JP2002178070A - 合成樹脂ライニング付金属容器の製造方法 - Google Patents

合成樹脂ライニング付金属容器の製造方法

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JP2002178070A
JP2002178070A JP2000386293A JP2000386293A JP2002178070A JP 2002178070 A JP2002178070 A JP 2002178070A JP 2000386293 A JP2000386293 A JP 2000386293A JP 2000386293 A JP2000386293 A JP 2000386293A JP 2002178070 A JP2002178070 A JP 2002178070A
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JP
Japan
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synthetic resin
resin sheet
sheet piece
mirror
welding
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JP2000386293A
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English (en)
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Kiyoshi Mochizuki
喜義 望月
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Fuji Acetylene Kogyo KK
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Fuji Acetylene Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は内表面を合成樹脂で被覆した金属容器
に関し、金属溶接時の熱劣化を押えつつ合成樹脂シート
の接着作業性を良好にすることを目的とする。 【解決手段】缶体10を構成する底鏡部14及び上鏡部16に
は加熱成形後のフッ素樹脂シート片36, 38を予め接着し
ておく。胴部とのステンレス突当部37, 43からはフッ素
樹脂シート片36, 38を離間させておく。フッ素樹脂シー
ト片36, 38を接着した底鏡部14及び上鏡部16を胴部12に
対しステンレス突当溶接する。その後、フッ素樹脂シー
ト片46を首部開口より導入し、フッ素樹脂シート片36,
38と突当てつつ金属面に接着する。フッ素樹脂シート片
の突当部G1, G2においてフッ素樹脂のめじ合わせ溶接及
びリボン溶接を実施する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は内面にフッ素樹脂
等の合成樹脂ライニングを有したステンレス鋼等の金属
容器の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体製造工業において薬液の収容に使
用する金属容器として、ステンレスにより缶体を構成
し、その内表面に耐薬液性の高いフッ素樹脂(例えばポ
リテトラフルオロエチレン(例えば米国のデュポン社に
よりテフロン等の登録商標名で市販のもの))のライニ
ングを形成したものがある。ライニングとなるフッ素樹
脂シートはゴム系(アクリル系)の接着材によって缶体
の内表面に接着されるようになっている。金属容器の通
常の製造方法では、完全な缶体が最初に形成され、その
内部にフッ素樹脂シートが接着される。フッ素樹脂シー
トはメーカーからロールとして供給され、ロールより適
当な大きさの細片に切断を受け、個々の細片は接着剤に
よって缶体の内面に接着され、その後に細片間は溶接を
受け、これにより缶体の内面全体をフッ素樹脂シートで
