JP4823442B2 - ガス分離材及びその製造方法並びにリアクター - Google Patents

ガス分離材及びその製造方法並びにリアクター Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス分離可能なセラミック膜を備えたガス分離材及びその製造方法に関する。さらに、当該ガス分離材をモジュールとして備えるリアクターに関する。特に、原料ガスを改質して水素を生成するリアクター及び当該リアクターに備えられる水素分離モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
導入された原料ガスに種々の反応を引き起こさせて目的のガスを生成するリアクター(反応器)が広く利用されている。例えば、メタンやメタノール等の原料ガスを改質(水蒸気改質反応等)することによって水素ガスを生成するリフォーマー即ち改質器がある。
【0003】
ところで、リアクターのなかには、ガス反応効率を向上させるために、所望するガス種を選択的に透過させる膜、すなわちガス選択透過性を有するガス分離膜を備えたものがある。例えば、水蒸気改質反応等によってメタン等の炭化水素類から水素を生成する改質器において、水素生成反応効率(即ち転化率)を向上させるために水素選択透過性(水素ガスを透過させ易く他のガス種は比較的透過させ難い性質をいう。以下同じ。)を有する水素分離膜を備えたものがある。例えば、特開平3−217227号公報、特開平5−194281号公報、特開平10−259002号公報には、水素分離膜を備えた改質器が開示されている。
【0004】
この種のガス分離膜を備えたリアクターの内部には、外部から導入した原料ガスに所定のガス生成反応を起こさせる反応部とその反応部に隣接するガス通路とが設けられている。そして、その反応部とガス通路との境界には当該反応部側からガス通路側に生成ガスを選択的に透過させるガス分離膜が設けられている。かかる構成のリアクターでは、反応部(例えば改質器における水素生成部)側で生成したガス(例えば水素)をガス通路側に分離除去することが可能となる。その結果、当該反応部において行われるガス生成反応において反応物質(例えば水素生成反応)が生成する方に平衡がシフトし、原料ガスから水素への転化率を向上させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した公報に記載されるようなガス分離膜を備えた従来のリアクターは、所定のガス生成反応効率の向上に関して一定の成果をあげてはいるものの、さらなる改善の余地を残している。すなわち、上記公報に記載されているような従来のリアクター(改質器等)では、ガス分離膜自体の巨視的及び微視的性質に関する改良・工夫がいまだ不十分であり、ガス生成効率向上のためにはガス分離膜のさらなる高機能化や至適化が求められている。
【0006】
本発明は、かかる要望に応えるべく創出されたものであり、その目的とするところは、リアクター内で行われるガス生成反応(改質反応等)の平衡状態を反応物質の生成が進む方向にシフトさせて従来よりも反応効率の向上を実現し得るガス分離膜及び当該ガス分離膜を備えたガス分離材を提供することである。また、そのようなガス分離膜及びガス分離材の製造方法を提供することである。さらに、そのようなガス分離材をガス分離モジュールとして組み込んだ改質器その他のリアクターを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によって提供されるガス分離材は、多孔質支持体と、その表面部に形成されたセラミック膜とを主体とするガス分離材である。そのセラミック膜(ガス分離膜)には、ガス透過率及びガス選択透過性が相互に異なる少なくとも二つの部分がある。そして、当該少なくとも二つの部分は、多孔質支持体表面部上で分離対象とする原料ガスの流動方向に沿ってそれらの部分毎に順次ガス透過率が低下し且つガス選択透過性が高まるようにして、その方向に配列(典型的には連続的配列であるが、配列する部分間に所定の間隔を有する場合でもよい。)されていることを特徴とする。
なお、ここで「部分」とは、セラミック膜をいくつかの領域に区分けした場合の巨視的な一領域をいい、微視的サイズの一スポットをいうものではない。従って、ある「部分」についてのガス透過率及びガス選択透過性とは、その部分全体に関しての平均的ガス透過率及びガス選択透過性を指すものであり、その部分内における特定の微視的一スポットについてのガス透過率及びガス選択透過性を指すものではない。
また、本明細書において「ガス透過率」とは、セラミック膜を挟んでガス供給側とガス透過側との分圧差が1Paであるときの単位時間(1秒)及び単位膜表面積(1m2)当りのガス透過量(モル/m2・s・Pa)をいう(後記の「実施例」の欄参照)。また、本明細書において「ガス選択透過性」とは、所定のガス種を透過し易く当該ガス種以外のものは相対的に透過し難い性質をいう。従って、水素選択透過性というときは、水素ガスを透過し易く、水素以外のもの(例えば窒素ガス)は相対的に透過し難い性質をいう。
【0008】
かかる構成の本発明のガス分離材では、多孔質支持体上に形成されているセラミック膜のガス透過率及びガス選択透過性が膜全体で一定ではなく、上記ガス流動方向(例えば多孔質支持体が長板状又は長管状の場合、典型的にはその長軸方向)に沿って段階的にガス透過率が低下し且つガス選択透過性が増大していく。なお、このことを逆方向からみると段階的にガス透過率が増大し且つガス選択透過性が低下していくこととなる。
かかる構成のガス分離材をガス分離モジュールとしてリアクター内に配置した際には、ガス選択透過性よりも分離対象とするガスの透過量自体を重視するのが望ましい箇所(即ち量的なガス分離が好ましい箇所)と、それとは反対にガス透過量よりもガス選択透過性を重視するのが望ましい箇所(即ち質的・選択的なガス分離が好ましい箇所)との両方に対応させることができる。このことを以下に詳述する。
【0009】
リアクター内の反応部(導入された原料ガスから目的のガスを生成するための反応が行われる場所をいう。以下同じ。)では、当該反応部に導入される原料ガスの流動する方向に沿って、例えば原料ガスの導入口に近い部分(上流部)のように、原料ガスがリッチに存在する領域であって生成ガス即ち分離対象とするガスは相対的に低濃度で存在する領域(以下「原料ガス高濃度領域」という。)と、その領域よりも原料ガスの流動方向で下流側に位置する領域であってガス生成反応による消費で原料ガスが比較的少なくなって逆に生成ガスが比較的高濃度で存在する領域(以下「原料ガス低濃度領域」という。)とが存在する。
而して、ガス生成反応の平衡状態を生成反応が進む方にシフトさせて当該反応をより効果的に促進するためには、原料ガス高濃度領域においては、比較的高いガス透過率のガス分離膜を使用して単位時間当り量的により多くの生成ガスを分離することが好ましい。すなわち、かかる原料ガス高濃度領域は、上述した量的なガス分離が好ましい箇所である。一方、原料ガス低濃度領域においては、比較的ガス選択透過性の高いガス分離膜を使用して選択的に生成ガスを分離することが好ましい。すなわち、原料ガス高濃度領域と比較して原料ガス低濃度領域は、量的なガス分離よりも質的・選択的なガス分離が好ましい箇所である。
【0010】
従って、本発明のガス分離材をリアクター内に配置する際、上記少なくとも二つの部分のうちの相対的にガス透過率が高くガス選択透過性が低い部分(以下、当該少なくとも二つの部分のうちの相対的な関係において「高ガス透過性部分」という。)を原料ガス高濃度領域に配置し、且つ、上記少なくとも二つの部分のうちの相対的にガス透過率が低くガス選択透過性が高い部分(以下、当該少なくとも二つの部分のうちの相対的な関係において「高ガス選択性部分」という。)を原料ガス低濃度領域に配置することによって、それら領域ごとにガス生成反応を効率よく促進することが可能である。
そして、本発明のガス分離材は、多孔質支持体表面部上で所定の方向に沿って順次ガス透過率が減少し且つガス選択透過性が高まっていくように配列・形成されている。このため、かかる所定の方向とリアクター内の反応部に導入される原料ガスの流動方向とを一致させることによって、当該反応部における原料ガス(生成ガス)の濃度差に応じて上記領域別にガス生成反応の平衡をガス生成反応がすすむ方向に効果的にシフトすることができる。すなわち、反応系全体で効率よくガス生成反応を促進することができる。
【0011】
本発明のガス分離材として好ましい一つのものでは、上記少なくとも二つの部分は、上記ガス流動方向に沿って部分毎に順次水素透過率が低下し且つ水素/窒素透過係数比が高まるように形成されている。なお、本明細書において「水素/窒素透過係数比」とは、同条件下における水素透過率と窒素透過率との比率、即ち同条件下での水素ガス透過量の窒素ガス透過量に対する比(モル比)をいう。
本構成のガス分離材を水素分離モジュールとして種々の原料ガスから水素生成を目的とするリアクター(改質器)に用いると、リアクター内の反応部における水素生成反応の平衡を、原料ガス(生成ガス)の濃度差に応じて反応部内の領域別に当該水素生成反応がすすむ方向に効果的にシフトすることができる。このため、反応部全体からみて水素生成反応を効率よく促進することができる。
【0012】
また、本発明のガス分離材として好ましい他の一つのものでは、上記セラミック膜はSi−N結合主体の繰返し構造を基本骨格とするセラミック焼成体により構成されている。
Si−N結合主体の繰返し構造(即ちシラザン骨格)を基本骨格とする焼成膜(以下「ポリシラザン膜」という。)は、従来のシリカ質の膜(即ちSi−O結合主体の繰返し構造から成るシロキサン骨格を基本骨格とするセラミック膜)とは異なり、350℃を越えるような高温条件下においても微細孔構造を安定に保つことができる。このため、本構成のガス分離材は、かかる高温(典型的には600〜800℃或いはそれ以上)又は水蒸気雰囲気の条件下で所望するガス透過率及びガス選択透過性を維持しつつ高精度のガス分離を実現することができる。
【0013】
また、本発明のガス分離材として好ましい他の一つのものは、上記多孔質支持体が管状に形成されており、上記セラミック膜が当該管状支持体の外壁面及び/又は内壁面に形成されており、ここで上記少なくとも二つの部分は、その管状支持体の長軸方向に沿って配列されている。
このような管形状のガス分離材は、その長軸方向の一方の末端側から他方の末端側に原料ガスが流れるような管状(筒状)の反応部を備えたリアクター内で使用するガス分離モジュールとして好適である。
【0014】
また、本発明は、上述したガス分離材をガス分離モジュールとして備えた改質器その他のリアクターを提供する。
すなわち、本発明によって提供されるリアクターは、外部から導入された原料ガスから所定のガスを生成するリアクターであって、その内部には、導入された原料ガスを利用して所定のガスを生成する反応部と、その反応部に隣接するガス通路とが設けられている。その反応部とガス通路の境界には、反応部側からガス通路側へ所定のガスを選択的に透過させるためのガス分離モジュールが備えられている。そのガス分離モジュールは、多孔質支持体とその表面部に形成されたセラミック膜とを主体として構成されている。そのセラミック膜には、ガス透過率及びガス選択透過性が相互に異なる少なくとも二つの部分があり、それら部分は多孔質支持体表面部上で原料ガスの流動方向に沿って部分毎に順次ガス透過率が低下し且つガス選択透過性が高まるようにその方向に沿って配列されている。そして、上記ガス分離モジュールは、反応部内における原料ガスの流動方向に沿ってその上流側から下流側へ順次ガス透過率が低下し且つガス選択透過性が高まるように、上記配列方向と原料ガスの流動方向とを適合させた状態で配置されている。
