JP2002187834A - 小胞体分散液の製造方法 - Google Patents

小胞体分散液の製造方法

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JP2002187834A JP2000387463A JP2000387463A JP2002187834A JP 2002187834 A JP2002187834 A JP 2002187834A JP 2000387463 A JP2000387463 A JP 2000387463A JP 2000387463 A JP2000387463 A JP 2000387463A JP 2002187834 A JP2002187834 A JP 2002187834A
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Sumihito Kabuto
純人 甲
Daisuke Negishi
大介 根岸
Ken Sumida
研 澄田
Hiroaki Umezawa
宏明 梅澤
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 内部に水相を有する小胞体を水性分散媒
中に分散させた小胞体分散液を調製する時に、浸透圧調
整剤を、小胞体形成時の浸透圧調整剤の配合量(A)と
小胞体形成後に添加する浸透圧調整剤の配合量(B)と
が、0.1A≦B≦10Aとなり、且つ得られる小胞体
分散液における上記浸透圧調整剤の小胞体内部に含有さ
れる水相中の存在量と上記分散媒中の存在量を算出した
とき、小胞体内部の水相に含有される上記浸透圧調整剤
の量よりも上記分散媒に含有される上記浸透圧調整剤の
量の方が多くなるように、小胞体形成時と小胞体形成後
とに分割して添加することを特徴とする小胞体分散液の
製造方法。 【効果】 経時での粘度上昇、粒子破壊等を抑制して、
分散液中の小胞体を安定化させることができ、経時安定
性に優れた小胞体分散液が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、小胞体分散液の製造方法に関
し、より詳しくは、内部に水相を有する小胞体、例えば
リポソーム分散液、ベシクル分散液、W/O/W型複合
エマルション等の小胞体分散液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】小胞体
分散液の製造方法としては、例えば特許第262851
2号公報に記載された方法が挙げられる。この方法は、
小胞体を形成する際に、油相に水相の一部を添加して、
液晶相を形成させた後、該液晶相に残りの水相を添加さ
せて液晶相を転相させ、水相の一部を含んだ油滴が残り
の水相中に分散した水中油型エマルジョンを製造するも
のである。ここで、特許第2628512号公報には、
上記水相に無機塩を配合することが記載されている。し
かしながら、このような方法で小胞体分散液を製造する
場合、特に小胞体が高濃度となるように調製した場合な
ど、経時で連続相(分散媒)である水相が小胞体内部に
浸透圧差から流入してしまうことなどにより、保存によ
り粘度が上昇する場合があり、特に高濃度小胞体分散液
の製造については、改良の余地があった。
【0003】一方、小胞体分散液を調製するにあたり、
粒子(小胞体)形成後に粘度調整剤などを加える方法
は、種々提案されている(特開平11−43863号、
特開平9−195167号公報等)が、内部に水相を有
する小胞体分散液の場合、この方法のみであると、小胞
体内部の水相と連続相との組成が大きく異なり、小胞体
の破壊など好ましくない結果となることがある。
【0004】また、粘度調整剤のようなものを製剤に分
割添加する方法については、粒子形成後に温度を調整し
ながら分割添加する方法が、特表平8−507766号
公報に記載されているが、この方法の場合も上記方法と
同様に、小胞体内部の水相と連続相との組成が大きく異
なり、小胞体の破壊など好ましくない結果となることが
ある。
【0005】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、内部に水相を有する小胞体分散液の製造方法におい
て、経時安定性に優れた小胞体分散液が得られ、特に小
胞体の分散濃度が高い場合であっても、経時安定性に優
れた小胞体分散液が得られる小胞体分散液の製造方法を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の態様】本
発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結
果、小胞体内部に水相を有する小胞体分散液を調製する
時に、分散液組成中に配合する浸透圧調整剤を、小胞体
形成時に使用する浸透圧調整剤量と小胞体形成後に添加
する浸透圧調整剤量との割合が特定範囲となり、且つ得
られる小胞体分散液における浸透圧調整剤の小胞体内部
の存在量と上記分散媒中の存在量を小胞体が理想的に形
成したとして算出したとき、小胞体内部の水相に配合さ
れる量よりも分散媒に配合される量の方が多くなるよう
に分割して添加すると、後述する実施例及び比較例に示
すように経時安定性が格段に向上した小胞体分散液が得
られることを見出し、本発明をなすに至った。このよう
に小胞体分散液の経時安定性が向上するのは、上記製造
方法によると、小胞体を形成した後、おそらく小胞体外
部から浸透圧調整剤が作用して、小胞体の外部の浸透圧
が内部より高くなることから、小胞体内部の水相を引き
出し、或いは外部からの水相の流入を防ぎ、分散液中の
小胞体を安定化させ、例えば経時により小胞体分散液の
