JP2012149011A - ベシクル組成物およびその製造方法ならびにその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗布時のなじみ感、すすぎ時の滑らかさ、塗布時の滑らかさ、指通りのよさ、乾燥時のまとまりを維持又は向上させることを可能にする毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】本発明は、成分(A)直鎖脂肪酸、(B)所定の構造の第3級アミン化合物、(C)炭素数1〜8の有機酸及び水から形成される連続相が水相であるベシクル組成物であって、ベシクル組成物中の成分(A)、(B)及び(C)の合計が1〜20質量%であり、かつ、平均粒径が2〜20μmであるベシクルを含有するベシクル組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ベシクル組成物およびその製造方法ならびにその用途に関する。
近年、パーマやヘアカラー、ブリーチなどの利用が一般化する反面、これらの化学処理に伴う毛髪のダメージも問題となっている。従来から、シャンプー後の毛髪の感触を向上させるために、リンス、コンディショナー、トリートメントなどの毛髪化粧料が使用されているが、毛髪のダメージを軽減する観点からも、更なる性能向上が望まれている。
例えば特許文献1には、毛髪に対して湿潤時の良好なリッチ感とその持続性、柔軟性、平滑性を付与することができる毛髪化粧料として、特定の第3級アミン、直鎖または分岐状の脂肪酸、無機酸または有機酸を含有する毛髪化粧料が開示されている。
また、特許文献2には、頭髪損傷の修復及び予防を目的として、コレステロールと塩基性アミノ酸と脂肪酸及び非イオン活性剤で安定化した多層小胞分散物からなる頭髪トリートメント組成物及び、多層小胞分散物を含むシャンプー及びコンディショナーのような頭髪トリートメント組成物が開示されている。このトリートメント組成物は頭髪繊維への幾つかの頭髪有効物質の浸透が特異的に促進されることが記載されている。
一方、乳化組成物の製造方法の一つとして、転相乳化法や液晶乳化法が知られている。転相乳化法とは油相に水相を添加しながら乳化する方法である。また液晶乳化法とは液晶相に水相を加えながら乳化する方法である。例えば非特許文献1では油相に水相を添加しながら乳化し、転相点付近で油−水界面張力が著しく低下することを利用して平均粒径1μm以下の微細なエマルションを形成させている。
また、例えば特許文献3には、香気のロングラスティング及び拡散性が良く、経時での安定性が良好となる、4級アンモニウム塩を含有する水中油型エマルションの製造方法が開示されている。
更に特許文献4では使用し始めから使用後までの毛髪へのなじみ、すすぎ時の滑らかさや指通り、乾燥後の仕上がりにおける柔らかさ、さらさら感、しっとり感などにおいて良好な効果を発揮するコンディショニング効果に優れた毛髪化粧料が開示されている。このような課題を解決することができる具体的な態様として、特定のヒドロキシエーテルアミン、高級アルコール又は高級脂肪酸、芳香族アルコール、特定の有機酸・無機酸をする毛髪用化粧料が開示されている。この毛髪用化粧料の製造方法の一形態として、水以外の成分を75℃に温めて固形分を融解させた後、75℃の水を攪拌混合しながら添加し、更に常温まで冷却している。
特開2002−114648号公報 特表2002−516831号公報 特開2008−094980号公報 特開2007−161605号公報
Optimization of Nano-emulsion Preparation by Low-Energy Methods in an Ionic Surfactant System, Langmuir 2006,22,8326-8332
しかし、特許文献1に記載の技術では、毛髪に十分な滑らか感、柔軟性、光沢を付与し、毛髪保護効果に優れた毛髪化粧料を提供する観点からの検討はなされているが、毛髪化粧料の塗布時の馴染み感、およびすすぎ時の滑らかさの両方において良好な感触を実現するといった観点からは必ずしも十分な効果が得られない場合もあった。
また、特許文献2に記載の技術ではコレステロールを必須成分として混在させることで、多層小胞を形成する。すなわち、ステロール類など特定の脂質が介在していることによりベシクル構造を形成する。しかし通常のトリートメント剤の成分のみでベシクル構造を形成することについては開示がないため、毛髪表面の特性の変化、改質については改善の余地があった。
更に、非特許文献1および特許文献3、4に記載されているような転相乳化は一般的にエマルションの安定化のために行われるが、ベシクル構造を形成することについては何ら言及されていない。また、所期の課題を解決するべく、得られる粒径の大きなベシクルを作ることについては開示されておらず、毛髪化粧料の塗布時の馴染み感は不十分であった。
特に特許文献4では実際に高級脂肪酸、芳香族アルコール、特定の有機酸・無機酸及び3級アミンを75℃に温めて固形分を融解させた後、75℃の水を攪拌混合しながら添加し、更に常温まで冷却したところ、粒径の大きなベシクルを作ることは難しかった。
本発明者らは、特定の第3級アミンおよび有機酸に加えて、特定の直鎖脂肪酸を組み合わせて、水中で比較的大きな平均粒径のベシクルを構成することができることを見出した。
さらに、本発明者らは、このようにベシクルが大きな平均粒径である組成物を用いた毛髪化粧料が、塗布時の馴染み感において良好な感触を実現することを見出した。更に本願発明のベシクル組成物は製造時のハンドリング性が向上することを見出した。
このようなベシクルの組成物は、具体的には、成分(A)、(B)、(C)及び水から形成され、特定の第3級アミン、および直鎖脂肪酸、および特定の有機酸から製造でき、かつ、十分なベシクルの体積割合を示すことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明のベシクル組成物によれば、以下に示す成分(A)、(B)、(C)及び水から形成される連続相が水相であるベシクル組成物であって、ベシクル組成物中の成分(A)、(B)および(C)の合計が1〜20質量%であり、ベシクルの平均粒径が2〜20μmであるベシクル組成物:
