JP2002177877A - 塗装仕上げ方法 - Google Patents

塗装仕上げ方法

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JP2002177877A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内外装の塗装仕上げでは、スプレー、コテ、
ローラー等の塗装手段が採用されているが、新規意匠を
持たせることが難しい。また熟練度を持つ職人が少なく
なっている状況にある。このため一般の作業者でも新規
意匠の仕上げができる塗装方法が求められている。 【解決手段】 合成樹脂エマルジョンを主成分とするベ
ース塗料を塗布してベース層を形成したのち、合成樹脂
エマルジョン、軟質骨材、骨材等からなる上塗り塗料を
鏝で引き延ばしながら塗布する際に該軟質骨材を鏝で潰
しながら塗布仕上げする塗装仕上げにより、一般の作業
者でも新規意匠の塗装仕上げすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は意匠性に優れる塗装仕上
げ方法に関し、詳しくは鏝を使用して仕上げた意匠性に
優れた塗装仕上げ方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来、建築物の内外装の塗装仕上げ方法と
して、スプレー、ローラー、刷毛、鏝等の手段による塗
装仕上げが採用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の塗装仕上げ方法は既に一般化された方法であるた
め、これまでにない意匠性を実現するためには更なる新
規に塗装方法の開発が待たれていた。反面、高度の熟練
度を要する職人が年々減少して、熟練度を持たない作業
者でも意匠性の高い塗装仕上げ方法が求められるような
状況になっている。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような状況に鑑み、
鋭意開発検討した結果、鏝による塗装仕上げ方法により
特有の風合いを持つ意匠性に優れた塗装仕上げ方法を確
立するに至った。
【0005】以下本発明に関して詳細に説明する。即
ち、第一工程として、合成樹脂エマルジョンを主成分と
するベース層を0.5〜1.0kg/m2塗装し、第二
工程として、特定サイズであつて、鏝により塗料を引き
延ばして塗布する際に次第に潰れる軟質骨材と合成樹脂
エマルジョンを少なくとも含む上塗り塗料を、鏝により
1.0〜2.0kg/m2塗装しながら、溝を形成させ
つつ表面仕上げする方法からなるものである。尚、コン
クリート、モルタル等の下地からのアルカリ、しみ等を
遮断するためにウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂を
有機溶剤に溶解した溶剤系シーラー若しくはウレタン樹
脂、エポキシ樹脂等をエマルジョン化して水系のシーラ
ーを適宜、これら下地に塗布してシーラー層を設けるこ
とがなされても良い。
【0006】ベース層上に上塗り層を塗布して仕上げる
際に、鏝を移動させると該軟質骨材が特定の圧縮強度か
らなるものであるため、鏝により塗層膜の上部にある軟
質骨材が引きずられ、次第に潰れつつ溝を形成するた
め、不連続の溝が不特定に形成される。また、鏝の移動
方向により直線状、曲線状、ランダム状等の溝を任意に
付与することができる。このため特別な熟練度の無い作
業者でも容易に独特の風合いの外観仕上がりが可能であ
る。
【0007】実施の形態 本発明における第一工程のベース層は合成樹脂エマルジ
ョンをローラー、鏝等により塗布することにより下地の
不陸を調整し、上塗り層の付着性を確保するために形成
させる。ベース層のベース塗料には主成分の合成樹脂エ
マルジョンに骨材、充填材、顔料、増粘剤、分散剤、防
カビ剤、防藻剤等を配合し、適度の流動性、塗布性を付
与させることができる。ベース塗料中の樹脂分は5〜2
5%が適当し、5%以下では粘着性、塗布性等が低下し
て好ましくない。また25%以上になると粘度が低くな
る、添加剤、配合剤等の配合に制約が生じ好ましくな
い。
【0008】塗布方法として鏝、ローラー、吹き付け等
の手段を採用でき、塗布量として0.5〜1.0kg/
m2塗布する。適正粘度としては300〜650Pa・
S/30℃であり、300Pa・S/30℃以下ではタ
レが生じて好ましくない。また650Pa・S/30℃
以上では塗布作業が難しくなり好ましくない。このよう
な適正粘度にするためには添加剤の種類、配合量等の選
定により調整することができる。
【0009】前記の合成樹脂エマルジョンとして例示す
れば、アクリル酸エステル共重合系樹脂、酢酸ビニル樹
脂、エチレン・酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル・アクリ
ル酸エステル系樹脂、エチレン・塩化ビニル系樹脂、シ
リコン変性アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等の合成樹
脂エマルジョンが使用され、これらには架橋タイプ、粉
末型のエマルジョン等であっても使用できる。
【0010】骨材の種類は、一般に塗料に配合されるも
のであれば何ら問題無く使用できる。例示すれば、珪
砂、炭酸カルシュウム、山砂、ガラス粉砕物、セラミッ
ク粉砕物等があり、これらは塗布方法により適正なサイ
ズのものが選定使用されればよい。また、粉体状の充填
材、顔料も適宜使用される。 充填材、顔料の例として
炭酸カルシュウム、カオリン、クレー、陶土、珪藻土、
タルク、酸化チタン、ホワイトカーボン、酸化鉄、ベン
ガラ等があり、更に前記のように増粘剤、分散剤、防カ
ビ剤、防藻剤等が適宜配合される。
【0011】ベース層を形成後、鏝により1.0〜2.