粘度が上昇するなどの事態を抑制できるためと思われ
る。
【0007】即ち、本発明は、内部に水相を有する小胞
体を水性分散媒中に分散させた小胞体分散液を調製する
時に、浸透圧調整剤を、 1)小胞体形成時の浸透圧調整剤の配合量(A)と小胞
体形成後に添加する浸透圧調整剤の配合量(B)とが、
0.1A≦B≦10Aとなり、且つ 2)得られる小胞体分散液における上記浸透圧調整剤の
小胞体内部に含有される水相中の存在量と上記分散媒中
の存在量を算出したとき、小胞体内部の水相に含有され
る上記浸透圧調整剤の量よりも上記分散媒に含有される
上記浸透圧調整剤の量の方が多くなるように、小胞体形
成時と小胞体形成後とに分割して添加することを特徴と
する小胞体分散液の製造方法を提供する。ここで、小胞
体形成時に使用する浸透圧調整剤と、小胞体形成後に添
加する浸透圧調整剤とが、同一成分からなるものである
と、より好適である。
【0008】以下、本発明をより詳細に説明すると、本
発明の小胞体分散液の製造方法は、内部に水相を有する
小胞体が水性分散媒に分散した小胞体分散液、例えばリ
ポソーム分散液、膜形成成分(界面活性剤)からなる膜
に水相が分散した油相が取り込まれた小胞体(ベシク
ル)が水性分散媒に分散したベシクル分散液、W/O/
W型複合エマルション等の小胞体分散液を製造する方法
である。ここで、本発明の製造方法において使用する上
記小胞体分散液の原料成分は、特に制限されるものでは
なく、各種小胞体分散液の原料成分として従来より使用
されているものを使用することができるが、本発明の場
合、原料成分として浸透圧調整剤を必須とするものであ
る。
【0009】本発明において使用する浸透圧調整剤は、
その種類が特に制限されるものではないが、例えば水に
容易に溶解し、25℃水溶液(重量モル濃度1.0mo
l・kg-1)の次式で定められる浸透係数φが1.30
以下、好ましくは0.80〜1.30、より好ましくは
0.90〜1.20である浸透圧調整剤が好適である。
なお、上記浸透係数は、浸透圧調整剤に対して明確な規
則性がなく(例えば分子量に比例した量であるなど)、
好適な数値範囲については設定が難しいことから、上記
浸透係数の好適な範囲は、本発明において好適に使用さ
れる浸透圧調整剤の値から設定されたものである。
【0010】
【式1】 (但し、上記式中、αは25℃での水の活量であり、ν
は溶質一分子が解離して生じるイオンの数である。)
【0011】上記浸透圧調整剤として、より具体的に
は、例えば無機塩類(塩化カルシウム(1.046)、
塩化マグネシウム(1.108)、塩化ナトリウム
(0.936)、臭化カリウム(0.907)、塩化リ
チウム(1.018)等)、糖類(マルトース、ラクト
ース、グルコース、スクロース(1.085)等)、糖
アルコール類(ソルビトール、キシリトール等)などを
挙げることができる。これらは1種単独で又は2種以上
を適宜組み合わせ使用することができ、本発明の場合、
小胞体形成時に添加する浸透圧調整剤と小胞体形成後に
添加する浸透圧調整剤とが同一成分からなるものである
と、より好適である。なお、かっこ内の数字は、化学便
覧に記載された各化合物の浸透係数φである。
【0012】本発明の場合、電解質である方が非電解質
である化合物に比べて単位重量あたりで浸透圧を変化さ
せる量が多いことを考慮すれば、これらの中でも無機塩
類が好適であり、特に塩化カルシウム、塩化マグネシウ
ム、塩化ナトリウム、臭化カリウム等がより好適であ
る。
【0013】本発明の小胞体分散液における上記浸透圧
調整剤の合計配合量は、特に制限されるものではなく、
小胞体分散液の種類、用途等によって適宜選定でき、通
常、分散液全体に対して、0.1〜10質量%、特に
0.1〜5質量%となるように、配合すると好適であ
る。配合量が少なすぎると小胞体を安定化する効果が充
分に得られず、経時で小胞体が破壊されてしまう場合が
あり、配合量が多すぎると経時で増粘を生じる場合があ
る。
【0014】本発明の小胞体分散液は、上記浸透圧調整
剤に加えて、上述したように各種小胞体分散液の原料成
分として従来より使用されている成分を配合することが
できる。このような成分を、リポソーム分散液、ベシク
ル分散液、W/O/W型複合エマルションの各種小胞体
分散液に分けて以下に例示するが、本発明の製造方法の
原料成分は、以下の成分に限定されるものではない。
【0015】上記小胞体分散液がリポソーム分散液であ
る場合、膜形成剤として、例えばホスフアチジルコリ
ン、コレステロール、ホスフアチジルグリセロール、ホ
スフアチジルエタノールアミン、ホスフアチジルセリ
ン、ホスフアチジン酸、スフインゴミエリンなどの脂
質、ホスフアチジルイノシトール、リゾホスフアチジル
コリン、卵黄レシチン、大豆レシチン等に代表されるリ
ン脂質、糖脂質又はこれらの誘導体などの1種以上の物
質、溶媒としてエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、グリセリン等の多価アルコールなど、リポソーム
形成時の水相成分(リポソーム内部に含有される水相成
分)としてコラーゲン、抗がん剤、抗生物質、多糖類、
核酸類、ビタミン類など、水性分散媒に含有される成分
として、水以外に緩衝液などを挙げることができる。な
お、上記配合成分の配合量は、特に制限されるものでは
なく、目的とする小胞体分散液における通常の使用量と
することができる。
【0016】ベシクル分散液の場合、ベシクルを形成す
る膜形成成分、ベシクル内部に含有される水相成分、油
相成分、連続相(小胞体の分散媒)となる連続相成分を
含有する。ここで、本発明の膜形成成分(小胞体を形成
させる原料物質)は、小胞体分散液の利用分野によって
異なり、例えば衣料用柔軟剤、繊維処理剤、毛髪用リン
ス等であれば、例えば下記一般式(1)で示される第4
級アンモニウム塩、第3級アミン塩、イミダゾリン塩、
イミダゾリニウム塩、アミノ酸系カチオン活性剤などの
カチオン性界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上が
挙げられる。これらの中でも、第4級アンモニウム塩が
好ましく、具体的に例示すると、ジ硬化牛脂ジメチルア
ンモニウムクロライド、ジ(ステアロイルオキシエチ
ル)メチルエタノール4級アンモニウムメチルサルフェ
ート等である。
【0017】
【化1】 (上記式中、R1は、炭素数10〜25、好ましくは1
4〜24のアルキル基又はアルケニル基であり、R
2は、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数10〜2
4、好ましくは14〜18のアルキル基もしくはアルケ
ニル基である。ここで、上記R1及びR2は、それぞれ無
置換であってもよく、−O−、−CONH−、−COO
−等のエステル基又はアミド基で分断もしくは−OH等
で置換されていてもよい。また、R3及びR4は、それぞ
れ炭素数1〜4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基
であり、Xは、ハロゲン原子又はモノアルキル硫酸基で
ある。長鎖の炭化水素鎖(R1及びR2)の飽和/不飽和
比は特に問わない。)
【0018】上記膜形成成分の配合量は、特に制限され
るものではないが、通常、分散液全体に対して1〜40
質量%程度、好ましくは3〜30質量%程度とすると好
適である。配合量が少なすぎると油分の内包が困難とな
る場合があり、一方、過剰量配合すると、小胞体形成が
困難となる場合がある。
【0019】本発明では、上記膜形成成分による膜形成
を容易にするために、上記膜形成成分と共に、ステアリ
ン酸、オレイン酸等の脂肪酸及びポリオキシエチレンア
ルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の各種乳化剤な
どの添加剤を通常の使用量で配合することもできる。
【0020】ベシクル内部に含有される水相成分及び連
続相に当たる水相成分としては、水の他に乳化剤、分散
安定剤、低温安定化剤、色素及びその他の各種水溶性有
効成分等が例示される。具体的には、乳化剤としてポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエ
チレンオクチルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸エ
ステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ポリ
エチレングリコールなどの非イオン界面活性剤など、分
散安定剤として、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセ
ルロース、カルボキシビニルポリマーなど、低温安定化
剤として、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、グリセリン等の多価アルコールなど、色素として、
アシッドレッド138、アシッドブルー9、アシッドイ
エロー141、リアクティブブルーなど、その他の各種
水溶性有効成分として、イソチアゾロンなどの抗菌剤、
ヒドロキシエタンジホスホン酸などの酸化防止剤等が挙
げられる。なお、上記水相成分の配合量は、特に制限さ
れず、目的とする小胞体分散液における通常の使用量と
することができる。また、本発明の浸透圧調整剤以外の
成分については、ベシクル内部に含有される水相成分と
連続相に含有される水相成分とは、同一であっても異な
っていてもよい。
【0021】また、上記小胞体分散液がW/O/W型複
合エマルションであれば、該エマルションを生成させる
原料物質として、油成分、油溶性界面活性剤、親水性界
面活性剤、内水相に含有される水相成分と連続相に含有
される水相成分などが挙げられる。より具体的には、油
成分としては、動植物油脂、硬化油、カルバナロウやミ
ツロウ等のロウ類、流動パラフインやパラフインロウ等
の高級炭化水素類、ステアリン酸等の脂肪酸類等を挙げ
ることができ、油溶性活性剤としては、ソルビタンモノ
オレエート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタ
ンモノ脂肪酸エステルなど、親水性活性剤としては、シ
ヨ糖脂肪酸エステルやポリオキシエチレンソルビタン脂
肪酸エステル(ツイーン系乳化剤)などを挙げることが
でき、いずれも1種又は2種以上混合して使用すること
ができる。
【0022】上記油成分、油溶性界面活性剤、親水性界
面活性剤の配合量は、特に制限されるものではなく、目
的とする小胞体分散液における通常の使用量とすること
ができるが、安定性や製剤の特性などの点を考慮すれ
ば、上記油成分をW/O/W型複合エマルション全量に
対して5〜60質量%程度の割合となるように配合する
ことが好ましい。また、上記油溶性界面活性剤は、通
常、上記油成分の配合量に対し、上記油溶性界面活性剤
の配合量が1〜20質量%となるように配合すると、分
散状態が均一なW/O/W型複合エマルションを調製す
るのに好適である。上記親水性界面活性剤の配合量は、
上記油溶性界面活性剤を可溶化させない範囲内の配合量
であることが必要であり、通常、上記親水性界面活性剤
の配合量に対し、上記油溶性界面活性剤の配合量が0.
