JP2002220292A - 多孔質セラミック膜を有する多孔質無機材料及びその製造方法 - Google Patents

多孔質セラミック膜を有する多孔質無機材料及びその製造方法

Info

Publication number
JP2002220292A
JP2002220292A JP2001012013A JP2001012013A JP2002220292A JP 2002220292 A JP2002220292 A JP 2002220292A JP 2001012013 A JP2001012013 A JP 2001012013A JP 2001012013 A JP2001012013 A JP 2001012013A JP 2002220292 A JP2002220292 A JP 2002220292A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
porous
support
film
filler
inorganic material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001012013A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3850668B2 (ja
Inventor
Takehiro Suzuki
毅裕 鈴木
Shigekazu Mase
茂和 間瀬
Shigeo Nagaya
重夫 長屋
Seiji Furumura
清司 古村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Noritake Co Ltd
Chubu Electric Power Co Inc
Original Assignee
Noritake Co Ltd
Chubu Electric Power Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Noritake Co Ltd, Chubu Electric Power Co Inc filed Critical Noritake Co Ltd
Priority to JP2001012013A priority Critical patent/JP3850668B2/ja
Publication of JP2002220292A publication Critical patent/JP2002220292A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3850668B2 publication Critical patent/JP3850668B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
    • C04B41/009After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone characterised by the material treated
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
    • C04B41/45Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements
    • C04B41/52Multiple coating or impregnating multiple coating or impregnating with the same composition or with compositions only differing in the concentration of the constituents, is classified as single coating or impregnation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
    • C04B41/53After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone involving the removal of at least part of the materials of the treated article, e.g. etching, drying of hardened concrete
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B2111/00Mortars, concrete or artificial stone or mixtures to prepare them, characterised by specific function, property or use
    • C04B2111/00474Uses not provided for elsewhere in C04B2111/00
    • C04B2111/00793Uses not provided for elsewhere in C04B2111/00 as filters or diaphragms
    • C04B2111/00801Membranes; Diaphragms

