JP2002187706A - 高温対応型膜型改質器 - Google Patents

高温対応型膜型改質器

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JP2002187706A
JP2002187706A JP2000384756A JP2000384756A JP2002187706A JP 2002187706 A JP2002187706 A JP 2002187706A JP 2000384756 A JP2000384756 A JP 2000384756A JP 2000384756 A JP2000384756 A JP 2000384756A JP 2002187706 A JP2002187706 A JP 2002187706A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 600℃以上の高温且つ水蒸気雰囲気等の過
酷な条件下であっても効率的に水素生成反応を行い得る
高温対応型の膜型改質器を提供すること。 【解決手段】 上記課題を解決する本発明の改質器に
は、水素生成部と、その水素生成部に近接するガス通路
16とが設けられており、その水素生成部とガス通路と
の境界には、水素生成部側からガス通路側へ水素を透過
させるための水素分離膜12を備えた水素分離モジュー
ル10が装着されている。その水素分離モジュールに接
する位置には、嵩密度が0.6〜1.9g/cm3であ
る膨張黒鉛から成るシール材38が取り付けられてい
る。また、水素分離膜は600℃における水素/窒素透
過係数比が少なくとも2.5であり、その温度での水素
透過率は0.1×10-6モル/m2・s・Pa以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、原料ガスから水
素を生成するための改質器に関する。特に、600℃ま
たはそれ以上の高温条件下においても優れた改質効率を
実現する高温対応型の膜型改質器に関する。
【0002】
【従来の技術】 メタン、メタノール等の原料ガスを改
質(水蒸気改質反応等)することによって水素ガスを生
成するリフォーマー即ち改質器には、選択的に水素を透
過させる性質(即ち水素ガスを透過させ易く他のガス種
は比較的透過させ難い性質)を有する膜いわゆる水素分
離膜が、従来、当該改質器における転化率向上のために
使用されている。かかる従来の改質器の内部には、外部
から器内に導入された原料ガスから水素を生成する水素
生成部(一般には改質触媒が充填されている)から水素
分離膜を介して反応生成物たる水素の一部を分離するこ
と、すなわち水素生成部と隔離した状態で設けられてい
るガス通路側に水素分離膜を介して水素を選択的に排出
することが従来行われている。このことによって、当該
水素生成部において行われる改質反応において反応物質
側に平衡がシフトし、結果、原料ガスから水素への反応
効率を向上することができる。このことに関して、例え
ば特開平10−259002号公報には、水素生成反応
側で生成した水素を分離除去して水素生成反応の効率を
向上させたメンブレンリアクター(膜型改質器)が開示
されている。
【0003】ところで、上記公報にも記載されているよ
うに、各種改質触媒を利用した吸熱の改質反応系では、
本質的に高温域で改質反応を行ったほうが低温域で同様
の改質反応を行う場合よりも改質反応における転化率
(原料ガスの水素への転化率)が高くなり水素生成効率
がよい。例えば、シクロヘキサン、メタン等の脱水素反
応や水蒸気改質反応においては、発熱・吸熱反応といっ
た反応形態、反応器内の圧力等の操作条件、原料ガスの
滞留時間、触媒の種類に大きく影響されるものの典型的
には600〜800℃といった比較的高温域での転化率
を100とした場合、300〜500℃といった比較的
低温度域における転化率は概ね50以下になり得る。従
って、かかる転化率の向上及び高効率な改質ガス生成の
観点からは、水素分離膜を備えた膜型改質器を、600
℃またはそれ以上の高温域で使用することが望ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上記
公報に記載されるような水素分離膜を備えた従来の改質
器を、600℃以上の温度条件下で使用することは以下
の理由により困難であった。先ず第一の理由として、改
質器内における気密構造の問題がある。すなわち、水素
生成部側から水素分離膜を介して他のガス通路側に水素
を選択的に排出するためには、原料ガスが当該水素分離
膜を通過する以外の経路を伝わって水素生成部側からガ
ス通路側へ移らないことが前提である。水素生成部側か
ら原料ガス(供給されたガス)がガス通路側に漏れ出し
てしまうと、水素生成反応に係る逆反応が促進されるた
めに、転化率向上の実現を妨げる効果につながる可能性
がある。然るに、従来の改質器に採用されているシール
(ガスリーク防止)手段・構造は、上記のような高温域
で改質器を使用した場合に、当該改質器内に設置した水
素分離膜(即ち当該分離膜の形成された支持体を含むモ
ジュール)と水素生成部との間の密閉(シール)状態を
十分に確保し得るものではなかった。このため、従来の
水素分離膜付き改質器を600℃以上のような高温且つ
水蒸気雰囲気等で安定に使用することを躊躇せざるを得
なかった。
【0005】さらに上記第一の理由とも関わる第二の理
由として、従来、そのような高温且つ水蒸気雰囲気の過
酷条件下においてもなお好適な水素分離能(例えば60
0℃における水素/窒素透過係数比が少なくとも2.5
であること)と水素透過率(例えば600℃における水
素透過率が0.1×10-6モル/m2・s・Pa以上である
こと)の双方を維持し、且つ、改質器に適用することが
経済的に見合う程度に安価で製造容易な耐熱性水素分離
膜の開発や選定が成されていなかった。
【0006】そこで本発明は、上記理由を克服すべく創
出されたものであり、その目的とするところは、高温且
つ水蒸気雰囲気等の過酷条件下(例えば600℃以上)
であっても高性能且つ高効率に水素生成反応を行い得る
高温対応型の膜型改質器を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】 上記目的を達成する本
発明の改質器は、原料ガス(炭素元素及び水素元素を含
む。炭化水素等。)から改質ガス(水素等)を生成する
ための改質器であり、その内部には、例えば外部から導
入された原料ガスから水素を生成する水素生成部と、そ
の水素生成部に近接するガス通路とが設けられている。
そして、当該水素生成部とガス通路との境界には、水素
生成部側から当該ガス通路側へ水素を透過させるための
水素分離膜を備えた水素分離モジュールが装着されてい
る。その水素分離モジュールに接する位置には、上記水
素分離膜を介さずに上記水素生成部側からガス通路側へ
ガスがリークすることを防止するためのシール材が備え
られている。而して、当該水素分離膜は600℃におけ
る水素/窒素透過係数比が少なくとも2.5であり、且
つ、その温度での水素透過率は0.1×10-6モル/m2
・s・Pa以上である。さらに、上記シール材は嵩密度が
0.6〜1.9g/cm3である膨張黒鉛またはそれと
同等の性状を有する耐熱性材料から構成されている。な
お、本明細書において「水素/窒素透過係数比」とは、
同条件下における水素透過率と窒素透過率との比率、即
ち同条件下での水素ガス透過量の窒素ガス透過量に対す
る比(モル比)をいう。ここで「水素透過率(モル/m2
・s・Pa)」及び「窒素透過率(モル/m2・s・Pa)」
は、それぞれ、各種ガスの分圧(水素分離膜を挟んでガ
ス供給側とガス透過側との分圧差)が1Paであるとき
の単位時間(1秒)及び単位膜表面積(1m2)当りの水
素ガス透過量(モル)および窒素ガス透過量(モル)で
表される(後記の「実施例」の項参照)。
【0008】かかる構成の本発明の改質器では、上記性
状のシール材及び水素分離膜の採用、即ち耐熱性の高い
シール構造と水素分離手段の組み合わせによって、典型
的には600℃又はそれ以上という高温域においても安
定して水素生成部(即ち原料ガスの改質が行われる部
位)から当該水素分離手段(膜モジュール)によって隔
離されたガス通路(水素分離膜を透過したガスの通路)
側へ水素を選択的且つ効率よく分離することができる。
このことによって、水素生成部側における水素を効果的
に除去することができ、その結果、改質反応の平衡が反
応物質側にシフトする。すなわち、本質的に高い転化率
を実現可能な高温条件下において、さらに水素生成反応
(改質反応)を、水素を生成する方向に促進させること
ができる。従って、本発明の改質器によると、高温条件
下で高い転化率を実現しつつ水素生成反応(改質反応や
脱水素反応)を行い、結果、高効率な水素製造が可能で
ある。
【0009】また、本発明の改質器として好ましい一つ
のものでは、上記水素分離モジュールは上記水素分離膜
が表面に形成された多孔質の管形状であり、その管状水
素分離モジュールの外側に上記水素生成部が形成されて
おり、当該管状水素分離モジュールの中空部が上記ガス
通路を構成しており、その管状水素分離モジュールの少
