JP3184411B2 - 低歪み型浸炭焼入れ歯車用鋼 - Google Patents
低歪み型浸炭焼入れ歯車用鋼Info
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Description
設機械、産業機械等の歯車用鋼材として好適な、浸炭焼
入れ時の歪み量が極めて少ない、低歪み型浸炭焼入れ歯
車用鋼に関するものである。
時における静粛性が頗る向上しており、運転時に生ずる
騒音は、主として歯車から発生するギヤノイズによるも
のである。ギヤノイズは、歯車の噛み合いの不具合によ
って発生するものであり、このような歯車の噛み合いの
不具合は、所定形状に成形された歯車用鋼材に対し、そ
の表面を硬化するために浸炭焼入れまたは浸炭窒化焼入
れ(以下、浸炭焼入れと総称する)処理を施したときに
生ずる歪みのためである。
に、マルテンサイトの生成による変態応力(オーステナ
イト組織からマルテンサイト組織に変態するときに生ず
る体積膨張に起因する応力)が発生するため、鋼材に歪
みの生ずることが避けられず、その結果、歯車の寸法精
度を高く維持することができない。特に、自動車のトラ
ンスミッション用ギヤにおいては、騒音に対して極めて
厳しい制限があるにもかかわらず、小さく且つ肉厚が薄
く、そして、内部の組織が、一部ベイナイトを含むマル
テンサイト主体の組織になっているために、浸炭焼入れ
時に歪みが生じやすく、これが歯車騒音の最大の発生原
因になっている。
炭焼入れされた歯車用鋼材に対し、機械研削により浸炭
層を部分的に削り取る歯形修正処理を施して焼入れ歪み
量を低減させればよいが、このような機械研削による歯
形修正は、製造工程が増えることにより生産性が大幅に
低下し、且つ、製造コストが高騰する上、表面硬さや残
留応力にむらが生ずるので、品質上からも問題がある。
れ後、歯形修正処理を施さずに使用することが多く、従
って、浸炭焼入れされた歯車の精度向上のために、焼入
れ歪み量を低減することが必要とされている。このよう
な、浸炭焼入れ歪み量は、素材の焼入れ性によって大き
く影響される。更に、浸炭焼入れは、通常約 920℃の高
温で行われるので、浸炭中にオーステナイト結晶粒が粗
大化することも、歪み発生原因の一つとされている。
については、従来から種々の研究がなされており、例え
ば、焼入れ性がジョミニーバンドの下限になるように、
鋼の化学成分組成を特定の狭い範囲内にコントロールし
て、焼入れ性を低く抑える方法や、また、特開平4−24
7848号公報、特開昭59−123743号公報等に開示されてい
るように、鋼中に、Al,Ti,Nb等の結晶粒微細化元素を
含有させて、結晶粒を微細に調整する方法(以下、先行
技術1という)が知られている。
特定範囲のSi,Mn,Cr,MoおよびV等を含有す
る鋼からなる歯車に対し、浸炭窒化処理を施した後、歯
表面部即ち浸炭窒化部のAr1変態点以下の温度域まで
冷却し、次いで、再度歯表面部即ち浸炭窒化部のAr3
変態点以上で歯内部(非浸炭部)のAr1変態点以下の
温度域に保持した後、焼入れ焼戻しを行うことにより、
歯表面部をマルテンサイト組織に保ちつつ、歯内部を微
細なフェライト・パーライト組織にする方法(以下、先
行技術2という)が開示されている。
テンサイト変態に伴う歪みの発生を抑制するのに限界が
あり、歪みを十分に小さくすることができない問題があ
る。また、先行技術2には、歯内部(非浸炭部)がフェ
ライト・パーライト組織であるために、十分な靭性を確
保することが困難であり、且つ、熱処理操作が複雑で、
生産性を阻害するのみならず、コスト高になる問題があ
る。
を解決し、浸炭焼入れ処理による歪みの発生が極めて少
なく、寸法精度の高い歯車が得られ、その使用時にギヤ
ノイズが生ぜず、しかも熱処理が容易で経済的に製造し
得る、例えば、自動車、建設機械、産業機械等の歯車用
