JP2007039732A - 疲労特性に優れた高強度機械構造用鋼部品およびその製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 浸炭、窒化などの焼入れ熱処理された機械構造用鋼部品において、Cr,Mo,Niなどの高価な焼入れ性向上元素の添加量を極力低減し、熱処理前の状態では優れた加工性を有し、焼入れ・焼戻し後の状態では優れた疲労特性を発揮する高強度機械構造用鋼部品を提供すること。
【解決手段】 C,Si,Mn,B,Nなどの含有率が特定される他、Nb,Ti,Zr,Ta,Hfよりなる群から選択される少なくとも1種の元素を、下記(1)式の関係を満たす範囲で含む、疲労特性に優れた高強度機械構造用鋼部品を開示する。
SM≧1.0×10−5……(1)
但し、SM=[Nb]/92.9+[Ti]/47.9+[Zr]/91.2+[Ta]/181+[Hf]/178
{式中、[Nb],[Ti],[Zr],[Ta],[Hf]は、鋼部品に含まれる各元素の抽出残渣で測定した固溶量(質量%)を表わす}。

Description

本発明は自動車などの輸送機械や、建設機械その他の産業機械などにおいて、浸炭処理などの熱処理を施して使用される機械構造用鋼部品とその製法に関し、特に、軸受やCVT用プーリー、シャフト類、歯車、軸付き歯車などの素材として使用する際に、浸炭処理前の状態では優れた加工性を示し、且つ浸炭熱処理後は高強度と優れた疲労特性を示す機械構造用鋼部品とその製造方法に関するものである。
自動車、建設機械、その他の各種産業機械用として用いられる機械構造用部品において、特に高強度が要求される鋼部品には、従来から浸炭、窒化および浸炭窒化などの表面硬化熱処理(肌焼き処理)が行なわれている。これらの用途には、通常、SCr、SCM、SNCMなどのJIS規格で定められた肌焼用鋼を使用し、鍛造・切削などの機械加工により所望の部品形状に成形した後、浸炭、浸炭窒化などの表面硬化熱処理を施し、その後、研磨などの仕上工程を経て製造される。
ところで、特に高強度が求められる機械構造用の鋼部品では、製品としての要求強度を満たすためCr,Moなどの焼入れ性向上元素を多量添加し、焼入れ処理後の強度を高めることによって高強度化の要請に応えている(特許文献1など)。
また該特許文献1では、粒界酸化物を生成させることなく鋼の焼入れ性を高め、更には浸炭層と非浸炭層の生地を強靭化する作用も有しているNiを多量配合することによって高強度化を増進している。ところが、焼入れ性の向上などを狙って添加される上記元素は概して高価であり、素材コストを高める大きな原因になるという経済的な難点に加えて、それら強化元素量の増大によって熱処理前の鋼材が硬質化し、加工性や切削性が劣化するという現実的な問題が生じてくる。
従って、Cr,Mo,Niなどの焼入れ性向上元素の添加量を抑えることによって、低コスト化を図りつつ、しかも熱処理前の状態では優れた加工性(鍛造性や圧延性など)を有し、且つ、焼入れ処理によって高レベルの強度と疲労特性を発揮し得る様な機械構造用鋼部品の開発が望まれる。
他方、肌焼用鋼を対象としてNb,Tiなどの微量元素を添加し、それらの元素の炭化物や窒化物を微細に析出させることによって熱処理時のオーステナイト(γ)結晶粒の粗大化を防止し、溶接熱影響部などの靭性劣化を防止する技術は知られている(特許文献2,3など)。こうした技術思想は、前掲の特許文献1にも記載されている。しかしこれらの特許文献を含めて、本発明者らの知る限りにおいては、上記の様な微量元素を機械構造用鋼の焼入れ性向上に利用した例は存在しない。
特開平2−170944号公報 特許第3510506号 特開昭9−78184号公報
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、浸炭、窒化などの焼入れ熱処理された機械構造用鋼部品において、Cr,Mo,Niなどの高価な焼入れ性向上元素の添加量を極力低減することにより、熱処理前の状態では、熱間もしくは冷間鍛造などの加工性に優れ、しかも焼入れ性に優れると共に、焼入れ・焼戻し後の状態では優れた疲労特性を発揮する高強度機械構造用鋼部品を提供すると共に、その様な鋼部品の有用な製法を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明の高強度機械構造用鋼とは、質量%で、C:0.10〜0.4%、Si:0.05〜1.5%、Mn:0.3〜3.0%、Mo:0.5%以下(0%を含まない)、B:0.0003〜0.015%、N:0.02%以下(0%を含まない)を満たし、且つ、Nb,Ti,Zr,Ta,Hfよりなる群から選択される少なくとも1種の元素を、各々0.50%以下で、且つ下記(1)式の関係を満たす範囲で含有するところに要旨がある。
SM≧1.0×10−5……(1)
但し、SM=[Nb]/92.9+[Ti]/47.9+[Zr]/91.2+[Ta]/181+[Hf]/178
{式中、[Nb],[Ti],[Zr],[Ta],[Hf]は、鋼部品に含まれる各元素の抽出残渣から測定した固溶量(質量%)を表わす}。
本発明の上記高強度機械構造用鋼部品においては、前掲の必須元素に加えて、求められる部品特性に応じて下記a)〜c)に示す群から選ばれる1種以上の元素を含有させることも有効である。
a)Ni:2.0%以下(0%を含まない)、Cu:2.0%以下(0%を含まない)、Cr:3.0%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも1種の元素、
b)V:0.1%以下(0%を含まない)、
c)Ca:0.005%以下(0%を含まない)、Mg:0.005%以下(0%を含まない)、REM:0.020%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも1種の元素。
また本発明の製法は、上記特性を備えた機械構造用鋼部品を製造するための方法として位置付けられる発明であり、上記化学成分の要件を満たす鋼材を、1250℃以上の温度で均熱処理し、浸炭加熱処理を1000℃以上の温度で行うところに特徴を有している。
本発明によれば、鋼の化学成分を特定し、特に焼入れ性向上元素として公知のMoを必須元素として使用するが、その添加量を最小限に抑え、該Moの減量分を少量のBと、Nb,Ti,Zr,Ta,Hfよりなる群から選択される少なくとも1種の元素を極微量添加することによって補い、熱処理前は優れた加工性を有し、しかも焼入れ性が極めて良好で焼入れ熱処理によって卓越した強度と疲労特性を示す機械構造用鋼部品を、価格的にも十分に需要者の要望を満たすコストで提供できる。
本発明者らは前述した様な従来技術の下で、特にCr,Mo,Niなどの焼入れ性向上元素を極力低減した場合でも、焼入れ性が良好で優れた疲労特性と高強度を有する機械構造部品を得ることができ、しかも焼入れ熱処理前の状態では比較的軟質で優れた加工性を発揮し得る様な焼入れ性機械構造用鋼部品の開発を期して、様々の添加元素について検討を重ねてきた。
その結果、焼入れ性元素としてMoを必須的に使用するが、その量は極力少なく抑え、該Moと共に少量のBと、更には、所謂マイクロアロイと称されるNb,Ti,Zr,Ta,Hfよりなる群から選択される少なくとも1種の元素を微量添加すれば、焼入れ熱処理前の状態では比較的軟質で優れた加工性を有し、しかも、焼入れ性が良好で焼入れ後の強度は飛躍的に高まり、従来の機械構造用鋼を凌駕する強度を示すと共に疲労特性にも優れた機械構造部品が得られることを知り、本発明を完成した。
以下、本発明で機械構造用鋼部品の化学成分を定めた理由を明らかにする。
C:0.10〜0.4%;
Cは、機械構造用部品として必要な芯部硬さを確保する上で重要な元素であり、0.10%未満では硬さ不足により機械構造用部品としての静的強度が不足気味となる。しかしC量が多過ぎると、硬くなり過ぎて芯部の靭性が悪くなるばかりか、焼入れ熱処理前の加工性も悪くなるので、0.4%以下に抑える必要がある。より好ましいC含量は、0.15%以上、0.3%以下、更に好ましくは0.17%以上、0.25%以下である。
Si:0.05〜1.5%;
Siは脱酸剤として作用し、酸化物系介在物量を低減して内部品質を高める作用を有すると共に、焼戻し処理による硬さ低下を抑えて焼入れ処理後の表層硬さを確保するのに有効な元素であり、これらの効果を有効に発揮させるには0.05%以上の添加を必要とする。しかしSiが多過ぎると、鋼素材が硬くなり過ぎて加工性が劣化する他、焼入れ処理時に粒界酸化層の形成を助長して疲労特性を劣化させるので、1.5%を上限と定めた。より好ましいSi含量は、0.10%以上、1.0%以下、更に好ましくは0.2%以上、0.8%以下である。
Mn:0.3〜3.0%;
Mnは脱酸剤として作用し、酸化物系介在物量を低減して鋼材の内部品質を高める作用を有すると共に、焼入れ性を高める上でも欠くことのできない元素であり、これらの作用を有効に発揮させるには0.3%以上含有させねばならない。しかし、Mnが多過ぎると熱間鍛造などの加工性が悪くなるので、多くとも3.0%を超えない様に制御すべきである。Mnのより好ましい含有量は0.5%以上、2.0%以下、更に好ましくは0.75%以上、1.5%以下である。
Mo:0.5%以下(0%を含まない);
Moは鋼中に固溶し、後述する固溶Bや固溶Nb,Ti,Zr,Hf,Taと複合して焼入れ性を著しく高める作用を有する他、浸炭・窒化部や芯部の強度、靭性を高める作用を有する重要な元素であるが、多過ぎると、熱間加工後の硬度が高くなり過ぎて冷間加工性が著しく低下するので0.5%を上限とする。Moの好ましい上限は0.3%、更に好ましくは0.2%以下である。下限は特に存在しないが、好ましくは0.03%以上、更に好ましくは0.08%以上である。
B:0.0003〜0.015%;
Bは、熱間もしくは冷間加工性を劣化させることなく焼入れ性や靭性を高める上で欠くことのできない元素であり、本発明の如く固溶Moと、同じく固溶したNb,Ti,Zr,Ta,Hfから選ばれる元素との複合によって焼入れ性を飛躍的に高め、高強度化に寄与する。こうした効果を有効に発揮させるには、Bを0.0003%以上含有させなければならず、好ましくは0.0006%以上、更に好ましくは0.0012%以上含有させるのがよい。しかしその効果は0.015%で飽和するので、それ以上の添加は経済的に無駄である。より好ましいB含量の上限は0.005%、更に好ましくは0.0035%以下である。
N:0.02%以下(0%を含まない);
Nは鋼の溶製工程で不可避的に混入してくる不純物元素であり、後述するNb,Ti,Zr,Ta,Hfと結合し窒化物系の粗大介在物となって疲労特性を劣化させるので、極力少なく抑えるのがよく、多くとも0.02%以下、好ましくは0.01%以下、更に好ましくは0.007%以下に抑えるのがよい。
Nb,Ti,Zr,Ta,Hfよりなる群から選択される少なくとも1種の元素:各々0.50%以下で、且つ前記(1)式、即ち「SM≧1.0×10−5」の関係を満たす範囲;
本発明では、上記5種類の元素の含有量を、各々0.50%以下に抑えると共に、「SM≧1.0×10−5」の範囲に制御することを必須の要件とする。
ここで「SM」とは「[Nb]/92.7+[Ti]/47.9+[Zr]/91.2+[Ta]/181+[Hf]/178」、即ち、焼入れ・焼戻し処理された鋼部品の抽出残渣分析によって得られる各元素の固溶量と炭化物や窒化物の如き析出物の総和である。固溶量は、電解抽出によって得られる残渣を化学分析し、添加量と析出物との差によって算出されるが、析出物は0.1μmのフィルターを用いて採取するため、固溶しているものと数nmレベルの析出物はフィルターを通り抜ける。そのため、ここでの固溶量は、実際に固溶している量とnmレベルの微細析出物との総和となる。
従って、SM値が大きいということは固溶量と微細析出物の量が多いことを意味しており、本発明者らが確認したところによると、SM値が大きいほど疲労特性は高まり、この値が1×10−5以上であるものは高い疲労特性を示すのに対し、1×10−5未満であるものの疲労特性は劣悪であることが分かった。その理由は、固溶したNb,Ti,Zr,Ta,Hf自体が疲労特性の向上に寄与するばかりでなく、焼戻し時に析出した微細析出物が疲労特性の一層の向上に寄与しているためと考えられる。より高レベルで安定した疲労特性を発揮させるには、SM値を2×10−5以上とするのがよく、更に好ましいSM値は4×10−5以上である。
なお上記5種類の元素のうち、TiはNを固定してBの固溶を促進する作用が顕著であるため、0.01%以上、より好ましくは0.03%以上含有させるのがよい。しかし0.5%を超えると、析出する窒化物が粗大化して疲労特性に悪影響を及ぼす様になるので、多くとも0.5%以下、好ましくは0.1%以下、更に好ましくは0.05%以下に抑えるのがよい。
これに対しNbは粗大な窒化物を生成することがないため、0.5%以上含有させても構わない。しかし、疲労特性の改善効果がそれ以上高まる訳ではなく経済的に不利であるので、0.5%以下に抑えるのがよく、より好ましくは0.1%以下、更に好ましくは0.05%以下である。また、Zr,Ta,Hfも多過ぎると粗大な窒化物を生成して疲労特性を害するので、多くとも0.5%以下、好ましくは0.1%以下、更に好ましくは0.05%以下に抑えるのがよい。
なお、焼入れ性向上の観点からすると、上記5種類の元素の効果は概ねトータル0.5%程度で飽和し、それ以上になると粗大な炭化物の生成によって被削性や疲労特性などに悪影響が現れてくるので、総和で0.5%程度以下、より好ましくは0.20%以下に抑えるのがよい。
本発明部品を構成する鋼の必須構成元素は以上の通りであり、残部は実質的にFeである。「実質的に」とは不可避的に混入してくる元素、例えばAl、P(リン)、O(酸素)、S(硫黄)などの不可避不純物量の混入を許容するという意味であり、それらが含まれることによる障害を極力抑えるには、Alは0.5%以下、Pは0.05以下、Oは0.003%以下、Sは0.1%以下に抑えるのがよい。
ちなみに、Alは硬質で粗大な非金属介在物(Al)を生成して衝撃特性や冷間加工性を劣化させるので、0.5%以下、より好ましくは0.2%以下に抑えるべきである。Pは結晶粒界に偏析して耐衝撃特性や冷間加工性を低下させるので、極力少なく抑えるべきであり、多くとも0.05%以下、より好ましくは0.03%以下に抑えるのがよい。またO(酸素)は鋼材の強度特性を低下させるので、0.003%以下、より好ましくは0.0015%以下に抑えるのがよい。Sは、靭性に悪影響を及ぼす反面、MnSを形成して被削性の向上に寄与するので、特に被削性が求められる場合は適量の添加が有効である。しかし、靭性劣化を回避するには0.1%以下、より好ましくは0.08%以下、更に好ましくは0.02%以下に抑えるのがよい。
また本発明で用いる鋼材には、上記必須元素や不可避元素に加えて、所望に応じて更なる付加的特性を与えるため、下記の様な選択元素を含有させることも有効であり、必要に応じてそれらの元素を添加したものも本発明の技術的範囲に含まれる。
Ni:2.0%以下、Cu:2.0%以下、Cr:3.0%以下、から選ばれる少なくとも1種;
Ni,Cu,Crの各元素は、浸炭部および芯部の強度と靭性を高める作用があり、要求される強度や靭性に応じて、1種または2種以上を適量(好ましくは、それぞれ0.1%程度以上)含有させることが有効である。しかし、多過ぎると熱間加工後の硬さが高くなり過ぎて冷間加工性を劣化させるので、Niは2.0%以下、Cuは2.0%以下、Cr:3.0%以下、より好ましくは各々1.5%以下、更に好ましくは各々1.2%以下に抑えるのがよい。中でもCrは優れた焼入れ性向上効果を有しているので、好ましくは0.2%以上、更に好ましくは0.5%以上含有させるのがよい。
V:0.1%以下;
Vは、少量の添加で焼入れ性を高めると共に、焼戻し軟化抵抗を高める作用を有しており、その効果は0.005%程度以上で有効に発揮される。しかし、多過ぎると冷間加工性を劣化させるので、0.1%以下に抑えるべきである。より好ましくは0.05%以下、更に好ましくは0.02%以下である。
Ca:0.005%以下、Mg:0.005%以下、REM:0.02%以下、から選ばれる少なくとも1種;
これらの元素は、何れも鋼中のSと反応して硫化物を形成し、MnSの伸長を防ぐことで靭性や疲労特性を高める作用を発揮するほか、被削性の向上にも有効に作用する。しかし、多過ぎると逆に靭性を著しく劣化させるので、添加するにしてもそれぞれ上限値以下に抑えるべきである。より好ましい上限値は、Ca:0.003%、Mg:0.003%、REM:0.01%である。
次に、上記の様な特性を備えた機械構造用鋼部品を得るには、前述した化学成分の要件を満たす鋼材を1250℃以上の温度で均熱し、且つ浸炭焼入れ(肌焼き)処理時の加熱温度を1000℃以上に設定することが重要となる。
まず、均熱温度を1250℃以上に設定するのは、浸炭焼入れ時におけるNb,Ti,Zr,Ta,Hfの固溶を促進し、浸炭焼入れ後における前記SM値の上昇効果を発揮させると共に、焼入れ時の結晶粒成長を抑えて芯部靭性の低下を抑える上で重要となる。即ち、Nb,Ti,Zr,Ta,Hfなどの炭化物を一旦全て固溶させることで、浸炭加熱時に再固溶させ易くすると共に、微細均一な析出を促して結晶粒の成長を抑制できるからである。こうした効果を発揮させる上でより好ましい均熱温度は1300℃前後である。
また、浸炭時の加熱温度を1000℃以上とするのは、この様に浸炭温度を高めると、Nb,Ti,Zr,Ta,Hfの固溶が促進されてSM値が高まり疲労特性が向上すると共に、焼入れ効果も高まって部品の静的強度や疲労強度も向上するからである。こうした観点から、より好ましい浸炭加熱温度は1050℃以上、更に好ましくは1100℃以上である。
かくして本発明によれば、化学成分を特定し、特に、Bと共にNb,Ti,Zr,Ta,Hfから選ばれる少なくとも1種を微量添加することにより、焼入れ処理前は優れた加工性を有し、浸炭焼入れ後は高レベルの強度と疲労特性有する機械構造用鋼部品を提供できる。
以下、実施例を挙げて本発明の構成および作用効果をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
実施例1
表1,2に示す化学組成の鋼材を小型溶製炉で溶製し、鋳造、均熱ののち熱間鍛造を行なって一辺が155mm角の棒鋼を得た。この棒鋼を使用し、表3に示す如く1100〜1300℃の温度で60分間均熱してから空冷した。その後、950〜1100℃に再加熱し、850〜950℃の最終圧延温度で圧延することによって直径30mmの丸棒鋼を得、この丸棒鋼から直径12mm×高さ18mmの円柱試験片を作成し、下記の方法で硬さ試験を行なうと共に、焼入れ特性と結晶粒成長特性を調べた。
[焼入れ特性、結晶粒成長特性、芯部硬さ]
各供試棒鋼を圧下率70%で冷間鍛造した後、1050℃で3時間の浸炭処理+油焼き入れを行ったものについて結晶粒を測定した。また、上記で得た直径30mmの各丸棒鋼に1050℃×3時間の浸炭処理+油焼入れを行い、その後160℃で焼戻しを行なったものについて、JIS 3号シャルピー衝撃試験片を作製して衝撃試験を行ない、芯部靭性を測定した。また、各試験片芯部のビッカース硬さを荷重10kgで測定した。そして、芯部靭性は20J以上、芯部硬さはHv330以上を合格とした。
[結晶粒抑制効果]
上記で得た浸炭処理後のサンプル横断面のγ結晶粒度を、JIS G 0551に定めるオーステナイト結晶粒度試験法に則って、結晶粒度番号で5番以下の粗大粒の面積率を測定し、5%を超えるものを不良(×)、5%以下のものを合格(○)とした。
[電解抽出残渣および固溶量]
10%アセチルアセトン−1%テトラメチルアンモニウムクロリド−メタノール溶液を電解液として使用し、常温で200A/m以下の電流で電解抽出を行い、抽出残渣を0.1μmのフィルターで濾取する。そして、トータル添加量と残渣中の量との差を求め、固溶量とした。
[転動疲労寿命]
図1に示す転動疲労試験片(直径60mm×厚さ5mmの円盤状試験片)を使用し、ラッピング加工することによって表面粗さを平均粗さで0.04μmRa以下とした後、下記の条件で転動疲労試験を行い、破損率が10%となるときの寿命(L10)を求め、3×10以上を合格とした。
転動疲労試験条件;面圧:527kg/mm、回転数:1000rpm、鋼球数:6個、潤滑油:新日本石油社製の商品名「タービン油#68」、試験回数(n):10回
結果を表3に一括して示す。
Figure 2007039732
Figure 2007039732
Figure 2007039732
表1〜3より次の様に考えることができる。
No.2,3,5〜18は本発明の規定要件を全て満たす実施例であり、均熱温度、焼入れ温度が適切でSM値も好適であり、γ結晶粒の異常成長も少なく、芯部靭性、芯部硬さ共に良好で優れた転動疲労特性を有している。
これらに対しNo.1は、焼入れ温度が低過ぎるためSM値が低く、転動疲労特性が悪い。またNo.4は、均熱温度が低過ぎるためSM値が低く、またγ結晶粒の異常成長が起こっており、転動疲労特性がやや悪い。No.19,20は鋼材成分が規定要件を外れる比較例であり、No.19はB含量が不足し、No.20はC量が不足するため、何れも転動疲労特性が悪い。
実験で採用した転動疲労試験用の試験片を示す説明図である。

Claims (5)

  1. C:0.10〜0.4%(化学成分の場合は質量%を意味する、以下同じ)、
    Si:0.05〜1.5%、
    Mn:0.3〜3.0%、
    Mo:0.5%以下(0%を含まない)、
    B:0.0003〜0.015%、
    N:0.02%以下(0%を含まない)、
    を満たし、且つ、Nb,Ti,Zr,Ta,Hfよりなる群から選択される少なくとも1種の元素を、各々0.50%以下で、且つ下記(1)式の関係を満たす範囲で含有することを特徴とする、疲労特性に優れた高強度機械構造用鋼部品。
    SM≧1.0×10−5……(1)
    但し、SM=[Nb]/92.9+[Ti]/47.9+[Zr]/91.2+[Ta]/181+[Hf]/178
    {式中、[Nb],[Ti],[Zr],[Ta],[Hf]は、鋼部品に含まれる各元素の抽出残渣から測定した固溶量(質量%)を表わす}。
  2. 鋼が、他の元素として、Ni:2.0%以下(0%を含まない)、Cu:2.0%以下(0%を含まない)、Cr:3.0%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも1種の元素を含むものである請求項1に記載の機械構造用鋼部品。
  3. 鋼が、更に他の元素として、V:0.1%以下(0%を含まない)を含むものである請求項1または2に記載の機械構造用鋼部品。
  4. 鋼が、更に他の元素として、Ca:0.005%以下(0%を含まない)、Mg:0.005%以下(0%を含まない)、REM:0.02%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも1種の元素を含むものである請求項1〜3のいずれかに記載の機械構造用鋼部品。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載された化学成分の要件を満たす鋼材を、1250℃以上の温度で均熱処理し、1000℃以上の温度で浸炭加熱処理することを特徴とする疲労特性に優れた高強度機械構造用鋼部品の製法。
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