JP3036401B2 - 肌焼鋼および衝撃疲労特性に優れた浸炭部品 - Google Patents

肌焼鋼および衝撃疲労特性に優れた浸炭部品

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、肌焼鋼とこれを素材と
する浸炭部品に関し、より詳しくは低コスト型の肌焼鋼
と浸炭焼入れ後の衝撃疲労強度に優れた浸炭部品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、構造体の軽量化や高剛性化の目的
から、機械構造用部品に対して高強度化の要求が大きく
なっている。特に、表面硬化のために浸炭処理が施され
る自動車用歯車や各種シャフト類において、エンジンの
高トルク化や自動車の急発進などによるトルク伝達時の
急激な衝撃力増加を背景として、浸炭焼入れ後に高い衝
撃性や衝撃疲労特性を有することが要求されている。
【0003】従来、上記部品の多くは、例えばJIS規
格鋼であるSCr420鋼やSCM420鋼などに浸炭
焼入れ処理を施して製造されてきた。しかし、従来鋼を
素材とした浸炭焼入れ後の部品は、深い硬化層を有する
にもかかわらず浸炭最表層部に不完全焼入れ層を伴った
粒界酸化層が形成されるため、耐曲げ性や耐疲労特性、
特に、耐衝撃性や耐衝撃疲労特性に劣るため部品稼働時
に破損を生じ、それ故高強度化することが難しい状況に
あった。
【0004】上記した問題に対して、特開平6−100
974号公報に耐衝撃性に優れた肌焼鋼が提案されてい
る。しかし、この公報に記載の肌焼鋼はSi量を低減し
て粒界酸化層の軽減を行うことで耐衝撃性の向上を図っ
ているものの、Crを高い範囲で含有するため粒界酸化
層の抑制効果が充分でない場合があって、所望の衝撃特
性を得られないこともあった。加えて、衝撃疲労に対し
ては全く考慮がなされていないので充分な耐衝撃疲労特
性が得られるというものではなかった。また、特開平2
−170944号公報には、浸炭処理時に形成される粒
界酸化層を軽減するためにSi、MnおよびCrの量を
制限し、更に粒界強化のためにP、MoおよびB量の調
整を行った肌焼鋼が開示されている。しかし、この公報
で提案された肌焼鋼を素材としても、なお衝撃性や衝撃
疲労特性を大幅に改善するには至らず、またMoを必須
成分として添加するため経済性での問題もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、浸炭
焼入れ後の衝撃強度と衝撃疲労強度に優れた肌焼鋼とこ
れを素材とする浸炭部品、とりわけ衝撃疲労による破損
に対して優れた耐久性を有する肌焼鋼と浸炭部品を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決するため浸炭部品の素材となる肌焼鋼の化学組成
および浸炭部品の組織について調査・検討を行った結
果、下記(a)〜(g)の知見を得た。
【0007】(a)粒界酸化は浸炭雰囲気中のO(酸
素)が旧オ−ステナイト粒界に侵入し、FeよりOとの
親和力の強いSi、MnおよびCrなどと結合して粒界
に酸化物を形成することによって発生することが知られ
ている。ところで、この粒界酸化層が存在すると、衝撃
的な外部応力が繰り返し加わった場合、ノッチ効果によ
る応力集中につながって破損に至る。すなわち、衝撃的
な外部応力が加わると、亀裂は浸炭部の粒界酸化層から
発生し、この破壊の起点部(浸炭部の粒界酸化層)は粒
界破壊を呈する。従って、この初期亀裂の発生限界応力
を高めることが破損の防止につながる。
【0008】(b)上記のような繰り返しの衝撃的な外
部応力によって破損した部材を調査した結果、破損面は
衝撃による所謂「一発破壊」というよりもむしろ、疲労
による破壊の様相を呈しており、「衝撃疲労」で破損し
たものである。
【0009】(c)衝撃疲労による破損を抑制するため
には、粒界酸化層を低減して衝撃に対する抵抗性、なか
でも衝撃疲労強度を向上させる必要があり、そのために
はSi、MnおよびCrの含有量の規制が有効である。
【0010】(d)発生した亀裂の進展を抑制するため
には、浸炭部の粒界を強化することが第1に必要であ
る。このためにはC、P、S、BおよびMoの含有量を
規制すれば良い。
【0011】(e)衝撃的な外部応力によるところの、
浸炭部での亀裂の発生、発生した亀裂の浸炭部での
進展、の両者の抑制は下記fn1の値が1.30以下の
場合に達成できる。