3〜3質量%、好ましくは0.7〜2.7質量%となる
ように配合することが望ましい。
【0023】上記水相成分としては、水の他に所定の水
溶性成分を溶解した水溶液が包含される。例えば該水溶
液として、多価アルコール、有機塩、アミノ酸、その他
の各種有効成分等を例示することができる。具体的に
は、多価アルコールとして、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、グリセリンなど、有機塩として、ク
エン酸、酒石酸、乳酸など、アミノ酸として、アスパラ
ギン酸、アルギニンなど、その他の各種有効成分とし
て、ビタミン類などの水溶性活性成分、ヒアルロン酸、
ムコイチン硫酸等の保湿剤成分などが挙げられる。な
お、上記水相成分の配合量は、特に制限されるものでは
なく、目的とする小胞体分散液における通常の使用量と
することができる。また、本発明の浸透圧調整剤以外の
成分については、内水相に含有される水相成分と連続相
に含有される水相成分とは、同一であっても異なってい
てもよい。
【0024】本発明の小胞体分散液の製造方法は、上記
成分を使用して小胞体分散液を製造するものであり、本
発明の場合、小胞体の形成方法としては、特に制限され
ず、公知の一段階乳化法、二段階乳化法、特許第262
8512号公報に記載された方法(活性剤液晶を形成し
た後に乳化する方法)等を採用することができ、また、
回分式であっても連続式であってもよい。
【0025】本発明の製造方法において、上記浸透圧調
整剤は、小胞体形成時と小胞体形成後とに分割して添加
するものであり、例えば浸透圧を調整する目的で二種類
以上の化合物(成分)を浸透圧調整剤として配合する場
合は、上述したように、小胞体形成時に使用する浸透圧
調整剤と小胞体形成後に添加する浸透圧調整剤とが同一
成分からなることがより好適であることから、その各々
の成分に関して、小胞体形成時と小胞体形成後に分割し
て添加すると、より好適である。なお、本発明におい
て、他の目的で使用される無機塩等の配合方法は特に制
限されない。
【0026】本発明の製造方法は、浸透圧調整剤を小胞
体の内外から作用させることにより穏やかに水の移動が
起き、目的が達せられるものであり、上述したように、
小胞体の形成方法は、一段階乳化法、二段階乳化法、活
性剤液晶を形成した後に乳化する方法等のいずれであっ
てもよく、小胞体形成時の上記浸透圧調整剤の添加方法
は、各乳化方法にゆだねられる。即ち、例えば二段階乳
化法による場合であれば、一段階目の乳化時と、二段階
目の乳化時と、更に、乳化後との三段階に分割して浸透
圧調整剤を添加しても良いということである。
【0027】本発明の製造方法は、例えば小胞体形成時
に浸透圧調整剤を全量添加してしまうと、小胞体の調製
過程で内水相と連続相とが剪断力等である程度混合され
てしまい、所望の浸透圧差が生じるように内水相、連続
相に配合される浸透圧調整剤の配合量を調整し難くなる
ことから、小胞体形成後に浸透圧調整剤を連続相側から
添加することで、明確に連続相に浸透圧調整剤を作用さ
せて、効率良く目的を達成するものである。
【0028】ここで、本発明の製造方法において、小胞
体分散液組成全体に対する小胞体形成時の浸透圧調整剤
の配合量(A)と、小胞体形成後に添加する浸透圧調整
剤の配合量(B)との割合(質量比)は、0.1A≦B
≦10A、好ましくは0.2A≦B≦5Aである。上記
範囲以外では、本発明が目的とする小胞体分散液の経時
安定性が得られない。上記Aの割合が低すぎると、経時
の安定が悪くなり、大きすぎると、経時で増粘が生じ
る。なお、本発明の場合、同一成分からなる浸透圧調整
剤を各配合量が上記割合となるように分割して配合する
ことが望ましく、この場合、上記割合は、容量比であっ
ても同様である。
【0029】なお、本発明において、小胞体形成時の浸
透圧調整剤量(A)と小胞体形成後に添加する浸透圧調
整剤量(B)との割合が上記範囲となり、後述する浸透
圧調整剤の分散状態が満たされる限り、本発明の小胞体
分散液全体に対する各配合量A,Bの値は、特に制限さ
れるものではないが、通常、小胞体形成時の浸透圧調整
剤量の配合量(A)が、小胞体分散液全体に対して、
0.1〜5.0質量%、好ましくは0.1〜3.0質量
%、より好ましくは0.1〜0.5質量%であると好適
であり、小胞体形成後に用いる浸透圧調整剤量(B)
が、小胞体分散液全体に対して、0.1〜5.0質量
%、好ましくは0.1〜3.0質量%、より好ましくは
0.1〜0.5質量%であると好適である。小胞体形成
時の浸透圧調整剤の配合量(A)が少なすぎると充分な
減粘効果が得られない場合があり、多すぎると小胞体の
形成が困難となり、系が増粘してしまう場合がある。一
方、小胞体形成後に用いる浸透圧調整剤の配合量(B)
が少なすぎると、充分な減粘効果が得られない場合があ
り、多すぎると小胞体内部と連続相との浸透圧差が大き
くなりすぎて、経時で内水相から連続相に引き出される
水の量が過剰になり、小胞体粒子が破壊されて系が増粘
してしまう場合がある。
【0030】本発明の製造方法は、このように小胞体形
成時の浸透圧調整剤量(A)と小胞体形成後に添加する
浸透圧調整剤量(B)との割合が上記範囲となるように