【0015】
かかる構成の本発明のリアクターでは、上記少なくとも二つの部分のうちの高ガス透過性部分が原料ガス高濃度領域に配置され、且つ、上記少なくとも二つの部分のうちの高ガス選択性部分が原料ガス低濃度領域に配置されている。このため、原料ガスの濃度差に応じて上記領域別にガス生成反応の平衡をガス生成反応がすすむ方向に効果的にシフトすることができる。従って、反応部全体でガス生成反応を効率よく促進することができる。
【0016】
また、本発明のリアクターとして好ましい一つのものでは、上記セラミック膜が反応部側からガス通路側へ水素を透過させるための水素分離膜であり、上記少なくとも二つの部分は、上記ガス流動方向に沿って部分毎に順次水素透過率が低下し且つ水素/窒素透過係数比が高まっていくように形成されている。
本構成のリアクター(即ち改質器)によると、反応部における水素生成反応の平衡を原料ガスの濃度差に応じて領域別に水素生成反応がすすむ方向に効果的にシフトすることができる。このため、反応部全体からみて水素生成反応を効率よく促進することができる。
【0017】
また、本発明のリアクターとして好ましい他の一つのものは、上記セラミック膜がSi−N結合主体の繰返し構造を基本骨格とするセラミック焼成体により構成されている。
本構成のリアクターは、ポリシラザン骨格を基本骨格とするガス分離膜を備えた結果、高温条件下(典型的には600〜800℃或いはそれ以上)及び/又は水蒸気雰囲気条件下においても所望するガス透過率及びガス選択透過性を安定的に維持することができる。このため、かかる高温過酷条件下であっても反応部内のガス生成反応の平衡を原料ガスの濃度差に応じて領域別にガス生成反応がすすむ方向に効果的にシフトすることができる。従って、本構成のリアクター(改質器等)によると、高温条件下で高い転化率を実現しつつ高効率にガス生成(例えば水素の生成)を行うことができる。
【0018】
また、本発明のリアクターとして好ましい他の一つのものは、上記ガス分離モジュールが管状に形成された多孔質支持体を主体として構成されており、上記セラミック膜は当該管状多孔質支持体の外壁面及び/又は内壁面に形成されている。そして、上記少なくとも二つの部分は、その管状多孔質支持体の長軸方向に沿って配列されている。ここで上記反応部内に導入された原料ガスは管状多孔質支持体の長軸方向に沿ってその一方の末端側から他方の末端側へ流動するように構成されている。
本構成のリアクターでは、反応部において生じ得る原料ガスの濃度差に対応して、ガス分離膜の上記高ガス透過性部分および高ガス選択性部分が適切な位置に配置される。このため、本構成のリアクター(改質器等)によると、高効率にガス生成(例えば水素の生成)を行うことができる。
【0019】
また、本発明は、上述のガス分離材を製造する好適な方法を提供する。すなわち、本発明によって提供される多孔質支持体とその表面部に形成されたセラミック膜とを主体とするガス分離材の製造方法は、(a).その多孔質支持体の表面部に所定のガス透過率及びガス選択透過性を有するセラミック膜を形成する工程と、(b).その(a).工程で形成されたセラミック膜の一部分に、当該セラミック膜と実質的に同じ組成のセラミック構造を堆積させて、その部分に隣接する当該セラミック膜の他の部分よりもその部分のガス透過率を低下させ且つガス選択透過性を高める工程とを包含する。そして、当該(b).工程を上記セラミック膜の一部分或いは多孔質支持体表面部上を分離対象とする原料ガスの流動方向に沿って順次移動させつつ二以上の部分で行うことによって、当該ガス流動方向に沿ってガス透過率及びガス選択透過性が相互に異なる少なくとも二つの部分を形成する。
【0020】
かかる構成の製造方法では、多孔質支持体表面部に形成されたセラミック膜上にさらに同組成のセラミック構造を堆積することにより、その部分のセラミック膜(即ち支持体上に最初に形成された膜とその上に堆積した部分とから新たに構成された膜)のガス透過率を上記(a).工程で最初に形成されたセラミック膜よりも低下させる一方、ガス選択透過性は逆に高めることができる。典型的には、堆積させる量が多いほどガス透過率が低く且つガス選択透過性が高い膜部分を形成することができる。従って、本発明の製造方法によると、上述した本発明のガス分離材を好適に製造することができる。
【0021】
また、本発明の製造方法として好ましいものは、上記(a).工程において、Si−N結合主体の繰返し構造を基本骨格とするセラミック焼成膜を形成することを特徴とする。この製造方法によると、ポリシラザンから成るガス分離膜を有する本発明のガス分離材を製造することができる。
また、本発明の製造方法として好ましい他のものは、上記多孔質支持体として管状に形成されたものを使用し、その管状支持体の外壁面及び/又は内壁面にセラミック膜を形成し、さらに上記少なくとも二つの部分を、それらが上記管状支持体の長軸方向に沿って配列されるように形成することを特徴とする。この製造方法によると、管形状の本発明のガス分離材を製造することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。先ず、本発明のガス分離材について説明する。
上述のとおり、本発明のガス分離材は、ガス分離膜に所定の方向性(形成位置及び順序がランダムでないことをいう。)をもたせて上記少なくとも二つの部分(典型的には一つの高ガス透過性部分とそれに隣接する一つの高ガス選択性部分)が並んで形成されておればよく、ガス分離材自体の形状やガス分離膜の形成位置を特に限定するものではない。多孔質支持体の性状も特に限定されない。例えば、従来の改質器に装備されているガス分離材(モジュール)の支持体を構成する組成のものであれば、本発明の実施に際しても特に制限なく使用することができる。
本発明の実施に好ましい多孔質支持体としては、窒化珪素、炭化珪素、シリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ジルコニア、チタニア、カルシア、各種ゼオライト等の多孔質セラミック材が挙げられる。あるいは、これらセラミック材に種々の金属成分(Pd、Ni、Ti、Al、W、Nb、Ta、Co、Ru等)やそれらの合金若しくは金属酸化物成分を含有したものであってもよい。
【0023】
また、多孔質支持体の形状は特に限定されず、用途に応じて管形状、膜(薄板)形状、モノリス形状、ハニカム形状、多角形平板形状その他の立体形状であり得る。これらのうち、管形状のものがガス分離モジュール(特に水素分離モジュール)として種々のリアクターに適用し易く好適である。なお、所望する形状のセラミック系多孔質支持体は、従来行われている周知の成形技法(押出し成形、鋳込み成形、テープ成形、プレス成形等)やセラミック焼成技法を実施することによって製造することができる。かかる多孔質支持体製造・成形技法自体は何ら本発明を特徴付けるものではなく、詳細な説明は省略する。
【0024】
また、かかる多孔質支持体の孔径は、水素等のガス透過に影響を与えない限りにおいて特に限定されないが、ガス分離膜における平均孔径よりも大きな平均孔径を有するものが適当である。0.1μm〜10μm程度の細孔径分布のピーク値及び/又は平均孔径を有するものが好ましい。また、気孔率は、30〜60%が適当であり、好ましくは35〜50%である。但し、リアクターへの取付け等を考慮すれば、ある程度の物理的強度が支持体に要求される。例えば、高温域(例えば800℃)における3点曲げ強度が30MPa以上(より好ましくは60MPa以上、さらに好ましくは90MPa以上)である材質、平均孔径、空隙率を有するものが好ましい。
また、使用する多孔質支持体の孔径分布のピーク値に対するセラミック膜の孔径分布のピーク値の比率が概ね1/15以下(より好ましくは1/20以下)となるように、用いる多孔質支持体を決定することが好ましい。
【0025】
次に、上述したような多孔質支持体の表面部に形成するガス分離膜の好適例及びそれらの製造例について説明する。
本発明のガス分離材では、ガス分離用途に用い得る限り、多孔質支持体の表面部に形成される膜の材質・組成に特に制限はない。例えば、従来既知の材料・膜形成方法に基づいて、各種のゼオライト膜(X型、Y型、A型、シリカライト、モルデナイト、ZSM−5型等)、シリカ膜、α−アルミナ膜、γ−アルミナ膜等を支持体表面に形成することができる。
【0026】
ところで、ガス分離材を水素分離用途に使用する場合、ガス分離膜の水素分離性能は、上述の水素/窒素透過係数比および水素透過率を指標に判断することができる。
水素分離材(水素分離モジュール)として好ましいものは、高ガス透過性部分(典型的には反応部内の原料ガス流動方向における上流側に相当する部位に配置される部分)において、400℃(好ましくは600℃)での水素/窒素透過係数比が2.5以上10以下であり且つ同温度での水素透過率が0.1×10-6モル/m2・s・Pa以上(好ましくは0.3×10-6モル/m2・s・Pa以上)のものである。さらに、対応する高ガス選択性部分(典型的には反応部内の原料ガス流動方向からみて下流側に相当する部位に配置される部分)において、400℃(好ましくは600℃)における水素/窒素透過係数比が10以上(典型的には10〜20)であるものが好ましい。この水素/窒素透過係数比を実現しつつ水素透過率が0.1×10-7モル/m2・s・Pa以上(好ましくは0.5×10-7モル/m2・s・Pa以上、特に好ましくは0.1×10-6モル/m2・s・Pa以上)あるものがよい。
400℃又は600℃における上記要件を具備しつつ更に700℃においても、同様の水素/窒素透過係数比や水素透過率を示すものがさらに好ましい。700℃における上記要件を具備しつつ更に800℃においても、同様の水素/窒素透過係数比や水素透過率を示すものが特に好ましい。
【0027】
上記したようなレベルの水素/窒素透過係数比や水素透過率を実現し得る好適なガス分離用セラミック膜の一つとして、分子構造がSi−N結合の繰返し構造(−Si−N−Si−N−)すなわちシラザン骨格を主たる骨格とすることで特定されるポリシラザン膜が挙げられる。ポリシラザン膜は、基本骨格(主たる骨格)がシラザン骨格である限り、その他の結合や分子構造を含み得る。典型的には、Si−N結合の繰返し構造に対してSi−C結合、Si−O結合、Si−H結合等が一部付加されることによって、ポリシラザン膜全体の基本構造(三次元の網目構造)が形成されている。
なお、かかるポリシラザン膜が形成されたガス分離材を水素分離モジュールとして組み込んだ改質器を高温条件下(例えば600℃以上1100℃以下の高温域)でメタン等の原料ガスを改質(水蒸気改質反応等)して水素ガスを生成するために使用する場合、ポリシラザン膜中に存在する全珪素(Si)原子数に対するSi−N結合を形成しているSi原子数の割合は10%以上が好ましく、その割合が20%以上となるものが特に好ましい。
【0028】
