JP2819416B2 - 高疲労強度肌焼き品の製造方法 - Google Patents

高疲労強度肌焼き品の製造方法

Info

Publication number
JP2819416B2
JP2819416B2 JP1082238A JP8223889A JP2819416B2 JP 2819416 B2 JP2819416 B2 JP 2819416B2 JP 1082238 A JP1082238 A JP 1082238A JP 8223889 A JP8223889 A JP 8223889A JP 2819416 B2 JP2819416 B2 JP 2819416B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
fatigue strength
fatigue
case
stress
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP1082238A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02259012A (ja
Inventor
達朗 越智
洋一 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP1082238A priority Critical patent/JP2819416B2/ja
Publication of JPH02259012A publication Critical patent/JPH02259012A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2819416B2 publication Critical patent/JP2819416B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は高疲労強度肌焼き品の製造方法にかかわり、
さらに詳しくは自動車、建設機械の歯車、各種シャフト
類等の肌焼き品の製造に際して、材質特性、特に疲労強
度の向上を可能とした肌焼き品の製造方法に関するもの
である。
(従来の技術) 自動車、建設機械の歯車、各種シャフト類等の機械部
品のなかで、特に高疲労強度を必要とするものは、所要
の製品形状に加工後、表面硬化処理が行なわれており、
このためにこれらの製品は通常肌焼き品と呼ばれてい
る。表面硬化処理法としては、浸炭焼入れによる方法が
最も一般的である。
浸炭焼入れとは、例えば、昭和44年10月1日丸善株式
会社発行「鋼の熱処理 改訂5版」85〜97頁に見られる
ように、900℃程度の温度で浸炭処理を行なった後、焼
入れおよび必要に応じて焼戻しを行なうことにより、表
層のみを高炭素マルテンサイトとなし、疲労強度の向上
をはかる手法である。
こうした浸炭焼入れのみの表面硬化法は、例えば昭和
59年6月日本熱処理技術協会発行「熱処理第24巻第3
号」128〜136頁に見られるように、浸炭表層部のオース
テナイト粒界に沿って表面異常層が生成するために硬
さ、圧縮残留応力が低下し、必ずしも充分な疲労強度が
付与出来ないことが従来から問題となっていた。これに
対して、特開昭61−253346公報には、Si:0.10%以下、M
n:0.05%以下に低減して粒界酸化物の生成を抑制し、P:
0.010%以下に抑制して、粒界強度の向上をはかった浸
炭焼入れを行なって使用される材料が示されている。
しかしながら、このような材料を用いてもなおかつ浸
炭焼入れのみの表面硬化法では、特に高疲労強度を必要
とする肌焼き品の疲労強度の保証には、未だ充分である
とは言えないのが現状である。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は、肌焼き品の疲労折損に対して、その
要求特性を保証することができる肌焼き品の製造方法を
提供しようとするものである。
(課題を解決するための手段、作用) 本発明者らは、肌焼き品の高疲労強度化を実現するた
めに種々検討を行なった結果、特定の成分範囲の鋼材に
ついて、表層に特定範囲の量の残留オーステナイトが導
入される条件で浸炭処理を行なった後、予荷重として特
定の条件で繰り返し曲げ応力を付与することによって、
肌焼き品の疲労折損に対してその要求特性を充分満足で
きる優れた疲労強度を実現することが可能であるという
新規な知見を得て、本発明をなしたものである。
すなわち、本発明は以上の知見にもとずいてなされた
ものであって、その要旨とするところは、重量比とし
て、 C:0.10〜0.30%、 Mn:0.50〜2.0%、 S:0.01〜0.20%、 Cr:0.50〜1.50%、 Al:0.02〜0.10%、 N:0.010〜0.025%を含有し、または、さらに Nb:0.020〜0.120%、 Ti:0.005〜0.10%のうち1種または2種を含有し、 Si:0.10%以下、 P:0.010%以下、 O:0.005%以下に制限し、または、さらに Ni:4.0%以下、 Mo:1.0%以下、 V:1.0%以下、 Cu:3.0%以下の1種または2種以上を含有し、残部Fe及
び不可避的不純物からなる鋼材を、所要の製品形状に加
工し、表層0.02mmでの残留オーステナイト量が面積率に
て20〜60%の範囲となるような条件で浸炭処理を行なっ
た後、応力集中部に、最表面での正味の最大応力で70〜
120kgf/mm2の範囲の繰り返し曲げ応力を、103回以下付
与することを特徴とする高疲労強度肌焼き品の製造方法
にある。
以下に本発明を詳細に説明する。
最初に、本発明対象鋼として、成分組成範囲を前記の
如く限定した理由について説明する。
まず、Cは肌焼き品の芯部の強度を増加させるのに有
効な元素であるが、0.10%未満では強度が不足し、また
0.30%を超えると靭性の劣化を招くとともに、肌焼き品
の疲労強度に有用な圧縮残留応力が生じにくくなるた
め、含有量を0.10〜0.30%に定めた。
また、Mn,Crは焼入れ性の向上に有効な元素である
が、Mn:0.50%未満、Cr:0.50%未満ではその効果は不十
分であり、一方Mn:2.0%及びCr:1.50%を超えるとその
効果は飽和し、これらの元素の多量添加は経済性の点で
好ましくないので、これらの含有量をMn:0.50〜2.0%,C
r:0.50〜1.50%とした。
次にSは被削性の向上に有効な元素であるが、その効
果は0.01%未満では不十分であり、一方0.20%を超える
と硫化物系介在物を生成してかえって疲労強度を劣化さ
せるので、含有量を0.01〜0.20%とした。
AlとNは鋼中で化合物AlNを形成し、オーステナイト
結晶粒を微細化する働きがあり、どちらか一方でもAl:
0.020、N:0.010%の下限値より少ないと効果が不足す
る。一方Al:0.10%,N:0.025%を超えるとその効果は飽
和し、むしろ疲労強度を劣化させるので、これらの含有
量をAl:0.02〜0.10%、N:0.010〜0.025%とした。
一方、Siは、浸炭最表層部において粒界酸化物を生成
しやすい元素であり、特にSiが0.10%を超えると疲労強
度劣化が顕著となるため、0.1%を上限とした。
次に、Pは鋼中で粒界偏折を起こし、粒界強度の低下
を介して疲労強度劣化の原因となる。特にPが0.010%
を超えると疲労強度劣化が顕著となるため、0.010%を
上限とした。
また、Oは鋼中で酸化物系介在物を生成し、疲労破壊
の起点となる。特にOが0.005%を超えると疲労強度劣
化が顕著となるため、0.005%を上限とした。
以上が、基本成分系であるが、本発明においてはこの
他さらにオーステナイト結晶粒の微細化をはかることを
目的として、Nb,Tiのいずれか一方または両方を含有さ
せることが出来る。
まずNbは、鋼中で化合物Nb(CN)を形成しオーステナ
イト結晶粒を微細化する働きがあるが、0.020%未満で
はその効果は不十分であり、一方、0.120%を超えると
その効果は飽和し、むしろ疲労強度を劣化させるので、
その含有量を0.020〜0.120%とした。
また、Tiは鋼中で化合物Ti(CN)を形成しオーステナ
イト結晶粒を微細化する働きがあるが、0.005%未満で
はその効果は不十分であり、一方0.10%を超えるとその
効果は飽和し、むしろ疲労強度を劣化させるので、その
含有量を0.005〜0.10%とした。
また本発明対象鋼では、必要に応じて、Ni:4.0%以
下、Mo:1.0%以下、V:1.0%以下、Cu:3.0%以下の1種
または2種以上を含有させる事が出来る。これらの元素
はいずれも焼入れ性の向上に有効であるが、多量添加は
経済性の点で好ましくないために、上記の如く上限値を
規定した。
次に本発明においてはかかる鋼材を、所要の製品形状
に加工し、表層0.02mmでの残留オーステナイト量が面積
率にて20〜60%の範囲となるような条件で浸炭処理を行
なった後、応力集中部に、最表面での正味の最大応力で
70〜120kgf/mm2の範囲の繰り返し曲げ応力を103回以下
付与するのであるが、以下にその理由を述べる。
肌焼き品の疲労強度は、表層の圧縮残留応力が支配的
であり、圧縮残留応力が大きい程疲労強度は向上する。
従来法である浸炭焼入れのみによる方法では、十分な表
層圧縮残留応力を得ることはできないが、本発明法で
は、大きな表層圧縮残留応力を得ることが可能である。
これは、表層に特定範囲の量の残留オーステナイトを導
入し、予荷重として特定の条件で繰り返し曲げ応力を付
与すれば、残留オーステナイト量がマルテンサイト変態
を起こすためである。ただし、いずれか一方でも、表層
0.02mmでの残留オーステナイト量が面積率にて20%未
満、製品の応力集中部に付与する繰り返し曲げ応力が、
最表面での正味の最大応力で70kgf/mm2未満では、得ら
れる圧縮残留応力量が不十分である。一方かかる残留オ
ーステナイト量が面積率にて60%、繰り返し曲げ応力が
120kgf/mm2、繰り返し曲げの回数が103回を超えると、
その効果は飽和し、むしろ予荷重付与の過程で、製品が
破壊する危険性があるので、上記のように規定した。
なお、本発明において、浸炭処理の方法は、特に限定
されるものではなく、例えば、ガス浸炭法、真空浸炭
法、イオン浸炭法等を用いて、本発明の要件を満たせ
ば、任意の条件で行うことができる。また、本発明にお
いては、浸炭処理後、必要に応じて焼戻しを行うことが
できる。さらに、予荷重の付与は、最大応力のみ本発明
の要件を満たせば、最小応力は任意の条件で行うことが
できる。
以下に、本発明の効果を実施例により、さらに具体的
に示す。
(実施例) 第1表の組成を有する鋼材を、切り欠き底直径:8mm、
応力集中係数:1.86の切り欠き付き試験片を用意し、930
℃×240分浸炭(カーボンポテンシャル:0.7〜0.9)→83
0℃×30分保定→油冷(油温:60〜150℃)→160℃×60分
焼戻しの条件で浸炭処理を行った。浸炭処理後(つま
り、予荷重付与前)の表層0.02mmでの残留オーステナイ
ト量(γ)、および小野式回転曲げ疲れ試験によって
評価した疲労限(切り欠き底表面での正味の最大応力値
で表示)を第1表に併せて示す。記号qの鋼材は、本発
明の成分の鋼であるが、浸炭処理後の残留オーステナイ
ト量は、本発明の要件を下回っている。
本発明の要件を満たす試験片はそうでないものに比べ
て、概ね優れた疲労限を示すものの、従来法である浸炭
処理のままでは、疲労限は95kgf/mm2が上限(記号h
鋼)である。
次に、これらの試験片について小野式回転曲げ疲れ試
験機を用い、第2表に示す条件で予荷重を付与した。
C、Dの条件で予荷重付与を行おうとしたものは、全て
予荷重付与の過程で破断した。第3表に、予荷重付与後
の最大圧縮残留応力(深さ方向分布におけるピーク
値)、および小野式回転曲げ疲れ試験によって評価した
疲労限(切り欠き底表面での正味の最大応力値で表示)
を示す。
本発明法によれば、大きな圧縮残留応力が導入され、
従来法の上限値の1.2倍以上である120kgf/mm2以上の優
れた疲労限を有する肌焼き品の製造が可能であることが
わかる。
(発明の効果) 以上述べた如く、本発明法よれば肌焼き品の折損に対
してその要求特性を充分満足できる優れた疲労強度を付
与することが可能となり、産業上の効果は極めて顕著な
るものがある。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21D 8/00 C21D 8/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量比として C:0.10〜0.30%、 Mn:0.50〜2.0%、 S:0.01〜0.20%、 Cr:0.50〜1.50%、 Al:0.02〜0.10%、 N:0.010〜0.025%を含有し、 Si:0.10%以下、 P:0.010%以下、 O:0.005%以下に制限し、 残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼材を、所要の製品
    形状に加工し、表層0.02mmでの残留オーステナイト量が
    面積率にて20〜60%の範囲となるような条件で浸炭処理
    を行なった後、応力集中部に、最表面での正味の最大応
    力で70〜120kgf/mm2の範囲の繰り返し曲げ応力を、103
    回以下付与することを特徴とする高疲労強度肌焼き品の
    製造方法。
  2. 【請求項2】Nb:0.020〜0.120%、Ti:0.005〜0.10%の
    うち1種または2種を含有する請求項1記載の高疲労強
    度肌焼き品の製造方法。
  3. 【請求項3】Ni:4.0%以下、Mo:1.0%以下、V:1.0%以
    下、Cu:3.0%以下の1種または2種以上を含有する請求
    項1または2記載の高疲労強度肌焼き品の製造方法。
JP1082238A 1989-03-31 1989-03-31 高疲労強度肌焼き品の製造方法 Expired - Fee Related JP2819416B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1082238A JP2819416B2 (ja) 1989-03-31 1989-03-31 高疲労強度肌焼き品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1082238A JP2819416B2 (ja) 1989-03-31 1989-03-31 高疲労強度肌焼き品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02259012A JPH02259012A (ja) 1990-10-19
JP2819416B2 true JP2819416B2 (ja) 1998-10-30

Family

ID=13768832

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1082238A Expired - Fee Related JP2819416B2 (ja) 1989-03-31 1989-03-31 高疲労強度肌焼き品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2819416B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0826432B2 (ja) * 1993-03-19 1996-03-13 愛知製鋼株式会社 高品質肌焼鋼
JP3798251B2 (ja) * 2001-03-08 2006-07-19 愛知製鋼株式会社 自動車用足廻り鍛造品の製造方法
JP5886119B2 (ja) 2012-04-25 2016-03-16 新日鐵住金株式会社 肌焼鋼鋼材
JP2014177668A (ja) * 2013-03-14 2014-09-25 Honda Motor Co Ltd ベルト式cvt用プーリー及びこのためのプーリー用鋼
EP3517639A4 (en) 2016-09-20 2020-04-15 Nippon Steel Corporation CARBONED SHAFT COMPONENT

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6119730A (ja) * 1984-07-05 1986-01-28 Toyota Motor Corp 球状黒鉛鋳鉄部品の製造方法
JPH0765140B2 (ja) * 1986-10-20 1995-07-12 大同特殊鋼株式会社 冷間鍛造用肌焼鋼
JPS63235453A (ja) * 1987-03-24 1988-09-30 Kobe Steel Ltd 疲労強度にすぐれる駆動伝達部品

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02259012A (ja) 1990-10-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2579640B2 (ja) 高疲労強度肌焼品の製造方法
JP3517515B2 (ja) 高強度、低熱処理変形歯車およびその製造方法
JP2013112827A (ja) 耐ピッチング性に優れた歯車およびその製造方法
JP2001073072A (ja) 耐ピッチング性に優れた浸炭窒化部品
JP3381738B2 (ja) 機械的強度に優れた機械構造部品の製造方法
JP3405468B2 (ja) 機械構造部品の製造方法
JP3184411B2 (ja) 低歪み型浸炭焼入れ歯車用鋼
JPH10306343A (ja) 冷間鍛造性及び耐ピッチング性に優れた軟窒化用鋼
JP2819416B2 (ja) 高疲労強度肌焼き品の製造方法
JP3543557B2 (ja) 浸炭歯車
JP2790788B2 (ja) 低歪み型浸炭焼入れ歯車用鋼材
JP3551573B2 (ja) 歯切り性に優れた浸炭歯車用鋼
JP2005325398A (ja) 高強度歯車およびその製造方法
JP2769135B2 (ja) 低歪み型浸炭焼入れ歯車用鋼材
JP3927420B2 (ja) 焼戻し軟化抵抗性に優れた肌焼鋼
JP2634894B2 (ja) 浸炭―ショットピーニング用鋼
JPH08260039A (ja) 浸炭肌焼鋼の製造方法
JPH06346142A (ja) 面圧疲労強度に優れた機械構造部品の製造方法
JPS62196322A (ja) 機械構造用部品の製造方法
JP3036401B2 (ja) 肌焼鋼および衝撃疲労特性に優れた浸炭部品
JP3037891B2 (ja) 浸炭部の高周波焼きなましを容易にした高強度肌焼鋼及びその製造方法
JP2769136B2 (ja) 低歪み型浸炭焼入れ歯車用鋼材
JP2004300550A (ja) 高強度肌焼鋼
JP2813917B2 (ja) 高疲労強度構造用鋼
JPH05279794A (ja) 軟窒化用鋼

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees