JP4515329B2 - 耐ケースクラッシング性に優れた熱処理歪の少ない鋼製歯車とその製法 - Google Patents

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本発明は、耐ケースクラッシング性に優れると共に、熱処理歪の少ない鋼製歯車とその製法、並びに該鋼製歯車の製造に用いられる鋼材に関し、本発明は、特に自動二輪車や自動車、船舶、建設機械、その他の産業機械などを含めた機械構造部品として使用される各種鋼製歯車の製造に有効に活用できる。
上述した様な機械構造部品として使用される鋼製歯車の如く、耐疲労特性や耐摩耗性が要求される鋼部品は、肌焼用鋼を所望形状に加工した後、表面硬度を高めるため表面硬化処理が施される。
表面硬化処理法としては、浸炭および浸炭窒化処理(本願明細書では、これらを浸炭窒化処理という)、高周波加熱処理、硬質皮膜処理などが知られているが、優れた加工性(被削性)と芯部に高レベルの高靭性が求められる機械部品に対しては、従来より低炭素の構造用鋼を使用し、高強度化のためガス浸炭窒化処理などにより表面硬度を高める方法が採用されている。
そして、歯車に代表される表面硬化処理部品については、寸法精度を高めて作動時の円滑性や静粛性を高めるため、熱処理歪を極力少なくすることも重要な課題とされており、熱処理歪の低減対策としては、例えば浸炭窒化処理後に200℃程度の塩浴(硝酸塩や亜硝酸塩など)中で冷却・保持した後に空冷するマルクエンチ法や、鋼材の成分組成を適正に調整すると共に、浸炭窒化処理後の部品芯部をオーステナイトとフェライトの2相組織としてから焼入れ処理することにより、マルテンサイト変態に伴う歪を低減する方法(特許文献1)等が提案されている。
しかしこれら従来の方法では、最近における需要者の厳しい要求を満たし得る程度の低歪化は達成できなくなってきている。
特許第3184411号公報
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、浸炭窒化による表面硬化処理時の熱処理歪が少なくて、歯車部品の優れた寸法精度を確保しつつ、歯車用として本来的に求められる強度、とりわけ歯車表層部の歯面剥離損傷(一般に“ケースクラッシング”と称される)に対して優れた特性を発揮せしめ得る様な技術を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る耐ケースクラッシング性に優れた熱処理歪の少ない鋼製歯車は、表面硬さが650〜750Hv、有効硬化層深さが0.1〜0.3mm、非浸炭窒化部(芯部)のフェライト分率が40〜80%、非浸炭窒化部(芯部)の硬さが190〜350Hvであるところに要旨を有している。
本発明に係る上記鋼製歯車は、鋼としての成分組成が
C:0.10〜0.16%(質量%を意味する、以下同じ)、
Si:1.2〜2.0%、
Mn:0.2〜1.0%、
Cr:0.9〜1.5%、
P:0.03%以下(0%を含む)、
S:0.03%以下(0%を含む)、
Al:0.005%以下(0%を含む)、
N:0.005〜0.02%
を満たし、残部が実質的にFeおよび不可避不純物であるものが好ましい。
また本発明の歯車用鋼は、上記特性を備えた鋼製歯車の製造原料となる鋼材であり、
C:0.10〜0.16%、
Si:1.2〜2.0%、
Mn:0.2〜1.0%、
Cr:0.9〜1.5%、
P:0.03%以下(0%を含む)、
S:0.03%以下(0%を含む)、
Al:0.005%以下(0%を含む)、
N:0.005〜0.02%
を満たし、残部が実質的にFeおよび不可避不純物からなり、浸炭窒化・焼入れ後に前掲の特性を示すところに特徴を有している。
更に本発明の製法は、上記特性を備えた鋼製歯車を製造するための有用な方法として位置付けられる発明であり、前述した成分組成の要件を満たす鋼材を歯車状に加工し、浸炭窒化してから焼入れ処理する際に、A1変態点以上、850℃未満の温度域で浸炭窒化処理を行なうと共に、同温度域で焼入れを開始するところに特徴を有している。
本発明によれば、鋼製歯車の表面硬さと有効硬化層深さを特定範囲に調整し、更には、非浸炭窒化部(芯部)のフェライト分率と硬さを特定範囲に調整し、好ましくは更に、鋼材の化学成分を適正に調整することによって、表層部を硬質化するための浸炭窒化時における熱処理歪を最小限に抑えて高い寸法精度を確保しつつ、ケースクラッシングを可及的に抑制し、耐久寿命の著しく改善された鋼製歯車を提供し得ると共に、その様な特性を備えた歯車の素材となる歯車用鋼を提供できる。
本発明者らは前述した様な解決課題の下で、低炭素構造用鋼を対象とし、浸炭窒化による表面硬化処理時における熱処理歪の低減を期して鋭意研究を進めてきた。
その結果、上記熱処理歪の低減には、第一に表面硬化処理後の歯車部品の芯部、すなわち非浸炭窒化部の組織調整が極めて重要で、具体的には、浸炭窒化・焼入れ処理後の芯部組織を初析フェライト面積率で40%以上に制御することが必要であり、そのためには、浸炭窒化処理温度とその後の焼入れ開始温度を適正に調整するのが有効であることを突き止めた。
しかも該芯部組織を、フェライト+マルテンサイト、フェライト+マルテンサイト+ベイナイト、フェライト+マルテンサイト+パーライト、フェライト+ベイナイト+パーライト、フェライト+マルテンサイト+ベイナイト+パーライト等の如き2相以上の複合組織にしてやれば、それにより結晶粒の粗大化が抑えられ、熱処理歪が小さく抑えられることを知った。
しかしこれだけでは尚不十分であり、非浸炭窒化部(歯車芯部)に多量の初析フェライトを有する歯車部品の熱処理歪を低減するには、例えば図1に示す様なUS−NAVY C型試験片を用いた歪試験によって得られる表層硬化部、すなわち有効硬化層深さを適正範囲に制御することも重要であることが判明した。
より具体的に説明すると、たとえば図2は、芯部がフェライト主体の2相組織となる様に浸炭窒化処理することによって得たUS−NAVY C型試験片の表面有効硬化層深さと、歪量の指標である開口率の関係を示したグラフであり、この図からも明らかな様に、通常の鋼製歯車にみられる一般的な有効硬化層深さである0.5mm以上では、本発明が意図するレベルの歪低減効果を得ることはできず、硬化層厚さを決めるときの一般的な標準硬さとされる513Hv換算で0.1mm以上、0.3mm以下の範囲に制御することが極めて重要であるという新たな知見を得た。
一方、歯車芯部組織中の初析フェライト面積率が大きくなるほど熱処理歪は小さくなる傾向を有しているが、反面、初析フェライト面積率が増大するにつれて芯部硬さは低下し、表面の浸炭窒化部との硬度差が大きくなるため、歯車としての使用時に“ケースクラッシング”と呼ばれる歯面剥離現象が発生し、歯車本来の機能が発揮できなくなることが明らかになってきた。
こうした問題点の改善を期して更に研究を重ねた結果、上記の様な歯面剥離現象を抑制するには、第一の要件として、最低限の芯部硬さを確保するため初析フェライト面積率を80%以下に抑えて非浸炭窒化部(芯部)の硬さを190〜350Hvの範囲に制御し、且つ第二の要件として、表面浸炭窒化部の硬さを、従来レベルの800Hv以上から650〜750Hvのレベルに抑えることが極めて有効であることを突き止めた。
そして、上記の様な表面浸炭窒化部の硬さと有効硬化層深さ、更には非浸炭窒化部のフェライト面積率や非浸炭窒化部の硬さを確保しつつ、満足のいく歪低減効果を得るには、浸炭窒化処理温度を鋼材のA1変態点以上、850℃未満の範囲に制御すると共に、その後の焼入れを該温度域で開始し、より好ましくは同一温度±10℃の範囲内に制御すればよいことを知った。
なお上記においてA1変態点とは、下記式によって算出される温度を意味し、鋼を高温から冷却する際に、フェライトとオーステナイト組織がフェライト、セメンタイトから構成される組織に変化する変態点のことで、冷却速度によってフェライト−パーライト、フェライト−ベイナイト、フェライト−マルテンサイト組織に変化する。
1変態点(℃)=723−10.7×Mn(%)−16.9×Ni(%)+29.1×Si(%)+16.9×Cr(%)
こうした条件が、ケースクラッシング防止や歪低減に好結果をもたらす理由は次の様に考えられる。即ち、表面硬質化のための浸炭窒化処理温度とその後の焼入れ温度をA1変態点以上、850℃未満の範囲に制御すると、オーステナイト−フェライト組織からマルテンサイト−フェライト組織へ変態焼入れすることが可能となる。オーステナイトは体積膨張を伴うマルテンサイトへ変態するため、歯車等の焼入れ部品に歪を与えるが、フェライトはA1変態点より高温から焼入れても組織変化を生じないため、オーステナイト単体組織ではなくオーステナイト−フェライト複合組織に置き換えることで歪低減が可能となる。
しかし、オーステナイト−フェライト複合組織から浸炭窒化、焼入れ処理を行うと、非浸炭窒化部(芯部)は軟質なフェライトを含んだベイナイト若しくは微細パーライト組織となって硬さが低下する。このため歯車部品の場合、表面浸炭窒化部の硬さが従来の800Hv以上に達してしまうと、歯車としての使用時にケースクラッシングと呼ばれる歯面表面の剥離損傷が生じ、歯車本来の機能が発揮できなくなってしまう。このケースクラッシングは、表面浸炭部と非浸炭窒化部(芯部)硬さの差が大きい場合に生じる損傷であり、歯車の歪低減も勘案して鋭意研究した結果、(1)非浸炭窒化部(芯部)のフェライト面積率に上限を設け、Siなどのフェライト硬化元素を用いることで硬さを190〜350Hvのレベルまで高め、(2)硬質窒化物を形成するAlなどの量を抑え650〜750Hvのレベルに抑えて表面と芯部の硬さの差を小さくすればケースクラッシングを防止できる、との知見を得た。
しかも、この様に浸炭窒化処理温度とその後の焼入れ開始温度を同じ温度域で遂行できるということは、浸炭窒化から焼入れ処理の間の冷却もしくは加熱といった温度コントロールに要する時間を短縮もしくは省略できることを意味しており、生産効率の向上も図られる。
次に、本発明で使用する鋼材の好ましい成分組成を定めた理由は下記の通りである。
C:0.10〜0.16%
Cは、鋼部品に所定の芯部硬さを与えると共に、硬化処理後の表層硬さと硬化層深さを確保する上で欠くことのできない成分であり、歯車用鋼としてそれらの作用を有効に発揮させるには、鋼中に0.10%以上含有させる必要があり、好ましくは0.12%以上含有させるのがよい。しかし多過ぎると、靭性や被削性、冷間加工性(冷間鍛造性)などが低下するので、0.16%以下、より好ましくは0.14%以下に抑えるのがよい。
Si:1.2〜2.0%
Siは、鋼を溶製する際に脱酸性元素として有効に作用する他、鋼材の変態点を上げて芯部硬さを高める作用を有しており、特に、850℃未満の焼入れ保持温度条件下でも、芯部組織を初析フェライトを含む2相以上の複合組織として熱処理歪を抑える上でも有効に作用する。こうした作用を有効に発揮させるには1.2%以上含有させるべきであり、好ましくは1.5%以上含有させるのがよい。しかし多過ぎると、焼入れ硬化処理性を阻害するばかりか機械加工性や歯車の靭性を著しく劣化させるので、2.0%以下に抑えるべきであり、より好ましくは1.8%以下に抑えるのがよい。
Mn:0.2〜1.0%
Mnは、鋼溶製時の脱酸に有効に作用する他、焼入れ硬化性の向上にも寄与し、更にはMnSを形成することで切削加工性の向上にも寄与する。これらの作用を有効に発揮させるには0.2%以上含有させねばならず、好ましくは0.4%以上含有させるのがよい。しかし多過ぎると、冷間鍛造性や機械加工性に悪影響を及ぼすようになるので、多くとも1.0%以下、より好ましくは0.8%以下に抑えるのがよい。
Cr:0.9〜1.5%
Crは、表面硬化処理時における炭化物や窒化物の形成を助長し、浸炭窒化部の硬度を高める作用を有する他、芯部の焼入れ性を高める作用も有しており、これらの作用を有効に発揮させるには0.9%以上含有させねばならず、好ましくは1.0%以上含有させるのがよい。しかし多過ぎると、結晶粒界への炭化物の析出によって粒界強度を低下させ靭性に悪影響を及ぼす様になるので、1.5%以下、好ましくは1.3%以下に抑えるのがよい。
P:0.03%以下(0%を含む)
Pは結晶粒界に偏析して靭性を劣化させる有害元素であり、こうした障害を回避するには0.03%以下、より好ましくは0.02%以下に抑えるのがよい。
S:0.03%以下(0%を含む)
Sは被削性の向上に有効に作用する元素であり、歯車への加工性を高める上では有効であるが、多過ぎると歯車の靭性を劣化させるばかりか、Mnとの結合によって生成するMnSが破壊の起点となってピッチング寿命を低下させる原因になるので、多くとも0.03%以下、好ましくは0.02%以下に抑えるのがよい。
Al:0.005%未満(0%を含む)
Alは、前述した如く硬質のアルミ窒化物を生成してケースクラッシングを起こさせる元素で、本発明ではNと共に特に注意しなければならない有害元素であり、本発明最大の目的である耐ケースクラッシング性を高めるには、多くとも0.005%以下に抑える必要があり、好ましくは0.003%以下に抑えるのがよい。
N:0.005〜0.02%
Nは、他の元素と結合して窒化物を形成し、結晶粒の粗大化を抑えて靭性の向上に寄与する元素であり、こうした効果を有効に発揮させるには0.005%以上含有させる必要があり、好ましくは0.007%以上とするのがよい。しかし多過ぎると、鍛造時や熱間加工時に割れを起こし易くなるので、0.02%以下、より好ましくは0.015%以下に抑えるのがよい。
本発明で使用する必須構成元素は上記の通りであり、残部は実質的にFeである。ここで「実質的に」とは、前述した各成分元素の作用効果、更には該鋼材を浸炭窒化処理することによって得られる浸炭窒化部品(製品歯車)の特性を阻害しない範囲で、更に他の元素を積極的に含有させ、或いは、鋼原料もしくはその製造工程で混入し得る不可避的な不純物元素の含有を許容することを意味する。その他の不可避不純物としては、Cu,Ni,Mo,O,V,Nb,Ti,B,Pb,Bi,Ca,Mg,As,Zr,Sb,Sn,Te,Se,Ta,W,Co,希土類元素などが例示される。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
実施例
熱間鍛造によって表1に示す成分組成の熱間圧延丸棒(直径65mm)を製造し、焼準、歯切りおよびシェービング加工を行なって歯車を作製した(モジュール:2.0、圧力角:20°、歯数:82、ねじれ角:0°、外径:169.7mm、歯幅:17.5mm)。
浸炭窒化は、カーボンポテンシャル(Cp):0.9%、NH3流量:0.3%の条件下、表2に示す温度で処理した後、80℃の油槽に入れて油焼入れを行なった。焼戻しは全て180℃×90分とした。
歯表面の硬さ、有効硬化層深さ、歯芯部フェライト面積率、歯芯部硬さ、歯車精度、歯面疲労強度を下記の方法で測定し、表2に示す結果を得た。
歯表面の硬さ:
Akashi社製の商品名「MVK−HVL」を用いて、歯丈1/2部位の表面から50μm深さ位置を300gfのビッカースで5点測定し、その平均値とした。
有効硬化層深さ:
Akashi社製の商品名「MVK−HVL」を用いて、歯幅1/2位置の歯底部からギアの中心方向に表面から硬度を測定し、硬度が513Hvとなる位置までの深さを5点測定し、その平均値を有効硬化層深さとした。
歯芯部フェライト分率:
歯芯部とは、歯底を通る円周上で歯幅1/2位置の部位を指す。従ってフェライト面積率は、該歯芯部の縦断面組織をランダムに5視野選んで、光学顕微鏡(Nikon社製の商品名「エピフォトTME200」)により倍率400倍で組織観察し、画像解析によってフェライト組織が占める面積率を求め、その平均値を芯部フェライト分率とした。
歯芯部硬さ:
上記歯芯部の任意の5点を、Akashi社製の商品名「MVK−HVL」を用いて荷重10kgfでビッカース硬度測定し、その平均値を芯部硬さとした。
歯車精度:
歯形測定機(東京テクニカル社製の商品名「TTI−260P」)を用いて、浸炭窒化・焼入れ・焼戻し後の歯車の歯筋たおれの変化量を、図1に示した様なUS−NAVY C型試験片により歯筋長さ80%中心部を評価範囲として5点測定し、その平均値を求めた。
歯面疲労強度:
浸炭窒化・焼入れ・焼戻しして得た各供試歯車(緒元は、モジュール;2.52、圧力角;20°、歯数;22、ねじれ角;30°、外径;70.6mm、歯幅;12mm)について、神鋼造機社製の動力循環式歯車疲労試験機を用いて、面圧:1.9GPa、回転数:1500rpm、油温:80℃の条件で100サイクルまでの疲労試験を行い、ケースクラッシング発生の有無によって評価した。
Figure 0004515329
Figure 0004515329
上記表1,2からも明らかな様に、熱処理No.1,2,9はいずれも本発明で推奨する鋼材成分、浸炭窒化処理温度、焼入れ温度を満たしているため、歯車の表面硬さ、有効硬化層深さ、フェライト面積率、芯部硬さが何れも良好で、且つ歯筋たおれ量も少なくて高い精度と歯車強度を有している。
これに対し熱処理No.3は、浸炭窒化温度と焼入れ温度が好適範囲を外れているため、歯筋たおれ量が大きくて歯車精度が悪く、熱処理No.4は、Al含量が好適要件を外れるため表面硬度が高くなり過ぎて、単体歯車試験(疲労試験)でケースクラッシングが発生しており、熱処理No.5,7,11は、芯部フェライト面積率が好適要件を外れているため、歯筋たおれ量が大きくて精度不足となっている。
また、熱処理No.6,8は、芯部硬さが本発明の規定範囲に満たないため、疲労試験でケースクラッシングを起こし、熱処理No.10は、有効硬化層深さが本発明の規定範囲を超えているため、歯筋たおれ量が大きくて精度不足になっている。
US−NAVY C型試験片を示す図である。 US−NAVY C型試験による表面硬化層深さと開口率の関係を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 浸炭窒化が施された鋼製歯車であって、
    鋼中成分が、
    C:0.10〜0.16%(質量%を意味する、以下同じ)、
    Si:1.2〜2.0%、
    Mn:0.2〜1.0%、
    Cr:0.9〜1.5%、
    P:0.03%以下(0%を含む)、
    S:0.03%以下(0%を含む)、
    Al:0.005%以下(0%を含む)、
    N:0.005〜0.02%、
    Mo:0.01〜0.15%
    を満たし、残部がFeおよび不可避不純物からなり、
    表面硬さが650〜750Hv、有効硬化層深さが0.1〜0.3mm、非浸炭窒化部(芯部)のフェライト分率が40〜80面積%、非浸炭窒化部(芯部)の硬さが190〜350Hvであることを特徴とする耐ケースクラッシング性に優れた熱処理歪の少ない鋼製歯車。
  2. 前記請求項1に記載された成分組成の要件を満たす鋼材を歯車状に加工し、浸炭窒化してから焼入れする際に、A1変態点以上、850℃未満の温度域で浸炭窒化処理を行なう
    と共に、同温度域で焼入れを開始することを特徴とする耐ケースクラッシング性に優れた熱処理歪の少ない鋼製歯車の製法。
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