(A)炭素数12〜40の直鎖脂肪酸、
(B)一般式(1)から(3)のいずれかで表される第3級アミン化合物
Figure 2012149011
(式中、R11は、炭素数12〜24の脂肪族炭化水素を示し、R12はそれぞれ独立にHまたは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)、
Figure 2012149011
(式中、R20は、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R21及びR22は、同一又は相異なって炭素数1〜6のアルキル基又は−(AO)H(Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、gは1〜6の数を示し、g個のAは同一でも異なってもよく、その配列は任意である)を示す。)
Figure 2012149011
(式中、R23は炭素数11〜23の脂肪族炭化水素基を示し、R24は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは2〜4の数を示す。);
(C)炭素数1〜8の有機酸
が提供される。
本発明のベシクル組成物によれば、塗布時の馴染み感が良好であって、製造時のハンドリング性の良好な毛髪化粧料が得られる。
本発明のベシクル組成物は、以下の成分(A)、(B)、(C)及び水から形成される連続相が水相である。以下、各成分について具体的に説明する。
(A)炭素数12〜40の直鎖脂肪酸
(B)第3級アミン化合物
(C)炭素数1〜8の有機酸。
はじめに、成分(A)について説明する。
本発明で用いる成分(A)は、直鎖脂肪酸である。
以下、直鎖脂肪酸について説明する。
成分(A)としての直鎖脂肪酸は、炭素数12〜40の直鎖脂肪酸である。飽和でも不飽和でも良い。ベシクルを形成する観点から、さらに、炭素数は14以上、特に16以上が好ましく、炭素数24以下、さらには22以下が好ましい。
直鎖脂肪酸は、2種以上を併用してもよい
直鎖脂肪酸の含有量は、ベシクル組成物中に0.5質量%以上、1質量%以上が好ましく、5質量%以下、3質量%以下が好ましい。
次に成分(B)について説明する。
成分(b)は、以下の一般式(1)のアルキルアミン、一般式(2)のエーテルアミン、一般式(3)のアルキルアミドアミンのいずれかで表される第3級アミン化合物である。
Figure 2012149011
(式中、R11は、炭素数12〜24の脂肪族炭化水素、好ましくは炭素数14〜24の脂肪族炭化水素、より好ましくは炭素数14〜20の脂肪族炭化水素を示し、R12はそれぞれ独立にHまたは炭素数1〜4のアルキル基、好ましくはHまたは炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
具体的には、N,N−ジメチルテトラデシルアミン、N,N−ジメチルヘキサデシルアミン、N,N−ジメチルベヘニルアミン、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミンが挙げられる。
Figure 2012149011
(式中、R20は、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、好ましくは炭素数12〜24の直鎖または分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、より好ましくは炭素数14〜22の直鎖または分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、特に好ましくは炭素数14〜22の直鎖アルキル基を示し、R21及びR22は、同一又は相異なって炭素数1〜6のアルキル基又は−(AO)H(Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、gは1〜6の数を示し、g個のAは同一でも異なってもよく、その配列は任意である)を示す。)
具体的には、N,N−ジメチル−3−ヘキサデシルオキシプロピルアミン、N,N−ジメチル−3−オクタデシルオキシプロピルアミンが挙げられる。
Figure 2012149011
(式中、R23は炭素数11〜23の脂肪族炭化水素基、好ましくは炭素数13〜23の脂肪族炭化水素基、さらに好ましくは炭素数19〜23の脂肪族炭化水素基を示し、R24は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは2〜4の数を示す。)
具体的には、N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)ドコサナミド、N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)ステアラミドが挙げられる。
成分(B)の3級アミンは、1種または2種以上を併用しても良い。成分(B)の3級アミンとしては一般式(2)のエーテルアミン、一般式(3)のアミドアミンがより好ましく、一般式(3)のアミドアミンが特に好ましい。すすぎ時の滑らかさ、乾燥後の滑らかさ付与の点から、成分(B)の含有量は、ベシクル組成物中に0.5〜15質量%が好ましい。更には1〜10質量%、特に1.5〜7質量%が好ましい。
本発明で用いる成分(C)は、炭素数1〜8の有機酸である。