なくとも一方の端部には、当該中空部とガス通流可能な
状態でジョイント管が取り付けられている。而して、そ
のジョイント管と管状水素分離モジュールの端部とは、
それらの一部分が相互に重なり合うようにして接続され
ており、当該相互に重なり合ったジョイント管と管状水
素分離モジュールとの隙間に上記シール材が双方に略密
着した状態で配置されている。
【0010】かかる構成の改質器では、上記膨張黒鉛又
はそれと同等の性状を有する材料から成るシール材によ
って、上記管状水素分離モジュールとジョイント管との
間の隙間が塞がれている。このことによって本構成の改
質器では、水素分離管(モジュール)とジョイント管の
膨張係数の相違に基づいてこれら部材間の隙間の大きさ
(広さ)が変動した場合(例えば常温での非稼働時を基
準とした場合の600℃程度の高温稼働時)であって
も、上記膨張黒鉛等から成るシール材特有の柔軟性(ク
ッション性)及び圧縮・弾性復元性によって、かかる隙
間の変動に対応して両部材間のシール状態を安定維持す
ることができる。従って、かかる構成の改質器による
と、高温稼働時や急激な温度変化が生じ得る操作条件下
においても上記二つの部材の隙間(連結部位)からガス
がリークするのを防止しつつ高効率な水素製造を行うこ
とができる。
【0011】また、本発明の改質器として好ましい他の
一つのものでは、上記シール材を構成する膨張黒鉛また
はそれと同等の性質の耐熱性材料が以下の性状:(1).圧
縮率が10〜90%であること、および(2).弾性復元率
が3〜70%であること、を具備する。かかる性状のシ
ール材を備えた改質器によると、高温稼働時における水
素分離に関わるシール状態(上記水素分離膜を介さない
水素生成部側からガス通路側へのガスリークが実質的に
防止されている状態をいう。以下同じ。)の保持をより
高次元で実現することができる。
【0012】また、本発明の改質器として好ましい他の
一つのものでは、上記水素分離膜がSi−N結合主体の
繰返し構造を基本骨格とするセラミック膜であることを
特徴とする。かかる構成の改質器では、上記水素生成部
で生成した水素を上記ガス通路側に分離・送出するため
の水素分離膜がSi−N結合の繰返し構造を基本骨格と
する多孔質セラミック膜である結果、耐熱性に優れ、例
えば600℃を越えるような高温条件下においてもその
微細孔構造を安定に保つことが可能である。従って、本
発明の膜型改質器によると、かかる多孔質セラミック膜
と上記耐熱シール材の使用により、600℃又はそれ以
上の高温度条件下においての水素製造(水素生成反応)
をより効率的に行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】 上述のとおり、本発明の改質器
は、それに装備されている水素分離膜(水素分離モジュ
ール)及びシール構造・材料に特徴を有するものであ
る。従って、本発明の改質器は、水素生成部(典型的に
は所定の改質用触媒が配置されている区域)と、その水
素生成部に近接するガス通路(即ち水素分離膜を透過し
た水素リッチなガスを流す通路)との境界に、上記性能
の水素分離膜を備えた水素分離モジュールが上記性状の
シール材によってシール状態の保持が成された状態で配
置されておればよく、当該改質器自体の形状・タイプ、
または、水素分離モジュールの形状に特に制限はない。
また、本発明の改質器を構築するにあたり、上記特徴部
分以外の構成要素や補助的装置の付加、削除若しくは改
変等は、従来の改質器で一般に行われている手法に基づ
いて行えばよく、本発明を何ら制限するものではない。
以下、本発明の改質器に関する好適な実施形態について
説明する。
【0014】先ず、本発明の改質器に適用される水素分
離膜について説明する。本発明の改質器は、高温条件
下、典型的には600℃またはそれ以上の温度(好まし
くは700〜800℃、更に好ましくは800〜100
0℃)で効率的に改質反応を行うためのものである。こ
のため、本発明の改質器に使用する水素分離膜として、
かかる高温域でも高い水素分離性能を有するものが適す
る。また、かかる水素分離性能の指標として上述の水素
/窒素透過係数比および水素透過率が挙げられる。而し
て、600℃における水素/窒素透過係数比が2.5以
上(好ましくは5.0以上、特に好ましくは10.0以
上)であり、且つ、同温度での水素透過率が0.1×1
-6モル/m2・s・Pa以上(好ましくは0.3×10-6
モル/m2・s・Pa以上)であるものが本発明の改質器に
装備される水素分離膜として適するものである。600
℃における上記要件を具備しつつ更に700℃における
水素/窒素透過係数比が2.5以上(好適には5.0以
上)であり、及び/又は、700℃での水素透過率が
0.1×10-6モル/m2・s・Pa以上(好ましくは0.
3×10-6モル/m2・s・Pa以上)であるものが本発明
に係る水素分離膜として好ましい。600℃及び700
℃における上記要件を具備しつつ更に800℃における
水素/窒素透過係数比が2.5以上(好適には3.0以
上)であり、及び/又は、800℃での水素透過率が
0.1×10-6モル/m2・s・Pa以上(好ましくは0.
2×10-6モル/m2・s・Pa以上)であるものが本発明
に係る水素分離膜として特に好ましい。
【0015】水素分離膜についてかかる条件を具備する
ような高い耐熱性に関しては、当該分野において従来殆
ど考慮されておらず、比較的低温で動作する触媒の開発
または当該触媒を低温側でいかに高効率に動作させるか
が研究・開発の主流であったところ、本発明者はかかる
条件を具備する水素分離膜としてSi−N結合主体の繰
返し構造を基本骨格とするセラミック膜を創出した。ま
た、本発明者はかかる条件を具備する水素分離膜として
αまたはγ−アルミナを主体とする透過性に優れたセラ
ミック膜を選定した。これらの多孔質セラミック膜は、
水素/窒素透過係数比および水素透過率についての上記
条件を具備し、本発明の改質器に装備する水素分離膜と
して好適である。
【0016】すなわち、本発明によって提供される好適
なセラミック膜の一つは、分子構造がSi−N結合の繰
返し構造(−Si−N−Si−N−)すなわちシラザン
骨格を主たる骨格とすることで特定される多孔質セラミ
ック膜(以下単に「ポリシラザン膜」と略称する。)で
ある。本発明に係るポリシラザン膜では、基本骨格(主
たる骨格)がSi−N結合の繰返し構造(シラザン骨
格)である限り、その他の結合や分子構造を含み得る。
典型的には、Si−N結合の繰返し構造に対してSi−
C結合、Si−O結合、Si−H結合等が一部付加され
ることによって、ポリシラザン膜全体の基本構造(三次
元の網目構造)が形成されている。典型的には、ポリシ
ラザン膜中に存在する全珪素(Si)原子数に対するS
i−N結合を形成しているSi原子数の割合が10%以
上であり、好ましくは20%以上である。かかるSi−
N結合の形成割合が10%よりも低すぎると、耐熱性又
は高温条件下における化学的安定性が低下するため、本
発明の改質器への適用に好ましくない。特に高温且つ水
蒸気雰囲気下での安定使用が実現不可能になり得る。
【0017】また、本発明によって提供される好適なセ
ラミック膜の他の一つは、αまたはγ−アルミナから成
るセラミック膜である。かかる構造のセラミック膜(以
下「アルミナ膜」と略称する。)も上述のポリシラザン
膜と同様、耐熱性の高い水素分離膜として好適である。
あるいは、比較的低温領域においてのみ水熱合成等によ
って製造された水素分離能を有するゼオライト膜も使用
し得る。
【0018】而して、上記ポリシラザン膜やアルミナ膜
を包含する本発明の実施に好適な水素分離膜の細孔径分
布のピーク値(典型的には当該ピーク値は平均孔径と近
似し得る)は0.1nm〜10nmの範囲内にあること
が好ましい。かかる細孔径分布のピーク値及び/又は平
均孔径のものであれば、いわゆるモレキュラーシーブま
たはクヌッセン的分離が発現する。クヌッセン的分離と
はガス分子の透過速度の差を利用した分離または濃縮を
いい、細孔(典型的には孔径約10nm以下)内におい
てはガス分子相互の衝突よりも孔壁との衝突が支配的に
なるという性質に基づくものである。さらに上記細孔径
分布のピーク値及び/又は平均孔径が0.1〜5nm或
いは1nm以下のものが、水素のような比較的小さいサ
イズ(動的分子直径約0.29nm)の無極性分子を混
合ガスから選択的に分離するのに特に効果的である。
【0019】また、本発明の実施に好適な水素分離膜
(好ましくは上記ポリシラザン膜、アルミナ膜)の空隙
率に特に制限はない。ガス分離や透過効率と機械的強度
(熱的強度を含む)とのバランスを考慮すると少なくと
も10〜50%が必要と考えられるが、透過効率を向上
させるためには以下のように膜厚を薄く制御することの
ほうが効果的である。特に限定するものではないが、本
発明の実施にあたっては、使用する水素分離膜の膜厚は
10μm以下が適当であり、5μm以下の膜厚が好まし
く、1μm以下の膜厚が更に好ましい。特に、かかる膜
厚のポリシラザン膜によると、高温条件下においても比
較的高い水素分離能(水素選択性)を保持しつつ、効率
よく水素分離処理を行うことができる。
【0020】次に、本発明の実施に好適な水素分離モジ