また、ガス分離膜の孔径分布のピーク値(典型的には当該ピーク値は平均孔径と近似し得る)は100nm以下(例えば0.1nm〜100nm)が好ましく、孔径分布のピーク値及び/又は平均孔径が50nm以下(例えば0.1nm〜50nm)であるとなお好ましい。特に水素分離用途では、孔径分布のピーク値及び/又は平均孔径が10nm以下(例えば0.1nm〜10nm)のものが好適である。かかる孔径分布のピーク値及び/又は平均孔径のものであれば、いわゆるモレキュラーシーブまたはクヌッセン的分離が発現する。クヌッセン的分離とはガス分子の透過速度の差を利用した分離または濃縮をいい、細孔(典型的には孔径約10nm以下)内においてはガス分子相互の衝突よりも孔壁との衝突が支配的になるという性質に基づくものである。さらに上記孔径分布のピーク値及び/又は平均孔径が0.1〜5nm或いは1nm以下のものが、水素のような比較的小さいサイズ(動的分子直径約0.29nm)の無極性分子を混合ガスから選択的に分離するのに特に効果的である。而して、本発明のガス分離材では、高ガス透過性部分の孔径分布のピーク値及び平均孔径が、その部分よりも高ガス選択性である部分の孔径分布のピーク値及び平均孔径より相対的に大きいことが望ましい。
なお、特に限定するものではないが、ガス分離膜の膜厚は10μm以下が適当であり、1μm以下の膜厚が好ましく、0.1μm以下の膜厚が更に好ましい。特に、かかる膜厚のポリシラザン膜によると、高温条件下においても比較的高い水素分離能(水素選択性)を保持しつつ、効率よく水素分離処理を行うことができる。
【0029】
次に、多孔質支持体の表面部に所定のガス透過率及びガス選択透過性を有するセラミック膜(ガス分離膜)を形成する方法の好適例について説明する。
本発明の実施にあたっては、従来広く利用されている一般的な膜形成方法に基づいてアルミナ等のセラミック多孔質支持体の表面部にセラミック膜を形成すればよく、膜形成方法自体を制限する必要はない。そのような一般的な膜形成方法として、ゾル−ゲル法、熱分解法、水熱合成法、気相合成法等が挙げられる。典型的には、セラミック膜形成用ゾルを多孔質支持体表面部に塗布し、それを適当な温度条件と雰囲気下で焼成することによって所望するガス透過率及びガス選択透過性を実現する多孔質のセラミック製ガス分離膜を形成することができる。
以下、本発明によって提供されるポリシラザン膜を多孔質支持体表面部に形成する場合の一好適例を説明する。
【0030】
上述のとおり、ポリシラザン膜はSi−N結合の繰返し構造を基本骨格とするものであるから、当該Si−N結合を基本構造とする珪素化合物から製造することができる。かかる好適な珪素化合物として、以下の一般式(1)によって表されるポリシラザンが挙げられる。典型的には式(1)のR,R,Rは、それぞれ、水素または炭素数が1〜10である脂肪族系若しくは芳香族系の炭化水素基である。
【0031】
【化1】
Figure 0004823442
【0032】
而して、かかるポリシラザンは、例えば、以下のように調製することができる。すなわち、ジハロシラン(RSiHX)或いは当該ジハロシランと他のジハロシラン(RSiX)との混合物をアンモニアと反応させることによってシラザンオリゴマーを得る。次いで、塩基性触媒の存在下で当該シラザンオリゴマーの脱水素反応を起こさせる。これにより、珪素原子に隣接する窒素原子の脱水素が行われ、結果、シラザンオリゴマーが相互に脱水素架橋して成るポリシラザンを生成することができる。なお、この生成プロセスに使用されるジハロシランの好ましいものは、上記R、R、Rが、それぞれ、炭素数が1〜6の低級アルキル基、置換アリル基、非置換アリル基、炭素数が6〜10の非置換アリール基、トリアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基のいずれかである。或いは、Rは水素であり、RおよびRが上記列挙した官能基のいずれかである。このときR、RおよびRは全て同じ基でもよく、相互に異なる基でもよい。なお、上記ジハロシランの式中のXはハロゲン基である。
なお、使用するポリシラザンの分子量に特に制限はないが、薄膜を形成する過程における粘性制御等の観点から、重量平均分子量で1000〜20000程度のものが好ましい。
【0033】
而して、上述のようにしてシラザンオリゴマーから調製したポリシラザンまたは市販のポリシラザンを不活性雰囲気中で焼成することによって、微細孔を有する無機材料を形成することができる。概略すれば、典型的には予め所望する形状に成形された対称又は非対称構造を有する多孔質支持体(アルミナ等)の表面部にポリシラザン溶液を所望する厚さ(例えば1〜3μm)で塗布する。次いで、乾燥処理を施すことによってポリシラザンから成る薄層を形成した後、不活性(非酸化性)雰囲気中で当該薄層を支持体ごと適当な温度条件下で焼成する。このことによって、微細孔が形成されたポリシラザン膜(水素分離膜)を当該支持体表面部に形成することができる。以下、より具体的に説明する。
【0034】
上記ポリシラザン溶液の調製にあたっては、ポリシラザンを溶解するための溶媒として種々の有機溶媒を用い得る。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒が適当である。また、溶液中のポリシラザンの濃度は特に限定されないが、0.5重量%〜60重量%程度が適当であり、1重量%〜20重量%程度が好ましい。
【0035】
また、かかるポリシラザン溶液を多孔質支持体の表面部に塗布する方法としては、従来の薄膜形成プロセスにおいて用いられる各種の方法を採用することができる。例えば、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法等が挙げられる。特にディップコーティング法では、ポリシラザン溶液の多孔質支持体内部への浸透を溶液濃度、操作条件等により制御でき、さらには不活性雰囲気中でのポリシラザンの熱分解に伴うガス発生、キャピラリー圧力、焼成収縮等による微細構造の破壊を抑制するのに寄与し得る。このため、特にディップコーティング法は、欠陥の無い多孔質セラミック膜を多孔質支持体表面部に容易且つ直接的に形成するのに好適な塗布方法である。
あるいは、上記ポリシラザン溶液を多孔質支持体の表面部に塗布する他の環境として製膜環境中に若干酸素を含む場合がある。この場合には、ゲル形成をプロセス中に伴う。支持体の表面部に比較的大きな細孔が分布する場合には、その細孔内部に原料溶液が奥深く浸透してしまうことによりその後のゲル化あるいは膜化が阻害されるという不具合が考えられる。さらに、膜が厚い場合では、乾燥に伴うキャピラリー圧力により、膜に欠陥を生じ易くなる。したがって、支持体の表面部に比較的大きな細孔が分布する場合にゾル−ゲル法を採用するときには、支持体の表面部に予め別の平均細孔径が支持体より小さくなるセラミック層(以下「中間層」という。)を形成しておき、その滑らかな表面又は細孔内部にポリシラザン膜を積層する(即ち複数回繰返して製膜する)とよい。このことによって、支持体表面上に製膜されたポリシラザン膜の薄膜化且つ無欠陥化ができる。但し、このようにして得られる膜では、Si−O結合を若干多く含むようになる。
【0036】
而して、支持体表面部にポリシラザン溶液を塗布(供給)して乾燥した後、当該ポリシラザン膜の付着している多孔質支持体を不活性(非酸化性)雰囲気中において焼成する。典型的には、実質的に酸素を含まない不活性ガス(窒素ガス等)中において、200〜1350℃、好ましくは200〜1000℃(典型的には多孔質支持体の焼成温度以下及び中間層を形成する場合は当該中間層の焼成温度以下の温度とする。)の温度条件下で1〜4時間の焼成処理を行う。
かかる不活性雰囲気中における熱処理によって、耐熱性に優れる平均孔径が0.1nm〜50nm(細孔径分布のピーク値:0.1〜5.0nm)であり、Si−N結合の繰返し構造を基本骨格とするポリシラザン膜を形成することができる。
【0037】
ところで、多孔質支持体として窒化珪素系のものを使用した場合には、当該支持体(中間層を含む場合は当該支持体と中間層の両方)の基本骨格が、その表面に形成・積層されるポリシラザン膜と同じシラザン骨格である。このため、当該ポリシラザン膜にプロセス中に欠陥が発生するのを高度に抑制することができる。さらには、かかる欠陥発生を抑制する結果、従来のセラミック製ガス分離膜(例えばシリカ系の水素分離膜)よりも広範囲(典型的には5000mm以上、好ましくは15000mm以上)に亘って薄く均質なガス分離膜を連続して形成することができる。このようなポリシラザン膜を形成したガス分離材を用いると、それを採用する改質器等のリアクターの大型化を実現することができる。なお、このこと(作用効果)は、多孔質支持体としてアルミナ系のものを使用し、当該支持体表面部にアルミナ膜を形成・積層する場合にも当てはまる。
【0038】
以上、ポリシラザン膜を多孔質支持体表面部に形成するための典型的な方法を説明した。次に、本発明の実施にあたって必須の処理ではないが、多孔質支持体表面部にほぼ均質であり顕著な欠陥の認められない緻密な多孔質セラミック膜(ポリシラザン膜等)を形成するための好適な多孔質支持体の処理方法について図面を参照しつつ説明する。
セラミック膜を支持体表面部に形成する前に、多孔質支持体内の細孔を所定の除去可能な充填材によって塞ぐ処理を行う。このことによって、当該支持体に膜形成材料(例えば上記ポリシラザン溶液)を塗布した場合であっても、当該材料が支持体内部へ過度に滲入する(即ち細孔内へ入り込む)のを防止することができる。このため、従来よりも全体的に粗密のない且つ均質で欠陥の少ないセラミック膜を形成することができる。また、材料の滲入がない結果、所望する膜厚のセラミック膜を形成することが容易である。また、膜形成後(焼成の有無を問わない)に充填材を実質的に除去することにより、多孔質支持体に所望される多孔性(気孔率)を復帰させることができる。以下、この処理方法を説明する。
【0039】
この処理に使用する充填材としては、温度条件、圧力条件等を変化させることによって液体状態と固体状態との間で可逆的に状態変化し得る物質(純物質又は混合物)が利用可能である。膜形成後に除去するためである。多孔質支持体の表面(孔内壁面)に不可逆的に吸着され難い物質が好ましい。
また、充填処理の容易さの観点から、概ね0〜200℃(好ましくは室温〜100℃)の間に融点を有する物質が充填材として好適である。このような温度範囲に融点(凝固点)を有する物質から成る充填材を使用すると、比較的低温条件で充填処理を行うことができる。かかる好適な充填材としては、融点が45〜65℃の範囲内にあるパラフィン、融点が上記温度範囲に属することとなるような分子量(重合度)のポリエチレングリコール(PEG)等の有機化合物が挙げられる。また、水(HO)等の無機化合物も充填材として好ましい。
【0040】
このような充填材を支持体の細孔内に充填するために種々の手法が考えられるが、典型的には、液体状態とした充填材中に多孔質支持体を浸漬することによって、当該支持体の細孔を充填材で充填することができる。すなわち、図1に模式的に示すように、細孔4が全体に形成された多孔質支持体2(例えば窒化珪素)を、高温状態(例えば100〜200℃)の液状充填材(例えば液状パラフィン)中に浸漬する。このことによって、いわゆる毛管現象に基づいて液状の充填材を細孔内に滲入させ、結果、図2に示すように当該細孔4内部に液状充填材10を充填することができる。