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Porous Artificial Stone Or Porous Ceramic Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 無機系多孔質支持体の表面部に、全体的に均
質な性状の多孔質セラミック膜が形成されて成る多孔質
無機材料を提供すること。 【解決手段】 上記多孔質無機材料を製造するための本
発明の製造方法は、(a).無機系多孔質支持体の少なくと
も一部の細孔に充填材を充填する処理、(b).充填された
充填材を固める処理、(c).その充填材が充填された部分
の表面部に多孔質セラミック膜を形成する処理、およ
び、(d).その多孔質セラミック膜の形成された多孔質支
持体から上記充填材を実質的に除去する処理を包含す
る。本製造方法によって得られた多孔質無機材料11
は、無機系多孔質支持体2と多孔質セラミック膜3との
境界面がほぼ平坦に形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、無機系多孔質支
持体の表面に多孔質セラミック膜が形成されて構成され
る多孔質無機材料に関する。
【0002】
【従来の技術】 セラミックスその他の無機系多孔質支
持体の表面に細孔を有するセラミック膜が形成された多
孔質無機材料は、分子篩い効果によるガス分離やパーベ
ーパレーション、メンブレンリアクター、気体センサー
等の用途に用いられている。かかる多孔質無機材料を製
造する方法として、通常、種々のセラミック膜形成用材
料を適当な分量で所定の溶媒に分散若しくは溶解して調
製した液(以下「材料調整液」という。)を使用する製
膜方法が用いられている。かかる製膜方法では、先ず、
一般的なディップコーティング法、スピンコーティング
法、スクリーン印刷法、スプレー法等によって、所定の
材料調整液を多孔質支持体表面にコーティング(塗布)
する。次いで、従来公知の水熱合成処理や焼成処理を施
すことによって、当該多孔質支持体表面に所定の多孔質
セラミック膜を形成する。例えば、特開平7−8971
4号公報には、所定の材料調整液を多孔質支持体表面に
塗布した後に水熱合成処理を施すことによって、セラミ
ック膜の一種であるゼオライト膜を当該支持体表面に容
易に製膜し得る技術が記載されている。
【0003】ところで、上記構成の多孔質無機材料をガ
ス分離等の分子篩いや種々のメンブレンリアクターとし
て使用する場合、多孔質支持体の表面部(当該支持体の
表面(外面)部分又は該表面とそれに近接する孔隙を包
含する部分(表層部)をいう。以下同じ。)に形成され
る膜としては、その全域に亘ってほぼ均質で緻密なもの
が好ましい。膜に粗密があったりさらには膜の一部に顕
著な欠陥が生じていたりすると、当該セラミック膜の物
理的及び/又は化学的特性が膜の部位間で異なることと
なり、結果、所望される高性能で安定的なガス分離等を
実現できないからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上述
したような材料調整液を用いる従来の製膜法(ディップ
コーティング法等)では、多孔質支持体表面部における
膜形成部分の全体(全域)に亘ってほぼ均質なセラミッ
ク膜(好ましくは全体に緻密なもの)を形成することは
以下の理由によって困難であった。すなわち、セラミッ
クその他の無機系多孔質支持体には表面部から内部方向
に無数の細孔が存在するところ、かかる多孔質支持体の
表面に材料調整液を塗布した際には当該材料調整液の一
部が細孔内を伝わっていき、本来意図していない支持体
内部にまで膜形成用材料が滲入する結果を招いていた。
しかもかかる滲入(しみ込み)は、使用する多孔質支持
体の孔隙率や細孔分布に応じて無秩序に或いは部位特異
的に生じるものである。この結果、多孔質支持体の表面
部(典型的には表面及びその近傍の細孔内)には、かか
る材料調整液(即ち膜形成用材料)の滲入度合に応じて
部位毎に性状(典型的には緻密さ)の異なる多孔質セラ
ミック膜が形成されることとなる。例えば、細孔分布に
応じて材料調整液の支持体内部への滲入度合が高い部位
では比較的緻密度が低い膜が形成され得るとともに、欠
陥が生じ易い。一方、内部への滲入度合が低い部位では
相対的に緻密度が高く欠陥の生じ難い膜が形成される傾
向にある。而して、かかる膜の質的不均一さは、材料調
整液の溶媒に対して比較的濡れ易いもの(即ちかかる溶
媒に対する接触角が小さいもの)、或いは細孔の孔径が
比較的大きなもの(即ちかかる溶媒の透過係数が比較的
大きいもの)を上記多孔質支持体として使用した場合に
特に顕著に生じ得る。さらにまた、膜形成用材料(材料
調整液)の多孔質支持体内部(細孔)への過度の滲入に
よって、当該滲入部位における細孔が膜形成用材料の堆
積及び当該材料から形成されるセラミック塊によって閉
塞してしまう場合がある。かかる閉塞は、多孔質支持体
自身の孔隙率を低下させ、その上面に形成された膜の性
能低下(即ち膜の有効面積の低下)を引き起こす虞があ
るため、好ましくない。このことに関し、特表平8−5
09453号公報には、多孔質支持体上に膜厚がほぼ一
定のシリカ−ゼオライト膜(分子篩い膜)を形成するた
めの補助的措置として、膜形成用材料(材料調整液)を
支持体表面に塗布する前に当該支持体に予めバリアー層
を形成することが記載されている。しかし、かかるバリ
アー層は、材料調整液の溶媒(水)が多孔質支持体の細
孔中に過剰に滲入するのをブロックし、塗布した材料調
整液中のセラミック粒子のみが過剰且つ不均一に支持体
表面に残留する(不均質な膜形成の原因となる)ことを
防止する手段にすぎない。従って、上記バリアー層は、
膜形成用材料(即ちセラミック粒子等の固形分)そのも
のの多孔質支持体内部(細孔)への滲入を完全に遮断す
るものではない。
【0005】本発明は、上記従来の材料調整液を使用す
る製膜技術に関連する課題を解決するべく創出されたも
のであり、その目的とするところは、無機系多孔質支持
体の孔隙率や細孔分布(平均孔径)に関わらず、当該支
持体の表面部に均質な性状の多孔質セラミック膜が形成
されて成る多孔質無機材料を簡便に製造し得る方法を提
供することである。また、他の目的は、そのような多孔
質無機材料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】 本発明によって以下の
多孔質無機材料製造方法が提供される。すなわち、本発
明の製造方法は、無機系多孔質支持体の表面部に多孔質
セラミック膜が形成されて成る多孔質無機材料を製造す
る方法であって、(a).無機系多孔質支持体の少なくとも
一部の細孔に液状の充填材を充填する処理と、(b).充填
された充填材を固める処理と、(c).その充填材が充填さ
れた部分の表面部に多孔質セラミック膜を形成する処理
と、(d).その多孔質セラミック膜の形成された多孔質支
持体から上記充填材を実質的に除去する処理とを包含す
る方法である。ここで「充填材」とは、上記多孔質支持
体の細孔内に充填可能な物質であって人為的に制御容易
な範囲(典型的には−80℃〜300℃)内の温度変動
に応じて液体状態(ゾルを包含する。)と固体状態(ゲ
ルを包含する。)のいずれかに可逆的に状態変化し得る
物質をいい、純物質(即ち実質的に単一の化学物質から
成る物質)であるか混合物であるかを問わない。かかる
状態変化に伴う容積の変動の比較的少ないものが好まし
い。
【0007】本発明の製造方法では、セラミック膜形成
前において、当該セラミック膜を形成する基盤となる支
持体部分の細孔を所定の充填材(固化した状態のもの)
によって塞ぐ処理を行う。このことによって、当該支持
体に膜形成用材料(典型的には材料調整液)をコーティ
ングした場合であっても、当該材料が支持体内部へ滲入
する(即ち細孔内へ入り込む)のを防止することができ
る。このため、全体的に粗密のない且つ均質で欠陥の少
ないセラミック膜を形成することができる。また、材料
の滲入がない結果、所望する膜厚のセラミック膜を形成
することが可能である。また、膜形成後(焼成の有無を
問わない)に充填材を実質的に除去する結果、多孔質支
持体に所望される多孔性(孔隙率)を確保することがで
きる。従って、本発明の製造方法によると、高性能が要
求されるガス分離等の分子篩い用途や種々のメンブレン
リアクターとして好適に使用し得る多孔質無機材料を容
易に製造することができる。
【0008】また、本発明の製造方法として好ましいも
のは、上記(c).の処理を行う前に、上記充填材が充填さ
れた多孔質支持体の表面部から充填材を部分的に除去す
る処理が行われる方法である。かかる処理を包含する本
発明の製造方法によると、セラミック膜の膜厚を所望す
るレベルに制御することができる。また、充填材の除去
された部分(即ち支持体の表層部)にも多孔質セラミッ
ク膜が形成される結果、支持体表面(外面)にのみ形成
されたセラミック膜よりも、当該膜と支持体との結合強
度を高めることができる。このため、上記処理を含む本
発明の製造方法によると、全体に膜厚等が均一で物理的
強度(剥離し難さ等)に優れる多孔質セラミック膜を有
する多孔質無機材料を簡便に製造することができる。
【0009】また、本発明の製造方法として好ましい他
のものは、上記(c).の処理において、膜形成用材料を含
有する液中に上記多孔質支持体を浸漬することによっ
て、当該支持体の表面部への当該膜形成用材料の塗布
(コーティング)が行われることを特徴とする方法であ
る。この製造方法では、いわゆるディップコーティング
の実施によって、膜厚がほぼ一定の多孔質セラミック膜
を支持体表面部に容易に製膜することができる。
【0010】また、本発明によって、上記製造方法のい
ずれかによって製造されたことを特徴とする、多孔質セ
ラミック膜と多孔質支持体との境界面がほぼ平坦である
多孔質無機材料が提供される。また、本発明によると、
特に、以下のような多孔質無機材料を提供することがで
きる。すなわち、本発明によって提供される一つの多孔
質無機材料は、無機系多孔質支持体の表面部に多孔質セ
ラミック膜が形成されて成るものであって、その多孔質
支持体は、次の二つの特性「(1).水、エタノール、トル
エン及びキシレンから成る群から選択される少なくとも
一つの溶媒に対する接触角が90度未満である。」およ
び「(2).当該少なくとも一つの溶媒の透過係数が室温条
件下で1×10-11kg/m・s・Pa以上である。」
のうちの少なくとも一方を具備するものである。そし
て、その多孔質セラミック膜と多孔質支持体との境界面
(典型的には膜形成部分のほぼ全域に亘る)がほぼ平坦
であることを特徴とする。なお、本明細書において「無
機系多孔質支持体と多孔質セラミック膜との境界面がほ