浸透圧調整剤を添加すると共に、更に、小胞体の形成が
理論通りに行われたと仮定して、製造する小胞体分散液
における浸透圧調整剤の小胞体内部の水相中に存在する
量と連続相(分散媒)中に存在する量を算出した時に、
小胞体内部の水相に含有される浸透圧調整剤量よりも連
続相(分散媒)に存在する浸透圧調整剤量の方が多くな
るようにすることによって、得られる小胞体分散液の経
時安定性を格段に向上させるものである。この場合、上
記小胞体形成時の浸透圧調整剤量(A)と小胞体形成後
に添加する浸透圧調整剤量(B)とが上記比率を満た
し、且つ小胞体内部の水相に含有される浸透圧調整剤量
よりも連続相(分散媒)に存在する浸透圧調整剤量の方
が多くなるように、各工程における浸透圧調整剤の配合
量を算出する必要があるが、小胞体形成方法の違いによ
り各工程における浸透圧調整剤の配合量が異なるので、
以下、例示した小胞体形成方法に分けて、各工程におい
て添加する浸透圧調整剤の配合量を算出する方法を説明
する。なお、他の小胞体形成方法を採用する場合は、以
下の方法に準じて算出することができる。
【0031】まず、小胞体形成方法が一段階乳化の場合
は、小胞体形成時に用いる浸透圧調整剤は、水相に均一
に分配されるため、また、この方法では理論的には高含
水タイプの小胞体は調製できないことから、小胞体形成
後に添加される量を考慮に入れると、必ず(内水相に配
合される調整剤量)<(連続相に配合される調整剤量)
となる。従って、上記小胞体形成時の浸透圧調整剤量
(A)と小胞体形成後に添加する浸透圧調整剤量(B)
との比率を満たし、且つ好ましくは、小胞体形成時に使
用する水相の液量をs1(質量部)、小胞体形成時に使
用する水相中の浸透圧調整剤量をa1(質量部)、小胞
体形成後に添加する水相の液量をs2(質量部)、小胞
体形成後に添加する水相中の浸透圧調整剤量をb(質量
部)としたとき、各水相の調整剤濃度((a1/s1)×
100質量%、(b/s2)×100質量%)がa1/s
1<b/s2を満たす範囲内で、小胞体形成時に用いる浸
透圧調整剤量と小胞体形成後に添加される量とを適宜選
定することができる。
【0032】次に、小胞体形成方法が二段階乳化の場合
は、一段階目の乳化の際に用いる水相中に含まれる浸透
圧調整剤の配合量をa1(質量部)とし、二段階目の乳
化時に用いる水相中に含まれる浸透圧調整剤の配合量を
2(質量部)とすると、これらの合計量a1+a2(質
量部)が小胞体形成時に使用される浸透圧調整剤量とな
る。そして、理論通りに小胞体形成が行われるとする
と、一段階目の乳化に用いる浸透圧調整剤量a1質量部
は、そのまま内水相に配合される量であると仮定するこ
とができ、連続相に配合される量は、(二段階目の乳化
時に使用される調整剤量(a2質量部)+小胞体形成後
に添加する調整剤量(b質量部))である。従って、上
記小胞体形成時の浸透圧調整剤量(A)と小胞体形成後
に添加する浸透圧調整剤量(B)との比率を満たし、且
つa1<(a2+b)を満たし、好ましくは、更に、一段
階目の乳化時に用いる水相の液量をs1(質量部)、使
用する水相全体の液量をS(質量部)としたとき、各相
の調整剤濃度((a1/s1)×100質量%、(a2
b)/(S−s1)×100質量%)が(a1/s1)<
{(a2+b}/(S−s1)}を満たす範囲内で、一段
階目の乳化の際に用いる水相中の浸透圧調整剤の量(a
1)、二段階目の乳化時に用いる水相中の浸透圧調整剤
量(a2)を適宜選定することができる。なお、この場
合、上記a1は、小胞体形成時に使用される浸透圧調整
剤量(a1+a2)の3/4〜1/4、特に2/3〜1/
3であることが好ましい。
【0033】また、特許第2628512号公報に記載
された液相転相乳化分散方法の場合は、液晶形成の際に
用いる水相中の浸透圧調整剤の配合量を上記同様にa1
質量部とし、その後の分散(転相)工程時に用いる水相
中の浸透圧調整剤の配合量を上記同様にa2質量部と
し、これらをあわせて小胞体形成時に使用する調整剤量
(a1+a2)質量部とする。そして、理論通りに小胞体
形成が行われるとすると、液晶形成に用いる浸透圧調整
剤量(a1質量部)は、そのまま便宜的に内水相に配合
する量であると仮定することができ、連続相に配合する
量は、(転相工程時に用いる水相中の調整剤量(a2
量部)+小胞体形成後に添加する水相中の調整剤量(b
質量部))である。これらの式を元に、上記小胞体形成
時の浸透圧調整剤量(A)と小胞体形成後に添加する浸
透圧調整剤量(B)との比率を満たし、且つ内水相の配
合量(内水相中の存在量)<連続相の配合量(連続相中
の存在量)、即ち、a1<(a2+b)を満たすように、
好ましくは、更に、液晶形成時に用いる水相の液量をs
1(質量部)、使用する水相全体の液量をS(質量部)
としたとき、各相の調整剤濃度((a1/s1)×100
質量%、(a2+b)/(S−s1)×100質量%)が
1/s1<{(a2+b)/(S−s1)}を満たす範囲
内で各工程における浸透圧調整剤量を適宜選定すること
ができる。なお、この場合、上記a1/a2は、20/8
0〜50/50、特に30/70〜45/55であるこ
とが好ましい。
【0034】なお、二段階乳化方法、液相転相乳化分散
方法などのように、二段階乳化に準じる乳化方法に関し
ては、小胞体形成後に浸透圧調整剤を添加しなくても、
一段階目の工程時と二段階目の工程時とに添加する浸透
圧調整剤の量を調節するだけでも(内水相の配合量)<
(連続相の配合量)は実現可能である。しかしながら、
この方法では上述したように、二段階目の工程時の剪断
力等で、ある程度、内水相と連続相が混合されて濃度差
が小さくなる傾向にあることは否めない。従って、本発
明の製造方法では、小胞体形成後に浸透圧調整剤を連続
相側から添加することで、明確に連続相に浸透圧調整剤
を作用させ、効率良く目的を達成することができる。こ
こで、上記浸透圧調整剤の上記内水相中の存在量と連続
相中の存在量との比率は、特に制限されるものではいな
い。
【0035】本発明の製造方法において、上記方法によ
り算出した各工程の浸透圧調整剤量に従って、小胞体分
散液を製造する方法を小胞体分散液の種類に分けて以下
に具体的に説明する。
【0036】W/O/W型複合エマルションを製造する
場合、例えば特開昭52−46382号公報に記載され
た方法(上記二段階乳化に準じる)を採用すると好適で
あり、より具体的には、油分に親油性活性剤を加えて、
上記油分の融点以上に加熱溶解し、次に、この溶液をそ
の温度で攪拌時において、浸透圧調整剤をa1質量部配
合した水又は適宜水相成分を加えた水性液を加え、更に
攪拌してW/O型エマルションを調製する。一方、a2
質量部の浸透圧調整剤を溶解させた水又は適宜水相成分
を加えた水性液に親水性活性剤を先のW/O型エマルシ
ョンが可溶化しない程度加えて、乳化剤水溶液を形成
し、この乳化剤水溶液に上記油分の融点以上で親水性活
性剤の至適温度にて、攪拌時において同じ温度に加温し
た上記W/O型エマルションを体積分率50%程度にな
るように配合した後、ホモミキサーで10分間攪拌乳化
を行ってW/O/W型複合エマルションを得る。最後に
浸透圧調整剤をb質量部含有する水溶液を加え、全体を
緩やかに混合して仕上げる。
【0037】ベシクル分散液を製造する場合、特許第2
628512号公報に記載された方法を採用すると好適
であり、具体的には、第一段階として膜形成成分(界面
活性剤)を含み、液晶形成可能温度に加温した油相に攪
拌下で浸透圧調整剤をa1質量部含んだ加温した水相を
水相全量の半量程度加えて、界面活性剤液晶相を形成さ
せる。次いで該液晶相に残りの30℃の水相を添加し、
転相させて約35℃の水中油型エマルション(内水相を
含有する油滴が水性分散媒に分散した小胞体分散液)を
調製する。最後に浸透圧調整剤をb質量部含有する水溶
液を加えて、全体を緩やかに混合して仕上げる。
【0038】リポソーム分散液を製造する場合、特開平
11−47580号公報の実施例に記載された方法(上
記一段階乳化に準じる)を採用すると好適であり、具体
的には、リン脂質等の膜形成剤を約75℃に加温した多
価アルコール等の溶媒に溶解させる。一方、浸透圧調整
剤a1質量部を溶解させた水溶液を約75℃に加温し、
ホモミキサー(特殊機化工業:T.K.ホモミキサー)
を用い10000rpmで攪拌させながら先の溶液を徐
々に添加し、更に、10分間攪拌し、リポソームの分散
液を調製する。最後に浸透圧調整剤b質量部を含有する
水溶液を加え全体を混合して仕上げる。
【0039】本発明の製造方法によって得られた小胞体
分散液の粘度は、特に制限されるものではないが、液状
製剤として用いられることを考慮すれば、通常、後述す
る実施例の粘度測定法による25℃における粘度が1〜
3000mPa・s、好ましくは5〜500mPa・
s、より好ましくは5〜300mPa・sであると、よ
り好適である。
【0040】また、小胞体の分散濃度は、特に制限され
るものではないが、小胞体分散液全量に対して75質量
%以下、特に20〜75質量%が好適である。なお、上
記小胞体の分散濃度は、小胞体分散液の全量(100質
量%)から上記連続相の配合量(質量%)を引いた量が
小胞体の分散濃度(質量%)であるとしたものであり、
小胞体の形成が理論通りに行われたと仮定して算出され
るものである。
【0041】本発明の製造方法により得られた小胞体分
散液は、柔軟剤組成物、繊維処理剤組成物、医薬組成
物、化粧品組成物、育毛剤組成物、養毛剤組成物等とし
て利用することができ、特に小胞体の分散濃度が高くて
も経時安定性に優れる小胞体分散液が得られることか
ら、特に濃縮型柔軟剤組成物、化粧品組成物等を製造す
る方法として好適に利用することができる。
【0042】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明をよ
り詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に制限され
るものではない。
【0043】まず、本発明の実施例及び比較例の小胞体
分散液の粘度測定方法、保存安定性試験、凍結復元性試
験について説明する。本発明の実施例において、粘度測
定方法は、初期粘度測定、保存安定性試験、凍結復元性
試験のいずれにおいても汎用のB型粘度計を用いて測定
した。測定条件は次の通りである。
【0044】東京計器社製BL型粘度計:測定温度25
℃、ローターNo.2〜4(粘度レベルによって選
択)、30rpm、20秒間又は、 東京計器社製BH型粘度計:測定温度25℃、ローター
No.5〜7(粘度レベルによって選択)、20rp
m、30秒間
【0045】保存安定性試験は、50mLのガラス瓶に
サンプルを50mL充填し、25℃、50℃の恒温槽に
1ヵ月間静置保存して、保存後に粘度を測定した。凍結
復元性試験は、50mLのガラス瓶にサンプルを50m
L充填し、−15℃の恒温槽に一日保存し凍結させ、2
5℃の恒温槽に一日保存し、溶解させることを1サイク
ルとして、これを3回繰り返した後、25℃における粘
度を測定した。
【0046】表1及び表2の組成に従って、実施例1〜
6及び比較例1〜5の小胞体分散液を下記方法によって
製造し、下記方法によって実施例7及び比較例6の小胞
体分散液を製造した。得られた小胞体分散液について、
上記保存試験によって経時による粘度変化を測定した。
実施例1〜6及び比較例1〜5の結果を表1及び表2に
併記する。なお、表1及び表2に示した油相、水相及び
浸透圧調整剤の組成は、最終水中油型エマルション(内
水相を含有する油滴が水性分散媒に分散した小胞体分散
液)を100質量%とした場合の質量%である。また、
表1及び表2に記載した香料の組成を表3〜表13に示
した。
【0047】[実施例1〜3]油相及び水相を表1に示
す組成となるように調製した後、第一段階として45℃
の油相と30℃の水相の一部(表中に記載した割合)を
ラインミキサー(容量0.29L,羽根径/攪拌槽径=
0.7、4枚パドル羽根)に仕込み、羽根先端の周速
7.2m/s、滞留時間30秒間の攪拌下で混練し、ジ
(ステアロイルオキシエチル)メチルエタノール4級ア
ンモニウムメチルサルフェートの濃度が30%となるよ
うな42℃の液晶相を形成させた。次いで、該液晶相と
残りの30℃の水相とをラインミキサー(容量0.5L
羽根径/攪拌槽径=0.5、4枚タービン羽根)に仕込
み、羽根先端の周速10.4m/s、滞留時間30se
cの攪拌下にて混練し、転相させて、約35℃の水中油
型エマルション(小胞体分散液)を得た。
【0048】その後、小胞体調製後に添加する分とし
て、浸透圧調整剤溶液を表1の通り調製して、添加し、
緩やかにスタティックミキサーにて混合して仕上げた。
これらの小胞体分散液は、表1の結果から認められるよ
うに、いずれも極めて安定であった。
【0049】[実施例4、5]実施例1〜3において、
表1に示すように浸透圧調整剤として電解質でないスク
ロース、ソルビトールを用いた以外は、実施例1〜3と
同様にして小胞体分散液を調製した。これらの小胞体分
散液は、表1の結果から認められるように、安定であっ
た。
【0050】[実施例6]実施例1〜3において、表1
に示すように膜形成成分としてジ(ステアロイルオキシ
メチル)ジメチル4級アンモニウムクロライドを用いた
以外は、実施例1〜3と同様にして小胞体分散液を調製
した。この小胞体分散液は、表1の結果から認められる
ように、極めて安定であった。
【0051】[実施例7]軽質流動パラフイン100m
Lにソルビタンモノステアレート及びソルビタンモノオ
レエートを各5g加えて70℃で溶解した。一方、スク
ロース6gを加えた水194gを加え、内水相溶液を調
製し、70℃、ホモミキサー(5000rpm)攪拌時
に、先の油相溶液に加えた。更に10分間攪拌してW/
O型エマルションを調製した。他方、ショ糖脂肪酸エス
テル9gとスクロース6gを水245gに加えて乳化剤
水溶液を形成し、この乳化剤水溶液を70℃に加温し、
攪拌時において、70℃に加温した上記W/O型エマル
ションを300g配合した後、ホモミキサーで10分間
攪拌乳化を行ってW/O/W型複合エマルションを得た
(小胞体形成時の浸透圧調整剤の添加量12g)。30
%スクロース水溶液を最後に40g添加し、全体を緩や
かに混合してW/O/W型複合エマルションクリームを
得た(小胞体形成後の浸透圧調整剤の添加量12g)。
(小胞体内部の浸透圧調整剤量約6g、連続相の浸透圧
調整剤量約18g。)このW/O/W型複合エマルショ
ンクリームについて上記保存安定性試験(25℃、50
℃に1ヵ月保存)、上記凍結復元性試験を行ったとこ
ろ、粘度安定性は極めて良好であった。
【0052】[比較例1]実施例1において表2に示す
ように浸透圧調整剤を添加しない以外は、実施例1と同
様にして小胞体分散液を調製した。この小胞体分散液
は、表2の結果から認められるように、製造直後から粘
度が高く、各保存条件での安定性も極めて悪かった。
【0053】[比較例2、3]実施例1において表2に
示すように比較例2は小胞体調製後に浸透圧調整剤を添
加せず、また、比較例3は小胞体調製後に浸透圧調整剤
を小胞体調製時に用いた量の10倍以上添加した以外
は、実施例1と同様にして小胞体分散液を調製した。こ
れらの小胞体分散液は、表2の結果から認められるよう
に、いずれも、各保存条件での安定性が悪く、激しく増
粘した。
【0054】[比較例4、5]実施例1において表2に
示すように比較例4は小胞体調製時に浸透圧調整剤を添
加せず、また、比較例5は小胞体調製時に浸透圧調整剤
を小胞体調製後に用いた量の10倍以上添加した以外
は、実施例1と同様にして小胞体分散液を調製した。こ
れらの小胞体分散液は、表2の結果から認められるよう
に、いずれも、各保存条件での安定性が悪く、激しく増
粘した。
【0055】[比較例6]実施例7において、W/O/
W型複合エマルションを得た後に、浸透圧調整剤水溶液
を用いずに、代わりに精製水を40g添加して調製した
以外は、実施例7と同様にしてW/O/W型複合エマル
ションクリームを調製した。このものの粒子安定性は、
極めて悪く、経時でW/O型エマルションに転相してし
まった。
【0056】
【表1】 1)第4級アンモニウム:ジ(ステアロイルオキシエ
チル)メチルエタノール4級アンモニウムメチルサルフ
ェート 2)第4級アンモニウム:ジ(ステアロイルオキシエ
チル)ジメチル4級アンモニウムクロライド 3)平均EO付加モル数=40
【0057】
【表2】 1)第4級アンモニウム塩:ジ(ステアロイルオキシ
エチル)メチルエタノール4級アンモニウムメチルサル
フェート 2)第4級アンモニウム塩:ジ(ステアロイルオキシ
エチル)ジメチル4級アンモニウムクロライド 3)平均EO付加モル数=40
【0058】表1及び表2の結果によれば、本発明の製
造方法によって得られた小胞体分散液は、いずれも保存
安定性、凍結復元性に優れているのに対し、浸透圧調整
剤を配合しない場合(比較例1)、浸透圧調整剤を小胞
体形成時、形成後に分割添加しない場合(比較例2,
4)、浸透圧調整剤の小胞体形成時、形成後の配合割合
が本発明の範囲を外れる場合(比較例3,5)、いずれ
も高温安定性試験にかけると、油水が分離したり、凍結
復元性試験にかけると、小胞体が破壊されることが多く
なり、ゲル化してしまうことが認められる。このような
現象は、これら比較例の製造方法によると、調製された
小胞体分散液において、おそらく水の移動が活発にな
り、粒子の凝集が進むためと思われる。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
【表8】
【0065】
【表9】
【0066】
【表10】
【0067】
【表11】
【0068】
【表12】
【0069】
【表13】 *1:[Flower oils and Flora
l CompoundsIn Perfumery]
Danute Lajaujis Anonis,Al
lured Pub.Co.
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、経時での粘度上昇、粒
子破壊等を抑制して、分散液中の小胞体を安定化させる
ことができ、経時安定性に優れた小胞体分散液が得られ
るので、柔軟剤組成物、繊維処理剤組成物、医薬組成
物、化粧品組成物、育毛組成物、養毛組成物等の製造方
法として好適である。特に、本発明の小胞体分散液の製
造方法は、小胞体の分散濃度が高い場合でも、経時での
粘度上昇、粒子破壊等を抑制することができるので、濃
縮型柔軟剤組成物、化粧品組成物等の高濃度の小胞体分
散液の製造方法として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 澄田 研 東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライオ ン株式会社内 (72)発明者 梅澤 宏明 東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライオ ン株式会社内 Fターム(参考) 4C076 AA17 AA19 DD23 DD38 DD49F DD61 DD67 EE23 FF14 FF36 GG41 GG45 4G065 AA01 AA05 AB02Y AB05X AB06X AB09Y AB10Y AB12Y AB13X AB17Y AB24Y AB26X AB32X AB33X BA01 CA06 DA02 DA07 EA01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に水相を有する小胞体を水性分散媒
    中に分散させた小胞体分散液を調製する時に、浸透圧調
    整剤を、 1)小胞体形成時の浸透圧調整剤の配合量(A)と小胞
    体形成後に添加する浸透圧調整剤の配合量(B)とが、
    0.1A≦B≦10Aとなり、且つ 2)得られる小胞体分散液における上記浸透圧調整剤の
    小胞体内部に含有される水相中の存在量と上記分散媒中
    の存在量を算出したとき、小胞体内部の水相に含有され
    る上記浸透圧調整剤の量よりも上記分散媒に含有される
    上記浸透圧調整剤の量の方が多くなるように、小胞体形
    成時と小胞体形成後とに分割して添加することを特徴と
    する小胞体分散液の製造方法。
  2. 【請求項2】 小胞体形成時に使用する浸透圧調整剤
    と、小胞体形成後に添加する浸透圧調整剤とが、同一成
    分からなるものである請求項1記載の小胞体分散液の製
    造方法。
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