発明に係るセラミック薄膜の製造方法は、前記電着液は、溶媒に前記セラミック結晶粒子が単分散していることを特徴とする。
これにより、セラミック薄膜がさらに緻密になり、ピンホールの発生を抑制できる。
さらに、本発明に係るセラミック薄膜の製造方法は、前記基板上に堆積した前記セラミック結晶粒子を、前記セラミック結晶粒子の焼結温度以下の温度で熱処理する工程を含むことを特徴とする。
これにより、基板とセラミック薄膜との固着力、およびセラミック結晶粒子同士の固着力を向上させることができる。なおこのとき、本発明ではセラミック結晶粒子を基板上に堆積させるので、つまりすでに結晶化している粒子を堆積させるため、焼結温度より高い温度で熱処理する必要がない。すなわち、十分な固着力を持ったセラミック薄膜を、比較的低い温度の熱処理で製造することができるため、熱応力を緩和することができ、クラックの発生を抑制することができる。
また、本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法は、請求項1ないし3のいずれかに記載のセラミック薄膜の製造方法によって、セラミック薄膜を形成する工程と、前記セラミック薄膜上の所定部分に内部電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
これにより、薄くかつ緻密なセラミック薄膜を有する電子部品を得ることができる。また、結晶化温度以上の高い温度での焼成工程が不要となるので、セラミック薄膜と内部電極との線膨張係数の差によるクラックの発生を防止することができる。
さらに本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法では、前記セラミック薄膜を形成する工程と、前記内部電極を形成する工程とを交互に複数回繰り返してもよい。
また、本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法は、セラミック薄膜を形成する工程と、下面に所定形状の凹部を有し透孔性の材料からなるモールドを感光性触媒液に浸漬して前記凹部に前記感光性触媒液を充填する工程と、前記モールドを前記セラミック薄膜上に押し付けつつ前記モールドを通して前記感光性触媒液に光を照射して前記感光性触媒液を硬化させ、前記セラミック薄膜の所定の部分に触媒活性処理を施す工程と、前記セラミック薄膜を無電解めっき液に浸漬させて、前記セラミック薄膜上の触媒活性処理された部分に選択的にめっき被膜を析出させて内部電極を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
これにより、無電解めっき工程における異常析出を防ぐことができる。また、モールドは繰り返し使用可能であるので、製造コストを低減することができる。さらに、感光性の触媒液を用いるため、触媒液を硬化させる時に熱処理を行う必要がなく、熱応力によるクラックの発生を防ぐことができる。
また、本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法は、請求項1ないし3のいずれかに記載のセラミック薄膜の製造方法によって、セラミック薄膜を形成する工程と、下面に所定形状の凹部を有し透光性の材料からなるモールドを感光性触媒液に浸漬して前記凹部に前記感光性触媒液を充填する工程と、前記モールドを前記セラミック薄膜上に押し付けつつ前記モールドを通して前記感光性触媒液に光を照射して前記感光性触媒液を硬化させ、前記セラミック薄膜上の所定の部分に触媒活性処理を施す工程と、前記セラミック薄膜を無電解めっき液に浸漬させて、前記セラミック薄膜上の触媒活性処理された部分に選択的にめっき被膜を析出させて内部電極を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
これにより、薄くかつ緻密なセラミック薄膜を有する電子部品を得ることができる。また、結晶化温度以上の高い温度での焼成工程が不要となるので、セラミック薄膜と内部電極との線膨張係数の差によるクラックの発生を防止することができる。さらに、無電解めっき工程における異常析出を防ぐことができる。また、モールドは繰り返し使用可能であるので、製造コストを低減することができる。
以上のように本発明に係るセラミック薄膜の製造方法によれば、パルス電流を通電させることで薄くかつ緻密なセラミック薄膜を得ることができ、具体的には厚みが1μm以下でピンホールのないセラミック薄膜を得ることができる。さらに、焼結温度以上の温度での焼成が不要であるので、クラックの発生の防止および製造コスト低減の効果がある。
また本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法によれば、結晶化温度を超えるような高い温度での焼成工程を必要としないので、セラミック薄膜と内部電極の線膨張係数の差に起因するクラックの発生を防止できる。また、めっきの異常析出を防ぐことができる。
以下において本発明の第1の実施形態に係るセラミック薄膜の製造方法について説明する。