ュールについて説明する。本発明の改質器に装備される
水素分離モジュールは、上記ポリシラザン膜等の水素分
離膜を備え、且つ、本発明に係るシール材がシール状態
保持のために取り付けられる程度の強度を有するもので
ある限りにおいて、モジュール本体即ち水素分離膜が形
成される支持体(典型的には多孔質体)の材質や形態に
は特に制限がない。
【0021】耐熱性の観点から好ましい本発明に係る水
素分離モジュールの支持体としては種々のセラミック材
料、例えば窒化珪素、炭化珪素、シリカ、α−アルミ
ナ、γ−アルミナ、ジルコニア、チタニア、カルシア、
各種ゼオライト等から成る多孔質セラミック体が好適で
ある。特に、水素分離膜部と支持体部とを同質材料のも
のとすると、両者間の熱収縮率/熱膨張率に顕著な差異
がなくなり、結果、高い耐熱衝撃性を有する水素分離膜
を実現することができる。すなわち、急激な温度変化に
繰返し曝される用途であっても、膜と支持体との間の熱
的剥離やクラック発生の頻度を顕著に低減することがで
きる。例えば、水素分離膜としてポリシラザン膜を採用
する場合では、窒化珪素を主成分とする支持体が好まし
い。また、水素分離膜としてアルミナ膜を採用する場合
には、α−アルミナ若しくはγ−アルミナ或いはα−ア
ルミナとγ−アルミナを多層化したような非対称膜構造
の支持体が好ましい。上記性状の膨張黒鉛から成るシー
ル材を密着させる観点から、窒化珪素のような物理的強
度の高い(高い圧縮及び弾性回復を実現するための高い
面圧が加えられても割れ難い)材質の多孔質支持体が好
適である。
【0022】また、かかる多孔質支持体の孔径は、水素
の透過に影響を与えない限り、特に限定されない。分離
膜における平均孔径よりも大きな平均孔径を有するもの
が適当であり、0.1μm〜10μm程度の細孔径分布
のピーク値及び/又は平均孔径を有するものが好まし
い。また、孔隙率は、30〜60%が適当であり、好ま
しくは35〜50%である。但し、本発明に係る水素分
離モジュールには、典型的にはシール材を取り付ける
(密着させる)際に所定の圧力が必要である。このた
め、ある程度の物理的強度が支持体に要求される。従っ
て、本発明の改質器に装備される水素分離モジュールの
本体たる多孔質支持体としては、高温域(例えば800
℃)における3点曲げ強度が30MPa以上(より好ま
しくは60MPa以上、さらに好ましくは90MPa以
上)である機械的強度を具備するように、平均細孔径
(または細孔径分布のピーク値)や空隙率を設定するの
が望ましい。
【0023】また、本発明に係る水素分離モジュールの
とり得る形状には、管形状、膜(薄板)形状、モノリス
形状、ハニカム形状、多角形平板形状、種々の立体形状
等が包含される。特に表面に水素分離膜の形成された管
形状の多孔質セラミック体から成るモジュールが好適で
ある。この場合、後述する実施例に記載のとおり、典型
的には管状モジュール(多孔質体)の外側に所定の触媒
を含む水素生成部が形成され、当該管状モジュールの中
空部が分離した水素の受け入れ先、即ち上述のガス通路
に相当する。なお、かかるセラミック支持体の形状は、
押出し成形、鋳込み成形、テープ成形、プレス成形のよ
うな周知の成形技法によって得ることができる。
【0024】而して、上記成形技法等に基づいて作製し
た支持体上に水素分離膜を形成することによって水素分
離モジュールを製造することができる。例えば、上述し
たようなセラミック材料から成る多孔質支持体の表面に
ポリシラザン膜、アルミナ膜その他の水素分離膜を形成
する手段としては、一般的なゾル−ゲル法、熱分解法、
水熱合成法や気相合成法等が挙げられる。以下、本発明
に係るポリシラザン膜をセラミック多孔質支持体表面に
形成する場合の一例を説明する。上述のとおり、本発明
の改質器に好適に採用されるポリシラザン膜はSi−N
結合の繰返し構造を基本骨格とするものであるから、当
該Si−N結合を基本構造とする珪素化合物から製造す
ることができる。かかる好適な珪素化合物として、以下
の一般式(1)によって表されるポリシラザンが挙げら
れる。典型的には式(1)のR,R,Rは、それ
ぞれ、水素または炭素数が1〜10である脂肪族系若し
くは芳香族系の炭化水素基である。
【0025】
【化1】
【0026】而して、かかるポリシラザンは、例えば、
以下のように調製することができる。すなわち、ジハロ
シラン(RSiHX)或いは当該ジハロシランと他
のジハロシラン(RSiX)との混合物をアン
モニアと反応させることによってシラザンオリゴマーを
得る。次いで、塩基性触媒の存在下で当該シラザンオリ
ゴマーの脱水素反応を起こさせる。これにより、珪素原
子に隣接する窒素原子の脱水素が行われ、結果、シラザ
ンオリゴマーが相互に脱水素架橋して成るポリシラザン
を生成することができる。なお、この生成プロセスに使
用されるジハロシランの好ましいものは、上記R、R
、Rが、それぞれ、炭素数が1〜6の低級アルキル
基、置換アリル基、非置換アリル基、炭素数が6〜10
の非置換アリール基、トリアルキルアミノ基、ジアルキ
ルアミノ基のいずれかである。或いは、Rは水素であ
り、RおよびRが上記列挙した官能基のいずれかで
ある。このときR、RおよびRは全て同じ基でも
よく、相互に異なる基でもよい。なお、上記ジハロシラ
ンの式中のXはハロゲン基である。なお、使用するポリ
シラザンの分子量に特に制限はないが、薄膜を形成する
過程における粘性制御等の観点から、重量平均分子量で
1000〜20000程度のものが好ましい。
【0027】而して、上述のようにしてシラザンオリゴ
マーから調製したポリシラザンまたは市販のポリシラザ
ンを不活性雰囲気中で焼成することによって、微細孔を
有する無機材料を形成することができる。概略すれば、
典型的には予め所望する形状に成形された対称又は非対
称構造を有するセラミック多孔質支持体の表面にポリシ
ラザン溶液を所望する厚さ(例えば1〜3μm)で塗布
する。次いで、乾燥処理を施すことによってポリシラザ
ンから成る薄層を形成した後、不活性(非酸化性)雰囲
気中で当該薄層を支持体ごと適当な温度条件下で焼成す
る。このことによって、微細孔が形成されたポリシラザ
ン膜(水素分離膜)を当該支持体表面上に形成すること
ができる。以下、より具体的に説明する。
【0028】上記ポリシラザン溶液の調製にあたって
は、ポリシラザンを溶解するための溶媒として種々の有
機溶媒を用い得る。例えば、ベンゼン、トルエン、キシ
レン等の芳香族系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラ
ン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒が適当であ
る。また、溶液中のポリシラザンの濃度は特に限定され
ないが、0.5重量%〜60重量%程度が適当であり、
1重量%〜20重量%程度が好ましい。
【0029】また、かかるポリシラザン溶液を支持体の
表面に塗布する方法としては、従来の薄膜形成プロセス
において用いられる各種の方法を採用することができ
る。例えば、ディップコーティング法、スピンコーティ
ング法、スクリーン印刷法、スプレー法等が挙げられ
る。特にディップコーティング法では、ポリシラザン溶
液の多孔質支持体内部への浸透を溶液濃度、操作条件等
により制御でき、さらには不活性雰囲気中でのポリシラ
ザンの熱分解に伴うガス発生、キャピラリー圧力、焼成
収縮等による微細構造の破壊を抑制するのに寄与し得
る。このため、特にディップコーティング法は、欠陥の
無い多孔質セラミック膜を支持体表面に容易且つ直接的
に形成するのに好適な塗布方法である。あるいは、上記
ポリシラザン溶液を支持体の表面に塗布する他の環境と
して製膜環境中に若干酸素を含む場合がある。この場合
には、ゲル形成をプロセス中に伴う。支持体の表面部に
比較的大きな細孔が分布する場合には、その細孔内部に
原料溶液が奥深く浸透してしまうことによりその後のゲ
ル化あるいは膜化が阻害されるという不具合が考えられ
る。さらに、膜が厚い場合では、乾燥に伴うキャピラリ
ー圧力により、膜に欠陥を生じ易くなる。したがって、
支持体の表面部に比較的大きな細孔が分布する場合にゾ
ル−ゲル法を採用するときには、支持体の表面に予め別
の平均細孔径が支持体より小さくなるセラミック層(以
下「中間層」という。)を形成しておき、その滑らかな
表面又は細孔内部にポリシラザン膜を積層する(即ち複
数回繰返して製膜する)とよい。このことによって、支
持体表面上に製膜されたポリシラザン膜の薄膜化且つ無
欠陥化ができる。但し、このようにして得られる膜で
は、Si−O結合を若干多く含むようになる。
【0030】而して、支持体表面にポリシラザン溶液を
塗布(添加)して乾燥した後、当該ポリシラザン膜の付
着している支持体を不活性(非酸化性)雰囲気中におい
て焼成する。典型的には、実質的に酸素を含まない不活
性ガス(窒素ガス等)中において、200〜1350
℃、好ましくは200〜1000℃(典型的には多孔質
支持体の焼成温度以下及び中間層を形成する場合は当該
中間層の焼成温度以下の温度とする。)の温度条件下で
1〜4時間の焼成処理を行う。かかる不活性雰囲気中に
おける熱処理によって、耐熱性に優れる平均孔径が0.
1nm〜50nm(細孔径分布のピーク値:0.1〜
5.0nm)であり、Si−N結合の繰返し構造を基本
骨格とするポリシラザン膜を形成することができる。
【0031】以上に説明したように、厳密で煩雑な製膜
条件等を要することなく比較的簡便な手法によって、本
発明の改質器に好適に用いられるポリシラザン膜を製造
することができる。ところで、多孔質支持体として窒化
珪素系のものを使用した場合には、当該支持体(中間層
を含む場合は当該支持体と中間層の両方)の基本骨格
が、その表面に形成・積層されるポリシラザン膜と同じ
シラザン骨格である。このため、当該ポリシラザン膜に
プロセス中に欠陥が発生するのを高度に抑制することが
できる。さらには、かかる欠陥発生を抑制する結果、従
来のセラミック膜(例えばシリカ系の水素分離膜)より
も広範囲(典型的には5000mm以上、好ましくは
15000mm以上)に亘って薄く均質な水素分離膜
を連続して形成することができる。このため、本発明に
係るポリシラザン膜を用いると、それを採用する改質器
の大型化を実現することができる。なお、このこと(作
用効果)は、多孔質支持体としてアルミナ系のものを使
用し、当該支持体上にアルミナ膜を形成・積層する場合
にも当てはまる。
【0032】次に、本発明に係るシール材について説明
する。本発明の改質器に用いるシール材には、600℃
又はそれ以上の高温に長時間曝された場合にも当該シー
ル材自体が顕著に破壊・化学変化しない耐熱・耐化学性
能が要求される。また、シール対象物(例えば上述の管
状水素分離モジュールとジョイント部)が改質器稼働時
の高温状態即ち加熱状態又は停止時の冷却状態となった
ことに起因して体積及び/又は形状変化(膨張、収縮変
形)を起こした場合にも、そのような体積及び/又は形
状変化に追随してシール状態を保持し得る柔軟性(クッ
ション性)と高い圧縮・復元性能が要求される。而し
て、これらの要求を好適に満たし得る材料として密度
(嵩密度)が0.6〜1.9g/cm3(特に好ましく
は0.8〜1.2g/cm3)の膨張黒鉛またはそれと
同等の性状を有する耐熱性材料が挙げられる。以下、か
かる材料について詳細に説明する。
【0033】天然黒鉛は炭素六員環平面が規則的に平行
状態で積層した構造を持つカーボンであるところ、膨張
黒鉛は、かかる天然黒鉛を濃硫酸、硝酸などの酸化剤に
より酸化処理することによって当該積層構造の層間距離
を100〜300倍程度膨張させたものである。而し
て、かかる膨張黒鉛を上記密度範囲となるように負荷・
圧縮することによって本発明に係るシール材に好適な膨
張黒鉛材料を得ることができる。かかる膨張黒鉛材料は
黒鉛本来の高い耐熱性に加えて、シール性能に優れる稠
密構造を有し、且つ、柔軟性並びに高い圧縮性及び弾性
復元力を備えている。かかる膨張黒鉛またはそれと同等
の性質を有する耐熱性材料(典型的には膨張黒鉛と同等
の熱膨張係数、酸化開始温度、圧縮率、復元率及び柔軟
性(クッション性)を有する炭素質その他の無機材料)
として好ましいものは、圧縮率(JIS−R3453に
基づく)が10〜90%(特に好ましくは45〜55
%)であり、及び/又は、復元率(JIS−R3453
に基づく)が3〜70%(特に好ましくは10〜15
%)であり、及び/又は、酸化開始温度(空気中での加
熱によって重量が1%減少したときの温度)が400℃
以上(特に好ましくは500℃以上)であることを特徴
とする膨張黒鉛又はその同等物である。また、窒素ガス
のような不活性(非酸化性)雰囲気下において1100
℃又はそれ以上の温度(好ましくは1500℃以上)ま
で所望するシール性能を維持し得る耐熱性を有するもの
が好適である。かかる性状の膨張黒鉛等から形成された
シール材によると、高温稼働時においても特に優れたシ
ール状態の保持を実現することができる。
【0034】なお、本発明に係るシール材の形状やタイ
プは、本発明の改質器の形状や水素分離モジュールの形
状に対応して変動するものであり、特に限定はない。例
えば、円筒形の管状水素分離モジュールを使用する場合
には、当該水素分離モジュールの外壁に接する(即ち密
着する)形状のシール材、典型的にはリング形状のシー
ル材が好適に使用され得る。また、単板(モノリス)形
状の水素分離モジュールを使用する場合には、当該水素
分離モジュールの外縁部に接する形状のシール材、典型
的にはシート形状のシール材が好適に使用され得る。特
に制限するものではないが、かかる形状のシール材は、
密度が0.6〜1.9g/cm3(特に好ましくは0.
8〜1.2g/cm3)程度となるように調製された粉
状膨張黒鉛を所定形状の型に充填してプレス成形したり
或いはロール成形、レーザー加工することによって得る
ことができる。すなわち、かかる加圧成形によって当該
黒鉛粉体(粒子)相互が自己接着して一体化し、結果、
所望する形状(例えばOリング様のパッキン形状)に成
形され得る。あるいは、上記密度のシート(薄膜)状膨
張黒鉛を積層・成形したものであってもよい。また、構
築する改質器の形状・タイプや使用条件によって適宜異
なり得るが、シール性能が維持し得る限りにおいて、膨
張黒鉛又はその同等物に関する他の物理的特性(熱伝導
度、電気比抵抗、引っ張り強さ、熱膨張係数(但し低い
ものが好ましい)等)に特に制限はない。
【0035】本発明の改質器では、使用する改質触媒に
特に制限はない。しかし、本発明の改質器は特に高温域
(典型的には600〜800℃又は1100℃迄の高温
域)で使用することを意図したものであるから、かかる
高温域で優れた触媒能を発揮し得るものが好ましい。例
えば、多孔質アルミナ等の担体にパラジウム、ニッケル
等の金属を担持させたものを好適に使用することができ
る。また、触媒を備える部位、すなわち水素生成部の形
状に特に制限はない。例えば、管状の水素分離モジュー
ル(この場合には当該モジュール中空部が上記ガス通路
となる。)を所定の反応容器(チャンバー)に収納し、
そのモジュール周囲の空間に触媒を充填したものであっ
てもよい。あるいは、かかる管状水素分離モジュールの
外表面に膜状触媒層を形成(典型的にはコーティング)
する形態であってもよい。なお、本発明は、基本的に吸
熱反応系の改質反応を高温で動作させる場合に、上記形
態を適用するものである。
【0036】
【実施例】 本発明を以下の実施例によりさらに詳細に
説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0037】<実施例1>管状の水素分離モジュールを
次のようにして作製した。すなわち、90重量部の窒化
珪素粉末(宇部興産製品:SN−E10)と、5重量部
のアルミナ粉末(住友化学工業製品:AKP−10)
と、5重量部のイットリア粉末(三菱化学製品:Y−
F)と、80重量部の水をアルミナ製ポットに投入し、
直径30mmの玉石を使用して24時間混合することに
よってスラリーを調製した。次いで、このスラリーに1
0重量部のワックス系有機バインダーと、4重量部のワ
ックスエマルジョンを添加して16時間混合し、その後
スプレードライにより顆粒体を作製した。得られた顆粒
体をCIP(冷間静水圧プレスによる)成形し、管形状
(外径:10mm、内径:7mm、長さ:250mm)
に生加工した。そして、当該生加工チューブを脱脂後、
1400℃(最終焼成温度)で焼成し、管形状の窒化珪
素多孔体、即ち本実施例に係る支持体を得た(図1の符
号14参照)。
【0038】得られた窒化珪素多孔体の細孔径(平均孔
径)および孔隙率は、水銀圧入法によって測定した結
果、それぞれ0.16μmおよび47%であった。ま
た、製膜面に相当する素焼き表面の800℃における3
点曲げ強度は約70MPa以上であった。従って、かか
る管(チューブ)形状の窒化珪素多孔体は、水素分離モ
ジュールにおける支持体として充分な機械的強度を有す
る。なお、かかる多孔体の嵩密度は1.77g/cm
であった。また、熱的強度の指標となる線膨張係数は2
5〜800℃の範囲でおよそ3.4×10−6/Kであ
った。また、かかる多孔体はα−Siの結晶構造
を有しており、組織は熱的に安定である。しかも、細孔
径分布(孔径の変動幅)がたいへん狭く、水素分離モジ
ュール用支持体として好ましい。すなわち、かかる性状
の窒化珪素多孔体を用いると、上述したような中間層を
形成することなくその表面に概ね無欠陥のセラミック膜
(水素分離膜)を製膜することができる。
【0039】次に、上記得られた窒化珪素多孔体の外壁
面(即ちチューブ円柱面の外周面)に水素分離膜として
ポリシラザン膜を形成した(図1の符号12参照)。す
なわち、ポリシラザン粉末(チッソ製品:NCP20
1)をトルエンに溶解し(超音波攪拌処理)、ポリシラ
ザン濃度が10重量%であるポリシラザン溶液(コーテ
ィング溶液)を調製した。次いで、上記窒化珪素多孔体
をディップコーティング法に基づきコーティング溶液に
浸漬した。なお、この浸漬処理の際には窒化珪素多孔体
の外周面にのみコーティング液が付着するように、当該
窒化珪素多孔体の片端開放部を合成樹脂フィルムでラッ
プした。浸漬後、一定の速度で窒化珪素多孔体をコーテ
ィング溶液から引き上げ、室温で乾燥した。その後、上
記浸漬によってポリシラザン被膜がその外側面に形成さ
れている窒化珪素多孔体を真空・加圧焼結炉に入れ、大
気圧・窒素雰囲気中で熱処理を行った。かかる一連の処
理によって、窒化珪素多孔体の外周面にポリシラザン膜
が形成された管状水素分離モジュールが得られた(図1
の符号10参照)。
【0040】次に、上記管状水素分離モジュール10を
利用して本実施例に係る改質器1を作製した。図1は、
本実施例に係る改質器の主要部を模式的に表した説明図
である。この図に示すように、本実施例に係る改質器1
は、大まかにいって、筒状のステンレス製チャンバー2
と、ポリシラザン膜12を備えた支持体(窒化珪素多孔
体)14を本体とする水素分離モジュール10と、改質
触媒18とから構成されている。チャンバー2には、別
途、ガス供給管3と、ガス排出管4とが設けられてい
る。また、チャンバー2の周囲にはヒーター82(図3
参照)および図示しないウォータージャケット(断熱
材)が設けられており、チャンバー2内部の温度を室温
〜1200℃の範囲でコントロールすることができる。
また、かかるチャンバー2の内部には、上記水素分離モ
ジュール10が配置されており、その周囲の空間部(水
素生成部に相当する部位)20には、触媒18を充填す
ることができる。図示されるように、水素分離モジュー
ル10の一端は金属製キャップ5によって塞がれてお
り、当該端部から中空部16へのガスの流入を防止して
いる。また、かかる水素分離モジュール10の他端側に
は、本実施例に係るジョイント管30が取り付けられて
いる。以下、かかるジョイント管30について詳細に説
明する。
【0041】図2に詳細に示すように、このジョイント
管30はいくつかの部材から構成されている。すなわ
ち、ステンレス製の管状凸型ユニオン(フランジ)34
と、それに対応する管状凹型ユニオン(フランジ)44
と、それに付設される金属製の第1リング部材32及び
第2リング部材42ならびに本実施例に係るシール材3
8とから構成されている。なお、凸型ユニオン34の根
幹部(フラットな円盤状フランジ)中央には、水素分離
モジュール10を貫通し得るサイズの穴46が形成され
ている。他方、凹型ユニオン30の根幹部(フラットな
円盤状フランジ)中央には、水素分離モジュール10の
中空部(以下「透過ガス通路16」という。)に通じる
透過ガス排出口6が形成されている。また、シール材3
8はリング状に形成された膨張黒鉛から成る部材であ
り、その嵩密度は1.0g/cm3、JIS−R345
3に基づく圧縮率は約50%であり、復元率は約10%
であった。
【0042】而して、図2に示すように、管状水素分離
モジュール10の一端を管状凸型ユニオン34の穴46
に差し込む。また、管状凸型ユニオン34の反対側(即
ち突出部36の形成されている側)から上記第1リング
部材32、シール材38、第2リング部材42の順に、
上記穴46を貫通してきた管状水素分離モジュール10
に嵌め入れる。このとき、図示されているように、リン
グ形状シール材38の内径は管状水素分離モジュール1
0の外径より若干大きく形成されている。このことと膨
張黒鉛特有の柔軟性により、当該モジュール10の一端
にリング形状シール材38を嵌め入れた際には、その内
壁面をモジュール10外周面に密着させることができ
る。
【0043】次いで、上記凹型ユニオン44を凸型ユニ
オン34に締め付けることによってジョイント管30の
取付けが完了する。すなわち、図2に示すように、凹型
ユニオン44の突出部40の内壁面及び凸型ユニオン3
4の突出部36の外壁面には、それぞれ、相互に対応す
る雌ねじ及び雄ねじが形成されている。さらに、凸型ユ
ニオン34の突出部36は、先端部から根幹部に向けて
直径が漸増するように形成されている。かかる構成の結
果、凹型ユニオン44を凸型ユニオン34と嵌め合わせ
る(螺合する)ことによって、シール材38を水素分離
モジュール10の外周面及び凹型ユニオン34の突出部
36内壁面の双方に強く密着させることができる。すな
わち、凹型ユニオン44を凸型ユニオン34の根元方向
に螺合していくと、先端部から根幹部に向けて直径が漸
増している凸型ユニオン34の突出部36が縮小される
に従い、上記シール材38を水素分離モジュール10と
凹型ユニオン34に密着させることが実現される。この
とき、図示されているように、本実施例に係るジョイン
ト管30では、所定のレベルまで両ユニオン34,44
の螺合がなされた時点で、第2リング部材42の一部4
2aが両ユニオン34,44の間に挟まれてストッパー
の役割を果たす。このことによって、それ以上の螺合
(ねじ締め)が制止され、シール材38が必要以上に圧
迫されることを防止する。従って、本実施例に係るジョ
イント管30によると、上記ねじ締めが制止される時点
まで両ユニオン34,44を螺合することによって常に
最適な圧力(面圧)でシール材38を両部材10,34
(36)に密着させることができる。他方、改質器1の
高温稼働時における水素分離モジュール10とジョイン
ト管30(即ち金属製ユニオン34,44)との間の体
積変化量のギャップに対応させるべく、両ユニオン3
4,44と水素分離モジュール10は接触させていな
い。
【0044】以上のようにしてジョイント管30を取り
付けた結果、水素分離モジュール10の外部から水素分
離膜12及び支持体14を透過して透過ガス通路16に
送出された水素リッチなガスは、ジョイント管30の透
過ガス排出口6を介して外部に排出される。このとき、
図示される位置にシール部材38を取り付けていること
によって、水素生成部20(図1参照)のガスがジョイ
ント管30(凹型ユニオン34)と水素分離モジュール
10との隙間(即ち凹型ユニオン34の穴46)を介し
てリークするのを防止することができる。さらに、かか
るシール材38が上記性状の膨張黒鉛で構成されている
結果、600℃以上の高温稼働時において、ジョイント
管30(凹型ユニオン34)と水素分離モジュール10
との隙間サイズが線膨張係数が異なる二材料間の温度変
化に伴い多少変動した場合であっても、かかるシール材
38によってシール性能を維持することができる。な
お、ジョイント管30の一部とチャンバー2の一部とは
相互に溶接されており、チャンバー2内の気密状態は確
保される。
【0045】次に、上記のようにして構築した水素分離
モジュール10を備えた改質器1(図1)を用いて、水
素分離性能とシール性能を評価した。先ず、図3に示す
ような水素分離モジュール(水素分離膜)を備えた膜型
ガス分離システム(評価システム)を構築した。すなわ
ち、改質器1のガス供給管3に、メタン供給装置52、
水素供給装置54、窒素供給装置56をガスクロマトグ
ラフ78、80等を介して接続した。図3に示すよう
に、メタン供給装置52は、圧力バルブを備えたメタン
供給ボンベ59、圧力計58、流量計64、ニードルバ
ルブ70等から構成されている。同様に、水素供給装置
54は、圧力バルブを備えた水素供給ボンベ61、圧力
計60、流量計66、ニードルバルブ72等から構成さ
れている。また、窒素供給装置56は、圧力バルブを備
えた窒素供給ボンベ63、圧力計62、流量計68、ニ
ードルバルブ74等から構成されている。また、図示さ
れているように、メタン供給装置52と水素供給装置5
4の流路はスリーウェイコック76で連結されている。
さらに、改質器1のガス供給管3には、別途、水蒸気供
給装置100が接続されている。かかる装置は図示しな
い水蒸気供給源とマイクロフィーダー(水蒸気供給ポン
プ)102とを主要構成要素としている。他方、図4に
示すように、改質器1のガス排出管4側には、圧力計1
12、ガスクロマトグラフ114、トラップ116、セ
ッケン膜流量計118等を接続した。同様に、改質器1
の透過ガス排出口6にも、圧力計104、ガスクロマト
グラフ106、トラップ108、セッケン膜流量計11
0等を接続した。このようなシステムを構築すること
で、詳細なガス分析(改質器への供給側及び排出側の双
方)を行うことができる。ガス分析では、キャリアガス
(スウィープガス)はAr、Heを使用し、分析対象ガ
スはCH4、H2、CO、CO2、O2、N2とした。な
お、本実施例に係る評価試験では、触媒18をチャンバ
ー2内に充填せずに行った。
【0046】而して、図3に示すガス分離システムを用
いて水素分離性能とシール性能の評価を純ガス透過試験
に基づいて行った。この試験では、水素供給装置54お
よび窒素供給装置56から所定の流量で水素及び窒素を
チャンバー2内に供給した。このとき、水素分離膜12
前後の差圧が2.0×10Pa(0.2atm)とな
るようにした。なお、かかる評価試験は、先ず室温で実
施し、所定時間後、チャンバー2内の温度を700℃に
上げて同様に実施した。その後チャンバー2内の温度を
再び室温に戻して同様に実施した。このように温度を変
更させつつ連続的に試験することで、本実施例に係る改
質器1のシール性能および高温時における水素分離特性
を評価できる。
【0047】具体的には、適宜ヒーター82を作動させ
てチャンバー2内の温度調節(室温〜700℃〜室温)
を行いつつ、上記差圧を生じさせた状態で水素及び窒素
をそれぞれチャンバー2内に供給した。而して、セッケ
ン膜流量計108によって透過側(即ち透過ガス排出口
6と接続するガス排出側流路)の流速を測定しつつ、T
CD検出器を備えたガスクロマトグラフ106によって
対象ガス組成を分析した。なお、水素および窒素それぞ
れのガス透過率は次の式「Q=A/((Pr−Pp)・
S・t)」から算出した。ここでQはガス透過率(モル
/m2・s・Pa)、Aは透過量(mol)、Prは供給側即ち
チャンバー内部空間側の圧力(Pa)、Ppは透過側即
ち透過ガス通路側の圧力(Pa)、Sは断面積
(m)、tは時間(秒:s)を表す。また、水素/窒
素透過係数比は、水素透過率と窒素透過率との比率すな
わち式「α=QH2/QN2」から算出できる。ここで
αは水素/窒素透過係数比(透過率比)、QH2は水素
透過率、QN2は窒素透過率を表す。上記試験の結果と
して、水素透過流量および窒素透過流量ならびに水素/
窒素透過係数比を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】表1から明らかなように、温度条件の推移
に関わらず、水素/窒素透過係数比に顕著な差異は認め
られなかった。このことから、チャンバー2と水素分離
モジュール10との隙間から実質的なガスのリークは起
きていないことが確認された。また、水素分離膜12や
シール材38が加熱によって劣化していないことも確認
された。すなわち、上述したシール材38は、700℃
のような高温条件においても良好なシール性能(表中の
○)を有していた。この結果は、チャンバー2内におけ
るシール状態をかかる高温条件下でも維持し得ることを
裏付ける結果である。また、700℃での水素/窒素透
過係数比の値から鑑みて、本実施例に係る水素分離膜で
は、かかる高温条件下でもクヌッセン分離程度の水素分
離性能を有することが確認された。なお、本実施例の7
00℃での水素透過率は、0.3×10-6モル/m2・s
・Paであった。
【0050】<実施例2>次に、実施例1に記したのと
同様の条件の処理を行って、管形状の水素分離モジュー
ル(外径:10mm、内径:7mm、長さ:250m
m)を作製した。なお、本実施例においては、同様の処
理によって計3つの水素分離モジュールを作製した(表
2中のNos.1〜3)。表2に示すように、これら3
つの水素分離モジュールの外周面には、それぞれ、約8
100mm(No.1)、約7760mm(No.
2)、約8200mm(No.3)の連続したポリシ
ラザン膜を形成した。また、表2に示すNo.4のサン
プルとして、所定の管状支持体(窒化珪素)表面上に、
上記と同様の処理を行ってポリシラザン膜を5回繰り返
し製膜したもの(膜面積:1800mm)を作製し
た。
【0051】
【表2】
【0052】而して、後述する本実施例の改質試験で
は、これらのサンプルを適用した。メタン改質反応を例
に挙げると、改質ガスである水素又は二酸化炭素を優先
的に本膜により除去できれば、平衡理論から改質反応は
正反応の方向に促進される。従って、水素分離膜の選択
性が高い程、同一条件での反応転化率が明らかに高くな
ることが推定される。本膜においても、水素分離性能を
向上するためにポリシラザン膜を5回繰返し製膜をした
ところ(表2のNo.4)、常温で水素/窒素透過係数
比15を実現している(表2参照)。従って、この膜を
適用することにより、より水素リッチな改質ガスを得る
ことが可能であるとともに、用途拡大が期待できる。な
お、高温域での安定使用とスケールアップに対して特に
構造上の問題はない。走査型電子顕微鏡(SEM)によ
る測定によって、上記3つの水素分離モジュール(No
s.1〜3)にそれぞれ形成されたポリシラザン膜に
は、少なくともサブミクロンオーダーの表面欠陥は認め
られなかった。また、一般的なアルゴン吸着法によって
各水素分離モジュール(Nos.1〜3)のポリシラザ
ン膜に存在する細孔の孔径をバルク体に関して測定した
ところ、その細孔径のピーク値はいずれも約2nmであ
った。また、形成された膜厚は、約5μmであった。
【0053】なお、本発明を限定するものではないが、
比較のために中間層を形成した窒化珪素多孔体も同時に
作製した。すなわち、ポリシラザン粉末(同上)と窒化
珪素粉末(同上)を原料に用いて、固形分濃度が概ね1
〜10重量%となるようにこれらにキシレンを添加する
ことによって、中間層形成用スラリーを調製した。次い
で、1時間の超音波処理による攪拌状態の中間層形成用
スラリー中に、上記と同様の処理によって得られた管状
の窒化珪素多孔体を浸漬した(ディップコーティング
法)。なお、この浸漬処理の際には管状窒化珪素多孔体
の外周面にのみ、このスラリーが付着するように、その
両端開放部を合成樹脂フィルムでラップしておいた。浸
漬処理後、一定の速度でかかる窒化珪素多孔体をスラリ
ー含有容器から引き上げ、室温で48時間乾燥した。そ
の後、上記スラリー由来の被膜が外周面に形成されてい
る管状窒化珪素多孔体を真空・加圧焼結炉に入れ、大気
圧・窒素雰囲気中で熱処理を行った。このことによっ
て、管状窒化珪素多孔体の外周面に中間層が形成され
た。かかる処理によって得られた中間層は、SEM観察
等によって、窒化珪素をマトリックスとしてその隙間を
ポリシラザンが埋める微構造を有していることが明らか
となった。また、このようにして作製された中間層に
は、少なくともサブミクロンオーダーの表面欠陥は認め
られなかった。
【0054】次いで、実施例1と同様の処理によって、
当該得られた窒化珪素多孔体の外周面(即ち中間層の表
面)にポリシラザン膜(水素分離膜)を形成した。その
結果、表2に記載のものと同様、中間層の表面に800
0mm以上に亘って連続したセラミック膜(ポリシラ
ザン膜)が形成された。SEMによる測定によって、か
かる中間層上に形成された多孔質セラミック膜には、少
なくともサブミクロンオーダーの表面欠陥は認められな
かった。また、このセラミック膜に存在する細孔の孔径
をバルク体について測定したところ、その平均細孔はい
ずれも約2nm以下であった。形成された膜厚は約5μ
mであった。すなわち、中間層を形成した場合も同様の
性状の水素分離モジュールを形成することができた。
【0055】次に、上記得られたNo.1〜No.3の
モジュールについて、実施例1と同様の評価試験を行っ
た。すなわち、上述のようにしてジョイント管30及び
キャップ5を取り付けた後、図1に示す改質器1を構築
し、さらには図3に示すガス分離評価システムを用い
て、700℃の温度条件下、水素透過率および水素/窒
素透過係数比を測定・算出した。なお、測定条件や算出
方法は実施例1と同様である。表2に示すように、上記
3つのモジュール(水素分離膜)間で水素透過率及び水
素/窒素透過係数比に顕著な差異は認められなかった。
また、これらの値は、実施例1に係る水素モジュールに
ついての結果と同様であった。このことから、本実施例
で得られた水素分離モジュールについてもチャンバーと
水素分離モジュールとの隙間から実質的なガスのリーク
は起きておらず、水素分離膜やシール材が加熱によって
劣化していないことが確認された。すなわち、上述した
膨張黒鉛から成るシール材とポリシラザン膜とを併用す
ることにより、700℃という高温域であっても常に高
い水素透過能及び分離能を実現し得ることが確認され
た。なお、本発明は、表2中のNo.4に示される高性
能な高温対応型水素分離膜に対しても適用可能な技術で
ある。膜構造上、No4はNo.1〜3に対して製膜回
数を5回に増した場合である。
【0056】<実施例3>次に、表2に示すNo.1の
水素分離モジュールと所定の改質触媒とを用いて改質器
を作製し、高温域における改質効率に関して詳細に評価
した。本実施例では、図4に模式的に示すように、使用
する水素分離モジュール10Aの両端に実施例1で使用
したものと同じ構造のジョイント管30,30Aを各々
取り付けた。次いで、かかる二つのジョイント管30,
30Aが取り付けられた状態の水素分離モジュール10
Aを所定のサイズ(内部容積:約1900ml)のチャ
ンバー2内に配置した。すなわち、図4に示すように、
ジョイント管30,30Aの各々に設けられている開口
部、即ち透過ガス排出口6と透過ガス通路16に直接ガ
スを供給するガス供給口6Aとがチャンバー2外部に露
出した状態となるようにして、これらジョイント管3
0,30Aの一部とチャンバー2の一部とを相互に溶接
した。さらに、図4に示すように、水素分離モジュール
10Aの周囲(水素生成部20)には、粒状の多孔質ア
ルミナ(粒径:0.5〜3mm)にニッケルを担持して
成る触媒粒子(ニッケル系改質触媒)18を約400g
充填した。なお、かかる触媒18としては、改質反応に
使用していない新しいものを用いた。このようにして本
実施例に係る改質器1Aを構築した。
【0057】次いで、かかる改質器1Aを用いて、改質
試験を行った。すなわち、かかる改質器1Aを組み込む
ことによって、図3に示すガス分離評価システム(ガス
改質システム)を構築した。なお、図3に破線で示して
いるように、実施例1と異なる点は、水素供給装置54
等と同様の機材によって構成されたスウィープガス(こ
こではヘリウム)供給装置90を別途装備し、スウィー
プガス供給管をガス供給口6Aに接続していることであ
る。このことによって、当該スウィープガス供給装置9
0からガス供給口6Aを介してスウィープガス(He)
を水素分離モジュール10Aの透過ガス通路16に直接
供給することができる。
【0058】而して、図3及び図4に示すように、上記
改質器1Aを備えたガス分離システム(ガス改質システ
ム)によると、ガス供給管3から非酸化条件下で供給さ
れた原料ガス(ここでは窒素とともに水蒸気を含むメタ
ンが供給される。)がチャンバー2A内の水素生成部2
0に導入され、そこに充填されている触媒18の作用即
ち水蒸気改質反応(CH4+H2O=CO+3H2、CO
+HO=CO+H )によって水素が生成する。生
成した水素の一部は、管状水素分離モジュール10Aの
水素分離膜12A及び多孔質支持体14Aを透過して水
素生成部20側から管内部のガス通路16側に分離さ
れ、当該透過ガス通路16から透過ガス排出口6を通っ
てチャンバー2A外部に送出される。一方、水素生成部
20に導入されたガスであって水素分離膜12Aを透過
しなかったものは、チャンバー2A内からガス排出管4
を介して外部に排出される。なお、本実施例に係る改質
器10Aについても、ジョイント管30,30Aに備え
られているシール材38(図2参照)によって水素分離
モジュール10Aとジョイント管30,30Aとの隙間
がシールされている結果、原料ガスが水素分離膜12A
を経ずに当該隙間から透過ガス通路16に漏出(リー
ク)することがない。従って、かかる構成の改質器10
Aおよびそれを備えたガス改質システムによると、改質
反応に伴って水素分離膜12Aを通して、反応生成物で
ある水素が分離されることにより、水素生成部における
水素濃度が減少する。これにより、反応物質側に平衡が
シフトして、メタンから水素への転化反応が促進され
る。すなわち、本実施例に係る改質器10Aでは、特に
600℃以上(更には700℃又は800℃以上)の高
温域において水素透過性能及び分離能性能に優れる高温
対応タイプのポリシラザン膜と上記シール材との併用に
よって、かかる高温域における原料ガス(ここではメタ
ン)から水素への高い転化率を安定して実現することが
できる。次に、かかるガス改質システムによるガス転化
率を以下のようにして調べた。
【0059】本実施例に係る改質試験では、改質反応温
度条件として、600℃、700℃及び800℃の3通
りを設定して、以下のように行った。すなわち、先ず、
窒素を微量パージしつつ改質器10Aのチャンバー2A
内を上記いずれかの設定温度まで昇温した。続いて、メ
タン、水蒸気及び窒素を図3に示す各供給装置52,1
00,56(室温で稼動)からガス供給管3を介してチ
ャンバー2A内に導入しつつ水素還元処理を約1時間行
った。このとき、チャンバー2A内に供給する各ガスの
供給量は、次のとおりとした。すなわち、設定温度が6
00℃のときは、メタン、水蒸気及び窒素の供給量(ml
/min.)をそれぞれ9.0、0.03及び10とした。
また、設定温度が700℃のときは、メタン、水蒸気及
び窒素の供給量をそれぞれ9.5、0.03及び10と
した。さらに、設定温度が800℃のときは、メタン、
水蒸気及び窒素の供給量をそれぞれ9.5、0.03及
び10とした。なお、スチーム比(H2O/CH4)は、モル
比で約5とした。また、改質器(チャンバー内)の圧力
は2.0×10Pa(2.0atm)以内とした。さ
らにこの処理の間、スウィープガス(Ne)を所定の流
量でガス供給口6Aから透過ガス通路16に導入した。
【0060】而して、かかる処理によって水素生成部2
0において水蒸気改質反応が行われるところ、本実施例
では30分間隔で供給ガス(即ちチャンバー2Aのガス
供給管3に供給される前のもの)および改質ガス(即ち
チャンバー2Aのガス排出管4から排出された後のもの
及び透過ガス排出口6から排出された後のもの)を計2
回サンプリングし、GC(CHROMPAVK製:Micro-GC CP20
02)を用いて分析(CH4、H2、CO、O2、N2の分析
ではカラム温度100℃で分析時間2分;CO 2の分析
ではカラム温度80℃で分析時間2分)を行った。GC
での測定結果に基づいて原料ガス(メタン)から水素へ
の転化率(%)を算出した。
【0061】而して、1時間の水素還元処理後、透過側
ガス流(即ちスウィープガス流)を封止し、上記差圧を
なくした。これにより、水素生成部20から水素分離膜
12Aを介する実質的なガス透過を遮断した。この状態
のまま、原料メタン、水蒸気及び窒素を上記供給量でチ
ャンバー2A内に供給し続けた。そして、透過側ガス流
の封止から1.5時間経過後および更に0.5時間経過
後の2回(即ち30分間隔)、供給ガスおよび改質ガス
をサンプリングし、GCを用いて上記と同様に分析を行
った。その後、上記差圧を設けた状態で透過側ガス流
(即ちスウィープガス流)を再開した。これにより、水
素生成部20から水素分離膜12Aを介する実質的なガ
ス透過が再開された。この状態のまま、原料メタン、水
蒸気及び窒素を上記供給量でチャンバー2A内に供給し
続けた。そして、透過側ガス流の再開から1.5時間経
過後および更に0.5時間経過後の2回(即ち30分間
隔)、供給ガスおよび改質ガスをサンプリングし、GC
を用いて同様に分析を行った。かかるサンプリング(各
2回)および分析(計6回)終了後、先ずメタンガスの
供給を停止し、次いで水蒸気の供給を停止した。
【0062】
【表3】
【0063】上記GCの分析に基づいて算出した転化率
(%)を表3に示す。なお、この表における「膜透過側
ガス流・有り」のものは、上記透過側ガス流再開後に測
定したデータである。表3に示す結果から明らかなよう
に、いずれの温度条件下においても、「膜透過側ガス流
・有り」のもの即ち本実施例に係る水素分離モジュール
を適用した場合のほうが、「膜透過側ガス流・無し」の
もの即ち本実施例に係る水素分離モジュールを実質的に
使用しなかった場合(即ち水素分離膜の無い従来型の改
質器に相当する。)よりも、高効率に原料ガス(C
4)の改質反応が行われたことを実証した。このこと
から、本実施例に係る水素分離モジュールに形成された
ポリシラザン膜の高温域における高い水素透過性能・分
離性能又はシール性能の維持を実証したことになる。
尚、反応に直接影響してないN2ガスを省略し、改質ガ
スに関してH2、CH4、CO、CO2各々の組成を検証
したところ、CO、CO2組成に対するH2組成について
理論反応式との整合も確認されている。また、本実施例
において使用したニッケル系改質触媒の好適温度は、操
作条件にもよるが概ね820℃である。従って、上記ポ
リシラザン膜とかかる高温型の改質触媒とを併用する本
実施例の改質器1Aによると、優れた改質反応および水
素分離に伴う化学平衡シフトにより、600〜800℃
(又は600〜1000℃)という高温域で高効率に水
素を製造することができる。なお、このことは「膜透過
側ガス流・有り」のものは「膜透過側ガス流・無し」の
ものよりも改質反応後のメタン残存量が顕著に減少して
おり且つ改質ガス中の水素濃度は逆に顕著に増大してい
る(GC分析結果)ことからも確認されている。なお、
本実施例に係る改質試験とは逆に、膜透過側ガス流を
(1).無し、(2).有り、(3).無しの順番に処理を行い逐次
サンプリングした改質ガスを同様に分析したところ、
(1).無しのときのサンプリングと(3).無しのときのサン
プリングとの間で分析結果に顕著な差異は見いだせなか
った。このことより、本実施例における触媒反応の経時
的変化の影響は無視できるレベルにあると判断できる。
【0064】また、表3に示す本実施例の結果から明ら
かなように、本実施例に係る改質器1Aでは、700℃
や800℃といった高温条件下で使用した時でも良好な
化学平衡シフト(即ちポリシラザン膜を介する水素の選
択的な分離による水素生成部での水素濃度の低下に基づ
く)を実現することができた。このことは、実施例1に
係る改質器1と同様、チャンバー2Aと水素分離モジュ
ール10Aとの隙間から実質的なガスのリークは起きて
いないか或いは改質反応に影響しない程度であることを
示すものである。すなわち、上述したシール材38(図
2)が、800℃のような高温条件においても良好なシ
ール性能を維持し得ることを実証したものである。すな
わち、金属製ジョイント管30,30Aとセラミック製
水素分離モジュール10Aとの隙間サイズはこれら部材
の材質の相違に基づく膨張係数の違いから高温状態にな
るに従い徐々に拡大する傾向にあるところ、膨張黒鉛の
優れた弾性変形能力(柔軟性・クッション性)によっ
て、当該変動する隙間のシール状態を維持することがで
きる。また、特に、本実施例に係る水素分離モジュール
10Aの支持体は、圧縮強度に優れる窒化珪素製であ
る。このことによって、水素分離モジュール10Aの破
壊を未然に防止しつつシール材38に対する締め付け力
を必然的に大きくすることができる。すなわち、比較的
強く圧縮変形させることによって、膨張黒鉛製シール材
38自体の気密性及び弾性復元量の双方を向上させ、結
果、高温域でのシール性能をより向上させることができ
る。
【0065】<実施例4>次に、ポリシラザン膜に代え
てアルミナ膜を備えた水素分離モジュールを作製した。
すなわち、3000重量部のアルミナ粉末(50%粒子
径約3μm)に100重量部の有機バインダーを添加し
て混合した。この混合物に60重量部のワックスエマル
ジョンと60重量部のポリエーテル系合成油(潤滑剤)
と420重量部のイオン交換水を添加して混練し、押出
し成形用坏土を得た。次いで、その坏土を押出成形機に
より押出し成形した後、マイクロ波で乾燥し、空気雰囲
気で熱処理して、多孔質アルミナの管状支持体を得た。
【0066】次いで、上記得られた多孔質管状支持体の
表面を緻密化した。すなわち、1200重量部の高純度
α−アルミナ粒子(平均粒子径約0.2μm)に825
重量部の蒸留水を加え、攪拌・混合しながら硝酸を添加
してpH調整した。そして、超音波ホモジナイザーによ
る撹拌後、ボールミルで混合した。その混合物に、14
0重量部の有機バインダーに660重量部の蒸留水を加
えて加熱スターラーで攪拌・混合した溶液と、72重量
部の可塑剤とを添加した。その後、当該調製したスラリ
ーに約1.4規定の硝酸を添加してpH調整し、ボール
ミルで混合して製膜用スラリーを得た。次に、その製膜
用スラリーを真空脱泡(泡抜き)した。その後、かかる
スラリー中に、予め外表面研磨した上記多孔質支持体を
30秒間浸漬した。これにより、外表面に緻密層を形成
した支持体を、次いで、室温大気中で乾燥し、空気雰囲
気で焼成(1030℃)することによって、α−アルミ
ナ層が外表面に形成された管状支持体を得た。
【0067】次に、かかる管状支持体のα−アルミナ層
の表面及び細孔内に均質な緻密層を作製した。すなわ
ち、19重量部のγ−アルミナ微粒子(平均粒子径数十
nm)に1960重量部の蒸留水を加え、それらを室温
においてスターラーで2日間攪拌・混合した。その後、
さらに超音波ホモジナイザーで撹拌して製膜用ゾルを調
製した。その後、その製膜用ゾルに真空脱泡を施した。
次いで、その製膜用ゾル中に、上記多孔質支持体を浸漬
した。それを室温大気中で乾燥し、空気雰囲気で焼成
(900℃)することによって、当該支持体の外表面の
第1層(α−アルミナ層)の表面及び細孔内に、均質な
緻密層である第2層(γ−アルミナ層)を形成した。そ
の後、当該得られた多孔管状支持体上に更に均質な緻密
層(膜)を形成するため、上記製膜用ゾルの濃度を下げ
た低濃度製膜ゾルを用いて同様に処理することによっ
て、第2層の外面に更に均質且つ緻密なγ−アルミナ層
が形成されたアルミナ製ガス分離モジュール(外径:1
0mm、内径:7mm、長さ:250mm、膜面積79
00mm)を作製した。
【0068】一般的な細孔分布測定法(ここでは水銀圧
入法)によると、本実施例に係るガス分離モジュールの
多孔質支持体部分の平均細孔径は約8μmであり、気孔
率は約39%であった。また、本実施例に係る水素分離
モジュールの膜部断面及び最表面をSEM観察した結
果、上記第1層の膜厚は概ね40μmであった。また、
第2層及びそれ以降の層を合わせたものの膜厚は第1層
への含浸部分を含めて概ね10μm程度であった。ま
た、かかるSEM観察の結果から、少なくともサブミク
ロンオーダーの表面欠陥の発生は抑制されていることが
確認された。また、製膜評価の一指標としてバブルポイ
ントの測定を行ったところ、本作製プロセスでは、バブ
ルポイント値は4.0以上を示すことが確認された。
【0069】次に、本実施例に係るアルミナ製ガス分離
モジュールを使用して改質器を構築し、その評価を行っ
た。先ず、実施例2と同様の評価試験を行った。すなわ
ち、上述のようにしてジョイント管30及びキャップ5
を取り付けた後、図1に示す改質器を構築し、さらには
図4に示すガス分離システムを用いて、700℃の温度
条件下、水素透過率および水素/窒素透過係数比を測定
・算出した。なお、測定条件や算出方法は実施例1と同
様である。結果を表4に示す。
【0070】
【表4】
【0071】表4に示すように、本実施例に係るアルミ
ナ膜を有するガス分離モジュールを備えた改質器(膜型
反応器)についても上記ポリシラザン膜を有する水素分
離モジュールを備えた改質器(膜型反応器)と同様、高
温域で高効率に改質反応を行い得ることが確認された。
実施例3と同様の処理を行って、本実施例に係るアルミ
ナ膜ガス分離モジュールと上記ニッケル系改質触媒とを
用いて膜型改質器を構築し、高温域における改質効率を
評価した。而して、改質温度700℃での結果を表5に
示す。
【0072】
【表5】
【0073】表5に示すように、本実施例に係るアルミ
ナ製ガス分離モジュール及びそれを備えた膜型改質器に
ついても、上記実施例のポリシラザン膜を有する水素分
離モジュール及びそれを備えた膜型改質器と同様、70
0℃の高温条件下でもアルミナ膜を通して効率よく水素
を反応系外へ除去し、結果、水素生成反応側に平衡がシ
フトする。このため、メタンから水素への転化反応を促
進させる効果が期待できる。すなわち、本実施例に係る
改質器においても、700℃又はそれ以上の高温域にお
いて特に水素透過性能及び分離性能に優れる高温対応タ
イプのアルミナ膜と高温でのシール性能に優れる上記シ
ール材との併用によって、原料ガスから水素への高い転
化率を実現することができた。なお、本膜は焼結膜であ
るため、長時間の高温域での使用においては粒径が大き
くなるとともに分離性能を低下する可能性がある。同一
材質で構成されたセラミック分離膜の高温対応型膜型改
質器への適用例として示したものであり、高温できわめ
て長時間安定して使用可能なセラミック分離膜の例では
ない。
【0074】
【発明の効果】 本発明の改質器では、600℃以上の
高温域でも優れた水素透過能及び分離能を発揮し得る水
素分離膜(従来よりも高い分離性能を実現可能な高温水
素分離膜:例えば水素/窒素透過係数比15)を含む水
素分離モジュールを適用しており、併せて、かかる水素
分離モジュールの取付けに関して当該取付け位置からの
ガスリークを防止するのに膨張黒鉛またはその同等物か
ら成るシール材が使用されている。
【0075】かかる構成の本発明の改質器によると、6
00℃以上(典型的には600〜1100℃)の高温域
においても所望のシール性能を保持することができ、さ
らに改質反応に伴って生成する水素を選択的に高温対応
型水素分離膜を介して水素透過側に高効率且つ安定に除
去することができる。このため、600℃以上という高
温且つ水蒸気雰囲気等の過酷な条件下にあっても平衡が
反応物質側にシフトすることによりメタン等の原料ガス
から水素への転化反応(転化率)を促進することができ
る。なお、本発明の改質器は、特に高温域で高い水素製
造(転化)効率が要求される高温型燃料電池(MCF
C、SOFC等)用リフォーマーとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施例に係る改質器の構造を模式的に示す
説明図である。
【図2】 一実施例に係るシール材を有するジョイント
管を模式的に示す断面図である。
【図3】 一実施例に係る改質器を備えたガス分離シス
テムの全体を模式的に示すブロック図である。
【図4】 一実施例に係る改質器の構造を模式的に示す
説明図である。
【符号の説明】
1,1A 改質器 10,10A 水素分離モジュール 12,12A 水素分離膜 14,14A 多孔質支持体 16 ガス通路 18 触媒 20 水素生成部 30,30A ジョイント管 38 シール材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // H01M 8/06 H01M 8/06 G (72)発明者 長屋 重夫 愛知県名古屋市緑区大高町字北関山20番地 の1 中部電力株式会社電力技術研究所内 (72)発明者 古村 清司 愛知県名古屋市緑区大高町字北関山20番地 の1 中部電力株式会社電力技術研究所内 Fターム(参考) 4D006 GA41 HA21 JA02B MA02 MA06 MA26 MB04 MB06 MB15 MC03 MC03X MC05 NA46 NA62 PA01 PB66 PC80 4G040 EA03 EA06 EB33 EB42 FA02 FB01 FC01 FE02 4G140 EA03 EA06 EB37 EB42 FA02 FB01 FC01 FE02 5H027 BA01 BA16

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料ガスから水素を生成するための改質
    器であって、 その内部には、原料ガスから水素を生成する水素生成部
    と、その水素生成部に近接するガス通路とが設けられて
    おり、 その水素生成部とガス通路との境界には、該水素生成部
    側から該ガス通路側へ水素を透過させるための水素分離
    膜を備えた水素分離モジュールが装着されており、 その水素分離モジュールに接する位置には、前記水素分
    離膜を介さずに前記水素生成部側からガス通路側へガス
    がリークすることを防止するためのシール材が取り付け
    られており、 ここで、該水素分離膜は600℃における水素/窒素透
    過係数比が少なくとも2.5であり、その温度での水素
    透過率は0.1×10-6モル/m2・s・Pa以上であり、 該シール材は嵩密度が0.6〜1.9g/cm3である
    膨張黒鉛またはそれと同等の性状を有する耐熱性材料か
    ら構成される改質器。
  2. 【請求項2】 前記水素分離モジュールは、前記水素分
    離膜が表面に形成された多孔質の管形状であり、 その管状水素分離モジュールの外側に前記水素生成部が
    形成されており、該管状水素分離モジュールの中空部が
    前記ガス通路を構成しており、 その管状水素分離モジュールの少なくとも一方の端部に
    は、該中空部とガス通流可能な状態でジョイント管が取
    り付けられており、 そのジョイント管と管状水素分離モジュールの端部と
    は、それらの一部分が相互に重なり合うようにして接続
    されており、 該相互に重なり合ったジョイント管と管状水素分離モジ
    ュールとの隙間に前記シール材が双方に略密着した状態
    で配置されている、請求項1に記載の改質器。
  3. 【請求項3】 前記シール材を構成する膨張黒鉛または
    それと同等の性質の耐熱性材料は、以下の性状: (1).圧縮率が10〜90%であること; (2).弾性復元率が3〜70%であること; を具備するものである、請求項1または2に記載の改質
    器。
  4. 【請求項4】 前記水素分離膜は、Si−N結合主体の
    繰返し構造を基本骨格とするセラミック膜である、請求
    項1〜3のいずれかに記載の改質器。
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