ぼ平坦である」とは、当該境界面(即ち支持体側の膜表
面)の任意の一部分がその周囲の部分よりも顕著に支持
体内方に突出して形成されていないことをいい、典型的
には当該支持体と膜とから成る無機材料の切断面を電子
顕微鏡(SEM)によって適当な倍率で検鏡した際に、
当該境界面が顕著なピークの無いなだらかな線状に認め
られる状態をいう。
【0011】かかる構成の本発明の多孔質無機材料で
は、上記溶媒に濡れ易い(即ち溶媒を付着させ易い)及
び/又は上記溶媒が細孔内に滲入し易い性状の多孔質支
持体であるにも拘わらず、その表面部に支持体との境界
面が明瞭で平坦な多孔質セラミック膜が形成されてい
る。すなわち、本発明の多孔質無機材料では、当該境界
面よりも多孔質支持体側の内方(細孔)に膜形成用材料
由来の不要なセラミック塊が実質上形成されておらず、
膜の不均一性や欠陥発生に関与し得る顕著な凹凸(上記
膜形成用材料の滲入によって発生し得る)も実質上存在
しない。このため、本発明の多孔質無機材料では、多孔
質支持体の孔隙率を膜形成前のものとほぼ同じレベルに
保つことが実現されている。さらに、膜の境界がほぼ平
坦である結果、膜全体の質的均一性が高く、欠陥の発生
(存在)率が低く抑えられている。従って、本発明の多
孔質無機材料は、一般に高性能が要求される分離膜や種
々のメンブレンリアクターとして適用することができ
る。
【0012】上記構成の本発明の多孔質無機材料として
好ましいものは、多孔質セラミック膜がSi−N結合主
体の繰返し構造を基本骨格とするものである。Si−N
結合主体の繰返し構造(即ちシラザン骨格)を基本骨格
とすると、従来のシリカ質多孔体(即ちSi−O結合主
体の繰返し構造から成るシロキサン骨格を基本骨格とす
るセラミック材)とは異なり、350℃を越えるような
高温条件下においても微細孔構造を安定に保つことがで
きる。そして、かかる耐熱性に優れる性状の多孔質セラ
ミック膜が均質に形成されている結果、高温条件下(例
えば600℃〜800℃)又は水蒸気雰囲気条件下にお
いても高性能なガス分離や分子篩いを実現することがで
きる。また、本構成の多孔質無機材料として好ましいも
のは、上記多孔質セラミック膜の孔径分布のピーク値が
10nm以下であることを特徴とする。かかる構成の本
発明の多孔質無機材料は水素分離膜等のガス分離用途に
特に好適である。また、上記構成の多孔質無機材料とし
て特に好ましいものは、上記多孔質セラミック膜の膜厚
がほぼその全域に亘って10μm以下であることを特徴
とする。かかる構成の多孔質無機材料は、分離対象とす
る分子(水素等)の透過率を比較的高いレベルに保つこ
とができ、高温条件下等でも効率的なガス分離その他の
分子篩いを行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の好適な実施形態
について説明する。本発明の製造方法によって製造され
る多孔質無機材料は、典型的には、無機系多孔質支持体
の表面部に種々の材質の多孔質セラミック膜を形成する
とともにその多孔質セラミック膜と多孔質支持体との境
界面がほぼ平坦に形成されることで特徴付けられる多孔
質無機材料である。従って、本発明の製造方法によって
多孔質無機材料を製造するにあたっては、使用する無機
系多孔質支持体の性状は特に限定されない。典型的に
は、窒化珪素、炭化珪素、シリカ、α−アルミナ、γ−
アルミナ、ジルコニア、チタニア、カルシア、各種ゼオ
ライト等の多孔質セラミック材が挙げられる。あるい
は、これらセラミック材に種々の金属成分(Pd、N
i、Ti、Al、W、Nb、Ta、Co、Ru等)やそ
れらの合金若しくは金属酸化物成分を含有したものであ
ってもよい。
【0014】ところで、本発明の製造方法によると、従
来の手法によっては膜全域に亘って均質な膜及び/又は
膜厚がほぼ一定である膜を形成するのが困難であった無
機系多孔質支持体に対しても、均質で膜厚がほぼ一定の
多孔質セラミック膜をディップコーティング法等を採用
して簡便に形成することができる。このような多孔質支
持体としては、(i).水、エタノール、トルエン及びキ
シレンのうちの少なくとも一つに対する接触角が90度
未満(典型的には60度以下)であることを特徴とする
濡れ易い(即ち当該溶媒を付着させ易い性質を有する)
材質の支持体が挙げられる。あるいは、(ii).これら溶
媒のうちの少なくとも一つに関する透過係数が室温条件
下で1×10-11kg/m・s・Pa以上(典型的には
3×10- 11kg/m・s・Pa以上)となるような孔
隙率の支持体が挙げられる。かかる(i)及び(ii)に記載
の条件に合致する支持体の例としては、平均孔径が0.
05μm以上(典型的には0.1μm以上)及び/又は
孔隙率が40%以上であるような無機系多孔質支持体、
例えばアルミナ、窒化珪素、ゼオライト等から成るセラ
ミック材が挙げられる。
【0015】また、本発明の実施に際して、無機系多孔
質支持体の形状は特に限定されず、用途に応じて膜(薄
板)形状、管形状、モノリス形状、ハニカム形状、多角
形平板形状その他の立体形状であり得る。これら形状の
支持体は、従来行われている周知の成形技法(押出し成
形、鋳込み成形、テープ成形、プレス成形等)によって
得ることができる。なお、かかる周知の成形技法自体、
本発明を特に特徴付けるものではないため、詳細な説明
は省略する。
【0016】一方、本発明の多孔質無機材料において
は、支持体の表面部に形成される膜の材質には特に制限
はない。例えば、従来既知の材料・膜形成方法に基づい
て、各種のゼオライト膜(X型、Y型、A型、シリカラ
イト、モルデナイト、ZSM−5型等)、シリカ膜、α
−アルミナ膜、γ−アルミナ膜等を支持体表面に形成す
ることができる。また、本発明の多孔質無機材料を分子
篩い用途(典型的にはガス分離)に使用する場合には、
孔径分布のピーク値(典型的には当該ピーク値は平均孔
径と近似し得る)が100nm以下(例えば0.1nm
〜100nm)、好ましくは孔径分布のピーク値及び/
又は平均孔径が50nm以下(例えば0.1nm〜50
nm)である多孔質セラミック膜を形成するとよい。な
お、水素分離膜として使用する場合は、孔径分布のピー
ク値及び/又は平均孔径が10nm以下(例えば0.1
nm〜10nm)のものが好適である。この場合、多孔
質支持体の孔径分布のピーク値に対する多孔質セラミッ
ク膜の孔径分布のピーク値の比率が1/15以下(より
好ましくは1/20以下)となるように、用いる多孔質
支持体を決定するとよい。
【0017】かかるガス分離その他の分子篩い用途に使
用する場合の好適な多孔質セラミック膜の一つとして、
分子構造がSi−N結合の繰返し構造(−Si−N−S
i−N−)すなわちシラザン骨格を主たる骨格とするこ
とで特定される多孔質セラミック膜(以下単に「ポリシ
ラザン膜」と略称する。)が挙げられる。ポリシラザン
膜は、基本骨格(主たる骨格)がSi−N結合の繰返し
構造(シラザン骨格)である限り、その他の結合や分子
構造を含み得る。典型的には、Si−N結合の繰返し構
造に対してSi−C結合、Si−O結合、Si−H結合
等が一部付加されることによって、ポリシラザン膜全体
の基本構造(三次元の網目構造)が形成されている。な
お、かかるポリシラザン膜が形成された多孔質無機材料
を、高温条件下(例えば600℃以上1000℃以下の
高温域)でガス分離等に使用する場合、ポリシラザン膜
中に存在する全珪素(Si)原子数に対するSi−N結
合を形成しているSi原子数の割合は10%以上が好ま
しく、その割合が20%以上となるものが特に好まし
い。そのようなポリシラザン膜を有する多孔質無機材料
は、600℃以上(典型的には600〜1100℃)の
ような高温条件下においてメタン、メタノール等の原料
ガスを改質(水蒸気改質反応等)して水素ガスを生成す
るリフォーマー即ち改質器に適用することができる。こ
のような水素分離膜としては、孔径分布のピーク値及び
/又は平均孔径は0.1nm〜10nmの範囲内にある
ことが好ましい。かかる孔径分布のピーク値及び/又は
平均孔径のものであれば、いわゆるモレキュラーシーブ
またはクヌッセン的分離が発現する。クヌッセン的分離
とはガス分子の透過速度の差を利用した分離または濃縮
をいい、細孔(典型的には孔径約10nm以下)内にお
いてはガス分子相互の衝突よりも孔壁との衝突が支配的
になるという性質に基づくものである。さらに上記孔径
分布のピーク値及び/又は平均孔径が0.1〜5nm或
いは1nm以下のものが、水素のような比較的小さいサ
イズ(動的分子直径約0.29nm)の無極性分子を混
合ガスから選択的に分離するのに特に効果的である。な
お、特に限定するものではないが、水素分離膜の膜厚は
10μm以下が適当であり、5μm以下の膜厚が好まし
く、1μm以下の膜厚が更に好ましい。特に、かかる膜
厚のポリシラザン膜によると、高温条件下においても比
較的高い水素分離能(水素選択性)を保持しつつ、効率
よく水素分離処理を行うことができる。
【0018】次に、本発明の製造方法について図面を参
照しつつ詳細に説明する。先ず、上記(a).処理について
説明する。本発明の製造方法では、所望する形状に成形
された無機系多孔質支持体の表面部にセラミック膜を形
成する(即ち上記(c).処理)前に、当該支持体の少なく
とも一部の細孔に適当な充填材を充填する処理(上記
(a).処理)を行う。かかる充填材として、温度条件、圧
力条件等を変化させることによって液体状態と固体状態
との間で可逆的に状態変化し得る物質(純物質又は混合
物)が使用可能であるが、用いる多孔質支持体の表面
(孔内壁面)に不可逆的に吸着され難い物質が好まし
い。また、充填処理の容易さの観点から、概ね0〜20
0℃(好ましくは室温〜100℃)の間に融点を有する
物質が充填材として好適である。このような温度範囲に
融点(凝固点)を有する物質から成る充填材を使用する
と、比較的低温条件で充填処理を行うことができる。か
かる好適な充填材としては、融点が45〜65℃の範囲
内にあるパラフィン、融点が上記温度範囲に属すること
となるような分子量(重合度)のポリエチレングリコー
ル(PEG)等の有機化合物が挙げられる。また、水
(HO)等の無機化合物も充填材として好ましい。
【0019】このような充填材を支持体の細孔内に充填
するために種々の手法が考えられるが、典型的には、液
体状態とした充填材中に多孔質支持体を浸漬することに
よって、当該支持体の細孔を充填材で充填することがで
きる。すなわち、図1に模式的に示すように、細孔4が
全体に形成された多孔質支持体2(例えば窒化珪素)
を、高温状態(例えば100〜200℃)の液状充填材
(例えば液状パラフィン)中に浸漬する。このことによ
って、いわゆる毛管現象に基づいて液状の充填材を細孔
内に滲入させ、結果、図2に示すように当該細孔4内部