なお、かかる充填処理を短時間で高効率に実施するため、上記浸漬手段に代えて液状充填材を強制的に細孔内に滲入させてもよい。そのような強制的手段の一例として、液状充填材を高圧で多孔質支持体表面に吹き付けていき、その圧力によって多孔質支持体の細孔内部に当該充填材を滲入させていく方法が挙げられる。或いは、多孔質支持体の表面(即ち膜を形成する面)に予め液状充填材を塗布しておくとともに当該表面とは反対の面側から真空ポンプ等によって多孔質支持体の細孔内部に存在するガスを吸引する操作を行ってもよい。かかる操作によると多孔質支持体細孔内部の圧力が支持体表面部よりも著しく低下するため、その圧力差に基づいて表面部に塗布しておいた液状充填材を速やかに細孔内に滲入させる(吸い込む)ことができる。
【0041】
上述のような充填処理後、典型的には充填材たる物資の融点(凝固点)以下となる低温条件下に当該支持体をおくことによって細孔内の充填材を固まらせる処理(凝固・固化処理)を行う。これにより、細孔内に固形状充填材を保持しておくことができる。
このような処理を行った後に、上述したディップコーティング法等によって支持体2の表面に膜形成用材料3を塗布する(図3参照)。次いで、かかる支持体2を水熱合成、焼成等の処理に供することによって、当該支持体2の表面部に所望する膜厚及び平均孔径のセラミック膜3を形成することができる。このとき、使用した充填材の沸点よりも高い温度で焼成処理や水熱合成処理が行われることにより、高温に曝された充填材10が融解し延いては気化して細孔内から漏出・除去される。すなわち、図4に示されるように、支持体2が細孔(細孔4)を有する多孔体であるにも拘わらず、セラミック膜3と多孔質支持体2との境界面がほぼ平坦となり、全域に亘ってほぼ均質な多孔質セラミック膜3を有するガス分離材1を製造することができる。なお、焼成処理の前段階で、所定の溶媒(例えばトルエン)に多孔質支持体の少なくとも一部を浸漬することによって、支持体細孔内部に存在している充填材(パラフィン、PEG等)を溶出してもよい。あるいは、水のような比較的沸点が低く蒸気圧が高い物質を充填材とした場合には、多孔質支持体を比較的高温条件下に曝しておくことによって、細孔内に残留する充填材を気化・放出することができる。
【0042】
また、充填処理後であって膜形成材料を塗布する前に、図5に示すような充填材を部分的に除去する処理を行うことが好ましい。すなわち、図5に模式的に示すように、充填材10を多孔質支持体2の細孔4に充填した後(図2参照)、所定の時期に、その表面部の一部(図中のdで示す範囲)から充填材10を除去する。例えば、所定の充填材(パラフィン、PEG等)を充填した支持体2の表面部の一部を所定の溶媒(例えばトルエン)中に浸漬する。このことによって、その一部分dに存在している充填材(パラフィン、PEG等)を溶出することができる。かかる部分的除去処理を行う前に、細孔内の充填材10を予め固化しておくことが好ましい。所望する範囲dでのみ充填材を除去することを制御し易くなるからである。換言すれば、多孔質支持体の表面から内方(細孔内)への多孔質セラミック膜形成範囲を制御・決定し易くなる。かかる膜形成範囲即ち充填材を除去する範囲dの調節は、例えば、固化充填材が充填した支持体の充填材除去用溶媒(トルエン等)へ接触させる部分(典型的には支持体表面を基点としたときの溶媒に浸漬させる支持体の容積)や浸漬時間(溶媒との接触時間)を制御することによって容易に行える。
而して、かかる部分的除去処理を行った後に、当該支持体2の表面部の所定範囲(充填材が除去された部位)に膜形成材料3を塗布することができる(図6参照)。次いで、かかる支持体2を水熱合成、焼成等の処理に供する。このことによって、図7に示すように充填材10が除去され、多孔質支持体2の表面部に所望する膜厚及び平均孔径のセラミック膜(ポリシラザン膜等)3が形成されたガス分離材11を得ることができる。また、図示される形態のガス分離材11では、膜3の一部分が支持体2表面よりも幾分内部(即ち細孔内)に形成される。このため、支持体2表面上にのみ形成されたセラミック膜よりも膜と支持体との結合力が高く、結果、比較的高い物理的強度(高温条件下における剥離し難さ等)を得ることができる。
【0043】
次に、上述のようにして多孔質支持体上に形成されたガス分離膜に、所定の方向性をもたせつつガス透過率及びガス選択透過性が相互に異なる少なくとも二つの部分を形成する好適な方法について説明する。
特に制限するものではないが、かかる方法として好ましいものに、多孔質支持体上にガス分離膜を形成したのと同じ材料・手段によって当該ガス分離膜の一部にさらにセラミック構造を堆積(積層)する方法(以下「セラミック堆積処理」という。)が挙げられる。
【0044】
例えば、多孔質支持体上に形成されたガス分離膜(以下「ベース分離膜」という。)の表面の一部分に、当該ベース分離膜を形成したのと実質的に同じ組成の材料(ゾル等)を塗布、吹付、電着等の手段によって供給する。そして、ベース分離膜の形成と同様の処理(焼成等)を行ってその部分に新たな多孔質セラミック構造(膜構造)を形成(即ち上積み)するとよい。このことにより、その材料供給部分に新たなセラミック層が堆積されることとなり、その部分の膜構造も緻密化され得る。
そして、かかる膜形成材料の付与及びセラミック構造の形成処理(焼成等)を一回又は適当回数繰り返すことにより、当該処理部分におけるガス透過率をベース分離膜のみの部分よりも所望するレベルまで低下させる一方、当該部分におけるガス選択透過性はベース分離膜のみの部分よりも所望するレベルまで向上させることができる。
上述したポリシラザン製膜を例にすると、ベース分離膜として形成したポリシラザン膜の所定の部分に上記ポリシラザン溶液を上塗りし、同様に焼成する。これを適当回数繰り返すことにより、当該上塗り部分に新たなポリシラザン構造が堆積され、その部分のガス透過率を所定のレベルにまで低下させるとともにガス選択透過性(典型的には水素選択透過性)を所定のレベルにまで高めることができる。
【0045】
而して、かかるセラミック堆積処理をベース分離膜の一部分で行うことにより、ガス透過率及びガス選択透過性が相互に異なる二つの部分(即ち、多孔質セラミック構造の堆積した部分とベース分離膜のみの部分)が多孔質支持体表面部に形成されたガス分離材を得ることができる。或いは、セラミック堆積処理の対象とする部分を所定の方向にずらしつつ複数部分で行うことにより、ガス透過率及びガス選択透過性が相互に異なる三つ以上の部分を多孔質支持体表面部の所定の方向に沿って相互に隣接して形成することができる。
例えば、管状多孔質支持体の外周壁面又は内周壁面にポリシラザン膜から成るベース分離膜を形成した後、その管状多孔質支持体の長軸方向に沿って当該ベース分離膜形成部分を前端部分A、中央部分Bおよび後端部分Cに区分したときのB及びCの部分に対してポリシラザン溶液を供給しつつセラミック堆積処理を所定回数施す。その後、Cの部分にさらにポリシラザン溶液を供給しつつセラミック堆積処理を所定回数施す。このことにより、ポリシラザンの堆積度合(緻密性)がA、B、Cの順に上がるポリシラザン膜を形成することができる。すなわち、ポリシラザン膜を備えた管状ガス分離材であって、ガス透過率がA、B、Cの順に低下し且つガス選択透過性は逆にこの順に上昇していくことを特徴とする、ガス透過率及びガス選択透過性が相互に異なる三つの部分が管状多孔質支持体表面部上で所定の方向(この場合では長軸方向)に沿って配列されている管状ガス分離材を製造することができる。
【0046】
次に本発明のリアクターについて説明する。
本発明のリアクターは、ガス分離モジュールとして本発明のガス分離材を備えることで特徴付けられるものであり、その特徴部分以外の構成要素や補助的装置の付加、削除若しくは改変等は、従来のリアクター(改質器等)で一般に行われている手法に基づいて行えばよく、本発明を何ら制限するものではない。
本発明のガス分離材は、膜の組成に応じて種々のガス分離用途に使用することができる。特に、ガス分離膜としてポリシラザン膜が形成されているものは、耐熱性や耐熱衝撃性又は高温での化学的安定性が高い。このため、高温での処理を必要とする種々の用途のリアクターに適している。例えば、窒化珪素やアルミナから成る多孔質支持体の表面部にポリシラザン膜の形成された本発明のガス分離材は、当該支持体の形状を適宜変更することによって種々の形態の容器や装置に膜反応モジュールとして組み込むことができる。特に、膜型水素分離モジュールとして改質器(例えば高温型燃料電池用改質器)に組み込むことができる。このとき、多孔質支持体の形状を管状とすることで、当該管形状膜型水素分離モジュールが形成される(即ち管の内壁及び/又は外壁に本発明に係るセラミック膜を形成する。)。
また、窒化珪素等から成る多孔質支持体の形状をプレート形状に成形すれば、当該プレート形状の膜型水素分離モジュールが形成されるわけである。従って、本発明によると、特に高温型燃料電池システム用改質器やその他の種々の厳しい環境下で利用するリアクター(例えばNO等の有害ガス分離用リアクター)を提供することができる。
【0047】
また、本発明のリアクターの内部構成については、リアクター内部に導入された原料ガスを利用して所定のガスを生成する反応部(典型的には触媒を配置している。)と当該反応部に隣接するガス通路とが設けられており、その反応部とガス通路の境界に当該反応部側からガス通路側へ所定のガスを選択的に透過させるようにして、上述の本発明のガス分離材をガス分離モジュールとして備えておればよく、その他の構成は任意である。しかし、リアクターの反応部内で行われるガス生成反応(改質反応等)の平衡状態を反応物質の生成が進む方向にシフトさせて従来よりも反応効率の向上を実現したリアクターを開発するという観点からは、反応部内に導入したガスの上流部(原料ガス高濃度領域)に本発明のガス分離材の高ガス透過性部分を配置し、下流部(原料ガス低濃度領域)にいくほど本発明のガス分離材におけるより高ガス選択性部分を配置するのが好ましい。そのような配置で上記ポリシラザン膜を備えて成る本発明のガス分離材を装備したリアクターは、比較的高温条件下で使用し得る改質器として好適である。なお、この場合の改質触媒に特に制限はないが本形態の改質器は特に高温域(典型的には600〜800℃又は1100℃迄の高温域)で使用し得るものであるから、かかる高温域で優れた触媒能を発揮し得るものが好ましい。例えば、多孔質アルミナ等の担体にパラジウム、ニッケル等の金属を担持させたものを好適に使用することができる。また、触媒を備える部位、すなわち反応部(水素生成部)の形状に特に制限はない。
【0048】
一典型例として、図8に模式的に示すような筒状の反応容器(チャンバー)22内の略中央に管状水素分離材30を備えた形態のリアクター(改質器)20が挙げられる。図示されるように、この水素分離材30の一端はチャンバー22外に伸びる透過ガス送出管25に接続されており、他端はガス不透性のシール材27によって塞がれている。また、水素分離材30の周囲には水素生成反応(改質)用触媒が充填されて成る反応部即ち水素生成部24が形成されている。この水素生成部24の両端部には触媒保持のためにネット23が配置されている。一方、チャンバー22には水素原子を含む原料ガスを供給するガス供給管21と、チャンバー22内のガス(即ち水素生成部24を通過してきたガス)を排出するガス排出管26とが接続されている。また、図示していないが、チャンバー22の周囲にヒーターおよびウォータージャケット又は断熱材等を設けることにより、チャンバー22内の温度を例えば室温〜1000℃の範囲内でコントロールすることができる。
【0049】