0kg/m2の塗布量で上塗り層が形成される。該上塗
り層は主成分の合成樹脂エマルジョンと軟質骨材とを少
なくとも配合したものからなり、その他適宜、その他の
骨材、充填剤、着色顔料、増粘剤、防カビ剤、防藻剤等
が配合される。上塗り塗料の樹脂分は5〜25%が適合
していて、5%以下では粘着性、塗布性等が確保しにく
く好ましくない。25%以上ではコストが高くなり、ま
た粘着性が高くなりすぎて作業性に難があり好ましくな
い。粘度に関しては300〜650Pa・S/30℃が
適合し、300Pa・S/30℃以下では塗料がタレる
ため好ましくない。650Pa・S/30℃以上では塗
布作業性が著しく悪くなるため好ましくない。主成分の
合成樹脂エマルジョン、その他充填剤等の配合剤は前記
下塗り層に使用したと同様なものが使用できる。
【0012】上塗り層に配合する軟質骨材はサイズが1
〜5mmの不定形な形状を呈するものであり、鏝使用の
圧力により容易に潰れる程度、即ち1個当たりの圧縮強
度が好ましくは200g〜1kgの無機質系骨材であ
り、塗料の製造時その他調合時には大部分は潰れず、鏝
により上塗り塗料が塗布面に引き延ばされた際に、鏝に
より移動させられ溝が形成され、次第に潰れて溝が消え
る状態に仕上げられる。該軟質骨材の1個当たりの圧縮
強度が200g以下では強度が弱すぎて塗料の配合、調
合の際に潰れてしまい好ましくない。また1個当たりの
圧縮強度が1kg以上であつては強度が強すぎ鏝で塗布
した場合に適度に潰れず好ましくない。また前記のよう
に鏝の移動方向により溝の形状は直線状、曲線状、ラン
ダム状、その他形状等に任意に仕上げることができる。
【0013】該軟質骨材の1例の製法について簡単に説
明すると、軟質骨材は発泡性無機粉体から成型され、頁
岩、粘土、粘板岩等の発泡性無機粉体に水等の成型助剤
を加え、ぺレッタイザー、押し出し機等の成型機を用い
て粒状に成型する。形状は球状、ペレット状、円柱状、
不定形状等とすることができる。サイズは0.5〜10
mm程度に成型される。このようにして得られた粒状成
型体は数百度の焼成温度において焼成し発泡状に成型さ
れる。また必要に応じ適宜フルイに掛けられて所望サイ
ズに分級され、使用に供される。また、上記のサイズ
で、目的とする1個当たりの圧縮強度が得られるもので
あれば焼成処理されなくても単に0.5mm以下の無機
質系微粒子、合成樹脂系微粒子等が各種のバインダー、
例えば合成樹脂系バインダー、デンプン系バインダー、
その他天然樹脂系バイダー等により造粒され、鏝の塗布
移動時の圧力により次第に潰れる程度に結合されたもの
であつても構わない。また、これらの微粒子は発泡状の
ものが更に微細に潰れやすく好ましい。
【0014】軟質骨材の配合量は表面層に使用される塗
料中の樹脂固形分100重量部(以下部と称する)当た
り40〜150部が適当する。40部以下では意匠性の
発現が難しく目的を達成することができない。150部
以上であつては軟質骨材同士の重なり、凝集等のため仕
上がりが悪く、塗布作業性にも問題が生じて適さない。
【0015】次ぎに実施例、比較例により説明する。 実施例1 コンクリート下地にモルタル仕上げされた壁面下地に固
形分50%の酢酸ビニル・アクリル酸エステル系樹脂エ
マルジョン以下(樹脂エマルジョンという)20部に珪
砂を60部配合した粘度550Pa・S/30℃、樹脂
固形分12.5%のベース塗料を鏝にて塗布して厚み
0.3mmのベース層を形成したのち、実施例1として
ベース塗料と同一の樹脂エマルジョン20部にサイズが
0.5〜5mmであり、形状が不定形状、1個の圧縮強
度が200〜1000gの頁岩系軟質骨材を4部、充填
剤として粒度0.1〜0.2ミクロンの炭酸カルシュウ