図1(a)は本発明のセラミック薄膜の製造に用いる電解装置を示す。この電解装置は関数発生器11、電源12、電解槽13からなる。電解槽13には電着液15が貯留されており、電着液15に基板31と陽極14が浸漬されている。基板31は陰極として機能する。陽極14の材料としてはPtなどの貴金属や炭素などを用いることができる。
電着液15はエマルジョン法などで作成したセラミック結晶粒子の分散溶液である。分散溶液は、セラミック結晶粒子と分散媒、分散剤などを混合して得ることができる。
セラミック結晶粒子は、セラミック材料の粉末を仮焼、粉砕して得ることができ、平均粒径が30nm以下の微細なものを用いる。セラミック結晶粒子は単結晶であっても多結晶であってもよい。セラミック結晶としては例えばBaTiO3、TiO3、PbTiO3などを用いることができる。
電着液15は、セラミック薄膜を緻密にする観点から、セラミック結晶粒子ができるだけ凝集していないものとすることが好ましく、セラミック結晶粒子の凝集がない単分散溶液であることがより好ましい。
セラミック結晶粒子の凝集を防いで単分散させるためには表面修飾剤を添加することが好ましく、表面修飾剤としては例えばグリセリン、オレイン酸エチル、モノオレイン酸グリセリン、リン酸エステル、カルボン酸系化合物など周知の表面修飾剤を用いればよく、特に限定されるものではない。表面修飾剤を添加しても一部の粒子が凝集することがあり、このような場合には凝集している比較的大きな粒子塊を選択沈殿などの方法で除去すればよい。
また、分散媒としては各種の有機溶剤を単独または複数種類混合して用いることができる。
基板31は例えばSiや導電性酸化物などからなる。基板31と、陽極14を電着液に浸漬し、関数発生器11によって与えられたパルス信号によって電源12からパルス電流が基板31と陽極14との間に通電される。図1(b)はパルス電圧を示すグラフである。一定の時間(A)だけ電圧を印加した後、一定の時間(B)だけ電圧の印加を休止し、これを所定回数だけ繰り返している。このグラフでは電界強度を0.4V/cmとしたがこれに限られるものではなく、電界強度は適宜適切な値に調整することが好ましい。
パルス電流を通電することにより、電着液15中で帯電しているセラミック結晶粒子が基板31上に堆積する。このとき、本発明ではパルス電圧を印加していることによって、セラミック結晶粒子が基板31上に規則的に配列される。これは、印加する電圧をパルス信号にすることによって電着液15の流動状態を制御することができるためと考えられる。
所定の時間、電解を行うことによって所望の膜厚のセラミック薄膜を得ることができる。本発明ではセラミック結晶粒子が規則的に配列しているので薄膜の緻密性が高く、膜厚を数百nm程度に薄くしてもピンホール等が発生しない。
次に、基板31を電着液15から引き上げ、所定時間の熱処理を行って、セラミック結晶粒子同士の固着力や、セラミック結晶粒子と基板31との固着力を向上させる。このとき本発明では、セラミック結晶粒子の焼結温度より低い温度で加熱することが好ましい。加熱前の状態で既に粒子が結晶化しているため、セラミックを結晶化させる必要がなく、かつ、粒子を微粒化しているので表面エネルギーが高く比較的低い温度で十分な固着力を得ることができるからである。
また、特許文献1に記載された技術では、焼結温度以上の温度で焼成して粒成長させることによってピンホールをふさぐ必要があったが、本発明ではセラミック結晶粒子が規則的に配列されて緻密な膜となっているので、粒成長させなくてもピンホールは発生しない。
次に本発明の第2の実施形態に係るセラミック電子部品の製造方法について説明する。
図2はセラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサである。積層セラミックコンデンサは、誘電体セラミックからなる誘電体層22と内部電極23とを交互に積層してなる基体21と、基体21の外表面に形成されている外部電極24とからなる。
図3は積層セラミックコンデンサの誘電体層と内部電極層の製造工程を示す図である。図3(a)に示すように、例えばSiからなる基板31上に、第1の実施形態において説明した方法で誘電体セラミックからなるセラミック薄膜22を形成する。
次に図3(b)に示すように、石英ガラスやサファイア(Al23)などの透光性の材料からなるモールド32を用意する。モールド32の下面には所定形状の凹部が形成されている。このモールド32を感光性触媒液33に浸漬して、モールド32の凹部に感光性触媒液32を充填する。感光性触媒液32は、感光性樹脂、Sn化合物、Pd化合物を含んでいる。また、感光性触媒液32の粘度は1.0〜5.0mPa・sとすることが好ましく、2.0〜3.0mPa・sとすることがより好ましい。
次に図3(c)に示すようにモールド32を50MPa程度の圧力でセラミック薄膜22に押し付けながら、モールド32を通して紫外光を照射し感光性触媒液33を硬化させる。これにより、図3(d)に示すようにセラミック薄膜22上の所定の箇所に感光性触媒液が付与される。このモールド32は繰り返し何度でも使用可能であるため、経済的である。
所定の箇所に感光性触媒液33が付与された状態で無電解めっき液に浸漬し、図3(e)に示すように内部電極23が形成される。内部電極23はAu,Ag,Cu,Niなど種々の金属を使用できるが、本発明では第1の実施形態で説明した熱処理工程における熱処理温度が比較的低いため、Niなどの安価な卑金属を使用することが可能であり、製造コストを低減することができる。
次に図3(f)に示すように、第1の実施形態において説明した方法で再びセラミック薄膜22を形成する。電気泳動法では薄膜の堆積速度は電圧に比例するため、内部電極23の形成されていない領域では堆積速度が大きくなる。そのため、セラミック薄膜22は内部電極23による段差を埋めるように形成され、セラミック薄膜22の表面は概ね平坦になり、積みずれや誘電体層の屈曲なども起こらない。
この後さらに内部電極23とセラミック薄膜22の形成を交互に繰り返し、得られた積層体を所定位置でカットし、ウェットエッチングによって基板31を除去する。これによって図2に示す積層セラミックコンデンサの基体21が完成する。基体21の表面にAgを主成分とする下地電極24aをペーストの焼付によって形成し、下地電極24aに順にNiめっき層24b、Snめっき層24cを形成して外部電極24とする。外部電極24の外層はSnの替わりにAuなどであってもよい。これによって積層セラミックコンデンサが完成する。
本実施形態では積層セラミックコンデンサを例にとって説明したが、本発明は積層コイルやLC複合部品などにも適用可能である。
以下において本発明の具体的な実施例について説明する。図1(a)は本発明に用いる電解装置である。
まず基板31として用いる、直径72mmのSiウエハを用意し、これをアセトンに浸漬して超音波洗浄機で5分間洗浄し、さらにエタノール洗浄、水洗浄を行う。
次に基板31と、一方の面を絶縁処理したPt板からなる陽極14とを電解装置の電解槽13に浸漬する。このとき、陽極14の絶縁処理されていない面が基板31と対向するようにする。
電解槽13に貯留されている電着液15は、エマルジョン法で作成されたBaTiO3の単分散溶液である。電着液中のBaTiO3の含有量はおよそ3wt%とされている。
このBaTiO3の単分散溶液は、まず平均粒径が30nm以下のBaTiO3結晶粒子を準備し、このBaTiO3結晶粒子を、1−ブタノールとヘキサノールを混合した分散媒に分散し、ここに表面修飾剤としてヘキサン酸を添加して攪拌することによって作成した。
この状態で、関数発生器11と電源12とによって、基板31と陽極14との間にパルス電圧を印加する。パルス電圧は、0.4V/cmの電界を0.5秒間かけたのちに10秒間停止し、これを繰り返すようになっている。すなわち、図1(b)の時間Aを0.5秒間とし、時間Bを5秒間とした。
これにより図3(a)に示すように、厚みおよそ150nmのBaTiO3からなるセラミック薄膜22を得る。セラミック結晶粒子が規則的に配列しているため、膜が緻密であり、厚み150nm程度まで薄くしてもピンホール等はほとんど発生せず、非常に薄いセラミック薄膜22を得ることができる。
次に窒素雰囲気中、450℃で5分間の加熱処理を行い、基板31とセラミック薄膜22との固着力、およびセラミック結晶粒子同士の固着力を向上させる。一般にBaTiO3の焼結温度はおよそ900℃以上であるから、焼結温度以上の温度で焼成を行う従来技術と比較して、本発明では大幅に低い温度の加熱処理でよいため、製造コストを低減できる。また、加熱温度が低いために熱応力も小さく、後の工程で形成する内部導体に、熱応力に起因する亀裂が生じることを抑制できる。さらに、熱処理温度が高い場合には内部導体の金属が凝集してしまうことがあるが、本発明では熱処理温度が比較的低いのでそのようなことは起こらない。
次に図3(b)に示すように、石英ガラスからなるモールド32を用意する。モールド32の下面には所定形状の凹部が形成されている。凹部はFIB直接描画、AFM直接描画、電子線リソグラフィー、X線リソグラフィーなどの方法を用いることによって形成可能で、これらの方法によれば高精度の凹部を形成できる。
このモールド32を感光性触媒液33に浸漬して、モールド32の凹部に感光性触媒液33を充填する。感光性触媒液33は、感光性樹脂であるo−ニトロベンズアルデヒド、Sn化合物、Pd化合物を含んでいる。また、感光性触媒液33の粘度はおよそ2.0〜3.0mPa・sとされている。
次に図3(c)に示すようにモールド32を50MPa程度の圧力でセラミック薄膜22に押し付けながらモールド32を透過させて紫外光を照射し、感光性触媒液33を硬化させる。これにより、図3(d)に示すようにセラミック薄膜22上の所定の箇所に感光性触媒液33が付与される。
次に基板31とセラミック薄膜22とを、塩化ニッケルをニッケル源とする無電解ニッケルめっき浴に浸漬する。これにより、感光性触媒液33が付与されていた箇所に図3(e)に示すようにNiからなる内部電極23が形成される。内部電極23の厚みはおよそ100μmである。
次に上述の方法で再びセラミック薄膜22を形成する。電気泳動法では薄膜の堆積速度は電圧に比例するため、内部電極23の形成されていない領域では堆積速度が大きくなる。そのため、セラミック薄膜22は内部電極23による段差を埋めるように形成され、セラミック薄膜22の表面は概ね平坦になり、積みずれや誘電体層の屈曲なども起こらない。
この後さらに内部電極23とセラミック薄膜22の形成を交互に繰り返し、100層のセラミック薄膜22を備える積層体を形成する。得られた積層体を所定位置でカットし、ウェットエッチングによって基板31を除去する。これによって図2に示す積層セラミックコンデンサの基体が完成する。基体21の表面にAgを主成分とする下地電極24aを形成し、下地電極に順にNiめっき層24b、Snめっき層24cを形成して外部電極24とする。これによって積層セラミックコンデンサが完成する。
以上のようにして作成した積層セラミックコンデンサ100個について、デラミネーション発生率、ショート不良率、静電容量、積みずれあるいはクラックの発生率、内部電極23のカバレッジ(有効電極面積率)を評価した。評価結果を表1に示す。静電容量は1kHz、1V/μmの条件で測定した。
Figure 2005101348
このように、デラミネーションやショート、積みずれ、クラックの発生といった不良が発生していないことが確認された。また、平均で3.5μFの静電容量が得られており、コンデンサとして機能していることが確認された。さらに、内部電極23のカバレッジも十分に高い値であり、本発明の方法による触媒付与が有効であることが確認された。
本実施例の変形例として、積層セラミック電子部品の設計によっては、基板31を除去せずに、基板31を電子部品の一部として使用してもよい。
本発明に係るセラミック薄膜の製造に用いる電解装置である。 本発明に係る積層セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサを示す断面図である。 本発明に係る積層セラミック電子部品の製造工程を示す断面図である。
符号の説明
11 関数発生器
12 電源
13 電解槽
14 陽極
15 電着液
21 基体
22 セラミック薄膜(誘電体層)
23 内部電極
24 外部電極
31 基板
32 モールド
33 感光性触媒液

Claims (7)

  1. セラミック結晶粒子を分散させた電着液中に基板と電極とを浸漬し、前記基板と前記電極との間にパルス電流を通電させて前記基板上に前記セラミック結晶粒子を堆積させることを特徴とするセラミック薄膜の製造方法。
  2. 前記電着液は、溶媒に前記セラミック結晶粒子が単分散していることを特徴とする、請求項1に記載のセラミック薄膜の形成方法。
  3. 前記基板上に堆積した前記セラミック結晶粒子を、前記セラミック結晶粒子の焼結温度以下の温度で熱処理する工程を含むことを特徴とする、請求項1あるいは2に記載のセラミック薄膜の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のセラミック薄膜の製造方法によって、セラミック薄膜を形成する工程と、
    前記セラミック薄膜上の所定部分に内部電極を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。
  5. 請求項4に記載の積層セラミック電子部品の製造方法であって、
    前記セラミック薄膜を形成する工程と、前記内部電極を形成する工程とを交互に複数回繰り返すことを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。
  6. セラミック薄膜を形成する工程と、
    下面に所定形状の凹部を有し透孔性の材料からなるモールドを感光性触媒液に浸漬して前記凹部に前記感光性触媒液を充填する工程と、
    前記モールドを前記セラミック薄膜上に押し付けつつ前記モールドを通して前記感光性触媒液に光を照射して前記感光性触媒液を硬化させ、前記セラミック薄膜の所定の部分に触媒活性処理を施す工程と、
    前記セラミック薄膜を無電解めっき液に浸漬させて、前記セラミック薄膜上の触媒活性処理された部分に選択的にめっき被膜を析出させて内部電極を形成する工程と、を備えることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。
  7. 請求項1ないし3のいずれかに記載のセラミック薄膜の製造方法によって、セラミック薄膜を形成する工程と、
    下面に所定形状の凹部を有し透光性の材料からなるモールドを感光性触媒液に浸漬して前記凹部に前記感光性触媒液を充填する工程と、
    前記モールドを前記セラミック薄膜上に押し付けつつ前記モールドを通して前記感光性触媒液に光を照射して前記感光性触媒液を硬化させ、前記セラミック薄膜上の所定の部分に触媒活性処理を施す工程と、
    前記セラミック薄膜を無電解めっき液に浸漬させて、前記セラミック薄膜上の触媒活性処理された部分に選択的にめっき被膜を析出させて内部電極を形成する工程と、を備えることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。
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