具体的には、酢酸、プロピオン酸、カプリル酸等のモノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸;グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;安息香酸、サリチル酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸などが挙げられる。これらの中で、ヒドロキシカルボン酸、酸性アミノ酸が好ましい。ヒドロキシカルボン酸としては、特にグリコール酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸が好ましく、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸が好ましく、中でもグルコール酸、乳酸が好ましい。酸性アミノ酸としては、グルタミン酸が特に好ましい。
成分(C)の含有量は、ベシクル組成物中に0.05質量%以上、0.1質量%以上が好ましく、4質量%以下、2質量%以下が好ましい。
本発明の毛髪化粧料は、水を含む。水は、精製水を使用することが好ましい。水の含有量は、特に限定されず、使用する目的に応じて、適宜調整して用いることができる。
成分(A)、成分(B)、成分(C)及び水により、ベシクルが形成され、特にいくつかの二重膜から成る多層ラメラベシクル(いわゆる、オニオンベシクル)が水中に分散したベシクル組成物が形成されやすい。また、ベシクルとは通常内層が中空あるいは水相である小胞体を指すが、ここで形成される多層ラメラベシクルは内層の一部もしくは全部が油相となる構造を持つものも包含される。また、本願において、「ベシクル」には多層ラメラベシクルも包含される。
ベシクル分散液中のベシクル体積濃度を高くするという観点から、成分(A)と成分(C)とのモル比(A)/(C)は、5/5以上が好ましく、特に好ましくは7/3以上であり、かつ、9/1以下が好ましく、特に好ましくは8/2以下である。
また、成分(A)、成分(B)、成分(C)を効率的にベシクル形成に寄与させるという観点から、(A)+(C)の酸当量と(B)の塩基当量との比は、0.25以上が好ましく、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.6以上であり、かつ、4以下が好ましく、より好ましくは2以下、さらに好ましくは1.8以下である。
さらに、ベシクル分散液の保存安定性やハンドリング性という観点から、ベシクル分散液中の成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計は、1〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜15質量%である。
ベシクル分散液中に生成したベシクルの体積は塗布時の馴染み感、すすぎ時の滑らかさの向上という観点から、ベシクル組成物中の成分(A)の体積量に対して4体積倍以上、好ましくは5体積倍以上、さらに好ましくは6体積倍以上、特に好ましくは8体積倍以上である。
また、好ましいベシクル分散液の形態はベシクルの体積濃度が20〜80体積%が好ましく、30〜80体積%であることがより好ましく、その中でも30〜60体積%であることが特に好ましい。この範囲であれば、ベシクル分散液の保存安定性、ハンドリング性と馴染み感、すすぎ時の滑らかさの向上が最も優れるからである。
本発明のベシクル組成物はベシクルの分散液(プレミックス)の形態をとることが望ましい。このベシクル分散液は、例えば以下の段階を経て得ることができる。
すなわち、
(i)成分(A)、成分(B)、成分(C)を含有する油相を、当該油相の融点以上の温度で溶解する工程と、
(ii)得られた油相に水相を加えながら混合する工程と、
によって好適に製造できる。このような手順に従えば、連続相が水相であるベシクル組成物が得られる。
工程(i)においては安定的な製造の観点から油相は溶解する必要がある。このため、油相の融点以上の温度で溶解し、更に油相の融点より5℃以上高い温度で溶解することが好ましく、特に油相の融点より10℃以上高い温度で溶解することが好ましい。
また、油相は均一に混合された状態であることが好ましい。そこで、本工程は油相を混合しながら溶解させることが好ましい。混合方法は特に限定しないが、例えば攪拌により混合することが好ましい。
工程(ii)においては水相滴下時の温度は油相温度及び滴下する水相の温度及び混合装置での加熱あるいは冷却により適宜決めることが出来る。ここで、「水相」には、イオン交換水、蒸留水などの精製水を用いるが、後述するように水に溶解する(D)成分である多価アルコール、例えばグリセリンやジプロピレングリコールなどを含有させることもできる。また、効率的にベシクルを製造する観点から、油相温度及び滴下する水相の温度を、形成させるベシクルのゲル転移温度以上にすることが好ましい。このように油相を攪拌しながら水相を滴下する乳化形式を一般に転相乳化という。本発明では、上述のように油相を構成し、転相乳化にてベシクル組成物とすることにより、ハンドリング性に優れたものとなる。
ベシクル分散液中のベシクルの体積濃度は油相への水相の滴下速度及び水相滴下時の攪拌速度により、またベシクルの粒径は水相滴下開始以降の攪拌速度(せん断速度)により調整可能である。油相への水相の滴下速度や滴下時の攪拌速度の最適値はベシクル組成物の処方や成分比及び配合槽の大きさ、形状によって変化するが、水相滴下途中で最も粘度の上昇する状態において均一に混合できる条件が好ましい。更に水相を滴下していくと、ベシクル分散液の粘度は低下し、ベシクル体積濃度は減少する。滴下する水相の量はベシクル分散液の保存安定性、ハンドリング性を考慮して適宜調整可能である。
油相への水相の滴下速度は上述のように適宜選択できるが、ベシクル分散液中のベシクルの体積濃度を高める目的から、5分以上時間をかけて滴下することが望ましい。特に滴下速度を制限するものではないが、例えば、滴下する水相の全量が600gであれば、5〜120g/分で滴下することが好ましい。
また、ベシクル組成物の安定性の観点から、工程(ii)の後に
(iii)水相滴下終了後、速やかにベシクルのゲル転移温度以下まで冷却する工程
を含むベシクル組成物の製造方法であることが好ましい。