に液状充填材10を充填することができる。
【0020】また、より短時間で高効率に本発明に係る
(a).処理を実施するため、上記浸漬手段に代えて液状充
填材を強制的に細孔内に滲入させてもよい。そのような
強制的手段の一例として、液状充填材を高圧で多孔質支
持体表面に吹き付けていき、その圧力によって多孔質支
持体の細孔内部に当該充填材を滲入させていく方法が挙
げられる。或いは、多孔質支持体の表面(即ち膜を形成
する面)に予め液状充填材を塗布しておくとともに当該
表面とは反対の面側から真空ポンプ等によって多孔質支
持体の細孔内部に存在するガスを吸引する操作を行って
もよい。かかる操作によると多孔質支持体細孔内部の圧
力が支持体表面部よりも著しく低下するため、その圧力
差に基づいて表面部に塗布しておいた液状充填材を速や
かに細孔内に滲入させる(吸い込む)ことができる。
【0021】而して、上記(b).処理、すなわち液状充填
材を支持体の細孔内に充填した後、典型的には充填材た
る物資の融点(凝固点)以下となる低温条件下に当該支
持体をおくことによって細孔内の充填材を固まらせる処
理(凝固・固化処理)を行う。これにより、細孔内に固
形状充填材を保持しておくことができる。
【0022】次に、上記(c).処理即ち膜形成処理につい
て説明する。本発明の製造方法は、上記(a).&(b).処理
の実施によって膜形成用材料が無秩序に支持体内部(細
孔)に滲入するのを抑止することで特徴付けられる方法
であり、上記充填材が充填された状態が維持される限り
において当該支持体表面部に多孔質セラミック膜を形成
(製膜)する手段に特に制限はなく、従来から行われて
いる種々の材料・方法を適用することができる。例え
ば、図3に模式的に示すように、支持体2の表面に各種
のセラミック膜3を形成する場合には、所定のセラミッ
ク膜形成用材料を含むゾル又はスラリーを調製し、従来
公知のディップコーティング法、スピンコーティング
法、スクリーン印刷法、スプレー法等によって、当該支
持体2の表面部(図では表面)に膜形成用材料3をコー
ティングすることができる。次いで、かかる支持体2を
水熱合成、焼成等の処理に供することによって、当該支
持体2の表面部に所望する膜厚及び平均孔径のセラミッ
ク膜3を形成することができる。
【0023】次に、上記(d).処理すなわち充填材の除去
処理について説明する。本発明の製造方法によって多孔
質無機材料を製造するにあたっては、実質的なレベル即
ち支持体部分の多孔性を確保するのに充分なレベルまで
上記細孔内に充填されている充填材を除去する必要があ
る。なお、かかる充填材除去処理は、上記(c).処理と同
時に行われる場合がある。すなわち、使用した充填材の
沸点よりも高い温度で上記(c).処理(焼成処理や水熱合
成処理)が行われる場合には、当該(c).処理(膜形成処
理)自体が即ち充填材除去処理に該当する。高温に曝さ
れた充填材が融解し延いては気化して細孔内から漏出し
ていくからである。また、上記(d).処理(充填材除去処
理)を当該(c).処理(膜形成処理)とは別個独立に行っ
てもよい。例えば、セラミック膜形成後或いはセラミッ
ク膜形成前(即ち材料調整液塗布後)の段階で、所定の
溶媒(例えばトルエン)に多孔質支持体の少なくとも一
部を浸漬することによって、支持体細孔内部に存在して
いる充填材(パラフィン、PEG等)を溶出してもよ
い。あるいは、水のような比較的沸点が低く蒸気圧が高
い物質を充填材とした場合には、多孔質支持体を比較的
高温条件下に曝しておくことによって、細孔内に残留す
る充填材を気化・放出することができる。而して、かか
る充填材除去処理を施すことによって、図4に模式的に
示すように、支持体2の細孔4から充填材が除去されて
成る本発明に係る多孔質無機材料1が製造される。この
図に示されるように、本発明の製造方法によると、支持
体2が細孔(細孔4)を有する多孔体であるにも拘わら
ず、多孔質セラミック膜3と多孔質支持体2との境界面
がほぼ平坦となり、全域に亘ってほぼ均質な多孔質セラ
ミック膜3を有する多孔質無機材料1を製造することが
できる。
【0024】次に、本発明の製造方法の好適な一実施形
態として、多孔質支持体の表面部に上記水素分離膜とし
て好ましいポリシラザン膜を形成して成る多孔質無機材
料を製造する場合について説明する。上述のとおり、ポ
リシラザン膜はSi−N結合の繰返し構造を基本骨格と
するものであるから、当該Si−N結合を基本構造とす
る珪素化合物から製造することができる。かかる好適な
珪素化合物として、以下の一般式(1)によって表され
るポリシラザンが挙げられる。典型的には式(1)のR
,R,Rは、それぞれ、水素または炭素数が1〜
10である脂肪族系若しくは芳香族系の炭化水素基であ
る。
【0025】
【化1】
【0026】而して、かかるポリシラザンは、例えば、
以下のように調製することができる。すなわち、ジハロ
シラン(RSiHX)或いは当該ジハロシランと他
のジハロシラン(RSiX)との混合物をアン
モニアと反応させることによってシラザンオリゴマーを
得る。次いで、塩基性触媒の存在下で当該シラザンオリ
ゴマーの脱水素反応を起こさせる。これにより、珪素原
子に隣接する窒素原子の脱水素が行われ、結果、シラザ
ンオリゴマーが相互に脱水素架橋して成るポリシラザン
を生成することができる。なお、この生成プロセスに使
用されるジハロシランの好ましいものは、上記R、R
、Rが、それぞれ、炭素数が1〜6の低級アルキル
基、置換アリル基、非置換アリル基、炭素数が6〜10
の非置換アリール基、トリアルキルアミノ基、ジアルキ
ルアミノ基のいずれかである。或いは、Rは水素であ
り、RおよびRが上記列挙した官能基のいずれかで
ある。このときR、RおよびRは全て同じ基でも
よく、相互に異なる基でもよい。なお、上記ジハロシラ
ンの式中のXはハロゲン基である。なお、使用するポリ
シラザンの分子量に特に制限はないが、多孔質支持体の
表面部に薄膜を形成する場合、その過程における粘性制
御等の観点から重量平均分子量で1000〜20000
程度のものが好ましい。
【0027】而して、上述のようにしてシラザンオリゴ
マーから調製したポリシラザンまたは市販のポリシラザ
ンを不活性雰囲気中で焼成することによって、微細孔を
有するポリシラザン膜を形成することができる。概略す
れば、予め細孔内に充填材が充填された多孔質支持体の
表面に、ディップコーティング法、スピンコーティング
法、スクリーン印刷法、スプレー法等の手法を用いてポ
リシラザン膜形成用材料を含むポリシラザン溶液を所望
する厚さ(例えば1〜3μm)で塗布する。このとき、
ポリシラザン溶液中のポリシラザン濃度は特に限定され
るものではないが、0.5wt%〜60wt%程度が適当で
あり、1wt%〜20wt%程度が好ましい。また、かかる
ポリシラザン溶液の調製にあたっては、ポリシラザンを
溶解するための溶媒として種々の有機溶媒を用い得る。
例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶
媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテ
ル等のエーテル系溶媒が適当である。なお、ポリシラザ
ン溶液調製に用いる有機溶媒の選定に際しては、上記細
孔に充填されている充填材(即ち固化した充填材)との
相互特性(相性)を考慮することが望ましい。すなわ
ち、使用する充填材の性質に応じて、当該充填材の固化
物を細孔内から溶出させ難い性質のものをポリシラザン
溶液調製用溶媒とすることが好ましい。
【0028】次いで、ポリシラザン溶液が塗布された支
持体に乾燥処理を施すことによって、ポリシラザンから
成る薄層を当該支持体表面部に形成する。このとき、本
発明の製造方法では、多孔質支持体の細孔内部に予め充
填材が充填されている結果、ポリシラザン溶液の支持体
内部への意図しない無秩序な滲入を防止することができ
る。而して、不活性(非酸化性)雰囲気中で当該薄層を
支持体ごと適当な温度条件下(典型的には200〜13
50℃、好ましくは200〜1000℃)で焼成するこ
とによって、全体に均質なポリシラザン膜(水素分離
膜)を当該支持体表面部に形成することができる。
【0029】次に、本発明の製造方法として特に好まし
い実施形態として、上記(a).処理或いは(b).処理を行っ
た後であって上記(c).処理を行う前において、上記充填
材が充填された多孔質支持体の表面部から充填材を部分
的に除去する処理(以下かかる処理を「部分的除去処
理」と略称する。)を行う態様の製造方法について説明
する。なお、この態様の製造方法においては、以下に説
明する部分的除去処理以外の処理工程は、上述した実施
形態に係る製造方法と同様であり、重複した説明はしな
い。
【0030】本態様の製造方法では、図5に模式的に示
すように、上記(a).処理によって充填材10を支持体2
の細孔4に充填した後(図2参照)、所定の時期に、そ
の表面部の一部(図中のdで示す範囲)から充填材10
を除去することを特徴とする。かかる部分的除去処理
は、上記(d).処理と同様の手法によって容易に行うこと
ができる。例えば、所定の充填材(パラフィン、PEG
等)を充填した支持体2の表面部の一部を所定の溶媒
(例えばトルエン)中に浸漬する。このことによって、
図5に示すように、その一部分dに存在している充填材
(パラフィン、PEG等)を溶出することができる。か
かる部分的除去処理を行う前に、細孔内の充填材を予め
固化しておくこと(即ち上記(b).処理後)が好ましい。
所望する範囲dでのみ充填材を除去することを制御し易
くなるからである。換言すれば、支持体の表面から内方
(細孔内)への多孔質セラミック膜形成範囲を制御・決
定し易くなる。かかる膜形成範囲即ち充填材を除去する
範囲dの調節は、例えば、固化充填材が充填した支持体
の充填材除去用溶媒(トルエン等)へ接触させる部分
(典型的には支持体表面を基点としたときの溶媒に浸漬
させる支持体の容積)や浸漬時間(溶媒との接触時間)
を制御することによって容易に行える。
【0031】而して、かかる部分的除去処理を行った
後、上述の(c).処理を行う。例えば、所定の膜形成用材
料を含む材料調整液に図5に示す支持体2をディップす
ることによって当該支持体2の表面部の所定範囲に膜形
成用材料3をコーティングすることができる。次いで、
かかる支持体2を水熱合成、焼成等の処理に供すること
によって、図6に示すような、当該支持体2の表面部に
所望する膜厚及び平均孔径のセラミック膜3を形成する
ことができる。そして、上述の(d).処理が行われること
によって、図7に示すような、多孔質支持体2に残留す
る充填材10が除去されて成る本発明に係る多孔質無機
材料11が製造される。
【0032】このように、上記部分的除去処理を伴う本
