JP2005041720A - セラミック多孔質膜及びその製造方法 - Google Patents

セラミック多孔質膜及びその製造方法 Download PDF

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Keita Miyajima
圭太 宮嶋
Taisuke Ando
泰典 安藤
N Nair Baragoparu
エヌ. ナイル バラゴパル
Shigeo Nagaya
重夫 長屋
Seiji Furumura
清司 古村
Akizo Watanabe
彰三 渡邉
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Abstract

【課題】クラックや欠陥が実質的に存在しないセラミック多孔質膜を安定的に製造する方法及び該方法によって得られたセラミック多孔質膜を提供すること。
【解決手段】本発明のセラミック多孔質膜の製造方法は、多孔質支持体(14)の表面上にセラミック膜形成用材料を付与する工程と、前記材料が付与された前記支持体(14)を所定のガス雰囲気中に配置する工程と、前記支持体(14)の少なくとも前記材料が付与された部分において、前記所定のガスを支持体厚さ方向に透過させつつ、前記材料からセラミック多孔質膜を形成する工程とを包含する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミック多孔質膜とその製造方法に関し、ガス透過可能なサイズのミクロ細孔に富むセラミック多孔質膜を備える多孔質セラミック材に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミック等から成る多孔質支持体(基材)の表面上にセラミック多孔質膜を備えた多孔質材は、特定化学物質の分離、回収、精製のような種々の化学処理プロセスに使用される。
特にクヌッセン的分離以上が可能な程度のミクロ細孔に富むセラミック多孔質膜を備えた多孔質材は、所定の反応系から特定のガス種を選択的に分離したり回収したりする用途に利用される。例えば、メタン、メタノール等の原料ガスを改質することによって水素を生成する改質器(リフォーマー)に備えられる水素分離膜として、改質ガスから水素を選択的に透過し得る(即ち、水素を透過させ易く窒素のような他のガス種は相対的に透過させ難いことをいう。以下同じ。)サイズのミクロ細孔を有するセラミック多孔質膜が用いられる。この種のガス分離膜として、特許文献1には、ミクロ細孔に富む多孔質セラミック分離膜と該分離膜を担持する多孔質セラミック支持体とを有する多孔質セラミック材が記載されている。
【0003】
上記改質器に備えられる水素分離膜のようなセラミック多孔質膜に求められる特性として、所望するサイズ(孔径)のミクロ細孔が豊富に存在する一方で、当該サイズのミクロ細孔よりも大きい隙、すなわち目的とするガスの選択的分離を阻害する虞のあるクラックや欠陥(ピンホール等)は実質的に存在しないか或いはその存在割合(容積)が実用上無視し得る程度に低いことが望ましい。
【0004】
従来、セラミック多孔質膜は、セラミック膜形成用材料を多孔質支持体の表面に付与し、熱処理を施すことによって製造していた。例えば窒化ケイ素やシリカから成るセラミック多孔質膜は、支持体表面上に塗布された前駆体物質(ポリカルボシラン、ポリシラン、ポリカルボシロキサン、ポリシラザンのような前駆体ポリマー)を高温で熱分解することによって製造されている(特許文献1,2)。また、ゼオライトから成るセラミック多孔質膜は、支持体表面上に塗布されたゼオライト合成用原料物質混合物を水熱合成(オートクレーブ)することによって製造されている(特許文献3)。
【0005】
これら従来の方法によって、クラックや欠陥(ピンホール等)が実質的に存在しない多孔質膜を多孔質支持体上に広範囲に亘って形成しようとすると、温度、加熱時間等の製膜条件を厳密に設定する必要があり、所望する細孔に富むとともにクラックや欠陥(ピンホール等)が実質的に存在しないセラミック多孔質膜を安定的に製造することが難しかった。このため、そのような膜をより安定して製造し得る方法の開発が望まれている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−247385号公報
【特許文献2】特開平10−218690号公報
【特許文献3】特開平7−89714号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明はかかる要望に応えるべく創出されたものであり、その目的とするところは、クラックや欠陥(ピンホール等)が実質的に存在しないセラミック多孔質膜を安定的に製造する方法及び該方法によって得られたセラミック多孔質膜を提供することである。また、そのようなセラミック多孔質膜を備えた多孔質材(特にガス分離に適するミクロ細孔に富む膜を備えた多孔質セラミック材)を提供することを他の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】本発明によって提供されるセラミック多孔質膜製造方法は、多孔質支持体の表面上にセラミック膜形成用材料を付与する工程と、前記材料が付与された前記支持体を、所定のガス雰囲気中に配置する工程と、前記支持体の少なくとも前記材料が付与された部分において、前記所定のガスを支持体厚さ方向に透過させつつ、前記材料からセラミック多孔質膜を形成する工程とを包含する。
【0009】
ここで開示されるセラミック多孔質膜の製造方法では、多孔質支持体の一方の面側(典型的には膜形成用材料が付与された表面側)から他方の面側に向けてガス(典型的には雰囲気を構成するガス)を透過させる。このことによって、多孔質支持体及び該支持体上に付与されたセラミック膜形成用材料中に残留又は発生する気体を積極的に除去し、所定の雰囲気中で目的の膜生成反応(例えば上記前駆体物質の熱分解反応)を起こさせることができる。従って、この製造方法によると、クラック等の発生を防止し、広範囲に亘って欠陥の認められないセラミック多孔質膜を多孔質支持体上に形成することができる。
【0010】
好ましくは、前記ガス透過は、前記支持体の一方の表面側と他方の表面側との間の差圧(即ち支持体を挟んで一方の表面側圧力と他方の表面側圧力との差)を0.001〜1.0MPaの範囲に設定して行う。この程度の差圧に基づくガス透過により、支持体上に機械的強度に優れるセラミック多孔質膜を形成することができる。
【0011】
好ましい一つの製造方法は、前記セラミック膜形成用材料がケイ素を主体とする非酸化物セラミックの前駆体ポリマーであり、前記ガス雰囲気が非酸化ガス雰囲気である。そして、非酸化ガスを支持体厚さ方向に透過させつつ、前記前駆体ポリマーを熱分解してケイ素を主体とする非酸化物セラミックから成る多孔質膜を形成する方法である。
この態様の方法では、支持体厚さ方向に差圧を設けて、前記前駆体ポリマーが熱分解する際に発生し得るガスを速やかに前駆体マトリックス中から放出させ、かかるガスに起因するクラック等の発生を抑止することができる。従って、本態様の方法によると、ミクロ細孔に富む非酸化物セラミック多孔質膜を多孔質支持体上に形成することができる。