このような構成の改質器20では、ガス供給管21から供給された原料ガス(例えば水蒸気を含むメタン)が水素生成部24に導入され、そこに充填されている触媒の作用即ち水蒸気改質反応(CH4+H2O=CO+3H2、CO+H2O=CO2+H2)によって水素を生成することができる。そして、生成した水素の一部を、水素分離材30に形成されている水素分離膜28A,28Bを介して水素生成部24側から管内部のガス通路29側に分離し、当該ガス通路29から透過ガス送出管25を通って改質器20の外部に排出される。一方、水素生成部24に導入されたガスであって水素分離膜28A,28Bを透過しなかったもの(排ガス)は、チャンバー22内からガス排出管26を介して改質器20の外部に排出される。なお、本実施形態に係る改質器20では、水素分離材30の一端が上記シール材27によって塞がれている結果、原料ガスが水素分離材30のガス通路29に直接混入することがない。
以上の構成の改質器20によると、改質反応に伴って水素分離膜28A,28Bを通して反応生成物である水素が分離されることによって水素生成反応側に平衡がシフトするため、メタン等の原料ガスから水素への転化反応が促進される。このとき、上述のセラミック堆積処理を施すことによって当該水素分離膜に水素透過率及び水素選択透過性が相互に異なる高ガス(水素)透過性部分28Aと高ガス(水素)選択性部分28Bを形成しておくとともに、図示するように、高ガス(水素)透過性部分28Aを水素生成部24内におけるガス上流側に配置し、高ガス(水素)選択性部分28Bをガス下流側に配置する。このことによって、この反応系全体において水素生成反応側に平衡がより効果的にシフトするため、メタン等の原料ガスから水素への転化反応をさらに促進することが可能となる。
なお、図8に示す改質器20では改質用触媒を水素生成部24内に充填しているが、これに代えて例えば管状水素分離材30の外表面に膜状に触媒層を形成(典型的にはコーティング)した改質器(リアクター)であってもよい。
【0050】
また、本発明のリアクターとして好適なものは、図8にも示したような、ガス分離材(モジュール)に接する位置に、ガス分離膜を介さずに反応部側からガス通路側へガスがリークすることを防止するためのシール材が取り付けられているリアクターである。このようなガスリークは、ガス生成反応(改質反応等)の平衡状態を反応物質生成側にシフトすることを阻み、反応効率を低下させる虞があるからである。
本発明によって提供される好ましいシール材は、600℃又はそれ以上の高温に長時間曝された場合にも当該シール材自体が顕著に破壊・化学変化しない耐熱・耐化学性能を有するものである。また、シール対象物(例えば上述の管状水素分離材)がリアクター稼働時の高温状態即ち加熱状態又は停止時の冷却状態となったことに起因して体積及び/又は形状変化(膨張、収縮変形)を起こした場合にも、そのような体積及び/又は形状変化に追随してシール状態を保持し得る柔軟性(クッション性)と高い圧縮・復元性能を有するものが特に好ましい。
而して、これらの要求を好適に満たし得る材料として密度(嵩密度)が0.6〜1.9g/cm3(特に好ましくは0.8〜1.2g/cm3)の膨張黒鉛またはそれと同等の性状を有する耐熱性材料が挙げられる。以下、かかる材料について詳細に説明する。
【0051】
天然黒鉛は炭素六員環平面が規則的に平行状態で積層した構造を持つカーボンであるところ、膨張黒鉛は、かかる天然黒鉛を濃硫酸、硝酸などの酸化剤により酸化処理することによって当該積層構造の層間距離を100〜300倍程度膨張させたものである。而して、かかる膨張黒鉛を上記密度範囲となるように負荷・圧縮することによって本発明に係るシール材に好適な膨張黒鉛材料を得ることができる。
かかる膨張黒鉛材料は黒鉛本来の高い耐熱性に加えて、シール性能に優れる稠密構造を有し、且つ、柔軟性並びに高い圧縮性及び弾性復元力を備えている。
かかる膨張黒鉛またはそれと同等の性質を有する耐熱性材料(典型的には膨張黒鉛と同等の熱膨張係数、酸化開始温度、圧縮率、復元率及び柔軟性(クッション性)を有する炭素質その他の無機材料)として好ましいものは、圧縮率(JIS−R3453に基づく)が10〜90%(特に好ましくは45〜55%)であり、及び/又は、復元率(JIS−R3453に基づく)が3〜70%(特に好ましくは10〜15%)であり、及び/又は、酸化開始温度(空気中での加熱によって重量が1%減少したときの温度)が400℃以上(特に好ましくは500℃以上)であることを特徴とする膨張黒鉛又はその同等物である。また、窒素ガスのような不活性(非酸化性)雰囲気下において1100℃又はそれ以上の温度(好ましくは1500℃以上)まで所望するシール性能を維持し得る耐熱性を有するものが好適である。
かかる性状の膨張黒鉛等から形成されたシール材によると、リアクター高温稼働時においても特に優れたシール状態の保持を実現することができる。
【0052】
なお、本発明に係るシール材の形状やタイプは、本発明のリアクターの形状やガス分離材(モジュール)の形状に対応して変動するものであり、特に限定はない。例えば、円筒形の管状ガス分離モジュールを使用する場合には、当該ガス分離モジュールの外壁に接する(即ち密着する)形状のシール材、典型的にはリング形状のシール材が好適に使用され得る。また、単板(モノリス)形状のガス分離モジュールを使用する場合には、当該ガス分離モジュールの外縁部に接する形状のシール材、典型的にはシート形状のシール材が好適に使用され得る。特に制限するものではないが、かかる形状のシール材は、密度が0.6〜1.9g/cm3(特に好ましくは0.8〜1.2g/cm3)程度となるように調製された粉状膨張黒鉛を所定形状の型に充填してプレス成形したり或いはロール成形、レーザー加工することによって得ることができる。すなわち、かかる加圧成形によって当該黒鉛粉体(粒子)相互が自己接着して一体化し、結果、所望する形状(例えばOリング様のパッキン形状)に成形され得る。あるいは、上記密度のシート(薄膜)状膨張黒鉛を積層・成形したものであってもよい。
また、構築するリアクターの形状・タイプや使用条件によって適宜異なり得るが、シール性能が維持し得る限りにおいて、膨張黒鉛又はその同等物に関する他の物理的特性(熱伝導度、電気比抵抗、引っ張り強さ、熱膨張係数(但し低いものが好ましい)等)に特に制限はない。
【0053】
【実施例】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0054】
<実施例1:ポリシラザン膜を有するガス(水素)分離材の製造>
90重量部の窒化珪素粉末と、5重量部のアルミナ粉末と、5重量部のイットリア粉末と、60重量部の水をアルミナ製ポットに投入し、直径30mmの玉石を使用して24時間混合することによってスラリーを調製した。次いで、このスラリーに15重量部のワックス系有機バインダーと、2重量部のワックスエマルジョンを添加して16時間混合し、その後スプレードライにより顆粒体を作製した。
次いで、得られた顆粒体をゴム製の型に充填した。すなわち、振動粉体充填装置を利用して型を適宜振動させつつ上記顆粒体を型内に密に充填した。その後、当該顆粒体を充填した型をCIP(冷間静水圧プレスによる)成形し、管形状(外径:10mm、内径:7mm、長さ:250mm)に生加工した。そして、当該生加工チューブを脱脂後、1400℃(最終焼成温度)で焼成し、管(チューブ)形状の多孔質窒化珪素支持体を得た。
得られた窒化珪素支持体の孔径(平均孔径)および気孔率は、水銀圧入法によって測定した結果、それぞれ0.16μmおよび約50%であった。また、800℃における3点曲げ強度は約70MPa以上であった。従って、かかる管(チューブ)形状の窒化珪素支持体は、本実施例に係るガス分離材を構成する支持体として充分な機械的強度を有する。なお、かかる支持体の嵩密度は1.77g/cmであり、熱的強度の指標となる線膨張係数は25〜800℃の範囲でおよそ3.4×10−6/Kであった。また、かかる支持体は、エタノール、トルエン及びキシレンに対する接触角が90度未満であり、それらの透過係数は室温条件下で1×10-11kg/m・s・Paを上回った。
また、かかる窒化珪素支持体はα−Siの結晶構造を有しており、組織は熱的に安定である。しかも、孔径分布(孔径の変動幅)がたいへん狭く、ガス分離材(例えば高温型水素分離モジュールとして利用され得るもの)を構築するための多孔質支持体として好適である。
【0055】
次に、得られた窒化珪素支持体を90〜120℃に加熱した液状充填材(パラフィン:120P(JIS K−2235)♯48−50:関東化学(株)製品)中に浸漬し、当該支持体の細孔内部に充填材たるパラフィンを充填した。充填後、当該支持体を液状充填材中から引き上げた。その後、支持体を室温まで冷却することによって細孔中の充填材を固化した。この処理によって、図2に示すように、支持体全体の細孔を充填材で埋める(塞ぐ)ことができた。
次いで、充填材(パラフィン)の部分的除去処理を行った。すなわち、固化した充填材が細孔内に充填されている支持体をアセトン中に15秒浸漬し(1日間でもよい)、支持体の表層部付近に保持されていた充填材を溶解・除去した。
【0056】
次に、管状窒化珪素支持体の外壁側表面部(即ちチューブ円柱面の外周壁面)にガス分離膜としてポリシラザン膜を製膜した。
すなわち、ポリシラザン粉末をトルエン(キシレンでもよい)に溶解し、超音波攪拌処理を約1時間行い、固形分濃度が10wt%であるポリシラザン溶液(コーティング液)を調製した。
次いで、上記窒化珪素支持体をディップコーティング法に基づきコーティング液に浸漬(ディップ)した。なお、このディップ処理の際には窒化珪素支持体の外周壁面にのみコーティング液が塗布(付着)されるように、当該窒化珪素支持体の両端開放部分を合成樹脂フィルムでラップした。
ディップ処理後、一定の速度で窒化珪素支持体をコーティング液から引き上げ、窒素雰囲気中、室温で乾燥した。なお、この乾燥後に真空排気中で190℃に保持することによって、支持体内に残留する充填材(パラフィン)をほぼ完全に除去することができるが本実施例では特に行っていない。
【0057】
次に、上記ディップ処理によってポリシラザン被膜が支持体の表面部(ここでは外周壁面)に形成されている窒化珪素支持体を抵抗加熱式真空・加圧焼結炉(ガス流通型)に入れ、大気圧・窒素雰囲気中、800℃で焼成した。
この焼成によって、窒化珪素支持体の外周壁面にポリシラザン膜が形成された。また、この焼成過程において細孔内の充填材は気化し、細孔内から除去されていた。このことは、多孔質支持体の重量変化からも明らかである。すなわち、上記充填材充填後に測定した重量及びコーティング液塗布・乾燥後に測定した重量は支持体形成時の測定重量(初期重量)よりも著しく増大した(データを示さず)のであるが、上記熱処理後の重量はほぼ初期重量まで減少していた。
本実施例では、かかるディップ処理から焼成までのプロセスを5回繰返し行い、図7に示すような位置に境界面が生じる状態でポリシラザン膜が支持体上に形成されたガス分離材(外径:約10mm、内径:約7mm、長さ:約250mm、膜面積:約8100mm)を得た。
【0058】
次に、得られたガス分離材のポリシラザン膜に高ガス透過性部分と高ガス(水素)選択性部分を形成した。具体的には、管状ガス分離材の長軸方向に沿ってポリシラザン膜を前端部と後端部の二つに区分し、その一方を高ガス透過性部分(膜面積:約4000mm)とし、他方の部分を高ガス(水素)選択性部分(膜面積:約4000mm)とする。高ガス透過性部分は上記製膜されたポリシラザン膜(ベース分離膜)のみから成る部分とし、高ガス選択性部分に対しては、さらに以下のようにセラミック堆積処理を行った。
すなわち、高ガス透過性部分に相当する部分及び両端開放部分を合成樹脂フィルムでラップするとともに、上記コーティング液を使用して高ガス選択性部分に相当する部分に対して上記と同様のディップ処理を施した。乾燥後、同様の焼成を行った。本実施例のセラミック堆積処理では、かかるディップ処理から焼成までのプロセスを5回繰返し行い、当該部分のベース分離膜上にポリシラザン構造をさらに積層した。以上の処理によって本実施例に係る管状ガス分離材を製造した。
【0059】
<参考例1:ポリシラザン膜を有するガス分離材の製造>
実施例1で使用したものと同じ形状の管状窒化珪素支持体を用い、実施例1と同様の材料・条件でディップ処理から焼成までのプロセスを5回繰返し行い、当該支持体の外周壁面のほぼ全域に亘って上記ベース分離膜即ち実施例1に係る高ガス透過性部分と性状が同等のポリシラザン膜が形成された管状ガス分離材(外径:約10mm、内径:約7mm、長さ:約250mm、膜面積:約8100mm)を製造した。
【0060】
<参考例2:ポリシラザン膜を有するガス分離材の製造>
実施例1で使用したものと同じ形状の管状窒化珪素支持体を用い、実施例1と同様の材料・条件でディップ処理から焼成までのプロセスを10回繰返し行った。これにより、当該支持体の外周壁面のほぼ全域に亘って比較的ガス(水素)選択透過性が高い即ち実施例1に係る高ガス選択性部分と性状が同等のポリシラザン膜が形成された管状ガス分離材(外径:約10mm、内径:約7mm、長さ:約250mm、膜面積:約8100mm)を製造した。
【0061】
<参考例3:アルミナ膜を有するガス分離材の製造>
次に、ポリシラザン膜に代えてアルミナ膜を備えたガス分離材を製造した。すなわち、3000重量部のアルミナ粉末(50%粒子径約3μm)に100重量部の有機バインダーを添加して混合した。この混合物に60重量部のワックスエマルジョンと60重量部のポリエーテル系合成油(潤滑剤)と420重量部のイオン交換水を添加して混練し、押出し成形用坏土を得た。次いで、その坏土を押出成形機により押出し成形した後、マイクロ波で乾燥し、空気雰囲気で焼成して多孔質アルミナの管状支持体を得た。その形状は上記実施例で使用した窒化珪素支持体とほぼ同じである。
次いで得られた多孔質アルミナ支持体の表面を緻密化した。すなわち、1200重量部の高純度α−アルミナ粒子(平均粒子径約0.2μm)に825重量部の蒸留水を加え、攪拌・混合しながら硝酸を添加してpH調整した。そして、超音波ホモジナイザーによる撹拌後、ボールミルで混合した。その混合物に、140重量部の有機バインダーに660重量部の蒸留水を加えて加熱スターラーで攪拌・混合した溶液と、72重量部の可塑剤とを添加した。その後、当該調製したスラリーに約1.4規定の硝酸を添加してpH調整し、ボールミルで混合して製膜用スラリーを得た。
次に、その製膜用スラリーを真空脱泡(泡抜き)した。その後、かかるスラリー中に、予め外表面研磨した上記多孔質支持体を30秒間浸漬した。これにより、外表面に緻密層を形成した支持体を、次いで、室温大気中で乾燥し、空気雰囲気で焼成(1030℃)した。この一連の処理によって、α−アルミナ層が外表面に形成された管状支持体を得た。
【0062】
次に、かかる管状支持体のα−アルミナ層の表面及び細孔内に均質な緻密層を作製した。すなわち、19重量部のγ−アルミナ微粒子(平均粒子径数十nm)に1960重量部の蒸留水を加え、それらを室温においてスターラーで2日間攪拌・混合した。その後、さらに超音波ホモジナイザーで撹拌して製膜用ゾルを調製した。その後、その製膜用ゾルに真空脱泡を施した。
次いで、その製膜用ゾル中に、上記多孔質支持体を浸漬した。それを室温大気中で乾燥し、空気雰囲気で焼成(900℃)することによって、当該支持体の外表面の第1層(α−アルミナ層)の表面及び細孔内に、均質な緻密層である第2層(γ−アルミナ層)を形成した。
その後、当該得られた多孔管状支持体上に更に均質な緻密層(膜)を形成するため、上記製膜用ゾルの濃度を下げた低濃度製膜ゾルを用いて同様に処理することによって、第2層の外面に更に均質且つ緻密なγ−アルミナ層が形成されたアルミナ製ガス分離材(外径:10mm、内径:7mm、長さ:250mm、膜面積7900mm)を作製した。
一般的な細孔分布測定法(ここでは水銀圧入法)によると、本参考例に係るガス分離材の多孔質支持体部分の平均細孔径は約8μmであり、気孔率は約39%であった。また、本参考例に係るガス分離材の膜部断面及び最表面をSEM観察した結果、上記第1層の膜厚は概ね40μmであった。また、第2層及びそれ以降の層を合わせたものの膜厚は第1層への含浸部分を含めて概ね10μm程度であった。また、かかるSEM観察の結果から、少なくともサブミクロンオーダーの表面欠陥の発生は抑制されていることが確認された。また、製膜評価の一指標としてバブルポイントの測定を行ったところ、本作製プロセスでは、バブルポイント値は4.0以上を示すことが確認された。
【0063】
<実施例2:改質器の製造>
次に、上記実施例1及び各参考例で得られた各管状ガス分離材を水素分離モジュールとして利用した改質器を製造した。図9は、本実施例に係る改質器の主要部を模式的に表した説明図である。
この図に示すように、本実施例に係る改質器32は、大まかにいって、筒状のステンレス製チャンバー33と、ガス分離膜34を備えた多孔質支持体35を本体とする水素分離モジュール36と、改質触媒38とから構成されている。
チャンバー33には、別途、ガス供給管33Aと、ガス排出管33Bとが設けられている。また、チャンバー33の周囲にはヒーター82(図11参照)および図示しないウォータージャケット(断熱材)が設けられており、チャンバー33内部の温度を室温〜1200℃程度の範囲でコントロールすることができる。また、かかるチャンバー33の内部には、上記水素分離モジュール36が配置されており、その周囲の空間部(反応部即ち水素生成部に相当する部位)39には、改質触媒38を充填することができる。
なお、かかる水素分離モジュール36として実施例1で得たガス分離材を用いる場合には、高ガス透過性部分34Aがチャンバー内ガス流動における上流側即ちガス供給管33Aに近いところ且つ高ガス選択性部分34Bがチャンバー内ガス流動における下流側即ちガス排出管33Bに近いところに配置されるように取り付けている。
【0064】
一方、図9に示すように、水素分離モジュール36の両端にはジョイント管40,40Aがそれぞれ取り付けられている。このジョイント管40,40Aはいくつかの部材から構成されている。すなわち、図10に示すように、かかるジョイント管40(40Aについても同じ)は、ステンレス製の管状凸型ユニオン(フランジ)42と、それに対応する管状凹型ユニオン(フランジ)43と、それに付設される金属製の第1リング部材44及び第2リング部材45ならびにシール材46とから構成されている。なお、凸型ユニオン42の根幹部(フラットな円盤状フランジ)中央には、水素分離モジュール36を貫通し得るサイズの穴47が形成されている。他方、凹型ユニオン43の根幹部(フラットな円盤状フランジ)中央には、水素分離モジュール36の中空部(以下「ガス通路37」という。)に通じる透過ガス排出口41が形成されている。なお、反対側のジョイント管40Aの凹型ユニオンの根幹部中央には、ガス通路37に通じる同形状のガス導入口41A(図9参照)が形成されている。
また、シール材46はリング状に形成された膨張黒鉛から成る部材であり、その嵩密度は1.0g/cm3、JIS−R3453に基づく圧縮率は約50%であり、復元率は約10%であった。
【0065】
而して、図10に示すように、管状水素分離モジュール36の一端を管状凸型ユニオン42の穴47に差し込む。また、管状凸型ユニオン42の反対側(即ち突出部42Aの形成されている側)から上記第1リング部材44、シール材46、第2リング部材45の順に、上記穴47を貫通してきた管状水素分離モジュール36に嵌め入れる。このとき、図示されているように、リング形状シール材46の内径は管状水素分離モジュール36の外径より若干大きく形成されている。このことと膨張黒鉛特有の柔軟性により、当該モジュール36の一端にリング形状シール材46を嵌め入れた際には、その内壁面をモジュール36外周壁面に密着させることができる。
【0066】
次いで、上記凹型ユニオン43を凸型ユニオン42に締め付けることによってジョイント管40の取付けが完了する。すなわち、図10に示すように、凹型ユニオン43の突出部43Aの内壁面及び凸型ユニオン42の突出部42Aの外壁面には、それぞれ、相互に対応する雌ねじ及び雄ねじが形成されている。さらに、凸型ユニオン42の突出部42Aは、先端部から根幹部に向けて直径が漸増するように形成されている。かかる構成の結果、凹型ユニオン43を凸型ユニオン42と嵌め合わせる(螺合する)ことによって、シール材46を水素分離モジュール36の外周壁面及び凸型ユニオン42の突出部42A内壁面の双方に強く密着させることができる。すなわち、凹型ユニオン43を凸型ユニオン42の根元方向に螺合していくと、先端部から根幹部に向けて直径が漸増している凸型ユニオン42の突出部42Aが縮小されるに従い、上記シール材46を水素分離モジュール36と凸型ユニオン42に密着させることが実現される。
このとき、図示されているように、本実施例に係るジョイント管40では、所定のレベルまで両ユニオン42,43の螺合がなされた時点で、第2リング部材45の一部45Aが両ユニオン42,43の間に挟まれてストッパーの役割を果たす。このことによって、それ以上の螺合(ねじ締め)が制止され、シール材46が必要以上に圧迫されることを防止する。従って、本実施例に係るジョイント管40,40Aによると、上記ねじ締めが制止される時点まで両ユニオン42,43を螺合することによって常に最適な圧力(面圧)でシール材46を両部材36,42に密着させることができる。他方、改質器32の高温稼働時における水素分離モジュール36とジョイント管40,40A(即ち金属製ユニオン42,43)との間の体積変化量のギャップに対応させるべく、両ユニオン42,43と水素分離モジュール36は接触させていない。
【0067】
以上のようにしてジョイント管40,40Aを取り付けた結果、水素分離モジュール36の外部から水素分離膜34及び支持体35を透過してガス通路37に送出された水素リッチなガスは、ジョイント管40の透過ガス排出口41を介して外部に排出される。このとき、図示される位置にシール材46を取り付けていることによって、水素生成部39(図9参照)のガスがジョイント管40(凸型ユニオン42)と水素分離モジュール36との隙間(即ち凸型ユニオン42の穴47)を介してリークするのを防止することができる。さらに、かかるシール材46が上記性状の膨張黒鉛で構成されている結果、600℃以上の高温稼働時において、ジョイント管40(凸型ユニオン42)と水素分離モジュール36との隙間サイズが線膨張係数が異なる二材料間の温度変化に伴い多少変動した場合であっても、かかるシール材46によってシール性能を維持することができる。なお、ジョイント管40,40Aの一部とチャンバー33の一部とは相互に溶接されており、チャンバー33内の気密状態は確保される。
【0068】
<試験例1:水素分離性能及びシール性能評価試験>
次に、上記のようにして構築した水素分離モジュール36を備えた改質器32(図9)を用いて、水素分離性能とシール性能を評価した。
先ず、図11に示すような水素分離モジュール(水素分離膜)を備えた膜型ガス分離システム(評価システム)を構築した。すなわち、改質器32のガス供給管33Aに、メタン供給装置52、水素供給装置54、窒素供給装置56をガスクロマトグラフ78、80等を介して接続した。メタン供給装置52は、圧力バルブを備えたメタン供給ボンベ59、圧力計58、流量計64、ニードルバルブ70等から構成されている。同様に、水素供給装置54は、圧力バルブを備えた水素供給ボンベ61、圧力計60、流量計66、ニードルバルブ72等から構成されている。また、窒素供給装置56は、圧力バルブを備えた窒素供給ボンベ63、圧力計62、流量計68、ニードルバルブ74等から構成されている。また、図示されているように、メタン供給装置52と水素供給装置54の流路はスリーウェイコック76で連結されている。さらに、改質器32のガス供給管33Aには、別途、水蒸気供給装置100が接続されている。かかる装置は図示しない水蒸気供給源とマイクロフィーダー(水蒸気供給ポンプ)102とを主要構成要素としている。
また、水素供給装置54等と同様の機材によって構成されたスウィープガス(ここではヘリウム)供給装置90を別途装備し、スウィープガス供給管をガス導入口41Aに接続している。このことによって、当該スウィープガス供給装置90からガス導入口41Aを介してスウィープガス(He)を水素分離モジュール32のガス通路37に供給し、当該ガス通路に所定のガス流を生じさせることができる。
【0069】
他方、改質器32のガス排出管33B側には、圧力計112、ガスクロマトグラフ114、トラップ116、セッケン膜流量計118等を接続した。同様に、改質器1の透過ガス排出口41にも、圧力計104、ガスクロマトグラフ106、トラップ108、セッケン膜流量計110等を接続した。このようなシステムを構築することで、後述するような詳細なガス分析(改質器への供給側及び排出側の双方)を行うことができる。ガス分析では、キャリアガス(スウィープガス)はHeを使用し、分析対象ガスはCH4、H2、CO、CO2、O2、N2とした。
なお、本実施例に係る評価試験では、改質触媒をチャンバー内に充填せずに行った。
【0070】
而して、上述したガス分離システムを用いて水素分離性能とシール性能の評価を純ガス透過試験に基づいて行った。この試験では、水素供給装置54および窒素供給装置56から所定の流量で水素及び窒素をチャンバー33内に供給した。このとき、ガス分離膜34前後の差圧が2.0×104Pa(0.2atm)となるようにした。
なお、かかる評価試験は、先ず室温で実施し、所定時間後、チャンバー33内の温度を700℃に上げて同様に実施した。その後チャンバー33内の温度を再び室温に戻して同様に実施した。このように温度を変更させつつ連続的に試験することで、本実施例に係る改質器32のシール性能および高温時における水素分離特性を評価した。
【0071】
具体的には、適宜ヒーター82を作動させてチャンバー33内の温度調節(室温〜700℃〜室温)を行いつつ、上記差圧を生じさせた状態で水素及び窒素をそれぞれチャンバー33内に供給した。而して、セッケン膜流量計108によって透過側(即ち透過ガス排出口41と接続するガス排出側流路)の流速を測定しつつ、TCD検出器を備えたガスクロマトグラフ106によって対象ガス組成を分析した。なお、水素および窒素それぞれのガス透過率は次の式「Q=A/((Pr−Pp)・S・t)」から算出した。ここでQはガス透過率(モル/m2・s・Pa)、Aは透過量(mol)、Prは供給側即ちチャンバー内部空間側の圧力(Pa)、Ppは透過側即ちガス通路側の圧力(Pa)、Sは断面積(m)、tは時間(秒:s)を表す。また、水素/窒素透過係数比は、水素透過率と窒素透過率との比率すなわち式「α=QH2/QN2」から算出できる。ここでαは水素/窒素透過係数比(透過率比)、QH2は水素透過率、QN2は窒素透過率を表す。
かかる試験の結果として、各水素分離モジュール(実施例1、参考例1〜3)を使用したときの水素透過率および水素/窒素透過係数比、ならびにシール性能を表1に示す。なお、実施例1の水素分離モジュールについての水素透過率および水素/窒素透過係数比は、高ガス透過性部分(表中の上段の値)については参考例1の試験結果に基づく推定値であり、高ガス選択性部分(表中の下段の値)については参考例2の試験結果に基づく推定値である。
【0072】
【表1】
Figure 0004823442
【0073】
参考例1に係るモジュールでの試験結果と参考例2に係るモジュールでの試験結果との対比から明らかなように、上記ポリシラザン溶液を用いて行ったディップ処理及び焼成処理の繰返し回数の違いにより、窒化珪素支持体上にガス透過率及びガス選択透過性が異なるポリシラザン膜が形成された。このことから、実施例1に係る水素分離モジュール(水素分離材)においては、長軸方向に沿ってガス透過率及びガス選択透過性が相互に異なる少なくとも二つの部分(即ち図9に示す高ガス透過性部分34Aと高ガス選択性部分34B)が形成されていることが確かめられた。
【0074】
また、具体的なデータは示していないが、本評価試験ではいずれのモジュールを使用した場合でも、温度条件の推移(室温〜700℃)に関わらず、水素/窒素透過係数比に顕著な差異は認められなかった。このことから、ジョイント管40と水素分離モジュール36との隙間から実質的なガスのリークは起きていないことが確認された(図10参照)。また、ガス分離膜34やシール材46が加熱によって劣化していないことも確認された。すなわち、上述したシール材46は700℃のような高温条件においても良好なシール性能(表中の○)を有していた。この結果は、チャンバー33内におけるシール状態をかかる高温条件下でも維持し得ることを裏付ける結果である。なお、実施例1や参考例1,2のガス分離材の支持体は圧縮強度に優れる窒化珪素製である。このことによって、それから構成される水素分離モジュールの破壊を未然に防止しつつシール材46に対する締め付け力を必然的に大きくすることができる。すなわち、比較的強く圧縮変形させることによって膨張黒鉛製シール材46自体の気密性及び弾性復元量の双方を向上させ、結果、高温域でのシール性能をより向上させることができる。
【0075】
また、700℃での水素/窒素透過係数比の値から鑑みて、各実施例及び参考例に係るガス分離膜では、かかる高温条件下でもクヌッセン分離程度の水素分離性能を有することが確認された。
【0076】
<試験例2:改質試験>
次に、所定の改質触媒を水素生成部に充填した改質器を用いて高温域における改質効率に関して詳細なる評価を行った。
すなわち、上述した図9に模式的に示すように、所定のサイズ(内部容積:約1900ml)のチャンバー33内に、水素分離モジュール36を装着した改質器32において、水素分離モジュール36の周囲(水素生成部39)に粒状の多孔質アルミナ(粒径:0.5〜3mm)にニッケルを担持して成る触媒粒子(ニッケル系改質触媒)38を約400g充填した。なお、かかる触媒38としては、改質反応に使用していない新しいものを用いた。
【0077】
而して、かかる構成の改質器32を用いて、改質試験を行った。すなわち、かかる改質器32を組み込んだ上述の図11に示すガス分離評価システム(換言すればガス改質システム)を使用した。
このガス分離システム(ガス改質システム)によると、ガス供給管33Aから非酸化条件下で供給された原料ガス(ここでは窒素とともに水蒸気を含むメタンが供給される。)がチャンバー33内の水素生成部39に導入され、そこに充填されている改質触媒38の作用即ち水蒸気改質反応(CH4+H2O=CO+3H2、CO+H2O=CO2+H2)によって水素が生成する。生成した水素の一部は、管状水素分離モジュール36のガス(水素)分離膜34及び多孔質支持体35を透過して水素生成部39側から管内部のガス通路37側に分離され、当該ガス通路37から透過ガス排出口41を通ってチャンバー33外部に送出される。
一方、水素生成部39に導入されたガスであってガス分離膜34を透過しなかったものは、チャンバー33内からガス排出管33Bを介して外部に排出される。
なお、ジョイント管40,40Aに備えられている上述の膨脹黒鉛製シール材46によって水素分離モジュール36とジョイント管40,40Aとの隙間がシールされている結果、原料ガスがガス分離膜34を経ずに当該隙間からガス通路37に漏出(リーク)することがない。このため、改質反応に伴ってガス分離膜34を通して反応生成物である水素が分離されることにより、水素生成部39における水素濃度が減少する。これにより、反応物質側に平衡がシフトし、メタンから水素への転化反応が促進される。すなわち、本発明に係る改質器では、400℃以上、特に600℃以上(更には700℃又は800℃以上)の高温域において水素透過性能及び分離性能に優れる高温対応タイプのポリシラザン膜と上記シール材との併用によって、かかる高温域における原料ガス(ここではメタン)から水素への高い転化率を安定して実現することができる。
さらにポリシラザン膜に形成された高ガス透過性部分及び高ガス選択性部分の配列方向とガス流動方向とを適合させている結果、反応物質側への平衡シフトを改質反応系全体からみてより効果的に行うことができる。
【0078】
かかるガス改質システムによるガス転化率を次のようにして調べた。すなわち、改質反応温度条件として、600℃、700℃及び800℃の3通りを設定した。
先ず、窒素を微量パージしつつ改質器32のチャンバー33内を上記いずれかの設定温度まで昇温した。続いて、メタン、水蒸気及び窒素を各供給装置52,100,56(室温で稼動)からガス供給管33Aを介してチャンバー33内に導入しつつ水素還元処理を約1時間行った。このとき、チャンバー33内に供給する各ガスの供給量は、次のとおりとした。すなわち、設定温度が600℃のときは、メタン、水蒸気及び窒素の供給量(ml/min)をそれぞれ9.0、0.03及び10とした。また、設定温度が700℃のときは、メタン、水蒸気及び窒素の供給量をそれぞれ9.5、0.03及び10とした。さらに、設定温度が800℃のときは、メタン、水蒸気及び窒素の供給量をそれぞれ9.5、0.03及び14とした。なお、スチーム比(H2O/CH4)は、モル比で約5とした。また、改質器(チャンバー内)の圧力は2.0×10Pa(2.0atm)以内とした。さらにこの処理の間、スウィープガス(He)を所定の流量でガス導入口41Aからガス通路37に導入した。
【0079】
而して、かかる処理によって水素生成部39において水蒸気改質反応が行われるところ、本例では30分間隔で供給ガス(即ちチャンバー33のガス供給管33Aに供給される前のもの)および改質ガス(即ちチャンバー33のガス排出管33Bから排出されたガス及び透過ガス排出口41から排出されたガス)を計2回サンプリングし、GC(CHROMPAVK製:Micro-GC CP2002)を用いて分析(CH4、H2、CO、O2、N2の分析ではカラム温度100℃で分析時間2分;CO2の分析ではカラム温度80℃で分析時間2分)を行った。GCでの測定結果に基づいて原料ガス(メタン)から水素への転化率(%)を算出した。
【0080】
而して、1時間の水素還元処理後、透過側ガス流(即ちスウィープガス流)を封止し、上記差圧をなくした。これにより、水素生成部39からガス分離膜34を介する実質的なガス透過を遮断した。この状態のまま、原料メタン、水蒸気及び窒素を上記供給量でチャンバー33内に供給し続けた。そして、透過側ガス流の封止から1.5時間経過後および更に0.5時間経過後の2回(即ち30分間隔)、供給ガスおよび改質ガスをサンプリングし、GCを用いて上記と同様に分析を行い、転化率(%)及び水素濃度(%)を算出した。
その後、上記差圧を設けた状態で透過側ガス流(即ちスウィープガス流)を再開した。これにより、水素生成部39からガス分離膜34を介する実質的なガス透過が再開された。この状態のまま、原料メタン、水蒸気及び窒素を上記供給量でチャンバー33内に供給し続けた。そして、透過側ガス流の再開から1.5時間経過後および更に0.5時間経過後の2回(即ち30分間隔)、供給ガスおよび改質ガスをサンプリングし、GCを用いて同様に分析を行い、転化率(%)及び水素濃度(%)を算出した。かかるサンプリング(各2回)および分析(計6回)終了後、先ずメタンガスの供給を停止し、次いで水蒸気の供給を停止した。
【0081】
【表2】
Figure 0004823442
【0082】
上記GCの分析に基づいて算出した転化率(%)を使用した水素分離モジュール別及び温度条件別に表2に示す。なお、この表における「膜透過側ガス流・有り」のものは、上記透過側ガス流再開後に測定したデータに基づいている。
表2から明らかなように、この試験において、ポリシラザン膜をガス分離膜とする水素分離モジュール(実施例1、参考例1、2)を備えた改質器は、いずれの温度条件下においても、表中の「膜透過側ガス流・無し」のもの即ち実施例及び各参考例に係るガス分離材を実質的に使用しなかった場合(即ちガス分離膜の無い従来型の改質器に相当する。)及びアルミナ膜をガス分離膜とする水素分離モジュール(参考例3)を備えた改質器よりも、高効率に原料ガス(CH4)の改質反応が行われた。このことから、ここで使用した水素分離モジュールに形成されたポリシラザン膜の高温域における高い水素透過性能・分離性能又はシール性能の維持を実証したことになる。尚、反応に直接影響してないN2ガスを省略し、改質ガスに関してH2、CH4、CO、CO2各々の組成を検証したところ、CO、CO2組成に対するH2組成について理論反応式との整合も確認された。
また、本実施例において使用したニッケル系改質触媒の好適温度は、操作条件にもよるが概ね820℃である。従って、上記ポリシラザン膜とかかる高温型の改質触媒とを併用する改質器によると、優れた改質反応および水素分離に伴う化学平衡シフトにより、600〜800℃(又は600〜1000℃)という高温域で高効率に水素を製造することができる。
なお、このことは「膜透過側ガス流・有り」のものは「膜透過側ガス流・無し」のものよりも改質反応後のメタン残存量が顕著に減少しており且つ改質ガス中の水素濃度は逆に顕著に増大している(GC分析結果)ことからも確認されている。参考までに、改質温度800℃で参考例1に係る水素分離モジュールを装備した改質器を使用した場合の改質ガス組成と転化率ならびに同温度でガス分離膜の無い従来型の改質器を使用した場合の改質ガス組成と転化率を、表3に示す。
【0083】
【表3】
Figure 0004823442
【0084】
さらに、表2に示す結果から明らかなように、実施例1に係るガス分離材から成るモジュールを備えた改質器によると、いずれの温度条件下においても参考例1に係るガス分離材から成るモジュールを備えた改質器を使用した場合よりも高い転化率及び改質ガス中の高水素濃度を実現することができる。また、参考例2に係るガス分離材から成るモジュールを備えた改質器を使用した場合よりも高いガス流量を維持することができる。
すなわち、実施例1に係るガス分離材から成るモジュールを備えた改質器では、水素生成部39で水素濃度が比較的低い(原料ガス濃度が高い)上流側においては高効率にガスを透過させることによって良好な化学平衡シフトを実現している。それとは対照的に、水素生成部39で水素濃度が比較的高くなった(原料ガス濃度が低い)下流側においてはより選択的に水素を透過させることによって良好な化学平衡シフトを実現している。
このことによって、実施例1に係るガス分離材を水素分離モジュールとして備えた改質器によると、各参考例に係るガス分離材を水素分離モジュールとして備えた改質器と比較して、より効率よく改質反応を行うことができる。すなわち、改質反応系全体の効果的な化学平衡シフトによって、時間当りの水素生成比率を顕著に向上させることができる。
【0085】
【発明の効果】
上述の実施例及び試験例からも明らかなように、本発明のガス分離材をガス分離モジュールとして備えたリアクターによると、リアクター内で行われるガス生成反応(改質反応等)の平衡状態を反応物質の生成が進む方向に反応系全体で効率よくシフトさせることができる。
このため、所望するガス種の生成反応効率(例えばメタン等の原料ガスからの水素転化効率)を促進することができ、特にスケールアップに伴って、その効果は著しい。
また、本発明の一実施形態であるポリシラザン膜を備えた本発明の膜型改質器は、特に高温域で高い水素製造(転化)効率が要求される高温型燃料電池(MCFC、SOFC等)用リフォーマーとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 多孔質支持体の形状を模式的に示す断面図である。
【図2】 多孔質支持体の細孔内に充填材が充填された状態を模式的に示す断面図である。
【図3】 細孔内に充填材が充填された多孔質支持体の表面部に膜形成材料が塗布された状態を模式的に示す断面図である。
【図4】 本発明のガス分離材の一態様を模式的に示す断面図である。
【図5】 充填材の部分除去処理が施された後の多孔質支持体の状態を模式的に示す断面図である。
【図6】 充填材の部分除去処理が施された後の多孔質支持体の表面部に膜形成材料が塗布された状態を模式的に示す断面図である。
【図7】 本発明のガス分離材の一態様を模式的に示す断面図である。
【図8】 本発明のガス分離材を用いて構築した水素生成用リアクター(改質器)の一態様を模式的に示す断面図である。
【図9】 一実施例に係る水素生成用リアクター(改質器)の構造を模式的に示す断面図である。
【図10】 一実施例に係るシール材を有するジョイント管部分を模式的に示す断面図である。
【図11】 一実施例に係る改質器を備えたガス分離システムの全体構成を模式的に示すブロック図である。
【符号の説明】
1,11,30 ガス分離材
2,35 多孔質支持体
20,32 リアクター(改質器)
22,33 チャンバー
24,39 反応部(水素生成部)
27,46 シール材
27A,34A ガス分離膜(高ガス透過性部分)
28B,34B ガス分離膜(高ガス選択性部分)
30 ガス分離材
34 ガス分離膜
36 水素分離モジュール
38 触媒
40,40A ジョイント管

Claims (11)

  1. 多孔質支持体と、その表面部に形成されたセラミック膜とを主体とするガス分離材であって、
    そのセラミック膜には、ガス透過率及びガス選択透過性が相互に異なる少なくとも二つの部分が、分離対象とする原料ガスの流動方向に沿って設けてあり、
    該少なくとも二つの部分は、多孔質支持体表面部上で前記ガス流動方向に沿って部分毎に順次ガス透過率が低下し且つガス選択透過性が高まるようにして、その方向に配列されている、ガス分離材。
  2. 前記少なくとも二つの部分は、前記ガス流動方向に沿って部分毎に順次水素透過率が低下し且つ水素/窒素透過係数比が高まるように形成されている、請求項1に記載のガス分離材。
  3. 前記セラミック膜は、Si−N結合主体の繰返し構造を基本骨格とするセラミック焼成体により構成されている、請求項1又は2に記載のガス分離材。
  4. 前記多孔質支持体は管状に形成されており、
    前記セラミック膜は、その管状多孔質支持体の外壁面及び/又は内壁面に形成されており、
    前記少なくとも二つの部分は、その管状多孔質支持体の長軸方向に沿って配列されている、請求項1〜3のいずれかに記載のガス分離材。
  5. 多孔質支持体とその表面部に形成されたセラミック膜とを主体とするガス分離材を製造する方法であって、
    (a).その多孔質支持体の表面部に、所定のガス透過率及びガス選択透過性を有するセラミック膜を形成する工程と、
    (b).その(a).工程で形成されたセラミック膜の一部分に、該セラミック膜と実質的に同じ組成のセラミック構造を堆積させて、その部分に隣接する該セラミック膜の他の部分よりもその部分のガス透過率を低下させ且つガス選択透過性を高める工程とを包含し、
    該(b).工程を前記セラミック膜の一部分或いは多孔質支持体表面部上を分離対象とする原料ガスの流動方向に沿って順次移動させつつ二以上の部分で行うことによって、該ガス流動方向に沿ってガス透過率及びガス選択透過性が相互に異なる少なくとも二つの部分を形成する、ガス分離材の製造方法。
  6. 前記(a).工程においてSi−N結合主体の繰返し構造を基本骨格とするセラミック焼成膜を形成する、請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記多孔質支持体として管状に形成されたものを使用し、
    その管状支持体の外壁面及び/又は内壁面にセラミック膜を形成し、
    前記少なくとも二つの部分を、それらが前記管状支持体の長軸方向に沿って配列されるように形成する、請求項5又は6に記載の製造方法。
  8. 外部から導入された原料ガスから所定のガスを生成するリアクターであって、
    その内部には、導入された原料ガスを利用して所定のガスを生成する反応部と、その反応部に隣接するガス通路とが設けられており、
    その反応部とガス通路の境界には、反応部側からガス通路側へ所定のガスを選択的に透過させるためのガス分離モジュールが備えられており、
    そのガス分離モジュールは、多孔質支持体とその表面部に形成されたセラミック膜とを主体として構成されており、
    そのセラミック膜には、ガス透過率及びガス選択透過性が相互に異なる少なくとも二つの部分があり、それら部分は多孔質支持体表面部上で原料ガスの流動方向に沿って部分毎に順次ガス透過率が低下し且つガス選択透過性が高まるようにその方向に沿って配列されており、
    ここで、前記ガス分離モジュールは、反応部内における原料ガスの流動方向に沿ってその上流側から下流側へ順次ガス透過率が低下し且つガス選択透過性が高まるように、前記配列方向と原料ガスの流動方向とを適合させた状態で配置されている、リアクター。
  9. 前記セラミック膜は、反応部側からガス通路側へ水素を透過させるための水素分離膜であり、
    前記少なくとも二つの部分は、前記ガス流動方向に沿って部分毎に順次水素透過率が低下し且つ水素/窒素透過係数比が高まっていくように形成されている、請求項8に記載のリアクター。
  10. 前記セラミック膜は、Si−N結合主体の繰返し構造を基本骨格とするセラミック焼成体により構成されている、請求項8又は9に記載のリアクター。
  11. 前記ガス分離モジュールは、管状に形成された多孔質支持体を主体として構成されており、
    前記セラミック膜は、その管状多孔質支持体の外壁面及び/又は内壁面に形成されており、
    前記少なくとも二つの部分は、その管状多孔質支持体の長軸方向に沿って配列されており、
    ここで、前記反応部内に導入された原料ガスが、管状多孔質支持体の長軸方向に沿って、その一方の末端側から他方の末端側へ流動するように構成されている、請求項8〜10のいずれかに記載のリアクター。
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