ライニングした容器が完成される。
【0003】上記した先に金属缶体を完成し、その後に
金属缶体内部にフッ素樹脂シート片を接着する従来技術
は狭い金属缶体内でのライニング作業工数が多く必要で
あり、作業性が良くないため、この出願の出願人は特開
平2000−158069号公報において、ステンレス鋼よりなる
缶体を胴部と底鏡部と上鏡部とから構成し、その各部分
に対応した形状のフッ素樹脂シートを準備し、胴部と底
鏡部と上鏡部及びこれに対応したフッ素樹脂シートに接
着剤を塗布し、一定圧力下のローラによって缶体部分と
フッ素樹脂シートとをその接着剤塗布面同士で接触させ
つつ、ローラを接触面の全体に対して相対的に移動させ
ることにより缶体部分とフッ素樹脂シートとをその接触
面の全面にわたって密着させ、缶体各部に対するフッ素
樹脂シート片の接着完了後に缶体外部における胴部と底
鏡部、胴部と上鏡部との間のステンレス溶接、並びに、
缶体内部におけるフッ素樹脂シート突当部間のフッ素樹
脂溶接行うものを提案している。
【0004】特開平2000−158069号公報における方法は
胴部と底鏡部と上鏡部との各部毎に予めフッ素樹脂シー
トを接着しているため、接着作業は外部に開放した空間
でその殆どを行いえるため、その作業環境の著しい改善
を図ることができる。他方、缶体の各部をステンレス溶
接する際の高温によるフッ素樹脂シートに及ぼす影響に
関しては、胴部と底鏡部との突当部及び胴部と上鏡部と
の突当部の両側の幾分の領域においてフッ素樹脂シート
をバッフル板により浮かせておき、ステンレス溶接の高
温による悪影響を遮断する工夫を加えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開平2000−158069号
公報においては、胴部と底鏡部、胴部と上鏡部とをステ
ンレス溶接する際の高熱からフッ素樹脂を熱的に遮断す
るためステンレス溶接部を挟んだ所定幅の領域において
フッ素樹脂シートが浮くようにバッフル板を使用してい
る。この方法により胴部と底鏡部、胴部と上鏡部との突
当部の溶接による熱の影響の遮断を或る程度は図ること
は可能である。しかしながら、ステンレス溶接時の高温
の影響からフッ素樹脂シートを完全に防御するにはバッ
フル板により遮断する部分の幅を相当大きくとらなけれ
ばならず、この場合はバッフル板による遮断部の接着が
必要であり、従って、特開平2000−158069号公報の技術
においても容器内部の作業が完全に不用となったという
ことではなかった。また、ステンレス溶接部としては必
ずしも底鏡部及び上鏡部との突当部だけではなく胴部の
周面においても取手などの付属部品のステンレス溶接が
必要な場合が多い。この場合は胴部に予めフッ素樹脂シ
ートを接着する特開平2000−158069号公報の方法は採用
が相当困難といえた。
【0006】この発明は以上の問題点に鑑みてなされた
ものであり、缶体内部での作業量は可及的に減少させつ
つ、しかもライニングを構成するフッ素樹脂などの合成
樹脂シートへのステンレス溶接による悪影響は完全に排
除するようにすることを目的とする。
【0007】請求項1に記載の発明によれば、金属缶体
が相互に溶接される胴部と底鏡部と上鏡部とから成り、
金属缶体の内面に合成樹脂ライニングを有した金属容器
の製造方法であって、金属溶接に先立ち胴部以外の金属
缶体の部分である底鏡部及び上鏡部の内面に合成樹脂シ
ート片を胴部に対向した縁部の手前に留まるように接着
しておき、次いで、胴部に対して底鏡部及び上鏡部の突
当金属溶接を行い、その後、胴部の内面上に合成樹脂シ
ート片を接着し、その際合成樹脂シート片の両端は金属
溶接部を超えて底鏡部及び上鏡部上の合成樹脂シート片
に突き当たるべく延在させ、底鏡部及び上鏡部上におい
て合成樹脂ライニングの突当部を合成樹脂溶接すること
を特徴とする合成樹脂ライニング付金属容器の製造方法
が提供される。
【0008】請求項1に記載の発明の作用・効果を説明
すると、金属溶接に先立ち胴部以外の金属缶体の部分で
ある底鏡部及び上鏡部の内面に合成樹脂シート片を胴部