ム35部、着色顔料としてチタン白を10部配合した粘
度560Pa・Sポイズ/30℃、樹脂固形分12.6
%の上塗り層を鏝により1.2kg/m2塗布した。鏝
の移動時に該軟質骨材が引っ張られて移動して溝が形成
されるとともに軟質骨材が鏝の圧力により次第に潰れて
多数の溝が形成された。溝の長さは様々で3〜15cm
であつた。
【0016】実施例2 実施例1と同一のベース層上に、実施例1の上塗り塗料
の配合において軟質骨材の配合量を15部、水11部と
した以外は同一にして、実施例2として粘度575Pa
・S/30℃、樹脂固形分10.9%の上塗り塗料を調
製し、鏝により1.2kg/m2塗布した。鏝の移動時
に該軟質骨材が次第に潰れて長さ5〜17cmの溝が多
数形成された。
【0017】比較例1〜5 実施例1に使用したと同一の樹脂エマルジョン、軟質骨
材、充填材、顔料等を表の通り配合して、比較例1、
2、3の上塗り塗料を調製した。粘度が表の通りの上塗
り塗料を実施例と同一の鏝により塗布量1.2kg/m
2塗布した。また、配合材料は実施例と同一とし、配合
を変更した比較例4、比較例5の上塗り塗料を調製して
実施例と同様に鏝で塗装仕上げをした。比較例1では軟
質骨材が配合されていないため本発明の目的とする独特
の風合いがなく、平面的な外観の仕上がりであつた。比
較例2では軟質骨材の配合量が少なく明確に天然質感が
形成できなかった。比較例3では軟質骨材の配合量が過
大のため粘度が高くなり塗布作業性が難しく目的の塗装
仕上げが得られなかった。比較例4では樹脂分が3.3
%と低いため粘着性が不足し、塗布性に欠けるため塗装
仕上げが困難であつた。比較例5では樹脂分が28.7
%と高いため粘着性が高くなりすぎて鏝作業性が悪く好
ましくなかった。またコストが高くなりすぎ好ましくな
い。
【0018】実施例、比較例の塗装仕上げ状態の結果は
表の通りであり、実施例の塗装仕上げ状態は意匠性にす
ぐれるものであつた。
【0019】
【表1】
【0020】本発明による塗装仕上げ方法によれば、上
塗り塗料中に鏝の圧力次第で次第に潰れる0.5〜5m
mの軟質骨材が配合されているため、上塗り塗料を塗布
するため鏝を移動させる際に、鏝の加圧加減により軟質
骨材が鏝の移動とともに次第に潰れるため、不連続の溝
を形成できる。また、鏝の移動方向により直線状、曲線
状、ランダム状等の様々な形状の溝を形成させることが
できる。このため各種形状からなる不連続な溝により凹
凸が付与された特有の外観からなる塗装仕上がりが得ら
れる。このように鏝の移動次第で様々な塗装仕上がりが
特に高度の熟練度を要することなく実現できるため、熟
練した職人の不足する現下にあつては、まことに好都合
な塗装仕上げ方法である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 AC49 AE03 BB06Z CB21 DA06 DB12 DC01 EA06 EA13 EB13 EB15 EB19 EB22 EB38 EB42 EC01 EC13 EC24 EC25 EC53

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成樹脂エマルジョンを主成分とするベー
    ス塗料を塗布してベース層を形成したのち、該ベース層
    上に合成樹脂エマルジョン、軟質骨材、骨材等を含む上
    塗り塗料を鏝で引き延ばす際に、該軟質骨材を潰しなが
    ら溝を形成させて仕上げることを特徴とする塗装仕上げ
    方法。
  2. 【請求項2】軟質骨材のサイズが0.5〜5mmである
    請求項1記載の塗装仕上げ方法。
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