JP2002181164A - 高強度・高精度歯車 - Google Patents

高強度・高精度歯車

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JP2002181164A JP2000379239A JP2000379239A JP2002181164A JP 2002181164 A JP2002181164 A JP 2002181164A JP 2000379239 A JP2000379239 A JP 2000379239A JP 2000379239 A JP2000379239 A JP 2000379239A JP 2002181164 A JP2002181164 A JP 2002181164A
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貞男 石原
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康之 藤原
Tsukasa Yamamura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】歯面と歯端面との境界部たるエッジ部分におけ
る熱歪みを抑えることにより、歯面精度を向上させる。 【解決手段】 浸炭焼入れ又は浸炭浸窒焼入れにより焼
入れ硬化層が形成された歯車であって、歯面における焼
入れ硬化層5の深さに対する歯幅端面1aにおける焼入
れ硬化層の深さの比が0〜0.7とされていることを特
徴とする。歯幅端面1aにおける焼入れを抑えることに
より、歯幅端面1aにおいて、焼入れ時のマルテンサイ
ト変態に伴う体積膨張に因る熱歪みを抑えることができ
る。このため、歯幅端面1aと歯面との境界部たるエッ
ジ部分においても、熱歪みの度合いを小さくすることが
でき、歯面精度の向上を図ることが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両や産業機械等
の各種機械構造物の機械要素のうち歯車として利用され
る高強度・高精度歯車に関し、詳しくは浸炭焼入れ又は
浸炭浸窒焼入れにより焼入れ硬化層が形成された高強度
・高精度歯車に関する。
【0002】
【従来の技術】歯車は、一般に、歯面における耐摩耗性
等を向上させるべく、浸炭焼入れ又は浸炭浸窒焼入れに
より表面硬化処理が施される。
【0003】例えば、浸炭焼入れでは、浸炭処理により
歯車の表面におけるC(炭素)濃度を0.8%程度に高
めた後、焼入れ処理によりオーステナイト状態からマル
テンサイトに変態させて、表面硬度を向上させる。
【0004】ところが、歯車に通常の浸炭焼入れ又は浸
炭浸窒焼入れを施すと、焼入れ時の熱歪みにより、歯面
精度が低下することを避けられない。歯面精度の低下し
た歯車をそのまま用いると、相手材との歯当たりのずれ
等により、振動や騒音の発生源になるという問題があ
る。このため、焼入れ処理後の歯車は、ホーニングに代
表される研磨加工やシェービング等の物理的な仕上げ加
工を実施して、熱歪みを修正してから実用に供されてい
る(特開平2−138554号公報等参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たような物理的な仕上げ加工は、生産性の低下やコスト
アップを招くという問題がある。
【0006】そこで、物理的な仕上げ加工を不要とすべ
く、焼入れ時の熱歪みの発生を極力抑えることのできる
方策が望まれる。
【0007】ところで、上記焼入れ時の熱歪みは、マル
テンサイト変態に伴う体積膨張に因るものである。この
ため、浸炭処理によるC拡散量に応じて変態量が多くな
れば、それだけ体積膨張に因る熱歪みの度合いも大きく
なる。また、マルテンサイト変態自体は焼入れ時の冷却
速度による影響を受け、冷却速度が大きければ、変態量
も多くなって熱歪みの度合いも大きくなる。
【0008】このようにマルテンサイト変態に伴う熱歪
みは、浸炭処理時のC拡散量や焼入れ時の冷却速度によ
る影響を受け、C拡散量が多いほど、また冷却速度が大
きいほど、熱歪みの度合いが大きくなる。
【0009】一方、浸炭処理時のC拡散量及び焼入れ時
の冷却速度は、歯形状による影響を受ける。すなわち、
歯面や歯端面等の面部分は、Cの侵入方向や冷却液との
接触方向が一方向のみであるのに対し、歯面と歯端面と
の境界部等のエッジ部分は、Cの侵入方向や冷却液との
接触方向が二方向以上となる。このため、歯面と歯端面
との境界部等のエッジ部分は、歯面や歯端面等の面部分
と比べて、C拡散量が多く、また冷却速度が大きくな
り、したがって熱歪みの度合いも大きくなる。
【0010】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので
あり、歯面と歯端面との境界部たるエッジ部分における
熱歪みを抑えることにより、歯面精度を向上させた高強
度・高精度歯車を提供することを解決すべき技術課題と
するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の高強度・高精度歯車は、浸炭焼入れ又は浸炭浸窒焼
入れにより焼入れ硬化層が形成された歯車であって、歯
面における焼入れ硬化層の深さに対する歯幅端面におけ
る焼入れ硬化層の深さの比が0〜0.7とされているこ
とを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の高強度・高精度歯車は、
上述のとおり、浸炭焼入れ又は浸炭浸窒焼入れにより焼
入れ硬化層が形成された歯車であって、歯面における焼
入れ硬化層の深さに対する歯幅端面における焼入れ硬化
層の深さの比が0〜0.7とされている。
【0013】ここに、上記歯幅端面とは、歯幅方向にお
ける端面をいう。また、歯面における焼入れ硬化層の深
さに対する歯幅端面における焼入れ硬化層の深さの比
(以下、適宜「硬化比」という)は、歯面全体における
焼入れ硬化層の深さに対する歯幅端面全体における焼入
れ硬化層の深さの比を意味する。ただし、この硬化比を
算出するための便宜を図るべく、上記硬化比は、ピッチ
円上における焼入れ硬化層の深さの比を意味する。すな
わち、図7に示すように、上記硬化比(Wt/Pt)が
0〜0.7ということは、ピッチ円(P)上の歯面
(A)における焼入れ硬化層の深さ(Pt)が1であっ
た場合、ピッチ円(P)上の歯幅端面(B)における焼
入れ硬化層の深さ(Wt)が0〜0.7であることを意
味する。
【0014】このように上記硬化比が0〜0.7とされ
た本発明の高強度・高精度歯車では、歯幅端面における
焼入れが抑えられている。すなわち、高強度が要求され
る歯面においては、必要とされる有効焼入れ硬度を得る
べく、十分な焼入れが施される一方で、高強度が要求さ
れない歯幅端面においては、極力焼入れが抑えられてい
る。こうして歯幅端面における焼入れを抑えることによ
り、歯幅端面において、焼入れ時のマルテンサイト変態
に伴う体積膨張に因る熱歪みを抑えることができる。こ
のため、該歯幅端面と歯面との境界部たるエッジ部分に
おいても、焼入れ時のマルテンサイト変態に伴う体積膨
張に因る熱歪みの度合いを小さくすることができ、もっ
て歯面精度の向上を図ることが可能となる。
【0015】本発明の高強度・高精度歯車は、鋼材を素
材として、塑性加工や切削加工等を行うことにより歯車
成形体とし、この歯車成形体に対して浸炭処理又は浸炭
浸窒処理を施した後に焼入れ処理を施し、必要に応じて
焼き戻し処理を施すことにより、製造することができ
る。
【0016】上記鋼材の種類としては、特に限定される
ものではなく、例えばJIS SCr420H等のクロ
ム鋼、JIS SCM420H等のクロム・モリブデン
鋼、JIS SNCM420H等のニッケル・クロム・
モリブデン鋼等を用いることができる。
【0017】上記浸炭処理又は浸炭浸窒処理や焼入れ処
理の条件は、特に限定されるものではなく、歯面におけ
る必要な強度等を確保すべく適宜設定可能である。な
お、歯面における焼入れ硬化層の深さは、0.2〜2.
0mm程度とすることができる。
【0018】ただし、浸炭処理又は浸炭浸窒処理をする
際に、少なくとも歯幅端面に対して防炭処理又は浸炭抑
制処理を施すことが必要である。この防炭処理又は浸炭
抑制処理の方法は、歯幅端面にCが侵入することを防止
又は抑制することにより、上記硬化比を0.7以下とな
しうる方法であれば、特に限定されない。例えば、歯幅
端面に防炭剤を塗布したり、浸炭防止部材で歯幅端面を
被覆したり、あるいは銅めっき等の化学処理を歯幅端面
に施したりする方法を採用することができる。また、プ
ラズマ浸炭を利用して、部分的にのみ浸炭処理を施す方
法も採用することができる。
【0019】また、防炭処理又は浸炭抑制処理する範囲
は少なくとも歯幅端面全体であるが、必要に応じてリム
部の端面も防炭処理又は浸炭抑制処理してもよい。リム
部の端面も防炭処理又は浸炭抑制処理すれば、リム部端
面におけるマルテンサイト変態に伴う体積膨張を抑えて
熱歪みの度合いを小さくすることができるので、歯車全
体としての精度を向上させることが可能となり、より好
ましい。
【0020】上記硬化比は、0〜0.7とされるが、歯
面精度をより向上させるべく、0.3以下とすることが
より好ましく、0(零)とすることが最適である。
【0021】
【実施例】以下、本発明の高強度・高精度歯車の具体的
な実施例について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】(実施例1)図1〜図3に示す本実施例は
自動車用トランスミッションギヤに本発明を適用したも
のである。
【0023】この高強度・高精度歯車は、歯形の部分で
軸方向に沿って切った断面図を図1に、正面図を図2に
示すように、外歯1が自己の外周面に設けられた円筒状
のリム2部と、このリム2部と同軸状に配設されるとと
もに該リム部2と略同等の軸方向長さを有する内周側の
ボス部3と、リム部2及びボス部3を一体に結合するリ
ング状の連結部4とから構成されている。
【0024】そして、上記外歯1の両歯幅端面(軸方向
における両端面)1a、1aと、上記リム部2の両軸方
向端面2a、2aとを除く歯車の外表面には、0.7m
m程度の略均一深さの焼入れ硬化層5が形成されてい
る。すなわち、この歯車においては、外歯1の両歯面1
b、1b、外歯1の歯先面1c、外歯1の歯底面(リム
部2の外周面)1d、リム部2の内周面2b、連結部4
の両軸方向端面4a、4a、ボス部3の外周面3a、ボ
ス部3の内周面3b及びボス部3の両軸方向端面3c、
3cに、焼入れ硬化層5が形成されている。
【0025】ここに、外歯1の両歯面1b、1bにおけ
る焼入れ硬化層5の深さ(Pt)は、ピッチ円(P)上
において、0.7mm程度とされている。一方、外歯1
の両歯幅端面1a、1aにおける焼入れ硬化層の深さ
(Wt)は0である。このため、本実施例の歯車は、前
記硬化比(Wt/Pt)が0である。
【0026】なお、この高強度・高精度歯車は、モジュ
ール:2.6、歯数:52、ピッチ円径:172.12
mm、歯はけ:5.2mm、リム部2を含む歯先までの
高さ:21mm、材質:JIS SCr420のはすば
歯車である。
【0027】上記構成を有する本実施例の高強度・高精
度歯車は、以下のようにして製造した。
【0028】まず、鍛造や切削加工等により上記形状を
有する歯車成形体を形成した後、外歯1の両歯幅端面1
a、1a全体と、リム部の両軸方向端面2a、2a全体
に対して、防炭処理を施した。すなわち、図3に示すよ
うに、外歯1の両歯幅端面1a、1aと、リム部2の両
軸方向端面2a、2aとに、防炭剤(商品名「コンドル
サル0090」、ヌスレ(独)社製)6を塗布した。な
お、防炭剤6の塗布は、歯面等をマスキングし、部分浸
漬することにより行った。そして、950℃の変性ガス
中で140分間、浸炭させてから860℃まで放冷して
C拡散させる浸炭処理を行った後、850℃から130
℃まで油中冷却して焼入れ処理し、最後に150℃×
1.5時間の焼もどし処理を実施して、本実施例の歯車
を完成した。
【0029】(実施例2)本実施例の高強度・高精度歯
車は、外歯1の両歯幅端面1a、1a及びリム部2の両
軸方向端面2a、2aに、前記実施例1の焼入れ硬化層
5よりも深さの浅い焼入れ硬化層が形成されている。ま
た、外歯1の両歯面1b、1b、外歯1の歯先面1c、
外歯1の歯底面(リム部2の外周面)1d、リム部2の
内周面2b、連結部4の両軸方向端面4a、4a、ボス
部3の外周面3a、ボス部3の内周面3b及びボス部3
の両軸方向端面3c、3cには、前記実施例1と同様の
焼入れ硬化層5が形成されている。
【0030】ここに、外歯1の両歯面1b、1bにおけ
る焼入れ硬化層5の深さ(Pt)は、前記実施例1と同
様、ピッチ円(P)上において、0.7mm程度とされ
ている。一方、外歯1の両歯幅端面1a、1aにおける
焼入れ硬化層の深さ(Wt)は、ピッチ円(P)上にお
いて、0.21mm程度とされている。このため、本実
施例の歯車は、前記硬化比(Wt/Pt)が0.3とさ
れている。
【0031】本実施例の高強度・高精度歯車は、以下の
ようにして製造した。
【0032】まず、前記実施例1と同様に歯車成形体を
形成した。そして、図4に示すように、浸炭防止部材と
しての一対の銅製スペーサ7、7で歯車の両軸方向端面
を被覆することにより、外歯1の両歯幅端面1a、1a
と、リム部の両軸方向端面2a、2aに対して、浸炭抑
制処理を施した。
【0033】この銅製スペーサ7は、歯車の外径と同等
又は若干大きい外径を有するとともに、歯車のボス部3
の内周面に嵌合可能なリング状突起部7aを有するリン
グ状部材で、リング状突起部7aをボス部3に嵌合させ
た状態で、歯車の両軸方向端面全体を完全に覆うことが
できる形状となされている。
【0034】本実施例では、各上記銅製スペーサ7をボ
ス部3に嵌合させるとともに、各銅製スペーサ7を歯車
の軸方向端面、すなわち外歯1の歯幅端面1a、リム部
2の軸方向端面2a、ボス部3の軸方向端面3aに密着
させた。そして、この状態で、前記実施例1と同様、浸
炭処理、焼入れ処理及び焼もどし処理を施して、本実施
例の歯車を完成した。
【0035】(実施例3)本実施例の高強度・高精度歯
車は、外歯1の両歯幅端面1a、1a及びリム部2の両
軸方向端面2a、2aに、前記実施例1の上記焼入れ硬
化層5よりも深さの浅い焼入れ硬化層が形成されてい
る。また、外歯1の両歯面1b、1b、外歯1の歯先面
1c、外歯1の歯底面(リム部2の外周面)1d、リム
部2の内周面2b、連結部4の両軸方向端面4a、4
a、ボス部3の外周面3a、ボス部3の内周面3b及び
ボス部3の両軸方向端面3c、3cには、前記実施例1
と同様の焼入れ硬化層5が形成されている。
【0036】ここに、外歯1の両歯面1b、1bにおけ
る焼入れ硬化層5の深さ(Pt)は、前記実施例1と同
様、ピッチ円(P)上において、0.7mm程度とされ
ている。一方、外歯1の両歯幅端面1a、1aにおける
焼入れ硬化層の深さ(Wt)は、ピッチ円(P)上にお
いて、0.49mm程度とされている。このため、本実
施例の歯車は、前記硬化比(Wt/Pt)が0.7とさ
れている。
【0037】本実施例の高強度・高精度歯車は、前記実
施例2において、銅製スペーサ7を歯車の軸方向端面に
密着させずに、銅製スペーサ7と歯車の軸方向端面との
間に0.3mmのクリアランスを設けること以外は、前
記実施例2と同様の方法により製造した。
【0038】(比較例1)この歯車は、外歯1の両歯幅
端面1a、1a及びリム部2の両軸方向端面2a、2a
に防炭処理又は浸炭抑制処理を何ら施さないこと以外
は、前記実施例1と同様に製造したもので、外歯1の両
歯幅端面1a、1a及びリム部2の両軸方向端面2a、
2aにも、他の表面に形成された前記実施例1の焼入れ
硬化層5が形成されている。その他の構成は、前記実施
例1と同様である。
【0039】このため、この歯車は、前記硬化比(Wt
/Pt)が1.0とされている。
【0040】(比較例2)この歯車は、前記比較例1の
歯車について、外歯1の両歯面1b、1bをホーニング
加工したものである。
【0041】(評価1)前記実施例1〜3及び比較例
1、2の各歯車について、歯形個内変化量を調べた。す
なわち、ひとつの歯車において、焼入れ処理前の外歯の
歯面に対する、焼入れ処理及び焼もどし処理後の外歯1
の歯面1bの歪み量を、各外歯1について測定し、その
歪み量の最大値を歯形個内変化量として評価した。
【0042】結果を図5に示すように、防炭処理又は浸
炭抑制処理を何ら施していない比較例1の歯車の歯形個
内変化量が5μm程度であったのに対し、防炭処理を施
した本実施例1の歯車、並びに浸炭抑制処理を施した本
実施例2及び3の歯車は、いずれも歯形個内変化量が4
μm程度以下であり、歯面精度の向上が認められた。特
に、前記硬化比が0である実施例1及び前記硬化比が
0.3である実施例2の歯車は、歯形個内変化量が比較
例1の歯車の半分以下となっており、ホーニング加工を
施した比較例2の歯車と同程度に歯面精度が向上した。
【0043】(評価2)前記実施例1及び前記実施例2
の各歯車について、ピッチ円上の歯面1bにおける硬さ
分布と、ピッチ円上の歯幅端面1aにおける硬さ分布と
をそれぞれ調べた。
【0044】その結果を図6に示す。なお、図6中、実
線は、実施例1及び実施例2の歯車の歯面1bにおける
硬さ分布を示し、点線は、防炭処理を施した実施例1の
歯車の歯幅端面1aにおける硬さ分布を示し、一点鎖線
は、浸炭抑制処理を施した実施例2の歯車(硬化比:
0.3)の歯幅端面1aにおける硬さ分布を示す。
【0045】図6から明らかなように、防炭処理を施し
た実施例1に係る歯幅端面1a及び浸炭抑制処理を施し
た実施例2に係る歯幅端面1aは、通常の浸炭焼入れ処
理を施した歯面1bと比べて、焼入れ処理による表面硬
化度合いが少なかった。特に、防炭処理を施した実施例
1に係る歯幅端面1aは、最表面においてもほとんど硬
化していなかった。
【0046】(実施例4)本実施例の高強度・高精度歯
車は、外歯1の両歯幅端面1a、1a全体にのみ防炭処
理を施して外歯1のリム部2の両軸方向端面2a、2a
全体には防炭処理を施さないこと以外は、前記実施例1
と同様に製造したものである。すなわち、この歯車にお
いて、外歯1の両歯幅端面1a、1aには焼入れ硬化層
が形成されておらず、他の表面には前記実施例1の焼入
れ硬化層5が形成されている。その他の構成は、前記実
施例1と同様である。
【0047】このため、この歯車は、前記硬化比(Wt
/Pt)が1.0されている。
【0048】(比較例3)この歯車は、外歯1の両歯幅
端面1a、1aのうち歯たけの1/2の高さから歯先ま
での範囲(歯先側の1/2の範囲)にのみ防炭処理を施
して、両歯幅端面1a、1aのうち歯底から歯たけの1
/2の高さまでの範囲及びリム部2の両軸方向端面2
a、2a全体には防炭処理を施さないこと以外は、前記
実施例1と同様に製造したものである。すなわち、この
歯車において、外歯1の両歯幅端面1a、1aのうち歯
たけの1/2の高さから歯先までの範囲にのみ焼入れ硬
化層が形成されておらず、他の表面には前記実施例1の
焼入れ硬化層5が形成されている。その他の構成は、前
記実施例1と同様である。
【0049】(比較例4)この歯車は、外歯1の両歯幅
端面1a、1aのうち歯たけの2/3の高さから歯先ま
での範囲(歯先側の1/3の範囲)にのみ防炭処理を施
して、両歯幅端面1a、1aのうち歯底から歯たけの2
/3の高さまでの範囲及びリム部2の両軸方向端面2
a、2a全体には防炭処理を施さないこと以外は、前記
実施例1と同様に製造したものである。すなわち、この
歯車において、外歯1の両歯幅端面1a、1aのうち歯
たけの2/3の高さから歯先までの範囲にのみ焼入れ硬
化層が形成されておらず、他の表面には前記実施例1の
焼入れ硬化層5が形成されている。その他の構成は、前
記実施例1と同様である。
【0050】(評価3)前記実施例1及び実施例3、並
びに前記比較例3及び比較例4の歯車について、歯形個
内変化量を測定し、防炭範囲の歯形個内変化量に対する
影響を調べた。
【0051】その結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】実施例1と実施例3とを比較すると明らか
なように、歯幅端面1a全体のみならず、リム部2の端
面2a全体にも防炭処理することにより、歯面1bにお
ける歪み量をより低減させることができる。また、実施
例3、比較例3及び比較例4を比較すると明らかなよう
に、歯幅端面1aのうち防炭処理する範囲を広げるほ
ど、歯面1bにおける歪み低減効果が向上することがわ
かる。
【0054】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の高強度・高
精度歯車は、歯面における焼入れ硬化層の深さに対する
歯幅端面における焼入れ硬化層の深さの比が0〜0.7
とされており、歯幅端面における焼入れが抑えられてい
ることから、歯幅端面における熱歪みを抑えることがで
きる。このため、該歯幅端面と歯面との境界部たるエッ
ジ部分においても、熱歪みの度合いを小さくすることが
でき、もって歯面精度の向上を図ることが可能となる。
【0055】したがって、本発明の高強度・高精度歯車
によれば、ホーニング加工等の物理的な仕上げ加工を施
すことなく、高い歯面精度を得ることが可能となり、生
産性及びコスト面で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の高強度・高精度歯車を示し、歯形
部分で軸方向に沿って切断した部分断面図である。
【図2】 実施例1の高強度・高精度歯車の正面図であ
る。
【図3】 実施例1に係り、防炭処理する範囲を説明す
る図である。
【図4】 実施例2の高強度・高精度歯車を製造する様
子を説明する断面図である。
【図5】 歯形個内変化量の評価結果を示す棒グラフで
ある。
【図6】 硬さ分布を示す線図である。
【図7】 硬化比を説明するためのずであり、(a)は
歯形の斜視図、(b)は歯形をピッチ円上で切った断面
図である。
【符号の説明】
1…歯形 1a…歯幅端面 1b…歯面 2…リム部 2a…軸方向端面 5…焼入れ硬化
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C21D 9/32 C21D 9/32 A (72)発明者 藤原 康之 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 山邨 典 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3J030 BC03 BC06 CA10 4K028 AA01 AA03 AB01 AB06 4K042 AA18 BA03 DA06

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浸炭焼入れ又は浸炭浸窒焼入れにより焼
    入れ硬化層が形成された歯車であって、 歯面における焼入れ硬化層の深さに対する歯幅端面にお
    ける焼入れ硬化層の深さの比が0〜0.7とされている
    ことを特徴とする高強度・高精度歯車。
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