材料として好適な低歪み型浸炭焼入れ歯車用鋼を提供す
ることにある。
観点から、浸炭焼入れ処理による歪みの発生が極めて少
なく、寸法精度の高い歯車が得られる低歪み型浸炭焼入
れ歯車用鋼を開発すべく鋭意研究を重ねた。
主原因は、オーステナイト組織がマルテンサイト組織に
変態するときに生ずる体積膨張に起因する歪み量にある
ことから、本発明者等は、焼入れ前の加熱時に、オース
テナイト組織中にフェライトを10〜70%混在させ、浸炭
焼入れ後の組織をフェライト・マルテンサイト二相組織
とすることにより、焼入れ歪み量が大幅に低減すること
を見出した。
組織中にフェライトを混在させるためには、Ac3 変態温
度を高める必要がある。そこで、鋼中のSi,Mn,Cr,Mo
およびV の、Ac3 変態温度に及ぼす影響について詳細に
検討した結果、これらの元素の含有量を調整することに
より、通常の浸炭条件で容易にフェライト・マルテンサ
イト二相組織が得られ、且つ、フェライト強化元素によ
って歯内部(非浸炭部)が強化され、疲労強度を低下さ
せることなく、焼入れ歪み量を大幅に低減し得ることを
知見した。
ものであって、この発明の低歪み型浸炭焼入れ歯車用鋼
は、 炭素(C) : 0.10 〜0.35wt.%、 シリコン(Si) : 1.0 〜2.50wt.%、 マンガン(Mn) : 0.20 〜1.50wt.%、 クロム(Cr) : 0.10 〜1.50wt.%、 ニッケル(Ni) : 0.01 〜0.50wt.%、 モリブデン(Mo) : 0.01 〜1.50wt.%、 アルミニウム(Al): 0.01 〜0.10wt.%、 および、 残り :鉄(Fe)および不可避不純物 からなっており、更に、必要に応じて、 バナジウム(V) : 0.01 〜0.50wt.%、 ニオブ(Nb) : 0.01 〜0.10wt.%、および、 ジルコニウム(Zr): 0.01 〜0.10wt.%。 からなる群から選んだ少なくとも1つの元素を、更に付
加的に含有しており、下記 (1)式によって算出されるAc
3点パラメーターが、850〜940 ℃の範囲内であり、 Ac3=920 −203 √C +44.7Si+31.5Mo−30Mn−15.2Ni−11Cr+400Al ---(1) 下記(2) 式によって算出される理想臨界直径(D1)が、6
0〜400 mmの範囲内であり、 D1=7.95√C(1+0.70Si)(1+3.3Mn)(1+2.16Cr)(1+0.36Ni)(1+3.00Mo) --- (2) そして、浸炭焼入れ後における非浸炭部の内部組織が、
フェライトを10〜70%含むマルテンサイトよりなる2相
組織であることに特徴を有するものである。
入れ性を向上させる元素であるSiおよびMoの含有量を増
加させることによって、浸炭焼入れ処理により容易にフ
ェライト・マルテンサイト二相組織とすることができ、
フェライトがマルテンサイトの膨張歪みを吸収すること
によって、焼入れ歪み量が大幅に減少する上、焼入れ時
の芯部硬さも十分に確保できるので、従来鋼と遜色のな
い疲労強度が得られる。
の向上を目的として、ショットピーニング処理が施され
ることが多いが、本発明鋼によれば、粒界酸化層が低減
し、焼入れ不良組織が発生しないので、ショットピーニ
ング処理を施しても、表面粗さが劣化することはなく、
従って、面疲労強度が向上する。
学成分組成を、上述した範囲内に限定した理由につい
て、以下に述べる。 (1) 炭素(C) :炭素は、浸炭焼入れによる芯部強度を保
証する上で必要な基本的元素であり、その作用を発揮さ
せるためには、0.10wt.%以上含有していることが必要で
ある。しかしながら、炭素含有量が0.35wt.%を超えると
靭性の劣化および被削性の低下を招く。従って、炭素含
有量は0.10〜0.35 wt.% の範囲内に限定すべきである。
価な元素である。しかしながら、シリコン含有量が1.
00wt.%未満では、浸炭処理時に浸炭ガス中の微量
酸素と結合する表層近傍部のシリコン濃度が低いため
に、上記微量酸素が鋼の深部まで侵入して、粒界酸化層
が著しく深くなる結果、疲労強度の低下を招く。一方、
シリコン含有量が2.50wt.%を超えて過剰になる
と、SiO2系の介在物が増加する結果、逆に疲労強度
の低下を招く。従って、シリコン含有量は、1.00〜
2.50wt.%の範囲内に限定すべきである。
を向上させそして芯部強度を確保するのに有効な元素で
あり、その作用を発揮させるためには、0.20wt.%以上含
有させることが必要である。しかしながら、マンガンに
は、Ac3 変態点を低下させる作用があるので、その含有
量が1.50wt.%を超えて多量になると、二相組織が得られ
なくなるだけでなく、硬度が高くなり過ぎ、被削性の劣
化を招く。従って、マンガン含有量は、0.20〜1.50wt.%
の範囲内に限定すべきである。
有効な元素であり、その作用を発揮させるためには、
0.10wt.%以上含有させることが必要である。し
かしながら、クロムには、マンガンと同様に、Ac3変
態点を低下させる作用があるので、その含有量が1.5
0wt.%を超えて多量になると、二相組織が得られな
くなるだけでなく、硬度が高くなり過ぎ、被削性の劣化
を招く。従って、クロム含有量は、0.10〜1.50
wt.%の範囲内に限定すべきである。
性および靭性を向上させるのに有効な元素であり、その
作用を発揮させるためには、0.01wt.%以上含有させるこ
とが必要である。しかしながら、ニッケル含有量が0.50
wt.%を超えて多量になると、硬度が高くなり過ぎ、被削
性が劣化する上、ニッケルは高価なために経済的な不利
を招く。従って、ニッケル含有量は、0.01〜0.50wt.%の
範囲内に限定すべきである。
3 変態点を高め、更に、ニッケルと同様に、焼入れ性、
靭性および疲労強度を向上させるのに有効な元素であ
り、その作用を発揮させるためには、0.01wt.%以上含有
させることが必要である。しかしながら、モリブデン含
有量が1.50wt.%を超えると、その効果が飽和し経済的な
不利を招く。従って、モリブデン含有量は、0.01〜1.50
wt.%の範囲内に限定すべきである。
は、窒素と結合してAlN を生成し、結晶粒を微細化させ
て焼入れ歪みを小さくする上、靭性および疲労強度を向
上させるのに有効な元素であり、その作用を発揮させる
ためには、0.01wt.%以上含有させることが必要である。
しかしながら、アルミニウム含有量が0.10wt.%を超えて
多量になると、アルミナ系介在物が増加する問題が生ず
る。従って、アルミニウム含有量は、0.01〜0.10wt.%の
範囲内に限定すべきである。
れ性を高め疲労強度を向上させるのに有効な元素であ
り、且つ、炭窒化物を生成し結晶粒を微細化させ、焼入
れ歪みを小さく抑える作用を有しており、その作用を発
揮させるためには、0.01wt.%以上含有させることが必要
である。しかしながら、バナジウム含有量が0.50wt.%を
超えると、その効果が飽和し経済的な不利を招く。従っ
て、バナジウム含有量は、0.01〜0.50wt.%の範囲内に限
定すべきである。
微細化するのに有効な元素であり、且つ、浸炭部および
内部の降伏強度を高めて、疲労強度の向上に寄与する作
用を有している。従って、必要に応じ、上記元素の少な
くとも1つを含有させる。しかしながら、ニオブおよび
ジルコニウムの少なくとも1つの含有量が0.01wt.%未満
では、上述した作用が得られない。一方、上記元素の少
なくとも1つの含有量が0.10wt.%を超えると、その効果
が飽和し経済的な不利を招く。従って、ニオブおよびジ
ルコニウムの少なくとも1つの含有量は、0.01〜0.10w
t.%の範囲内に限定すべきである。
かに、不純物としてP, S, Cu等を含有させてもよい。ま
た、切削性を向上させるために、必要に応じて、S, Pb,
Ca,Se 等の快削元素を含有させてもよい。