ベシクル組成物中のベシクル体積濃度は、電解質溶液にベシクル組成物を分散させ、電解質溶液に浮遊しているベシクルがアパチャーと呼ばれる細孔で区切られた領域を通過する際、アパチャーを隔てて設置された2電極間の電気抵抗あるいは電圧あるいは電流の変化を測定することにより、アパチャーを通過するベシクルの正確な体積を求めることができる。このような原理の粒度分布測定装置、例えばベックマン・コールター株式会社製のMultisizerTM4を用いて測定することが出来る。
また、ベシクル組成物に含まれるベシクルの平均粒径は、毛髪塗布時の馴染み感のさらなる向上という観点から、2μm以上、好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上であり、かつ、20μm以下、好ましくは18μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。ここで、平均粒径は、上記ベシクル体積濃度の測定で用いられる粒度分布測定装置であるベックマン・コールター株式会社製のMultisizerTM4を用いて体積平均粒径として測定できる。測定は室温下(15〜30℃)にて行うことが望ましい。
本発明のベシクル組成物は、さらに、(D)多価アルコールを含んでいてもよい。
成分(D)として具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。特にプロピレングリコール、ジプロピレングリコールが好ましい。
成分(D)の含有量は、ベシクル組成物の保存安定性の観点から、ベシクル組成物全体に対して0.5〜60質量%が好ましく、より好ましくは1〜50質量%である。特に2〜20質量%が好ましい。
成分(D)の添加においては、前記(ii)の段階で水相に添加することもできるが、前記(i)の段階において油相に添加することが好ましい。前記(i)の段階において、成分(A)、成分(B)、成分(C)を含有する油相を、油相の融点以上の温度で溶解させた後、油相に成分(D)を加えることが好ましい。または、前記(i)の段階において、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)を含有する油相を、油相の融点以上の温度で固形物が無くなるまで溶解させた油相を得てもよい。(i)の段階の後、得られた油相に水相を加えながら混合する(ii)の段階を経ることによって、ベシクル体積濃度が高く、保存安定性の高いベシクル分散液を得ることができる。さらにベシクルの保存安定性の観点から水相滴下終了後、速やかにベシクルのゲル転移温度以下まで冷却する(iii)の段階を経ることが好ましい。
また、油相には本発明のベシクルの製造を阻害しない範囲で任意の成分を入れることができる。任意成分としては、例えば各種エキス類及び酸化防止剤などを挙げることができるが、これに限定されない。油相に添加できる任意成分は安定的なベシクル組成物の製造の観点から油相の1質量%以下である。
水相には本発明のベシクルの製造を阻害しない範囲で任意の成分を添加できる。添加できる任意成分としては、例えば各種エキス類及び防腐剤などがあるが、特にこれに限定されない。水相に添加できる任意成分は安定的なベシクル組成物の製造の観点から、水相の0.1質量%以下である。
なお、高級アルコールは、本願の成分A)成分B)成分C)を含む処方では、組成物中に含まれるベシクルの体積割合を増やす観点から、ベシクル組成物中には含まないか、あるいは実質的に含まない方がよく、ベシクル組成物中2質量%以下、特に1質量%以下が好ましい。
ベシクル組成物を製造する際には、せん断混合状態の油相に水相を滴下する。混合装置はせん断混合ができれば特に限定されないが、水相添加途中で高粘度になる場合には高粘度物を混合できる装置、例えばプライミクス株式会社製アヂホモミキサー、T.K.コンビミックス、みづほ工業株式会社製真空乳化攪拌装置、住友重機械工業株式会社製マックスブレンド攪拌槽、佐竹化学機械工業株式会社製スーパーミックス攪拌槽などが好ましい。攪拌速度については特に限定するものではないが、例えば20〜800rpmで攪拌するのが好ましい。
確証はないが、このような本発明の製造方法により得られるベシクルでは、毛髪に塗布した際に容易にベシクルから膜状に構造変化することにより、毛髪表面での特性を好適に変化させることができるものと考えられる。
また、従来のベシクル構造は、例えば特表2002−516831号公報に記載されているように、ステロール類、リン脂質などの特定の脂質が介在することにより構成されている。これに対して、本発明は、ステロール類やリン脂質を含有していなくてもベシクル組成物を形成できる。すなわち、ベシクル構造を従来からリンス、コンディショナーなどの毛髪化粧料に使用される成分により構成することができるという点で新しい知見ということができる。従って、本発明は、当該分野における新規な製剤処方を提供するものである。
本発明の毛髪化粧料は、1種または複数の界面活性剤と脂肪族アルコールとを含有し、さらに前述したベシクル組成物を含有する。
毛髪化粧料中のベシクル組成物の含有量は、塗布時の馴染み感、すすぎ時の滑らかさを付与する観点から、ベシクルを構成する成分(A)直鎖脂肪酸が、0.01〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜2質量%となる量が挙げられる。このような毛髪化粧料は、従来の毛髪化粧料と有効成分の含有量が同程度であるにもかかわらず、従来の毛髪化粧料よりも塗布時のなじみ感を向上させることができる。
このような毛髪化粧料としては例えば、コンディショナー、リンス、トリートメント、シャンプーなどが挙げられる。特に効果的な毛髪化粧料として、コンディショナー、リンス、トリートメントが好ましい。これらの毛髪化粧料は、毛髪化粧料塗布後、洗い流す使用形態でも洗い流さない使用形態でも良い。
ベシクル組成物を含有する毛髪化粧料は本発明のベシクル組成物を別途、通常の方法で調製した毛髪化粧料ベースに混合することで得られる。通常の方法で調整した毛髪化粧料ベースとは例えば界面活性剤と脂肪族アルコールを含有し、必要に応じてシリコーン、油性成分などを配合した一般的な毛髪化粧料をいう。これは任意の方法で調整することができる。
毛髪化粧料ベースとして使用するカチオン界面活性剤は、4級アンモニウム、3級アミン化合物が挙げられ、特に3級アミン化合物が好ましい。3級アミン化合物は、成分(C)に挙げられた化合物から選択される。特に、ベシクル組成物で使用した3級アミン化合物と同じ成分を用いることが好ましい。
毛髪化粧料ベースとして使用する脂肪族アルコールは、炭素数12〜26の脂肪族アルコールが好ましい。これにより、毛髪への塗布時の毛髪を滑らかにすることができる。直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族アルコールが好ましく、中でも、炭素数16〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族アルコールが好ましい。特に炭素数16〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族アルコールがより好ましい。具体的には、セチルアルコール、ステアリルアルコールが好ましい。
毛髪化粧料ベースの処方や製造方法は特に限定されるものではないが、例えば加熱攪拌した水相にカチオン性界面活性剤と高級アルコールを含有する油相を添加し、乳化することで得られる。
通常の毛髪化粧料ベースに本ベシクル組成物を配合する方法は特に限定されないが、ベシクルの安定性の観点から、ベシクルのゲル転移温度以下の温度で配合することが望ましい。これによりベシクル組成物の構造を維持した毛髪化粧料を得ることができる。
〔プレミックス組成物の調製〕
(実施例1)
ステアリン酸(ルナックS−90V、花王株式会社製)3.50g、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ドコサンアミド(AMIDET APA−22、花王株式会社製)6.54g、乳酸(ムサシノ乳酸90、株式会社武蔵野化学研究所製)0.30g、およびジプロピレングリコール(DPG−RF、株式会社ADEKA製)10.50gを300mlビーカーに入れ、80℃までプロペラ攪拌下加熱し、原料を完全溶解した。この油相中に、水相として80℃に加熱したイオン交換水179.16gを10分かけて定量滴下し、80℃にて乳化した。乳化時の攪拌回転数は150rpmとした。その後5℃の冷媒により30℃以下まで冷却し、プレミックス組成物を得た。
このベシクル組成物のゲル転移温度を示差走査熱量計(DSC)で測定したところ57.5℃であった。なお、ゲル転移温度の測定にはSETARAM INSTRUMENTATIONのμDSC7 evoを用い、5℃から90℃まで昇温速度0.5℃/分で測定した。
(実施例2)
ステアリン酸(ルナックS−90V、花王株式会社製)3.50g、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ドコサンアミド(AMIDET APA−22、花王株式会社製)6.54g、および乳酸(ムサシノ乳酸90、株式会社武蔵野化学研究所製)0.30gを300mlビーカーに入れ、80℃までプロペラ攪拌下加熱し、原料を完全溶解した。この油相中に、水相として80℃に加熱したイオン交換水189.66gを10分かけて定量滴下し、80℃にて乳化した。なお、これは調整するベシクル組成物のゲル転移温度以上であった。乳化時の攪拌回転数は150rpmとした。その後5℃の冷媒により30℃以下まで冷却し、プレミックス組成物を得た。
(実施例3)
ミリスチン酸(ルナックMY−98、花王株式会社製)3.50g、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ドコサンアミド(AMIDET APA−22、花王株式会社製)7.98g、乳酸(ムサシノ乳酸90、株式会社武蔵野化学研究所製)0.38g、およびジプロピレングリコール(DPG−RF、株式会社ADEKA製)10.50gを300mlビーカーに入れ、80℃までプロペラ攪拌下加熱し、原料を完全溶解した。この油相中に、水相として80℃に加熱したイオン交換水177.64gを10分かけて定量滴下し、80℃にて乳化した。なお、これは調整するベシクル組成物のゲル転移温度以上であった。乳化時の攪拌回転数は150rpmとした。その後5℃の冷媒により30℃以下まで冷却し、プレミックス組成物を得た。
(実施例4)
ベヘン酸(ルナックバ、花王株式会社製)3.50g、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ドコサンアミド(AMIDET APA−22、花王株式会社製)5.18g、乳酸(ムサシノ乳酸90、株式会社武蔵野化学研究所製)0.24g、およびジプロピレングリコール(DPG−RF、株式会社ADEKA製)10.50gを300mlビーカーに入れ、80℃までプロペラ攪拌下加熱し、原料を完全溶解した。この油相中に、水相として80℃に加熱したイオン交換水180.58gを10分かけて定量滴下し、80℃にて乳化した。なお、これは調整するベシクル組成物のゲル転移温度以上であった。乳化時の攪拌回転数は150rpmとした。その後5℃の冷媒により30℃以下まで冷却し、プレミックス組成物を得た。
(実施例5)
ステアリン酸(ルナックS−90V、花王株式会社製)3.50g、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ステアロアミド(NIKKOLアミドアミンMPS、日光ケミカルズ株式会社製)5.66g、乳酸(ムサシノ乳酸90、株式会社武蔵野化学研究所製)0.30g、およびジプロピレングリコール(DPG−RF、株式会社ADEKA製)10.50gを300mlビーカーに入れ、80℃までプロペラ攪拌下加熱し、原料を完全溶解した。この油相中に、水相として80℃に加熱したイオン交換水180.02gを10分かけて定量滴下し、80℃にて乳化した。なお、これは調整するベシクル組成物のゲル転移温度以上であった。乳化時の攪拌回転数は150rpmとした。その後5℃の冷媒により30℃以下まで冷却し、プレミックス組成物を得た。
(実施例6)
ステアリン酸(ルナックS−90V、花王株式会社製)3.50g、N,N−ジメチルオクタデシロキシプロピルアミン(ファーミンDM E−80、花王株式会社製)6.08g、乳酸(ムサシノ乳酸90、株式会社武蔵野化学研究所製)0.30g、およびジプロピレングリコール(DPG−RF、株式会社ADEKA製)10.50gを300mlビーカーに入れ、80℃までプロペラ攪拌下加熱し、原料を完全溶解した。この油相中に、水相として80℃に加熱したイオン交換水179.62gを10分かけて定量滴下し、80℃にて乳化した。なお、これは調整するベシクル組成物のゲル転移温度以上であった。乳化時の攪拌回転数は150rpmとした。その後5℃の冷媒により30℃以下まで冷却し、プレミックス組成物を得た。
(実施例7)
ステアリン酸(ルナックS−90V、花王株式会社製)3.50g、N,N−ジメチルテトラデシルアミン(ファーミンDM 4098、花王株式会社製)3.78g、乳酸(ムサシノ乳酸90、株式会社武蔵野化学研究所製)0.30g、およびジプロピレングリコール(DPG−RF、株式会社ADEKA製)10.50gを300mlビーカーに入れ、80℃までプロペラ攪拌下加熱し、原料を完全溶解した。この油相中に、水相として80℃に加熱したイオン交換水181.90gを10分かけて定量滴下し、80℃にて乳化した。なお、これは調整するベシクル組成物のゲル転移温度以上であった。乳化時の攪拌回転数は150rpmとした。その後5℃の冷媒により30℃以下まで冷却し、プレミックス組成物を得た。
(実施例8)
ステアリン酸(ルナックS−90V、花王株式会社製)3.50g、N,N−ジメチルベヘニルアミン(ファーミンDM 2285、花王株式会社製)5.54g、乳酸(ムサシノ乳酸90、株式会社武蔵野化学研究所製)0.30g、およびジプロピレングリコール(DPG−RF、株式会社ADEKA製)10.50gを300mlビーカーに入れ、80℃までプロペラ攪拌下加熱し、原料を完全溶解した。この油相中に、水相として80℃に加熱したイオン交換水180.14gを10分かけて定量滴下し、80℃にて乳化した。なお、これは調整するベシクル組成物のゲル転移温度以上であった。乳化時の攪拌回転数は150rpmとした。その後5℃の冷媒により30℃以下まで冷却し、プレミックス組成物を得た。
(実施例9)
ステアリン酸(ルナックS−90V、花王株式会社製)3.50g、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ドコサンアミド(AMIDET APA−22、花王株式会社製)13.06g、乳酸(ムサシノ乳酸90、株式会社武蔵野化学研究所製)0.30g、およびジプロピレングリコール(DPG−RF、株式会社ADEKA製)10.50gを300mlビーカーに入れ、80℃までプロペラ攪拌下加熱し、原料を完全溶解した。この油相中に、水相として80℃に加熱したイオン交換水172.62gを10分かけて定量滴下し、80℃にて乳化した。なお、これは調整するベシクル組成物のゲル転移温度以上であった。乳化時の攪拌回転数は150rpmとした。その後5℃の冷媒により30℃以下まで冷却し、プレミックス組成物を得た。
(実施例10)
ステアリン酸(ルナックS−90V、花王株式会社製)3.50g、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ドコサンアミド(AMIDET APA−22、花王株式会社製)3.26g、乳酸(ムサシノ乳酸90、株式会社武蔵野化学研究所製)0.30g、およびジプロピレングリコール(DPG−RF、株式会社ADEKA製)10.50gを300mlビーカーに入れ、80℃までプロペラ攪拌下加熱し、原料を完全溶解した。この油相中に、水相として80℃に加熱したイオン交換水182.42gを10分かけて定量滴下し、80℃にて乳化した。なお、これは調整するベシクル組成物のゲル転移温度以上であった。乳化時の攪拌回転数は150rpmとした。その後5℃の冷媒により30℃以下まで冷却し、プレミックス組成物を得た。
(実施例11)
ステアリン酸(ルナックS−90V、花王株式会社製)3.50g、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ドコサンアミド(AMIDET APA−22、花王株式会社製)6.54g、乳酸(ムサシノ乳酸90、株式会社武蔵野化学研究所製)0.30g、およびジプロピレングリコール(DPG−RF、株式会社ADEKA製)10.50gを300mlビーカーに入れ、80℃までプロペラ攪拌下加熱し、原料を完全溶解した。この油相中に、水相として80℃に加熱したイオン交換水179.16gを10分かけて定量滴下し、80℃にて乳化した。乳化時の攪拌回転数は700rpmとした。その後5℃の冷媒により30℃以下まで冷却し、プレミックス組成物を得た。
(比較例1)
N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ドコサンアミド(AMIDET APA−22、花王株式会社製)6.54g、乳酸(ムサシノ乳酸90、株式会社武蔵野化学研究所製)0.30g、およびジプロピレングリコール(DPG−RF、株式会社ADEKA製)10.50gを300mlビーカーに入れ、80℃までプロペラ攪拌下加熱し、原料を完全溶解した。この油相中に、水相として80℃に加熱したイオン交換水182.66gを10分かけて定量滴下し、80℃にて乳化した。乳化時の攪拌回転数は150rpmとした。その後5℃の冷媒により30℃以下まで冷却し、プレミックス組成物を得た。
(比較例2)
ステアリン酸(ルナックS−90V、花王株式会社製)3.50g、乳酸(ムサシノ乳酸90、株式会社武蔵野化学研究所製)0.30g、およびジプロピレングリコール(DPG−RF、株式会社ADEKA製)10.50gを300mlビーカーに入れ、80℃までプロペラ攪拌下加熱し、原料を完全溶解した。この油相中に、水相として80℃に加熱したイオン交換水185.70gを10分かけて定量滴下し、80℃にて乳化した。乳化時の攪拌回転数は150rpmとした。その後5℃の冷媒により30℃以下まで冷却し、プレミックス組成物を得た。
(比較例3)
ステアリン酸(ルナックS−90V、花王株式会社製)3.50g、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ドコサンアミド(AMIDET APA−22、花王株式会社製)6.54g、およびジプロピレングリコール(DPG−RF、株式会社ADEKA製)10.50gを300mlビーカーに入れ、80℃までプロペラ攪拌下加熱し、原料を完全溶解した。この油相中に、水相として80℃に加熱したイオン交換水179.46gを10分かけて定量滴下し、80℃にて乳化した。乳化時の攪拌回転数は150rpmとした。その後5℃の冷媒により30℃以下まで冷却し、プレミックス組成物を得た。
(比較例4)
ステアリン酸(ルナックS−90V、花王株式会社製)3.50g、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ドコサンアミド(AMIDET APA−22、花王株式会社製)6.54g、乳酸(ムサシノ乳酸90、株式会社武蔵野化学研究所製)0.30g、ジプロピレングリコール(DPG−RF、株式会社ADEKA製)10.50g、およびベンジルアルコール(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)6.00gを300mlビーカーに入れ、80℃までプロペラ攪拌下加熱し、原料を完全溶解した。この油相中に、水相として80℃に加熱したイオン交換水173.16gを10分かけて定量滴下し、80℃にて乳化した。乳化時の攪拌回転数は150rpmとした。その後5℃の冷媒により30℃以下まで冷却し、プレミックス組成物を得た。
(比較例5)
カプリン酸(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)3.50g、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ドコサンアミド(AMIDET APA−22、花王株式会社製)10.78g、乳酸(ムサシノ乳酸90、株式会社武蔵野化学研究所製)0.50g、およびジプロピレングリコール(DPG−RF、株式会社ADEKA製)10.50gを300mlビーカーに入れ、80℃までプロペラ攪拌下加熱し、原料を完全溶解した。この油相中に、水相として80℃に加熱したイオン交換水174.70gを10分かけて定量滴下し、80℃にて乳化した。乳化時の攪拌回転数は150rpmとした。その後5℃の冷媒により30℃以下まで冷却し、プレミックス組成物を得た。
(比較例6)
300mLビーカーにイオン交換水を179.16g入れ、80℃までプロペラ攪拌下加熱した。また、ステアリン酸(ルナックS−90V、花王株式会社製)3.50g、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ドコサンアミド(AMIDET APA−22、花王株式会社製)6.54g、乳酸(ムサシノ乳酸90、株式会社武蔵野化学研究所製)0.30g、およびジプロピレングリコール(DPG−RF、株式会社ADEKA製)10.50gを別のビーカーに入れ、80℃までプロペラ攪拌下加熱し、原料を完全溶解した。この油相を300mlビーカー中の水相に10分かけて定量滴下し、80℃にて乳化した。乳化時の攪拌回転数は150rpmとした。その後5℃の冷媒により30℃以下まで冷却し、プレミックス組成物を得た。
〔プレミックス組成物の評価〕
(1)ベシクル形成の有無は偏光顕微鏡観察により評価した。
◎:ベシクル構造由来の明瞭なマルテーゼクロス(Maltese Cross)が観察される
○:ベシクル構造由来のマルテーゼクロスが観察される
×:ベシクル構造由来のマルテーゼクロスが観察されない
(2)プレミックスの平均粒径は、ベックマン・コールター株式会社製のMultisizerTM4を用いて25℃で測定した。なお、平均粒径は体積基準のメディアン径を用いた。
〔リンスの調製〕
実施例1〜11および比較例1〜6で得られたプレミックス組成物を用いてリンスの調製を行った。500mlビーカーに水相としてイオン交換水301.40g、乳酸(ムサシノ乳酸90、株式会社武蔵野化学研究所製)を2.36g入れ、55℃までプロペラで攪袢下加熱する。その後、N,N−ジメチルオクタデシロキシプロピルアミン(ファーミンDM E−80、花王株式会社製)を9.29g、ステアリルアルコール(カルコール8098、花王株式会社製)21.00g、ジプロピレングリコール(DPG−RF、株式会社ADEKA製)5.95gから成る油相を80℃で均―溶解した後、水相中に添加し、10分間300rpmで攪拌して乳化した。35℃以下まで放冷してベースリンスを調製した後、前述のプレミックス10.00gを添加し、リンスとした。
〔リンスの評価方法〕
ストレートパーマ1回、ブリーチ2回処理を施した日本人女性の毛髪をダメージ毛髪とし、それぞれ20g(長さ15〜20cm、平均直径80μm)の毛髪束を、下記の組成の標準シャンプー2gを用いて洗浄した毛髪束に、上記実施例、比較例にて調製したリンス2gを塗布し、毛髪全体に十分に馴染ませた後、およそ30秒間約40℃の流水下で濯ぎ、ついで、タオルドライを行い、ドライヤーで十分に乾燥させた。
・標準シャンプーの処方(pH7.0)
25%ポリオキシエチレン(2.5)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩 62.0%
ラウリン酸ジエタノールアミド 2.3%
エデト酸二ナトリウム 0.15%
安息香酸ナトリウム 0.5%
塩化ナトリウム 0.8%
75%リン酸 適量
香料、メチルパラベン 適量
精製水 残量
毛髪の「塗布時の馴染み感」および「すすぎ時の滑らかさ」を評価した。評価は5人で5段階評価を行い、その平均値をとった。平均点が3点以上であれば合格品とした。
(評価基準)
5:塗布時の馴染み感、すすぎ時の滑らかさ共に優れる
4:塗布時の馴染み感、すすぎ時の滑らかさ共に良好
3:塗布時の馴染み感又はすすぎ時の滑らかさのどちらかが良好
2:塗布時の馴染み感又はすすぎ時の滑らかさのどちらかが劣る
1:塗布時の馴染み感及びすすぎ時の滑らかさのどちらも劣る
〔ハンドリング性の評価〕
全く同一の処方で製造方法のみ異なる実施例1,実施例11及び比較例6について粘度を測定し、各組成物のハンドリング性を評価した。
◎:粘度≦1000mPa・s
○:1000<粘度≦5000mPa・s
×:粘度>5000mPa・s
粘度測定にはB型粘度計(東機産業株式会社製VISCOMETER TV−10M)を用い、温度30℃、回転速度30rpm、保持時間60sの条件で測定した。
従来技術に比べ粘度が低下し、製造時のハンドリング性も良好になった(表5)。
Figure 2012149011
Figure 2012149011
Figure 2012149011
Figure 2012149011
Figure 2012149011

Claims (10)

  1. 成分(A)、(B)、(C)及び水から形成される連続相が水相であるベシクル組成物であって、ベシクル組成物中の前記成分(A)、(B)及び(C)の合計が1〜20質量%であり、かつ、体積平均粒径が2〜20μmであるベシクルを含有するベシクル組成物:
    (A)炭素数12〜40の直鎖脂肪酸、
    (B)一般式(1)から(3)のいずれかで表される第3級アミン化合物
    Figure 2012149011
    (式中、R11は、炭素数12〜24の脂肪族炭化水素を示し、R12はそれぞれ独立にHまたは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)、
    Figure 2012149011
    (式中、R20は、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R21及びR22は、同一又は相異なって炭素数1〜6のアルキル基又は−(AO)H(Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、gは1〜6の数を示し、g個のAは同一でも異なってもよく、その配列は任意である)を示す。)
    Figure 2012149011
    (式中、R23は炭素数11〜23の脂肪族炭化水素基を示し、R24は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは2〜4の数を示す。);
    (C)炭素数1〜8の有機酸。
  2. さらに(D)多価アルコールを含有する請求項1に記載のベシクル組成物。
  3. 前記成分(A)、(B)および(C)において、(A)+(C)の酸当量と(B)の塩基当量の比が0.25〜4である請求項1又は請求項2に記載のベシクル組成物。
  4. 1種または複数の界面活性剤と脂肪族アルコールとを含有し、請求項1〜3のいずれか一項に記載のベシクル組成物を添加することで得られる毛髪化粧料。
  5. 成分(A)炭素数12〜40の直鎖脂肪酸、;
    成分(B)一般式(1)から(3)のいずれかで表される第3級アミン化合物
    Figure 2012149011
    (式中、R11は、炭素数12〜24の脂肪族炭化水素を示し、R12はそれぞれ独立にHまたは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)、
    Figure 2012149011
    (式中、R20は、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R21及びR22は、同一又は相異なって炭素数1〜6のアルキル基又は−(AO)H(Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、gは1〜6の数を示し、g個のAは同一でも異なってもよく、その配列は任意である)を示す。)
    Figure 2012149011
    (式中、R23は炭素数11〜23の脂肪族炭化水素基を示し、R24は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは2〜4の数を示す。);
    (C)炭素数1〜8の有機酸
    を含有する油相を当該油相の融点以上の温度で溶解させる工程と、溶解した油相に水相を加えながら混合する工程を含む、連続相が水相であるベシクル組成物の製造方法。
  6. 油相がさらに(D)多価アルコールを含有する請求項5に記載のベシクル組成物の製造方法。
  7. 前記成分(A),(B)および(C)において、(A)+(C)の酸当量と(B)の塩基当量の比が0.25〜4である請求項5または6に記載のベシクル組成物の製造方法。
  8. 請求項5〜7いずれか一項に記載の製造方法で製造されるベシクル組成物。
  9. ベシクル組成物中の前記成分(A)、(B)及び(C)の合計が1〜20質量%であって、平均粒径が2〜20μmであるベシクルを含有する請求項5〜7いずれか一項に記載の方法で製造されたベシクル組成物。
  10. 1種または複数の界面活性剤と脂肪族アルコールとを含有し、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法で製造されたベシクル組成物を添加することで得られる毛髪化粧料。
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