なお、本明細書において「ミクロ細孔」とは、孔径が概ね10nm以下のガス透過可能なサイズの孔をいう。また、本明細書において「非酸化物セラミックの前駆体ポリマー」とは、熱分解によって、基本骨格中に酸素を実質的に含まないセラミックが形成され得る種々のケイ素含有ポリマー及びオリゴマーをいう。
【0012】
この方法において更に好ましくは、使用する前駆体ポリマーがポリシラザン、ポリカルボシラン、ポリシラン又はポリカルボシロキサンである。
このような前駆体物質を使うことによって、耐熱性の高いセラミック多孔質膜を容易に形成することができる。
【0013】
また、上記方法において更に好ましくは、前記多孔質支持体の表面上に、前記前駆体ポリマーを非酸化ガス雰囲気中で熱分解して成る多孔質セラミック層を予め形成しておくことを特徴とする。そして、セラミック多孔質膜を形成する工程、即ち前記多孔質支持体の表面上に形成された該セラミック層の表面上に前記前駆体ポリマーを付与し、前記非酸化ガス雰囲気中に配置して前記非酸化ガスを支持体厚さ方向に透過させつつ該付与された前駆体ポリマーの熱分解を行うことを特徴とする。
この方法によると、セラミック多孔質膜の多孔質支持体(上記多孔質セラミック層付き)への接着性が良好となり、膜の機械的強度をさらに向上することができる。
【0014】
また、上記セラミック層を形成する場合、好ましくは、前記セラミック層を形成する際の最高熱分解温度は500〜700℃の範囲に設定し、該セラミック層上にセラミック多孔質膜を形成する際の最高熱分解温度は前記セラミック層を形成する際の最高熱分解温度を上回る温度に設定する。
このような温度範囲を設定することによって、耐熱性の高いミクロ細孔に富むセラミック多孔質膜を支持体上に安定的に形成することができる。
【0015】
また、更に好ましくは、前記前駆体ポリマーを付与する前に、前記前駆体ポリマーを付与する表面(例えば前記セラミック層の表面)の活性化処理を行う。
なお、本明細書において「活性化処理」とは、均質で欠陥の無いセラミック多孔質膜を支持体表面上に形成するのに寄与する内容の処理全般を指す用語である。例えば、支持体表面の「ぬれ性(wettability)」を改善する処理、或いは支持体表面に付いた不純物を除去するための洗浄処理等は、前駆体物質の支持体表面上への付着性(展着性)を改善し得るため、ここでいう「活性化処理」に包含される内容の典型的な処理である。かかる活性化処理は、例えば、前記前駆体ポリマーを付与する表面にプラズマ照射、熱処理、マイクロ波照射又はエッチングを施すことにより行われる。
かかる活性化処理を伴う製造方法によると、広範囲にクラックその他の欠陥の認められないミクロ細孔に富むセラミック多孔質膜を多孔質支持体(特にセラミック支持体)の表面上に形成することができる。
【0016】
また、本発明は、ここで開示される方法によって製造されたセラミック多孔質膜を提供する。典型的には、該セラミック多孔質膜は、多孔質セラミック支持体上に形成された状態で提供される。すなわち、本発明は、多孔質セラミック支持体と、該支持体上に形成されたセラミック多孔質膜とを備える多孔質セラミック材を提供する。ここで開示される多孔質セラミック材は、高温条件下(最高焼成温度付近)でのガス分離材や高性能濾過材(分子篩い等)あるいは触媒担体として好適に用いることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している内容以外の技術的事項であって本発明の実施に必要な事項は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている技術内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0018】
本発明のセラミック多孔質膜製造方法の実施にあたって使用する多孔質支持体は、セラミック膜の支持体として好適であれば特に制限はなく、種々の無機多孔質体を利用することができる。α−アルミナ、γ−アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、シリカ、ジルコニア、チタニア、カルシア、各種ゼオライト等から構成される多孔質セラミック支持体が好適例として挙げられる。
あるいは、これらセラミックに種々の金属成分(Pd、Ni、Ti、Al、W、Nb、Ta、Co、Ru等)やそれらの合金若しくは金属酸化物成分を適宜含有したものであってもよい。
【0019】
高温条件下でのガス分離処理や高性能濾過処理等に用いるセラミック多孔質膜(多孔質セラミック材)を製造する場合、機械的強度の保持、低熱膨張係数等の観点から、アルミナ、窒化ケイ素および炭化ケイ素が好ましい。多孔質支持体とセラミック多孔質膜とが同じ又は類似の組成となるように使用する支持体の材質を決定することが好ましい。例えば、窒化ケイ素膜を製造する場合、窒化ケイ素支持体の使用が特に好ましい。
【0020】
使用する支持体の形状は特に限定されず、用途に応じて管形状、膜(薄板)形状、モノリス形状、ハニカム形状、多角形平板形状その他の立体形状であり得る。例えば、管形状の支持体は、ガス分離モジュール(特に水素分離モジュール)として改質器等のリアクターに適用し易く好適である。なお、所望する形状の支持体は、従来行われている周知の成形技法(押出し成形、鋳込み成形、テープ成形、CIP成形等)やセラミック焼成技法を実施することによって製造することができる。かかる成形技法自体は何ら本発明を特徴付けるものではなく、詳細な説明は省略する。
【0021】
また、多孔質支持体が有する細孔の孔径は特に限定されないが、形成されるセラミック多孔質膜を水素等のガス分離用途に用いる場合、例えば0.01μm〜10μm程度、特に0.01μm〜1μm程度の細孔径分布のピーク値及び/又は平均孔径を有するものが好ましい。また、機械的強度とガス透過性能とを高い次元で両立させるという観点からは、支持体の孔隙率は20〜60%が適当であり、好ましくは30〜50%である。
多孔質支持体(支持層)の厚みは、所定の機械的強度を保持しつつ、表面上に形成されたセラミック多孔質膜を支持し得る限り、限定されない。例えば、セラミック膜の厚みが0.1〜5μmである場合には、0.1〜10mm程度の厚みが好適である。なお、支持体の機械的強度は形状及び材質によって変化するし、当該機械的強度に対する要求も用途に応じて異なるため特に限定するものではないが、600〜800℃における3点曲げ強度(JIS R1601に準じる)が30MPa以上(より好ましくは60MPa以上、さらに好ましくは90MPa以上)である機械的強度を具備するように、支持体の平均孔径や孔隙率を設定するのが好ましい。
【0022】
使用する多孔質支持体としては、その全体が所定の材質(例えばアルミナ)から形成されたもの(典型的には対称構造体)であってもよいし、かかる構造体(本体)の表面に予め多孔質セラミック層(以下「中間セラミック層」という。)が形成された二層構造(典型的には非対称構造体)のもの又はそのような中間セラミック層が二層以上形成された多層構造のものであってもよい。特に支持体本体の平均孔径が比較的大きな場合(例えば1μm以上)には、それよりも平均孔径の小さい中間セラミック層を形成しておくことが、ガス分離等に適する平均孔径の小さいミクロ細孔に富むセラミック多孔質膜を形成するうえで好ましい。中間セラミック層を形成すると、その表面上に当該中間セラミック層よりも薄いセラミック多孔質膜を容易に形成することができる。
かかる中間セラミック層は、支持体本体部分と同じ組成のもの、或いは、セラミック多孔質膜と同じ組成のものが好ましい。
【0023】
製造したセラミック多孔質膜(即ち該膜を備えた多孔質材)をガス分離用途に用いる場合、かかる中間セラミック層の細孔径分布のピーク値及び/又は平均孔径は0.01〜1μm程度(典型的には0.05〜0.5μm)が好ましい。また、気孔率は20〜50%程度が適当であり、好ましくは30〜40%程度である。また、中間セラミック層の厚みは特に制限はないが、製造した多孔質材をガス分離材として使用する場合には、0.5〜200μm程度(典型的には10〜100μm)の厚みが好ましい。このような中間セラミック層が予め形成された二層又は多層構造の多孔質支持体を採用し、その表面上にセラミック多孔質膜を形成・積層することによって、多孔質材(典型的には多孔質セラミック材)の細孔径を支持体中心から表面部にかけて傾斜的に小さくしていくことができる。かかる中間セラミック層は、従来と同様のプロセス(典型的には、セラミック材またはその前駆体材料を支持体に塗布し焼成する。)によって形成することができる。例えば、中間セラミック層が形成され、そのことによって平滑化された支持体表面上に厚みが1000nm以下(例えば10〜1000nm、好ましくは100〜500nm程度)のガス選択的透過性のセラミック多孔質薄膜を広範囲に亘って均等な厚さで形成することが容易となる。
【0024】
セラミック多孔質膜及び必要に応じて中間セラミック層を形成するのに使用するセラミック膜形成用材料の内容は、所望するセラミック多孔質膜の組成に応じて異なる。例えば、ゼオライト膜を形成する場合、ゼオライトの組成に応じて適宜異なり得るが、典型的にはアルカリ金属、Si、Al成分を含むゲルとして調製される。例えば、種々のアルカリ金属ケイ酸塩(例えばメタケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリウム、水ガラス、メタケイ酸カリウム)と、アルミニウムを構成元素とする化合物(例えば硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の塩、アルミン酸ナトリウム等のアルミン酸塩)とから構成され得る。
一方、シリカ(酸化ケイ素)、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のケイ素(Si)を主体とする膜を形成する場合、従来知られている種々の前駆体物質(ポリマー)を使用するとよい。この種の前駆体ポリマーとしては、基本骨格(又は主鎖)がSiを主体に構成された有機又は無機化合物であって、高温(例えば400〜800℃)で熱分解されることにより、Si−N結合、Si−C結合、Si−Si結合、Si−C−N結合、Si−N−B結合のようなSiを主体とする結合によってその基本骨格(主鎖)が構成される非酸化物セラミックを生成し得る化合物(ケイ素系セラミック前駆体)が好ましい。
【0025】
特に好ましくは、熱分解によって形成されるセラミック多孔質膜中に存在するSi原子数に対するSi−N結合を形成しているSi原子数の割合が10%以上であり、好ましくは20%以上となるように、使用する前駆体の種類や存在比を調節する。かかるSi−N結合の形成割合が10%よりも低すぎると、耐熱性又は高温条件下における化学的安定性が低下するため、好ましくない。特に高温且つ水蒸気雰囲気下での使用に適さなくなる虞がある。なお、使用する前駆体は1種のみでもよく、或いは2種類以上の前駆体を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0026】
好適なケイ素系セラミック前駆体の具体例として、種々のポリシラザン、ポリカルボシラザン、ポリカルボシラン、ポリシラン、ポリ有機シロキサン、ポリシラスチレン等が挙げられる。
特に好ましい前駆体の一例は、一般式:
[R SiNH][RSiHNH][RSiN]
で示される類のポリシラザンである。ここで式中のx、y及びzはx=y+z=0.5を満たす実数である。また、R、R及びRはそれぞれが独立して炭素数1〜3の低級アルキルである。好ましくは、R、R及びRがいずれもメチルである。
【0027】
なお、特に限定するものではないが、セラミック多孔質膜及び必要に応じて中間セラミック層を形成するのに好適なポリシラザンは、一例を挙げれば以下のように調製することができる。すなわち、ジハロシラン(RSiHX)或いは当該ジハロシランと他のジハロシラン(RSiX)との混合物をアンモニアと反応させることによってシラザンオリゴマーを得る。次いで、塩基性触媒の存在下で当該シラザンオリゴマーの脱水素反応を起こさせる。これにより、ケイ素原子に隣接する窒素原子の脱水素が行われ、結果、シラザンオリゴマーが相互に脱水素架橋して成るポリシラザンを生成することができる。なお、この生成プロセスに使用されるジハロシランの好ましいものは、上記R、R、Rが、それぞれ、水素、炭素数が1〜6の低級アルキル基、置換アリル基、非置換アリル基、炭素数が6〜10の非置換アリール基、トリアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基のいずれかである。或いは、Rは水素であり、RおよびRが上記列挙した官能基のいずれかである。このときR、RおよびRは全て同じ基でもよく、相互に異なる基でもよい。なお、上記ジハロシランの式中のXはハロゲン基である。
【0028】
使用するポリシラザン等の前駆体ポリマーの分子量に特に制限はないが、粘性制御等の観点から、質量平均分子量で200〜100,000程度のものが好ましい。質量平均分子量が略1,000〜20,000の前駆体が特に好ましい。
【0029】
上述した多孔質支持体の表面(多孔質支持体の外面及び表層部にある孔内面を包含する。)にセラミック膜形成用材料(例えばポリシラザン等の前駆体ポリマー)を付与する方法としては、従来の薄膜形成プロセスにおいて用いられる各種の方法を採用することができる。例えば、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法が挙げられる。
特に前駆体ポリマーを含む溶液(焼成用材料)を多孔質支持対に付与する場合、ディップコーティング法が好適である。この方法は、過剰な溶液の多孔質支持体内部への浸透を抑制でき、キャピラリー圧力、焼成収縮等によるミクロ細孔構造の破壊を抑制するのに寄与し得る。このため、特にディップコーティング法は、実質的に欠陥の無いセラミック層(膜構造)を支持体表面上に直接的に形成するのに好適な手法である。
例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、或いはジオキサン、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒にポリシラザン等の前駆体ポリマーを分散したコーティング液中にアルミナ、窒化ケイ素等の多孔質支持体をディップ(浸漬)する。ディップ時間は、数秒〜1分程度でよい。5〜30秒程度が好ましい。このことによって前駆体ポリマーを支持体の表面上に均等に付与することができる。
なお、コーティング液の前駆体濃度は特に限定されないが、例えばポリシラザン等から成る被膜を形成する場合には、溶液中のポリシラザン濃度は0.1〜40質量%程度が適当である。
【0030】
セラミック膜形成用材料が付与(塗布)された支持体を、所望するガス雰囲気中に配置する。典型的には所定のガス雰囲気にした炉や加熱可能な容器中に支持体を配置する。例えば、ポリシラザン等の前駆体ポリマーを付与した支持体を非酸化性ガス(例えば水素ガス、アンモニアガス)雰囲気に配置する。この場合、当該前駆体ポリマーを非酸化性ガス雰囲気中で熱分解(焼成)することによって、窒化ケイ素膜を形成することができる。或いは、ポリシラザン等の前駆体ポリマーを付与した支持体を酸化性ガス(例えば酸素ガス)雰囲気に配置してもよい。この場合、当該ポリマーを酸化性ガス雰囲気中で熱分解(焼成)することによって、シリカ膜を形成することができる。
また、ゼオライト形成用材料を付与した支持体を水蒸気雰囲気に配置する。この場合、水蒸気雰囲気中で当該材料からゼオライト膜を水熱合成することができる。
【0031】
次に、ガスを支持体厚さ方向に透過させながら行うセラミック多孔質膜形成工程について説明する。かかる工程は、支持体厚さ方向(典型的には支持体表面上に対して直交する方向)にガスを透過させること以外は、通常の膜形成プロセスと同様に行うことができる。例えば、ポリシラザン等の前駆体ポリマーからシリカ膜や窒化ケイ素膜を形成する場合、ガスを透過しつつ所定の条件で焼成(熱分解)処理を行うとよい(以下「ガス透過式焼成」と略称する。)。
典型的には、多孔質支持体の厚さ方向すなわち一方の表面と他方の表面との間に所定の差圧を設ける。例えば、支持体が管形状である場合には管の外側と内側とで差圧を設けることができる。このことによって、支持体の厚さ方向にガス(支持体周囲の雰囲気を構成しているガス:以下「雰囲気ガス」という。)を透過させることができる。この場合、差圧は、一方の表面側から他方の表面側に雰囲気ガスが透過されれば特に限定されないが、0.001〜1.0MPa程度の差圧が適当であり、0.01〜1.0MPa程度が好ましく、0.05〜0.5MPa程度が特に好ましい。差圧を生じさせる方法は特に限定されず、例えば、一方の表面側が加圧され、他方の表面側は大気圧のままであってもよい。或いは一方の表面側は大気圧のままで、他方の表面側はそれよりも減圧された状態であってもよい。一方の表面側を大気圧よりも加圧し、他方の表面側を大気圧よりも減圧すると、大きな差圧を設けることができる。
なお、多孔質支持体の厚さ方向にガスが透過すればよく、ガスの透過方向はいずれの向きであってもよい。例えば管状支持体の場合、管の外側又は内側のうち、いずれを一方の表面側としてもよく、いずれが加圧及び/又は減圧されていてもよい。好ましくは、セラミック多孔質膜を形成する側から反対側にガスを透過させる。この方向にガスを透過させると、膜と支持体との接着強度を向上させることができる。
【0032】
支持体を透過させるガス種は、製造する膜の組成によって適宜異なり得るため特に限定しない。例えばポリシラザン等のケイ素を主体とする前駆体ポリマーを熱分解して窒化ケイ素や炭化ケイ素等の非酸化物セラミック膜を形成する場合には、窒素、希ガス等の不活性ガス及び/又はアンモニア、水素等の還元性ガスが適当である。また、上記のような前駆体ポリマーからシリカ等の酸化物セラミック膜を形成する場合には、大気のような酸素含有ガス又は酸化性ガスが適当である。ポリシラザンからミクロ細孔に富む窒化ケイ素膜を形成する場合には、アンモニア及び/又は水素ガス或いはそれらを高濃度に含む還元性ガスが特に好適である。このような還元性ガスを透過させつつ前駆体ポリマーを熱分解することにより、効果的にセラミック前駆体マトリックスから熱分解時に発生するガス(例えば酸素ガス)を除去し、十分な表面積(実質的に欠陥の無い領域)とミクロ細孔に富むセラミック膜を支持体表面上に形成することができる。
【0033】
ガス透過式焼成において、典型的には、適当な加熱炉内に支持体(被処理材料)を収容して熱分解(焼成)処理を行う。例えば、膜形成材料が付与された支持体をアンモニア及び/又は水素を含有する雰囲気中或いは空気又は窒素雰囲気中で乾燥した後、適当な加熱炉内に収容する。而して、所定の焼成スケジュールに従って支持体ごと前駆体ポリマーを加熱する。このことにより、前駆体ポリマーが熱分解され、当該前駆体由来の焼成体即ちミクロ細孔に富むセラミック多孔質膜を形成することができる。
なお、かかる保持の間、差圧は一定であることが好ましい。また、温度変動幅は小さいことが好ましく(例えば設定温度±10℃、より好ましくは設定温度±5℃)、実質的に一定の温度で一定の時間保持することが好ましい。
【0034】
焼成スケジュールは、ミクロ細孔に富むセラミック多孔質膜が最終的に形成されればよく、その条件(例えば最高熱分解温度やその継続時間)は膜の性状に応じて異なり得るため特に限定されない。ポリシラザンからミクロ細孔に富む窒化ケイ素膜を製造する場合、好ましくは、最高熱分解温度を1000℃以下、典型的には概ね500〜1000℃、好ましくは700〜1000℃の間に設定する。このとき、概ね200〜600℃の間に中間保持温度を設定してもよい。この場合、加熱開始温度(典型的には常温域)から中間保持温度まで50℃/分以下(さらに好ましくは10℃/分以下、特に好ましくは5℃/分以下)の昇温速度で加熱し、その中間保持温度で少なくとも1時間保持し、その後に最高加熱温度まで25℃/分以下(さらに好ましくは10℃/分以下、特に好ましくは5℃/分以下)の昇温速度で加熱するのが好ましい。このような条件でガス透過式焼成を行うことにより、全体に均質なミクロ細孔に富むセラミック多孔質膜を安定的に形成することができる。
なお、かかる中間温度域での保持は、1回に限られない。2回又は3回以上行ってもよい。例えば、最高熱分解温度を800〜900℃に設定した場合、室温から250℃まで0.5〜1℃/分程度の平均昇温速度で被処理材料を加熱し、その温度で約3時間保持する。次いで、500〜600℃まで0.5〜1℃/分程度の平均昇温速度で当該前駆体を加熱し、その温度で約3時間保持した後に最高温度まで同様又はやや遅い昇温速度で加熱していくのがよい。
【0035】
また、加熱過程において昇温速度は変化させてもよい。高温になるほど昇温速度を遅くすることが好ましい。例えば、常温から500〜600℃(又は650℃)までは1〜2℃/分(好ましくは1℃/分)程度の昇温速度とし、600℃(又は650℃)を越えてからはそれまでの昇温速度の30〜70%(好ましくは40〜60%)の昇温速度が好ましい。例えば600℃(又は650℃)まで1℃/分程度の昇温速度で加熱した場合は、それ以降の高温域では0.3〜0.7℃/分(好ましくは0.4〜0.6℃/分)程度の昇温速度で加熱するとよい。このような昇温スケジュールによると、熱分解(即ちセラミック膜生成)の過程における欠陥の発生をより高率に回避することができる。この場合にも上記差圧はほぼ一定に保つのがよい。
【0036】
而して、最高熱分解温度に達した後は、その温度域(典型的には最高温度±25℃)で被処理材料(膜形成支持体)を所定時間保持する。これにより、熱分解の結果生じた生成物の緩やかな拡散を促すことができる。好ましい保持時間は、0.5〜5時間(典型的には1〜2時間)である。
最高熱分解温度域で所定の時間保持した後、100℃以下、典型的には室温(5〜35℃)まで、被処理材料(膜形成支持体)を冷却する。実質的にクラックの認められないミクロ細孔に富むセラミック層(膜)を得る場合、徐々に冷却するとよい。5℃/分以下、例えば0.2〜5.0℃/分程度の冷却速度が適当であり、0.5〜2℃/分(多少の誤差は許容される)の平均冷却速度が好ましい。
【0037】
最終的なセラミック多孔質膜を形成する前に、同様の材料(ポリシラザン等の前駆体ポリマー)及び同様の焼成スケジュールで上記中間セラミック層を形成する場合、当該中間セラミック層の焼成条件は、セラミック多孔質膜を形成する場合と同じであってもよいが、セラミック多孔質膜を形成する場合よりも最高焼成温度を低く設定することが好ましい。例えば、概ね500〜700℃で中間セラミック層を形成し、その上に当該セラミック層を形成したときの焼成温度よりも高い温度でセラミック多孔質膜を形成するとよい。
また、中間セラミック層では、その表面上に形成されるセラミック多孔質膜とは異なり、クラック等の隙の存在がさほど重要ではないため、ここで開示されるガス透過を伴わなくてもよく、従来と同様の膜形成プロセスに準じて支持体の表面上に中間セラミック層を形成してもよい。
【0038】
ガス透過式焼成において、支持体表面上(上記中間セラミック層の表面上である場合を含む。)に均質で欠陥の無いセラミック多孔質膜を広範囲に亘って容易に形成し得るように、支持体表面上に前記前駆体ポリマーを付与する前に、当該表面を活性化処理するとよい。
好適な活性化処理としては、物理的処理として、プラズマを利用する処理、赤外線(IR)を利用する処理、レーザー光を利用する処理、マイクロ波を利用する処理等が挙げられる。あるいは、化学的処理として、有機溶媒を利用する処理、カップリング剤を利用する処理等が挙げられる。これらのうち、セラミック表面のぬれ性を著しく改善し得る方策としてプラズマを利用する処理(以下「プラズマ処理」と略称する。)が好ましい。また、セラミック表面の不純物を洗浄し、前駆体ポリマーを含む材料(典型的にはディップ法に用いるコーティング液)の当該表面に対する展着性を著しく向上させ得る方策として有機溶媒を利用する処理(以下「有機溶媒処理」という。)が好ましい。
なお、実施する表面化処理は、1種類に限られず、内容の異なる処理を組み合わせて行ってもよい。例えば、有機溶媒処理終了後、引き続いてプラズマ処理を行ってもよい。
【0039】
プラズマ処理としては、中間セラミック層等のセラミック表面の活性(ぬれ性等)を高める効果が得られる処理であればその内容に特に制限はない。例えば、プラズマエッチング法に準じる低温プラズマ処理を行う。このことにより、プラズマ放電による分子解離の結果生じる励起分子(ラジカルやイオンを包含する。)を用いてセラミック表面にぬれ性向上に寄与し得る官能基を多く生じさせることができる。また、プラズマエッチング法に準じるプラズマ処理は、低ガス圧下での放電による解離を利用するために低温で行うことができ、エネルギー消費(コスト)の観点或いは対象セラミック材(セラミック層)の構造保持(高熱がセラミック材の機械的特性に及ぼす影響の回避)の観点から有利である。
かかる低温プラズマ処理は、従来のプラズマエッチングを行う際に使用される一般的な低温プラズマ処理装置のプラズマ発生チャンバー内にて行うことができ、特別な装置を必要としない。例えば、チャンバー内に電場を作用させる機構は、内部電極方式および外部電極方式のいずれでもよい。
【0040】
例えば、被処理材料として中間セラミック層の形成された多孔質支持体を、例えば平行平板型電極を備えたベルジャー型チャンバー(反応容器)内に配置し、その内部を減圧(好ましくは10Pa以下)する。次いで、チャンバー内のガス圧を低レベル(典型的には500Pa以下、好ましくは100Pa以下、例えば10〜100Pa)に維持しつつ適当なプラズマ発生ガスを供給する。ここで供給するガスとしては、種々のガス種が用いられ得るが、窒化ケイ素製セラミック多孔質膜を積層形成する目的には、窒素又はアンモニアが好ましく、窒素が特に好ましい。好ましくは、周波数1〜50MHz、出力1〜1000W(好ましくは10〜500W)で処理を行う。処理時間は典型的には0.5〜10分程度であり、好ましくは1〜5分である。このようなプラズマ処理を行うことにより、中間セラミック層の表面のぬれ性を向上させ、表面の活性化が図られる。
なお、上述したような活性化処理を行う対象は上記中間セラミック層に限られない。例えば中間セラミック層を形成しない多孔質セラミック支持体に目的のセラミック多孔質膜を直接形成しようとする場合には、当該支持体表面に同様の活性化処理を施せばよい。
【0041】
一方、活性化処理として有機溶媒処理を行う場合、多孔質支持体(典型的には中間セラミック層)の表面を洗浄し得る処理であればその内容に特に制限はない。有機溶媒処理は、特別な装置を必要とせずに簡単に行えるという点で好適である。各種の石油系溶剤、トルエン、キシレン、ベンゼン等に被処理材料(支持体)を浸して洗浄することが好ましい。例えば支持体の表面をトルエンで洗浄し、その後に概ね50〜60℃で乾燥することにより、支持体の表面洗浄が行え、当該表面の活性化が図られる。
【0042】
好ましくは以上に説明したような形態で、多孔質支持体の厚さ方向に雰囲気ガスを透過させながら熱分解するガス透過式焼成を行うことによって、クラックの原因となり得る気泡を除去し、クラックの発生頻度を著しく低減させることができる。また、ここで開示されるガス透過式焼成によると、支持体に付与されたポリシラザン等の前駆体ポリマーに存在する有機官能基の実質全てを熱分解することが可能であり、得られたセラミック多孔質膜の耐久性(特に耐熱性)を向上させることができる。
【0043】
上述した本発明の製造方法(特にガス透過式焼成)によって得られるセラミック多孔質膜を備える多孔質材(典型的には多孔質支持体がセラミックである多孔質セラミック材)は、クラックの発生が抑えられ、実質上欠陥が無く、ミクロ細孔に富むため、ガス分離材として好適である。特に、上述した中間セラミック層の表面上にディップコーティング等によって前駆体ポリマーを付与し、その後にガス透過式焼成を行って得られるセラミック多孔質膜はガス分離特性に特に優れる。
例えば、本発明の製造方法によって形成されたセラミック多孔質膜は、ガス吸着法(BET法等)に基づく細孔径分布のピーク値及び/又は平均孔径が1nm以下であり得る。また、セラミック多孔質膜の表面に分布する細孔の90%以上が孔径0.5nm以下のミクロ細孔であり得る。好ましくは、セラミック多孔質膜における細孔径分布のピーク値又は平均孔径が0.2nm〜1nm(BET法等のガス吸着法)であり、少なくとも0.05cm/g(さらに好ましくは0.1cm/g以上)の細孔容積を有する。このように、細孔径分布のピーク値及び/又は平均孔径が1nm以下(例えば0.2〜0.5nm)のセラミック膜は、水素のような比較的小さいサイズ(動的分子直径:約0.29nm)の無極性分子を混合ガスから選択的に分離するのに特に効果的である。このような性状の微細孔に富む多孔質セラミック材は、改質ガスその他の混合ガスから水素を分離するのに使用する膜型水素分離材として好適に使用し得る。
また、本発明の製造方法によって得られる窒化ケイ素やアルミナから成る支持体の表面部にポリシラザン由来のセラミック多孔質膜が形成された多孔質セラミック材は、400℃を超えるような高温条件下(典型的には600〜800℃)においてもそのミクロ細孔構造を安定に保つことができる。さらに、支持体とセラミック多孔質膜との間で熱収縮率/熱膨張率に顕著な差異がなく(特に中間セラミック層が存在する場合)、高い耐熱衝撃性を実現し得る。すなわち、急激な温度変化に曝された場合であっても、セラミック多孔質膜の熱的剥離やクラックの発生の頻度を顕著に低減させることができる。従って、耐熱性及び耐熱衝撃性に優れ、高温条件下や使用環境温度が変動するような条件下でのガス分離処理や高性能濾過処理(分子篩い等)に適している。
【0044】
本発明によって提供される多孔質セラミック材はガス分離材として好適に用いることができる。この場合、セラミック多孔質膜の厚さは100μm以下が適当である。かかる膜厚が0.01〜10μmのものが好ましい。また、本発明によると、100〜500nm程度の膜厚であるにも拘わらず、優れたガス選択的透過性(例えば水素の選択的透過性)を示すガス分離材が提供され得る。
【0045】
例えば、400℃(好ましくは600℃、より好ましくは800℃)における水素/窒素透過係数比が4以上であり、同温度における水素透過率が少なくとも1×10−10モル/m・s・Pa(好ましくは1×10−8モル/m・s・Pa以上、特に好ましくは1×10−7モル/m・s・Pa以上)となる膜厚のものが好ましい。かかる性状の多孔質セラミック材によると、高温腐食環境条件下においても比較的高い水素透過速度及び水素分離能(水素選択性)を保持しつつ、効率よく水素分離処理を行うことができる。
特に好適な水素分離膜は、800℃における水素/窒素透過係数比が4.0以上であり、且つ、同温度における水素透過率が1×10 モル/m・s・Pa以上のものである。本発明によると、これらの条件を満たす水素分離材を提供することが可能である。
ここで「水素/窒素透過係数比」とは、同条件下における水素透過率と窒素透過率との比率、即ち同条件下での水素ガス透過量の窒素ガス透過量に対する比(モル比)をいう。ここで「水素透過率(モル/m・s・Pa)」及び「窒素透過率(モル/m・s・Pa)」は、それぞれ、差圧(多孔質セラミック膜を挟んでガス供給側圧力とガス透過側圧力との差)が1Paであるときの単位時間(1秒)及び単位膜表面積(1m)当りの水素ガス透過量(モル)および窒素ガス透過量(モル)で表される。
【0046】
本発明によって提供されるガス分離材は、用いる支持体の形状によって、種々の形態をとり得る。すなわち、セラミック支持体の形状を適宜変更することによって種々の形態の容器や装置にガス分離モジュールとして組み込むことができる。特に、膜型水素分離モジュールとして改質器(例えば高温型燃料電池用改質器)に組み込むことができる。このとき、セラミック支持体の形状を管形状とすることで管形状膜型水素分離モジュールが形成される(即ち管の内壁面及び/又は外壁面にセラミック膜が形成される。)。
また、窒化ケイ素等から成る多孔質セラミック支持体の形状をプレート形状に成形すれば、当該プレート形状の膜型水素分離モジュールが形成されるわけである。従って、本発明によると、特に高温型燃料電池システム用改質器やその他の種々の厳しい環境下で利用するリアクター(例えばNO等の有害ガス分離用リアクター)を提供することができる。
【0047】
【実施例】以下に説明する実施例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0048】
<実施例1:多孔質セラミック材の製造(1)>
(1)多孔質支持体の製造
3000質量部のアルミナ粉末(50%粒子径:約3μm)に100質量部の有機バインダーを添加して混合した。この混合物に60質量部のワックスエマルジョンと60質量部のポリエーテル系合成油(潤滑剤)と420質量部のイオン交換水を添加して混練し、押出し成形用坏土を得た。次いで、その坏土を押出成形機により押出し成形した後、マイクロ波で乾燥し、空気雰囲気で焼成することにより、管形状(外径:10mm、内径:7mm、長さ:50mm)の多孔質セラミック体(以下「支持体」と略称する。)を得た。
【0049】
(2)セラミック膜形成用材料(ポリシラザン溶液)の調製
セラミック膜形成用材料として、市販のポリシラザン含有スラリー(チッソ(株)製品「NCP201」、ポリシラザン60質量%、トルエン40質量%、ポリシラザンの数平均分子量:1300)を希釈し、超音波攪拌処理を約1時間行い、固形分濃度が20質量%であるポリシラザン溶液(コーティング液)を調製した。
【0050】
(3)中間セラミック層の形成
次いで得られた支持体の表面上に中間セラミック層を形成した。すなわち、上記支持体をコーティング液に30秒間浸漬(ディップ)した。なお、このディップ処理の際には管形状アルミナ支持体の外周面にのみコーティング液が付着するように、当該支持体の両端開放部を合成樹脂フィルムでラップしておいた。
ディップコーティング後、一定の速度でアルミナ支持体をコーティング液から引き上げ、大気中、60℃で3時間乾燥した。その後、ポリシラザン被膜が外周面に形成された支持体を加熱炉内に収容した。加熱炉内にはアンモニアガス(純度99%以上)を100〜150ml/分の流量で供給し続けた。なお、かかるアンモニアガス連続供給に代えて、加熱炉内にアンモニアガス(純度99%以上)をパージし次いで真空減圧する操作を先ず2〜3回繰り返した後、加熱炉内に窒素又は空気を100〜150ml/分の流量で供給し続けてもよい。
そして、以下のスケジュールで炉内の被処理体(支持体)を加熱処理し、支持体表面上にコーティングされたポリシラザンを熱分解した。すなわち、(1).室温から250℃まで1℃/分程度の平均昇温速度で約3.5時間加熱し、(2).250℃で3時間保持し、(3).250℃から650℃まで1℃/分程度の平均昇温速度で6.4時間加熱し、(4).650℃(最高温度)で1時間保持し、そして(5).650℃から室温まで約11時間かけて冷却した(平均冷却速度:約0.95℃/分)。これにより、微細孔に富むポリシラザン起源のセラミック膜(中間セラミック層)がアルミナ支持体表面上に形成された。
【0051】
(4)中間セラミック層のプラズマ処理
平行平板型電極を備えたベルジャー型反応容器を有する一般的なプラズマ処理装置を用いてプラズマ処理を行った。すなわち、グロー放電用の高周波コイルが巻かれた円筒型チャンバー(石英ガラス製:内径約25cm)内に上記中間セラミック層が形成された支持体を配置した。次いで、真空ポンプでチャンバー内を10Pa以下となるまで真空減圧した。その後、チャンバー内に約40ml/分の流量で窒素ガス(純度99.99%以上)を供給した。このとき、チャンバー内の圧はほぼ80Paで安定させた。そして、約500Wの出力でグロー放電を起こさせ、生じた低温プラズマにより3分間処理した。
【0052】
(5)セラミック多孔質膜の形成(ガス透過式焼成)
次に、上記プラズマ処理の施された支持体(中間セラミック層)の表面上にセラミック多孔質膜を形成した。
すなわち、上記ポリシラザンコーティング液に支持体を30秒間ディップした。なお、このディップ処理の際にも支持体の外周面にのみコーティング液が付着するように、当該支持体の両端開放部を合成樹脂フィルムでラップしておいた。コーティング後、上述した中間セラミック層形成プロセスのときと同様に、60℃で3時間乾燥した。
【0053】
次に、図1に示すように、乾燥後の支持体14を焼成用加熱炉(マッフル炉)の円筒状の加熱室50に収容した。このとき、管状支持体14の一方の端部は気密キャップ51を装着して密閉した。他方の端部は加熱室50外に通じる連結管53を備えた連結キャップ52を装着した。これにより、管状支持体14の中空部分は、連結管53を介して加熱室50外に通ずる一方で加熱室50内の空間からは遮断されている(図1参照)。加熱室50には、ガス供給口56とガス排出口57とが設けられている。また加熱室50の周囲には加熱器60が配置されている。
【0054】
而して、ガス供給口56に連結した図示しない外部ガス供給源より加熱室50内に概ね1.0L/分の流量で還元性ガスとして水素(H)ガス(純度99%以上)を供給した。加熱室50内に供給された水素ガスは、順次、ガス排出口57より排出される。一方、支持体14に連なる上記連結管53には、図示しないポンプその他の吸引装置が接続されている。かかる吸引装置を作動させ、管状支持体の内部空間を減圧し、管状支持体14の外側(中間セラミック層形成側)と内側(内部空間側)との間の差圧を約0.1MPaに調整した。このように差圧を設けることにより、水素ガスを陽圧側即ち支持体14外側から、陰圧側即ち支持体14の内部空間側に向けて支持体14を厚さ方向に透過させた。
【0055】
かかるガス透過状態を維持しつつ、加熱器60を作動させて加熱室50内を加熱し、以下の焼成スケジュールに基づいて支持体14(中間セラミック層)の表面上にコーティングされたポリシラザンを熱分解した。
すなわち、(1).室温から600℃まで1℃/分程度の平均昇温速度で約9.6時間加熱し、(2).600℃から800℃まで0.5℃/分程度の平均昇温速度で約6.7時間加熱し、(3).800℃(最高温度)で1時間保持し、そして(4).800℃から室温まで約13時間かけて冷却した(平均冷却速度:約1℃/分)。
以上のガス透過式焼成を行うことによって、多孔質セラミック材を製造した。一般的なアルゴン吸着法によってセラミック多孔質膜に存在する細孔の孔径を測定したところ、その細孔径のピーク値は約0.3nmであった。
【0056】
<比較例1:多孔質セラミック材の製造(2)>
実施例1と同様の支持体とコーティング液を用いて同様のディップ処理を施し、当該支持体の表面上にポリシラザン被膜を形成した。次いで、大気中、60℃で3時間乾燥した。その後、上記中間セラミック層を形成した場合と同様の状態で当該支持体を100〜150ml/分の流量で水素ガスを供給し続けた加熱炉内に収容した。そして、室温から800℃まで約1℃/分の平均昇温速度で加熱し、800℃(最高温度)で1時間保持し、そして800℃から室温まで約12時間かけて冷却した。
以上のようにして、ガス透過式焼成を行うことなく、多孔質セラミック材を製造した。
【0057】
<試験例1>
次に、実施例1で得られた管形状多孔質セラミック材10(以下「ガス分離モジュール10」という。)を用いて改質器1を構築し、当該ガス分離モジュール10のガス分離特性、即ち水素透過率及び窒素透過率ならびに水素/窒素透過係数比を評価した。
先ず、図2に示すような改質器1を作製した。この図に示すように、本試験例に係る改質器1は、大まかにいって、筒状のステンレス製チャンバー2と、ポリシラザン由来のセラミック多孔質膜12を備えた多孔質支持体14を本体とするガス分離モジュール10と、改質用触媒18とから構成されている。
チャンバー2には、別途、ガス供給管3と、ガス排出管4とが設けられている。また、チャンバー2の周囲には図示しないヒーターおよび断熱材が設けられており、チャンバー2内部の温度を室温〜1200℃の範囲でコントロールすることができる。また、かかるチャンバー2の内部には、ガス分離モジュール10が配置されており、その周囲の空間部(改質器では水素生成部に相当する部位)20に種々の改質用触媒18を充填することができる。なお、本評価試験では、触媒18をチャンバー2内に充填せずに行った。
【0058】
図示されるように、ガス分離モジュール10の一端は金属製キャップ5によってシールされており、当該端部から中空部16へのガスの流入を防止している。また、ガス分離モジュール10の他端側には、ジョイント管30が取り付けられている。図示するように、ジョイント管30の開口先端部(透過ガス排出口6)はチャンバー2の外部に露出した状態とした。さらに、ガス分離モジュール10の外周面におけるセラミック多孔質膜(即ち実施例1で製造したガス分離膜)12の端の部分(即ちジョイント管取付部分の近傍)には、高温シール材を挿入してメカニカルシールした。
ジョイント管30の透過ガス排出口6と接続するガス排出側流路には図示しないガスクロマトグラフが装備されており、そこを流れるガス濃度を測定し、その測定データをコンピュータシステムによって自動バッチ処理で解析することができる。
チャンバー2のガス供給管3は外部ガス又は水蒸気等の供給源に接続しており、当該ガス供給管3を介してチャンバー内の空間部20に水素、窒素等の測定用ガスや水蒸気を供給することができる。なお、空間部20のガスはガス排出管4から外部に排出される。
【0059】
而して、かかる系において、ガス分離モジュール10の水素透過率、窒素透過率ならびに水素/窒素透過係数比を次のようにして評価した。
すなわち、図示しない水素供給源および窒素供給源から所定の流量で水素及び窒素をチャンバー2内に供給した。このとき、ガス分離膜12の内外の差圧が約0.1MPaとなるようにした。なお、かかる評価試験はチャンバー2内の温度を800℃に上げて行った。このように温度を上げて試験することで、改質器1のガス分離モジュール10について高温時における水素分離特性を評価することができる。
【0060】
具体的には、適宜ヒーターを作動させてチャンバー2内の温度制御(室温〜800℃)を行いつつ、上記差圧を生じさせた状態で水素及び窒素をそれぞれチャンバー2内に供給した。而して、セッケン膜流量計(図示せず)によって透過側(即ち透過ガス排出口6と接続するガス排出側流路)の流速を測定した。なお、水素および窒素それぞれのガス透過率は次の式「Q=A/((Pr−Pp)・S・t)」から算出した。ここでQはガス透過率(permeation:モル/m・s・Pa)、Aは透過量(mol)、Prは供給側即ちチャンバー2内の空間部20の圧力(Pa)、Ppは透過側即ちガス分離モジュール10の中空部16の圧力(Pa)、Sは断面積(m)、tは時間(秒:s)を表す。また、水素/窒素透過係数比(H/N selectivity)は、水素透過率と窒素透過率との比率すなわち式「α=QH2/QN2」から算出できる。ここでαは水素/窒素透過係数比(透過率比)、QH2は水素透過率、QN2は窒素透過率を表す。
実施例1の多孔質セラミック材について、混合ガス圧力が0.1MPaにおける800℃で測定した水素透過率、窒素透過率および水素/窒素透過係数比を表1に示す。
【0061】
【表1】
Figure 2005041720
【0062】
この表から明らかなように、実施例1に係るガス分離材(ガス分離モジュール)は、7.70×10−7モル/m・s・Paと高い水素透過率を示すとともに、窒素透過率は1.61×10−7モル/m・s・Paと低い。このため、4.8と極めて高い水素/窒素透過係数比を示した。この結果は、実施例1で得られた多孔質セラミック材が800℃の高温条件下でも高い水素ガス分離特性を有することを示すものである。
【0063】
<試験例2>
次に、試験例1で使用した改質器1(図2)を利用して、実施例1のガス分離材(ガス分離モジュール)の高温条件下におけるガス分離特性、即ち水素透過率及び窒素透過率ならびに水素/窒素透過係数比を評価した。なお、本試験例では、チャンバー2内の温度を600℃、700℃、800℃と順次上げていき、各温度における水素透過率及び窒素透過率ならびに水素/窒素透過係数比を求めた。結果を図3に示す。
図3から明らかなように、実施例1のガス分離材(ガス分離モジュール)は、600℃、700℃、800℃の各温度においても、800℃の場合と同様、7.0×10−7モル/m・s・Paを上回る水素透過率を示すとともに、4以上の高い水素/窒素透過係数比を示した。また、600℃から温度が上昇するに従い、水素透過率が増加している。これは、セラミック多孔質膜に存在する分子篩として機能するミクロ細孔における水素の拡散が温度とともに増加するためである。かかる結果より、本実施例に係るガス分離材が高い耐熱性を有しており、高温条件下において特に好適に使用され得るガス分離材であることが確かめられた。
【0064】
<SEM観察像>
図4及び図5に示すように、実施例1の多孔質セラミック材のセラミック多孔質膜の表面(図4)及び比較例1の多孔質セラミック材のセラミック多孔質膜の表面(図5)をそれぞれ電子顕微鏡(SEM)で観察した。
図5から明らかなように、比較例1の多孔質セラミック材の表面には、多数のクラックが認められる。このため、ガス分離膜として機能し得ない。
これに対して、図4から明らかなように、実施例1の多孔質セラミック材の表面には、クラックが殆ど認められない。
【0065】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法を実施する装置の一例を模式的に示すブロック図である。
【図2】一実施例に係る多孔質セラミック材のガス分離材(モジュール)を備えた改質器の構造を模式的に示す説明図である。
【図3】一実施例に係る多孔質セラミック材の高温条件下におけるガス分離特性を示すグラフ図である。
【図4】一実施例に係る多孔質セラミック材の膜表面を示す電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図5】一比較例に係る多孔質セラミック材の膜表面を示す電子顕微鏡(SEM)写真である。
【符号の説明】
1 改質器
2 チャンバー
10 ガス分離モジュール(管状多孔質セラミック材)
12 ガス分離膜
14 支持体
50 加熱室
56 ガス供給口
57 ガス排出口

Claims (9)

  1. セラミック多孔質膜の製造方法であって、
    多孔質支持体の表面上に、セラミック膜形成用材料を付与する工程と、
    前記材料が付与された前記支持体を、所定のガス雰囲気中に配置する工程と、
    前記支持体の少なくとも前記材料が付与された部分において、前記所定のガスを支持体厚さ方向に透過させつつ、前記材料からセラミック多孔質膜を形成する工程と、
    を包含する方法。
  2. 前記ガス透過は、前記支持体の一方の表面側と他方の表面側との間の差圧を0.001〜1.0MPaの範囲に設定して行う、請求項1に記載の方法。
  3. 前記セラミック膜形成用材料がケイ素を主体とする非酸化物セラミックの前駆体ポリマーであり、
    前記ガス雰囲気が非酸化ガス雰囲気であり、
    非酸化ガスを支持体厚さ方向に透過させつつ、前記前駆体ポリマーを熱分解してケイ素を主体とする非酸化物セラミック多孔質膜を形成する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記前駆体ポリマーは、ポリシラザン、ポリカルボシラン、ポリシラン又はポリカルボシロキサンである、請求項3に記載の方法。
  5. 前記多孔質支持体の表面上に、前記前駆体ポリマーを非酸化ガス雰囲気中で熱分解して成る多孔質セラミック層を予め形成しておき、
    前記セラミック層の表面上に前記前駆体ポリマーを付与し、前記非酸化ガス雰囲気中に配置して前記非酸化ガスを支持体厚さ方向に透過させつつ該付与された前駆体ポリマーの熱分解を行う、請求項3又は4に記載の方法。
  6. 前記セラミック層を形成する際の最高熱分解温度を500〜700℃の範囲に設定し、該セラミック層上に前記セラミック多孔質膜を形成する際の最高熱分解温度を前記セラミック層を形成する際の最高熱分解温度を上回る温度に設定する、請求項5に記載の方法。
  7. 前記前駆体ポリマーを付与する前に、前記前駆体ポリマーを付与する表面の活性化処理を行う、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の方法によって製造されたセラミック多孔質膜。
  9. 多孔質セラミック支持体と、該支持体上に形成された請求項8に記載のセラミック多孔質膜とを備える多孔質セラミック材。
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