【0012】fn1=3(Si+0.1Mn+0.5C
r)+215P+8S−(0.01/C)−0.3M
o−40B 但し、式中の元素記号は、その元素の含有量(重量%)
を表す。
【0013】(f)浸炭部の粒界酸化層で発生した亀裂
は、浸炭部から芯部へと伝播・進展し、最終的な破損に
つながる。従って、亀裂の進展を抑制し破損を防止する
ためには、第2に芯部での伝播速度を小さくすると共に
伝播に対する抵抗性を高める必要がある。このために
は、芯部組織を細粒にすることが破面単位を小さくする
上から有効な手段となる。
【0014】(g)芯部がHV 200〜400の硬度お
よびJIS粒度番号で6番以上のオ−ステナイト結晶粒
度であれば、芯部における亀裂進展の伝播速度は小さく
なると共に伝播に対する抵抗性が大きくなる。
【0015】上記知見に基づく本発明は下記(1)と
(2)の肌焼鋼および下記(3)の衝撃疲労特性に優れ
た浸炭部品を要旨とする。
【0016】(1)重量%で、C:0.05〜0.40
%、Si:0.10%以下、Mn:0.20〜2.50
%、P:0.015%以下、S:0.015%以下、C
r:0.20%以下、Mo:1.00%以下、B:0.
0030%以下、Al:0.005〜0.050%、
N:0.005〜0.030%を含有し、残部はFeお
よび不可避不純物からなり、且つ、前記したfn1の値
が1.30以下であることを特徴とする肌焼鋼。
【0017】(2)上記(1)に記載の成分に加えて更
に、重量%で、0.005〜0.030%のNb、0.
005〜0.050%のVと0.005〜0.050%
のTiのうちの1種以上を含有し、且つ、前記fn1の
値が1.30以下であることを特徴とする肌焼鋼。
【0018】(3)素材が、上記(1)と(2)のいず
れかに記載の鋼であって、浸炭焼入れ後の芯部が、HV
200〜400の硬度およびJIS粒度番号で6番以上
のオ−ステナイト結晶粒度である衝撃疲労特性に優れた
浸炭部品。
【0019】なお、浸炭焼入れ後の芯部とは浸炭してい
ない部分のことをいう。
【0020】
【作用】以下、本発明についてその作用効果と共に詳し
く説明する。なお「%」は「重量%」を意味する。
【0021】(A)化学組成 C:Cは鋼の焼入れ性を高めて芯部強度を確保するため
に添加するが、その含有量が0.05%未満では添加効
果に乏しく、一方、0.40%を超えて含有すると鋼
(芯部)の靱性が劣化することに加えて、部品成形加工
時の被削性も低下することとなる。従って、Cの含有量
を0.05〜0.40%とした。
【0022】Si:Siは脱酸剤として添加されるよう
にFeより酸化され易く、浸炭表層部に粒界酸化物を生
成して曲げ性や衝撃強度、衝撃疲労強度を低下させる元
素である。
【0023】しかし、その含有量が0.10%以下であ
れば、浸炭後の粒界酸化層を無視できるまでに低減でき
るのでこの値を上限とした。一方、Siの含有量は少な
いほど粒界酸化を低減できるので下限は特に設けない。
【0024】Mn:Mnは鋼の焼入れ性を向上し、芯部
強度を確保するのに有効な元素である。しかし、その含
有量が0.20%未満では充分な焼入れ性を確保できな
い。一方、2.50%を超えると鋼の被削性が大きく低
下すると共に、SiほどではないがFeより酸化されや
すい元素であるので、急激に粒界酸化層が増加し曲げ性
や衝撃強度、衝撃疲労強度が劣化する。従って、Mnの
含有量を0.20〜2.50%とした。
【0025】P:Pは浸炭時にオ−ステナイト粒界に偏
析し、浸炭層のオ−ステナイト粒界の強度を著しく低下
させる好ましくない不純物元素である。そこで、Pの粒
界偏析による粒界脆化を少なくし、所望特性(曲げ性や
衝撃性、衝撃疲労性)の劣化を防止するため0.015
%を上限とした。
【0026】S:Sは結晶粒界に残存して粒界強度を著
しく低下させ、曲げ性や衝撃性、衝撃疲労性の劣化をも
たらす好ましくない不純物元素である。そこで、Sの結
晶粒界残存による粒界強度の低下を小さくし、所望特性
(曲げ性や衝撃性、衝撃疲労性)の劣化を防止するため
0.015%を上限とした。
【0027】Cr:Crは添加しなくても良い。添加す
れば鋼の焼入れ性が向上して芯部強度が確保できると共
に靱性が向上する効果がある。この効果を確実に得るに
は、Crは0.05%以上の含有量とすることが好まし
い。しかし、CrはOとの親和力がFeに比べて非常に
大きく、浸炭表層部に粒界酸化物を生成して曲げ性や衝
撃疲労特性などを劣化させる。特に、その含有量が0.
20%を超えると浸炭硬化層での各種強度の低下が著し
くなる。従って、Crの含有量の上限を0.20%とし
た。
【0028】Mo:Moも添加しなくても良い。添加す
れば鋼に良好な焼入れ性を確保すると共に靱性を向上す
る作用がある。この効果を確実に得るには、Moを0.
05%以上含有させることが望ましい。しかし、1.0
0%を超えて含有しても前記の効果が飽和して、コスト
的に不利になるばかりであるので、Mo含有量の上限を
1.00%とした。
【0029】B:Bは添加しなくても良い。添加すれば
鋼の焼入性を向上させると共に浸炭層のオ−ステナイト
粒界に偏析して浸炭層の粒界を強化する効果がある。こ
の効果を確実に得るには、Bは0.0003%以上の含
有量とすることが好ましい。しかし、0.0030%を
超えて含有すると焼入れ性向上の効果が飽和するばかり
か、熱間や冷間での加工性が劣化することとなるので、
B含有量の上限を0.0030%とした。
【0030】Al:Alは鋼中のNと反応してAlNを
形成し、浸炭加熱時のオ−ステナイト粒の粗大化を防止
する作用がある。しかし、その含有量が0.005%未
満では所望の効果が得られず、0.050%を超えて含
有させるとその効果が飽和するばかりか、冷間加工性や
被削性が劣化するようになるので、Alの含有量を0.
005〜0.050%とした。
【0031】N:NはAlと反応してAlNを生成し、
浸炭加熱時のオ−ステナイト粒を微細化して鋼の靱性を
向上する作用がある。しかし、その含有量が0.005
%未満ではAlN量が不足して所望の効果が得られず、
0.030%を超えるとその効果が飽和するばかりか冷
間加工性が劣化するようにもなるので、Nの含有量を
0.005〜0.030%とした。
【0032】fn1:既に述べたように、衝撃的な外部
応力によるところの、浸炭部での亀裂の発生、発生
した亀裂の浸炭部での進展、の両者の抑制は衝撃性向上
指標ともいえるfn1の値を1.30以下とした場合に
達成できる。従って、fn1の値を1.30以下にする
必要がある。
【0033】本発明の肌焼鋼には、上記の成分に加えて
更に、Nb、VおよびTiの1種以上を含んでいても良
い。これらの合金元素の作用効果と望ましい含有量は下
記のとおりである。
【0034】Nb、VおよびTi:Nb、VおよびTi
は鋼中のCおよびNと反応して炭窒化物を形成し、浸炭
加熱時のオ−ステナイト粒を微細化して鋼の靱性を向上
する作用がある。従って、Nb、VおよびTiは必要に
応じて添加しても良い。但し、それぞれ0.005%未
満の含有量では上記の効果が得難く、一方、Nbを0.
030%を超えて含有しても、また、VとTiをそれぞ
れ0.050%を超えて含有してもその効果が飽和し、
加えて靱性が劣化することとなる。このため、これらの
元素を1種以上添加する場合は、Nb:0.005〜
0.030%、V:0.005〜0.050%、Ti:
0.005〜0.050%の含有量とするのが良い。
【0035】上記の化学組成を有する肌焼鋼の鋼片は、
例えば、熱間で丸棒に圧延または鍛造された後、必要に
応じて焼準と機械加工を施されて、所要の浸炭部品に加
工され、次いで通常の方法で浸炭焼入れされる。なお、
低温で焼戻しを行うと表面硬度および芯部硬度の大きな
低下を伴わずに靱性を改善できるので、浸炭焼入れ後に
必要に応じて焼戻しされても良い。焼戻しされる場合
は、通常の方法によれば良いが、硬度確保のためその温
度は150〜200℃であることが望ましい。
【0036】(B)浸炭焼入れ後の浸炭部品芯部の硬度 浸炭焼入れは鋼部品の表面を硬化させ、製品として必要
な耐摩耗性などを確保するために行うが、この浸炭焼入
れ後の浸炭部品の芯部硬度はHV 200〜400である
ことが必要である。上記硬度範囲の場合には芯部強度が
確保でき、更に、芯部における亀裂進展の伝播速度が小
さくなると共に伝播に対する抵抗性が大きくなって良好
な衝撃疲労特性が得られる。芯部硬度がHV 200未満
では浸炭焼入れ後に所望の硬化層深さが得られず、また
HV 400を超えると亀裂進展の伝播速度が大きくなっ
て衝撃疲労強度が著しく低下する。
【0037】(C)浸炭焼入れ後の浸炭部品芯部のオ−
ステナイト結晶粒度 浸炭焼入れした時の浸炭部品の芯部オ−ステナイト粒
は、繰り返しの衝撃的な外部応力によって浸炭部の粒界
酸化層で発生した亀裂が、浸炭部から芯部へと伝播・進
展して最終的な破損に至る過程において、芯部での伝播
速度と伝播に対する抵抗性に影響を及ぼす。そして芯部
組織がJIS粒度番号で6番以上のオ−ステナイト結晶
粒度の場合に、小さな破面単位が得られるので、芯部で
の亀裂進展が抑制されて破損の防止につながり、良好な
衝撃疲労特性を達成できることとなる。この粒度番号は
できるだけ大きくすること、換言すれば、結晶粒をでき
るだけ小さくすることが好ましく、粒度番号の上限は特
に規定されるものではない。
【0038】
【実施例】
(実施例1)表1〜4に示す化学組成を有する鋼を通常
の方法により3トン試験炉を用いて溶製した。表1、2
における鋼1〜15は本発明鋼、表2〜4における鋼1
6〜36は成分のいずれかが本発明で規定する含有量の
範囲から外れた比較鋼である。なお、比較鋼における鋼
35および36はそれぞれ従来型のJIS規格肌焼鋼の
SCr420鋼とSCM420鋼である。
【0039】次いで、これらの本発明鋼および比較鋼を
通常の方法によって160mm角の鋼片となした後、1
100℃に加熱してから仕上げ温度950℃で直径30
mmの丸棒に熱間鍛造した。
【0040】その後これらの供試丸棒から図1に示す1
0mm角×55mm長さで3mmRの半円ノッチを有す
る試験片(3点曲げ試験、シャルピー衝撃試験および衝
撃疲労試験用)を切り出し、この試験片に925℃×5
hr(但し、カーボンポテンシャルは0.9%)→油焼
入れ、の浸炭焼入れを施した。なお、一部のものについ
ては180℃×2hr→空冷、の焼戻しも行った。
【0041】次いで、常温シャルピー衝撃試験と、浸炭
部品を代表する歯車の歯元曲げ特性評価の1つとしてス
パン45mm、負荷速度0.05mm/sで常温3点曲
げ試験を行った。更に、衝撃疲労特性を調査するため
に、図2に示す方法により試験片の上方500mmの位
置から分銅を0.5Hzの条件で落下させて試験を行っ
た。なお、衝撃疲労特性は上記の試験の103 回での衝
撃トルクで評価した。また、シャルピー衝撃試験片を用
いて、顕微鏡観察による浸炭部の粒界酸化層の測定、試
験片中心部すなわち芯部の硬度とオ−ステナイト粒度の
測定を行った。
【0042】試験結果を表5〜8に示す。なお3点曲げ
試験の結果は最高荷重時の応力で評価し、これを3点曲
げ強度と表記した。
【0043】表5〜8から本発明鋼である鋼1〜15
は、浸炭部の粒界酸化層が1μm以下と極めて小さく、
また芯部の硬度とオ−ステナイト結晶粒度はいずれも本
発明の規定を満足するため、3点曲げ強度、シャルピー
吸収エネルギーおよび衝撃疲労トルクのすべてに優れ、
外部衝撃応力による所謂「一発破壊」だけでなく、繰り
返しの衝撃的な外部応力による「衝撃疲労」に対しても
大きな抵抗性を有することが明らかである。
【0044】一方、Si、MnおよびCr含有量の高い
比較鋼のうち鋼18、20、27および30並びにJI
S規格鋼の鋼35および36では、大きな粒界酸化層が
生じて、3点曲げ強度、シャルピー吸収エネルギーおよ
び衝撃疲労トルクのすべてが劣っている。
【0045】CとMn含有量の低い比較鋼16と19は
粒界酸化層は生じないものの芯部硬度が低いため衝撃疲
労トルクが劣っている。
【0046】C含有量の高い鋼17とCおよびV含有量
の高い鋼29においては、芯部硬度が400を超えるた
め衝撃疲労トルクが極めて低く、またシャルピー吸収エ
ネルギーも低い。
【0047】PやSの含有量が高く粒界が脆弱な鋼21
と22や、オ−ステナイト粒度が本発明の規定から外れ
た鋼23〜26と28、更には、fn1の値が1.3を
超えた鋼31〜34でもシャルピー吸収エネルギーと衝
撃疲労トルクが小さい。
【0048】(実施例2)前記の表1、2に記載した鋼
1と11(本発明鋼)から、実施例1と同様にして図1
の試験片を切り出し、この試験片に950℃×5hr
(但し、カーボンポテンシャルは0.9%)→油焼入
れ、1000℃×5hr(但し、カーボンポテンシャ
ルは0.9%)→油焼入れ、の浸炭焼入れを施した後、
180℃×2hr→空冷、の焼戻しを行った。こうして
得た試験片を用いて実施例1と同じ方法で常温シャルピ
ー衝撃試験、常温3点曲げ試験、衝撃疲労試験、顕微鏡
観察による浸炭部の粒界酸化層の測定および芯部の硬度
とオ−ステナイト粒度の測定を行った。
【0049】試験結果を表9に示す。表9から本発明鋼
を用いてもオ−ステナイト結晶粒度が本発明で規定する
値を外れるとシャルピー吸収エネルギーと衝撃疲労トル
クが著しく劣化することが明らかである。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】
【表7】
【0057】
【表8】
【0058】
【表9】
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による浸炭
部品は衝撃疲労による破損に対して優れた耐久性を有す
るので、繰り返しの衝撃的な外部応力を受ける自動車用
の歯車やシャフトとして利用することができる。この浸
炭部品は本発明の低コスト型肌焼鋼を素材として比較的
容易に得られるため産業上の効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】常温シャルピー衝撃試験、常温3点曲げ試験お
よび衝撃疲労試験に用いた試験片の説明図である。
【図2】衝撃疲労試験方法の説明図である。
【符号の説明】
1:試験片、2:分銅、3:受け皿、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西田 和彦 福岡県北九州市小倉北区許斐町1番地住 友金属工業株式会社小倉製鉄所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.05〜0.40%、S
    i:0.10%以下、Mn:0.20〜2.50%、
    P:0.015%以下、S:0.015%以下、Cr:
    0.20%以下、Mo:1.00%以下、B:0.00
    30%以下、Al:0.005〜0.050%、N:
    0.005〜0.030%を含有し、残部はFeおよび
    不可避不純物からなり、且つ、下記fn1の値が1.3
    0以下であることを特徴とする肌焼鋼。 fn1=3(Si+0.1Mn+0.5Cr)+2
    5P+8S−(0.01/C)−0.3Mo−40B
  2. 【請求項2】請求項1に記載の成分に加えて更に、重量
    %で、0.005〜0.030%のNb、0.005〜
    0.050%のVと0.005〜0.050%のTiの
    うちの1種以上を含有し、且つ、下記fn1の値が1.
    30以下であることを特徴とする肌焼鋼。 fn1=3(Si+0.1Mn+0.5Cr)+2
    5P+8S−(0.01/C)−0.3Mo−40B
  3. 【請求項3】素材が、請求項1と2のいずれかに記載の
    鋼であって、浸炭焼入れ後の芯部が、HV 200〜40
    0の硬度およびJIS粒度番号で6番以上のオ−ステナ
    イト結晶粒度である衝撃疲労特性に優れた浸炭部品。
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