JP2002188060A - 水性艶出し剤組成物 - Google Patents
水性艶出し剤組成物Info
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Abstract
および光沢が良好で、且つ、バッフィングによって容易
に光沢を回復可能な被膜を与える水性艶出し剤を提供す
る。 【解決手段】 カルボキシル基濃度が1〜10meq/
gであり、末端にエチレン性不飽和結合を有するマクロ
モノマーの塩基による中和物の存在下、水性媒体中でビ
ニル単量体を乳化重合させて得られる水性樹脂分散体を
含有する水性艶出し剤組成物。
Description
または艶出し処理のために使用できる水性艶出し剤組成
物に関するものである。
剤は広く利用されているが、得られる被膜が基材への密
着性または耐ブラックヒールマーク性や耐スカッフ性な
どの耐久性が充分ではない場合がある。カルボキシル基
含有共重合体の存在下にビニル単量体を重合させて得ら
れる水性共重合体分散液を含有する被覆剤も知られてい
る(特開昭54−148185号公報、特開平5−15
6177号公報)。このような被覆剤は、塗布して得ら
れる被膜の耐水性や耐洗剤性は良好であるが、耐久性や
条件によってはレベリング性や光沢が不充分となる場合
があり、使用が制限される。
常に優れ、耐久性、レベリング性および光沢が良好で、
且つ、バッフィングによって容易に光沢を回復可能な被
膜を与える水性艶出し剤を提供しようとするものであ
る。
に、請求項1に記載の発明の水性艶出し剤組成物は、酸
性官能基の濃度が1〜10meq/gであり、末端にエ
チレン性不飽和結合を有するマクロモノマーが塩基によ
り中和されたものの存在下、水性媒体中でビニル単量体
を乳化重合させて得られる水性樹脂分散体を含有するも
のである。
物は、酸性官能基の濃度が1〜10meq/gであり、
末端にエチレン性不飽和結合を有するマクロモノマーが
塩基により中和されたものおよび該マクロモノマー以外
の酸性官能基を有するビニル重合体の存在下、水性媒体
中でビニル単量体を乳化重合させて得られる水性樹脂分
散体を含有するものである。
物は、請求項1または2に記載の発明において、水性樹
脂分散体の固形分100質量部当りのマクロモノマーの
使用量が0.5〜50質量部であるものである。請求項
4に記載の発明の水性艶出し剤組成物は、請求項1〜3
のいずれかに記載の発明において、水性樹脂分散体の固
形分の酸性官能基またはその中和物の濃度が0.5〜6
meq/gであるものである
詳細に説明する。本明細書において「(メタ)アクリ
ル」とは「アクリルまたはメタクリル」を意味する。ま
た、「meq/g」とは「1g当りに含まれるミリグラ
ム当量数」を意味する。本発明の水性艶出し剤組成物
は、酸性官能基の濃度(以下、酸価ともいう。)が1〜
10meq/gであり、末端にエチレン性不飽和結合を
有するマクロモノマーが塩基により中和されたもの(以
下、単にマクロモノマー中和物ともいう。)の存在下、
水性媒体中でビニル単量体を乳化重合させて得られる水
性樹脂分散体を含有するものである。
合させるときに乳化剤としてはたらくとともに、ビニル
単量体と共重合されて水性樹脂分散体を形成し、これを
含有する艶出し剤を塗布して得られる被膜に優れた密着
性や耐久性およびバッフィングによる光沢回復性を付与
するものである。
結合を有する重合体である。末端にエチレン性不飽和結
合を有するマクロモノマーは公知の方法により製造する
ことができる(特開平11−181021号公報、国際
公開特許公報WO99/07755)。
価が1〜10meq/gであるものである。すなわちそ
の1gが有する酸性官能基の量が1〜10ミリグラム当
量のものである。マクロモノマーの好ましい酸価は1.
3〜8meq/gであり、より好ましい酸価は1.5〜
7meq/gである。酸価が小さすぎても大きすぎても
ビニル単量体を乳化重合させるときの安定性が損なわれ
る。
報WO99/07755に記載の方法を使用する場合
は、酸性官能基を有する単量体とその他の単量体を共重
合させることにより製造することができる。
ボキシル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体などが
挙げられる。カルボキシル基含有単量体の具体例として
は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル酢
酸、アクリロキシプロピオン酸等の不飽和一塩基酸、マ
レイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタ
コン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の不飽和二塩基
酸、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物等
の不飽和酸無水物が挙げられ、スルホン酸基含有単量体
の具体例としては、アリルスルホン酸、スチレンスルホ
ン酸、ビニルスルホン酸、アリルホスホン酸、ビニルホ
スホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンス
ルホン酸などが挙げられる。艶出し剤を塗布して得られ
る被膜が特に耐水性の優れたものとなるために、カルボ
キシル基含有単量体が好ましく、なかでもアクリル酸は
マクロモノマーの末端にエチレン性不飽和結合を効率的
に導入しやすいためおよび他の各種単量体と共重合反応
を起こしやすいので特に好ましい。
び酸性官能基を有しない親水性単量体が使用できる。疎
水性単量体とは、20℃における水への溶解度が2重量
%以下の単量体を意味し、例えば、メタクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プ
ロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル
酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキ
シル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリ
ル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、及
び、(メタ)アクリル酸パーフルオロアルキル等の炭素
数が1〜22のアルキル基を有するメタアクリル酸エス
テル及び、炭素数が2〜22のアクリル酸エステル、プ
ロピオン酸ビニル、及びスチレンが挙げられる。高い重
合度のマクロモノマーが得られるので、アクリル酸エス
テル類が好ましい。
は、アクリル酸メチル、(メタ)アクリルアミド、(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸
ヒドロキシプロピル、酢酸ビニルが挙げられる。親水性
単量体とは、20℃における水への溶解度が2重量%よ
り大きい単量体を意味する。
ーの酸価が上記の範囲となるように決めればよいが、酸
性官能基を有する単量体、疎水性単量体および酸性官能
基を有しない親水性単量体の割合がそれぞれ10〜75
質量%、25〜90質量%および0〜40質量%である
ことが好ましく、15〜60質量%、40〜85質量%
および0〜20質量%であることがより好ましい。
1号公報に記載の方法で製造されるものである場合は、
酸性官能基を有する単量体は使用されないが、酸変性に
より酸性官能基を導入された単量体単位、疎水性単量体
単位および酸性官能基を有しない単量体単位の割合がそ
れぞれ10〜75質量%、25〜90質量%および0〜
40質量%であることが好ましく、15〜60質量%、
40〜85質量%および0〜20質量%であることがよ
り好ましい。
中でビニル単量体を乳化重合させる際に、マクロモノマ
ーが有する酸性官能基が塩基により中和されているもの
である必要がある。中和に使用できる塩基の例として
は、アンモニア、沸点が140℃以下の低沸点アミン化
合物等が挙げられる。低沸点アミンの具体例としては、
トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミ
ン、ジメチルエチルアミン、N−メチルモルホリン、t
−ブタノールアミン、モルホリン、ジメチルエタノール
アミン等が挙げられる。
0%が中和されている必要はないが、20%以上が中和
されていることが好ましく、40%以上が中和されてい
ることがより好ましく、60%以上が中和されているこ
とが更に好ましく、70%以上が中和されていることが
特に好ましい。中和率すなわち酸性官能基が中和されて
いる割合が小さすぎると、得られる水性艶出し剤を塗布
して形成される被膜が基材への密着性の不充分なものと
なる場合がある。中和率の上限は当然100%である
が、酸性官能基に対して過剰の塩基が存在していてもよ
い。
般的に乳化重合に供されるビニル単量体が使用され得
る。例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メ
タ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−
ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アク
リル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、
(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アク
リル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチ
ル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル
酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル等の(メタ)
アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエ
チル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシブチル等のヒドロキシアルキ
ル基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブタジエン、イソプ
レン、スチレン、アルキルスチレン、(メタ)アクリル
酸グリシジル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)ア
クリルアミド、N−アルコキシメチルアクリルアミド、
N−メチロールアクリルアミド、(メタ)アクリル酸、
イタコン酸、マレイン酸等が挙げられる。
剤として使用し、ビニル単量体を水性媒体に分散させて
行うことができる。マクロモノマーの使用量はビニル単
量体を安定に乳化することのできる量に設定される。ま
た、マクロモノマーの使用量は得られる水性艶出し剤に
必要とされる特性に応じて適宜設定される。
形分100質量部当り、0.5〜50質量部のマクロモ
ノマーが使用される。マクロモノマーの使用量がこの範
囲よりも少ない場合には、水性樹脂分散体が安定して乳
化状態に維持されないことがある。例えば、その水性樹
脂分散体に溶剤を添加すると乳化状態がこわれることが
ある。また、マクロモノマーの使用量がこの範囲よりも
多い場合には、安定な重合が困難になり、また、得られ
る水性艶出し剤の耐水性やレベリング性が低いものとな
りやすい。
れる水性樹脂分散体の固形分100質量部当り、1〜4
0質量部であり、より好ましくは2〜30質量部であ
る。この場合、水性樹脂分散体は極めて安定に乳化さ
れ、例えば、水性樹脂分散体に後述する成膜助剤、レベ
リング剤、可塑剤、有機溶剤などの添加剤が添加された
ときでも、凝集物が生成しにくいものとすることができ
る。固形分とは、150℃の熱風乾燥機にて30分間揮
発成分を除去した後に残る成分のことを意味する。
外の乳化剤(以下、通常の乳化剤ともいう。)が添加さ
れてもよい。この場合通常の乳化剤の使用量は本発明の
目的に支障のない範囲に限定される。具体的には、通常
の乳化剤の使用量はマクロモノマーとビニル単量体との
合計質量に対し5質量%以下であることが好ましい。通
常の乳化剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポ
リオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム、ジアルキル
スルホ琥珀酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸のホル
マリン縮合物等のアニオン系界面活性剤、ポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エス
テル、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活
性剤等が挙げられる。通常の乳化剤を多く使用しすぎる
と得られる水性艶出し剤を塗布して形成される被膜が耐
水性の悪いものになりやすい。
に使用される。重合開始剤は水溶性重合開始剤、及び油
溶性重合開始剤の何れも使用できる。例えば、ベンゾイ
ルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、
ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイ
ソブチロニトリル、アゾビス(2−メチルブチロニトリ
ル)、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ系化合物、過硫酸
ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の
無機過酸化物、これらの過酸化物と亜硫酸塩、アスコル
ビン酸、エリソルビン酸塩等の還元剤とからなるレドッ
クス系重合開始剤等が挙げられる。
ビニル単量体との合計質量に対し、0.01〜5質量%
とすることが好ましく、特に0.1〜3質量%が好まし
い。
く、特に40〜90℃が好ましい。重合時間は1〜10
時間が好ましい。
能基を有するビニル重合体(以下、単に酸性官能基含有
ビニル重合体ともいう。)の共存する状態で行われても
よい。
の共存する状態で行われる場合、なかでもその酸性官能
基がカルボキシル基である場合には、得られる水性艶出
し剤が、特に耐久性の優れたものとなるために好まし
い。酸性官能基含有ビニル重合体は酸価が0.5〜6m
eq/gであるものが好ましい。
基を有するビニル単量体およびその他のビニル単量体を
ラジカル重合させることにより製造することができる。
塊状重合、溶液重合、乳化重合などの公知の方法により
製造できるが、乳化重合が好ましい。
ル重合体が分散された分散液に、マクロモノマー中和物
およびビニル単量体からなるモノマーエマルションを添
加して乳化重合させる方法は、作業性がよく、得られる
水性艶出し剤が、特に耐久性の優れたものとなるために
好ましい。この際、前段の乳化重合すなわち酸性官能基
を有するビニル単量体およびその他のビニル単量体の乳
化重合が完了する前に後段の乳化重合すなわちマクロモ
ノマー中和物およびビニル単量体の乳化重合が行われて
もよい。この方法は上記の長所に加えて、全体の重合時
間を短縮することができるために好ましい方法である。
散体は、水性艶出し剤の主成分となるものである。水性
樹脂分散体は、その固形分の酸性官能基またはその中和
物(いずれか一方のみ存在する場合はそのもの、両者が
存在する場合はそれらの合計)の濃度が0.5〜6me
q/gであるものが好ましく、0.7〜5meq/gで
あるものがより好ましく、0.8〜4meq/gである
ものが更に好ましい。
すぎると水性艶出し剤を塗布して得られる被膜が耐久性
の不充分なものとなる場合があり、大きすぎると耐水性
の不充分なものとなる場合がある。
散体以外の成分として、合成ワックス、天然ワックス等
のワックス、ロジン変性マレイン酸樹脂、スチレンマレ
イン酸樹脂等のアルカリ可溶性樹脂、ジエチレングリコ
ールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ
メチルエーテル等の成膜助剤、トリブトキシエチルホス
フェート、フッ素系界面活性剤などのレベリング剤、ジ
ブチルフタレート、トリエチルフォスフェート、常温で
液体のビニル重合体などの可塑剤、pH調整剤、界面活
性剤、消泡剤、殺菌剤、充填剤、上記以外の重合体など
が添加されたものであってもよい。
物の内外壁、家具などの艶出し剤として好適に使用でき
る。特に床用艶出し剤すなわちフロアーポリッシュとし
てレベリング性、光沢、耐水性が良好であり、密着性お
よび耐ブラックヒールマーク性や耐スカッフ性などの耐
久性が優れたものである。
明する。以下の記載において「部」は質量部を意味し、
「%」は質量%を意味する。
300mlの加圧式攪拌槽型反応器を、3−エトキシ−
プロピオン酸エチルで満たした。反応器内温度は250
℃に設定した。反応器圧力は圧力調節器を使用して3−
エトキシ−プロピオン酸エチルの蒸気圧以上に設定し
た。シクロヘキシルアクリレート(以下、CHAとい
う。)75部、アクリル酸(以下、AAという。)25
部及びジ−t−ブチルパーオキサイド0.08部を秤量
し、単量体混合液を調製し、それを原料タンクに貯蔵し
た。反応器内の圧力を一定に保ちながら、単量体混合液
を原料タンクから反応器に連続的に供給した。このと
き、単量体混合液の反応器内での滞留時間が12分とな
るように供給速度を設定した。単量体混合液の供給量に
相当する反応液を反応器の出口から連続的に抜き出し
た。単量体混合液の連続供給中、反応器内温度を248
〜250℃に維持した。供給開始から90分後、反応器
の出口から反応液の採取を開始した。薄膜蒸発器を用い
て反応液中の未反応モノマーを除去し、マクロモノマー
Aを得た。
酸価すなわちカルボキシル基濃度は3.08meq/g
であった。テトラヒドロフラン溶媒を用いたゲル浸透ク
ロマトグラフ(以下、GPCという。)によりマクロモ
ノマーAの平均分子量を測定した。ポリスチレン換算
で、マクロモノマーAの数平均分子量(以下、Mnとい
う。)は1790であり、重量平均分子量(以下、Mw
という。)は4320であった。1H−NMRにより、
マクロモノマーAの末端二重結合の導入率を測定したと
ころ、分子の83%が末端に二重結合を有していた。マ
クロモノマーAが有しているカルボキシル基と等量のア
ンモニアを含むアンモニア水を添加することによりマク
ロモノマーAの100%中和水溶液[A−1](固形分
40%)を得た。
モノマーAに、マクロモノマーAが有しているカルボキ
シル基の75%に相当するアンモニアを含むアンモニア
水を添加することにより、マクロモノマーAの75%中
和水溶液[A−2](固形分40%)を得た。
ート、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に酢酸ブチ
ル105部を仕込み、温度を90℃に維持しながらアゾ
ビスイソブチロニトリル(以下、AIBNという。)
1.0部と3−メルカプトプロピオン酸2.0部を添加
し、窒素気流下に、メチルメタクリレート(以下、MM
Aという。)70部、ヒドロキシエチルメタクリレート
(以下、HEMAという。)30部を滴下してラジカル
重合させた。得られた末端にカルボキシル基を有する重
合体の溶液に、テトラブチルホスニウムブロマイド1
部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部、グリ
シジルメタクリレート2.7部を加えて、90℃で6時
間反応させることにより、末端に二重結合を導入した。
び酢酸ブチル80部を加え90℃で6時間反応させてカ
ルボキシル基を導入し、マクロモノマーBを得た。マク
ロモノマーBの酸価すなわちカルボキシル基濃度は1.
67meq/gであった。マクロモノマーBの分子量を
GPCにより測定したところ、Mnは3600、Mwは
8000であった。1H−NMRにより、マクロモノマ
ーBの末端二重結合の導入率を測定したところ、分子の
98%が末端に二重結合を有していることがわかった。
マクロモノマーBが有するカルボキシル基と等量のトリ
エチルアミンおよび水を加えて中和し、減圧下に脱溶剤
してマクロモノマーBの100%中和水溶液[B−1]
(固形分40%)を得た。
計、窒素導入管を備えた反応容器内にCHA75部、A
A25部、ドデシルメルカプタン3.5部、AIBN
1.5部およびメチルエチルケトン100部を仕込み、
窒素雰囲気下で80℃に4時間加熱して重合させた。そ
の後に、更に0.5部のAIBNを投入して80℃で5
時間加熱し、固形分濃度50%の共重合体のメチルエチ
ルケトン溶液を得た。共重合体の酸価すなわちカルボキ
シル基濃度は3.30meq/gであった。共重合体の
分子量をGPCにより測定したところ、Mnは350
0、Mwは6000であった。この共重合体は末端に二
重結合を有していない。得られた共重合体のメチルエチ
ルケトン溶液に、該共重合体が有するカルボキシル基と
等量のアンモニアを含むアンモニア水を加えて中和し、
減圧下に脱溶剤して高分子乳化剤C(固形分40%)を
得た。
個の滴下ロート、温度計、窒素導入管を備えた反応容器
内に水60部およびラウリル硫酸ソーダ0.5部を仕込
み85℃に昇温した。表1に示す1段目組成の単量体混
合物に、ラウリル硫酸ソーダ0.5部および水35部を
加えて乳化させた。得られた単量体乳化液および5%過
硫酸アンモニウム水溶液10部をそれぞれ別の滴下ロー
トにより2時間かけて連続的に反応容器内に滴下して乳
化重合させた。滴下終了後、反応容器内を85℃に30
分間保った。続けて、表1に示す2段目組成の単量体混
合物およびマクロモノマー水溶液および水を混合して乳
化させた。得られた2段目単量体乳化液および5%過硫
酸アンモニウム水溶液2部を、それぞれ別の滴下ロート
より30分かけて連続的に反応容器内に滴下して乳化重
合させた。滴下終了から1時間後に系を冷却して重合を
終了させた。更に、重合体中の酸性官能基に対して亜鉛
のモルイオン当量が20%となるように重炭酸アンモニ
ウムおよびアンモニア水を用いて可溶化した酸化亜鉛を
混合して固形分濃度38%の水性樹脂分散体を得た。更
に、この水性樹脂分散体に表2に示すような比率で各種
添加剤を添加して攪拌混合し、水性艶出し剤組成物を得
た。
い、反応器内に水60部を仕込み85℃に昇温した。表
1に示す組成の単量体混合物およびマクロモノマー水溶
液[A−1]12.5部および水40部を混合して乳化
させた。得られた単量体乳化液および5%過硫酸アンモ
ニウム水溶液12部を、それぞれ別の滴下ロートより3
時間かけて連続的に反応容器内に滴下して乳化重合させ
た。滴下終了から1時間後に系を冷却して重合を終了さ
せた。更に、実施例1と同様の操作を行い、水性樹脂分
散体を経て水性艶出し剤を得た。
マー水溶液[A−1]の代わりに高分子乳化剤Cを1
2.5部用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、水
性艶出し剤を得た。
マー水溶液[A−1]の代わり未中和のマクロモノマー
Aを5部用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、水
性艶出し剤を得た。
マー水溶液[A−1]の代わりにラウリル硫酸ソーダ5
部を用いた以外は実施例7と同様の操作を行い、水性艶
出し剤を得た。
ルションにマクロモノマー水溶液[A−1]を12.5
部加えて混合攪拌したのち、実施例1と同様の操作を行
い、水性艶出し剤を得た。
樹脂分散体のpHはいずれも7〜8であった。比較例2
においては乳化重合に使用されるマクロモノマーは中和
されていないものであるが、実施例1と同じ手順により
水性樹脂分散体が調製された段階では、マクロモノマー
に由来する成分中の酸性官能基すなわちカルボキシル基
は中和されていると考えられる。
して、膜付き試験片を作成し、該試験片を用いて後述す
る各種物性を評価した。評価結果を表3に示す。
用標準タイル(黒色無地のホモジニアスビニル床タイ
ル)を基材として用いた。基材は、水性艶出し剤を塗布
する前に、住友スリーエム株式会社製51ラインレッド
バッファーパッド(通称「赤パッド」)を用いてJIS
K3920記載の方法にて洗浄を行った。ちなみにこの
洗浄条件は、実際にビル床などの艶出し用途に使用され
る場合に比較して、非常に穏やかな洗浄条件である。得
られた基材面に対して、各水性艶出し剤を1平方メート
ルあたり20g程度になるように塗布し、室温で1時間
乾燥した後に必要ならば複数回塗布をおこない、各試験
片を得た。測定した物性項目は以下の通りである。
状態の各試験片表面にガーゼにてX字状のマーク(以
下、Xマークという。)を付け、乾燥させた。この表面
状態を目視により観察し、5段階評価した。 5:Xマークが見られない。 4:Xマークの輪郭が一部光沢差として、わずかに見ら
れる。 3:Xマークの輪郭が光沢差としてはっきり見られる。 2:Xマークが一部尾根状になって見られる。 1:Xマークが全体的に尾根状になり、凸凹である。 (2)光沢:4回塗布した各試験片表面について60度
光沢を測定した。3回測定した平均値を示す。 (3)密着性:4回塗布した各試験片表面についてテー
プ剥離試験を行った。5回測定した平均の残膜面積率
(%)を示す。 (4)耐水性:1回塗布した各試験片を相対湿度80%
以下の室温にて一昼夜放置した後、塗布面に対して、
0.2mlの蒸留水を滴下した。水滴を1時間保持した
後に拭き取り、30分後の塗膜表面の白化度合いを目視
により観察し、5段階評価した。 5:白化・損傷がない。 4:白化の輪郭がわずかに見られる。 3:部分的に白化が見られる。ブリスターなし。 2:全面的に白化が見られる。ブリスターなし。 1:ブリスターを伴った全面的な白化が見られる。 (5)耐洗剤性:2回塗布した各試験片を相対湿度80
%以下の室温にて一昼夜放置した後、塗布面に対して、
JISK3920記載の標準洗浄液で湿らせたガーゼ先
端に500g荷重をかけ、300往復のラビング試験を
行った。ラビング後の塗膜表面状態を目視により観察
し、5段階評価した。 5:剥離・損傷なし。 4:部分的に光沢の変化が見られる。損傷なし。 3:細かいスジ状の損傷が見られる。 2:部分的に剥離が見られる。 1:全面剥離が見られる。 (6)除去性:2回塗布した各試験片を相対湿度80%
以下の室温にて7日間放置した後、塗布面に対して、
JISK3920記載の標準除去液で湿らせたガーゼ先
端に500g荷重をかけ、75往復のラビング試験をお
こなった。ラビング後の塗膜表面状態を目視により観察
し、5段階評価した。 5:全面剥離し、タイル面が露出している。 4:タイル面が露出している。部分的に下塗り層が残留
している。 3:全面下塗り層が残留している。 2:部分的に上塗り層が残留している。 1:摩耗傷のみ、または損傷なし。 (7)耐ブラックヒールマーク性(耐BHM性ともい
う。):白色無地のホモジニアスタイルに3回塗布した
各試験片を相対湿度80%以下の室温にて24時間放置
した後、JISK3920に記載されているヒールマー
ク試験機にセットし、50mm角の標準ゴムブロックを
6個投入した。50rpmの回転速度で2.5分間ずつ
左右両回転し、塗膜表面に付いたブラックヒールマーク
(BHM、黒色のこすれた様な汚れ)の量を目視により
観察し、黒色のこすれた様な汚れがないものを5、ひど
いものを1とする相対5段階評価をした。 (8)耐スカッフ性:耐BHM性の評価に用いた試験片
表面に付いたスカッフマーク(鋭く引っかいたような傷
跡)の量を目視により観察し、相対5段階評価をした。
に替えて、末端に二重結合を有していない高分子乳化剤
を使用したものであり、レベリング性および光沢が悪か
った。比較例2は本発明のマクロモノマー中和物に替え
て、中和されていないマクロモノマーを使用したもので
あり、密着性が悪かった。比較例2においても、実施例
1と同じ手順により水性樹脂分散体が調製された段階で
は、マクロモノマーに由来する成分中の酸性官能基は中
和されているのであるが、密着性が悪い結果となった。
従ってマクロモノマーに由来する成分中の酸性官能基が
最終的に中和されていればよいというわけではなく、乳
化重合に使用される段階でマクロモノマーが有する酸性
官能基が中和されていることが重要であることがわか
る。比較例3は本発明のマクロモノマー中和物に替え
て、汎用の乳化剤であるラウリル硫酸ソーダを使用した
ものであり、密着性が悪かった。比較例4は比較例3の
水性樹脂分散体にマクロモノマー中和物を混合したもの
であり、レベリング性および光沢が悪かった。実施例7
は水性樹脂分散体の酸価がやや小さく、耐BHM性およ
び耐スカッフ性が若干悪かったが、全体的に良好な性能
を示した。
ために使用できる密着性、耐久性、レベリング性および
光沢に優れ、且つ、バッフィングによって容易に光沢を
回復可能な被膜を与える水性艶出し剤が得られた。本発
明の組成物は特に床用水性艶出し剤すなわちフロアーポ
リッシュとして有用である。
Claims (4)
- 【請求項1】 酸性官能基の濃度が1〜10meq/g
であり、末端にエチレン性不飽和結合を有するマクロモ
ノマーが塩基により中和されたものの存在下、水性媒体
中でビニル単量体を乳化重合させて得られる水性樹脂分
散体を含有する水性艶出し剤組成物。 - 【請求項2】 酸性官能基の濃度が1〜10meq/g
であり、末端にエチレン性不飽和結合を有するマクロモ
ノマーが塩基により中和されたものおよび該マクロモノ
マー以外の酸性官能基を有するビニル重合体の存在下、
水性媒体中でビニル単量体を乳化重合させて得られる水
性樹脂分散体を含有する水性艶出し剤組成物。 - 【請求項3】 水性樹脂分散体の固形分100質量部当
りのマクロモノマーの使用量が0.5〜50質量部であ
る請求項1または2に記載の水性艶出し剤組成物。 - 【請求項4】 水性樹脂分散体の固形分の酸性官能基ま
たはその中和物の濃度が0.5〜6meq/gのもので
ある請求項1〜3のいずれかに記載の水性艶出し剤組成
物。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003000759A1 (fr) * | 2001-06-25 | 2003-01-03 | Toagosei Co., Ltd. | Dispersion de resine aqueuse, son procede de production et son utilisation |
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WO2003000759A1 (fr) * | 2001-06-25 | 2003-01-03 | Toagosei Co., Ltd. | Dispersion de resine aqueuse, son procede de production et son utilisation |
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