って算出されるAc3 点パラメーターが 850℃未満では、
浸炭温度に保持しても、オーステナイト中にフェライト
を確保することができない。一方、Ac3 点パラメーター
が 940℃を超えると、フェライト量が過剰になり、芯部
強度が不足する。従って、下記 (1)式によって算出され
るAc3 点パラメーターは850〜940 ℃の範囲内に限定す
べきである。 Ac3=920 −203 √C +44.7Si+31.5Mo−30Mn−15.2Ni−11Cr+400Al ──(1)
は、鋼の焼入れ性を表す値であり、所望の疲労強度を確
保するためには、オーステナイト粒度8番として下記
(2) 式により算出される理想臨界直径(D1)値が60mm以上
であることを必要とする。一方、上記(D1)値が 400mmを
超えると、オーステナイト組織中に混在しているフェラ
イトの効果がなくなり、焼入れ歪み量が大になる。従っ
て、オーステナイト粒度8番として下記(2) 式により算
出される理想臨界直径(D1)は、60〜400mm の範囲内に限
定すべきである。 D1=7.95√C(1+0.70Si)(1+3.3Mn)(1+2.16Cr)(1+0.36Ni)(1+3.00Mo)───(2)
量:内部組織(非浸炭部)のフェライト量が10%未満で
は、マルテンサイトの変態歪みを十分に吸収することが
できず、焼入れ歪み量を小さく抑えることができない。
一方、上記フェライト量が70%を超えると、所望の強度
および靭性を保持することが困難になる。従って、内部
組織(非浸炭部)のフェライト量は、10〜70%の範囲内
に限定すべきである。
比しながら説明する。表1に示す、本発明の範囲内の化
学成分組成、Ac3 点パラメーターおよび理想臨界直径
(D1)を有する本発明鋼No.1〜5、および、化学成分組
成、Ac3 点パラメーターおよび理想臨界直径(D1)の
うちの少なくとも1つが本発明の範囲外である従来鋼N
o.1〜3および比較鋼No.4〜5のスラブを調製した。
て、従来鋼No.1は、JIS SMnC420 であり、従来鋼No.2
は、JIS SCr420であり、従来鋼No.3は、JIS SCM420であ
って、何れも、Si含有量およびAc3 点パラメーターが本
発明の範囲を外れて少なく、更に、従来鋼No.1、2は D
1 値が本発明の範囲を外れて少ない。また、比較鋼No.4
は、D1値が本発明の範囲を超えて多い鋼であり、そし
て、比較鋼No.5は、Ac3 点パラメーターが本発明の範囲
を超えて多い鋼である。
ブを熱間圧延し次いで鍛造して、直径20〜90mmの丸棒鋼
を調製し、得られた丸棒鋼に対し焼準処理を施した後、
焼入れ歪み試験片および疲労試験片に加工した。次い
で、このようにして得られた試験片に対し浸炭焼入れ焼
戻し処理を施した後、下記により、浸炭焼入れ歪み量、
回転曲げ疲労特性および歯車疲労特性を調べた。
から、図1に正面図で図2に側面図で示す、開口部2お
よび円形状空間3を有する円盤状のネイビーC試験片1
を調製した。試験片1の各部の寸法は、次の通りであ
る。 試験片直径(a):60mm、厚さ(b): 12mm 、円形状空間の直
径(c): 34.8mm 、開口寸法(d) :6mm。
10個作成し、この試験片1に対し、900 ℃×3Hrの条件
で浸炭処理後、840 ℃の温度から油焼入れし、次いで、
160℃×2Hrの条件で焼戻したときに生じた開口部2の
変化率を測定し、浸炭焼入れ歪み量とした。表2に、各
鋼の粒界酸化層深さ、焼入れ不良層深さ、有効硬化層深
さ、芯部硬さ、フェライト面積率および焼入れ歪み量を
示す。
から、平行部に半径1mmの切欠きをつけた回転曲げ疲労
試験片(応力集中係数α=1.8)を調製し、この試験片を
浸炭焼入れ処理後、ショットピーニング処理(アークハ
イト:0.6mmA、カバレージ:300%)し、このような処理
の施された試験片に対し、小野式回転曲げ疲労試験機を
使用して107 回の回転曲げ疲労試験を行い、その回転曲
げ疲労強度を測定した。表3に、回転曲げ疲労強度の測
定結果を示す。
ら、切削加工によって外径75mm、モジュール2.5 、歯数
28枚の試験用歯車を調製し、上記回転曲げ疲労特性と同
じ条件で浸炭およびショットピーニング処理を施した
後、得られた試験片に対し、動力循環式歯車疲労試験機
を使用し、回転数3000rpm で疲労試験を行い、繰返し数
107回で破損しなかったトルク値を歯車の歯元強度とし
て求めた。表3に、歯車疲労耐久トルクおよびチッピン
グの有無を併せて示す。
鋼No.1〜3は、フェライト面積率即ちフェライト量が5
〜7%であって本発明の範囲を外れて少なく、粒界酸化
深さおよび焼入れ不良層深さが大で且つ焼入れ歪み量が
多かった。比較鋼No.4は理想臨界直径(D1)値が高いの
で、オーステナイト組織中にフェライトが混在していて
も、焼入れ歪み量が大であった。また、比較鋼No.5は、
フェライト量が76%であり本発明の範囲を超えて多いの
で、芯部硬さが低かった。
鋼に比べ粒界酸化層が大幅に低減して焼入れ不良層が全
く認められず、且つ、浸炭焼入れ特性である、浸炭の有
効硬化層深さおよび芯部硬さは、従来鋼と同等または同
等以上であり、更に、16〜67%のフェライトが存在する
フェライト・マルテンサイト二相組織となっているの
で、焼入れ歪み量は従来鋼の約半分程度まで低下してい
る上、ロット内のばらつきも少なかった。
鋼No.1〜3および比較鋼No.5は、低トルク領域で歯面に
チッピングが発生し、そして、比較鋼No.5は、芯部硬度
が低いために、回転曲げ疲労強度および歯車疲労特性が
劣っていた。これに対して、本発明鋼No.1〜5は、従来
鋼よりも優れた疲労強度および歯元強度を有しており、
且つ、焼入れ不良層がなく、Si含有量の増加によって、
焼戻し軟化抵抗が高くなり、チッピングが発生せず、面
圧強度も強化された。
従来鋼に比べて浸炭焼入れ処理による歪み量が約50%
少ない、歯車の歯元強度に優れた歯車用鋼を、通常の浸
炭焼入れ処理によって得ることができ、歯形修正を施さ
ない自動車用歯車として好適である上、建設機械、産業
機械等の浸炭焼入れ後に歯形修正を必要とする歯車にお
いても、浸炭焼入れ歪み量を減少し得るので、歯形修正
量が少なくて済み、従って、加工コストの低減および生
産性の向上を図ることができる等、多くの工業上優れた
効果がもたらされる。
例を示す正面図である。
Claims (2)
- 【請求項1】炭素(C) : 0.10 〜0.35wt.%、 シリコン(Si) : 1.0 〜2.50wt.%、 マンガン(Mn) : 0.20 〜1.50wt.%、 クロム(Cr) : 0.10 〜1.50wt.%、 ニッケル(Ni) : 0.01 〜0.50wt.%、 モリブデン(Mo) : 0.01 〜1.50wt.%、 アルミニウム(Al): 0.01 〜0.10wt.%、 および、 残り :鉄(Fe)および不可避不純物からなっ
ており、 下記 (1)式によって算出されるAc3 点パラメーターが、
850〜940 ℃の範囲内であり、 Ac3=920 −203 √C +44.7Si+31.5Mo−30Mn−15.2Ni−11Cr+400Al ──(1) 下記(2) 式によって算出される理想臨界直径(D1)が、60
〜400 mmの範囲内であり、 D1=7.95√C(1+0.70Si)(1+3.3Mn)(1+2.16Cr)(1+0.36Ni)(1+3.00Mo)───(2) そして、浸炭焼入れ後における非浸炭部の内部組織が、
フェライトを10〜70%含むマルテンサイトよりなる2相
組織であることを特徴とする、低歪み型浸炭焼入れ歯車
用鋼。 - 【請求項2】 下記からなる群から選んだ少なくとも1
つの元素を、更に付加的に含有している、請求項1記載
の低歪み型浸炭焼入れ歯車用鋼。 バナジウム(V) : 0.01 〜0.50wt.%、 ニオブ(Nb) : 0.01 〜0.10wt.%、および、 ジルコニウム(Zr): 0.01 〜0.10wt.%。
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