態様の製造方法によっても、多孔質セラミック膜3と多
孔質支持体2との境界がほぼフラットな面状となること
を一つの特徴とする、全域に亘ってほぼ均質な多孔質セ
ラミック膜3を有する多孔質無機材料11を製造するこ
とができる。さらに、本態様の製造方法によって製造さ
れる多孔質無機材料11の他の特徴は、セラミック膜3
の一部分が支持体2表面よりも幾分内部(即ち細孔内)
に形成されることである。このような膜は、支持体2表
面上にのみ形成されたセラミック膜よりも膜と支持体と
の結合力が高く、比較的高い物理的強度(高温条件下に
おける剥離し難さ等)を実現している。
【0033】
【実施例】 本発明を以下の実施例によりさらに詳細に
説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0034】<実施例1:ポリシラザン膜を有する管状
多孔質無機材料の製造>90重量部の窒化珪素粉末と、
5重量部のアルミナ粉末と、5重量部のイットリア粉末
と、60重量部の水をアルミナ製ポットに投入し、直径
30mmの玉石を使用して24時間混合することによっ
てスラリーを調製した。次いで、このスラリーに15重
量部のワックス系有機バインダーと、2重量部のワック
スエマルジョンを添加して16時間混合し、その後スプ
レードライにより顆粒体を作製した。次いで、得られた
顆粒体をゴム製の型に充填した。すなわち、振動粉体充
填装置を利用して型を適宜振動させつつ上記顆粒体を型
内に密に充填した。その後、当該顆粒体を充填した型を
CIP(冷間静水圧プレスによる)成形し、管形状(外
径:10mm、内径:7mm、長さ:250mm)に生
加工した。そして、当該生加工チューブを脱脂後、14
00℃(最終焼成温度)で焼成し、管(チューブ)形状
の窒化珪素多孔体(以下「窒化珪素支持体」という。)
を得た。
【0035】得られた窒化珪素支持体の孔径(平均孔
径)および孔隙率は、水銀圧入法によって測定した結
果、それぞれ0.16μmおよび約50%であった。ま
た、800℃における3点曲げ強度は約70MPa以上
であった。従って、かかる管(チューブ)形状の窒化珪
素支持体は、本実施例に係る水素分離モジュールを構成
する支持体として充分な機械的強度を有する。なお、か
かる支持体の嵩密度は1.77g/cmであった。ま
た、熱的強度の指標となる線膨張係数は25〜800℃
の範囲でおよそ3.4×10−6/Kであった。なお、
かかる支持体は、エタノール、トルエン及びキシレンに
対する接触角が90度未満であり、それらの透過係数は
室温条件下で1×10-11kg/m・s・Paを上回っ
た。また、かかる窒化珪素支持体はα−Siの結
晶構造を有しており、組織は熱的に安定である。しか
も、孔径分布(孔径の変動幅)がたいへん狭く、ガス分
離用途の多孔質無機材料(例えば水素分離モジュール)
を構築するための多孔質支持体として好適である。
【0036】次に、得られた窒化珪素支持体を60〜1
20℃に加熱した液状充填材(パラフィン:120P
(JIS K−2235)♯48−50)中に浸漬し、
当該支持体の細孔内部に充填材たるパラフィンを充填し
た。充填後、当該支持体を液状充填材中から引き上げ
た。その後、支持体を室温まで冷却することによって細
孔中のパラフィンを固化した。この処理(即ち上記(a).
処理)によって、上記図2に示すように、支持体全体の
細孔をパラフィンで埋める(塞ぐ)ことができた。
【0037】次に、上記得られた管状窒化珪素支持体の
外壁側表面部(即ちチューブ円柱面の外周面)に水素分
離膜としてポリシラザン膜を製膜した。すなわち、ポリ
シラザン粉末をトルエンに溶解し(超音波攪拌処理)、
固形分濃度が10wt%であるポリシラザン溶液(コーテ
ィング液)を調製した。次いで、上記窒化珪素支持体を
ディップコーティング法に基づきコーティング液に浸漬
した。なお、この浸漬処理の際には窒化珪素支持体の外
周面にのみコーティング液が塗布(付着)されるよう
に、当該窒化珪素支持体の端部を合成樹脂フィルムでラ
ップした。浸漬後、一定の速度で窒化珪素支持体をコー
ティング液から引き上げ、窒素雰囲気中、室温で乾燥し
た。その後、上記浸漬によってポリシラザン被膜が支持
体の表面部(ここでは外周面)に形成されている窒化珪
素支持体を抵抗加熱式真空・加圧焼結炉(ガス流通型)
に入れ、大気圧・窒素雰囲気中、800℃で熱処理を行
った。この熱処理によって、窒化珪素支持体の外周面に
ポリシラザン膜が形成された。また、この熱処理の過程
において細孔内の充填材は気化し、細孔内から除去され
ていた。このことは、以下の表1に示す多孔質支持体の
重量変化からも明らかである。すなわち、上記充填材充
填後に測定した重量及びコーティング液塗布・乾燥後に
測定した重量は支持体形成時の測定重量(初期重量)よ
りも著しく増大したのであるが、上記熱処理後の重量は
ほぼ初期重量まで減少していた。かかる一連の処理によ
って、上述の図4に示すような膜と支持体との境界面を
有する、窒化珪素支持体の外周面にポリシラザン膜が形
成されて成る管状多孔質無機材料(管状水素分離モジュ
ール)を得た。
【0038】
【表1】
【0039】<実施例2:ポリシラザン膜を有する管状
多孔質無機材料の製造>上記実施例1と同様にして、窒
化珪素支持体を作成し、同様の充填材充填処理を施し
た。次いで、本実施例では充填材の部分的除去処理を行
った。すなわち、固化した充填材が細孔内に充填されて
いる支持体をアセトン中に15秒浸漬し(1日間でもよ
い)、支持体の表層部付近に保持されていたパラフィン
を溶解・除去した。その後、実施例1と同様の材料・条
件によって製膜処理を行った。かかる一連の処理によっ
て、管状窒化珪素支持体の外壁側表面部(即ち充填材が
除去された表層部)に水素分離膜としてのポリシラザン
膜が形成され、且つ、細孔内に充填していたパラフィン
が気化・除去された。而して、上述の図7に示すような
部位に膜と支持体との境界面が形成された管状多孔質無
機材料(管状水素分離モジュール)を得た。
【0040】次に、得られた管状多孔質無機材料におけ
る膜形成状態を電子顕微鏡(SEM)で検鏡した。その
結果を図8及び図9に示す。なお、図8は支持体表面部
に形成された膜の表面を示す平面図に相当する電顕写真
(×2500倍)である。また、図9は支持体表面部と
膜を示す断面図に相当する電顕写真(×5000倍)で
ある。これら電顕(SEM)写真から、本実施例に係る
多孔質無機材料では、窒化珪素支持体とポリシラザン膜
との境界面がほぼ平坦に形成されていた(図9参照)。
また、上述の図7に模式的に示したような、顕著な欠陥
の認められないほぼ一定の膜厚(概ね1〜2μm)の均
質且つ緻密な膜が支持体表面部の広い範囲に亘って形成
されていることが確認された。また、セラミック膜の一
部は支持体表層部の細孔内に形成されていることも確認
された。従って、本実施例に係る多孔質無機材料では、
当該膜と支持体との高密着性及び膜強度が実現されてい
ることが示唆される。
【0041】<実施例3:ポリシラザン膜を有する管状
多孔質無機材料の製造>充填材としてパラフィンの代わ
りにPEG(平均分子量:5000)を使用した以外
は、上記実施例2と同様の処理を行って、管状窒化珪素
支持体の外壁側表面部(即ち充填材が除去された表層
部)にポリシラザン膜が形成されて成る管状多孔質無機
材料(管状水素分離モジュール)を得た。
【0042】<実施例4:ポリシラザン膜を有する管状
多孔質無機材料の製造>上記実施例1と同様にして、窒
化珪素支持体を作成し、同様の充填材充填処理を施し
た。次に、実施例2と同様に、充填材の部分除去処理を
行った。その後、実施例2と同様に、コーティング液の
塗布及び乾燥処理を行った。次に、乾燥後の支持体を真
空排気中で190℃に保持し、支持体細孔内の充填材を
完全に除去した。その後、実施例1〜3と同様の熱処理
を行って、管状窒化珪素支持体の外壁側表面部(即ち充
填材が除去された表層部)にポリシラザン膜が形成され
て成る管状多孔質無機材料(管状水素分離モジュール)
を得た。
【0043】<比較例1:ポリシラザン膜を有する管状
多孔質無機材料の製造>上記実施例1と同様にして、窒
化珪素支持体を作成した。その後、充填材充填処理を行
うことなく(即ち充填材を使用しない。)、実施例1と
同様の材料・条件によって製膜処理を行った。かかる一
連の処理によって、ポリシラザン膜の形成された管状多
孔質無機材料を得た。
【0044】次に、本比較例で得られた管状多孔質無機
材料における膜形成状態を電子顕微鏡(SEM)で検鏡
した。その結果を図10及び図11に示す。なお、図1
0は支持体表面部を示す平面図に相当する電顕写真(×
5000倍)である。また、図11は支持体表面部の断
面図に相当する電顕写真(×5000倍)である。これ
ら電顕(SEM)写真から明らかなように、、本比較例
に係る多孔質無機材料では、窒化珪素支持体とポリシラ
ザン膜との境界面は明瞭に認められない(図11参照)
一方、支持体表面は凹凸形状であった。すなわち、充填
材充填処理を施さなかった本比較例に係る多孔質無機材
料では、膜形成用材料(即ちポリシラザン溶液)が支持
体の細孔内に深く滲入してしまい、結果、支持体表面部
に均質な膜が形成されていないことを示している。
【0045】<実施例5:シリカ膜を有する管状多孔質
無機材料の製造>3000重量部のアルミナ粉末(50
%粒子径:約3μm)に100重量部の有機バインダー
を添加して混合した。この混合物に60重量部のワック
スエマルジョンと60重量部のポリエーテル系合成油
(潤滑剤)と420重量部のイオン交換水を添加して混
練し、押出し成形用坏土を得た。その坏土を押出成形機
により押出し成形した後、マイクロ波で乾燥し、空気雰
囲気で熱処理して、多孔質アルミナの管状体を得た。
【0046】次いで、得られた多孔質アルミナ管状体の
表面を緻密化した。すなわち、1200重量部の高純度
α−アルミナ粒子(平均粒子径:約0.2μm)に82
5重量部の蒸留水を加え、攪拌・混合しながら硝酸を添
加してpH調整した。そして、超音波ホモジナイザーに
よる撹拌後、ボールミルで混合した。その混合物に、1
40重量部の有機バインダーに660重量部の蒸留水を
加えて加熱スターラーで攪拌・混合した溶液と、72重
量部の可塑剤とを添加した。その後、当該調製したスラ
リーに約1.4規定の硝酸を添加してpH調整し、ボー
ルミルで混合して製膜用スラリーを得た。次に、その製
膜用スラリーを真空脱泡(泡抜き)した。その後、かか
るスラリー中に、予め外表面研磨した上記多孔質アルミ
ナ管状体を30秒間浸漬した。これにより、外表面に緻
密層を形成した多孔質アルミナ管状体を、次いで、室温
大気中で乾燥し、空気雰囲気で焼成(1030℃)し
た。これによって、α−アルミナ層が外表面に形成され
た管形状の多孔質アルミナ管状体(以下「アルミナ支持
体」という。)を得た。なお、一般的な細孔分布測定法
(ここでは水銀圧入法)によると、本実施例に係るアル
ミナ支持体の平均孔径は約0.1μmであり、孔隙率は
約40%であった。なお、かかるアルミナ支持体は、
水、エタノール、トルエン及びキシレンに対する接触角
が90度未満であり、それらの透過係数は室温条件下で
1×10-11kg/m・s・Paを上回った。
【0047】次に、得られたアルミナ支持体に対して実
施例2と同様の充填材充填処理及び部分的除去処理を施
した。その後、得られたアルミナ支持体の外壁側表面部
(即ち充填材が除去された表層部)に水素分離膜として
シリカ膜を製膜した。すなわち、実施例1と同様の材料
・手順によって固形分濃度1wt%のポリシラザン溶液
(以下「希薄コーティング液」という。)を調製した。
次いで、アルミナ支持体をディップコーティング法に基
づき希薄コーティング液に浸漬した。なお、この浸漬処
理の際にはアルミナ支持体の外周面にのみ希薄コーティ
ング液が塗布(付着)されるように、当該アルミナ支持
体の端部を合成樹脂フィルムでラップした。浸漬後、一
定の速度でアルミナ支持体を希薄コーティング液から引
き上げ、室温で乾燥した。而して、本実施例では、かか
るディップコーティング処理と乾燥処理を繰返し行っ
た。その後、アルミナ支持体を抵抗加熱式真空・加圧焼
結炉(ガス流通型)に入れ、空気中、250℃で熱処理
を行った。かかる一連の処理によって、管状アルミナ支
持体の外壁側表面部(即ち充填材が除去された表層部)
にシリカ膜が形成されて成る管状多孔質無機材料(管状
水素分離モジュール)を得た。
【0048】<比較例2:シリカ膜を有する管状多孔質
無機材料の製造>上記実施例5と同様にして、アルミナ
支持体を作成した。その後、充填材充填処理を行うこと
なく(即ち充填材を使用しない。)、実施例5と同様の
材料・条件によって製膜処理を行った。かかる一連の処
理によって、シリカ膜の形成された管状多孔質無機材料
を得た。なお、上述の実施例及び比較例で製造された各
多孔質無機材料の支持体、充填材及びセラミック膜の種
類、並びに部分的除去処理の有無については、以下の表
2及び表3にまとめている。
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】<実施例6:多孔質無機材料のガス分離特
性>次に、上述の各実施例及び比較例において得られた
管状多孔質無機(セラミック)材料(以下「ガス分離
管」という。)のガス分離特性、即ち水素透過率及び窒
素透過率、並びに水素/窒素分離係数を評価した。この
評価のため、先ず、図12に示すような管状ガス分離モ
ジュール21を作製した。すなわち、図示されるよう
に、上記実施例又は比較例で得たガス分離管30の開放
両端部にステンレス製ジョイント管25,26を取り付
けるとともに、かかるガス分離管30を密閉可能なケー
シング22内に配置した。このとき、図12に示すよう
に、ジョイント管25,26の開口先端部はケーシング
22の外部に露出した状態とした。さらに、ガス分離管
30の外周面における多孔質セラミック膜31(即ちポ
リシラザン膜又はシリカ膜)の端の部分(即ちジョイン
ト管取付部分の近傍)には、高温シール材を挿入してメ
カニカルシールした。また、ケーシング22には、別
途、ガス供給管23と、ガス排出管24とが設けられて
いる。また、図示していないが、ケーシング22の周囲
にはヒーターおよびウォータージャケット(断熱材)が
設けられており、ケーシング22内部のガス分離管30
の温度を室温〜1000℃の範囲でコントロールするこ
とができる。
【0052】而して、一方のジョイント管25(以下
「スウィープガス供給管25」という。)は、外部ガス
供給源に接続しており、スウィープガス(He等)をガ
ス分離管30の管内部33に供給することができる。他
方、ガス排出側のジョイント管26(以下「透過ガス排
出管26」という。)と接続するガス排出側流路には図
示しないガスクロマトグラフが装備されており、そこを
流れるガス濃度を測定し、その測定データをコンピュー
タシステムによって自動バッチ処理で解析することがで
きる。また、ケーシング22のガス供給管23は外部ガ
ス又は水蒸気等の供給源に接続しており、当該ガス供給
管23を介してケーシング内部空間27に水素、窒素、
ヘリウム、アルゴン等の測定用ガスや水蒸気を供給する
ことができる。なお、ケーシング内部空間27のガスは
ガス排出管24から外部に排出される。
【0053】而して、かかる系において、測定用ガス供
給側圧力(即ちケーシング内部空間27に供給されるガ
ス圧)とスウィープガス供給側圧力(即ちガス分離管3
0の管内部36に供給されるガス圧)との間に差圧を設
けることによって、ガス供給管23からケーシング22
内部に導入された測定用ガスの一部は、ガス分離管30
の表層に相当する多孔質セラミック膜31の細孔、さら
には上記窒化珪素又はアルミナから成るセラミック多孔
質支持体32を通過して、ガス分離管30の管内部33
側に透過されることとなる。
【0054】本実施例では、上記のように構築した測定
系(ガス分離モジュール21)を用いて、計7種のガス
分離管(表2及び3の実施例1〜5、比較例1〜2)の
水素透過率、窒素透過率および水素/窒素分離係数を評
価した。すなわち、ヒーターを作動させて所定の温度
(実施例1〜4と比較例1は800℃、実施例5と比較
例2は600℃)に調節した後、上記差圧を生じさせた
状態で測定用ガスおよびスウィープガスをそれぞれケー
シング内部空間27およびガス分離管内部33に供給し
た。而して、図示しないセッケン膜流量計によって透過
側(即ち透過ガス排出管26と接続するガス排出側流
路)の流速を測定しつつ、TCD検出器を備えたガスク
ロマトグラフによってガス組成を分析した。なお、水素
および窒素それぞれのガス透過率は次の式「Q=A/
((Pr−Pp)・S・t)」から算出した。ここでQ
はガス透過率(モル/m2・s・Pa)、Aは透過量(mo
l)、Prは供給側即ちケーシング内部空間側の圧力
(Pa)、Ppは透過側即ち積層体管内部側の圧力(P
a)、Sは断面積(m)、tは時間(秒:s)を表
す。また、水素/窒素分離係数は、水素透過率と窒素透
過率との比率すなわち式「α=Q /QN2」から算
出した。ここでαは水素/窒素分離係数(透過率比)、
は水素透過率、QN2は窒素透過率を表す。
【0055】測定した水素透過率、窒素透過率および水
素/窒素分離係数を対象ガス分離管毎に表2及び表3の
所定の欄に示す。これら表から明らかなように、各実施
例で得られたガス分離管はいずれも150×10-8を上
回る水素透過率を示す一方、窒素透過率はいずれも低か
った。そして、各実施例に係るガス分離管の水素/窒素
分離係数はいずれも3.0以上であった。このことは、
各実施例に係るガス分離管に形成された多孔質セラミッ
ク膜の孔径の大部分はクヌッセン拡散域(孔径約10n
m以下)に分布していること、典型的にはより小さい分
子篩い可能領域(2nm以下)に分布していること、換
言すれば当該セラミック膜の孔径分布のピーク値が10
nm以下(典型的には2nm以下)であることを示して
いる。他方、各比較例に係るガス分離管はいずれも10
0×10-8を下回る水素透過率であり、水素/窒素分離
係数も3.0未満であった。以上の結果は、各実施例に
係る多孔質セラミック材料(ガス分離管)が600℃或
いは800℃を越える高温条件下にも拘わらず、安定し
た水素ガス分離特性を有することを裏付けるものであ
る。
【0056】
【発明の効果】 以上の実施例からも明らかなように、
本発明によると、全体にほぼ均質であり顕著な欠陥の認
められない緻密な多孔質セラミック膜を無機系多孔質支
持体の表面部に有する多孔質無機材料が提供される。本
発明によって提供される多孔質無機材料では、全体に均
質な膜が形成されており物理的及び/又は化学的特性が
膜の部分間で顕著に変動することがない。このため、膜
分離に係る高信頼性及び高性能が実現されており、膜の
孔径に応じてガス分離等の分子篩いや種々のメンブレン
リアクターの材料として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 無機系多孔質支持体の形状を模式的に示す断
面図である。
【図2】 無機系多孔質支持体の細孔内に充填材が充填
された状態を模式的に示す断面図である。
【図3】 細孔内に充填材が充填された無機系多孔質支
持体の表面部に膜形成用材料が塗布された状態を模式的
に示す断面図である。
【図4】 本発明の多孔質無機材料の一態様を模式的に
示す断面図である。
【図5】 充填材の部分除去処理が施された後の無機系
多孔質支持体の状態を模式的に示す断面図である。
【図6】 充填材の部分除去処理が施された後の無機系
多孔質支持体の表面部に膜形成用材料が塗布された状態
を模式的に示す断面図である。
【図7】 本発明の多孔質無機材料の一態様を模式的に
示す断面図である。
【図8】 一実施例に係る多孔質無機材料の表面形状を
示す電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図9】 一実施例に係る多孔質無機材料の断面形状を
示す電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図10】 一比較例に係る多孔質無機材料の表面形状
を示す電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図11】 一比較例に係る多孔質無機材料の断面形状
を示す電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図12】 一実施例に係る多孔質無機材料を用いて構
築した管状ガス分離モジュールの構造を模式的に示す断
面図である。
【符号の説明】
1,11 多孔質無機材料 2 多孔質支持体 3 セラミック膜 4 細孔 10 充填材 21 管状ガス分離モジュール 30 ガス分離管(管状多孔質無機材料) 31 膜 32 支持体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 間瀬 茂和 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 長屋 重夫 愛知県名古屋市緑区大高町字北関山20番地 の1 中部電力株式会社電力技術研究所内 (72)発明者 古村 清司 愛知県名古屋市緑区大高町字北関山20番地 の1 中部電力株式会社電力技術研究所内 Fターム(参考) 4D006 GA42 MA02 MA22 MA31 MC03 MC03X NA12 NA62 NA64 PA03 PB63 PB66 PC67 PC69 PC80 4G019 FA11 FA13

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の処理: (a).無機系多孔質支持体の少なくとも一部の細孔に、液
    状の充填材を充填する処理; (b).充填された充填材を固める処理; (c).その充填材が充填された部分の表面部に多孔質セラ
    ミック膜を形成する処理;および (d).その多孔質セラミック膜の形成された多孔質支持体
    から前記充填材を実質的に除去する処理;を包含する、
    無機系多孔質支持体の表面部に多孔質セラミック膜が形
    成されて成る多孔質無機材料を製造する方法。
  2. 【請求項2】 前記(c).の処理を行う前に、 前記充填材が充填された多孔質支持体の表面部から充填
    材を部分的に除去する処理が行われる、請求項1に記載
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記(c).の処理において、膜形成用材料
    を含有する液中に前記多孔質支持体を浸漬することによ
    って、該支持体の表面部への該膜形成用材料の塗布が行
    われる、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 無機系多孔質支持体の表面部に多孔質セ
    ラミック膜が形成されて成る多孔質無機材料であって、 その多孔質無機材料は、請求項1〜3のいずれかに記載
    の製造方法によって製造されており、 その多孔質セラミック膜と多孔質支持体との境界面がほ
    ぼ平坦である、多孔質無機材料。
  5. 【請求項5】 無機系多孔質支持体の表面部に多孔質セ
    ラミック膜が形成されて成る多孔質無機材料であって、 その多孔質支持体は、以下の特性: (1).水、エタノール、トルエン及びキシレンから成る群
    から選択される少なくとも一つの溶媒に対する接触角が
    90度未満である;および (2).該少なくとも一つの溶媒の透過係数が室温条件下で
    1×10-11kg/m・s・Pa以上である;のうちの
    少なくとも一方を具備するものであり、 その多孔質セラミック膜は、Si−N結合主体の繰返し
    構造を基本骨格とするものであり、 その多孔質セラミック膜と多孔質支持体との境界面がほ
    ぼ平坦である、多孔質無機材料。
  6. 【請求項6】 前記多孔質セラミック膜の孔径分布のピ
    ーク値が10nm以下である、請求項5に記載の多孔質
    無機材料。
  7. 【請求項7】 前記多孔質セラミック膜の膜厚は、ほぼ
    その全域に亘って10μm以下である、請求項5または
    6に記載の多孔質無機材料。
JP2001012013A 2001-01-19 2001-01-19 多孔質セラミック膜を有する多孔質無機材料及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3850668B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001012013A JP3850668B2 (ja) 2001-01-19 2001-01-19 多孔質セラミック膜を有する多孔質無機材料及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001012013A JP3850668B2 (ja) 2001-01-19 2001-01-19 多孔質セラミック膜を有する多孔質無機材料及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002220292A true JP2002220292A (ja) 2002-08-09
JP3850668B2 JP3850668B2 (ja) 2006-11-29