に対向した縁部の手前に留まるように接着することによ
り、底鏡部及び上鏡部においては外部開放状態で接着作
業ができるため、比較的作業が困難な凹面部分や首部の
部分においては開放状態での作業となり、作業性は高め
られ、また凹面部分が存在しているため接着作業は微妙
な調整が必要となるが、外部開放下での作業であるた
め、合成樹脂シートの確実な接着を行うことができる。
そして、接着時の合成樹脂シート片は胴部との対向縁の
手前に留まらせているため、底鏡部と胴部、上鏡部と胴
部との突当金属溶接の作業の際に金属溶接の高温から合
成樹脂シート片を確実に保護することができる。また、
金属溶接時に胴部の内面には合成樹脂シート片はまだラ
イニングされていないため、胴部の周面への付属部品の
金属溶接を行うことに何ら支障はない。そして、胴部へ
の合成樹脂シート片の接着は金属溶接後、即ち、金属缶
体の組立後行うが、胴部の内周面は単なる円筒状であ
り、単純な形状であるため、首部の開口からの治工具の
導入によって無理のない接着作業を行うことができる。
【0009】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明において、底鏡部又は上鏡部の内面への合
成樹脂シート片の接着に先立ち、合成樹脂シート片は底
鏡部又は上鏡部の内面形状に応じた凹面形状の型に加熱
下において付勢され、合成樹脂シート片は底鏡部又は上
鏡部の凹面形状に順じた形状を付与されることを特徴と
する合成樹脂ライニング付金属容器の製造方法が提供さ
れる。
【0010】請求項2の発明の作用・効果を説明する
と、底鏡部又は上鏡部への合成樹脂シート片の接着に先
立ち合成樹脂シート片を底鏡部又は上鏡部の凹面形状に
順じた内面形状の型に加熱下で押し付けているため合成
樹脂シート片に底鏡部又は上鏡部の凹面形状に順じた形
状が付されるため、底鏡部又は上鏡部の内面に対する合
成樹脂シート片の接着を良好に行うことができる。
【0011】請求項3に記載の発明によれば、請求項2
に記載の発明において、合成樹脂シート片は型に対向し
た側面において水蒸気存在で空気圧力を付与され、これ
により型の前記凹面への合成樹脂シート片の付勢が行わ
れることを特徴とする合成樹脂ライニング付金属容器の
製造方法が提供される。
【0012】請求項3の発明の作用・効果を説明する
と、型に対向した側面において合成樹脂シート片に水蒸
気存在下で空気圧力を付与することにより合成樹脂シー
ト片は加熱下で型面に押圧されるため、合成樹脂シート
片への底鏡部又は上鏡部の内面形状に順じた凹面形状の
付与を簡便に行うことができる。
【0013】請求項4に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明において、胴部に対する底鏡部及び上鏡部
の金属溶接後の胴部への合成樹脂シート片の接着のた
め、接着剤の塗布乾燥後の合成樹脂シート片を筒状に丸
めて上鏡部における首部開口より缶体内部に導入し、合
成樹脂シート片を胴部内周に対して押付治具で押し付け
つつ、缶体の回転及び押付治具と缶体との軸線方向の相
対移動を行うこと特徴とする合成樹脂ライニング付金属
容器の製造方法が提供される。
【0014】請求項4の発明の作用・効果を説明する
と、接着剤の塗布乾燥後の合成樹脂シート片は筒状に丸
めて上鏡部における首部開口より缶体内部に導入され
る。そして、合成樹脂シート片は押付け治具により胴部
内周に対して押し付けられ、同時に、缶体の回転及び押
付治具と缶体との軸線方向の相対移動が行われ、このよ
うな回転移動及び軸線方向移動により接着面の気泡は完
全排除され、胴部内周への合成樹脂シート片の接着を確
実に行うことができる。
【0015】請求項5に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明において、合成樹脂溶接部はめじ合わせ溶
接部とその上に重ねられるリボン溶接部とからなること
を特徴とする合成樹脂ライニング付金属容器の製造方法
が提供される。
【0016】請求項5の発明の作用・効果を説明する
と、めじ合わせ溶接に重ねてリボン溶接を行うことによ
り合成樹脂突当部の万全なシール性を確保し、薬液から
の攻撃に対して金属缶体を万全に保護することができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】図1はこの発明の金属容器を構成
するステンレス缶体10の溶接前の分離された各部を示
しており、ステンレス缶体10は胴部12、底鏡部1
4、上鏡部16及び蓋部18よりなる。底鏡部14には
スカート部20が既に溶接されている。上鏡部16はそ
の上端のフランジ部16-1に円周方向に離間した複数のね
じ孔16Aを有している。上鏡部16は薬液導入用の開
口部16Bを有している。一方、蓋部18は上鏡部16
のフランジ部16-1のねじ孔16Aと芯合した位置に開口
18Aを有し、かつノズル装着用の開口18Bを有して
いる。
【0018】この発明では缶体10の上述した胴部1
2、底鏡部14、上鏡部16及び蓋部18の各々にロー
ルから各部に適合した形状に切り出されたフッ素樹シー
ト片が接着され、その後、外周側での胴部12、底鏡部
14、上鏡部16間のステンレスプラズマ溶接及び内周
側での膜状フッ素樹脂シート片間のフッ素樹脂溶接が行
なわれ、かつ蓋部18が取り付けられ、金属容器として
完成するようにされる。このような金属容器の完成まで
を以下順を追って説明する。
【0019】ステンレス製の各部12, 14, 16, 18につい
てフッ素樹脂シート片が貼付される面はショットブラス
ト処理される。ショットブラスト処理により表面の酸化
皮膜が除去され、ステンレス製の各部12, 14, 16, 18と
フッ素樹脂シート片との接着性の改善を図ることができ
る。
【0020】次に、ステンレス溶接前に実行される底鏡
部14、上鏡部16へのフッ素樹脂シート片の接着工程
について説明する。この発明においては、胴部12への
フッ素樹脂シートの接着はフッ素樹脂シート片を接着後
の底鏡部14、上鏡部16を胴部12にステンレス溶接
後に行われる。フッ素樹脂膜状素材は、例えば米国デュ
ポン社から販売されているポリテトラフルオロエチレン
(同社の登録商標名:テフロン)であり、ロール状に巻
かれた状態(厚さ2.4〜3.0ミリメートル程度)でメーカ
ーから供給される。ロールから底鏡部14、上鏡部16
の要ライニング部の形状に合わせて切り出しが行なわれ
る。その後、切り出されたフッ素樹脂シートは成形型に
よって水蒸気圧力下での加熱成形が行われ、底鏡部1
4、上鏡部16の凹面形状に順じた凹面形状に成形され
る。このような事前成形作業によって接着作業を容易化
し、底鏡部14及び上鏡部16の凹面形状に係わらず接
着が確実に行われるようにすることができる。
【0021】図2によって水蒸気圧力下での加熱成形に
ついて底鏡部14のライニング用のフッ素樹脂シートに
ついて説明すると、図2(イ)において、ロールより底
鏡部14の凹面をライニングするのに必要なフッ素樹脂
シートAが切り出される。図2において加圧成形型は型
22とカバー24とから構成される。型22は凹面22-1
を有しており、この凹面22-1は底鏡部14の凹面に順じ
た輪郭形状を呈している。一方、カバー24は蒸気導入
パイプ26と空気導入パイプ28を供えている。
【0022】切片Aは型22に載置され、カバー24が
切片Aを挟んで型22に図示しないボルトなどの締結手
段によって締結される。そのため、切片Aの上方には外
部に対して密封された空間34が形成される。次に、蒸
気導入パイプ26上のバルブ30及び空気導入パイプ2
8上のバルブ32が明けられ、高温の蒸気及び高圧空気
がパイプ26, 28より空間34に導入され、切片Aに対し
て高温・高圧が作用される。蒸気の高温によってフッ素
樹脂切片Aは軟化され、空気の高圧によって切片Aは凹
面22-1に向けて変位され、図2(ロ)に示すように切片
Aは凹面22-1に密着される。図示しないが、型22は切
片Aの変位を許容する空気抜きのための孔を有している
ことはもとよりである。
【0023】次に、図2(ロ)のように凹面22-1に切片
Aを密着させた状態でバルブ30を閉めることにより高
温蒸気の導入を停止し、外側のホース33より冷却水を
流出させ、型の冷却を行う。その結果、切片Aは凹面22
-1に密着した状態で冷却固化され、フランジ部分A’を
切除することにより図2(ハ)に示すように底鏡部14
の内面をライニングすべきフッ素樹脂シート片36を得
ることができる。
【0024】次ぎに、図3(イ)に示すように加熱成形
後のフッ素樹脂シート片36は底鏡部14に接着され
る。その際にフッ素樹脂シート片36はその縁部が胴部
12に対する底鏡部14のステンレス突当接合部から所
定距離L離間するようにされる。ステンレス突当溶接部
からの離間長さLは、胴部12に対する底鏡部14のス
テンレス溶接時の高熱からフッ素樹脂シート片36を保
護することができるように適切に設定する必要がある。
【0025】以上説明の、底鏡部14に対するフッ素樹
脂シート片36の接着にあたってはゴム系の接着剤を使
用することができる。ゴム系の接着剤は底鏡部14及び
フッ素樹脂シート片36の接着面に塗布される。接着剤
の乾燥後底鏡部14を加熱しつつ垂直軸の回りを回転さ
せつつ伸し加圧ローラを中心から外側に移動させて気泡
を排除してゆく。これにより、底鏡部14にフッ素樹脂
シート片36の密実な接着状態を得ることができ、フッ
素樹脂シートとステンレス面との良好な接着を得ること
ができる。このような接着方式はこの出願の出願人によ
り特開平2000−158069号公報に開示されたものと実質的
に同様であり、必要あればこの公開技術の記載も参照さ
れたい。
【0026】図3の(ロ)はフッ素樹脂シート片36を
接着した底鏡部14に対して胴部12を突当て、突当て
部をステンレス溶接したものを示す。ステンレス溶接部
は37にて示される。
【0027】上鏡部16についてもフッ素樹脂シートを
ライニングすべき内面は凹面状を呈している。そのた
め、水蒸気圧力下での加熱成形による凹面形状付与が行
われ、この方式は底鏡部14の内面ライニング用のフッ
素樹脂シート片36について図2で説明した方式と同様
であるため詳細説明は省略する。次ぎに、上鏡部16は
蓋18との接合用のフランジ部16-1を有しており、蓋の
装着状態においてもステンレス面が全く露出することが
全くないようにフッ素樹脂シートシートによるライニン
グされていることが必要である。次ぎに、図4によって
上鏡部16のフッ素樹脂シートによるライニング方法を
説明すると、(イ)は上鏡部16を上下反転した状態に
て示しており、水蒸気圧力下で加熱により上鏡部16の
内面に順ずる形状に成形されたフッ素樹脂シート片38
はゴム系接着剤により接着が完了した状態にて示してい
る。底鏡部14においてその上のフッ素樹脂シート片3
6が胴部12に対する底鏡部14の突当縁部からLの距
離離間している(図3の(イ)参照)のと同様にフッ素
樹脂シート片38は胴部との突当ステンレス溶接部から
Lの距離離間されており、ステンレス溶接時の高熱から
フッ素樹脂シート片38を保護するようにしている。そ
して、フッ素樹脂シート片38にその中央部において後
述の熱成形用インサート挿入用の下孔38Aが穿設され
る。
【0028】次ぎの段階では図4の(ロ)で示すよう
に、フランジ部16-1の中心開口より皮膜の厚み分小さい
外径の中心インサート40(接着剤を軟化させるための
80℃程度の所定温度に加熱されている)が上方よりフ
ッ素樹脂シート片38を介してフランジ部16-1の中心開
口16Bに押しこまれる。フッ素樹脂シート片38の中
心に下孔38Aを設けていることによりインサート40
の挿入に追従してフッ素樹脂シート片38はフランジ開
口16Bに沿って熱変形される。
【0029】図4の(ハ)はインサート40を押込んだ状
態を示しており、フッ素樹脂シート片は上鏡部16のフ
ランジ部16-1の中心開口16Bの内周に沿って延びるよ
うに変形を受けている。次ぎに、中心インサート40に
ぴったりと嵌合される内径のフランジ付筒状外側インサ
ート42(これも接着剤を軟化させるための80℃程度
の所定温度に加熱されている)が下側より中心インサー
ト40に挿入される。外側インサート42のフランジ部
42-1はフッ素樹脂シート片38を圧潰し、フッ素樹脂シ
ート片38の圧潰された部分が上鏡部16のフランジ部
16-1の開口縁に密着する。その間において接着剤は固化
し、フッ素樹脂シート片は完全に接着された状態とな
る。その後、図4の(ニ)に示すようにインサート40,
42は除去される。
【0030】図5はフッ素樹脂シート片36が接着され
た胴部12に図4の(ニ)のようにフッ素樹脂シート片3
8を接着した上鏡部16をステンレス突当溶接した状態
を示す。ステンレス突当溶接部は43にて表す。ステン
レス溶接時に胴部12の外面に図示しないステンレス付
属部品(例えば薬液注入用ホースの掛止部など)がステ
ンレス溶接される。また、図5では底鏡部14及び上鏡
部16上のフッ素樹脂シート片36, 38のフッ素樹脂突当
溶接用端縁は後述のめじ合わせフッ素樹脂溶接のため面
取りした状態になっている。
【0031】次ぎの段階として、胴部12の内面へのフ
ッ素樹脂シート片46の接着が実施される。フッ素樹脂
シート片46は矩形形状をなし、胴部12の全周長を丁
度ランニングしうる長さと、ステンレス突当溶接部37,
43超えて底鏡部14上のフッ素樹脂シート片36とのフ
ッ素樹脂突当溶接部及び上鏡部16上のフッ素樹脂シー
ト片38とのフッ素樹脂突当溶接部まで丁度延在しうる
幅とを有している。そして、フッ素樹脂シート片46は
胴部12の内面との接着部に予めゴム系接着剤を塗布乾
燥したものを筒状に丸め、胴部開口より矢印aのように
缶体内部に導入される。缶体内部にフッ素樹脂シート片
46を導入し、胴部12面上に拡開され、拡開状態は2
点鎖線46´にて示される。胴部12の内面には予めゴ
ム系接着剤が塗布乾燥済みとなっている。
【0032】図6はフッ素樹脂シート片46が胴部12
内面上に拡開された状態を示す。フッ素樹脂シート片4
6は胴部12の内周を完全にライニングしており、かつ
上下両端縁はステンレス突当溶接部を超えて延設され、
底鏡部14上のフッ素樹脂シート片36及び上鏡部16
上のフッ素樹脂シート片38と突き当てられた状態とな
っている。この状態においてフッ素樹脂シートの圧着治
具が缶体の首部開口より缶体内部に導入され、フッ素樹
脂シート片46の伸し及び接着作業が実施される。圧着
治具は水平往復ロッド50と、水平往復ロッド50の先
端の折曲可能作動ロッド52と、作動ロッド52の先端
の圧着部材54とからなる。缶体は一対のローラ56, 58
上に載置され、ローラ56, 58の矢印aのような回転によ
り缶体は回転する。他方、圧着治具はその作動ロッド5
2を想像線のように曲折した状態で首部開口より缶体内
部に導入され、その後作動ロッド52は実線の通り90
度展開(矢印c)され、先端の圧着部材54がフッ素樹
脂シート片46に所定圧力にて押圧せしめられる。そし
て、ステンレス缶体を適温に加熱しつつ、ローラ56, 58
によって缶体は回転され、同時に往復ロッド50は水平
方向(矢印b)に移動され、作動ロッド52の先端圧着
部材54はフッ素樹脂シート片46を胴部12の内面に
圧着する。そのため、フッ素樹脂シート片46は胴部1
2の内面に対して均等に伸され、接着剤中に仮に気泡が
存在したとしてもこれは押し出され、その間において接
着剤は固化し、胴部12の内周に対するフッ素樹脂シー
ト片46の良好な接着状態を得ることができる。
【0033】次ぎに、底鏡部14上のフッ素樹脂シート
片36と胴部12上のフッ素樹脂シート片46との突当
溶接及び上鏡部16上のフッ素樹脂シート片38と胴部
12上のフッ素樹脂シート片46との突当溶接が実施さ
れる。突当溶接はめじ合わせ溶接と、リボン溶接とから
なる。図7の(B)はめじ合わせ溶接用の溶接ヘッド97
を示す。溶接ヘッド97は熱風のノズル97Aと、丸断
面溶接棒92の案内のためのパイプ状案内部97Bとを
備えている。溶接時、案内部97Bは空気圧などを使用
して間欠的な上下運動を行い、案内部97Bの下降時、
それに案内された溶接棒92はフッ素樹脂シート片36,
46間のV型溝G1及びフッ素樹脂シート片38, 46間のV
型溝G2(図6参照)に埋め込まれる。その後、案内部
97Bは上昇され、被溶接部を進ませ(図示しないロー
ラにより缶体を回し)つつ、ノズル97Aより溶接棒9
2の背後に熱風を吹き付ける。そのため、溶接棒92は
溶肉となってV型溝G1, G2に溶けこむ。或る距離溶接後
に、再び案内部97Bを下降させ、溶接棒をV型のめじ
合わせ溝に埋め込ませ、以後同様の作業の繰り返しが全
周について行われる。
【0034】図7の(A)はめじ合わせ溶接後に実施され
るリボン溶接のための溶接ヘッド96の構成を概略的に
示している。即ち、溶接ヘッド96はフッ素樹脂を溶解
可能とする温度(例えば400℃)の熱風の噴出しのため
ノズル96A 及び図示しないロールから引き出されるリ
ボン状溶接棒102の案内部96Bを備えている。溶接
の開始時、溶接棒102の先端を被溶接部(図7の(A)
においてラインLはめじ合わせ溶接部を仮想的に示して
いる)に当てながらノズル96Aからの熱風を溶接棒1
02にその背面より吹き付けることにより溶接棒102
は融解される。図示しないローラによる缶体の回転によ
って、溶接棒102は自動的に引き出されると同時に溶
接棒102の引き出された部分はノズル96Aからの熱
風によって溶融され、めじ合わせ溶接部Lの上に重ねら
れて溶肉部94となって溶け込む。
【0035】図9において、底鏡部14上のフッ素樹脂
シート片36と胴部12上よりステンレス溶接部37を
超えて延びてくるフッ素樹脂シート片46との突当部に
おけるめじ合わせ溶接+リボン溶接部分を60にて表
し、上鏡部16上のフッ素樹脂シート片38と胴部12
上よりステンレス溶接部43を超えて延びてくるフッ素
樹脂シート片46との突当部におけるめじ合わせ溶接+
リボン溶接部分を62にて表している。
【0036】フッ素樹脂シート片46の幅方向(金属缶
体の軸線方向)にも合わせ目ができるが、この合わせ目
についてもフッ素樹脂のめじ合わせ溶接及びリボン溶接
が同様に実施される。
【0037】めじ合わせ溶接及びそれに後続して実施さ
れるリボン溶接方式はこの出願人に出願にかかる特開平
2000−158069号公報に開示のものと同様であり、必要あ
ればこの公報の記載も参照されたい。
【0038】図8の(イ)〜(ニ)は蓋部18の下面への
フッ素樹脂シート片の接着及びノズル溶接を説明してい
る。(イ)はフッ素樹脂シート片接着前の蓋部18を示
し、(ロ)は蓋部の下面へのフッ素樹脂シート片64の
接着を示している。次ぎに、(ハ)に示すようにノズル
孔18Bが18B'で示すように拡開され、この広げられた
ノズル孔29に(ニ)で示すようにフッ素樹脂ノズル6
6が挿入される。フッ素樹脂シート片64から突出した
ノズル66の外周部分にフッ素樹脂溶接棒が当てがわ
れ、かつ熱風が吹き付けられることにより全周に沿って
フッ素樹脂溶接がされる。ノズル66には容器完成後
(完成状態は図9参照)にバルブ等の外部接続部品が取
り付けられる。
【0039】最後に、フッ素樹脂シート片64を接着し
た蓋部18が缶体に取り付けられる。即ち、図9のよう
に蓋部18(図8のボルト穴18A)にボルト68を通
し、その先端を上鏡部16(図1のねじ孔16Aに)に
螺合することによって内周をフッ素樹脂シートにて完全
にライニングした金属容器が完成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は分離状態の缶体の各部を示す断面図であ
る。
【図2】図2は底鏡部の凹面に接着すべきフッ素樹脂シ
ート片を底鏡部の凹面に順じた形状に加熱成形するため
の手順(イ)〜(ハ)を示す図である。
【図3】図3は底鏡部への凹面にフッ素樹脂シート片を
接着する工程(イ)と、その後の底鏡部と胴部とのステ
ンレス突当溶接工程(ロ)を示す図である。
【図4】図4は上鏡部におけるフッ素樹脂シート片の接
着工程の段階(イ)〜(ニ)を示す図である。
【図5】図5は胴部に底鏡部及び上鏡部をステンレス突
当溶接後の胴部へのフッ素樹脂シート片の接着における
第1の工程(フッ素樹脂シート片導入)を示す図であ
る。
【図6】図6は底鏡部及び上鏡部をステンレス突当溶接
後の胴部へのフッ素樹脂シート片の接着における第2の
工程(フッ素樹脂シート片伸し)を示す図である。
【図7】図7は(A)において、フッ素樹脂リボン溶接用
の溶接ヘッドの概略的斜視図を示し、 (B)においてフッ
素樹脂めじ合わせ溶接用の溶接ヘッドの概略的斜視図を
示す。
【図8】図8は蓋部へのフッ素樹脂シート片の接着及び
カップリング部の装着工程の段階(イ)〜(ニ)を示す
図である。
【図9】図9はステンレス缶体の内周を完全にフッ素樹
脂でライニングした完成した状態の金属容器の断面図で
ある。
【符号の説明】
10…ステンレス缶体 12…胴部 14…底鏡部 18…蓋部 20…スカート部 22…加圧成形型 24…カバー 26…蒸気導入パイプ 28…空気導入パイプ 36…フッ素樹脂シート片 37…ステンレス突当溶接部 38…フッ素樹脂シート片 40…中心インサート 42…外側インサート 43…ステンレス突当溶接部 46…フッ素樹脂シート片 50…水平往復ロッド 52…折曲可能作動ロッド 54…圧着部材 56, 58…支持ローラ 96…リボン溶接用溶接ヘッド 97…めじ合わせ溶接用溶接ヘッド

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属缶体が相互に溶接される胴部と底鏡
    部と上鏡部とから成り、金属缶体の内面に合成樹脂ライ
    ニングを有した金属容器の製造方法であって、金属溶接
    に先立ち胴部以外の金属缶体の部分である底鏡部及び上
    鏡部の内面に合成樹脂シート片を胴部に対向した縁部の
    手前に留まるように接着しておき、次いで、胴部に対し
    て底鏡部及び上鏡部の突当金属溶接を行い、その後、胴
    部の内面上に合成樹脂シート片を接着し、その際合成樹
    脂シート片の両端は金属溶接部を超えて底鏡部及び上鏡
    部上の合成樹脂シート片に突き当たるべく延在させ、底
    鏡部及び上鏡部上において合成樹脂ライニングの突当部
    を合成樹脂溶接することを特徴とする合成樹脂ライニン
    グ付金属容器の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の発明において、底鏡部
    又は上鏡部の内面への合成樹脂シート片の接着に先立
    ち、合成樹脂シート片は底鏡部又は上鏡部の内面形状に
    応じた凹面形状の型に加熱下において付勢され、合成樹
    脂シート片は底鏡部又は上鏡部の凹面形状に順じた形状
    を付与されることを特徴とする合成樹脂ライニング付金
    属容器の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の発明において、合成樹
    脂シート片は型に対向した側面において水蒸気存在下で
    空気圧力を付与され、これにより型の前記凹面への合成
    樹脂シート片の付勢が行われることを特徴とする合成樹
    脂ライニング付金属容器の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の発明において、胴部に
    対する底鏡部及び上鏡部の金属溶接後の胴部への合成樹
    脂シート片の接着のため、接着剤の塗布乾燥後の合成樹
    脂シート片を筒状に丸めて上鏡部における首部開口より
    缶体内部に導入し、合成樹脂シート片を胴部内周に対し
    て押付治具で押し付けつつ、缶体の回転及び押付治具と
    缶体との軸線方向の相対移動を行うこと特徴とする合成
    樹脂ライニング付金属容器の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の発明において、合成樹
    脂溶接部はめじ合わせ溶接部とその上に重ねられるリボ
    ン溶接部とからなることを特徴とする合成樹脂ライニン
    グ付金属容器の製造方法。
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