Family

ID=18879076

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001012013A Expired - Fee Related JP3850668B2 (ja) 2001-01-19 2001-01-19 多孔質セラミック膜を有する多孔質無機材料及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3850668B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003010658A (ja) * 2001-07-02 2003-01-14 Noritake Co Ltd ガス分離材及びその製造方法並びにリアクター
JP2005274559A (ja) * 2004-02-27 2005-10-06 Mikuni Corp 水素センサー及びその製造方法
JP2007069207A (ja) * 2005-08-12 2007-03-22 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 水素分離複合体及びその製造方法
WO2011062308A1 (ko) * 2009-11-18 2011-05-26 경기대학교 산학협력단 팔라듐 합금 수소 분리막의 제조방법
JP2012024656A (ja) * 2010-07-20 2012-02-09 Hitachi Zosen Corp ゼオライト分離膜の製造方法
JP2012187551A (ja) * 2011-03-14 2012-10-04 Tokyo Institute Of Technology 多孔質セラミックフィルタおよびその製造方法ならびにガス分離方法
CN108484209A (zh) * 2018-04-09 2018-09-04 四川兴凯歌建设工程有限公司 一种平板陶瓷膜及其制备工艺
WO2022068109A1 (zh) * 2020-09-29 2022-04-07 三达膜科技(厦门)有限公司 一种高通量抗污染陶瓷过滤膜及其制备方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003010658A (ja) * 2001-07-02 2003-01-14 Noritake Co Ltd ガス分離材及びその製造方法並びにリアクター
JP2005274559A (ja) * 2004-02-27 2005-10-06 Mikuni Corp 水素センサー及びその製造方法
JP4659481B2 (ja) * 2004-02-27 2011-03-30 株式会社ミクニ 水素センサー及びその製造方法
JP2007069207A (ja) * 2005-08-12 2007-03-22 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 水素分離複合体及びその製造方法
WO2011062308A1 (ko) * 2009-11-18 2011-05-26 경기대학교 산학협력단 팔라듐 합금 수소 분리막의 제조방법
JP2012024656A (ja) * 2010-07-20 2012-02-09 Hitachi Zosen Corp ゼオライト分離膜の製造方法
JP2012187551A (ja) * 2011-03-14 2012-10-04 Tokyo Institute Of Technology 多孔質セラミックフィルタおよびその製造方法ならびにガス分離方法
CN108484209A (zh) * 2018-04-09 2018-09-04 四川兴凯歌建设工程有限公司 一种平板陶瓷膜及其制备工艺
CN108484209B (zh) * 2018-04-09 2020-11-03 四川兴凯歌建设工程有限公司 一种平板陶瓷膜及其制备工艺
WO2022068109A1 (zh) * 2020-09-29 2022-04-07 三达膜科技(厦门)有限公司 一种高通量抗污染陶瓷过滤膜及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3850668B2 (ja) 2006-11-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7109137B2 (en) Methods for making microporous ceramic materials
Smaihi et al. Organic-inorganic gas separation membranes: preparation and characterization
EP0571508B1 (en) Catalyst or membrane precursor systems, catalyst or membrane systems, and method of preparing such systems
EP0889862B1 (en) Pyrolysis of ceramic precursors to nanoporous ceramics
US20070138083A1 (en) Separation membrane
JPH10502573A (ja) 界面オゾンアシスト方式化学蒸着を利用した膜の修正および気孔寸法の削減
JP3971546B2 (ja) 多孔質セラミック積層体及びその製造方法
JP2002128512A (ja) セラミック材、セラミック膜およびその利用
JP2002220292A (ja) 多孔質セラミック膜を有する多孔質無機材料及びその製造方法
KR101401084B1 (ko) 콜로이드 입자 안정화 세라믹 폼을 코팅한 세라믹 소재 및 이의 제조방법
Naito et al. Process conditions on the preparation of supported microporous SiO2 membranes by sol-gel modification techniques
JP2002187706A (ja) 高温対応型膜型改質器
JPH08104580A (ja) ミクロ細孔セラミックの製造方法
JP4129975B2 (ja) 多孔質セラミック材及びその製造方法
JP2007261882A (ja) メソポーラス炭化珪素膜及びその製造方法
JP4823442B2 (ja) ガス分離材及びその製造方法並びにリアクター
JP4471556B2 (ja) 多孔質セラミック材及びその製造方法
JP4693267B2 (ja) ガス分離フィルタ用無機多孔質体およびガス分離フィルタ並びにその製造方法
Scheffler Processing of Ceramics from Polysil (sesquioxane)‐Type Precursors: Coatings, Tapes, Tailored Surfaces, and Porosity Control
JP4384540B2 (ja) 水素分離材及びその製造方法
JPH1157432A (ja) 水素分離材料
JP2001212401A (ja) 液体分離フィルタおよびそれを用いた液体分離方法
JP2005060126A (ja) 多孔質セラミック材の製造方法
JPH10218690A (ja) シリカ質多孔質膜の製造方法
JP4020388B2 (ja) 多孔質セラミック材及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20050707

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20050714

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20050804

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20050804

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050825

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20050804

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050901

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051011

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060209

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060406

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060511

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060608

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060706

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20060728

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060824

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060830

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090908

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100908

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110908

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110908

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120908

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120908

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130908

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees